ギルド降下作戦――なんて仰々しいオペレーション名がついているものの、ようするにただの物資回収作業である。
幹部メンバーとゆりはこの日、いつも通りそんな作戦をこなしていた。ギルドへ行き、武器を受け取る。大きなケースを持ったり、持ってきたリュックサックに拳銃や手榴弾を詰めたり、そんなところだ。
「よっ、と」
ギルドのメンバーから荷物を受け取る。大きなアタッシュケースに、ありったけの武器を詰めたリュックサックなどなど。かなりの重量だ。さてどう持ったものかと思案していた時、太い男の声がかけられた。
「よう、桜木 春斗。調子はどうだ?」
ギルドのリーダー、チャーである。
「ん? ああ……調子? 別に、普通だが」
「ゆりとは上手くいっているのか、と聞いている」
「その調子かよ。仲は良いと思うぞ」
特に喧嘩もしていないしな。
……俺がそう遠くない未来に、この世界から退場しなければいけない、という真実を隠していること以外は、なにも心配することはない。
「プロポーズはしたのか」
「っ⁉」
人生で――まあ、俺達は死んでいるわけだが――まず聞くことのないキーワードが飛び出し、俺は動揺した。手に持っていたアタッシュケースを手放し、足にぶつけた。かなりの重量だったので、骨が折れるんじゃないかというくらいの激痛が走る。
「ぎゃああああああ⁉」
「ははは。その様子じゃ、まだの用だな」
俺が痛みに悶絶しながら、ちらりと辺りに目を向ける。ゆりは遠いところでギルドのメンバーと会話か、指示を飛ばしている。こっちの声が聞こえることはないだろう。
「な、なにを言い出すんだよ、いきなり」
そういえば、チャーは生前婚約者がいたんだっけか……。
見た目通り、大人だよな。
「恋をした女の幸せといったら、結婚。そして男のけじめといったら、プロポーズだ。女を愛するのなら、けじめはちゃんとつけないといけない。それが男の筋ってもんだ」
「チャーが言うと重いな……」
「お前はゆりと結婚したくないのか?」
チャーは茶化すわけでもなく、真剣な表情で問いただしている。
……ゆりとチャーの付き合いは長い。そしてこの二人には、深い信頼関係が生まれている。チャーはゆりが嫁に似ていると言っていたし、特別な思いがあるのだろう。だから俺がゆりのことをちゃんと考えているのか、気になっているのかもしれない。
だからって、結婚なんて言葉をかけられるとはな……。
「出来ねえだろ、この世界じゃ」
「出来なくても、永遠の愛を誓うことは出来る」
「……それだったら、とっくに誓っているさ」
「なら、それを形にすることだ」
「そんなの、どうやって……」
「これを受け取れ」
「え? これって」
四角い箱を渡されて、俺は思わず目を丸くした。
ぱかり、と開けると――そこにはとても綺麗な、エンゲージリングがあった。
慌てて閉じる。
「作ったのか⁉」
「ああ。お前達のためにな。安心しろ、指のサイズはピッタリのはずだ」
「無理無理無理無理! こんな綺麗な指輪、どのタイミングで、どんなこと言って、どういう風に渡せばいいんだよ⁉」
「そこが男の見せ所だ」
「勘弁してくれ! いや、別にあいつに対して、いい加減な思いって意味じゃねえんだけど……ちょっと考えさせてくれ。こういうのは、さすがにまだ早いというか――」
「おーい、春斗くん? さっきからなにモタモタしているのよ、早く行くわよ!」
「っ⁉」
ゆりに呼ばれて、俺は慌てて箱をポケットの中に入れる。
「いいい、今行く!」
「アンタ、なに動揺しているのよ?」
「足をぶつけただけだ!」
「なによそれ。しっかりしなさいよ、重要な物資なんだからね」
俺は荷物を抱えて、みんなのところへ行く。ゆりがチャーへ向けて手を振った。
「今回もありがとうね、チャー」
「ああ。達者でな。おい、桜木。次会う時、楽しみにしているぞ。男として、一皮向けているだろうからな」
「?」
ゆりが首を傾げる。俺はぎくりとして、変な声が出た。
「あ、ああ」
「なによ、あなた達?」
「なんでもねえよ!」
