「リンちゃんはやってくれたよ?」 作:アキラゼミ
「────というワケで、1週間掛かって、やっと人格が入れ替わる条件を発見したってワケ。いやぁ疲れた……私まで別人格が生えてきそうだよ」
「お気を確かに。先生までそうなってしまったら、キヴォトスは混乱に陥ります。誇張抜きで、です」
「うん……気はしっかり持っとくよ」
ビナー戦の報告書をリンちゃんに提出しながら、カヤに起こった異変について口頭で報告していた。
カヤの別人格「幼カヤ」が生まれ、はや1週間。様々な条件を少しずつ変えて対応していくうちに、人格が入れ替わる前に、たった1つ、ある事が共通していたのを発見した。
「まさか『寝る前の罵倒、もしくは甘やかし』が、人格交代のトリガーとは……そんな事あります?」
「まだ1週間しか経ってないけれど、現時点では、これが私なりに導き出した答えかな。初めて人格の入れ替わりを確認した時も、寝る前のエッチで結構罵倒した気がするし」
私のカヤへの態度一つで、彼女の人格はサクッと交代するらしい。「カヤ→幼カヤ」は罵倒。そして反対に「幼カヤ→カヤ」は甘やかし。
カヤをトコトン甘やかしても幼カヤにはならないというのは検証済み。これは、私がただただ彼女に気持ち悪がられて終わった。
幼カヤを罵倒するのは、私にはできない。きっと何かしらの反応がありそうだが、幼カヤを罵倒するなんて、人の心とかないのかな?────と、なるだろう。自分でもそう思うんだから、幼カヤの事は決して罵倒しない。そこはカヤにも安心してほしいところだね。
「……先生って、意外とドSキャラなんですね」
「カヤにだけだよ。何故かは知らないけど、他の子相手にはそんな感情は芽生えないんだけどね。でもカヤにだけは、ちょっとした嗜虐心がね。自分でも何故だか分からないんだよ、本当にさ」
記憶の引き継ぎについてもある程度は検証した。
まず「カヤ→幼カヤ」は記憶は引き継がれない。反対に「幼カヤ→カヤ」なら記憶も引き継がれる。
まあ、幼カヤという人格がそもそも罵倒から心を守る為に生み出された人格なんだから、記憶なんか引き継がれるハズがないんだよね。もし嫌な記憶を別人格まで引き継いだら、別人格に逃避する理由が薄れてしまう。
そしてカヤの反応を見るに、人格交代はオート。カヤの意思で、マニュアルで人格を交代できるワケではなさそうだった。
幼カヤの記憶を引き継いだカヤの反応を見るのは面白かったな。甘えん坊な幼カヤの記憶、ベッタリ私に甘える別人格の自分の記憶を
「先生もこの際、少し休まれては?今回は、追加の書類はありませんから」
「そうなの?最近多かったから有難いや」
「それからこちら、新しい契約書を作成しました。先生、印鑑は常に持ち歩いてらっしゃいましたね?ご確認頂き、サインと印鑑をお願いできますか?」
「新しい契約書?……まさか、この前のあの話を元に作成したワケじゃない、よね?」
「一先ず、目を通して頂ければ。その書類に不備や不明点があれば教えてください」
リンちゃんに促され書類に目を通す。これまでと代わりない。「シャーレの先生」と「連邦生徒会長代行」との契約書────確かにこれまで通りだ。改めて書き直す必要があるとも思えない。
「……ん!?」
「お気付きになりましたか」
連邦生徒会に属する者も、シャーレのお手伝いの為に使役する事が可能────マジかコレ。いや、本当に?これは……ちょっと破格だな。
「お手伝いと言っても殆ど書類関係だけですがね。非戦闘員ですので戦闘などに同行させるのは避けて頂けますと幸いです」
「……目的は?」
「シンプルに先生の負担軽減の為です。カヤさんの面倒まで見てもらっているのに、書類は減る様子がありませんから」
「気にしなくていいんだよ?カヤの事は私が面倒を見るって、自分で決めたんだからさ。負担になんかなってないよ」
「そうはいきません。
「……。この書類、サインしたとしても、毎日誰かを呼ばなきゃいけないワケじゃないんだよね?」
「ええ、タイミングも呼ぶ者も任意です」
「それなら……サインしようかな」
「ありがとうございます。……はい、確認しました。これにて本契約は締結させて頂きます」
「こちらこそ、忙しいのにわざわざありがとうね。有効に使わせてもらうね」
「ええ、お好きにどうぞ。……それと────」
「?」
「カヤさんに……よろしくお伝えください」
「わかった。……じゃ、また来るね」
「ええ、また」
