5.
「じゃあ、見ててね……」
そう囁くと、上裸にパンティーだけを身に着けた山田は、シーツの上に仰向けに寝そべった。緊張でガチガチの僕は、その傍らに座って鑑賞態勢に入る。
山田は僕と視線を合わせると、恥ずかしそうにそっと目を閉じた。
そして、綺麗に伸びた両脚の、僅かに開いた腿の隙間に手を入れた――パンティーの上から、陰部にくいっ、くいっ、くいっと遠慮がちに指をこねくり回す。
本当に、始めてしまった……山田が、オナニーを……僕の目の前で……。
山田が目を閉じているのを良いことに、僕はまた視姦を再開する……透けるように白い肌、でもその頬は欲情のためにほんのりと赤みを帯びている。口を小さく開いて、ハァ、ハァという小さな息の音が僕の劣情をそそる。
緊張がほぐれてきて少しずつ快感が生じてきたのか、山田の手の動きが徐々に大胆になっていく……やがて、指がそっとパンティーの中に潜り込んだ。
「……ぁ……」小さくも色っぽい声が、口許から洩れる。
今、直接触ってるんだ……
指を潜り込ませたその隙間から、山田の秘所が見えないか……? 僕は頭をかがめて目をこらすけれど、薄暗くて視認が利かない。もどかしい思いとは裏腹に、さっき射精したばかりのチンポはすでにビンビンに回復して、腹を打たんばかりに反り返っている。
「はぁ……ぅんっ……!」
女陰を愛撫する手、そしてもう片方の手を山田は自分の右胸に伸ばす……豊かな膨らみを、ゆっくりと揉みしだく。乳首は手に覆われて見えない……もう片方の乳房に、僕は視線を向ける。
暗桃色の乳首は、ぷっくりと勃起しているように見えた。
下着の内側で陰部を直にいじくりながら、山田は色っぽい呼吸と小さな声を立てている。と、薄目を開けて、
「……何か、言って」
と、ぽつりと呟いた。僕は山田の目を見て、
「……すごく、綺麗だ……あと、すごくいやらしい」と告げる。
「あぁん……京ちゃんも……ビンっビンだね」
僕の腰元の隆起を見て、嬉しそうに呟く山田。
「……もう一回、できそう……?」
「うん……」
「じゃ、一緒にしよ……? ひとりエッチは、悪いことじゃないから……」
山田の許しを得て、僕は再びチンポをゆっくりとしごき出す。目の前で繰り広げられる山田の自慰行為を、オカズにしながら。
気持ち、いいっ……!
僕がじゅっこじゅっことモノをしごき上げる様子を山田が見つめている。自分の陰部を愛撫しながら……。
「……私たち、今すっごいえっち……」
山田の指の動きが大きくなり、いつの間にか腿が少し開いている……それに気付くと、またぎゅっと股を閉じる。
「……いつも、そういうふうにシてるの?」そう訊ねる僕に、
「……ちょっと違う……」気恥ずかしそうに、小さく答える山田。
それがふと、僕の中のS気質を刺激した。
僕は山田を攻めてみることにした。
「……じゃあ、いつも通りにして見せて」と、僕は要求した。
「……あぁん……」
躊躇うような声を出しながらも、山田は僕を見つめながら……ゆっくりと脚を開いていった。陰部をいじくる手の動きがはっきり見えて、いやらしい。
「……そんなふうに股を大開きにして、いつもオナニーしてるんだ?」
「あぁん……そう……」
「……履いたまま?」
「……違う……」
「じゃあ、まだいつも通りじゃないな」
「はぁん……意地悪……」
「ほら、いつも通り……アソコを丸出しにしてみてよ」
「んぁあ、そんな言い方……えっちすぎる……」
僕の言葉にジンジンと感じているように、山田の声が色味を増す。
「じゃあ……脱がして……?」潤んだ瞳で、僕にそう訴える。
「……うん……」
思わず唾を飲む。僕が、山田のパンティーを脱がして、全裸にさせるのだ……心臓の鼓動が体内に響いている。
軽く腰を浮かせた山田の傍に僕はかがみ込んで、両手でパンティーをそっと掴んだ。そのまま、ゆっくりと引き下ろしていく……あぁ、お尻が丸見えになっている……でも僕はあえてそちらを見ないように、引き下ろされるパンティーとその周辺の太股、膝、そして
「見ても……いい?」
「いいよ……見て……」
僕は満を持して、
こちらを恥ずかしげに見据える山田、はしたなく大開きになった股。まず目を引いたのはやや縦長に生えた陰毛だった。黒々と密に茂っているが、範囲は広くない――丁寧に処理しているのだろうか。先ほどからの自慰のために、下の方で愛液が露となっている。
そしてその茂みの下には、縦長の薄い淫唇が、ぷっくりと己を誇示している………その中央下部は少し開いて、膣口が覗く――そこはまるでニスでも塗ったみたいに、ヌラヌラと濡れている。
これがっ、山田の……!
