【ふたなり】両性具有の少年少女の青春を描く実験小説 作:喋家月餅太
男子として高校に通う両性具有の葵が高校生の頃の話。
葵は彼女である佳菜子の家に遊びに来ていた。
放課後の制服デートの帰りにお互いの家が近所であることもあり佳菜子の家に寄った形だ。
制服デートとしても学校から家までの帰り道に公園に寄って自販機のジュースを飲んで少し話した程度だ。
この日は元々まっすぐ佳菜子の家に向かう予定だった。公園によったのも外が暑く喉が渇いたからという程度の理由だった。
二人共活発なタイプでデートは休日も放課後も色々なところに出かける。だが月に最低でも二回はこのように佳菜子の部屋でのんびり過ごす日がある。今日はその日だ。
佳菜子の部屋で過ごす理由は生理だ。今週は佳菜子が生理中で外に出かけると生理用品を変えたり体調の変化などの恐れもあるため落ち着いて部屋でのデートを楽しむことにしている。
月に一度ではなく二度このような時期が来るのは彼氏である葵の身体的事情もある。
生理は女性である佳菜子だけではなく両性具有である彼氏の葵にもやってくる。二人の生理周期はまだ思春期で不安定ということもあるが葵の生理が終わってだいたい一週間後くらいに佳菜子の生理が来る。そのため二人は月の半分は外へ出かけたいのを我慢して部屋での緩やかな時間を過ごしている。
今、佳菜子の部屋で二人はテーブルにコンビニで衝動買いしたペットボトル飲料とスナック菓子を並べ、ベッドを背もたれにして床に座っていた。二人の姿勢は手を繋いで少し寄り添い気味だった。
「なんかぼうっとしてると眠くなっちゃうね」
佳菜子は窓の外を眺めながら言う。
「ゲームでもする?」
葵はスマホをポケットから出して言う。
「そういう気分でもないかな。眠くなるけどこうしてたい。うーん、ねぇ葵。もう少しくっついてもいい?」
「いいよ」
「やったぁ」
佳菜子は眠そうな顔から笑顔になり葵にピッタリくっついた。
「生理辛い?」
「そんなことないよ。わたしが生理軽いの知ってるでしょ?」
「そう言っても辛くなることはあるからそういうのかなって思って」
「そう言えば先月は葵、大変だったもんね。今月は平気だったの?」
「うん。何だったんだろうね」
葵は先月の生理での腹痛と体調不良を思い出してた。葵も佳菜子も他の女子に比べてほとんど体調不良に見舞われない程度には生理が軽い。時折腹痛や貧血、精神状態の不安定さはあるものの何もできなくなるほどではない。
だが、先月は葵はそれまで経験したことのない不調に生理中襲われた。当初は何かの病気じゃないかと疑って病院に行ったが結局は生理痛だと分かった。
一般的に男性の生殖機能と女性の生殖機能を一つの体で両立している両性具有は生理は軽い傾向にある。だが、双方の生殖機能が綱引きのようにホルモンバランスを変化させるのでそれによる体調不良が起こりやすい傾向はある。生理の不調とは異なるがその不調が生理期間中に着て子宮に負担をかけたというのが医者の診断結果だった。
「大丈夫なの? 先週とかやせ我慢したりしてない?」
佳菜子は少し心配するような口調で言った。佳菜子は葵の事を心配しすぎる傾向がある。それも小学校の頃に胸の発育や初潮で男性としてのアイデンティティの危機を経験して苦しんだのを直ぐ側で見ていたし、中学時代に交際を始めた時に葵を担当するソーシャルワーカーの勧めで両性具有の身体についての説明を受けた。それで両性具有の体調や体質が非常に不安定なバランスの上に成り立っている事を知り何かがあったら自分が支えにならないとと考えてたからだった。
「大丈夫だよ。あの時がたまたまなだけで俺も相変わらず生理は軽いから」
「ならいいけど」
佳菜子はいつもより男の子っぽく振る舞う葵の横顔を見てその態度がやせ我慢や嘘じゃないことを理解した。葵は多くの男性として生きる両性具有がそうであるように外見的には女性に近い事から男性であることを特別意識する必要を感じている。そして、そのポーズはある程度余裕がないと維持できないのは思春期に入ってからの葵の様子を見て佳菜子は理解していた。