「さっきから変な奴……まあ、いいわ」
釈然としない様子のまま、ゆりが幹部連中を率いてギルドを脱出する。
オペレーションは無事に終わったが、俺の手元にエンゲージリングが残ってしまった。次チャーと会うまでに渡さないと、男が廃る……。
困ったな……。
夜。いつも通りにゆりの部屋へ侵入するが、この日は到着が遅れた。
ポケットの中には、チャーから貰ったエンゲージリングが入っている。
「遅かったじゃない」
縄で俺を引き上げながら、ゆりが言う。
……今はその顔を見るだけで、激しく動揺する。
窓から降りる時にバランスを崩し、床へ強かに体を打ちつける、ゆりは慌てて縄を回収し、窓を閉めた。
「なにやってんのよ、このバカ!」
「わ、悪い」
「たく。アンタ、ギルド降下作戦から様子が変よ? チャーとなにを話していたの?」
「その前に、靴を片付けさせてくれ……ちゃんと話すから」
「???」
ゆりがわけわからない、とばかり首を傾げる。
俺は靴を片付けた後、ゆりと向き合う。
……月明かりに照らされた部屋の中。その光を受けたゆりは、とても綺麗で、可愛らしくて、愛おしい。
クラスに一人はいそうな美人。スタイルも良くて、目を惹く魅力がある。勝気で高慢な性格は尖っていて、台風のように破天荒な存在。それなのに不思議なカリスマ性があって、憎めなくて、いろんな人間を従わせる力がある。
そんな真が強く、美しい少女に――俺は、恋をした。
そう。恋をしたんだ。
けじめ、か。
ああ。つけてやるよ。この世界で無理なら、来世へ向けた約束でもいい。
……こいつがどんなリアクションをするのか、返事をするのか、想像もつかんが。
俺はポケットの中の箱を取り出した。
「ゆり。この世界じゃ、形だけだけど……俺と結婚してくれ」
ぱかり、と箱を開けてエンゲージリングを見せる。
ゆりは目を丸くして、息を飲む。
「これ……チャーが作ったの?」
「あ、ああ。すげえよな」
この世界は記憶にあるものに関しては作れるらしいからな。チャーは結婚したことがあるから、作れたのだろう。
「そう。そういうことだったの……ふふふ。おどおどしちゃって」
ゆりは笑って、左手をそっと伸ばした。
「ほら」
「?」
「返事は「はい。よろしくお願いします」よ。だから、アンタがつけなさいよ。あたしを、お嫁さんにするんでしょう?」
「あ、ああ」
そういうことかと思い、箱からエンゲージリングを取り出す。
先ほどから顔が熱い。震える手で、ゆりの綺麗な左手の薬指に、エンゲージリングを通した。チャーの言う通り、サイズはピッタリであった。
「綺麗……さすがね」
ゆりがエンゲージリングをつけた左手を、うっとりと見つめた。
そんな姿が、とても愛おしかった。綺麗とか、美しいとか、可愛いとか、そんなものじゃない。俺は絶対に、その景色を一生忘れない。
他の誰でもない。ゆりが、俺の嫁になった瞬間なのだから。
「でも、こんな姿、戦線のみんなには見せられないわね……リーダーとしての箔がないわ。頑丈な紐に通して、首から下げようかしら。服の下なら、見えないし」
「まあ、それが妥当だろうな」
「二人きりの時だけ、つけるようにするわ。ね、どう? 似合うかしら? ……あたしの、旦那さん?」
ゆりが頬を赤く染め、左手を見せびらかす。
似合っている、なんてものじゃない。
愛おしい。ただただ、愛おしかった。
俺はぎゅっと左手を握る。ゆりはそれに答えて、恋人繋ぎをした。
「似合っているよ、俺の奥さん」
「ありがとう」
「愛している」
「ええ。あたしもよ」
そんな愛の言葉を交わして、俺達はキスをする。触れるだけの、短いキスだ。
そうして、見つめ合う。
ゆりの瞳は潤んでいて、頬がほんのりと桜色に染まっている。
「春斗くん……」
ゆりが甘えた声を出す。
もう一度、キスを交わす。今度は長く、深いキス。舌を絡ませ合い、くちゅくちゅと音を立てた。
「はあ、ん、んう、くちゅ、ん、はあ……」
ゆりの吐息が荒くなる。そのキスはお互いを強く求め合う、激しいものであった。
