「アキラ君にプレゼント?」
「はい」
12月某日、ギンガは高町家に来ていた。フェイトとなのはに相談事をしに来たのだった。
「JS事件と、ウィードの事件が終わってからというか……………記憶が戻ってからアキラ君はどこか吹っ切れた様子ですけど………やっぱりどこか独りな感じがしてて……私は母さんのことは気にしないって言ったんですが、やっぱり責任感じてる様で…」
「それで…プレゼント?」
正直何でもよかった。アキラに楽しい思い出を作ってあげたいというギンガの気づかいだった。
「はい……実はアキラ君が108に来てから誕生日を聞いた時に生まれた日を知らないからとりあえず一年立ったら数えるとは言ってたんですが、先日母の部屋を整理してたらこんなものが…」
それは、AtoZ計画の資料の一部。登録名「A」に関するデータだった。研究所から押収したものの一部らしい。ギンガはその資料のある欄を指差した。製造日と書いてある。
「AtoZ計画No01「A」完成日時、12月03日01時08分」
「これってアキラ君の製造日ってこと?」
ギンガは少し頷く。
「いつまでも曖昧なのも嫌ですし……この際、皆でパッとお祝いして暗い気持ちも吹き飛ばせてあげられたらって…」
なのはとフェイトは顔を見合わせた。そして、一番気になっていたことをギンガ尋ねた。
「いいことだとは思うけど……」
「なんで私たちなのかな…?」
「アキラ君、六課にいた頃も……今も、全然笑わないんですけど……ヴィヴィオちゃんと遊んでる時だけは、笑ってないけどとても楽しそうだったので……」
理由は少し微妙ではあったが、ギンガの意思は理解したなのはは立ち上がって微笑んだ。
「じゃあ、プレゼントするにもパーティーするのにもとっておきの日があるから、その時にやろっか♪」
ギンガの表情が明るくなった。
「本当ですか!?」
「うん、私たちの住んでた地球の……ある人の誕生日………クリスマスっていうお祝い事の日。ちょうど12月だから」
ー同時刻 公園ー
公園のベンチで、橘アキラは空を見上げながらくつろいでいた。この公園は、あの日ギンガに自身の秘密を明かし、アキラがナカジマ家で暮らすことになった場所だ。今の季節は冬であの日はちょうど一年程前だった。
一緒に暮らして一年。早いものだとアキラは感じた。家事を分担し、今やすっかり家族の一員でギンガやスバルやゲンヤに優しくしてはもらっているが、未だに心の壁はアキラの前から消えてくれなかった。自分さえいなければ、クイントは今も生きていて、もっと幸せに暮らせていたんだろうと考えると、胸が痛む。
彼らは笑顔で接してくれているが、本当にそれに甘えていいのかわからなかった。
「はぁぁ……」
「あら?珍しい。こんなとこでなにやってんの?」
「あ?」
声がしたので視線を下げると、そこには買い物袋を両手に下げたメグがいた。どうやら休日のお買い物中だったらしい。
「おめーも今日は休みだったか」
「一人なんて珍しいわね。ギンガは?」
「出かけた。俺が目ぇ覚ましたらもういなかった。置き手紙はあったし、GPSで場所も把握してる。さっき行き先の人間に確認もとった」
筆跡確認、GPSでの居場所の把握、アキラ自身のISで街や建物の監視カメラにも侵入出来るので、ギンガがいなくなったことに関してこれと言ってアキラに不安要素はなかった。出かけることを伝えずにいくというのは知られたくないからだと、アキラでも一応は察せたらしい。
「ちなみに横のでかいケースは?」
「スナイパーライフル。この高台の公園ならだいだいの場所は狙える。さっきギンガが行った先の人間に相談してんのは見たから問題ない」
「あんた…………今どれだけギンガのこと監視…というか管理?してるわけ?」
「食事、健康、居場所、体温、脈拍、髪の長さ、趣味、顔色……etc」
「………徹底してるわね」
「もう絶対守れなかったなんてことのないように………だが、ギンガは誰にも渡したくないってのは少しあるかな」
「はぇ〜…あ、そういえばこの間ギンガの誕生日だったけどあんたちゃんと祝った?」
「は?」
メグの質問にアキラはポカンとする。