葵は余裕を持って男の子として振る舞っているのが表情から読み取れた。今月の生理は本当に辛くなかったんだろう。
(それにしても……)
佳菜子は葵の横顔を改めてまじまじと見た。
(かわいいよなぁ。男の子としても女の子としても。かわいいんだよね、あんまり言わないけどわたしにとって理想の彼氏なんだよね)
佳菜子は葵に気づかれないように横顔から少しずつ視線を下に下げた。夏服の葵は男子の制服を来ているがYシャツの下には小さいながらも立派な乳房がある。両性具有だから体つきが女性のそれなのは当然のことだ。佳菜子は高校の合格発表の日に一緒の高校に通える事が嬉しくて初めて身体を重ねた日から葵の男性器はもちろんのこと乳房や丸みを帯びた腰つきなど女性としての要素にも魅力を感じてきた。だからこうして二人きりでいるときはどうしてもそこに目が行ってしまう。
「佳菜子さぁ」
「は、はい!?」
葵は何気なく佳菜子のことを呼んだ。佳菜子はその時考えてた事を葵に悟られたらと思い驚いて声が裏返って答えた。
「眠いんじゃないの? 少し寝る? ベッドに横になるのはおじさんかおばさんが帰ってきたら言い訳できないけど、もたれかかるくらいならいいんじゃないの?」
「大丈夫だよ。生理中は眠くなるもんでしょ。寝るほどじゃないし、葵だって同じこと言ってたじゃない」
「そうだけどさ。佳菜子すぐ無理するから彼氏としては頼ってほしいよ」
「大丈夫だから。今は少ししか眠くないし……」
佳菜子はその後に続ける言葉を考えた。葵の身体をチラチラ見ながら考えてたことがある。それを言っていいものか迷っていた。
「ていうか、そんなこと言ってわたしにくっついてほしいんでしょ? エロいなぁ」
「否定はしないけど。一応、男性機能が活発になってきてるから我慢してはいるけどさ。お預けはしょうがないだろ?」
「そんな事言って。エッチなことしたいんでしょ」
「生理中だろ?」
「そうね。ねぇ、知ってる? わたしって生理中はすごいムラムラするんだ」
「え?」
「眠気よりそっちのほうが気になるの」
葵は困った顔をして佳菜子の事を見た。両性具有と女性はどちらも子宮と卵巣があるといっても体の仕組みは違うところもある。両性具有は性欲が男性機能に支配されている部分が強いので男性機能が劣位になる生理中は性欲が減衰して男性機能が優位になる生理と生理の間に性欲が増す。女性の場合は生理中も性欲があるのだろうかと葵は不思議に思った。
(とは言っても膣や子宮が雑菌に弱くなるし経血で布団汚れるしするわけにはいかないしなぁ)
生理が来ているのが逆であれば葵がタンポンを入れてセックスすることもできる。葵が佳菜子とのセックスで使うのはあくまで男性器だからやろうと思えば可能ではある。
(できればやりたくないけど)と葵はタンポンに苦手意識を持ってるのでたとえ求められてもやらないつもりでいた。自分は佳菜子の女性器にペニスを入れているが自分の女性器に何かが入るのは怖いと感じているからだ。
葵と佳菜子はしばらくお互いの顔を見合っていた。
(かわいい……)お互いに相手の事をそう思った。見つめ合って小さい頃から一緒で時折意識しなくなるお互いに惚れてることを再確認した。
佳菜子は葵の目を見ているうちに目を少し潤ませた。葵はその佳菜子の様子に気がついて佳菜子の性欲が本当だと直感した。
佳菜子は葵の胸元に手を伸ばしてYシャツのボタンを外してその隙間から手を入れた。
「ちょ、ちょっと……!」
葵は慌てて佳菜子の手を止めようとしたが佳菜子は構わず手をさらに奥に入れてYシャツの下のスポーツブラをめくりあげて葵の乳房を揉み始めた。
「何すんだよ」
「触るくらいならいいでしょ?」
「流石に俺、我慢できなくなる」
「何が?」
「何がって」
