「――ゆり。俺はどうしても、空と勝負がしたい」
ノーアウト満塁。疲労も溜まっている。だからゆりを信頼して、マウンドを降りる提案に乗るのが吉のような気がした。
だけど――それでも、俺は空に勝ちたい。
自分の力で、勝ちたいのだ。
「……そう。わかったわ、そこまで言うのなら、続投しましょう」
ゆりがそう言うと、ひさ子が心配げに柳眉を曲げた。
「おいおい、いいのかよ?」
「ええ。春斗くんがここまで曲げないのなら、仕方ないわ」
「せめてゆりの策を聞いてから、考えればいいのによ……好きな人の提案だろ? なのに、なんでそんなにムキになっているんだ? さっぱり理解出来ないぜ」
「いいわよ、別に。彼は責められないわ」
「まあ、ゆりが言うなら、いいけどよ……」
日向が俺の肩をぽんぽん、と軽く叩いた。
「まあまあ、桜木だって男だしな。譲れねえプライドってのがあんだろ。な?」
「ああ、そうだ」
「後ろは任せろ。お前のために、しっかりと守ってやんよ」
戦線メンバーを見渡す。みんなは一様に、こくりと頷いた。
「よし。行くぞ!」
俺の言葉と共に、円陣は解散し定位置につく。空はバットを構え、表情を引き締めた。
「兄さんが堕落したということを、ここで証明しよう」
「……みんなと過ごした日々は、嘘じゃない。お前にだけは負けない!」
渾身の力を込めて、ストレートを投げる。
内角高め。悪くないコース。
空は綺麗なフォームで、ボールを捉え。
快音が、グラウンドに響き渡った。
「……ごめん、ゆり」
球技祭からの帰り道。俺はゆりと二人で、帰路に着いていた。夕日の下、校舎の外を歩きながら、俺はゆりに謝る。
「全く。見事なまでの満塁ホームランだったわね。意地張って、一人で抱え込むからよ」
ゆりが呆れながら言う。
ぐうの音も出ない正論だった。
俺は完膚なきまでに、空に負けたのである。恰好がつかない。しかも提案を蹴って招いた結果なのだ……。
それでも、ゆりは優しく笑みを浮かべてくれた。
「けど、結果論ね。桜木 空の運動神経は良かったし、他の人が投げていても、結果は変わらなかったかもしれないわ」
「……」
「そんな暗い顔、するんじゃないわよ。別にこれで、天界の使徒に負けたわけではないわ。次があるわよ」
「ああ。そうだな」
ゆりの優しさに甘えて、俺は己を慰めた。
そうだ。負けたのなら、また次の機会にリベンジすればいい。
そう思った。まさに、その瞬間だ。
「――やあ、お二人さん。仲が良いね?」
いつの間にか、数歩先の所で空が佇んでいた。俺とゆりが思わず身構える。
「お前……!」
「オレ達が勝ったらその女を抱かせるって約束。忘れたわけじゃないよね?」
「っ⁉」
たしかに、勢いとはいえゆりが何故かその交渉に乗ったのは、記憶にある。
いや、でもだからって……。
「そんなことさせられるかよ!」
「おや。約束を破るのかい?」
「俺は承諾してねえっての!」
「なら、ちょうどいい――実力行使だ」
刹那、全身に鳥肌が立った。俺は咄嗟にその場から離れる。すると背後から、スタンガンを持った男の腕が、間一髪のところで空を切ったのが見えた。俺は数歩下がる。だが、男はもう一人いた。その男のスタンガンはゆりの首筋に当たり、短い悲鳴と共に気を失った。脱力したゆりは、男に抱きかかえられる。
「ゆり!」
俺はナイフを取り出し、男へ飛び掛かろうとする。だが、空が同じようにナイフを構え、その前に立ちふさがった。
「さあ、兄さん。今度は野球じゃなくて、殺し合いで勝負しようじゃないか」
その提案に、俺は思わず生前の血がたぎった。
「……ああ。そっちの方が、性に合う」
笑みを浮かべながら、空へ飛び掛かる。
思わぬ形で、リベンジのチャンスがやって来た。
ここで空に勝ってやる。殺し合いで勝てれば、なんでもいい!
