全身がとても冷えて、とても寒い。
寒さで身体を震わせると、背中に壁が触れて更に低温の冷気が全身に伝導してくる。全身の毛穴が盛り上がって鳥肌になっていることがすぐにわかるほど、身体が冷え切っているのを感じた。
私は今、衣服を1つも身につけていない。生まれたままの姿、全裸になっている。
そんな状態で冷房の効いた部屋の中にいれば、自然とそうなるのは当然と言える。
じゃあ服を着ればいいじゃないか、という非常に簡単な対策を私は取ることが出来ない。
なぜなら、私はそうすることを強制されているからだ。
まず、私には今自由がない。両手を繋がれている。首に巻かれた高級感のある本革製のベルトに、両手首に枷られた同様のベルトが繋がれている。無理に外そうと強めの力をかけても、ガチャガチャと金属製の留め具が煩く音を立てるだけ。両足は自由になっているで動き回ることはできるが、万一転けてしまったら間違いなく怪我は免れないし、自力で起き上がれないだろう。
そもそも、物理的な拘束以前の問題がある。
私は精神的な束縛により、強制されているのだから。
「似合ってるなぁ、ゆみちゃん今、最高の姿してるわ」
あまり聞き慣れない下品な関西弁で、目の前の男が私の姿を評価していた。
私は黙ったまま、その男の背後に視線を向け続けていた。
男の背後のベッド、そこに目と口にガムテープを貼られ、全身をビニールで簀巻きにされ寝かされている兄の安否だけが何より気がかりだった。
私たちは、突然攫われた。
父の日のプレゼントを買いに行きたい、という私のお願いを聞き受けてくれた兄と共に外出し、街頭アンケートというキャッチに快く応じた私たちは、外は暑いから車の中へどうぞという善意を欠片も疑わずに大きめの車に乗り込み、そこで襲われてしまった。
彼はスタンガンで気絶させられて、それから意識を戻していない。ただ呼吸のため上下に動いているので、彼がまだ生きているということだけはわかる。
「なんや、ダンマリか」
関西弁の男は退屈そうな声でそういうが、私は気が気ではないのだ。
ベッドの上で横たわる兄のために、私は一切抵抗することなくこの姿になっている。
私が言うことを聞かなければ、この男は私たちを開放することはない。
正直、私のことはどうでも良く、ただ気がかりなのは兄だ。
この男は、私たちが車の座席に腰掛けた直後に兄をスタンガンで気絶させ、目の前で起こった出来事に混乱して茫然とした私をあっという間に拘束した。男からは、先日は後輩たちのヤンチャに付き合うてもろたみたいで、と私が弘樹くんと交わる姿を収めた動画を見せられた。あの悪夢はまだ終わっていない、その続きだということを瞬時に理解した私は、絶望の淵に立たされた。
ただ、男が気絶した兄に何かを注射する光景を目の当たりにした私は、この世の理不尽と悲しみに心を閉ざすことすら許されなくなってしまった。
注射の中身がどのようなものかわからないが、わからないからこそ早く医療機関に診せなければいけない。将来、医療関係を志望した進路をとっているからこそ、この男の適当な彼への注射がどれだけ危険であるかがわかる。だからこそ、私は大人しく隷属して一刻も早く兄を開放してもらわなければ、そう考えていた。
「ま、ええけど。でも言うこと聞かんと、この間の動画をばら撒くで?」
「……言われなくても、わかってます」
動画よりも、今はただ兄のことだけが心配だ。
私が社会的にどうなるかなんて、今は心底どうでもいい。の身が安全が、今は何よりも大事なのだから。
「頭のええ子は嫌いやないで。ほんなら、早速始めよか」
そう言って、男はビデオカメラを何台も設置し始めた。
この間のハメ撮りなんて生易しいものではなく、これから行われること全てが恐らく記録される。この男が要求する全てが、あらゆる行為が、非人道的な人としての尊厳を踏みにじるものでさえも私が拒否せずに従うことになる。その様を全てこのカメラはデータとして残されることになる。