「は?っじゃないわよ誕生日よ。誕生日」
「tanjoubi?なんかの祝いの日か?いや、「ギンガの」っていうにはギンガの何かしらの記念日かなにかか?」
メグは眉を潜め、ある結論に達した。「育ちからしてこいつは誕生日を知らない」そう思い、メグはまず誕生日の説明をする。アキラは少し興味ありげに誕生日の仕組みを聞いていた。
「ほー………でも俺とギンガが再開してもう二年経つけど一度も祝ったことも祝われたこともねぇぞ?今年もギンガなにも言ってなかったし」
「最初の年はJS事件とかで忙しかったし、今年もちょうどギンガの誕生日にテログループへの襲撃作戦が被ったから、ギンガとしてもあんたに負担かけたくなかったんじゃないかしら?あんたの誕生日もなんか曖昧らしいし」
「そーだな。まぁ俺の誕生日はどうでもいいにしろ、ギンガの誕生日は祝わなきゃいけねぇな」
アキラは立ち上がった。
「じゃあ、準備すっか…」
「まぁ精々頑張りなさい。とはいえあんたにロクなプレゼント選べるとは思えないけど」
「んだと?」
「土下座して頼み込めば私も聞かないことはないけどぉ?」
「寝言は寝て言え」
アキラはスナイパーライフルが入ったケースを持ってその場を去ろうとする。
「ん?ここにいなくていいの?」
「ポッドも見張ってる。それになのはさんたちが近くにいるなら問題もないだろ。やることがないからここで警戒してただけだ」
「…難儀な性格ねぇ」
ー八神家ー
休日を満喫している八神家のチャイムが鳴る。
「はーい?」
家の中からシャマルが出てきた。
「よう。シャマルさん」
「あらアキラ君。珍しいわね。どうかした?」
久しぶりに会うかつての戦友にシャマルは瞳を輝かせた。
「はやてさんはいるか?」
「ええ。いるわよ。上がって」
「おや、アキラ君。珍しいなぁ。どないしたん?」
「大した用じゃねぇ。が、その前にひとつ確認しておく」
「?」
「なぁ、はやてさん。あんた六課の時、俺に囲碁で負けたよな」
「え、あ、うん。そうやね…」
「その時の約束覚えてるか?」
「あ~そういえばなんか約束してたなぁ…」
まだJS事件担当中、はやては暇潰しに囲碁を隊に持ち込んでなのはやフェイト、ヴォルケン相手に囲碁をしていたのだが、それを見て興味をもったミッド生まれの隊員とも打った。
そんな中、出向中のアキラとギンガもやったのだが、アキラがはやてと打った結果はアキラの中押し勝ち。その後何回やってもアキラの中押し勝ちとなった。
その後、リベンジとしてはやては何度もアキラに挑んだが、結果は全敗。アキラも何度も挑んでくるはやてに嫌気がさし、アキラは次第に対局を断るようになる。そして最後の一局の時、はやてはアキラに負ければ言うことを聞くという条件で対局を申し込んだのだ。
結果はアキラの勝ちだったが、命令する権利は使用しなかった。別にはやてに聞いてもらいたい願いはなかった。
そしてアキラはその時の権利をこの場で使用しようというのだ。
「アキラ君、案外あざといなぁ。ええで?お願いはなんや?」
「俺の願いは…」
-夜-
「ただいま」
「お帰り!アキラ君!」
アキラが少し遅くなって帰ってきたこの日。ギンガが、まるで夫が帰ってきたときの妻のように今から出てきてアキラを迎えた。
「遅かったわね」
「少し用事があってな」
「そう。お疲れ様。………ところでアキラ君、24日って空いてる?」
ギンガが珍しく空いている日程を聞いてきた。作戦以外ではこれが初めてだ。
「お前のためなら、いつでも付き合うぜ」
「ん、相変らず頼もしいわね。ありがとう。じゃあ、24日開けておくようにだけしておいて?その日、なのはさんの家に行くから」
「なのはさんの?」
「うん♪」
ギンガは詳細をそれ以上話さなかった。アキラも少々疑問に思いながらもそれ以上聞くことはしなかった。ギンガの頼みなら断る理由はないからだ。
その後、アキラは夕飯を済まし、風呂を済ませてもう寝るだけになっていた。
ギンガも風呂を済ませ、上がって髪を乾かそうとしている。その間に、居間の方から話声が聞こえてきた。もうゲンヤは寝ている。話しているのはアキラだろうか。
