今日の生徒会副会長としての業務を終え、生徒会室へ戻ろうと思った時のことだ。校舎の隅。それも日陰のところで、うずくまって泣いている女子生徒を偶然見つけた。
「うおっ⁉ な、なんだ……?」
長い紫色の髪。小さな背中。天上学園の制服を着ているが、この奇妙な行動かつ、情緒不安定な喜怒哀楽。
死んだ記憶のある、迷える魂である可能性が高かった。
「お、おーい……?」
恐る恐る声をかけると、少女は「ひゃああっ⁉」と悲鳴を上げた。
涙顔ながらも、こちらを見上げるその顔は童顔で、とても愛らしい印象のものであった。小動物系というか、見ていて癒されるタイプの美少女だ。
「あわわわっ、ななな、なんでしょうか⁉」
「死んだ記憶があるんじゃないか?」
俺がそう言うと、少女はびくりと肩を跳ね上がらせながら、じっとこちらを見据えてきた。やはり死者か。
「やっぱり、そうか。信じられないだろうが、ここは死後の世界ってやつでな。まあとりあえず、生徒会室にでも来ないか? そこだったら、同じ女の子の生徒、それも生徒会長がいることだしな」
生徒会室へ少女――入江というらしい――を案内し、立華へ紹介した。「この世界に来たばかりの頃は、ショックで混乱していても仕方ないわ」と優しく言って、お茶を用意した。入江は「はあ。どうも……」と言いながら、お茶をちびちびと飲み始める。
この世界については、立華と俺とで大体の説明をした。
いきなりのことで全てを飲み込むのは難しいだろうが、入江は「本当に、あんなことで死んじゃったんだ……あたし……」と、肩を落としていた。嫌な最後だったのかもしれない。まあ、嫌じゃない最後なんてないだろうが……。
「ここへ来るのは、悔いの残る人生を送った奴ばかりだからな。その様子だと、入江もそうだんだろ?」
入江は無言で、こくりと頷いた。
立華がこの学園で授業を受けて、青春を送れば成仏出来ると語った。その話に、入江はどこか寂し気な笑みを浮かべた。
「そんなことで報われたら、良かったですけど……」
「入江?」
俺が首を傾げると、入江は席を立った。
「あの。外へ出てもいいでしょうか。考えを整理したいです」
少し迷ったが、入江の後を追うことにした。嫌な顔をされるか不安であったが、「大丈夫か」と声をかけると、入江はこくりと頷いた。
大階段の上。彼女はグラウンドで部活動に励むNPC達を眺めた。
「本当に、ここは学校なんですね」
穏やかな風に揺れる髪を抑えながら、入江が言う。
「ああ。そうだよ」
「さっきの方が、ここの生徒会長さんなんですよね」
「そうだな。ちなみに俺が、副会長だ」
「そうなんですか。お二人共、しっかりしていそうですからね。良い生徒会なんだろうなあ……」
入江はやはり、悲し気な声音でそんなことを言った。
まあ、まだ死んだばかりなのだ。
気分が鬱々としているのは、仕方がないだろう。それが凄惨な生前だったとしたなら、なおさらだ。
「この世界で、やっていけそうか?」
「まだ、わからないです……」
「それもそうか」
「これからあたし、どうなるんでしょうか」
「まあ、そう焦るな。俺や立華を頼ってくれ。ああそれと、一つ気を付けなければならないことがある」
「気を付けること、ですか?」
「ああ。クラスSSSの――」
まさに「そいつ」のことを話そうとした刹那、「そいつ」が現れた。
「とおおおおおりゃああああ! そうはさせるかああああ!」
「のわあっ⁉」
ヘッドショットを狙うハイキックが飛んできて、慌てて回避する。ぶおん! とキレのある音が目の前を横切る。抗議するようにそちらを睨むと、そこには戦闘態勢をとったゆりがいた。
「椎名さん!」
「目標は確保した」
いつの間にか、入江は椎名の手によって、何故かお姫様抱っこにされている。入江は目を丸くし「わわっ⁉ なになに、どういうこと⁉」と混乱した。ただでさえ混乱しているのに、余計なことするなっての。
が、肝心のゆりはしてやったという、勝気な表情をこちらへ向けて来る。
「ふっ。これで悪の手から、女の子を救出出来たわ。ふふふ。あーはっはっはっ!」
「そっちが悪役だろ、どう考えても⁉」
「失礼ね。悪役はアンタの方よ。三百六十度見渡しても悪人面じゃない!」
