アイ視点でえっちはしません!!
先輩、神宮寺神奈さんと会ったのは佐藤さんが彼を私たちB小町のライブに招待した日だ。
B小町はアイドル部門しかないって聞いてたけど、なんで俳優の先輩がいるのかは他のみんなが疑問に思ってたけど私は別に気にならなかった。
私とは違う部類の目を引くタイプのヒト。
ナイフみたいに鋭い目とか、図工の教科書に載ってる彫刻みたいな背丈と造られた感じのする身体に、ヒトを惹き付けるカリスマみたいなのがある人だから。
そんな人にせっかくの後輩だからとご飯に誘われた。私が米が苦手なことを知ってたのかはわからないけど、そういうのがメインで出てこないお店に連れていってくれた。
おかげで私も安心して沢山食べることが出来た。ニノとかには遠慮しなよって言われたけど先輩は気にせず食え食えって笑ってた。
でも、私はこれがただ私たちを歓迎する食事会とは思っていなかった。
私が入る前は事務所で挨拶する程度でご飯とかには行かなかったって聞いたから、自意識過剰かもだけどもしかしたら私目当てなのかなーって思ってたら、そうだった。
ご飯の後連絡先を交換して、少ししたら先輩から2人で会えないかって連絡が来た。
売れっ子の先輩と違って、レッスンとかで時間を埋めるくらいしかなかったし、こっちも聞きたいことがあったから会ってみた。
先輩からはスカウトされた時のこととか、スカウトされる前とか今まで恋愛をしたことがあるかを聞かれた。
なんでそんなこと聞くんだろとは思ったけど、別に隠すことでもないから素直に答えた。
今度は私からなんで苺プロで俳優をしてるのかを聞いた。
「変なしがらみとか鬱陶しい歳上の同業とかいなさそうだったからな」
「それだけ?」
まだなーんかありそうだと思って聞いてみると、先輩は少し間を開けて答えた。
「まあ、アイドル部門がある事務所だろ? 可愛いやつとかが来るかと思ってな」
「ふーん」
下心ありきだった。
で、その売れっ子俳優の目に止まったのが私だったらしい。
社長も私のことを見てスカウトして来たし、私も自分の見た目にはそれなりに自信があったからそこは驚かなかった。
そこから、何の話をしてたのかは覚えてないけど、唐突に先輩は語り始めた。
「愛ってのは人それぞれでな」
「えっ、急に何」
最後の方に、愛ってなんだと思う? って聞こうとは思ってたけど、まさかあっちから言い始めるとは思ってなくて私は引いた。
そんな私に「まぁ聞けよ」と先輩は笑う。
「異性の綺麗な手首しか愛せないやつもいれば、自分しか愛せない、自分を愛せないのに他人が愛せるかとか色々言ってたりするやつもいるんだが、俺にも1つあってな」
先輩の周り変な人ばっかりいるんだって引いてたら、先輩は人差し指を立てた。
「俺は愛を知る前に好きかどうか知ろうと思って、ある線引きをしてるんだ」
好きと愛は違う。
漢字はもちろん英語でもlikeとloveで綴りも違う。
けど、何が違うのか私には分からない。可愛いとかかっこいいみたいなのは自分の中にあって、でもそう思うから好きだとか愛してるとは思わない。
好きか嫌いかを聞かれたら、多分答えられる。
でも愛してるかと聞かれたら、私には愛がわからないから、答えることが出来ない。
この業界に入ったのもそれを知るのが目的で、嘘でも愛してると言ってるうちにそれが本当になるかもしれないと言われたから。
嘘が本当になるかもしれない。そんないつ来るかわからないいつかを待つよりは、愛を知っている人に聞く方が早い。
「なに?」
だから、愛を知る前に、好きかどうかを知る線引きをしているという先輩の基準が知りたくて、私は言葉の続きを問いかけた。
「セックスできるかできないかだ」
「……えっ?」
真剣な顔で口から出た言葉は、予想外すぎて間の抜けた声が出てしまった。
「好きでもない、愛してもない相手と身体を重ねても気持ち悪いだけだ。気持ち悪いとか嫌だと思わずに気持ちいい、もっとしたいと思えば好き以上愛してる以下くらいだってことになる」
そんな私に先輩は気にすることなく自分の考えを披露してくる。
