クライムは走る
王家の品々は隠し終わった。
後はラナー様の元へ戻るだけ。
途中、魔導国の者らしきダークエルフの少女を見かけたが、ラナー様から「途中、魔導王の手の者を見かけても、決して戦わず逃げるように」と言われたことを思い出し、戦わず逃げてきてしまった。
ラナー様の考えを疑う訳では無いが、魔導国の者を見逃してしまっても良いのだろうか。
少しでも敵を減らし、少しでも多くの命を助けること、そしてラナー様の危険を少しでも減らすこと、それが最も大切な事なのでは?
そうも考えたが、ラナー様の命に背くわけにも行かない。
思考を捨て、少しでも早くラナー様の元に帰るため、王宮へ走った。
───
王宮に着いたクライムは異様な雰囲気を感じる。
こんな状況だから、城の者はもうほとんど残っていない。
それが原因かとも考えたがそうではない。
まず直ぐに気がついたのは玉座に向かうにつれて、気温が下がっている。
少し肌寒いなんてものではい。
冬を思わせる極寒に近い。
そして、もう1つの異様な雰囲気の原因は曖昧だが、悪寒だ。
なぜだか、胸騒ぎがする。自分の知らないところで何かが起こっているような、そんな胸騒ぎだ。
考えていても仕方がないと思ったクライムは足を早めた。
玉座のある部屋の前についたクライムは大きく動揺した。
玉座の前に白い女達が並んでいる。
もちろん、メイドなどではない。肌も髪も服も全てが白い生気を感じさせない、明らかに魔導国の者共だ。
寒さの原因は恐らくこいつらだろう。
あの女たちから肌が凍てつくような冷気を感じる。
クライム「もう…玉座にまで…っ!ラナー様は?!」
同様で1度足を止めたクライムだったがラナーのことを思い出し、すぐに扉に駆け寄る。
白い女「入れ、この城最後の人間よ」
白い女の1人が口を開く。
クライムは扉を開け、中へと入った。
───
クライムの目に飛び込んできたのは、以前ラナーと共に入った時の明るくも神々しい玉座の間ではなかった。
中央には漆黒を思わせる死が座り、周りには異形な者共が並んでいた。
そして、その前にはこの国の至宝とまで呼ばれた血まみれの剣と両手を赤く染め、膝をつき両手を呆然と見つめる黄金の姫だった。
ラナー「クラ…イム…」
黄金の姫はクライムを見ると泣き出しそうな顔で見つめる。
次の瞬間、クライムの体は動いていた。
ラナーを守る
ただそれだけが頭にあり、ラナーの前へ庇うように出ていた。
クライム「魔導王!!!貴様!!」
クライムは己の中で煮えたぎった激情を怒号に変えて、敵へ向ける。
アインズ「何だ?国王が死んだのがそんなにショックだったか?戦争なんだ。敵の王の首を取るのは自然なことだと思うのだが…」
魔導王は訳が分からないと言った様子で指を顎にそえ少し上を見つめる。
クライム「ラナー様を精神支配し、殺させたな!」
アインズ「ん?あぁ。それのことか。そうだな…血で汚れるのが嫌だったので、殺させた。たったそれだけの事だ。殺すことには変わりないのだから、別にいいだろう?」
まるでなんでもないことかのようにツラツラと喋る骸骨頭に虫唾が走る。
これ以上の会話は無駄だと感じたクライムは、剣を握り締める。
おそらく、いや、ほぼ確実に自分では勝てないだろう。だが、ここで自分に出来ることは、糸よりも細い「魔導王を殺す」と言う奇跡に賭けること。それしかないのだ。
クライム「魔導王!!!」
アインズ「ふむ。いいだろう。かかってこい」
1年ぶり…ですか…本当にお待たせしました。
もう正直次の投稿はいつになるかわかりませんが、気長にお待ちください…
てか、まだ見てる人いるのかな?!
いや、さすがにもう居ないか!
アハハ!!