「ムラムラする?」
「するに決まってるだろ?」
「じゃあお互い様だ」
佳菜子の表情は真剣だった。相当ムラムラしてるらしい。葵は佳菜子のその様子を見て観念した。佳菜子は言い出したら聞かないところがある。こうなったら止められない。
葵は観念して力を抜いて佳菜子の手に自分の身体を委ねることにした。
佳菜子の手は最初こそ乳房を揉んでいたが次に乳首を刺激し始めた。葵はその感覚に必死に堪えていた。ペニスは勃起してこれは触らなければわからないがガマン汁も相当出ているはずだ。睾丸の裏の部分、膣もなんだかじんわりと熱い感じがする。確実に濡れてる。男性部分も女性部分も佳菜子の愛撫で反応しきってる。
「佳菜子、何かあった?」
「何かって?」
「こんなムラムラしてるって、何かあったとしか……」
佳菜子はYシャツから手を抜くと葵を押し倒してキスをした。しっかり時間をかけて舌を入れて。
「絶対何かあったよね?」
葵は佳菜子を見上げながらさっきよりも潤んだ瞳の意味をつかめず困り果てていた。
「ないよ」
佳菜子は葵の身体を舐め回すように見回した。
「いつも生理の時はこのくらいムラムラしてるの。おかしいかな?」
「それは両性具有と女で違うだろうからわからないけど」
「今もすごい濡れてる。触らなくてもはっきりわかるくらい」
「いつもって、どうしてんの? 普段ヤる時よりも激しいし」
「いつもは寝る前まで我慢してベッドに入ってからひとりエッチしてるよ。ムラムラしすぎてイッたあとも続けるくらいしてるけど」
「そんなに……?」
葵は佳菜子の言葉から一度に2回3回オーガズムに達してるんじゃないかと考えた。両性具有は男性のように賢者タイムがないのでオーガズムに達しても性欲は続く。だが、射精で体力を使い疲れてしまうので優しくペニスをさするなどして性感の余韻を楽しむくらいしかしない。佳菜子がオーガズムに複数回達しているなら葵については未知の世界だ。射精のないオーガズムは何度も続けられるようなものというのは聞いたことがあるが本当なのか、葵は想像を巡らせた。
佳菜子の性欲は相当なものなのだろう。だが、さすがに生理じゃない時に家でデートするときのようにセックスをするわけにはいかない。葵はどうしていいか分からなかった。
「葵、もしエッチしようって言ったらどうかな?」
佳菜子は葵が一番困ることを言った。葵は佳菜子が軽率な行動で好ましくない衛生状態に置かれる事はしたくない。ダメと言う他にない。
「わかってるよ。生理中にすることじゃないって。葵は普通の人より詳しい性教育受けてるもんね、しちゃいけないってのはわたしなんかより分かってると思う」
「それなら無理だってわかるだろ?」
「だからお願いがあるの」
葵は佳菜子の事を不安そうに見た。今日の佳菜子は表情の意味が読み取れないことばかりでもうどんな言葉が出てきても驚かなかった。そもそも生理中の彼女から押し倒されてセックスをしたいと言われてる状態だ。何を言われても覚悟はできてるつもりだった。
「今日はわたしの彼氏じゃなくて彼女になってほしいの」
佳菜子の言葉の意味を葵は理解できなかった。
「どういうこと?」
「女の子同士ってどんなエッチするか知ってる?」
「何それ?」
「女の子ってわたしもだけどちんちんがないでしょ? 女の子同士でエッチする時はちんちんのかわりに指をあそこに挿れるんだって」
「それが?」
「葵の女の子の方に挿れたいの」
「え!?」
葵は予想してなかった佳菜子の言葉に驚いた。葵は両性具有だが性自認は男性で性的指向の対象は女性だ。他の男子と同じ様にエロサイトやエロ動画を見たりする。レズものも見たことはあってそれがどれだけレズビアンのセックスの実際と同じなのかは分からないが片方がもう片方の膣に指を挿れてるシーンは見たことがある。佳菜子はそれを葵の膣にやりたいというのだ。
葵は言葉に詰まり、佳菜子は葵の様子を伺っている。無言で見つめ合っていた。
