【ふたなり】両性具有の少年少女の青春を描く実験小説 作:喋家月餅太
「淳美先輩、好きです。あたしと付き合ってください!」
ありふれた言葉だが真剣な言葉を淳美は春先の公園で告げられた。
今日は一年前に淳美が卒業した高校の卒業式だ。在学中から親しかった後輩の絵里香から卒業式後に高校近くの公園に呼び出しを受けていた。
淳美は浪人生で一年の浪人生活を終えて志望していた大学に合格して春から大学生になるのを控えていた。
絵里香も同じ大学を志望しており、お互いに受験のことを相談しながらこの一年間一緒に勉強してきた。
春からは高校時代の先輩後輩から同級生になる間柄だ。
一週間前にこの呼び出しを受けた時に春から一緒に学ぶ仲間として、先輩として過ごす最後の時間に喫茶店でケーキセットでもお祝いとして奢ろうとしていた。そして待ち合わせの公園に着いて告げられたのがこの言葉だ。
淳美は戸惑っていた。告白を受けるなんて思っていなかったからだ。
絵里香が女の子を好きなのは知っている。高校時代に彼女がいたし、その彼女と別れて落ち込んでいるのを慰めたのは他ならぬ自分だ。
自分はこれまで男の子に恋をしていた。片思いの辛さや告白されて悩みながらも事情があって振ったこともある。恋愛は男の子とするものだと思ってきた。
そんな淳美に手と声を震わせながら真剣な眼差しで想いを告げた絵里香の姿はとても可愛らしく見えた。絵里香のこの真剣な顔の次の表情を泣き顔にしたくなかった。懸念はあるが答えはすぐに決まった。
「ありがとう。うれしい。わたしと付き合ってくれる?」
彼女ができるというのはピンと来なかったが、交際するための言葉をこちらから言った。他になんて言っていいかわからないからでもあるが可愛い後輩をリードしたい気持ちもあった。
「本当ですか!? あたし、女ですよ。先輩、男の子が好きって」
「正直びっくりしたけど、絵里香ちゃんならって思ったの。女の子がどうなのかはわからないけど」
「嬉しい……」
絵里香は手で口を覆い目からは涙を流した。よほど嬉しいのだろう。嫌じゃない、程度の気持ちでOKした自分に罪悪感を感じながらその姿はやはり可愛いと思えた。
ただ、すぐに淳美は冷静になった。絵里香と付き合うにあたり教えなければならない秘密がある。後でとも考えたが、それが身体を重ねる日のことなら騙し討ちになってしまう。今言うのがフェアだろう。
「わたしの方からも聞いてほしい事があって。あそこのベンチに座ろうか」
「はい」
絵里香は少し淳美の言葉を恐れるようなそぶりを見せながら頷く。そして、公園の奥にあるベンチに二人は腰掛けた。
「絵里香ちゃんとお付き合いするのに話しておかなきゃと思ってね。でも、誰にも言わないでほしいの」
「はい」
絵里香は頷きながら何を告げられるのかと不安になった。これまで好きな男の子がいても告白をせずにその相手に彼女が出来たことを知り泣くことになったり、男の子に告白されて振って後悔するしてるようだったりするのと関係あるのだろうか。絵里香は考えを巡らせたが全く見当がつかなかった。
「告白してもらったけど、わたしのこと嫌いになるかも」
彼女は数分で破局という笑えない冗談を考えたが、本当になるかもしれないし絵里香に対して言うには酷いことでしかないのでそこで言葉を止めた。
「嫌いになんかならないですよ。あたし、ずっと淳美先輩のこと好きだったんですから。ずっと受験勉強しながら今日を楽しみにしたたし……」
「じゃあ、希望を持っていいかな」
「はい」
淳美は一度、絵里香の目を見てから下を向いて顔を向けて股間に両手をそっと置いた。
「わたしね、ここが絵里香ちゃんと違うの。絵里香ちゃんというか女の子みんななんだけど」
淳美は怖がるように少し苦しそうに言った。
