転生したらスライムだった件 スライムは彼女たちを愛する 作:有頂天皇帝
俺たちがドワルゴンを出てから1週間が経った。あの後、想定以上の人数がゴブリン村へ向かうことになってしまったので流石にあれだけの人数をランガたち6体の嵐牙狼族で運びきれないことからリグルとゴブタ、カイジン、ガルム、ドルド、ミルドたち6人と3体の嵐牙狼族に先に村に行ってもらってリグルドたちに会ってもらい村の住居や服などを作って貰うことにした。そして残った俺たちはドワーフたちが作った簡易的な荷車に乗ってランガたちに引っ張ってもらいながら行きに比べてゆっくりとしたペースで村へ戻っていた。
「リムルの旦那、日も落ち始めてきた。そろそろ野営の準備を始めようぜ」
「あぁそうだな。ランガ!そこの森の手前で止まってくれ」
「承知しました!!」
ヴェルフの提案を聞いて俺はランガに停止するよう指示を出すと、ランガたちは徐々にスピードを落としながらゆっくりと止まる。そして荷車から降りると俺の『胃袋』の中に収納してあるテントや調理器具などの野営設備を出すとドワーフたちがそれを設置し、カイジャリ、ゴコウ、キュウメイたちホブゴブリンとランガは森の中へ動物や果物などを取りに行った。
その間、俺はヴェルザードにあることを聞いていた。
「シズエ・イザワ? 」
「あぁ。カイジンたちからは有名な英雄って聞いてはいるんだけど、ヴェルザードは何か知らないか?」
「いえ知らないわ。それにしてもいきなりどうしたの?」
「実は───」
ドワルゴンに滞在していた時、エルフのお姉さんのお店でカイジンたちとお祝いで盛り上がっている途中ダークエルフのお姉さんが俺の運命の人を占ってくれたのだが、その時に水晶に映っていたのがそのシズエ・イザワという女性だった。名前からして俺と同じ日本人じゃないかと気になったのもあるが、それ以上に気になったのが・・・
「リムルと同じ顔をしていた?」
「あぁ。俺のこの体は俺がヴェルドラの封印されていた洞窟の人間の死体を捕食して人間に擬態する際に
これにはカイジンたちも驚いていたが、俺はそのことから俺に憑依した
「ごめんなさい。私もその事については全く分からないわ・・・」
「そうか、ヴェルザードでも分からないか・・・」
今のところ特にこれといった問題は無いのだが、やはり気になるものは気になる。今すぐどうこうとは言えないが、やはり考えといた方がいいだろうかと思うことにした。そしてその間にドワーフたちは野営設備を設置し終えており、牛鹿や野うさぎ、野草などを採取し終えたカイジャリたちが戻ってきたので、ヴェルザードと料理の得意なドワーフがカイジャリたちの取ってきた獲物たちで料理を作ると、それを食べようとした時だった。
「────リムル様」
「あぁ、みんな警戒体勢を取れ」
いち早く気づいたランガが唸り声を上げるのに合わせてカイジャリたちはカイジンたちが制作した剣や槍を構え、ドワーフたちはハンマーやバトルアックス、片手斧とタワーシールドなどの重武装に身を包んでいた。そして俺たちを囲うようにいかにも盗賊といえるような格好をした連中がゾロゾロ出てきた。
「おいおい極上の女だけじゃなくてドワーフにゴブリンまでいやがるぜ!」
「奴隷として売ったらいい値段になりそうだな!」
「女の方はアイツらみたいに売っぱらちまう前に俺たちで味わおうぜ!」
男たちはドワーフやカイジャリ、ランガたちに対しては値踏みするかのような目で見ており、ヴェルザードやリズベット、俺に対しては下卑た視線を向けていた。というか2人ならともかく俺にまでそんな視線を向けてくるか普通?確かにこの姿は女よりだけど中身は男だから気持ち悪いな。