私はよくお人好しとか言われるけど、やっぱり、私なんか足元にも及ばないな。リンちゃんの方が、圧倒的にお人好しだよ。自分の不信任案を出され、クーデターを起こしてきたカヤを庇おうとすらするなんて、並大抵のメンタルの持ち主じゃないな。
もし私なら────ベアトリーチェに怒ったときくらい怒るんじゃないかな。
リンちゃんの凄さを改めてしみじみ感じながら、財務室の執務室へ。そこではアオイが、テキパキと書類仕事に勤しんでいた。
「やっ。久しぶりだね」
「先生っ!?……コホンッ……どうしたの?」
「アオイに申請したい書類があってね。シャーレの先生として────とは少し違うんだけど」
「イマイチ話が見えないわ。どういう事か説明してくれるかしら?」
「うん。ちょっと時間もらうね」
「先生、それは私のセリフよ」
「え?」
「『先生、ちょっとお時間もらえるかしら?』とか言ってみたりなんかして。……フフッ、冗談よ」
「ユウカやノア、アリスがたまに世間話やお知らせとかをしてくれるアレだね。アオイも来てくれたら私は嬉しいかもしれないね」
「っ!……そ、そんなのはいいから!手が空いてたらシャーレに行って手伝ってあげなくもないし!でも今は時間がもったいないから!」
「ふふ、そうだね。じゃ……」
それからアオイに、私の訓練について説明した。これについては、それはもう質問攻めに遭った。
先生の自己満足だろう、先生が鍛えても実用性が皆無に等しく、鍛える意味は薄いだの、それはもう耳が痛い事をズバズバと言ってくれた。
「────とはいえ、アリウスとの戦いでは先生が負傷したことで、現場が混乱したのも事実……か」
「!」
「でもね、先生?先生が『攻防の為に武器を持つ』というのはねぇ。先生が鍛える以上、鍛えてくれるという錠前サオリ以外の他の生徒にも知られる事になるでしょう。だけどそうなると生徒達が『先生は自分達が頼りにならないと思ってるんだな。だから鍛え始めたんだ』とか考えかねないわ?」
「うっ……」
実際、生徒達は「先生を守る」と言ってくれる事なんかも決して少なくない。そんな「守られる側」である私が、生徒達の手を離れ、武器を持つという事は────生徒達が頼りにならないと考えてる、という受け取り方をされても仕方ないのか。
考えが甘かった。自分が前に立つ事ばかり考えて生徒達の考えにまでは頭が回らなかった……。
「────だけど先生は、既にベレッタM9A1をお持ちだったわね」
「っ!うん。『シャーレの先生』着任と同時に支給されたからね」
シャーレの刻印が入ったアレだ。最近になって、外回りの時にも一応携帯するようになった。そしてベレッタは、大人のカードとは反対の胸ポケットに入れている。そう、つまり利き手じゃない方の手で出すという事になる。それだけ、
けれど、もう少しほとぼりが冷めたならカヤとも外回りという名のデートをしたいから、鍛えたいと考えたワケだ。幼カヤは普段のカヤより戦えない。非戦闘員の中でも群を抜いて非戦闘員だ。
やはりこんな申請は通らないか────と諦め、別れを告げて財務室の執務室を後にしようと、顔を上げたその瞬間。
「『戦う為』ではなく『自衛の為』、『外回り中に近くで銃撃戦が発生した際の訓練の為』だったら、申請できなくもないわね。これは私利私欲ではなく
『シャーレの先生の正当な要求』に該当するから。経費でも通せるわ。早瀬ユウカに知られたくないと言うなら、コレらは連邦生徒会からの支給品という扱いにする事も可能よ」
「それって…………アオイッ!!」
「……。今のは、ただの独り言よ」
成程。「建前」を用意すればいい、という事か。馬鹿正直に申請するのも悪くはないがそれで申請を通せるはずもなし。
パチンコの三店方式、ソープの入浴料のような、正当な言い訳や言い逃れができるように「
「ありがとう!スグに書類用意する!」
「雛形は総務の役員に言ってくれればすぐ渡せると思うわ。1時間以内に再申請をお願いね」
「10分も掛からないよ!」
アオイの
そして1週間以内には、私が申請したモノ全てが揃うらしかった。小分けにしていいなら、その中の一部は明日にでも届くようだが、小分けにしても、何が届くかまでは不明との事なので、全て揃ったら送ってもらうよう設定した。
「────確認したわ。これらの物資は全て、連邦生徒会の名で送らせてもらうわね」
「ありがとう!」
「それにしても、早瀬ユウカに知られたくないってどういう意味なの?