「どこがだよ! あと三百六十度まじまじと見渡したことねえだろうが!」
「鼻の下伸ばして、来たばかりの可愛い女の子をたぶらかそうとして。あー、怖い怖い」
「言いがかりだ!」
ぞろぞろ、と目の前には幹部連中が現れる。「わりーな、桜木。新人候補は渡さないってゆりっぺがさ」と、日向が言って「すまないが、彼女は渡してもらうぞ」と、松下五段が圧をかけてきた。
さすがに、この人数相手に勝てるわけがない。
生前はアクション映画の主人公みたいな人生だったものの、所詮あれはフィクション。大の男にこれほど囲まれて、突破できるほどの力量は俺になかった。
「くっ……数の暴力か。卑怯な奴らめ」
「さ。状況はわかったかしら、副会長さん?」
ゆりの高慢な表情が腹立たしい。
椎名の腕の中で、入江が不安そうにこちらをちらっと見る。
たしかにこの状況、悪あがきしても無駄だ。仮に幹部連中を出し抜けても、向こうには椎名がいる。その時点で勝ち目はない。
「わかった。ここは引き下がる――と、見せかけてパーンチ!!!」
「ぐもうっ⁉」
一番近くにいた野田を殴り飛ばす。良いところに入ったのか、一発で気絶していた。
「野田ああああああああ⁉」
藤巻が叫ぶ。大山が顔を青ざめた。
「うわあっ⁉ 野田君が白目を剥いている⁉ なんてバイオレンス! さすがは天使の手先だよ!」
高松が眼鏡をクールに上げた。
「抵抗しましたね。ゆりっぺさん」
「たくもう、仕方ないわね。みんな、彼を止めなさい! でも、銃や武器は使わないこと!」
ゆりの号令をきっかけに、幹部の野郎共が襲い掛かって来る。むさ苦しい。
「可愛い女の子を連れ去られて、戦わない男がいるかあああああああ!」
「「「動機うすっ⁉」」」
俺のコミカルな叫びへ突っ込みが入れられた後、幹部連中との殴り合いが繰り広げられた。当然、勝てるわけがないし、そもそもその間に入江は作戦本部へと連れ去れてしまっている。まあもとより、これは負け戦だったので、仕方がない。
夜。大階段の上段。校舎を歩いていると、入江が階段のところで座り、ぼんやりとしていた。やはりというか、戦線の制服を着ている。
あの独り言からして、まあゆりの思想に同意するだろうとは思ったが。やれやれ、やはり止められなかったか。
「よう」
「あ。桜木さん……怪我、大丈夫ですか?」
「ここは死後の世界だ。すぐに治る」
「いえ、顔がボコボコですけど……」
「かすり傷だよ、こんなの」
入江は真っ先に心配をしてくれる。心優しい子のようだ。
「やっぱ、戦線に入っちまったか」
俺がため息をつきながら隣へ腰かけると、入江ははにかんだ。
「ごめんなさい、あたし、今はまだ、ゆりっぺさんの言うことの方が、共感出来たので」
ゆりは言葉巧みだ。
人を惹き付けるカリスマ性もある。
混乱し、精神が追い込まれたこの世界の魂にとって、戦線は良い拠り所であった。
「まあ、なんとなくそんな気はしていたけど。でも、あいつらの目的は知っているだろ? 戦線の活動内容はハードなものだ。無理だと思ったら、いつでも頼ってくれよな。俺は入江の味方だ」
「ありがとうございます。でも、戦線のみんな、悪い人達ではなさそうですよ?」
「知っている。だから、この世界はやるせないんだ」
「……???」
「こっちの話だ、気にするな。にしても、戦線の活動なんて出来るのか? 失礼だが、訓練しても、銃なんて使えそうな性分に見えないぞ」
俺がそう言うと、入江はこくりと頷いた。
「はい。あたしは実行部隊じゃなくて、陽動部隊……バンドメンバーに入りました」
「バンド? ああ、岩沢とひさ子の」
「ご存じなんですか?」
「ビューブラ。有名だ、熱心なファンは多い。美人で演奏も歌も上手い、そりゃ人気も出るってもんだ」
「やっぱり、すごいバンドなんですね……桜木さん。あたしやっぱり、ついていけないかもしれないです……」
早いな。
「なにかあったのか?」
「練習が厳しくて……楽器なんて、学校で習ったものしか使ったことないですし」
「そりゃ大変だな」
「うううっ。でも、天使さんと戦うなんて、出来ないですし」
「こっちに来るか?」
