「もう起きるの……?」
朝。同じベッドで眠るかなでが、目をこすりながら問いかけて来る。まだ半分眠っているようで、どこかぼんやりとしている。
ベッドから俺が降りたから、その物音で起きてしまったのだろう。
「悪い。起こしちまったか」
「……ん」
かなでは寝ぼけながらも、俺へ向かって手を伸ばす。
「?」
行動の意味がよくわからず、近づく。するとかなでは俺の頭をそっと包み込んで手繰り寄せ、唇にソフトなキスをした。
「いいのよ。そもそも、あたしが押し掛けて来たのだから」
そのまま押し倒したくなる衝動をこらえながら、かなでから離れる。
「習慣でな。やることがある」
「早起きなのね。なにするの?」
「鍛錬だよ。ゆりに白兵戦を教えている」
「仲村ゆりさん……クラスSSSのリーダーね」
少しだけ、胸がちくりと痛んだ。
俺は戦線に加入はしていない。だけど、間接的に戦力として関与している。幹部に銃の使い方を教えたり、ゆりに白兵戦を教えている。
メンバーではないとはいえ、結果的に貢献してしまっているのだ。
故に、それらの行動は、結果的にかなでを裏切ることになる。
「厄介な人だわ」
かなでが欠伸をしながら、そんなことを言う。まだうとうとしていた。声もどこかふにゃふにゃしている。可愛い。
俺は制服に着替えながら、会話をする。
「まあ、手ごわい相手だろうな」
「ええ」
「かなで。俺はもう出るけど、どうする?」
「ふあ……眠るわ」
ぽてん、とかなでは横になった。
一緒に眠りたいぐらい可愛いが、約束だしな。ゆりのところへ行こう。
「……」
複雑な思いを抱えつつ、部屋を出る。
俺がやっていることは、ゆりや戦線を強くする。彼らが強くなれば、それだけかなでが不利になるということだ。
かなでが負けることだって、あるのかもしれない。
その時は……。
その時は……あれ?
「どう、なるんだ?」
そもそも、死がないこの世界で、どう勝ち負けがつくというのだろうか。
「そりゃ、神様を呼び出させることでしょ。一旦の、あたし達の勝利条件はね」
ゆりが体操着姿で、木を背に座りながら、そんなことを言った。
朝の鍛錬を終え、俺達は持ってきたタオルで汗を拭く。俺はペットボトルに入った水の飲みながら、空を見上げる。そこには綺麗な青空が広がっていた。この世界の空はとても綺麗で、生前見たものより綺麗な気がする。都会に住んでいたせいかな。
「神、か。まあ、そりゃそうか」
かなではあくまでも、通過ラインの一つに過ぎないのか。
「……どうでもいいんだけど」
「なんだよ?」
「変な噂を広めようとしないでくれるかしら。ちゃんと止めなさいよ、そして否定しなさいよ」
「噂? なんの話だ」
わけがわからず、首を傾げる。
「あたしとアンタが付き合っているっていう、デマの噂よ」
「ああ、あれか。そんな話したな。いいじゃねえか、俺は大歓迎の噂だぞ」
「あたしが困るのよ!」
「そうなのか?」
「当たり前じゃない! 大体、あたしとあんたがいつそんな関係になったのよ!」
「いつでもいいだろう。俺はお前が好きだぞ」
「あたしにはそんな気ないわよ!」
「冷たい奴だな、相変わらず」
「あのね! あたしは戦線のリーダーなのよ。何年神を憎んでいると思っているのよ! 恋心なんて浮ついた感情、これっぽっちも湧かないんだから!」
「ふうん」
「な、なによ」
俺がにじり寄ると、ゆりが後ずさる。だが、すぐに木にぶつかって逃げ道が無くなった。俺はゆりの体を抱きしめる。
「っ⁉」
ゆりが息を飲む。体操着に包まれた彼女の体は柔らかい。ブルマに包まれたお尻を触る。スベスベとしていて、手の形にへこんでいくその光景は、変なフェチニズムに目覚めそうであった。
「ど、どこ触ってんのよ……ん♡」
唇を重ね、舌を入れてやる。ゆりは拒むことなく、舌を絡ませてきた。むしろこちらの腰にぎゅっと腕を回して、体をぴったりとくっつけてくる。クチュクチュ、と唾液同士が溶け合う音がする。濃密なキスであった。俺はゆりの胸を体操服越しに両手で揉む。するとゆりは俺のズボンへ手を伸ばし、チャックを下げてペニスをしごいた。
「いいのか?」
「アンタがしたいなら、好きにしなさいよ……ん♡ あ♡」