「私自身のポケットマネーを使ったって思われるとお説教が始まっちゃうからね。連邦生徒会を通さず普通に申請しちゃうと、経費とかの流れでユウカにバレて、私の考えてる事がバレちゃうからさ。私が戦う術を持つ事を、良しとしてくれない気がする。ユウカは特に。しかも頭も良いから私が戦闘訓練を望んでるってのも気付くだろうね。ノアもいるし」
「成程、そういう……。確かにそういう事ならお金の流れがシャーレと違う連邦生徒会を通すのが正解と言えるわね。それにしても、戦う為の訓練がしたいだなんて、先生らしくないわね。何かあったの?」
「……まぁ、色々とさ」
カヤを外敵から守る為、な〜んて言ったらどんな反応をするんだろうな。敬愛するリンをこき下ろし成り代わる形で連邦生徒会長代行になったカヤを、シャーレの先生である私が匿い、保護するなんて。
妙な事をするな、と私への不信感が募りそうだ。まぁ他にも理由はあるけど。
「……不知火カヤ元防衛室長のこと?」
「ッ!?」
「やっぱりね。リン先輩の言っていた通りだわ」
「リンちゃんから聞いたの?」
「安心して、彼女だってこの件について誰彼構わず言ってるワケではないわ。リン派の中でも数人だけだから」
「……それならいいんだけど」
知られてるんならいいか、とすぐに割り切れればいいんだけどね。知られてるとはいえ、そう簡単に本心を曝け出せるものでもない……よね。
「はぁ……先生ってホントお人好しね……」
「リンちゃんに比べたら私なんか全然だよ」
「どっちもどっちよ。どうしてそこまで、あの人を庇えるの?私には無理。リン代行の不信任案なんか出されて……。私なんか、アイツにろくに逆らえない自分が嫌だったくらいなのに」
「……アオイ……」
「ごめんなさい、先生に言っても仕方ないわよね。とりあえずこちらの書類は預かったわ」
「あ、うん、よろしくね」
書類を提出し、シャーレに戻る。片道30キロは、やっぱり普通に遠い。車だと、普通に走っていると信号や交差点の兼ね合いもあり1時間近くかかるし電車だって混むと大変だし。
「ただいま〜」
「おかえりーっ!!」
「おかえり、先生」
「ありがとね、カヤの面倒見てもらっちゃって……。ワガママで大変だったでしょ?」
「楽しかったから大丈夫。表情が豊かでさ、見てて飽きないね」
「それは分かるかも」
あの時はアルだけにと思ったけど、色々と考えた結果、毎日の当番の子にも話す事にしたから、今は色々と楽をさせてもらっている。
今日の当番はカヨコ。どこか母性のようなものを感じさせなくもない彼女は、カヤの人格が幼カヤになっていても遺憾無く発揮されてるようで、カヤもすっかりカヨコに懐いているようだった。
「カヤって人懐っこいのかな」
「かもね。……このまま育ってたら良かったのに」
「こらこら……」
と言いつつ私もカヨコの言いたいことは分かる。こんなにハツラツとしていて元気で無邪気なカヤはキヴォトスを混乱に陥れたりしないだろう。
するとカヨコはヨシヨシとカヤの頭を撫でながら怪訝な顔をする。
「ね、先生。今朝さ、この幼くなったカヤさんを、
『幼くなった彼女自身の人格』って言ってたけど、本当にそうなのかな……」
「というと?」