絵里香はその言葉を聞いて意味が分からなかった。自分と違う。その場所はおしっこの出る場所だ。見当がつかず色々考えてふと保健の授業と去年、女の子のように可愛らしい顔立ちで人気の男性アイドルがしたカミングアウトを思い出した。おしっこの出る場所が違うと女の子が他の女の子に言うとしたらそれしかないだろうと思った。
「先輩、両性具有なんですか……?」
「そうなの……」
「そこに、あたしについてないものが付いてるってこと?」
「うん、男の子の部分がね」
絵里香は驚いた。両性具有なんて保健の授業や少数のカミングアウトしている有名人くらいでしか存在を知らないからだ。まさか、自分の知り合い、それもずっと片思いをしていた相手だと思わない。そのくらい珍しい存在だ。
「女の子が好きなのに、一応女の子の部分もあるとはいえ、男の子のが付いてるのは抵抗ないかなって」
淳美は絵里香の反応が怖かった。これまで淳美は両性具有であることを友達にも秘密にしてきた。両性具有という存在を人がどう思うかがずっと怖かった。女子だというのに男性器をまたにぶら下げているのは気持ち悪いかもしれないし、怖いかもしれない。自分がその気になれば女性を妊娠させることが出来る身体だからだ。
男性からしてもどう捉えるのかが怖い。これまで片思いで諦めたり、告白してきた男子を振った理由は自身の身体が原因だ。
絵里香は自分のほんとうの性別をどう思うだろうか。
「あたし、先輩が好きなんですよ。淳美っていう人が。その両性具有って本とかテレビでしか存在を知らないですけど、確かにびっくりしましたけどそれが付き合う事の障害になるとは思わないです」
「本当に?」
「それにあたし、もともと男の子が好きなんですよ。初恋もだし、元カノの前に男の子に振られてますし。元カノと先輩がたまたま女の子だったってだけで。うまくいえないですけど、両性具有でも女性でも関係ないです」
絵里香は息継ぎせず早口に一気に言った。言い終わったあとで息が上がっていた。淳美は絵里香のその様子を見てどれだけ真剣な気持ちで告白してくれたのかを見せられたように思えた。
「ありがとう。わたし、ずっとこの身体だから恋愛なんて無理だって思ってたの。受け入れてくれるのすごく嬉しい」
淳美は安堵した気持ちになった。気持ち悪がられる事が本当に怖かったからだ。絵里香も同時に安堵した気分になった。両性具有であるかどうかじゃなく淳美が自分を好きになってくれる事を付にしたくなかったなかったからだ。
「でも、先輩、気が早すぎます」
「え?」
「先輩、すぐエッチしたいんですか?」
「そ、そんなことないけど」
淳美は驚いた。絵里香の言葉が予想外だったからだ。
「あたしはゆっくりお付き合いして、お互いにしっかり好きになっていきたいです。多分、その時がきたら戸惑っちゃうと思うんですけど、それまでは普通に女の子同士ですよね?」
「そうね。どうしても気になっちゃって」
「でも、先に教えてくれてよかったです。よく分かってないですけど、両性具有って特有の苦労とか悩みとかあると思うんで、知っていればそれを分かってあげられると思うから」
「うれしい。絵里香ちゃん、やさしいのね」
「それだけ好きなんです。あたしはあたしが好きなのと同じだけ先輩にあたしを好きになってもらいたいんですから」
告白されてOKするということは相手がまだ恋愛感情がないかまだ弱いかだ。絵里香はこれから淳美に好きになってもらわなければいけないことを理解していた。だから秘密を話してもらえたことは嬉しかった。
淳美はその言葉にいざその時が来た時に今と同じように思ってもらえるかは不安だが、まずは信じて自分が絵里香を好きになる事を頑張らないとと思った。
お互い、これから恋人という関係を作っていかなければならない事を自覚していた。
「あと、あたしからもいいですか?」