「抵抗ある?」
沈黙を破ったのは佳菜子の方だった。葵は抵抗があるかどうか以前に驚いて何も考えられない状態だった。
「葵って女の子の方は処女でしょ? 去年わたしは葵の童貞をもらったけど今度は処女ももらいたいの」
葵は困った顔をして佳菜子を見つめていた。
「だめ?」
目を逸らしながら葵は口を開くかどうか悩んだが正直にいうことにした。
「怖い」
葵は自分でも情けないと思いながらそう言った。男なら彼女に弱みは見せたくない。身体的には半分も男じゃない葵も性自認は男だ。だが、物心つく前から一緒で今更隠す間柄でもないから恥を忍んで言った。
佳菜子は目を見開いていた。
(そりゃそうだよね。自分が挿れたいばかり考えてたけど初めて葵に中に挿れられたのは私も怖かったし)
「格好悪いとおもったろ?」
「全然。わたしも葵と初めてした時痛かったし怖かったもん」
「男のくせにって」
「いや、葵以外の男の子は挿れられる側にまずならないし、その立場になったら男の子の方が怖がるでしょ」
葵は不貞腐れた顔で口を尖らせた。
(拗ねてる。かわいいなぁ)
佳菜子はそう考えながら口に出したら怒るだろうと思った。ただ、そんな葵をかわいいと感じた感情は身体の欲求を掻き立てた。
(葵の中の感触を知りたいし、中で感じて喘いでる声を聞きたい)
葵は彼女に格好悪いところを見せてる現実に落ち込みながらも佳菜子が十分にいやらしい目を向けてるのをしっかり見抜いていた。
「中に何か入るなんて経験してなきゃ怖いよね。まだそういう経験してないならしょうがないよ」
「佳菜子、あの時怖がってた?」
「えっ……?」
二人は初体験のことを思い出した。佳菜子は怖がるどころか葵に積極的に愛撫をし挿れてほしいとせがんでいた。
「怖かったから勢いつけてただけだよ。いや、めちゃくちゃエロい気分で歯止め効かなかったのはそうだけど。でも、葵に挿れられる時は怖かったんだよ。これは本当」
「ふーん」
葵は呆れたような声を出した。寄り添うどころか佳菜子は自分で墓穴を掘っていた。怖かったのは本当だがこれでは説得力がない。
「でも、指じゃ処女膜は破れないっていうし、優しくするから痛くないようにするから」
「うん」
「まだ何も挿れたことないから怖いのは……」
「佳菜子、それなんだけどさ」
「何?」
「俺、膣に何も入れたことないわけじゃないんだよ」
「何て?」
佳菜子は葵の予想しだにしなかった言葉に耳を疑った。
「まさか、男の子と浮気……」
葵は実際、表立って言葉にされてないだけで男子からそこそこモテてる。男子生徒だけども特に体つきを隠していないので女子として見ている男子もいる。佳菜子は一瞬クラスの男子に葵が抱かれている所を想像して絶望しそうになった。
「違うから。なんて事言うんだよ。内視鏡検査だよ」
「ないしきょう? 胃カメラみたいなやつ?」
「そう。両性具有の体はわからないことも多いから何度か中を診たんだ。だから内視鏡は俺の中に入ったことがある。他の男のちんこもないし、タンポンもないし、膣ではオナニーしてない。それだけ」
葵は恥ずかしくなって顔を赤くしながら言った。
「ちょっと残念だけど、検査ならエッチじゃないよね」
「当たり前だろ」
「タンポンはともかく、女の子の方でひとりエッチしてないのも安心した。あ、でも内視鏡で気持ちよくなってない?」
「なるわけないだろ。異物感しかないよ」
「ふーん」
佳菜子は下を向いて微笑んだ。
「じゃあ、わたしが葵の女の子の初めてもらっちゃえるんだ」
嬉しい気持ちになりながら佳菜子は少し照れた。それはこれからする行為が自分に望んだ様に葵にとって特別なものだと思ったからだ。自分が葵に処女を捧げた日の事を思い出しながら嬉しい気持ちになった。
「それじゃあ」
佳菜子は立ち上がって葵の手を取ってベッドへ誘った。
葵が立ち上がると佳菜子は葵をベッドに座らせる。