「そうなの?」
私が聞くと先輩は首を縦に振る。確かに知らない人とか知ってても嫌な人とキスとかハグも出来そうにないのに、ましてやセックスなんてできないけど、なんか極端な意見だなぁと思ってしまう。
でも、試してみる価値はあるかもしれない。言葉で分かり合えないなら、身体でみたいなの聞いたことあるし。
「どうする?」
「えっ」
黙って考えていた私に、先輩は立ち上がると私にまあ問いかけてくる。
「俺とセックスしてみるか?」
私の周りにいる男の人は多くない。
施設にいた時はまあまあいたけど、全然関わってなかったし学校もそう。
アイドルになってからは社長とスタッフさんくらいで、歳が近い人はいなかった。
けど、今、私の目の前には、私とセックスがしたいという男の人がいる。
先輩の目は、獲物を見つけた肉食動物みたいに鋭い。
私はその目と目を合わせながら考える。
この人のセックスが気持ちいいのかとか知らないし、そもそも私処女だからちゃんとできるかもわからないけど、私の中の愛を知るための1歩としてならいいかもしれない。
「お願いします」
私は立ち上がって、先輩に向かって頭を下げた。
「いい返事だ」
先輩はそう言うと私の肩を抱いてきた。
「あっ、でも私処女だから、初めては優しくしてね」
「おう、任せろ」
私が言うと、先輩は自信満々にそう答えた。
そして今に至る。
先輩とのセックスは、正直言って気持ちよかった。自分の指でシてみたことはあるけど、全然違う。
1回目はゴムをつけて1回だけ私の腟中にカンナさんのおちんちんを挿入れた。痛かったし怖くて泣いちゃったけど、終わった後で私を抱き締めてくれた時の温もりは忘れられなかった。
そのせいか、私は先輩じゃなくていつの間にかカンナさんって呼ぶようになってて、カンナさんも私と2人の時は名前で呼んでくれるようになった。
えっちはもう無理だと思ったらやめるからとカンナさんは言ってくれた。
でも、私はそれから何度もカンナさんとセックスをした。
ホワイトボードに書かれてるカンナさんの予定を確認して、事務所に戻ってくる日は必ずシた。
なんか2人きりになったらそうするみたいな感じだった。
キスだけする日もあったし、私のおっぱいとか、アソコを触って終わる日もあって、そういう日はモヤモヤして眠れなくて、オナニーするようになった。
けど、それでもセックスが1番気持ちよくて、初めてシた日から1ヶ月経ったくらいに私から「アイを教えて」と縋るように、ねだるように、甘えるように、それでも演技や嘘じゃなくて、本心からそう言った。
そして、カンナさんに私はアイを教えてもらった。生でするえっちはとっても気持ちよくて、しばらくの間は身体が疼いて、思い出すだけで指がおまんこに伸びてしまった。
それからフェラチオとか、パイズリとかも教えてもらったっていうか仕込まれて、私はどんどんえっちが好きになっていってる。
でも、1番はやっぱりセックスだ。
カンナさんとするセックスは気持ちいい。他の人とセックスしたことないから確証はないけれど、きっとカンナさんとするセックスが1番気持ちいいんだと思う。
だって、えっちしてない時もカンナさんといると居心地いいし、他の人といるより楽しい。
カンナさんが大河ドラマの撮影で少し事務所に帰って来れなくなった頃、佐藤さんに今後のために演技の勉強をしておけとワークショップに行けって言われた。
「えー? 演技教えてもらうならカンナさんがいいなー」
「あーあいつか……」
そう言うと佐藤さんは少し困ったように頭をかいた。
「あいつの演技は理論に基づいたやつじゃなくて感覚的だからな……」
教えるのには向いてないと佐藤さんが言う。
まぁとりあえず行ってみてよく分からなかったらカンナさんに聞いてみればいいかと私は社長の勧める劇団のワークショップに行った。
そこで2週間くらい演技を教えて貰っていたある日、事務所に戻って今後の予定とカンナさんの戻ってくる日を確認してたら、急に吐き気がして私は事務所のトイレに駆け込んだ。
身体悪いのかなと、私は佐藤さんに相談したら、佐藤さんは顔を真っ青にして聞いてきた。