ギンガが居間を覗くと、アキラがなにかを話していた。しかし後ろ向きで何をしているかはわからない。
「ああ、ああ。じゃあそれで頼む。家の鍵は…」
「アキラ君?」
「!!」
ギンガはつい話しかけてしまった。アキラは慌てて何かを隠した。
「あ、ごめん…通信中だった?」
「ああ…」
「誰と?」
「いやっ…その…ん?お前、髪まだ濡れてんじゃねぇか。ほら、洗面所行けよ」
アキラはギンガを無理やり反転させ、洗面所まで連れて行く。アキラは洗面所の前で水を出し、それを凍らせて椅子を作った。その上に座布団を敷いた。
「ほら、座れよ。乾かしてやるから」
「あ、ありがとう…」
アキラはギンガの髪をドライヤーを使って乾かし始める。やや心配はあったが、すぐにそれは杞憂だと知る。
(あ、案外上手…)
「………どうだ?」
「ん、上手……アキラ君って本当に何でもできるのね…」
「セシルにもやってたからな。それに、大体の世話ならできる」
「…」
珍しくアキラが何か隠していると思ったが、あまり追求しないほうが良いとギンガは思った。隠し事をするなんて言うのは人間らしいと思ったのだ。
「…」
◆◆◆◆◆◆◆
-12月24日-
アキラはギンガに連れてこられるまま高町家に来た。
「寒いねぇ…」
「ああ。雪でも降りそうな寒さだよな。大丈夫か?ギンガ」
「うん」
ギンガがインターフォンを鳴らすと、なのはが出た。
「はーい!鍵は空いてるから入って入って」
家に入る許諾を得た二人は高町家の中へ入る。アキラはここでなにが行われるのか知らないため普通に居間に向かった。
そして、居間の扉を開けた瞬間、
「メリー!クリスマース!」
叫び声と共に大量の破裂音がした。アキラは反射的に体勢を低くしながらギンガに飛び付き、ギンガを守るように地面へ伏せる。
「あ、あれ…」
「……なんの冗談だ?」
居間からは苦笑いを浮かべたなのはが出てきた。アキラは床に伏せながらなのはに拳銃を向けている。
「何してるのかな…」
「動くな。何してるかってのはこっちの台詞だ」
「アキラ君?」
「どうしたんですか?」
中から続々とフェイト、ヴィヴィオ、六課のFA等が現れた。
「何を…」
アキラは次第に自分のやってることが場違いというか、なにかずれているのだと感じ始めた。
「アキラ君、今のクラッカーだから」
事情をなんとなく察したギンガがアキラに言う。
「え?」
「クラッカーよ。パーティーとかで使う空砲」
「クラッカー?」
いまいちピンと来てないようなので、ギンガもクラッカーを取りだし、天井に向けて放つ。
クラッカーから放たれたカラフルな紙テープがアキラの頭についた。
「こんな感じ」
「なんだ…てっきり銃声かと…」
「そんなわけないわよ。ほら」
ギンガはアキラを立ち上がらせ、居間へと押していく。居間には綺麗な飾り付けと、豪華なごちそうがおいてあった。
「なんだこりゃ」
「今日はクリスマスっていってね?」
「私たちの故郷、地球ではパーティーを開いたりするお祝い事の日なんや」
後ろからフェイトとはやてが来てアキラにこの日の行事を説明する。
「へぇ……そうだった…ん!?」
アキラははやての姿を二度見した。
「?」
アキラは直ぐ様はやてを引っ張って部屋の隅へ行く。そしてなにやら小声で話始めた。
「ちょっとあんたなにやってんだこんなところで!」
「大丈夫やって。あっちにはシグナム達が行っとる。うちらもこっちに誘われてたのに、誰もいないって言うのも怪しまれるやろ?」
「ならいいが…」
「実はこのパーティー、いつもは私らだけなんやけど、今年はギンガの頼みでアキラ君も招いたんよ」
「ギンガの…?」
「お互い祝いたい日が被ったんや。ロマンチックやね♪」
「…」
「ほら、二人ともなにやってるの?」
「一緒に食べましょう」
フェイトとキャロに引かれ、アキラは席についた。そしてチキンを渡される。
「…パーティー……か。ん?」
アキラはチキンを食べようとしたが、その手を止めた。
「アキラさん?」
「ギンガは?」
「さっき二人で話してるときになのはが奥に連れていってたよ」
「はぁ?」
「まぁまぁ、心配しないで?ここはオーバーSの魔導師が何人もいるんだよ?そんなところで危ないことなんて起こりかねないよ」