佳菜子は葵の目を見つめながら慣れた手付きで葵のワイシャツを脱がせた。小さな胸を包むスポーツタイプのブラジャーがあらわになる。続けてそれをめくりあげて葵の乳房をさらけ出した。葵は顔を赤くしながら両腕を挙げてブラジャーを外す佳菜子に身を委ねた。
それから少し迷ってから佳菜子は自分のブラウスを脱いでブラジャーを外した。
「俺が脱がしたのに」
「いいの。今日はわたしにエスコートさせてよ。ここから葵は彼女なの。彼氏じゃないの。いい?」
「『いい?』って。わかったよ」
葵は戸惑いながら恥ずかしさから目を閉じた。
佳菜子は続けてズボンを下ろし、そしてトランクスを脱がせた。葵は全裸になって乳房に続いてペニスと陰嚢があらわになった。
脱がせたトランクスの股間の中央部分つまり膣の部分と前方部分つまりペニスの部分には液体のシミができていた。愛液とカウパー氏腺液、つまりガマン汁だった。佳菜子はそれを見ると、硬くなって上を向いたペニスと合わせて葵が興奮している事を理解した。
全裸になった葵を上半身だけ裸になった佳菜子は抱きしめた。いつもセックスをする時の前戯の初めはこうして起き上がった姿勢で裸で抱き合うことだ。
(やわらかい。葵の胸の感触大好き)
佳菜子は自分の乳房に伝わる葵の乳房の感触とそこから伝わる体温にやすらぎを感じていた。初めて身体を重ねた日に自分と同じ様に乳房のある葵に戸惑ったものの、好きだという気持ちを抑えきれず抱きしめて乳房と乳房をくっつけた時の感覚が心地よくて毎回こうするようになった。
(本音を言うともう少し大きくてもいいかなって思うけど、小さいおっぱいは見た目がかわいいからやっぱりこれが好き)
葵も佳菜子の乳房の感覚を感じて上半身全体に快感が水の波紋のように広まるのを感じていた。
佳菜子は葵にキスをした。葵の唇はプルプルしてやわらかい。乳房と唇の二つの部分の柔らかさに佳菜子は夢中になった。時折舌を挿れたりしながら少しずつキスを激しくしていく。
「葵……!」
佳菜子は興奮が抑えられなくなって葵を押し倒した。
葵は驚いて目を見開いている。今まで正常位でセックスしてきたこともあり葵が佳菜子を押し倒した事は何度もある。だが、佳菜子が自分を押し倒したのは初めてのことだ。自分に覆いかぶさる佳菜子を見上げながら葵は今日の自分が「佳菜子の彼女」であることがどういうことか理解した。
これまで佳菜子に覆いかぶさりペニスの勃起具合に気をつけながら見ていた景色を気分とはぜんぜん違うまるで別世界だった。これから佳菜子に「抱かれる」んだ。
「佳菜子……」
葵は自分の口を指で抑えながら呟いた。
「何?」
「ちょっと怖い」
「力抜いて」
「うん」
葵は小さく深呼吸をしてこわばった身体から力を抜こうとした。
佳菜子はその様子を見ながら葵の身体から降り、葵の外陰部を覗き込んだ。
両性具有の外陰部はパッと見ペニスと陰嚢がぶら下がっており男性と同じに見える。だが、陰嚢をめくると男性と異なっていることがわかる。男性の陰嚢は一つの袋の中に二つの睾丸が入っている。だが、両性具有の陰嚢は左右に分かれておりそれぞれに一個ずつ陰嚢が入っている。そして後ろまで陰嚢が広がり後ろに行くに従ってシワが減っていく。女性を基準で考えれば大陰唇の前方が膨らんで陰嚢になっているような形だ。
シワがないあたりの陰嚢後方は中央に膣と小陰唇がありそれを挟んでいる状態になっている。
佳菜子は一年前に葵のソーシャルワーカーから両性具有の外性器についての説明を受けたがそこで見せられた図からの想像とおおよそ一致していた。
(ここが葵の女の子部分なんだ。わたしのとほとんど一緒だな。違うのはクリトリスがないのとタマタマが周りにあるくらい?)
閉じて割れ目になっている葵の陰嚢後方部と小陰唇を佳菜子は指でなぞった。するとヌルヌルした液体が指について少し滑った。
(パンツが汚れてたから分かってたけど、葵、十分濡れてるんだ。もう少し愛撫したらちょうどいいくらいかな?)