「お前、それまさか……妊娠してるんじゃないだろうな?」
佐藤さんに連れられて宮崎の病院に行ったら、本当に妊娠していたみたいで、双子がお腹にいるって話だった。
社長は16歳で子供なんて産んでたら活動再開どころの騒ぎじゃないって言う。先生にどう思うかって聞いたら、先生はこういった。
「最終的な決定権は、君にある。よく考えて、自分で決めるんだ。医者としては、そうとしか言えないな……」
「そっか……」
カンナさんならなんて言うだろう。産めって言うのか、堕ろせって言うのか。
そう考えていたら、トイレでシた日に言われたことを思い出した。
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「ねぇ、カンナさん、こんなに生で出しちゃって……赤ちゃん、出来ないの?」
「あ? あー……」
互いに性病とかは持ってなくて、それなら気持ちいい方を取ろうって避妊もせずにシていたある日、私は賢者タイム? ってやつになってカンナさんに聞いてみた。
私は、正直、どっちでも良かった。今の私には家族がいない───────社長とマネージャーのミヤコさんが代わりみたいなのだけど───────、血の繋がりのある家族が欲しかったし、でも産まれてきた子供達を愛せるか分からなくて、愛せなかったらお母さんみたいになるんじゃないかって思って怖くて、だからその判断をカンナさんに委ねようとした。
「こんだけ注いでたらいつかはできるだろうな……」
「……だよね」
ぽたぽたって私のアソコから便器に垂れ落ちる精液を見ながらカンナさんは呟く。
「ま、アイの身体だし、産むのはアイだから好きにしろってなるな」
「他人事だなー」
カンナさんとしかシてないから、できるのは確実にカンナさんの子供なんだけど。
「でも、オレとアイの子ならかっこいいか可愛いかの2択……って訳でもないか」
「えっ、そうなの?」
「ほら、美男美女の夫婦から産まれてくる子供が意外と残念みたいなケース、アイも知ってるだろ?」
確かに、顔がいい芸能人夫婦って聞いて、その子供が子役やってるって聞いて、顔見てみたらそんなに……みたいなのはあった気がする。
「けど、かっこよくなくても、可愛くなくても我が子なら可愛いって思っちまうのかねー」
「……どうなんだろうね」
親は子供のこと可愛いって思うのは当然だってみんなは言うけど、そうじゃない親もいるということを私は知っている。
お母さんが私のことを迎えに来てくれなかったのは、私が愛されてなかったから。
みんながみんな、自分の子供のことを愛してるのなんて幻想なんだって、私は知っている。
それにカンナさんも言ってた。子供が親になる時、子供は母親から注がれた情をまた自分の子に注ぐんだって。
じゃあ、愛を注がれなかった私に、愛を注ぐことはできないんじゃないかって思っていたら、カンナさんが口付けをしてきた。
「ちょっ、いきなり、なに……」
「まーた、悩んでる顔だったからな。アイにそういうのは似合わねぇよ」
急だったから舌入れられる前に離させると、カンナさんは口元を拭う。
「デキたらデキた時に考えようぜ。アイが産むんだから、アイが決めればいい。オレはアイの意思を尊重する」
「うん、ありがと……」
私はカンナさんのこういう所が好きだ。
私がどんな選択をしても、きっとこの人は私のそばにいてくれるって信じられる。
だから、私は決めた。産もうと。
産んだらきっと楽しい家族になる。
そして、アイドルも続ける。カンナさんとのえっちは……まぁ避妊したらいいかな。
嘘はとびきりの愛だから。子供のひとりやふたり隠し通してこその一流アイドル。嘘に嘘を重ねて、どんなに辛いことがあってもステージの上で幸せそうに歌う楽しいお仕事!
母としての幸せと、アイドルとしての幸せ、普通は片方かもしれない。でも、私はどっちも欲しい。
星野アイは欲張りだから。
原作読んでたらこれも全部カミキヒカルってやつの仕業なんだとは言えない感じがしてきた
けど、姫川愛梨は悪いのでぶち犯します(多分)