「おいお前たち。大人しくこの場から立ち去るなら俺たちは何もしない。怪我したくなかったら立ち去りな」
「はっ!この人数を相手に大層な口を叩くじゃねぇか嬢ちゃん。野郎ども、やっちまえ!!」
盗賊たちのリーダーらしき男が剣を構えると、盗賊たちも武器を構え襲いかかってきた。事前にランガたちには人間たちが襲いかかって来た場合は自分たちの身の安全を優先にし、あまり殺さないように頼んでいる。
「先ずは逃げ道をなくさせてもらおうか。
俺はヴェルザードから教わった魔法の一つである魔氷防壁を発動し、盗賊たちが逃げ出さないように俺たちの周りに氷の壁を創り出した。突然出現した氷の壁に盗賊たちが動揺するとその隙を逃す訳もなくカイジャリたちは盗賊に攻撃を仕掛ける。
この時、盗賊たちはリムルたちの戦力を大きく見誤っていた。カイジャリたちはゴブリンではなく
「思ったより歯ごたえがなかったな・・・」
俺は目の前に転がっている簀巻きにされた盗賊たちを見ながら思わずため息をこぼす。時間にして10分もかからなかった。50人近くいた盗賊たちは十数人ほどに数を減らしており、少し離れた場所にはヴェルザードによって氷漬けにされた盗賊とドワーフたちによって潰され叩き切られた盗賊の死体が視界に入っていた。流石に全員殺さないというのは無理というか俺の考えの甘さだな。ここは俺の元いた世界とは違う異世界なんだからそういうこともちゃんと慣れる必要があるよな・・・
「リムルの旦那、少しいいですかい?」
「どうした、何かあったのか?」
「先程この盗賊たちの指揮を取っていたものから聞き出した情報なのですが、この近くに奴らの拠点があるらしいのじゃ。そこにはこヤツらの頭領と捕まえてきたもの達がいるらしいのじゃ」
「盗賊の頭領と捕まった人たちか・・・」
盗賊に捕まっているということはその扱いはかなり酷いものなのだろうと嫌でも分かってしまう。当然そんなことを聞いたら胸糞悪い気分になるし、助けたいと思うのは俺のわがままかもしれない。だけど・・・
「その連中のアジトはどこにあるんだ」
「・・・行かれるのですな?」
「あぁ、こういう連中は個人的に気に入らないし捕まった人たちの安否も気になる」
それに打算的な目的として将来的に人間と良好な関係を築く時に人間に敵対的な存在じゃないと少しでも思えたらいいしな。
その後は、俺はヴェルザードに捕まえた盗賊の監視を任せてランガ、カイジャリ、ゴコウ、キュウメイ、ランガ、ドワーフ5名と共に盗賊のアジトへ向かうのだった。
◆◆◆◆◆
アルベドside
(ここに捕まってから何日くらいたったかしら・・・)
死を撒く剣団に捕まって奴隷のような扱いを受けてからかなりの時間がたっていることは分かるのだが、陽の光も届かない洞窟の中の牢屋にいるため正確な時間は分からない。その間も私たちは男たちの性欲を処理するための道具として扱われ、私たちより前に捕まって男たちの性欲の捌け口とされていた女性たちの中には絶望して男たちの欲望を黙って受け止める人形のようになっている者もいた。
(ハンコックとウィズもそろそろ限界だし、アスナとアイズも次に男たちの相手をさせられたら心が折れるかもしれないわね・・・)
(男たちの噂話によると私たちはリ・エスティーゼ王国の貴族に売る予定で、そこでも貴族や畜生たちを相手にさせられるらしいけど、その前に自害でもしてやろうかしら)
私は奴隷の首輪で自害出来ないことを理解しつつもこの先の自分たちの未来が暗いことに絶望し、気づかず涙を流していた。そんな時だった。
『な、なんだ貴様ら!?』
『くそっ、迎撃しろ!』
(何か外が騒がしいわね)
