――「でも、あの時助けてもらって」
――「だから私は――」
『初めてのキモチ、生涯の相手』
「断・固・反・対です!」
盗賊被害がでていた村に行き、部下を数人仲間にできたので
城に帰り信用できる者を集めて報告していた時だった。
許攸…柳に、後二人
今反対をしたのがその内の一人、名前は…
「そんな事言われてもなぁ…、信用できる奴等なんだよ」
「そうだぜ龍二もこう言ってんだから、大丈夫だろ」
「アンタは黙ってなさい!龍二様!龍二様の軍師は私一人だけで十分です!
それとも…、私ではお嫌です…か?」
「そんな事ないって!只、一人だけだと何かあった時に大変だろ?
これでも"桂花"を心配してるんだ」
「龍二様ぁ…」
そう、今目の前で
手を胸の前で合わせながら上目遣いをしつつ、こちらを見ている人物――
かの有名な曹操に使え、王を支えるに等しいと言われ
「王佐の才」と謳われた。
後世にも名が残る、荀イク 文若その人だった…
◇◆◇◆◇◆
Side桂花
この間、救援の文が届き龍二様が向った。
私も行こうと思ったけど、「城を見ていてほしい」と言われたので
張り切って仕事をしてたわ。
まぁ、これが間違いだったみたいだけど…
やっと帰ってきたと思ったら、人数が増えていた…
龍二様に腹心ができるのはいい事なんだけど…
(それにしても、不思議なものね…、私がこ、ここまで男…の人を好きになるなんて)
私は昔から男性が苦手だった。
小さい頃など、知らない男の人には話もできなかったらしい
今でこそ、苦手程度には良くなっていたが。
でも、事件は起こった。
それは龍二様と仲良くなれた事でもあったけど…
―――
――
Side桂花end
◇◆◇◆◇◆
―数日前―
Side桂花
今日は夜間の数日に渡る集団調錬の日だった。
特に、今回は袁悠殿の隊が参加するらしく
皆やる気になっていた。
「麒麟児…ね、その能力を見させていただこうかしらね」
その中で、私は新人を纏めて隊を作り
遊撃の指揮をしていた
「さっさと陣を敷きなさい!、私は新人だからって甘くみないわよ!」
「「ハッ!」」
「「…ハッ!」」
その内の何人かは、袁悠殿が元山賊などでも採用すると聞き来て
尚且つ考えが甘い連中で嫌々従ってるのが見え見えだった。
「そこの!、やる気が無いなら辞めなさい!
面白半分で来られても私が迷惑よ!
家に帰って無い頭でも使いながら、汚らわしい事でも考えてなさい!」
「「…ハッ」」
「フンッ!まったく…、こんな連中を採用するなんてどうかしてるわ」
そんな風に文句を言っていた。
―――
――
それから、五日程たっていた。
「くっ…、流石麒麟児って所かしらね…」
親指の爪を噛みながら呟いた
私はここまで追い詰められるのは初めてだった。
こちらは新人とはいえ、2000人
しかしあちらは調錬した兵達だが500人しかいなかった。
それでも覆せなかった。
特には500人全員で、特には半分に分けて前と後ろから。
特には300人で守り精鋭100人による横撃だったりと、その攻め方は多種多様だったのだ。
そのせいで、私の兵達は疲労困憊で
神経を磨り減らしていた。
しかし極限状態になると、人の性格がわかる様で
始めの頃使えると思った者が実は偽りの性格だったり、我先にと逃げる様な奴だったり
使えないと思っていた者はこの状況に慣れ、今では小隊を指揮できるまで成長をしていり
(このやり方は極端だけど、悪くない…)
私は、ブツブツ言いながら
少し休憩しに、近くにある小川に向った。
――今思えば、これが私の運命の分かれ道だった様だ
「フゥ…、冷たくて気持ち良いわね」
考えすぎて熱くなった頭を冷やす様に、川の近くに腰掛け手をつけていた。
ボーっと手と足を川につけながら、夜空に浮かぶ満月を見上げていると後ろから音が聞こえた。
――振り向いたその先には
「へへっ、やっと見つけたぜ」