正直、不良たちに先日の強制的なハメ撮りをされた時点でそれなりに自分の人生は終わったと悟ってはいたので、少し擦れてしまった私の心はあまり動いていないように感じられた。
ただ、このままでは兄も写ってしまう。なんの穢れも曇りもない兄に汚点となるものを作ってはいけない。
「兄だけは……映さないで、ください」
私は震える声で、男に願った。
「え、なんやアニキやったんか。全然似てへんやん!カレシやと思っとったわ」
よく言われる。私と兄は本当に似ているところが少ない。それも仕方ないといえば仕方ない。なぜなら、兄と私は異父兄妹なのだから。
「兄はお父さんの連れ子だった、と聞いています」
と言っても、それもかなり前の話になる。
私から見た兄は、物心ついた頃からいつも側にいてくれた大切な兄でしかない。
「ぁー、複雑なアレってことやな」
男は額を指でポリポリと掻いて何か考えるような顔を浮かべたがそれも一瞬だけ。
「ま、ええか。ただ、おにいさんが映らずに済むかどうかは、ゆみちゃんの頑張り次第ってことで」
そう言って男は、私の正面にカメラを置いた。2mほど離れたビデオカメラの大きなレンズには、全裸の私が頭からつま先まで反射して映っていた。
「ほなら、気を取り直してやりましょか。まずは自己紹介から、どーぞ」
男はビデオカメラの録画ボタンを押した。
これから私が行う全ては包み隠さず詳らかにされる。しかし、それを拒むことはできない。
私は、言われたとおり言葉を絞り出した。
「藤原裕美、15歳です」
「ゆみちゃん15歳なん!?見えへんな〜15歳にしてはスタイル良すぎちゃう?」
ズカズカと男が私に近づいてきて、上から下に、舐めるように視線を這わせた。
「おっぱいもでかいしな〜!何カップなん?」
「……いーカップ、です」
「それはでっかいなぁ!」
そう言って男は私の腰を引き寄せながら、右手で胸を下から包むように掴んだ。
ふにふに、と柔らかさを確かめるように揺らしながら揉みしだく。とても慣れた手付きで胸を揉む男の力加減は絶妙で、その心地よい感覚に思わず声が出そうになる。
男の手が動く度に、ブラジャーをつけていない私の乳首が男の肌に掠れて刺激を受けてしまう。それが気持ちいいと感じてしまっていることに、私は嫌悪感を抱いた。
「それに乳首の色めっちゃ薄いし、レアもんや」
側面を囲むように胸を掴み、人差し指のつま先で乳頭を突いてくる。ツンとした痛みと共に、痺れるような快感が走る。
この男は私の反応を見て楽しんでいる。そして、それを面白がっている。
身体を許していない男に触られて、少しでも気持ちよさを感じしまったという事実に吐き気がする。
男の指先が離れるころには、乳頭は先程よりも見るからに赤く、張り詰めてピンと立っていた。
「それに感度もめっちゃ良さそうやん」
今度は反対の左胸を掴まれる。
同じように指先で軽く乳首を突く。何度か繰り返して乳首が硬くなるのを確かめたあと、今度は乳首を避けてくるくると円を描くように周囲を爪でなぞり始めた。
「っ……」
右の胸を弄られたときよりも、ピリリと強い電気が走ったかのような刺激が走った。私は思わず身を捩らせ歯をを食い縛るが、小さく喉が鳴るのを止めることはできなかった。
「はーなるほど、左のほうが敏感さんなんやな」
そんなことを言われたのは初めてだった。
自分で気づいたこともなかった。
でも、どうやら言われたことは本当らしい。左側を責められると、どうしても耐えきれずに身体が反応してしまう。
「……っ……ふぅぁ…………んっ……」
男の爪が乳首の周りを焦れったくなぞる動きに合わせて、自然と息が漏れる。
男の手が胸を玩ぶ、そんな光景が視界の中に入ることに嫌気を感じて首ごと右側に視線をずらした。
その視線の先には全身が映る大きな鏡があった。
全裸の私が、両手を首輪に繋がれ拘束され、秘部を全て晒した状態で、背後から胸をいじられ、強い刺激を受けるとびく、びく、と身体を震わせている。そんな私の姿が鏡の中にあった。その表情は、恥ずかしさと悔しさに歪みながらも、どことなく火照らせているように見えた。