「何?」
「明日から先輩のこと、淳美って呼んでもいいですか? 喋るのもタメ語で」
「いいよ。四月からは同級生だもんね」
「それだけじゃなくて、彼女だからです」
絵里香は顔を赤くしながらふてくされた様子を見せた。自分でも「彼女」と言って照れてしまっていた。
淳美も「彼女」の言葉にドキッとした。そう、すでにふたりは彼女と彼女だ。
「そうだね。わたしも絵里香って呼んでいい?」
「もちろんです」
「呼び捨てもタメ語も今からでいいよ」
「まだ今日の間は高校生ですから。淳美先輩の後輩ですよ」
「明日から?」
「はい」
二人はその後、先輩後輩として過ごす最後の日を噛みしめるように話し続けた。絵里香はこのあと両親が迎えに来て近所の親戚への挨拶回りをしてそれから、同級生たちと食事に行く予定だ。それまでのギリギリまで二人はこれからの事を話し合った。
淳美と絵里香が付き合い始めてあと一月半で一年になる。
テスト期間が終わって春休みに明日から入るという日、二人は大学の帰りにデートをする約束をしていた。
淳美も絵里香も実家暮らしをしている。隣の市にある大学に通っているため、登校時は乗り換え駅で待ち合わせて一緒に行き、帰りも他の友達と約束がない日は大学近くや乗り換え駅周辺で二人で過ごしてから帰っている。
お互いの家も訪ねたりもするがどちらの両親にも付き合っている事は言っていない。絵里香は同性が好きだという事を伝えるのに躊躇しているし、淳美も性自認が女性だが女の子と付き合うとなると両親を心配させるので慎重になっている。
二人はキスも昨年の春のうちに経験したし、ふざけて胸を触り合ったこともある。だが、セックスはまだしていない。
実家暮らしなので家に呼んでも無理だし、ラブホテルに行くにも勇気が出ない。踏ん切りがつかず、デートをして時々、人目を盗んでキスをするので今のところは満足できてもいた。
そんな二人はテスト最終日の今日もいつも通り街でデートをすることにした。テストは午前で終わったので乗り換え駅まで移動して駅前のカラオケに入った。
大学の周辺であればテストから解放された学生たちで溢れているが乗り換え駅まで来たら幾分落ち着いた状態だ。時期的にも時間帯的にも高校生たちがまだ街に繰り出していないというのは大きい。
カラオケに入るとまずは腹ごしらえと食べ物をいくつか注文した。
二人でカラオケに来る時は店の目的通りに歌うこともあるが二人きりになれる空間でのんびり過ごす事もある。
メディアでは市民権を得ているとはいえ同性同士のカップルは大っぴらにしづらい面も大きい。本音を言えば堂々といちゃつきたいが周りの目が気になるし、友人たちで二人が付き合ってる事を知ってるのは僅かで隠しているのもありこうして閉鎖空間でのデートを選択する事も多い。
「ねぇ、淳美」
絵里香はハンバーガーに付いているポテトをつまみながら言った。付き合い始めこそどこかわざとらしかったが、先輩呼びをやめて呼び捨てになった事に絵里香は完全に慣れていた。とても自然な呼び方だ。
「春休みなんだけどね」
呼びかけるのに続けて絵里香は言葉を続けた。
「そう言えばあんまり予定決めてなかったね」
「うん、だからさあたし、プランを考えてきたんだよね」
「そうなの?」
「あのさ、少し遠出しない? 隣の県とか」
「それって……」
「もちろん泊まり」
絵里香は淳美の方をじっと見て行った。
淳美は絵里香の意図をその表情から察した。それと同時に緊張を覚えた。
「そろそろあたしたち、エッチしたいなって思って」
「そ、そう……」
「嫌?」
「嫌、じゃないけど、そうよね、そろそろ一年だもんね」
「でね、恋人同士で初めてなら温泉がいいかと思って手頃な宿を探してきたの」
「あ……」
淳美は何かを言いかけて顔を曇らせた。