牢屋の外から団員たちのどこか焦りが混ざった怒鳴り声が聞こえてくるが、どうせ大したことじゃないと思っていると斬撃音や炸裂音に混ざって悲鳴が聞こえてきた。流石に何かおかしいと思っていると牢屋の扉を破壊しながら団員の男が壁に叩きつけられた。私は思わず扉があった場所に視線を向けるとそこには美しい水色の長い髪と中性的な顔立ちの少年?少女?が立っていた。私はその美しさに思わず見惚れてしまいポーっとしてしまった。
「少し後ろに下がってくれるか?」
「は、はい!」
私はそのお方の指示に従って、私と同じようにあの方に見惚れていたパーティーメンバーと他の女性たちを後ろの壁側に下がる。私たちが下がったのを確認すると、あのお方はその手を牢にかざすと一瞬にして牢をかき消した。一体どんな手を使ったのか分からず唖然としているとそのお方はどこからか取り出した液体を取り出すと私たちにふりかけた。何をかけたのか疑問に思うよりも先に死を撒く剣団によってつけられていた傷が一瞬にして消えてしまったからだ。それに驚いたのも束の間で傷が癒えたのを確認しようと手を伸ばしたら忌々しい首輪や腕輪が外れたのだった。
「大丈夫か、お嬢さん方?」
その声からして若い少年と思えるが、そんなことよりも私は目の前の方に目を奪われていた。死を撒く剣団によって捕まり未来はないと思っていたところに助けが来た。まるでおとぎ話の英雄のような存在、いえもっと素晴らしいお方!
「偉大なる御方♡」
私は、いえ私たちは気づけば目の前のお方に目を奪われ心がときめいていた。
◆◆◆◆◆
「人を殺したってのにあまり動揺してないな・・・」
盗賊のリーダーからアジトの場所を聞き出した俺たちは最低限の戦力でアジトに乗り込み捕まっている人たちを助けることを優先しようとしたのだが、泣き叫んでいる女性たちを無理やり犯している男たちを見て頭に血が上ってしまった俺は男たちの頭を切り落とした。そのまま動揺しているカイジャリたちの静止の声も聞かずに目につく盗賊を殺すか気絶させ、捕まっていた女性や労働力扱いで使われていた男性、希少な鉱物や薬草、魔物などを解放して助けたりなどして奥へと進んでいく。
「リ、リムル様大丈夫ですかい?」
普段の俺と違う様子だったことで心配したカイジャリが声をかけてくれる。ダメだな・・・こんな調子じゃあ俺について来てくれる奴らに示しがつかないな。
「あぁ大丈夫だ。すまないなみんな」
「気にしなさんなリムルの旦那。あんな光景見たら胸糞悪くなるのは当然じゃ」
「うむ。しかし冷静さを失ってはならんぞ」
俺は心配をかけないようにカイジャリたちにそう声をかけるとドワーフのバッカスとブロンがそれに対して答えてくれた。他のみんなも同じなのかうんうんと頷いてくれた。あぁ俺はやっぱり仲間に恵まれているな・・・
「しかしどうするリムルの旦那。流石に助けた人数が多すぎる。このまま進むと守るのにも苦労すると思うんじゃが・・・」
ドワーフのイアンがチラリと後ろにいる盗賊団───殺した1人から聞き出したことによると死を撒く剣団───から助け出したものたちを見る。その数はかなりの人数であり流石にこの人数を守りきるには数が足りないのではと言われてしまった。そうだな・・・
「よし、お前たちは助けた人たちを連れてユキナたちの元へ一度戻ってくれ」
「そんな!それではリムルの旦那の身が危ないじゃろう!?」
「然り!」
ドワーフのスミル、タイトが心配するように声を荒らげそれに同意するようにカイジャリたちも深く頷いているが問題ない。
「俺の身の安全は問題ない。今から追加戦力を呼び出すから少し下がっていろ」