佳菜子は葵の股間を除くのを止め、葵の隣に横たわった。そして腕を伸ばして葵を今度は横になった状態で抱きしめた。
「俺の、見たんだよね?」
「しっかりとね」
「恥ずかしい……」
「わたしのを散々見たくせに」
「そうだけど」
葵は恥ずかしがっていた。佳菜子はそれが不思議に思えた。普段の葵ならもっとすっきりした反応をしそうにも思えるのだが。
「挿れるの?」
「まだよ。もう少しいちゃいちゃしようよ」
佳菜子はそう言って葵の背中にまわした腕の位置をずらして左右の手を葵の背骨に指を沿わせるように置いた。そしてその指を円を描くように撫で始めた。
葵は背中がそわそわするような感覚を覚えた。性感であることはわかるが経験したことのない感じだ。性器や乳首のような興奮をもたらす性感とは違う優しくてやわらかい感触だ。
佳菜子は葵の息がほんの少し荒くなっているのに気がついた。葵は感じてるとすぐに分かった。
葵は佳菜子の顔をじっと見た相変わらず潤んだ瞳、幸せそうに微笑む笑顔。恋愛感情に気がついた中学の頃からずっとかわいいと思ってきた佳菜子はいつもよりもかわいく見えた。
その佳菜子が優しく愛撫している。単にムラムラしてる気持ちだけじゃない、もっと心の奥からのもので自分に触れてくれている。
佳菜子は手を葵の前に持ってきて今度は乳房を揉み始めた。すでに上半身で感じている葵にとって胸を揉まれることは最初に揉まれた時よりも強く深い感覚をもたらした。
葵は本来なら自分も佳菜子の体に触れたい所だったが今日はその気持ちを抑えて佳菜子に全てを委ねることにした。
生理中だから愛撫で気持ちよくなってもその先が今日はできない。生殺しのようなものだ。それに今まで経験したことのない繊細な愛撫をされるのが心地良くてその優しさに体も心も預けたかった。
佳菜子も葵への愛撫に満足していた。これまでのセックスでは葵から佳菜子への愛撫の方が多かった。ペニスの勃起に比べて挿入に十分なくらいに膣を濡らすのはそれなりに愛液が必要だ。それに男女のセックスはどうしても男性が能動的、女性が受動的になる。だから葵に任せる事も多い。
それ以外にも佳菜子は今日は「女の子同士」としてセックスをしたかった。葵が普段出さないようにしてる女性的な部分をもっと愛したいという欲望があった。だからネットで調べた女同士のサックスの仕方をいろいろ試して身体中の性感帯を少しずつ感じさせることにした。
ネット上の知識では女同士のセックスは性器以外の愛撫に重きを置いている。女性の性感帯が全身に広く分布しているから可能な事だが、葵を抱きしめた時、同じことをして葵も感じるか不安だった。両性具有の性感帯は女性に近いのか局部周辺以外は一部を除き鈍感な男性の性感帯に近いのかがわからなかったからだ。佳菜子は男性との性行為を経験していないが葵の性感帯は調べた際に知った男性のそれとは異なり女性のものと同じようだった。
佳菜子はそうして感じている葵を愛おしく思いながら愛撫を続け、右手を少しずつ下の方、葵の足の付け根に伸ばした。
「挿れるの?」
「そうだよ。大丈夫?」
「少し怖い」
「痛かったら言ってね」
「うん」
佳菜子は葵をじっと見つめた。葵は目を逸らした。
「大丈夫。内視鏡痛くなかったんでしょ? わたしの指はそれより柔らかいから」
佳菜子の右手が葵の陰嚢の裏に届いた。葵を見つめながら小さな深呼吸を繰り返して葵にそれを促す素振りをする。葵はその意図を理解して佳菜子に合わせて深呼吸をする。
葵が落ち着いたのを確認すると佳菜子はゆっくりと葵の膣に中指を挿入した。
最初はそっと指を奥まで挿れて様子を探る。葵は疑問を浮かべるような顔をしている。
「どう?」
「内視鏡の時みたいな異物感」
「そう。これは?」
佳菜子は指を少しずつ抜いていき第一関節くらいまで来たところで再び奥に押し込んだ。ゆっくりピストン運動を開始した。
葵の膣は愛液で満たされていた。中のヒダが暖かく指に絡みついてくる。佳菜子は性感とは違う快感を指で味わっていた。
(気持ちいい。葵の中って、女の子の中ってこんな感じなんだくすぐったいとはちがう不思議な感じ。もっと触りたい)
佳菜子は指を出し入れするのを少しずつ早めた。
「気持ちいい、のかな。異物感は慣れてきたみたい。じわって弱い感覚がする」