フェイトは笑顔でアキラに言い、チキンを進めた。少々の不安はあれどそれもそうなのでアキラはチキンを食べ始める。
「…どう?」
「うめぇ」
◆◆◆◆◆◆◆
アキラ達が合流し、パーティーを楽しんでいたがしばらくたってもギンガが戻ってこないことアキラは少々苛立ちを感じていた。
「…フェイトさん本当に大丈夫だろうな」
「大丈夫だって。ちょっと時間かかってるけど…心配ないよ」
アキラがギンガの様子を確認しようとするたびにフェイトはアキラを止めていた。アキラの苛立ちが溜まっているのもそれが原因で。
「ホンマに大丈夫なんかなぁ?もしかしたら別の部屋で別の男とお楽しみ中なんて…」
「はやて!」
「んだと…?」
はやての発言でアキラが暴走しかけたとき、廊下の扉が開いた。
「お待たせ!」
「!」
先に現れたのはなのはだ。すると、なのはが入って来るや否やアキラはなのはに迫り寄る。
「なのはさん、ギンガは…」
「ちょっと待って、ほら、ギンガ」
「は、はい」
廊下の奥から、ギンガが現れた。その身体は、真っ赤な衣装に包まれていた。アキラはその姿を見て少し驚いた様子だった。
「なんだその恰好…」
「これ、なのはさんたちの世界の、クリスマスの夜に現れるサンタってひとの恰好…」
ギンガは照れ臭そうに説明をする。ギンガの来ているサンタの衣装はミニスカなので余計に恥ずかしいところがあるのだろう。スカートの縁を引っ張りながら胸元も気にしているようだった。
「そうなのか…」
「…そのサンタって人は、プレゼントを配るんだって…」
「プレゼント?」
「はいっ」
ギンガは包装に包まれた小箱を大きな袋の中から取り出す。
「プレゼント…」
「受け取って」
アキラは頭に疑問符を浮かべながらもプレゼントを受け取った。
「開けて?」
「ああ…」
包装を開き、箱を開けると、そこには腕時計が入っている。中々洒落た腕時計で、高そうだった。
「時計…」
「アキラ君」
「なんだ?」
「あなたはもう一人じゃないよ?」
唐突な話題に思えたが、ギンガが言いたいことをアキラは何となく察して口を挟まなかった。
「…」
「母さんのことだって、気にしなくていいのよ。貴方はそれ以上に私たちの為に尽くしてくれたどんなことだって、時間が解決してくれることはたくさんある。だから、一緒に楽しい思い出を作ろう?」
時間が解決してくれる、楽しい思い出を作る。その意味にかけた時計なのだとアキラは理解した。
「…なんか悪いな」
「え?」
「しらねぇうちに気を使わせてたみたいだ。でも、大丈夫だ。大丈夫……だ」
「…うん」
ギンガを安心させるためか、大丈夫と二回繰り返し、アキラはギンガをそっと抱き寄せた。
数秒のハグの後にアキラはギンガの顎を持ち上げてキスをした。
「ん…」
「!!」
周りは「あらまぁ」という感じで二人の接吻を見ているが二人は一切気にする様子も遠慮する様子もなかった。
「…………ぷはっ。俺のせいでギンガに心配かけてんなら、いつまでもくよくよしてらんないな。俺も、前を向くよ」
「うん」
その後、パーティーは大いに盛り上がった。アキラも気分を良くし、自身の技術を使った芸などで場を盛り上がらせた。また、二人のラブラブっぷりで場を甘くさせた。
そうして時間が過ぎていき、夜も更けた時間にアキラ達はおいとました。
◆◆◆◆◆◆◆
帰り道、ギンガはアキラのコートを借りていた。その下にはまだサンタクロースのコスチュームを来ている。
「気に入ったのか?それ」
「サンタさんは本当は寝ている良い子にプレゼントを届けにくるんだって。だから…将来その……子供が出来たら…」
「そ、そうだな…」
この話題には二人とも顔を赤らめて目を反らしたことで終わった。
ーナカジマ家ー
家に帰ると、その家にギンガは違和感を覚えた。
「あれ?電気着いてない…お父さん帰ってないのかな」
「……今日は用事があるらしい」
「そっか…せっかくチキンもらってきたのに…」
少し残念そうに真っ暗な家の玄関を開いた。それと同時にアキラが後ろからギンガの首に手をかけた。
「!?」
「動かないでくれ」