私の身体が芯から熱くなっていくのがわかった。
正面のビデオカメラは私のこの姿を、ずっと動画として撮影し続けている。そう思うとこれまで気にもならなかった恥ずかしさが一気に膨れ上がり、心臓の鼓動がとてつもない速さになる。
「……はぁっ、……はぁっ、」
いつの間にか、私の呼吸は酷く荒いものになっていた。身体も、うっすらと汗ばんでいる。
「なんや、自分の姿見て興奮する変態やったんか?」
男は、私の変化を見逃さずに煽るように言葉を投げてくる。
こんなことで興奮なんてしない。
自分がこんな変態ではない。
そう、信じたい。
「ほんならこっち向きや」
これまで横から見ていた私の姿が真正面になる。
上気して朱色に染まり始めた頬が。
汗ばんで少し光沢感が見える肌が。
荒い呼吸で激しく上下する肩が。
充血して少し色が濃くなりピンと張り詰めた乳首が。
全部、見える。
直ぐに視線を反らしたいのに。
私は、私の表情に釘付けになっていた。
自分のその姿は客観的に見て酷くなさけない。ただ痴態を晒している。
それなのに、その姿はあまりにも卑猥で、淫美にみえてしまう。
「自分の姿をうっとり見つめてるとか、もうただの変態やん、そんなに興奮するんか」
私は何も言えなかった。
認めたくない、けど否定もできない。
私は、辱められる自分の姿に間違いなく興奮してしまっている。こんなに官能的な衝撃を受けたことは今までなかった。
こんな状況で、自分の性癖に気づいてしまうなんて。最悪だ。
「……うわ、股間エラいことになってるやん」
男は背後から鏡越しに、私の下半身を真っすぐに見ていた。
私の視線も無意識にそこへ向けられる。
元々毛が薄く、少し処理するだけで綺麗な無毛に整えられる私の割れ目は遮られるものもなく綺麗に見通せてしまう。おしりの割れ目に繋がるその裂け目から、大粒の粘液が溢れて既に太ももに糸を繋げていた。
「はっ、えっ、ヤダっ」
手で隠そうとしたが繋がれていて動かせない。そのことすら意識から外れていた。
私は、慌てて太ももを閉じる。
溢れた粘液が挟まれて潰れ、ぷちゅ、と小さな水音になった。
自分でもわかるほど、内ももはヌルヌルと滑りが良くなっていた。
見られて感じてしまったことが決定的に暴かれてしまった。
もう言い逃れはできない。
恥ずかしくて、消えてしまいたくなる。
「脚、閉じんなや」
男は私の脚の間に自分の膝を割り込ませてくる。
私は抵抗できないことを思い出し、躊躇いながらも男の膝を受け入れ両足をゆっくりと開いた。
内腿に押しつぶされ広がった粘液がいくつも糸を引いて、横に斜めにと橋をかけていた。
「あーぁ、めっちゃ濡れとるやん」
「み、ないで……」
「こんなどスケベエロマンコ見ぃひんわけないやん」
男は私の胸から手を離し、その場でしゃがみこんだのが鏡越しに見えた。そして男の顔が、私のおしりの裏辺りでピタリととまった。
「や、やだっ!」
男は言葉通り、私の局部を恐らく凝視している。それもとてつもない至近距離で。
「見ないでっ、ほんとやだから!」
「うるさいなぁ、大人しくせぇ」
左右のおしりがそれぞれ掴まれ、太い指の力で押し広げられる。男の親指がちょうどおしりの穴近くに差し入れられて、広げられているのがわかる。穴の内側までめくれて見えているような気さえする。
そんなところ、見られたことなんてないのに。
私は恥ずかしさのあまり、顔を背け目を瞑った。
しかし、視覚が閉ざされたことで他の感覚が研ぎ澄まされる。
男が息を吹きかけるように喋ると、その息遣いがくすぐったく感じる。
「こんなケツの穴キワキワのところにホクロあるやん、2つも」
「ひぅっ」
男の声とともに吐き出せる吐息がおしりの穴にかかって思わず声が出そうになる。
そんな場所に黒子があるなんて考えたことすらなかった。
絶対に自分では見ないし見えない。そんな恥ずかしいところを、じっくり観察されている。