「まったく、てこずらせやがって」
始めの頃、嫌々従っていた新兵数人が
――目を血走らせ――
――ある人物は下品な笑みを浮かべながら――
――ある人物は凶器をちらつかせながら――
――こちらに近付いていた。
「ひっ!ち、近寄らないでよ!」
その異常な雰囲気に飲まれ、逃げる事もできなかった。
「きっ、汚い手で触らないで!」
男達はニヤニヤと、嫌らしい笑みを浮かべ手を掴む
「やめっ!キャァァ!」そして私は地に無理矢理寝かされ、衣服をはぎ取られていった。
Side桂花end
◇◆◇◆◇◆
今俺達は、集団調錬の最中だ。
しかも俺が鍛えた兵500人も参加した。
今回は夜間のみで、数日に渡り訓練をする
昼間は攻撃は禁止で、日が暮れてから開始され
ルールは、数日生き残るか、敵の大将を打ち取る事
ちなみに今回はかの有名な荀イク殿が敵さんの大将だ。
こっちはもちろん俺…、では無い
実は、前に自分の隊を作るので新兵達を見ていたら
動きが良いのがいたので引き抜いてみた。
そして名前を聞いたらびっくりだ
「かの有名な袁悠様に声をかけていただいて、わ、私は天にも登れそうです!
あの!私は姓が淳于、名が瓊、字が仲簡と申します!真名は浮華でし!」
そう、これまた官渡の戦いで被害を被った人達の一人だった。
それこそ、ホントにいずれ天に逝ってしまうかもしれないので
俺は彼女を鍛えた。
今では俺の隊の副隊長をして貰っている
なので今回は良い機会なので彼女を大将にしたのだ。
「龍二様、次はどうしますか?」
浮華は、目を逸らしながらそう聞いてきた。
始めの頃は、話しかけただけで慌てていたが
今では話してこれる様になった。
只、目は合わせられないらしい
前に試しに顔を両手で挟み真正面から見てみた。
すると面白い様に顔が赤くなり始め
マンガの様に頭から湯気を上げて、目をグルグル回しながら気絶してしまった。
それから三日程は姿をみただけで逃げ出していたが…
閑話休題
◇◆◇◆
「そうだなぁ、そろそろ新兵達もいいできになってるだろうから
仕上げるかな」
「なら最後は真正面から当たりますか?」
「そうするかね申し訳ないが、新兵達には世の辛さを見ていただきますか」
「ふふっ、そうですね。では私は他の部下に説明してきます
龍二様はいかがしますか?」
「俺はさっき見つけた小川に行ってくるわ
多分それから寝るだろうから、朝飯ぐらいに起こしてもらえるか?」
「えぇ、わかりました。では失礼いたします」
そう言って、後ろ髪数本を束ねて後頭部辺りでとめ
腰程まである美しい銀に近い頭髪を踊らせながら歩いていった。
―――
――
そして、俺はさっき言った小川に向っていた。
ちょうど敵さんの偵察にきた時には見つけたのだ
そろそろ着くので、今日は満月だから良い月見ができると期待しながら歩いていたら――
「やめ!キャァァ!」
川の向こう岸で悲鳴が聞こえた。
回りは薄暗く、向こう岸まではちゃんと見渡せなかった
しかし辛うじて、5人程が回りに立ち
1人が地面に1人を押し倒していた。
――この時、俺は死ぬ直前を思い出した
――強盗に服を破られる北条さん
――それを助け、隙を見せ刺される俺
きっとあの時泣いていたのは北条さんだ。
俺は、北条さんの心までは助けられなかった。
だからもう、そんな光景は見たくなかった
――だから俺は川にある岩を飛び移り
――押し倒している奴を
――前世の様に
「お前ら、何してんだぁ!」
蹴りあげた――
俺は、今この世界で、あの時の再現をする
今度は相手も、自分も守る様に――
―――
――
◇◆◇◆◇◆
Side桂花
服を破られ、汚い手が私の身体を触る
私は、悲鳴もあげる事ができず
キツく目をつぶりながら手足を動かし暴れた。
「チッ、暴れるんじゃねぇ!」
男は暴れる私に痺れを切らせたのか、手を振りかぶり殴ろうとしてくる
(怖い…こんな時に私は何もできない!)