「ア、アキラ君?」
顎に冷たい感触が当たる。刃だろうか。
「これを着けてくれ」
首にかけた手にはなにか細長い布が握られている。
「…目隠し?」
「ああ。着けてくれ」
「うん…」
ギンガは目隠しを着けた。その時、アキラに気づかれないように顎に当てられてるものに触った。
(あ、これ刃がない……バターナイフかな)
「案内する。転ばないようにゆっくり歩いてくれ」
「うん…」
派手なやり口に比べて丁寧な案内だ。やはりギンガは大切なんだろう。
「…」
アキラはギンガを居間まで案内した。
「目隠しをとるぞ」
「…」
ギンガは目隠しを外された。すると、真っ暗な部屋に明かりが灯った。
「あっ…」
部屋の中には飾り付けと、ドミノだのなんだの色々置かれていた。
「これって…」
「ギンガ、このドミノを一緒に倒してくれないか」
「え?」
よくみるとドミノは部屋一体に敷かれているがその先端となる部分はテーブルの上にあった。
「さぁ…一緒に……あ」
「あ?」
アキラがテーブルに近づこうとしたとき、アキラの足の小指が足元に敷かれていたドミノに当たる。
当然ドミノは途中から倒れ始め、その勢いは止まろうとしない。
「ま、待て」
「…」
アキラは一瞬止めようとするがその速度に追い付けず、その場であたふたし始める。ギンガはその様子を(大丈夫なのかな…)という表情で見ていた。
「待ってくれ!まだ…」
ドミノは倒れ続け、部屋を大方一周した後に隣の部屋に移行する。ドミノはジグザグに曲がり、途中でスイッチを起動させた。そのことで部屋には小さな明かりが順番に灯る。
明かりの下には文字が一文字ずつ書いてあり、明かりが灯った順番にみると、「ハッピーバースデイ、ギンガ」と書いてあった。
「ちょっと待…」
アキラはドミノを必死に追いかけたが途中、倒れ終わったドミノを踏みんでバランスを崩し、倒れた。
「あ…」
隣の部屋を一周するとドミノは廊下を通って再び居間に戻り、最後に居間に設置された装置に当たり、それがトリガーとなってなにかが上空に放たれた。
放たれたのはパラシュート花火で、パラシュートの先端にはブレスレットが着いている。パラシュートがゆっくりと落下し、ギンガの掌に着地した。
「…」
「あ、ありがとう…」
「こんな筈じゃ…」
アキラは倒れたまま動かない。ギンガがそっとアキラに近づく。
「…俺は、こんな単純なサプライズさえ……」
一人でなにやらブツブツ呟いている。その声がやや嗚咽がかっていることにギンガは気づいた。
「アキラ君……もしかして、泣いてるの?」
「!!」
アキラは顔を見られないように素早く動き、ギンガの背後に回り、再び目隠しを着けた。
「見ないでくれ……っ!」
「……ありがとう。誕生日、祝ってくれたんだ」
「…メグに、教えてもらって、はやてさん達に手伝ってもらって……プレゼントの選んで…こんな大がかりな仕掛けまで……でも…っ!」
珍しくアキラは涙を流していた。
「…ありがとう。アキラくん失敗しちゃったけど、私嬉しかった。今の説明と今、目の前で起きたことでどれくらい努力してくれたのかよくわかったわ」
ギンガは手触りでアキラの顔を探り、指で涙を拭ってやる。
「…ギンガ……ありが……とう。誕生日、おめでとう」
「ありがとう…ひゃっ!?」
アキラは目隠しされているギンガの身体をまさぐり始めた。
「ギンガ……そんな格好じゃ寒いだろ?」
「いや、その確かに寒いけど…」
ギンガの胸を服の上からまさぐり、乳首や秘部の辺りを触り始めた。
「暖めてやるよ」
「ええ!?」
「その服、結構いやらしいぜ?」
「…それは…思ったけど…んっ!」
アキラは胸を触り、秘部に指を擦り付けながらキスをし始めた。
(お前の格好がいやらしいのは建前だ……。恥ずかしいんだ…)
アキラが念話で事情を話した。すると、なんとなく行為を拒んでいたギンガがアキラの腕を受け入れるようになってきた。
(…)
「ぷぁ……なんか、濡れるの早くないか?」
「だって、視界が…遮られてるから…」
「なるほど?」
アキラはそれを聞くと、ギンガから一旦離れた。
「あれ?アキラ君?」
「…」