もしかして、絵里香は淳美の身体のことを忘れているのではないか。付き合ってから1年弱。二人は淳美が両性具有であることを意識することなく交際してきた。セックスをまだしていないというのもあるが、日頃のデートでそこを話題に出すことは少ない。
せっかくの提案だが温泉に行くというのは乳房を持ちながら男性器を股間にぶら下げいる淳美が女風呂にも男風呂にも入れないことを考えると首を横に振るしかない。淳美は絵里香がせっかく考えてくれた一年記念であろう旅行を袖にする事に抵抗があると同時に両性具有であることを申し訳なく思った。
「淳美、大丈夫だよ。淳美といっしょに入れる温泉を見つけたの」
「え?」
「ちょっとこれ見て」
絵里香はカバンからタブレットを取り出して淳美にウェブページを見せた。
「家族風呂って聞いたことある?」
「家族風呂?」
「そう。こんな感じ」
そこには三、四人が入るくらいの小さな浴場の写真があった。見出しにも家族風呂と描いてある。
「このくらいの大きさの小さな貸し切り専用の浴室がある温泉なの。ここなら入れる時間は予約した時間だけになっちゃうけど、あたしたちしかいないし淳美が入っても平気でしょ?」
淳美は想像もしていなかったものを説明され目を見開いた。つまり、自分と絵里香以外誰も入ってくる事のない状態で、誰にも見られる心配をせずに温泉に入ることができる。
「こんなのがあるんだ。うん、いいね!」
淳美は自分の人生の中で二度と縁のないものだと思っていた温泉にまた入ることが出来るということと絵里香との温泉旅行を楽しむことが出来ると思い嬉しくなった。
「これなら淳美と温泉いけるよね。ここでいいかな?」
「うん」
「嬉しそうで良かった。泊りがけで行くならこういう所がいいと思ったの。淳美って温泉入ったことある?」
「小さい頃ならあるよ。十二歳に行ったのが最後。それが人生最後の温泉だと思ってたから嬉しい」
「その時はどっち入ってたの?」
「男湯。胸が膨らむ前までで、ちんちんがついてるから男の子にしか見えないからね」
「髪の毛は?」
「その時はショートだったよ。あとは七歳までは女湯も入ってた。七歳までは子供はどっちも入れるからね」
「そっかぁ。露天風呂とか大きいお風呂とかは無理だけど、二人きりで温泉入れるなら喜んでもらえるかなと思ったけど、よかった」
「ありがとう。考えてくれたんだね。温泉、大好きだったんだけどもう二度と入れないと思ったから本当に嬉しい」
絵里香は淳美が笑顔と同時に目元に涙を浮かべているのに気がついた。
付き合い始めてから最初の日のカミングアウト以外は時々、トイレの事が話題に登った時以外はほとんど両性具有であることを意識せず女の子同時として接してきた。自分と何も変わらないと思っていた淳美は男女どちらでもある身体に生まれて自分の知らないつらい思いを大きいことから小さいことまで経験してきたのだろうと絵里香は思った。
喜んでもらえて絵里香も嬉しかったが、それと同時に淳美に幸せを感じてもらえることを沢山してあげたいとも思った。
「そういえば……」
淳美はタブレットに表示された旅館のウェブページを見ていたところから顔を上げて絵里香の方を見た。
「わたしたち、事情が事情だからうちの両親に付き合ってる人が居てその人が女の子だって言わなきゃいけないんだけどいい?」
「え?」
絵里香は淳美の言葉が予想外で驚いた。ほとんどの友達にも話してないのと同じように、お互い両親に交際のことは話てなかった。やはり両親に女同士で付き合っているというのは異性と付き合っているのと違って簡単に言えることではない。
「カミングアウト、するの?」
「誰かと旅行、それも二人きりでってなるとわたしは相手が身体のことを知ってるってなるでしょ。それが恋人ならなおさら」
「そうだね」
