未読でもなにも問題はないですが、行進曲の「新世界へ!」がモチーフです。
「桜木。ジャーマンスープレックスをさせてくれ」
「……なにを言っているのかさっぱりわからないんだが」
昼の食堂。岩沢がうどんをもってやって来るなり、そんなわけのわからないことを口走った。
戦線メンバー……というか、関根と入江が「岩沢先輩が探していましたよ?」なんて言うから、まあこうして顔を合わせたのだが。
一体、これはどういうことなのか。
「わけを説明してくれ」
「あたしは恋愛なんてしたことがない」
「おう」
「ついでにいうと、興味もない」
「だろうな」
「というわけで、ジャーマンスープレックスをする必要がある。あたしは、新世界を知る! そういうことだ。わかったか?」
「わかんねえよ。説明、本当に下手くそだよな……」
さすがは音楽キチである。
で。昼ごはんを食べながら色々と質問をすると、話の大筋が見えてきた。まあ要約すると、ひさ子の提案でラブソングを書くことになり、ユイのアドバイス(?)を参考にした結果――男にジャーマンスープレックスをかけよう、ということになったらしい。
つまり、いつも通りガルデモのため。音楽のため、ということのようだ。
「まずはあたしが桜木にかける必要がある。どうせなら、強い奴の方がいいだろうから」
「ツッコミどころが多すぎるな……」
「そしてその後で、お前もかけてくれ。なに、遠慮することはない」
クールかつ可愛らしい笑顔で物騒なことを言うな。
「まあ、とりあえず落ち着いたらどうだ。つーか、そもそも岩沢には、気になる異性とかはいないのか?」
「気になる異性……か?」
「恋愛感情とまではいかずともさ。この人かっこいいな、とか。この人のことをもっと知りたい、とか。そういうことを考えたことはないか?」
「かっこいい……もっと知りたい……そうだな。かっこいいと来たら、Sad Machineってバンドの――」
「ストップ、ストーップ! 結局音楽の話に逸れそうだから! そうじゃなくて、男だよ男! 生前でもいいし、ここの世界でもいいからさ」
胸中で俺の名前が出てこないかな、とか期待しながら聞くも――岩沢は、眉間に皺を寄せて唸るばかりであった。
「難しいことを聞くんだな……そんなこと、考えたこともない」
「ガルデモと男の話とか、恋の話はしないのか?」
「いいや。みんな、そういう話はしないよ」
「綺麗どころの女の子四人集まって、男のおの字もないってのは奇跡的だよな……」
まあ、戦線メンバーらしいが。
「それなら、恋愛小説とか恋愛の漫画とかはどうだ? この世界の図書館はなんでもあるだろ」
「小説に漫画……そうか。たしかに、そういったところからインスピレーションを受けるアーティストはいる。いいかもしれない」
「そうだろ? だから、その……一緒に図書館へ行ってみないか? 俺、いくつかおススメとかあってさ。どうだ?」
さりげなく――なのかは微妙だが、かなりの勇気を振り絞ってそんなことを提案する。
岩沢はこくり、と頷いてくれた。
「わかった。頼んだよ、桜木」
まあ少女漫画とか、大衆の恋愛小説でいいだろう。出来れば十代の女の子が主人公の。
多分、それでいいはずだ。
そんなことがあって、三日後。再び昼の食堂。
岩沢の頭からは湯気が出ていた。
「くっ……今日までずっとラブストーリーを見てきたが。あたしには、全然わからない。ひさ子の期待に応えるためにも、この気持ちを理解しなくてはいけないのに……」
「そんな頭沸騰するまで根詰めなくてもいいだろ。あと、深く考え過ぎだ」
「こんなにも作詞が進まないのは初めてのことだ。これが、スランプというものか。はあ……」
「つーか、生粋の天然タラシって奴だよな、お前は」
