清廉で美しい天使の騎士が、剣を構えて告げた。
「終わりです。ハートモンワールドの扉は、今年も守られる」
「クククッ 俺達に倒せねぇハートモンなんていねぇんだよ」
巻物を周囲に浮かばせた、美しいローブと靴、帽子が見えない口で嗤う。
追い詰められた竜は、血を吐くかのように叫んだ。
「くっ 絶対正義の勇者、夏油傑! パーフェクトヒーロー、繰屋 匠!!」
「ドラゴモンっ」
「下がってろ、灯里!」
「止めだ、アークエンジェモン! ホーリーキャノン!」
「行け! マジカルダンサモン! マジカルキャノン!」
少年二人の命により、2体のモンスターは必殺技を放った。
そうして、竜は吹き飛ばされて卵になる。
「ドラゴモン!!」
「お姉さん。貴方が、何を思って世界の滅亡に手を貸そうとしたのかはわからない。でも、世界って多分、そんなに捨てたものではないよ」
「貴方達に何がわかるのよ!!」
「わからない。だから、話そう」
「俺ら勇者だからね。助けるよ」
手を伸ばすと、躊躇の後、お姉さんは私の手を取った。
食事の時、軽い気持ちで夏油は言った。
「……今日、懐かしい夢を見たよ」
「どんな夢かお聞きしても?」
「恥ずかしい話だけどね。子供の頃に、勇者になる夢を見たんだ。すごくリアルな夢でね。ハートモンってモンスターと心を通わせて戦わせる、まあ、デジモンみたいなものだよね。設定が頭の中に残ってたんだと思う。そんな夢を見た。繰屋 匠って友達と、アークエンジェモンってモンスターと、大冒険をした長い夢。……少し、悟に似てるかな」
「「聞きたい!」」
それから、しばらくおしゃべりをして、食事が終わったら仕事へと移る。
何人かの信者から呪霊を徴収すると、真奈美が、困惑しながら予定外の来客を告げた。それは、三人の幼い子供だった。その内二人は兄弟なのか、顔立ちが似通っている。その子らが抱く、可愛らしいぬいぐるみのようなもっちり饅頭のような生き物に、夏油は猛烈に懐かしさと嫌な予感を覚えた。
「今代の勇者だそうです」
「は?」
「先代勇者様! 歴代最強の、絶対正義の勇者様! お願いだ、力を貸して!!」
「いや、残念だけど無理だよ。っていうか昔の二つ名は呼ばないでくれないかな。二度と絶対に永久に」
「帰ろうよ、大人なんて頼りになるかよ。こいつもそう言ってるしさ」
そこで、一際小さい、幼児と言っていい子が口を開いた。
「ねぇ、おじさん、もしかして、見える人?」
「!」
「大丈夫だよ。皆、僕のこと信じてくれたんだ。だから、おじさんのことも、ひてーしないよ」
にぱぁっと笑う子に、夏油は苦虫を噛み潰した。
「見えない人間など猿だ」
「は?」
「だが、人間が混じっているのなら、仕方ない。ああ、名乗る必要はないよ。私は君達と必要以上に関わりたくないからね。アドバイスだけしよう。役立てるかはわからないがね」
子供達は、パァッと笑顔になった。
そうして、子供達を奥の部屋に招いたのだった。