そこに一心に視線を注ぐ僕の顔を、山田は顔を赤らめて見つめている。
僕はそっと
「……見ちゃった」と囁いた。
「あぁ……」両手で顔を覆って声を上げる山田。股は開いたままだ。
「さ……いつもみたいにオナニーしてみて」僕は熱くなったチンポをゆっくりしごきながら言った。
「うん……」
山田の指が、膣口とその上の……クリトリスとを、往復するように速く動く。愛液が指に絡んで、ぴちゅぴちゅぴちゅという音を立てる。そこに、僕がガマン汁まみれのチンポをしごくぬちゅっぬちゅっという音が絡む。
「あぁ……んっ……はっ……」僕の熱視線を感じながら、山田のオナニーは激しさを増していく。それに釣られて、僕のオナニーも……。
いつの間にか山田が僕の方を、何か物欲しげな表情で見つめている。目が合うと、小さく囁いた。
「ね……実は、まだいつも通りじゃないところがある……」
「ほぉ……何だ……?」
数秒の間を置いて、山田は僕に訊ねた。
「指、
6.
僕が息を詰めて見つめる中、山田はその美しい指を、ぬらぬらと濡れた自らの花弁の入り口に、ぬっぽりと挿入した。
「あっ……キモチいい」
淫穴にゆっくりと呑み込まれていく指……指の付け根までしっかりと潜り込ませると、円を描くようにぐりぐりと動かし、そしてまたぬっぽりと引き抜かれ……そしてまた潜り込む。
その指の動きに連動するように、「んぁ……はぁん……」という悩ましい声が小さく洩れ出る。
すごい、セックスを見てるみたいだ……!
僕は彼女の指の卑猥な往復運動を見つめながら、黙々と自分の勃起チンポをしごき上げる。
山田も同じ妄想に耽っているのか、僕がチンポをしごく様子を熱っぽく見つめている。指の出入りのスピードが速まり、ぬちゅぬちゅと音を立てる――
「あっ、どうしよう……すっごくキモチいい……!」
「……声、出そう……?」
「うん……」
「いいよ、思いっきり出して……」
「あぁん……イイっ……!」
僕の許しを得て、山田の声が高まる。目を閉じる山田、その表情には確かに性的快感の色が浮かんでいる。膣を攻め立てる指の動きが更に速まる。
「ね……京ちゃん……」目を薄く開けて山田は僕に呼びかける。
「何……?」
「何か、命令、して……?」
「え……?」命令……?
「えっちな命令……」
「え……えと……」
どうする……考えがまとまらない中、ふと昨夜のオナニーのことを思い出した。山田をバックで突き上げる妄想……。
僕は命じた。
「じゃあ……四つん這い、して……こっちに、お尻を向けて」
「はぁん……うん……」
全裸の山田はゆっくりと上体を起こすと、こちらに美しい背中を向けて、そしてゆっくりと四つん這いのポーズを取る。その女豹のような動作が、すでにして堪らない。山田の尻が、僕の目の前にぶるんとさらけ出される。
四つん這いになった山田は、僕の希望を察したように、お尻を更につんと突き上げた。
「これで、いい……?」
「うん、すっごく、よく見える……」
「あぁん……!」
「じゃあ、それから……お尻を、自分で広げて」
「えぇっ……!」
「えっちな命令が欲しいんだろ?」
「そうだけど……えっちすぎる……!」
「ダメ……やって」
「…………うん」
山田は右の肩をベッドに突いて上体を支えると、両手を後ろへと回した。そして、自らの臀部を両側から大きくくっぽりと開いて見せた。
突き出された裸の尻……その両側が山田自身の手で広げられて、ヴァギナと……そしてアナルという、二つの淫穴が僕に向けて誇示される。
「これで、いい……?」消え入りそうな声で訊ねる山田。
「うん……ぱっくり開いてる……杏の、おまんこ……それに、お尻の穴も……」
「あぁ……!」小さく叫びながらも、欲情に捕らわれた山田はおっぴろげる手を離さない。
「じゃあ……そのままオナニー、して」
「うん……」
片手をお尻から離し、下から回し込むようにして陰部へ持っていく。僕の目の前で、山田の細い中指が濡れた膣口に再びぬぽっと潜り込む。と、すぐにぬっぽぬっぽというテンポ良い出し挿れになる。
「はぁっ……!」
「オナニー、気持ちいい……?」
「んぁあ……キモチ良すぎて……もう、ちょっとで……!」
山田はそこで言葉を句切ると、膣から中指を引き抜いた。愛液でとろとろに濡れている。山田はその中指に薬指を添えると、その二本の指をずっぷりと膣に挿入し、んちゅんちゅんちゅと速いテンポで抽送していった。
「んぁっ、んぁっ、んぁあんっ……!」
自制を解いたように、山田はメスの声を洩らす。僕のオスが、それに鋭く反応する。
7.