俺達はそうして体を絡ませ合いながら、ベッドに転がり込んだ。
ゆりは胸で俺のペニスを挟み、上下運動した。いつものパイズリ。だけどその左手の薬指には、エンゲージリングが見える。それが不思議な色気を放つと同時に、ゆりへの愛おしさが変わっていくのを実感した。
胸でペニスを擦りながら、先端をしゃぶり出す。震えるような快感がペニスから体中に痺れだす。俺は思わず声が漏れた。するとゆりがさらにパイズリを強くして、動きを早くし、口でペニスをくちゅくちゅと吸い込みだす。蕩けるような快感に、声が止まらなくなる。
「ゆり、出る……」
「ん……口で、いいわよ」
「っ、ああああ!」
ゆりの口の中で、ペニスが脈打つ。ゆりは一滴も漏らすまいと、そのすべてを受け止める。その後愛おしむように、ペニスを舐め回す。淫靡な姿に、俺は我慢出来なくなった。
「ゆり!」
「きゃ」
バックの体勢にして、ゆりの中へと入る。愛液にまみれたそこは蕩けるような感触で、俺のペニスをいやらしく包み込んだ。
最初から激しかった。パンパン、と腰を打ちつけるたびに、ゆりの可愛らしいお尻が波打つ。
「あん♡ あ、あ、んあ、いい、すごく、良い♡ 春斗くん、激しい……♡ ねえ、あたし、あなたのお嫁さん、だから。全部、全部受け止める……♡ 好きなだけ、突きなさい♡」
「ゆり、ゆり! ん、ぐっ!」
「んん♡ あ、あ、あたし、もう、ダメ……♡♡♡」
ビクビク、とゆりの膣が震えだす。俺はその間、動きを止めた。
「ねえ、次、あたしが上……」
余韻に浸る間もなく、ゆりがそういうので、俺が横になる。ゆりはすぐさま騎乗位でペニスを入れた。ずぶり、と挿入したのもすぐ、激しく腰を振り出す。お互いを強く求め合う、そんなセックスだ。
「あ、あ、あ、あ、あ、あ、ああん、これ、いい、ん、んう♡」
目の前で弾む胸を揉み、愛し合う。やがてゆりがくるりと後ろを向き、騎乗位のバックをする。ゆりのお尻が俺のペニスをくわえるように上下し、その煽情的な光景がさらなる野性的な興奮を呼び起こした。ゆりが快感にのけ反り、両手を後ろに回す。エンゲージリングがはめられた左手が見える。俺はゆりの両手を握った。ゆりの喘ぎ声が部屋中に響き渡り、セックスの激しさを物語る。
ゆりがそのまま、俺の方へ体を倒した。おっぱいを揉みながら、下から突き上げる。パンパンパン! と淫靡な音が鳴った。
「んんんんんやあああ♡ これ、これ、春斗くん、どうしよう、あたし、これで、出ちゃう……♡」
「ゆり……!」
「ひゃああああああああああ♡」
ゆりが潮を吹いた。挿入のピストンで出すのは初めてだった。ビクビクとゆりの体が震えて、潮が橋を描く。ベッドの上はビチョビチョになった。だけど、そんなもの関係ない。もう止まらない。止められないのだ。俺はゆりを正常位で入れる。
「んんんんん♡ 来て、来て! もっと来て、春斗くん!」
ゆりが激しく甘え、求めて来る。ぎゅっと抱きしめ合った。ゆりは両足と両腕を名いっぱい回して俺の体をがっちりとホールドする。俺はそれに答えて、ゆりの体に密着する。まるで二人の体が一つになったかのように、ぴったりとくっつき合う。だけど、腰だけは激しくピストン運動をしている。パンパンパン、という淫靡な音がここ一番に大きく、激しく鳴った。ベッドが大きな音を立てて軋む。
「んやああああああ♡ あ、あ、ああん♡」
「ゆり、もうダメだ。出る……」
「出して、出して! このまま……」
「ああああああああああ」
「きゃあああああああああ♡」
俺達は我慢できない喘ぎ声を上げて――果てた。激しい射精が、ゆりの中で遠慮なく暴れ出す。そんな節操のない射精を、ゆりの膣は全て、優しく受け入れてくれた。
「ん……」
「抜かないで、だろ?」
ゆりの顔を見つめる。うるうる潤んだ瞳が、とても可愛い。
「わかっているじゃない……さすがは、あたしの旦那さんね」
「必ず、幸せにする」
「……うん」
ゆりは笑みを浮かべ、嬉しそうに左手の薬指を見せたのであった。