「成長後のカヤさんの事も、よく知らないけどさ……こんな子が、あんな事をするとは思えなくて。全く別の人格なんじゃないかって思えてくるんだ」
「……きっと誰しも、子供の頃はこうだよ。成長する過程で、カヤにとって何か良くないことがあって、それをきっかけに、ああなっちゃったんだろうね」
「生まれついてじゃなく、後からってことね……」
「生まれついての悪なんて居ないよ。誰しも環境や周りの人、何かしらの影響を受けて育つんだから。もし悪い人が居たなら、その人がそうなるに至った原因がある。……私はそう思ってるよ」
「……そだね」
アリウススクワッドの4人なんて、分かりやすい例だろう。ベアトリーチェのせいで、ああなった。やってしまった事は、確かに悪い事だったけれど。それでも真の原因は、あの子達ではなかった。
「せんせぇ、そろそろお昼寝しよー!」
「ん、もうそんな時間か……ごめんカヨコ、ちょっと席外すね。カヤのこと寝かしつけてくる」
「分かった。何かやることはある?」
「特に無い……かな?まぁ、好きに過ごしててよ」
◆
(先生、遅いな……寝かしつけるのってそんなに時間掛かるんだっけ?社長はすぐ寝たとか言ってた気がするけどな……)
それなりに時間が経っても戻らない。カヨコは、痺れを切らして2人が向かった仮眠室改め寝室へと向かうが、そこでは2人が並んでベッドに横たわりスヤスヤと寝息を立てていた。
(先生も寝てる、か。────あ、そうか。書類に囲まれてるとか、社長、当番の日に言ってたっけ。とはいえ、オフィスも綺麗だけどね。先生の方も、やっと少しは片付いてきたんだな。ていうか、この部屋、暑くない?……遮光カーテン閉まってるけど。熱が篭ってるのかな……?)
キョロキョロと寝室を見渡したカヨコ。すっかり子供のようにヨダレを垂らして寝ている先生の横に座ると、ツン、と頬を指でつつく。
「ふぐぅ……」
「っ……ふふっ…………」
思わず噴き出しそうになる口元を押さえて、頬をつつくのをやめる。しかしやる事もないとなると、カヨコとて暇である。当番の日に、先生と出掛けるワケでもないのにシャーレを出るつもりも無かったお陰で、カヨコは、先生の隣に寝転ぶことにした。
布団に潜り込む必要なんか無かった。そんな事をしなくとも、十分に室内は暖かいから。
(おっきい背中だな……。この背中で、先生は私達の運命を背負ってるんだ────)
ひたと手をかざすように、背中に触れる。布団に入っていない部分にも関わらず、背中は熱かった。
カヨコは手でその熱を感じながら、ゆっくりと、目を閉じる。
◆
「……どういう状況?」
目を覚ました私はまず困惑した。目の前でカヤが眠っている。これは分かる。カヤを寝かし付けに、ここに来たんだ。しかし、私の背中側ではカヨコがすぅすぅと可愛らしい寝息を立てている。図らずも美少女2人にサンドされてしまった……。
「カヨコ〜……」
反応は無い。ちょっと待ってほしい、今のカヤの人格は幼カヤなのでピッタリくっつかれてるから、凄く良い匂いがして朝勃ちならぬ夕勃ちが酷いからトイレに行ってスッキリしたいのだけど。
前はカヤ、後ろはカヨコ。……詰んでませんか?
(よし、カヤの手は解けた。後はズリズリと芋虫の如く、ズレて移動してベッドを抜け出せば!)