四つん這いになって自慰に没頭する山田のよがり声が、更に大きくはしたなくなっていく……本当に、絶頂が近付いているようだ。
山田が、もうすぐイくんだ……。
そう考えるだけで、僕の方があっけなく暴発してしまいそうだ。
ぬちゅっ! ぬちゅっ! ぬちゅっ!と激しく二本の指を出し挿れしながら、山田がこちらに首を向ける。
「ね、エッチなこと言って……!」
「……オナニーしてる杏って、すごいエロいよ……見てるだけで、射精しちゃいそうだ」
「あぁん……あぁっ、イイっ……!」
僕は体をかがめて山田の顔を覗き込む。四つん這いでよがる、妖艶な表情……その下で豊かに垂れる乳房……その先端は……!
「乳首、ビンビンに勃起してるぞ……」
「あぁっ、はぁんっ……だって、キモチいいからぁっ……!」
「いつもそんなスケベな声出しながらオナってるのか……?」
「んぁあ……今は特別……!」
「もっと……ほら、僕のチンポがもっと勃起するように、スケベなところ見せてごらん……」
「あぁっ! はぁ、あぁっ! イイのぉ……京ちゃん……私のオナニー見て、おチンポもっと勃起させてっ……!」
山田が、僕の勃起を求めている――山田を煽っているつもりが、それ以上に煽られている。山田は更に
「ね……触って……お尻触って……!」
「っ……!」
あくまで、今日はまだ、
もちろん僕もそれに従う。
暴発寸前のチンポを握りながら、僕はもう片方の手を伸ばしておそるおそる山田のお尻の曲面に触れる……その、ぽってりとした感触に、癒やしと興奮の相反する感情を覚える。
顔を寄せ、ゆっくりとその柔肌を撫で回しながら……そして思わずそこに顔を埋めたくなる衝動に抗いながら、僕はなおもチンポをしごき上げる……こっちも、もうそろそろ限界だ。
「僕の方が、先にイっちゃいそうだ……!」
「私も……一緒に……!」
今や二人とも、性欲の赴くまま一心に自らの性器を刺激している。
「あっ……僕、もうっ……!」
「いいよ、そのまま、掛けてっ……!」
「えっ……でも……」
「大丈夫だから……お願い……!」
その切なげな言葉に、僕は理性を投げ捨ててチンポを思い切りしごき上げる。
イクっ……!!
「あっ……杏っ……
「あぁっ、京ちゃんっ、京ちゃん……来てっ、私もイクぅっ……!」
「……んんっ……うぅっ!!」
「あっ、んぁあっ……はぁんっ!!」
四つん這いでお尻を突き出す山田の体がビクンっ!と大きく跳ね、その美しい背中が弓反りになる――それと同時に、僕のチンポが振動し、二度目の射精を開始する。
びゅるぅっ! びゅるっ、びゅるぅっ!
ほとばしる精液が、オーガズムにビクビクと振動する山田の肌に幾度も降り注ぐ……お尻に、そして淫唇の上にたらりと垂れる白濁した液体……たまらない光景だ。
僕はチンポをぎりぎりまで山田の陰部に近付けて、何度も何度もその淫らな花弁めがけて精液をぶっ掛けた。
膣口に掛かる精液に反応するように、
「あぁん……あぁ……ぅん……!」
という高く色めいた声が、山田の口許から長く洩れた。
長い射精を終えて、僕は再びウェットティッシュで恋人の体を拭く……四つん這いのまま、大人しく拭かれている山田。
「どう……だった?」
なんとなく気まずい思いで、僕はぽつりと訊ねる。
「すごかった……気持ちよすぎて、エッチな気分で頭がいっぱいになっちゃって……こんなの、初めて」
興奮冷めやらぬ面持ちで、まだ荒く息をつきながら答える山田。
「じゃあ、近々また……」
「へへ、うん……あっ」
山田は何かを思い出したようにハッと顔を上げると、匍匐前進でベッドの脇に置いた鞄まで移動し、中をごそごそを漁った……と、手にはさっきのビニール袋を握っている。
そして、拭いたばかりのウェットティッシュを持つ僕の方を振り向いて、いたずらっぽく笑って言った。
「えへへ……追加ゲット」
8.
僕たちはベッドに並んで横たわっている。手を繋いで……二人ともまだ裸のまま。
ごろんと横を向いて互いに向き合い、抱きしめ合う。そしてゆったりとしたキス……。
何とも言えない多幸感と、穏やかな気持ち――そして山田も同じように感じているのが、表情からありありと分かる。
「なんか……幸せ」ほら、言った。
「……うん……僕も」
これが《事後》ってやつなのかな……?
僕は足元に固まっていた掛け布団を引き上げて、二人の裸の体を肩まで覆った。
「あぁ……このまま、寝ちゃいそう」
「いいよ……僕が起きてるから」
「うん……京ちゃん、好き……」
「……僕も」
とろんとした目付きと、幸せそうな表情で僕を見ていた山田は、そっと両目を閉じ、間もなくゆっくりとした呼吸を立て始めた。本当に寝入ってしまったようだ。
僕は時計を見た――まだ、大丈夫だ。この時間を、まだしばらくは味わっていられる。
ちょっとした気恥ずかしさを覚えながら、僕は山田の髪をそっと撫でた。
【終】