「わたしは女の人とも男の人ともどっちとエッチしても子供が出来る身体だから、恋人との旅行ならちゃんと話さないと両親が許さないと思うの」
絵里香は少し怖いと思いながら淳美の話すことを聞いていた。前に淳美が両性具有であることは家族以外では信用できる人以外には隠して来たと言っている。別に特別親が厳しいとか知られてはいけない一族の秘密のような大げさなものではなく受け入れる用意のある相手以外には話さないという処世術だというのは理解している。
絵里香は自分が付き合っていることも淳美が両性具有であることもこっそり知っている状態だ。確かに話さなければいけないかもしれない。筋を通すというものなのだろうと思った。
淳美の両親は友達として会ったことがあるがとてもいい人達だ。きっと理解してくれる、だろうと思った。
「旅行に行くってことは、両親もエッチすることは想定すると思うの。いい大人なのに親のことを出してきて申し訳ないけど……」
旅行の目的は初エッチだ。普段は女同士のカップルである二人だがその面では男女だ。そこはちゃんとお互いが軽い気持ちで付き合っていないし、ちゃんとするべきことをする事を理解してもらわなければならない。淳美は両親にとって年頃の娘だし、交際相手が女性なら息子であるのと同じだ。
「わかった。あたしは挨拶しに行ったほうがいい?」
絵里香は意を決して淳美のすることを受け入れる覚悟を決めた。
「一応、わたし一人で話すよ。付き合っている人がいて、その人が女の子で、両性具有であることを知ってる事をね。もし、会って話したいと言われたら来てもらえる?」
「もちろん。その、お父さんに怒られる覚悟はしておくから」
「怒られる事はないから。よろしくねって一言言いたいとかだから。妹の彼氏が遊びに来たときも和気あいあいとしてたから大丈夫」
「でも、あたし、淳美の家の秘密を知っちゃったから」
「わたしが両性具有なのを知ってる友達は少ないとはいえ他にもいるから大丈夫」
「怖いけど、でも、淳美のためだから。報告してきて」
「うん。ありがとう。ごめんね」
「淳美の事情を考えればそうなるよ。ちょっとそこは考えておかなくてごめんね」
絵里香は心配そうに言った。淳美はその様子を見てどこかで心配を軽くしてあげなければと思った。
まずは両親に報告してどうしたらいいか考えよう。絵里香からの淳美への好きという気持ちは淳美は常に感じている。淳美は自分がそれを返せているか少し不安だった。さらに心配をかけてしまったのだからこの旅行からはきちんと返してお互いに好きを対等にしていきたい。
「ねぇ。あたしも親にカミングアウトしたほうがいい?」
「それは。わたしはもう少し余裕が出来てからでもいいのかなって思う」
「でも、それじゃフェアじゃないよ。淳美にばかり負担かけてて」
「最初から男でも女でもないわたしと違って、絵里香は普通の女の子として生きてきたんだからそこで同性愛者であるって言うのはちゃんと準備してからにすべきだと思う」
「うん……」
「それにその時はわたしが両性具有であることを言う必要もあるだろうし、両性具有をどうやって説明するかも考えなきゃね」
「そっか」
両性具有というものが社会で受け入れる諸制度ができて二十年ほどになるが、まだその存在を知らない人もいるし、よく分かっていない人もいる。性同一性障害と混同する発言を著名人がメディアでして批判されたり、週刊誌で取り上げられたりもまだまだ多い。淳美たちのように保健の授業で習って存在を認知している世代はいいが、絵里香の両親がきちんと理解しているかは考えておく必要がある。もし理解していなければ交際を続けるために説明画必要になるだろう。
「負担はかけちゃうけど、急いで辛くなるような事は彼女としてはしてほしくないよ。これは幸せに過ごすためにすること、でしょ?」