「……も、もう少しだけ、頑張ってみます。いざとなったら桜木さんが味方してくれると思うと、ちょっとだけ気が楽になりました」
来る日も来る日も、入江はドラムの練習を頑張っているようであった。夜遅くに大階段の上で落ちあって、入江の愚痴――というか、弱音を聞くのが通例となった。ある時、入江が「いつもあたしの話を聞かせちゃって、すいません」なんて言っていたが、当然大丈夫な俺は「謝ることないっての、話なんてなんでもいいんだよ」と言った。
そうして毎日会うことが、当たり前となった。
なんとなく、波長が合うというか。自然とそうなったのだ。
だけど、ある日のこと。
入江の様子がどこかおかしかった。表情に陰りがあり、元気がなさそうなのだ。
「あの、桜木さん」
「ん?」
入江が好きな甘い飲み物の缶を渡し、俺はキーコーヒーを飲んだ。
「やっぱりあたし、桜木さんのところへ行きます」
「……」
すぐには返事せず、俺はコーヒーを一口飲んだ後、口を開いた。
「理由を聞いてもいいか?」
入江は少し驚いたように目を丸くしたが、すぐに理由を話し始めた。
「ゆりっぺさんはああ言っていましたけど……やっぱり、ひやかしだったんです、こんなこと。あたしで人気アップだなんて、あるわけがなくて……」
人気アップって……ビューブラのってことか。
あいつのことだ。大方、ルックスでの話のことだろうな。
「それにあたしがドラムを叩いてたら、みんなおかしく思うだけですよね」
「……ん?」
「あたしの人生、いつもそうだったから。ノリでやらされて、あたしが戸惑って、それをみんなで見て笑い者にされて。今回も、きっと……おんなじっ、で……また、笑ってぇ……」
気がつくと、入江は涙を流していた。
俺は入江の生前を知らない。
だから、彼女がなにに苦しんで、涙しているのかはわからなかった。
ただ、それでもわかっていることはある。
それを伝えなくてはいけない。
「入江。少なくとも俺は、お前の味方だ」
俺はそう言って、入江を抱きしめた。入江はそれを泣きながら受け入れて、胸に顔をうずめた。
「どんな生前だったはわからねえが。周りがどんなに入江を笑おうと、後ろ指を差そうと、俺は入江の味方でいる。守ってやる」
「桜木、さん……ぐすっ」
「それと、ビューブラのことだけどな。実を言うと、こっそり練習風景は見に行ったりしていてな。あの二人ともちょっと話をしている。岩沢もひさ子も、ちゃんと入江のことを見ているし、考えてくれていると思う。だから、今度二人と話をしてみろよ。まあ、怖く見える奴らかもしれないけどな」
「ううっ。ひっく。こんなあたしを、受け入れてもらえるんですか……?」
「ああ。そうだと思うぞ」
腕の中で、入江は涙に濡れた顔で見上げた。目と鼻の先に、入江の可愛らしい顔がある。吐息を感じるくらいの距離だ。
「桜木さんはいつも、あたしに優しいですね」
「世界で一番、好きな女の子だからな」
ストレートな愛の言葉で、思いを伝える。
入江は顔を赤くしながら、柔らかく微笑んだ。
「あたしも、桜木さんが好きです……」
そう言って、俺の背中に腕を回してぎゅっと抱きついてきた。
そうして、俺達は長い間抱き合っていた。
その後の入江はどこか吹っ切れたようで、ひさ子と岩沢とも上手くやれているようであった。ドラマーとしての実力も上がっているようで、新生ビューブラはかつてのスリーピースバンドへと回帰する。陽動力が上がり、戦線は再び戦力の拡大に成功した。
そして俺と入江は付き合うことになって、いつも通り毎日夜に会う習慣を継続していた。ある日。副会長権限で獲得した一人部屋に、入江――いや、みゆきを呼んだ。
月明かりに照らされた、部屋の中。頬を赤らめたみゆきを抱きしめると、腕の中で彼女は細い声を上げた。
「あの、春斗さん」
「ん?」
「優しくして、くださいね」
こくりと頷いた後、唇を重ねる。
普段している、ソフトなキスではなくて――舌を入れる、ディープなものに。お互いの口の中で唾液が交じり合い、柔らかな舌が絡み合った。柔らかく、温かい感触。入江とのキスは脳がとろけるほど気持ちが良かった。
「んちゅ♡ ……これ、すごいですね。癖になりそうです」
「そう、だな」
「もう一度、ほしいです……♡」