ギンガがアキラを探してキョロキョロし始めた。しかしアキラは返事をしない。
そして、急にギンガを床に押し倒した。
「キャア!!」
「目が見えないのに押し倒される感覚、どうだ?」
「……怖い…けど、なんだか、ドキドキする…」
アキラはギンガの手首を掴み、抵抗できなくさせる。
「…」
アキラは生唾を飲んだ。ギンガを支配しているような背徳感がアキラを興奮させていた。
アキラは勃起したぺニスを出してギンガのお腹に当てる。
「やさしいサンタクロースかと思ったら……どうやら狼さんだったみたいね」
「そうみたいだな」
アキラはギンガの秘部に触れる。粘り気を持った愛液がアキラの指に絡み付いた。どうやら準備万端のようだ。
「これ、今から入れるぜ?」
アキラはカウパ―が溢れているぺニスをお腹に擦り付けながら伝えた。
「…タイミングがわからないから少し、怖いな…」
「それでいい」
アキラは一拍子入れてからぺニスを一気にギンガの秘部に突っ込んだ。その一拍子でタイミングをずらされたギンガは構えていない状態で突っ込まれたために大きく仰け反って感じた。
「!!」
「動くぞ!」
アキラは一気に奥まで突っ込み、容赦なく動き始めた。
「んぁ!あぁ!ひぅぅ!」
「ギンガ!ギンガ!」
目隠しをして、床に押さえつけた最愛の人をまるで一方的に蹂躙するように犯す。
その事に背徳感を感じながら欲望のままに腰を動かす。ギンガも目隠しをされたまま犯されることに興奮を感じているみたいだった。
「エロいサンタクロースだ」
「言わないっ…でぇ!ひう!あぁう!」
ギンガもアキラも、口から唾液を垂らしながら打ち寄せる快感に身を委ね続ける。谷間が見えていたサンタのコスチュームを無理矢理下ろし、大きな乳房に食らいつく。
「はうっ!やぁぁ!アキラ……君!」
だが、そんな行為の途中、アキラは急に冷静になった。
理由は不明だ。欲望に身を任せていたが、自信とギンガの状況を改めて見てしまったのだ。恐らくそれが理由だろう。
「……」
「アキラ君…?」
「ごめん…俺、なにやってんだ…?」
今自分がやっていることがただの強姦と変わらないことに気づいてしまった。
「…大丈夫よ」
「え?」
「ただの目隠しプレイよ。これは。私はあなたを受け入れている」
「だが…」
「…ほら」
ギンガは押さえつけられている腕を動かし始めた。
「!」
いざとなればいくらでも抵抗ができるという表示だ。
「ね、あなたが始めたんだから、最後まで…気持ちよくして?」
「…目隠しされてるくせに、上から目線かよ」
「うふ、ごめんなさい?」
アキラは持てる力すべてでギンガを床に押さえつけ、再度腰を振り始めた。
「あっ!あっ!ん!あぁ!」
「この!この!」
アキラはギンガを全身で押さえ込み、腰を振るというよりか上から打ち付ける形で出し入れを続けた。
予想外のアキラの猛攻にギンガも歯を食い縛りながら耐えているものの、快楽には抗えず声と愛液が出続けている。
「射精すぞ!エロサンタ!プレゼントをくれた礼だ!お前の中にぃ!」
「ひぅぅぅ!だひっ…出してぇ!」
最後の強い一突きでアキラは絶頂し、ギンガの子宮の中に出せるだけ射精した。ギンガもそれに会わせて絶頂をしていた。
目隠しは既に解け、右目が視界を取り戻している。しかしギンガは絶頂の余韻に浸っており、そんなことはどうでもよくなっていた。
ことを済ました二人は、ソファに座り、寄り添っていた。
「プレゼント、ありがとう。アキラ君」
「…こちらこそ、だ」
二人は互いが渡したプレゼントを着けていた。アキラは腕時計を、ギンガはブレスレットを。薄暗い部屋のなか、二人はアキラの用意したろうそくの光に照らされている。
「ギンガ、ごめんな。俺のためにいつも…」
「気にしないで?私も、こうやってアキラ君と楽しい思い出を作るの好きなの」
「…そうか」
アキラは再びギンガの胸に手をやる。
「……アキラ君?」
「今日は特別な夜らしいし、いいだろ?」
「もうっ」
二人はサイド身体を重ねた。それがいつしか毎年の恒例行事になったことは二人の秘密だ。なのはが渡したサンタのコスチュームは、今年も二人の愛の液体を染み込ませていた。