それだけでも死にそうなくらい恥ずかしいのに、この男はおしりの穴に指を押し付け始めた。
「そういや、アイツらの前で童貞の筆おろしした時はもうバージンじゃなかったんやって?」
男は喋りながらぐいと指先を強めに押し込んでくる。
爪が短いのか痛みはない。ただ、普段出ることしか経験しない部分が逆の動きを強制されて、全身にむず痒い悪寒のようなゾワゾワした感覚に襲われる。
「ゆみちゃんは誰にバージン捧げたんや?カメラに向かって言うてみ、ほれ、早う」
このまま沈黙を続ければ、この男の指がおしりの穴を貫いてくるような、そんなおぞましい予感があった。
自分の初めてを暴露することに対する抵抗感はもちろんあった。
けど、言わなければ、もっと酷いことをされてしまうかもしれない。私だけでなく、兄までも。
私は覚悟を決めて口を開いた。
「……そのときの、彼氏さんです」
「へぇ、どんな奴やったん」
「年上の大学生で、優しかった人……です」
「いつ付き合ってたんや」
「高校受験おわってから、GWぐらい……まで」
「えらい最近の話やん!え、いつやったん」
「…………高校入学前、に……処女も卒業してた方がいい、かなって思ってました」
「軽いやっちゃなー、勉強ばっかしてたから見栄でも張りたくなったんやろ」
「はい……高校でも処女は恥ずかしいかな、って」
「ほぉ……実はゆみちゃんの筆おろしテク見して守ろたんやけど、アレは元カレにさんざん仕込まれたテクってことやったんか」
話だけではなく、しっかりと見られていたらしい。
私は小さくと答えて首を縦に降った。
男はさらに追及する。
私の羞恥心を炙り出すための、意地の悪い質問が続く。
「で、付き合ってる間に何回ヤッたんや」
男の指がおしりの穴から離れて更に下へ潜り込み、ぬちょ、と小さな音が聞こえた。
男の指は、私の膣口に届いているのだろう。
「何、回…………えっ、と……」
私は記憶を頼りに指折り数える。その行為は、男の嘲笑により途中で遮られた。
「なんや、数えきれんほどしとんかいな、ド変態やんけ」
男は言い終わるのと同時に、粘液でとろとろに濡れた秘裂をぱっくりと開いた。
「……っぁ」
刺激はなかった。
けど、陰唇を広げられて、涎で糸を引く空腹の口内のようになっている陰部を間近でまじましと見つめられていると思うと、羞恥に心が震えて思わず吐息が漏れてしまった。
腰もガクガクと揺れてしまう。
股の間から、鏡越しに私の反応を確認した男は、ニヤニヤと下品に笑っていた。
「ほんで、人に見られて興奮するようになったってことやな」
くぱ、くぱ、と陰唇を何度も開け閉めされているのがわかる。
玩具のように弄られている。こんな屈辱的な扱いを受けても、私の身体は一切抵抗できず、されるがままだ。
「今もどんどんスケベな涎が垂れてきとる、ホンマにどうしようもない変態なんやな」
「……そん、な、ちが……」
「違ったりせんで、ピンク色のオマンコから透明な汁がぱっくり開いた穴からどんどん漏れてるきよるわ」
私はその様子を思い浮かべてしまい、火がついたように顔が熱くなった。
男の言葉通り、大量の愛液が溢れてきて太腿の内側を伝っていくのを感じた。
自分の意思では止められない。
恥ずかしくて死んでしまいたいのに、この恥ずかしさを受け入れる自分が心の底に潜んでいるんじゃないかと思ってしまう。
「ほんで数えきれんほどエッチした元カレからは、どんなテク教わったんや?」
「……キス、と……フェラ、と……あと、ペッティング、の仕方とか……」
自分の意志とは真逆に言わされているはずなのに。
本心ではこんなことを他人に話したくなんてないのに。
自分の性体験を明かしていくことに言い知れない気持ちよさを感じている、そんな自分が心のどこかに潜んでいる気がする。
「イチからジュウまで仕込まれたんか、ゆみちゃんのフェラテク気になるなぁ、どんなん?」
陰唇の外側、両足の付け根を体液で濡れてどろどろになった指でなぞりながら男が問いかけてくる。
性感というよりも、擽ったさに近いものを感じる。