ブルマ越しに性器を撫でてやると、ゆりが身をよじらせた。強気な態度ばかり出すわりには、ちっとも抵抗しない。むしろ欲してくれていた。その態度のギャップがたまらなくそそられる。
「やっぱゆりは可愛いな」
「他の女に鼻の下伸ばしているくせに、調子のいいことばかり……」
「まあ、そうだけど。でも、一番好きなのはゆりだぞ? メインヒロインってやつだ。多分俺は、魂レベルでお前に惹きこまれる運命なんだ。生まれ変わっても、巡り合えればまた、お前を好きになる」
「うっさい。口ばっかり。本当、ふざけた奴なんだから。あ♡ そこ、は……♡」
ゆりを立バックの姿勢にさせて、ブルマをずらす。俺はゆりのそこに、ペニスを当てた。ずぶずぶ、といやらしい感触と共に中に入る。ゆりの中は濡れていて、とても温かい。そのままグチュグチュ、と膣の中を突き上げる。形の良いお尻がブルマに包まれいて、そこに自分のペニスをぶち込んでいる絵面が、たまらなく情欲を刺激させられた。
「あ♡ ああああ♡ ああん♡ は、激しい……♡」
「ゆり……」
「春、斗くん……♡」
パンパンパン、と容赦なく、激しく腰を打ちつける。立バックの体勢のまま、体操服越しにゆりのおっぱいを両手で揉む。上着と下着越しでも感じる大きさと柔らかさを感じながら、ぐっちょりといやらしい膣の中へペニスを押しつけていく。ゆりの膣は時折きゅっと絞めつけてきて、俺のペニスを優しく刺激してくれた。
「アンタ、気持ちいいの……?」
「ああ。ゆりの中、すごい良い……」
射精感が高まり、腰の動きが早くなる。
「イっていいか?」
「ん♡ 中、出しなさいよ……♡」
「あああああ」
「んんんんん♡」
最後に激しい動きで腰を打ちつけた後、ゆりの中で果てた。射精は優しく受け止められる。ゆりはペニスを抜いて、くるりとこちらを向いた後、べっちょりと濃厚なキスをしてきた。
「んちゅ、くちゅ、ちゅ……♡ もう、朝からなによ」
ゆりはそう言いながらも、キスが終わっても顔を離さない。潤んだ瞳をじっとこちらを掴んで、離さなかった。
セックスをしてしまったこともあり、時間があまりなくなってしまった。俺達は身支度を整える。ゆりが去ろうとするが、その背中を手で掴んで引き留めた。
「な、なによ」
ゆりが顔を赤くする。
また襲われると思ったのだろう。だけど、ごめん。そういうことじゃない。
……今朝の、かなでの顔が蘇る。
俺はゆりのことが好きだし、戦線メンバーのことも好きだ。日向は良い奴だし、幹部のみんなは面白いし、ガルデモのみんなは可愛い。
だからこそ、迷う。じれったい。かなでの味方も出来ず、ゆりの味方も出来ない。中途半端な、紛い物。
それでも俺は、口にするしかなかった。
「俺はどんなことがあっても、ゆりの味方だ」
その言葉に、ゆりは目を丸くしたが、やがて呆れたようにため息をついた。
「戦線に入らないのに、よく言うわよ」
「悪い。矛盾しているし、きれいごとを言っているのはわかっている。でも、俺はさ。ゆりにも、戦線のみんなにも、かなでにも幸せになってほしい。それだけなんだ」
「……本当に、綺麗事ね。呆れちゃうわ。じゃあ、あなたにこの忌まわしい生前の記憶を消し去ることが、出来るのかしら?」
「出来ねえよ。わかっている。ここの奴らは誰だって、みんな過去の記憶に捉われている。それでも、俺は自分の信念は曲げない。今はまだ、みんなを救えるような、そんな都合の良い方法なんて、なにも思い浮かばないけど……でも、いつかはさ。誰もが少しは救われるよな、そんな世界にしたい」
「そう。そうなるといいわね」
ゆりは腕を振り払い、そっけない声で言った。
「期待しないで、待っているわ」
「……ああ。そうしてくれ」
「そ、それと……」
「ん?」
「……天使と、そんなに仲良くなったわけ?」
急に顔を赤くして、モジモジと尋ねて来る。
「元々仲は良いぞ? 同じ生徒会だしな」
「そ、そうじゃなくて……下の名前で、呼んでいるじゃない」
「ああ。なんかあいつ、俺の下の名前が好きだって言って、それでこうなった」
「ふ、ふうん。そう……」
ゆりはブツブツとなにか言いながら、去っていく。
そういえば、俺を下の名前で呼ぶのは、ゆりだけだったのか。