みゆきが絡みつくように抱きついて、再びディープキスを交わす。俺はみゆきの胸を両手で揉んだ。制服越しでも感じる柔らかさと、ブラの固さを感じた。みゆきは「ん、あ♡」と喘ぎ声を漏らす。キスをしながら、俺達は服を脱いだ。
「恥ずかしいです……」
頬を赤らめたみゆきが、両手で自身の裸を隠しながら言った。細身で小柄な体躯。それでも二つの膨らみには谷間が出来ている。白い肌はきめ細かく、きれいだった。
俺はみゆきをベッドの上に優しく寝かせて、股を開かせた。指で性器に触れると、そこはしっとりと濡れていた。
「っ……♡ 春斗さん、来ても、大丈夫ですよ」
「あ、ああ」
初めてだから、上手く出来る気がしない。普段のイチャイチャの延長戦みたいなものだから、前戯までは勢いでいけたが、挿入となると急に緊張感が高まってきた。
みゆきの愛らしいマンコに、俺の勃起したペニスを入れる。ずぶり、といやらしい感触と共に、膣は優しく俺のペニスを締めつけてきた。とろけそうな感覚に、頭がおかしくなりそうだった。
「ん、ああああ♡」
みゆきが大きな声を上げる。
「大丈夫か?」
「は、はい♡ 思ったよりも……♡ 動いても、平気ですよ」
「わかった」
俺は慣れない動作で、腰を振り始める。しかし意外と動けるもので、ゆっくりとみゆきの膣の中をペニスで突き上げた。みゆきはその度に「ん♡ ああん♡ あ♡」と喘ぎ声を上げる。ペニスに絡みつく愛液に、みゆきの体温、柔らかだけど締め付けてくる膣。その全てが気持ちよすぎて、すぐに射精してしまいそうになる。
「っ」
みゆきの膣がきゅううっ、とペニスを絞るように躍動した瞬間、俺のペニスは制御不能になり、中でビクビク! と大きく脈打った。先走りではない。射精であった。
「ご、ごめん」
「……」
みゆきは目を丸くした後、問いかけてきた。
「あ、あの。もしかして、春斗さんって……初めて、ですか?」
「そ、そうだよ」
情けなくなって、小さな声になる。だけどみゆきは笑みを浮かべた。
「えへへ。すごく嬉しいです。春斗さんの初めて、あたしが貰ったんですね……♡」
「みゆき……」
「その……あたしも、初めてですから♡」
「っ、みゆき!」
俺はみゆきをバックの体勢にした。彼女のきれいな背中と、ぷるんとした可愛らしいお尻が露になる。俺はその体勢のままペニスを挿入して、夢中で腰を振った。
「ん、ああ♡ 大好き、です♡ ああん♡ さっきより、硬い……♡ ん、あああ♡ そこ、良いです♡ もっと、突いてください♡」
両手で後ろからみゆきの胸を揉む。手の中でおっぱいがとろけた。
ギシギシ、と激しいセックスにベッドが軋んだ。バックでみゆきの奥を突きまくった。みゆきがうっとりした顔で振り向いて「上に、なりたいです……♡」と言ったので、みゆきが上になり、今度は騎乗位になる。
「ん♡ あ♡」
みゆきが自分の手でペニスを挿入すると、俺の上で淫らに腰を振りまくった。両手を恋人繋ぎにして、夢中で俺のペニスを堪能してくれる。目の前でおっぱいが揺れて、可愛らしいみゆきが淫らな恰好になり、本能を刺激する淫靡さがあった。
「ああん♡ はあ♡ すごく、気持ち良い、です♡」
「みゆき、そんなに激しくされたら、またすぐに……」
「その時は、またすればいいですよ……♡」
「みゆき!」
俺は体を起こして、対面座位でみゆきの中を突き上げた。パンパンパン! と激しい音が部屋中に響き渡る。俺達は快感に震えながら、両腕を背中に回して強く抱きしめ合った。
「ん、あ♡ あ♡ 激しい……♡ ああん♡」
みゆきが一際大きく喘ぎ、乱れる。中を激しく突き上げていると、再び射精感が高まる。今度のは大きくなりそうな射精であった。
「みゆき、出したい」
「はい♡ 中で、このまま……♡」
「っ」
奥へペニスを突き出し、そのまま射精した。ブルブル! と中で大きくペニスが脈打ち、大量の精液を注ぎ込む。俺達は息を乱しながら、余韻に浸るようにディープキスを交わす。「春斗さん」
顔を話したみゆきが、とろんとした相貌を向けて来る。
「まだ、出来ますよね……♡」
「っ! あ、ああ」
みゆきは意外と積極的で、その日の夜はとても長く……長く、続いたのであった。