「それだよ。わたしも葵のちんちんで感じてるから。続けるよ」
「うん」
葵の声を聞いて佳菜子はゾクっとする興奮を得た。葵の声がかわいい。普段意識して男の子らしく振る舞ってる葵の声のトーンから男の子っぽさがなくなっていた。アルトの音域の葵の声は今は女の子にしか聞こえなかった。
佳菜子はしばらく指の出し入れを続けた後、指を押し込む時に奥に到達した際指を曲げて向きを変えながら内壁を押し始めた。膣の内壁にある神経が集中している箇所を探すためだ。
「あ……あン……」
少し右斜上の内壁を押した時、葵はかわいい喘ぎ声を上げた。佳菜子はその箇所をもう何度か刺激した。
「あ………あぁぁぁ!」
葵が突如大きな声を上げて体を縮こませた。感じてる。
(ここだ。葵の『その』部分)
佳菜子は葵の「特異点」を刺激し続けた。葵は息を荒げながら見たこともないような激しい喘ぎ方をしている。普段、葵が挿入する時に射精するときにこんな様子を見せない。佳菜子も葵のペニスで膣を刺激されたときにこんな風にならない。ネットの記事で見た時は半信半疑だったがその特異点への刺激は相当強いものらしい。
「か、佳菜子ぉ……。す、好き……」
葵は息を耐えさせながら涙を浮かべて言った。まさかの愛情表現に佳菜子は驚いたが嬉しかった。
「葵、わたしも好きよ」
佳菜子は空いている左腕で葵を抱きしめた。葵も佳菜子を強く抱きしめる。
(もっとかわいい声を聴かせてほしい)
佳菜子は葵にキスをして手を動かす力を少し強めた。葵の膣の内壁がどんどん熱くなっている。ヒダの滑りも増している。膣の入口ではクチュクチュという音を立て始めた。そしてもう一つ。佳菜子の生理用ショーツを穿いた下腹部に当たる葵のペニスはさっきよりも硬くなっている。
唇を塞がれて声を出せない葵は必死に唇を動かした。唾液が潤滑油になって唇同士の絡み合いも激しくなっていく。
指を動かして内壁を葵の膣の刺激を強めた佳菜子は体中の感覚を研ぎ澄ませた。キスをする唇、柔らかさを重ね合う乳房、時折ぶつかり合う乳首、限界まで勃起したペニスがショーツ越しに当たる下腹部、愛液と体内の体温で包まれた右手中指。ペニスを挿入されるときのような粘膜同士の刺激はないがコンドームのような遮るもののないダイレクトな感覚は佳菜子を満足させた。
葵は意識の理性の土台のようなものが明滅していた。頭の中は膣の刺激に支配されていた。多少の残った余裕も唇や乳房に触れる佳菜子の感触で埋め尽くされる。
「んッ!!」
佳菜子に唇を塞がれた葵は息と声帯の振動だけで声を上げた。その瞬間、葵は体全体を痙攣させた。膣とペニスに強い感覚が起こりそれが全身を駆け抜けた。
「あぁ! ああぁぁぁ!」
全身の痙攣で離れた唇から葵は激しい喘ぎ声を出した。その後は身体を小刻みに震わせている。そしてぐったりと脱力した。
「イッたの……?」
微かな理性の中で言葉を思いつかない葵は佳菜子の問に小さく頷いて答えた。
葵は視界と意識が薄らぐ感覚を覚えた。何度も男の立場で佳菜子と身体を重ねたりオナニーをしたりして味わったオーガズムだった。ただ、ペニスで経験したものとは質も強さも全然違った。
佳菜子は指を葵の膣から引き抜くと両手で葵の手を取った。祈りを捧げるような姿勢で手を繋いだ。
「かわいいなぁ。葵のその顔。そんなに気持ちよかった?」
「……うん」
葵は絞り出すように声を出した。佳菜子は満足そうな顔をしている。だが、葵の視界は霞んでおりはっきりとは見えない。
「俺、変になりそう。ねぇ、佳菜子。抱きしめて」
甘えた声で葵は言う。
佳菜子は体制を変えて両腕で葵を抱きしめようとしたがその時、腹部から胸までの生ぬるい感覚に気がついたので少し葵から身体を遠ざけてその部分を見た。
葵は佳菜子が自分から離れた事に少し不安を覚えた。
「あーあ。どうしよう」
「どうしたの?」
葵も佳菜子の腹部に目を向けた。
「ごめん……」
白いドロッとした液体が佳菜子の腹部や乳房の間に掛かっていた。葵はさらに舌を向けると亀頭先端の包皮でできたカルデラ状の谷に同じ白い液体が溜まっていた。精液だ。
「女の方でイッても出るの……?」
葵は驚きで意識がはっきりしてくると同時に困惑と佳菜子がそれについてどう思ってるか不安になった。精液の範囲は下腹部から胸まで。生理用ショーツにも掛かっている。
