※この作品はR-18です。

【完結】ブルブルバイブる! 追放された超振動使いは人類へ逆襲粉砕無双~気高く高貴な姫も女騎士もブルブルのアクメ乱舞♥   作:アニッキーブラッザー

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第三話 捨てられた

「おい、正義を掲げし人間どもよ、これを見るのだぁ!!」

「う、うぐ、あのぉ、お、俺を、ど、どうす……」

「だ・ま・る・の・だ♪ ほれぎゅ~~~♡」

「うっ、あああ!?」

 

 悪魔の笑みを浮かべて、チヴィーチは尾で締め上げているクエイクを巨人に向けて突き出した。

 

『むむ?』

『ん? なんだ~?』

『魔王軍の三姉妹姫……幼魔獣将軍・チヴィーチよ?』

『なんのつもりだ?』

『おいおい、あの首絞められている奴……はは……』

 

 暴れていた巨人たちの動きが止まった。

 五人の巨人たちはチヴィーチとクエイクを見下ろし、様子を伺っている様子。

 その反応を見て、チヴィーチは……

 

「正義を掲げる人間ども、同じ人間を、同族を、か弱き者の命を救いたくば、その鉄くずの中からさっさと姿を現すのだぁぁあ! ぬわはははは、ほれほれ早く出てこんと、この小僧は死ぬぞぉ? ぬわははははは!」

 

 それは人質作戦。

 クエイクが人間であるならば、正義を掲げる勇者の旗の下に集った者たちならばこの手に弱いと考えた。

 

 

「お姉様、なんてひどいことを! 彼を離してあげてください!」

 

「状況が……いや、しかしクー姉上、これで敵の巨神兵が止まるならば……たしかに、誇りもへったくれも無いが……」

 

 

 悪魔のように笑うチヴィーチの姿に、クロースは憤慨するも、システィアに止められる。

 これで状況を覆せるのなら、文句を言っていられないと。

 しかし……

 

 

『『『『『ぷっ……ぷくくくく……』』』』』

 

「んあ?」

 

『『『『『あーっはっはっはっは! あーっはっはっはっはっは!』』』』』

 

「……へ?」

 

『『『『『あーっはっはっはっは! あーっはっはっはっはっは!』』』』』

 

 

 五人の巨人は盛大に笑い転げた。

 その予想外の光景に魔族たちも、そしてチヴィーチ本人も呆けてしまい、クエイクも首を絞められながらも理解できなかった。

 すると……

 

『はは、何のつもりかと思えば……ふはははは、まーったく』

『魔界の姫って、意外とバカなんだな!』

『うふふふ、笑ったらカワイソーよ。でも、やっぱりバカよね』

『この人間を殺す? だって? あははは」

『やれやれ、これだから下賤な魔族は滅んだ方がいいってことだよな』

 

 辛らつな言葉を放つ巨人たち。

 誰もが訳が分からなかった。

 すると……

 

 

『お姫様、そいつはな……確かに以前まで帝国に居た……でもな、人間じゃねえよ!』

 

「……なぬ?」

 

『半分がキカイの……なんだっけ? いずれにせよ、とっくに不要になって廃棄されたはずだったんだよ、勇者様の手によってな。まだ生きていたことに驚いたぐらいだ』

 

 

 それは、クエイクにとって色々な情報で、しかしそのどれもが自分にとっては信じられないもので……

 

「にんげんじゃない? 俺は? それに、不要? 廃棄? 勇者の手? え? なに? どういう……」

 

 自分に記憶がない。

 しかし、記憶のなくなる前の自分はなんだったのか?

 

 

『まぁ、ようするにそんな奴、如何なっても構わないってことさ! むしろ、こっちがトドメを刺そうとしていたんだからよ!』

 

『死んで結構! 殺してくれるならそれでどーぞ!』

 

『はぁ~あ、変なことに時間とられちゃったね。ねぇ、早く片付けちゃお! それに、魔界の三姫に加えてアイツまで始末したってことになったら……』

 

『ああ、俺たちは英雄だぞ!』

 

『話は終わりだ! 皆殺しだあああああ!!』

 

 

 誰からも、必要とされない存在だったのか……?

 

「ちぃ、なんてことなのだ!」

「ヴィーチ姉上、危ない! くっ、全軍、包囲網を再度構築せよ!」

 

 振り下ろされる巨人の巨大な剣の一撃。

 チヴィーチはそれを回避すると同時に、役に立たないクエイクをその辺に投げ捨てた。

 投げ捨てられたクエイクはそのまま受け身も取らずに地面に打ち付けられ、そのままショックで立ち上がれなかった。

 

「俺は……俺は……」

 

 記憶が無くなる前から必要とされていなかった。

 人間でもない。

 魔族でもない。

 

 なら、自分は何なのか?

 

 何のために生まれてきたのか? 何のために存在するのか?

 

 何も分からず、ただただ全てがつらくて苦しくて……

 

 

「ボーっとしてはだめですよ!」

 

「あ……」

 

 

 ただ、クロースだけが自分の身を案じて、駆けつけた。

 

「クロース……」

「ほら、立ってください。ヒドイお姉様で申し訳ありません。さ、一緒に隠れましょう」

 

 倒れるクエイクを引っ張って起こそうとするクロース。

 しかし、クエイクはもう自分の意思で起き上がる気力も湧かなかった。

 

「もう、いいよ……」

「はい?」

「……なんか……もうどうでもいい……」

 

 自分が何者か分からない。しかし、その失われている自分の過去については、良いモノは何者無さそうだという絶望。

 なら、もう何もかもがどうでもいいと投げやりになってしまった。

 しかし……

 

「でも、あなたの左目は……」

「え?」

「……その左目は……まだ、何かをやりたがっているように見えますよ?」

 

 異形の右目ではなく、左目? 言われてクエイクが左目を拭うと濡れていることに気づいた。

 

「まだ、やり残していること……やりたいことがあるのではないですか?」

 

 クロースの純粋な瞳に問われて、クエイクは自問自答する。

 

 

「やり残し? 違う……俺は……やりたいことが何もできない役立たずな存在……あぁ……そうだ……だからこそ……俺は……俺は!」

 

 

 そして、何も思い出せない頭の中で、たった一つだけ自然と浮かび上がった言葉が……

 

 

「俺は……誰かの役に立ちたかった……必要とされたくて……」

 

 

 自然と零れ、クロースは優しく微笑んだ。

 

「では、生きないとダメですね♪」

「……どうして、そんなに……俺なんかを……」

「分かりません。でも、あなたの冷たい右目と寂しそうな左目を見たとき……なんだか、『助けないと』って思ったのです」

 

 クロースの差し出された手を掴み、クエイクはもう一度立ち上がろうとする。

 しかし……

 

 

「クローーーースッ!!??」

 

「クー姉上ッッ!!??」

 

「「「「「姫様ッッ!!??」」」」」

 

 

 いつ間にか、二人の背後には巨大な影が包み込み…… 

 

 

『ほら、今度こそ死ねよ! クズ野郎ッ!!』

 

 

 クロースの眼前には巨大な刃が迫り――――

 

 

「させるかよぉぉお!!!」

 

「あ……」

 

 

 クエイクは無我夢中でクロースを手でその場から押す。

 しかし自分まで避ける時間はなかった。

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