正直に言うと、がっかりであった。
全てはオレの思惑通りに進んでいる。
だけど、心のどこかで――兄さんは、オレの思惑を超えて来るような。そんなことを思っていたのだ。
だから、期待外れ。
まあ、結果はどっちでもいいんだけどね。オレとしては。
よくわからないが、兄さんは「カウンター」という大きな役割を背負っているらしい。だけどこの調子だと、その責務を果たすことは不可能だろう。
おそらく。この戦いは、あの男――岡田 緑が勝利する。兄さんを警戒しているが、とんだ見込み違い。障害にはならないだろう。仲村 ゆりも立華 かなでも同様だ。この世界は、あの男によって支配される。
それが、この天上学園の運命なのだ。
「うっ……」
夜の空き教室の中、仲村 ゆりがうめき声と共に意識を取り戻す。
兄さんは椅子に縛り付け、動けないようにしている。まだ意識は取り戻していない。
「っ、アンタは……!」
床に寝かされていたゆりが、オレを睨みつける。そして縛られた兄さんを見て、怒りの表情を浮かべた。
「春斗くんになにをしたの!」
「別に。ただ、勝負しただけさ。結果、兄さんは負けた。それは君も知っているだろう?」
「っ」
仲村 ゆりは唇を噛む。
改めて、彼女を見やる。
良い女だと思った。端正な顔立ち。細身ながらも、女らしい膨らみのラインもある良好なスタイル。美人とか、美少女と評するに相応しいルックスだ。それでいて勝気な、芯の強さを感じさせるしたたかさが滲み出ている。生前はクラスの男どもから、熱い視線を送られたことだろう。
兄さんが夢中になるのも、わかるというものだ。
「だけど戦線は、あなたに負けないわ」
強気にそんなことを言う。
そういうところも、またそそられた。
……オレは、わかっている。
彼女はただ、強がっているだけだということを。
「負けたじゃないか」
「っ⁉」
「君達は、オレに負けたんだ。認めなよ」
オレが一歩前へ踏み出す。仲村ゆりが震えた足で、後ずさる。
きっと脳裏には、あの「約束」がよぎっているだろう。
「違う、負けてなんか……」
「君は、桜木 春斗に幻滅した。違うかい?」
「そんなこと、あるわけ……!」
「あるよ。見ていればわかる。正直に言ってごらんよ」
「っ……!」
仲村 ゆりが息を飲む。
瞬間、愛らしい相貌から涙が一つ落ちた。
オレの前で、涙を見せた。
それほどまでに、彼女はもう、打ちのめされているのだ。
「信じて、ほしかった……!」
仲村 ゆりは叫ぶ。それが兄さんに届かないと、知りながら。
「あたしの言葉を、信じてほしかった! あたしと、あたし達と一緒に戦ってほしかった! それなのに、彼は一人で戦ってばかりで……こんなにも、彼を思っているのに……! 彼は、あたし達のことを少しも信じていない!」
涙を腕で拭いながら、訴えた。
「兄さんは……いや、オレ達は人間を殺すための、任務を果たすためだけの機械だった。人間の心はとっくに死んでいる。本質的にそれは変わらない」
「そんな、こと」
「あるよ。少なくとも君は、兄さんを救えなかった。結局のところ、兄さんは君達に心なんて開いていないんだよ。だから、君の想いだって平気で裏切るし踏みにじる」
「あたしは、それでも彼を……」
震える声。彼女は聡い。だから、本当はとっくに兄さんに対して不信感を募らせている。なのに、未練がましい女である。
「何故オレが、恋をすれば戦士として堕落すると言ったのか。わかるかい?」
「それ、は」
「教えてあげるよ。君は、君達は、中途半端なんだよ。生前の兄さんのように、己の目的を果たす無慈悲な戦士になるのか。それとも、誰かのために戦う英雄になるのか。愛の芽生えた君達は、後者になろうとした。君は桜木 春斗を、兄さんは仲村 ゆりを救おうとする英雄になろうとした。だけど、なりきれなかった。その結果がこれさ」
「っ、春斗、くん……!」
仲村 ゆりが泣き崩れる。それを、オレが抱き止めてやった。
「君の想いは届かなかった。兄さんは君の想いに答えなかった。それを今、感じ取っている。憎しみすら感じている。そうだね?」
「なによ。結局、なにが言いたいのよ。あたしに、約束を守れと言うの?」
「試しに、そうしてみたらどうかな。そうしたら、楽になるかもしれない」
「……」
仲村 ゆりの唇の上に、唇を重ねる。
オレ達は、柔らかなキスを交わした。