深呼吸と一緒に、美少女サンドから抜け出そうと手でベッド端を掴み、ジリジリズリズリ移動する。正面のカヤ、よし、ヘイローは少しも出ていない。背面のカヨコ、服を少しだけ掴まれているようだが移動にそこまでの問題は無い。ヘイローも無い。
「せん……せ……」
「!?!?」
カヨコが寝言を呟くと同時に、チカチカと彼女のヘイローが点滅しながら現れる。起こしてしまったらしい。慌てて動きを止めるが、ヘイローは、点滅どころか普通に顕現してしまい、カヨコはアッサリ目を覚ましてしまった。
「……おはよう先生。……私もお昼寝、しちゃった」
優しい囁き声のようなカヨコのおはようボイス。何か言葉を返そうとすると、ふわぁ……と可愛らしい欠伸の声が。そして欠伸する為か、掴んでいた服を手放し、一時的に私はフリーになる。
「ごめんカヨコ、起こしちゃっ……うぉっ」
「っ……!」
コロンと寝返りを打つように振り向いてみると、思っていたよりもすぐそばにカヨコが居たらしく、図らずも恋人の如き距離感になってしまった。
「ごめん、すぐ離れ……っ」
「いいよ、このままで」
「カヨコ!?」
「あまり動くとカヤさん起きちゃうよ。小さい子は起きただけでも泣いちゃうかもしれないんだしさ。だから……もう少し、こうしていよう?」
キュッと私の袖を指先でつまむようにして持ち、やんわり頬を弛める。ほんの少し寝ぼけも混じっているらしいその柔らかい笑みは、カヨコの潜在的な可愛らしさを存分に発揮どころか倍増させて……。
(かっっっっわ!?キヴォトス広しと言えどこんな可愛さはヤバい、元から可愛いけど、寝ぼけた顔も凄く可愛い…………天使……?)
「どしたの……固まっちゃって。……何かあった?」
何もなきゃ私は固まったりしないんだよカヨコ。可愛すぎて胸が痛いっていうのは、多分こういう事なんだろう。ダメだ、ニヤケが止まらない。
恋人にしか許されないような至近距離でまっすぐ見つめ合っている中、私はカヨコの頭へ手を伸ばしサラサラと髪を撫でる。
「……せんせ?」
「……撫でていい?」
「っ!先生……そういうのは、その……わざわざ私に聞かなくて……いい。というかもう撫でてる……///」
口元に手を当て、顔を赤らめて、目を逸らした。それだけで十分に眼福だというのに、無許可でナデナデさせてくれるなんてシロコ以来なので、流石に驚いてしまいそうになった。
「っ……♪」
頭を撫でようとするが、何を血迷ったかカヨコの頬を撫でてしまった。しかし当の本人はそれを気にする様子は無く、それどころか猫のように私の手に頬を擦り付けてくる。喉を撫でたらゴロゴロと音を鳴らしそうだ。
「……カヨコ、柔らかいね……」
「柔らか?────って、どこ撫でてるのっ!?」
寝ぼけていたからまさか頬を撫でられているとは気付かなかったのだろう。カヨコは、慌てて私から顔を逸らすと、耳まで顔を真っ赤にさせてモジモジ指を絡ませた。
「やー、ごめん……うっかりしてたよ」
「うっかりで頭と頬は間違えないよ……」
「嫌だったらごめんね」
「………………嫌、じゃない……///」
バツが悪そうに目を逸らした彼女は、先程自分が逃れた私の手を掴むと、布団でもかけるかのように自然な流れで、自分の頬に載せた。
「……どう?柔らかい?」
「柔らかい……です……」
その後カヤが自然に目覚めるまでの1時間以上をそうしてカヨコと超至近距離で互いを強くドキドキさせあいながら過ごした。
最初から最後まで慣れることなく、あまりに早く脈を打ち過ぎて、寿命が大幅にグッと縮んだような気がした時間だった。
次回、カヤ視点。
よろしければ回答をお願い致します。参考にさせて頂きます。また、数字についてはおおよその目安であり、今後書く話の文字数を限定するものではありません。
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