「そっか。こういうところは男の子なんだね」
佳菜子は特に気にしている様子もなくティッシュを取って精液を拭き取った。
「佳菜子、ごめん。俺、知らなくて」
「怒ってないから気にしないで」
「生理用のパンツも汚しちゃって」
「これパンツの上から穿いてるやつだから。葵だって穿いてるでしょ?」
「うん」
「水分弾く素材だし、夕方にお風呂の時に穿き替えるから大丈夫。ティッシュで拭いたしとりあえず気にしないで」
「でも」
「いいの。あと、ちんちんに少し付いてるね。取るからちょっと待って」
「いいよ自分でやるから!」
葵は慌ててティッシュを取ろうとしたが、佳菜子は構わず葵のペニスに顔を近づけて亀頭を舐め始めた。
「え……!?あぁっ……!」
葵は驚くと同時に亀頭に佳菜子の舌が触れる快感で喘いでしまった。
(精子ってこんな味なんだ。変な味。でも、葵の分身。わたしの中に入ってくる)
一通り舐め終わると佳菜子は満足そうな顔をして葵を抱きしめた。
「精子舐めた口でキスは嫌でしょ? 後でうがいしに行くからキスはそれからね」
「舐めるとは思わなかった。最後は彼氏に戻っちゃったね」
「精子はそうだけど、舐めたのは彼女の範疇だよ」
「どうして?」
「女の子同士のエッチの仕方を調べたのを一通りやったんだけど、クリトリスを舐めるってのがまだだったからね。葵はクリトリスないけど、ペニスとクリトリスは大きさが違うだけで同じものだって言うし」
「何それ?」
「精子だって膣でイッた結果だし、まぁ、潮吹きだと思えばいいし。今日はちゃんと葵は彼女だったよ。今ももちろんね」
「あんまりよくわからないけど」
「語尾がさ、「だろ」じゃなくて「よ」になってるんだよね。おっぱいくっつけあったあたりから。あと語気がやわらかくなった。結構喋り方が女の子っぽくなってる」
「うそ!?」
「本当。今のもいつもの葵なら「うそだろ」って言うもん」
「意地悪だなぁ」
「でも、そんな葵がかわいい。男の子と女の子が混ざった感じは両性具有だから当たり前なのかもしれないけど、女の子の方に寄った日があってもいいと思うんだ」
「彼女としてそれでいいの?」
「わたし、女の子も好きなのかもね。初エッチのときも葵のおっぱいに興奮したし。葵限定なのかもしれないけど」
葵は二次性徴が始まってから男じゃなくなる恐怖とずっと戦ってきた。でも、今日始めて女でいてほしいと言われて最初は戸惑ったけど、どこか心地よさを感じた。
膣を刺激された快感に騙されたのか、自分の性自認に女性としての部分もあるのかはわからない。でも、時々は佳菜子の彼女でいてもいいかなと思った。
「ねぇ、佳菜子」
「何?」
「俺のこと散々刺激して自分はお預けだけどいいの?」
「ムラムラしてるよ。過去最高に思いっきり濡れてる。でもいいの、いつも通り寝る前にひとりエッチするから」
「この後、ちゃんと手を洗うから俺が佳菜子のクリをいじっちゃダメ? クリいじるだけなら大丈夫かなと思って」
「いいの? 血がついちゃうかもよ?」
「経血は自分の生理で慣れてるし、終わった後手を洗えばいいから。あと、俺も佳菜子の指を愛液まみれにしたし上半身精子まみれに舌からおあいこだと思うし」
「じゃあ、してもらおうかな」
前戯ではなくオーガズムを目的に葵にクリトリスを弄られるのは今まで経験がない。自分にないクリトリスをどんな風に刺激されるのか佳菜子は楽しみに思った。
「でももう少しこのまま抱き合ってていいかな?」
佳菜子は葵の頭を撫でながら言った。
「うん。まだいいの?」
「葵のおっぱいの感触をもうちょっと味わいたい。これをおかずにクリトリスいじられたい」
「いいよ。俺も佳菜子の胸をもう少し感じたい」
そのまま二人は抱き合っていた。
この後そう時間が経たないうちに佳菜子はうがいを葵は手洗いをしに行き佳菜子から葵への愛撫が始まる。
その行為への楽しみさから佳菜子は膣からの愛液を増やし、葵は射精で半勃ちになったペニスが再び硬くなっていった。
それから佳菜子の生理中には今日のように葵の膣への挿入が二人の定番になった。その他にも葵は自分の女性としての部分を少しずつ受け入れ少年然とした雰囲気から中性的に時には女性的になっていった。
彼氏でもあり彼女である葵とその彼女である佳菜子は今日の愛の確かめ合いを堺にもっと深いものになっていった。