服越しでの印象通り――いや、それ以上であった。仲村 ゆりの肢体は情欲をそそる。胸の大きさも形も良好だ。
「ほら、横になって股を開きなよ」
仲村 ゆりは顔を歪めながらも、大人しく硬い床の上で股を開いた。兄さんは相変わらず縛られたまま、気を失っている。
いや、違う。気を失ったフリをしているのだ。
彼はもう、全てを悟り、諦めてしまったのだから。
「入れるよ」
勃起したペニスを、仲村 ゆりのマンコに入れる。
ズブズブ、とペニスはスムーズに奥まで入った。仲村 ゆりがビクビクっ、と体を震わせる。
「おや。なんでこんなに濡れているのかな?」
「そ、それは……」
「兄さんの前で犯されていることに、君は興奮している。違うかい?」
「ち、違うわよ。そんなんじゃ」
「正直になりなよ。兄さんに復讐出来て、気持ち良いんだろ? このまま兄さんの目の前で、滅茶苦茶にされたいと思っているんだろ?」
ピストン運動をしてやると、マンコから愛液がドロドロと溢れてきた。仲村ゆりは目から悲しそうに涙を流しながら、顔を横に振るう。
「違う、違う! あたしは、そんなこと……! 大好きな人へ復讐だなんて……ん♡」
仲村 ゆりの中は熱かった。だけど、少しだけ締まりが悪い。
「君のマンコ、兄さんの形になっているのかな? 何回セックスしたの?」
「し、知らないわよ、そんなこと!」
「なるほど。数え切れないほど、ね。ならたくさん突き上げて、オレの形に上書きしないと」
「は、あ♡ なに、これ……♡ 突かれるたびに、なにか、変に、なる……♡」
激しく突いてやると、仲村 ゆりの顔が興奮で赤くなり、目の前で大きなが胸が弾むように揺れた。それを両手で掬うように揉んでやると、彼女は体をビクビク! と震わせた。
「ん、あん♡」
「良い声が出るようになったね」
「う、うっさい……! んあ♡」
「ほら、立ってお尻をこっちに向けな」
「くっ……」
「ほら、早く」
仲村 ゆりは壁に手をついて、可愛らしいお尻をこっちに向ける。オレ達は立ちバックで交じり合う。オレは仲村 ゆりのお尻を両手で叩いた。パンパンパン! という淫らな音が教室中に響く。その音を聞いている兄さんはきっと、とうに心が壊れているに違いない。そのことが、オレをたまらなく高揚させた。
「は、あ♡ ちょっとアンタ、もう少し、奥、突きなさいよ……♡」
「ん、ここかい?」
「あ、ん♡ そう、そこよ……♡」
仲村 ゆりの感じるところを理解し、オレは腰を振る。すると膣はそれに答えるように、ギュギュっと締まっていく。
「あ、ぐっ。君、締まり良くなってきたね」
「んあ♡ そ、そう……? あん♡」
マンコの形が少しずつ、オレのペニスの形に変わっていっているのだろう。
ズンズンズン、と突き上げる。後ろからおっぱいを揉む。ふわりとした柔らかな感触が両手の中でとろける。
「すご、い♡ これ、良い……♡ 奥、突き上げて……♡」
「仲村 ゆり。そろそろ出そうだ」
「いいわよ、このまま♡ あたしも、そろそろ♡♡♡」
「なら、最後は兄さんの前で中出ししてあげようか」
「っ!?」
兄さんの前へ机を引っ張り出し、その上に仲村ゆりを横にする。そしてオレが立った状態で、仲村ゆりのマンコにペニスを入れてやった。そのまま腰をカクカク振る。兄さんの目と鼻の先で、仲村 ゆりは犯されていた。
「ん、あああん♡」
「兄さんの前で喘いじゃって。君の復讐は残酷だね」
「はあ、あん♡ だって、アンタの、気持ち良くて……♡ ん、ああん♡」
「ほら、出すよ! 中に出すよ!」
「は、あああああん♡ 出して、あたしの、中で……♡」
パンパンパン、とラストスパートで激しく突き上げる。「んあ♡ ああん♡」と仲村 ゆりが激しく喘ぐ。快感が絶頂に至り、オレは中で射精した。おそらく兄さんが何度も射精したであろうマンコ。だけど、今はオレが大量に射精してやった。
「はあ、はあ♡」
仲村ゆりが恍惚とした表情で崩れ落ちる。彼女はもう、桜木 春斗を許すことはないだろう。復讐をすることでしか、向き合うことが出来ない。そういう体になってしまったのだから。
「ほら、オレのペニスを綺麗にして」
「っ、わ、わかったわよ」
文句を言いながらも、仲村 ゆりはオレのペニスをしゃぶって綺麗にした。オレはなおも気絶したふりをする兄さん――いや、壊れてもはや空虚な人形のようになってしまった兄さんを、嘲笑った。
「勝負はオレの勝ちだ。兄さんは、オレに勝てない」