「天然……タラシ? あたしがか?」
「今この状態で、なにも気にしていない時点でな」
俺と岩沢二人で食事をしているから、ミーハーなガルデモファン――というよりは、岩沢ファンがちらちらと視線を送ってきている。
ルックス・カリスマ性・ガルデモ人気も相まって、岩沢はかなりモテるのだ。NPC人気という点では、戦線内ではトップと評して間違いないだろう。
「??? どういうことだ、桜木。さっぱりわからないぞ」
「岩沢は可愛いって話だ」
「そう、なのか? よくわからないな……」
岩沢は髪を右手でいじりながら、じっと俺の顔を見た。美しい相貌に射抜かれて、心臓が高鳴った。
「な、なんだよ」
「いや。ただ……桜木に可愛いと言われるのは、嬉しいなと感じたんだ」
「っ⁉」
「そういえば、小説にもそういうシーンがあった気がする。もしかすると、桜木と一緒にいると、恋愛というものがわかるのかもしれない」
「っっっ⁉」
思わぬ不意打ちを食らって、俺は顔を真っ赤にした。正直、脈ないだろうなと諦めていたから、なおさら動揺させられる。
「どうした?」
「い、いや。なんでもねえよ」
「そうか」
岩沢は先にうどんを食べ終え、水を飲み切った。
「それじゃあ、桜木。また明日」
後日。再び、食堂にて。
「なあ、桜木の方こそ気になる異性はいないのか?」
「え? 俺は……」
その答えは正直、こんな場所ではしたくない。
……俺はもう一度、勇気を振り絞ることにした。
「岩沢。このあと、時間とれないか? 話があってさ」
「ああ、大丈夫だ。練習までには、まだ時間がある」
食堂を出て、二人で外を歩いた。
「それで、話って?」
「それなんだが。その前に、ちょっと銃の練習をしていいか」
「???」
がちゃ、と戦線から支給された銃を大きな木々に向ける。すると物陰から「ひええええ⁉ バレてたああああ!」「ひゃあああああ!」と、関根と入江が涙目で飛び出したのであった。やっぱりな。薄々気づいてはいた。
「あいつら……いたのか」
岩沢が目を丸くする。
俺は肩をすかした。
「ずっとつけられていたみたいだな」
「あの二人がか? どうして? というか、よく気づいたな。さすがだ」
「まあ、そんなことはいいんだ」
「ん? ……あ」
俺は岩沢を抱きしめた。温かい体温と、柔らかな感触が腕の中に飛び込む。
「岩沢のことが好きだ。俺と、付き合ってくれ」
ものすごく緊張した。
だけど、岩沢は優しく受け入れるように、そっと俺の背中に腕を回した。慈しむような力だった。
「……そうか。これが、恋愛感情というものか」
岩沢は俺の腕の中で、くすぐったそうに笑った。
「なんだか、とても不思議な気分だ」
告白が受け入れられて。付き合い始めたものの、いきなり関係性が変わるわけではない。岩沢の一日はガルデモの活動が中心だし、例のラブソングも絶賛制作中なのだという。そんな多忙な日々の中、俺は使われなくなった保健室の鍵を入手して、岩沢――いや、雅美と夜に密会をすることにした。
「こんなところがあるのか……この学園は広い」
雅美が保健室に入るなり、そんなことを言った。俺は雅美を後ろから抱きしめた。
「春斗。一つ、頼みがある」
「なんだ?」
「その……初めて、なんだ。優しくしてほしい」
そんな可愛らしいことを言われながら、俺はそのまま両手で雅美の胸を揉んだ。制服越しに感じる胸柔らかく、手の中でしっとりと溶けていった。
「ん♡ あ……♡ ん♡」
雅美が甘く息を吐く。そのままお互いに唇を重ね、くちゅくちゅ、と舌と舌をいやらしく絡め合った。脳がとろけるような、官能とした快楽が痺れだす。雅美の頬は赤く染まり、体がほんのりと熱くなってきた。