俺はカイジャリたちを少し下げると俺のスキルである『精霊召喚』、『死者召喚』、『異界召喚』を発動させた。それによってかなりの魔素を消費したが必要経費と考えれば痛くは無い。3つの魔法陣からそれぞれ氷の中位精霊である灰色のセミロングの女性『雪女』、フランベルジェとタワーシールドを構えた2mはあるアンデッドの騎士『デス・ナイト』、そして黒髪のオールバックに右目に眼帯をしている若々しい老人が現れた。
カイジャリたちはリムルの力の一端を知っているため驚きは少なかったが、初めて見るドワーフたちは驚きのあまり声が出ていなかった。
「これからこの奥にいるであろう盗賊たちを殲滅する。お前たちは俺と共にそれに協力しろ」
「承りました」
「アァ・・・」
俺がそう告げると雪女とデス・ナイトは俺の命令を受託した。問題はこっちの爺さんか、見た目はただの優しそうな老人で感じ取れる魔素もあまりない。しかし、その威圧感はガゼル王やヴェルザード同様圧倒的な強者であると本能で察してしまう。
「あんたはどうする?俺としては協力して欲しいんだけど・・・」
「ふむ、そうだな・・・」
老人───あとで聞いたところキング・ブラッドレイは顎に手を当てて少し考える素振りを見せるも、そう時間をかけずに答えてくれた。
「せっかくこの私を召喚してくれたのだ。その分くらいは働かなくてはな。その後のことはまた後で相談といこうではないか」
ブラットレイさんは優しい笑みを浮かべながら協力の申し出を受け入れてくれた。正直全部終わった後にこの爺さんが敵になるとか言われたら今の俺じゃ絶対勝てないよなぁ・・・よし!
(危ないと思ったらヴェルザードに助けてもらおう!)
俺は情けないことを考えながらカイジャリたちと別れて盗賊たちの親玉がいるであろう奥へ進むのであった。
◆◆◆◆◆
追加メンバー
死を撒く剣団に捕まっていた人々(53人)
アルベドを含めた死を撒く剣団が襲った村人や冒険者たち。誰もが明日にでもその命を失うかもしれない恐怖に怯えていたところをリムルに救われたことでほとんどのものがリムルを崇拝し、アルベドなど一部の女性はリムルにその身から魂を含めた全てを捧げる覚悟を持つほど陶酔していた。
雷狼族(3匹)
牙狼族の突然変異種であり雷魔法を行使することが出来、その毛皮と牙に雷の属性を宿していることから加工して武具にすることも可能。
小竜族(18匹)
ジュラの大森林から離れた場所に存在する草原で群れで過ごす小さなラプトルの見た目をした小竜。調教に成功すれば人を乗せて移動することも可能。
魔蛇族(8匹)
全長1.5m程の大蛇であり高い知能と強力な多種多様の毒を扱う蛇の魔物。その皮は貴族たちの間で高値で売買されている他、その毒も暗殺用として闇取引されている。
雪女(イメージは閃乱カグラの雪泉)
氷の中位精霊の中でもその力は高く、氷を操って戦う。
デス・ナイト
オーバーロードに登場するアンデッドモンスター。アニメでは現地民とのレベル差があり無双しているが強者を相手にすれば容易く倒されてしまう。このデス・ナイトは今後登場する
キング・ブラッドレイ
鋼の錬金術師に登場するやばいおじいちゃん。特別な能力もないのに無双するからそのやばさが分かる。
あとがき
今回オリジナル展開としてオーバーロードで登場した死を撒く剣団との戦いという名のリムルの蹂躙が始まりました。リムルが人殺しに躊躇いが無くなっているのはリムルに憑依した
またヴェルザードの代わりにギィの同盟者としてオーバーロードのツアーことツァインドルクス=ヴァイシオンと蜘蛛ですがなにか?の管理者の1人であるギュリエことギュリエディストディエスを登場させようかと思いますがどうでしょうか?ちなみにブラットレイさんを出したのは今後登場予定のオーバーロードのセバスと転スラのハクロウのジジイ3人で恋バナしてもらいたいからです