少し声が上擦ってしまうことを予感しながら、私は好きな人にフェラチオをお願いされた、と妄想して男性器を思い浮かべた。
それは部活の先輩のものだった。サッカー部の副部長を務める先輩のそれは雄々しくて、ユニフォームの上から触ったときはドキドキしたことを思い出していた。
ユニフォームの上からでもはっきりと存在があるな、と手のひらで感じたそれは、大きくて、硬くて、熱かった。
「パンツを……脱がす、前に。上から優しく撫でて、張ってきてから……脱がすよう、に教わりました……それから、パンツからでてきた……ち、ちんちんの先っぽに、キス……を、します」
ちんちん、と呼ぶように私は教えられた。それが当然だとその時に言われた。敢えて“お”はつけない方が良いと言われたことを覚えている。
今更、はっきり口に出して喋ることに軽い抵抗があった。でも他に馴染む言い方も思いつかない。
そういえば、先輩のちんちんは、どれぐらいのサイズだっただろう。
私の指を三本ぐらい束ねたぐらいだったかな、首輪に繋がれている左手の指を見つめながら少し考えた。
「キス、したら……根本から軽く握って、優しく……上下に動かし、て……ガチガチに、なったら……」
先輩のちんちんが、これ以上にないぐらい硬く、張り詰めてパンパンになっている様を思い浮かべた。
ドク、ドク、と脈を打つたびにちんちんはぴくりと揺れる。
「皮を下ろしながら、パンパンの……真っ赤な、鬼頭を……咥え、ます」
鬼頭という名称があることを、私はその時まで知らなかった。
脳内で鬼頭を咥える私の姿映り、思った通りの動きをし始める。
「鬼頭の、裏筋を……舌で、横向きに……」
私の身体は妄想した内容に沿って、無意識に動きだしていた。
口内に腫れた先輩のモノがある。その裏筋に引っかかるように舌先を尖らせ、押し付けるように右に左にゆっくりと滑らせる。
「先走り、の味がしてきたら……喉の奥まで咥えこんで、裏筋を舐めながら……歯が当たらないように、上下に……」
先走り汁は、しょっぱくて少し苦い。
おいしいはずなんてないのに、汗臭い男の人の匂いにこの味が混ざると、変な気分になる。舐めていることをはっきりと自覚して、もっと苦味が濃くになるように求めてしまう。
「ちんちんが……びくって震えたら、吸い付いて、音が出るよう放して……これで喜んで、貰います」
ぎゅぽん、と音を鳴らしてちんちんを口から放すと男の人は喜ぶ。そう言われたから、好きな人にやるときはそうするべきなんだろうな、と疑いもしていない。
「それで……ワンちゃんみたいに、ぺろぺろって……筋とか、カリ首……とか、舐めて」
舐めている時の顔と、舐めているモノがしっかりと見えるように言われた私は、その通りに所作を覚えた。
「舐めながら、余裕があれば玉……とか、乳首……とか、空いてる手で……触ってあげ、ます」
そうすると、ちんちんは更に硬くなる、らしい。
教えて貰った時に、そのまま実践したら本当にカチカチになっていた。大きくもなっていたように思う。
「これを、繰り返して……いきそう、って言われたら……口と手を、速くして……」
速くするのが結構難しくて、慣れていないときは口でいかせることができなかった。
その時は、いつもお仕置きになる。
ゴム無しで挿れられるというものが殆どだった。
ゴムをつけないと避妊できないのは知っていたから、最初は怖くて泣いて謝ったけど許してもらえずにお仕置きされた。
その時、ゴム無しの感覚を覚えてしまった私は、ピルを飲むようになった。
わざとヘタなフリをしたこともあった。
その方が摩擦も少なく、少しの痛みもない。粘液のぬるぬるとした感触と熱い体温を直接中で感じとれて、気持ちよく……。
そこで私は、妄想の中で先輩の男性器を舐める行為に耽り、意識が沈みきっていた事に気づいた。
覚醒した私の口元は涎に塗れていた。
しかもそれは口元だけではなく、自分の左手の指も同様だった。
妄想のままに、喋りながら唇を、舌を、動かしていたみたいだった。