「んちゅ♡ んん♡ 春斗……♡」
お互いに体をまさぐり合いながら、やがて服を脱ぐ。雅美の一糸纏わぬ姿は、スレンダーでとても美しいものであった。制服越しより感じる二つの膨らみ。スッキリとしたスタイル。クールながらも美人で可愛らしい顔立ち。その全てが愛おしくて、眩暈がする。
「春斗の、すごいな……」
ベッドの上で、お互いにシックスナインの恰好になり、性器を慰め合う。雅美のきれいなクリトリスを舐めてやる度に、体が可愛らしくびくりと震えた。
雅美の暖かな口が、俺のペニスを慰める。くちゅくちゅ、と唾液が絡み、いやらしくも気持ち良い愛撫であった。
「ん♡ 春斗、あたし、ちゃんと出来ているか……?」
「ああ。すごくいい」
「なあ、そろそろ……」
雅美がそう言うので、俺は正常位の体勢にしてペニスをあてがった。雅美のマンコは濡れているが、慎重に挿入する。
「……っ♡」
先端が入っただけだが、雅美がびくりと震えた。俺はそこで一旦止める。
「大丈夫か?」
「ああ。奥まで……来てくれるか?」
こくり、と頷いてペニスを全て入れる。
温かくて狭い、ねっとりとしたいやらしい感触にペニスが包み込まれた。ぴっちりとしたそこは愛液がいやらしく絡みついてくる。
「ん、あああ♡」
「雅美、大丈夫か?」
「ああ。意外と、平気だ……♡」
雅美は腕を背中に回してきて、キスをねだった。俺はそれに答えて、ディープキスを交わしあう。長く、長いキスであった。その間マンコが少しだけピクピク動き、さらに愛液がドロドロと溢れてきた。
「春斗……♡」
「動くぞ」
「来てくれ……♡ ん、んん♡ あああ♡」
ゆっくりと動き出すと、雅美が喘ぎだした。ずぶり、ずぶりとマンコとペニスが擦れ合う。とろけるような感触に、視界が甘く揺らいだ。
「はあ、はあ、雅美……!」
俺は夢中になって、正常位で揺れる雅美のおっぱいを両手で揉み、乳首を舐めた。
「ああん♡ 春斗、そこは、んあああ♡」
雅美の綺麗でエッチな喘ぎ声が大きくなる。その声をもっと聴きたくて、俺は腰を振り乳首を舐めた。雅美は快楽に溺れるように、ベッドのシートをぎゅっと握りしめた。
「はあ♡ ああん♡ 春斗、あたし、変になりそうだ……♡」
「雅美の中、気持ち良い」
「春斗のも、すごく、いい♡ んん♡ ああ♡」
ぎゅっと抱き合いながら、さらに腰を振る。甘い香りが鼻をくすぐる。雅美の柔らかな体は抱き心地が良く、全身を快楽で溶かされた。ぐっしょりしたマンコの奥を、俺は夢中になって突き上げる。
「もっと、奥、して、ほしい……♡」
「雅美……!」
「ん、あ、あ、あ、あ、あ、あ♡」
柔らかな奥に当たる度に、マンコがきゅっと絞めつけて来る。俺は射精感が高まり、さらに腰の動きを早くした。パンパンパン! といやらしい音が夜の保健室に鳴り響く。
「いきそうだ……!」
「このまま、中に……♡ 一緒、で……♡」
絶頂と共に、ペニスが大きく震えた。同時に、マンコがぎゅうううう、と締めつけてくる。ペニスはその中で暴れるように射精する。何度ドピュドピュ、と出してもまだピクピクとペニスは打ち上げられた魚のように痙攣する。甘い絶頂を迎え、俺達はベッドの上で抱き合った。静かな息づかいだけが、聞こえて来る。
そうして俺と雅美が結ばれた日の翌日。再び食堂で、ウキウキとした上機嫌な雅美が一枚の紙を渡してきた。
「春斗。ラブソングの作詞が完成したんだ、見てくれるか?」
「え? お、おう」
なんだか、早くないだろうか。少し嫌な予感がしながら、紙を受け取る。
――ええかー、ここらでちっと
――紅ショウガいっとくで
――ずっとのんどれる
――山崎おいてまへんか
「どうだ?」
「お前にラブソングは無理だ」