怖さで動けづにいると――
「お前ら、何してんだぁ!」
声が聞こえて、身体が軽くなった。
私はゆっくり目を開る
――そこには、夜空に浮かぶ満月にも負けない程の金髪をしている
――広く、大きい背中が目の前にあった。
――私は、生涯この背中を忘れないと誓った。
――今、目の前で踊る様に戦い
――私を守る背中を…
――この空に浮かぶ、満月に誓って――
Side桂花end
◇◆◇◆◇◆
俺は、回りにいた奴を
時に足を折り、手を折り
特に覆い被さっていた奴は両手足をへし折ってやった。
そして片付け終わり後ろを向くと
そこにいたのは…
ビクッと身体を震わせながら
目が潤み、服もズタズタになり
地面に押し倒されたので泥だらけになった…
荀イク殿だった。
とりあえず俺は羽織っていた上着を脱ぎ、渡した
「とりあえず、これを」
「あり…がと、う」
震えながらそれをきて、気が緩んだのか声を上げずに泣き出してしまった。
「…ひっく、うぅ…ひっく…」
そんな姿を見たからだろう
柄にもなく
余り話した事もない彼女を俺はキツく抱き締めた。
「もう…大丈夫だから…安心していい、俺が守ったから
辛いんだから声を上げて、心から泣い方がいい」
荀イク殿は抱き締めた瞬間、大きく身体をビクつかせ身体を堅くした。
俺は、彼女の悲しみが無くなる様に
キツく、キツく、抱き締めた。
彼女は徐々に身体を柔らかくさせ…
大きい声を上げて、泣き出したのだった。
―――
――
やっと泣きやみ、安堵したのだろう
疲れて眠ってしまった。
しょうがないので自分の陣にお姫様抱っこで連れて行った
そしてすぐに浮華を呼び、先程の事を話して川に転がせた屑の回収をしてもらった。
ちなみにその時、浮華の視線が怖かったのを伝えておく…
閑話休題
◇◆◇◆
それからは大変だった。
直ぐに調錬をやめ、城に帰った
荀イク殿も落ち着いたが、一つ問題が起こった。
やはり多少恐怖が残っている様で、夜になると眠れないらしい
なので最近は俺の部屋にきては
一緒に寝る様になってしまった。
そこでまた違う問題が出るが、割愛させてほしい…
◇◆◇◆◇◆
おまけ
「袁悠殿、いいえ袁悠様
あの時は本当にありがとうございました。」
「いや、無事で何よりだよ」
「こんな事では足りないかもしれませんが、私の名前を受け取って下さいませ
私の名前は姓が荀、名がイク、字が文若です
真名を桂花と申しますわ」
「そっか、俺は姓が袁、名が悠、字が魄麒だ
真名は龍二ね、よろしくな」
「はい!私の身も、心も、貴方様に捧げますわ」
「は?」
「もう私は龍二様無しには生きられません!」
「ちょ?!お、落ち着くんだ桂花!」
「はぁん…、名前を呼んで頂けるなんて…」
「紅い顔して近付かないで?!」
「我慢などなさらないで…」
「おまっ、脱ぐなぁぁ!」
「お待ちになってぇ、龍二様ぁぁ!」
「どうしてこうなったぁぁぁ!」
皆さんども
梅干しです
いかがだったでしょうか?
ちなみに今回の桂花ですが
華琳にあってなければデレる筈!
をコンセプトに作られてます
気に入らなかったら申し訳ないです
しかし家の桂花は主人公ラブです!
すいますん!
では、まて次回~