本物を、教わった通りにするように。
まだ上手くできなかった頃、練習していた時のように。
「なんやエラい夢中になっとったな、さては舐めるるの好きなんやろ?」
「そ、そんなこと、は……」
無いとは流石に言えなかった。
自分がどんどんおかしくなっていくのを感じる。
心が辱められることに対して、抵抗が薄くなっている。
それどころか、自分から求めようとしているのではないかと考えてしまう。
私は、自分の知らない心の内に潜む性癖に目覚めようとでもしているのだろうか。
イヤだ。そんなの認めたくない、認められない。
「もうスゴイでココ、どろっどろになってきてるわ」
男が私の秘裂を指で軽く撫でる。それだけで粘液が空気と混ざる水っぽい音が聞こえてきた。
「そんな、ところを、触るから……っ、濡れるに決まってます……」
私は言葉で反抗したが、あまりにも説得力がない。
「せやけど、触る言うてもクリも中もまだノータッチやで?それでこんな濡れることあるか?」
男は限界まで割れ目を拡げた。
ぽと、ぽと、と大きな水滴が落ちる音が聞こえた。
「それとも、こんなんで感じるほど感度高いんか?ん?」
拡げられて丸見えになっている膣口の周りを、男の指がゾリゾリと這うようになぞる。
愛液が纏わりついた指の腹が蠢く感触に反応して、ピクリと身体が揺れてしまう。
「感度は確かに高いんかもな」
男はそう言いながら、指の動きを続ける。
硬い爪先ではなく、ゴワゴワとしているがまだ柔らかい指の感触に痛みはない。
経験したことのない触覚によって、未開の感覚が拓かれていくのを感じていた。悪くないもの、と身体が覚え始めている。
「……ぅ、ゃぁ……」
否定しようと言葉を発しようとしても、声にならない。
代わりに、鼻にかかるような甘い声が口から漏れる。
「腰が勝手に動いとるで」
「くぅ……っ」
気持ちいいわけではないのに、腰が勝手に揺れている。
この感触を、身体は気持ちいいものだと覚えたがっている。
「まだまだウブなんやな、そんなんでここ触ったらどうなるねん」
「ぅひぁっ」
男は親指の腹で陰核を軽く叩いた。
その衝撃で私は背中を仰け反らせ、膝をカクカクと揺らしてしまう。崩れて倒れるんじゃないかと思うほどの強い刺激が、クリトリスから下半身全体に電撃のように迸った。
そんな今までとは比べ物にならないほどの衝撃を受けた私が、情けない声が出ないように我慢するなんてことができるはずなかった。
「めちゃめちゃ可愛い反応するやんけ」
「……はっ、……ひっ……、ぁ……」
下半身の震えが止まらなかった。
たった一度、クリトリスをとん、と叩かれただけで私は軽くイっていた。
それを男に気づかれないはずもない。
「あーぁ、イってもうてるやん、脚ガックガクやで」
「……ひぃ……ぁ……ダメ、立てな……ぃ……」
イった余韻が強すぎて足の踏ん張りが効かなくなっていた。
ちょっと胸を弄られただけで、時間をかけて焦らされたわけでもないのに、感じたことのない強さの余韻が全身を麻痺させている。
鏡に映る自分が辱められる視覚的な攻めと、言葉でさらに羞恥を煽られた精神的な攻めで、私はそんなにも追い詰められてしまっていたとでも。そんな。
悔しい、悔しすぎて涙が出そうになる。
「鏡見てみ、凄いで」
反射的に鏡に視線を向けた。
そこには恍惚と満足げな顔をしながら、だらしなく口元を緩ませで涎を唇から垂らしている、痴女とも言えそうな私の姿が反射していた。
「……は、はは……こんなの私じゃ……」
力が抜け、膝から崩れ落ちるところを男に抱えられた。
「おっと、危ない危ない。脚限界そうやな、こっち座ろか」
男に誘導され、ソファに座らせられる。腰掛けた瞬間におしりの下からぐちょ、と大量に体液で濡れている音が聞こえた。けどもう気にしても仕方なかった。
私は、大量に垂れ流した愛液でソファを汚すこと以上の痴態を晒し、それを見せられたことで自覚してしまったのだ。
自分の、心の内に眠っていたどうしようもない変態性を。