絵里香は両親に事情を告げるという淳美が言った時に不安に感じていたが、少し「それでいいのかな」と思いながらも「幸せに過ごすため」という言葉にどこか救われた気がした。
「まず、温泉を楽しむことを考えよう。この七年間、生涯諦めなきゃいけないと思ってた事を絵里香が可能にしてくれたんだから。嬉しいのよ」
淳美は絵里香の手を取って言った。絵里香はその淳美の手から伝わる体温に救われた気がした。
絵里香は淳美との交際で自分は大好きな淳美を幸せにすると無邪気に考えていたが、二人で幸せになるために努力をしていかなければならないのだろうと思った。
淳美は自分のカミングアウトにはそれほど心配はなかったが、絵里香を不安にさせてしまったことを申し訳なく思った。絵里香にいい知らせを早く届けたかった。
それから淳美はタブレットで絵里香の提案した温泉旅館の詳細を表示し、特に言葉を交わすことなく二人で見始めた。
そして、タブレットを見ながら寄り添っていた二人はガラス戸の向こうに誰も居ないことを確認し、どちらともなくキスをした。
絵里香はそのキスに淳美の「大丈夫だよ」というメッセージを感じて愛おしくなってそっと淳美を抱きしめた。
淳美はそんな一連のスキンシップでちんちんが勃起していた。この勃起する部分が絵里香を幸せにできるのか少し疑問に思いながら絵里香の体温を感じていた。
特に心配をしていたわけではなかったが、淳美の両親へのカミングアウトはあっさりと終わった。
予想はしていたが、娘に恋人が出来たことを両親は喜んでいた。ずっと淳美を女の子として育ててきた両親ではあるが交際する相手が男女どちらでも構わないと考えていた。
むしろこれまで浮いた話を聞いたことがなかったので心配してたくらいだ。もっとも片思いや男の子からの告白などがあって黙っていたせいなのではあるが。
これが女性である妹が彼女を連れてきた場合はどうなのかは分からないが、両性具有は男女どちらでもあるわけでどちらと付き合っても変わらないというスタンスで居たらしい。
これが結婚ともなれば父親は家の中に女が一人増え、男が完全に一人になって居場所がないという状態になるのだろうと考えてはいたが。淳美は今の彼女にしても別の女性だとしても女性と結婚する場合には夫ではなく妻になるだろうからだ。
ちなみに両性具有は戸籍上にも二十年前に新たに区分が作られたことから、「両性具有」という性別として登録される。付帯情報として生活上の男女どちらかの性別が付くがこれは手続きをすれば大変な工程を経るが変更が可能だし、結婚は付帯情報に関係なく男女どちらとも可能だ。まだ例は殆どないが両性具有同士の結婚も可能だという。
結婚した際に配偶者の夫になるかは妻になるかは完全に本人同士の人間関係によるものである。続き柄が「妻」「夫」ではなく「配偶者」となるからだ。異性という関係を築く人が多いが同性同士の関係を築くカップルもそれなりにいる。つまり、仮に将来、淳美と絵里香が結婚したら法的に淳美が夫や妻という立場が定義されることはなく、本人たちが妻と妻としてお互いを認識することは何の障害もない。
カミングアウトした後、父親が寝室に行った後、母親と二人になり避妊について注意を受けた。
年齢的にもそういう事をするのは不思議じゃないし女の子同士とは言っても身体が男でもある事に自覚を持つようにしっかり釘を差された。
淳美も元々そのつもりでいたが改めて言われると覚悟の必要な行為なのだと実感した。それと同時に親からそれを言われるのが恥ずかしかった。
どうやら妹も彼氏と付き合い始めた時に同じことを言われたようだが。もちろん淳美には「妊娠させてしまう側」としての注意、妹には「妊娠してしまう側」としての注意という違いがあるが。ただ、今女の子と付き合っているとしても「妊娠してしまう側」でもあることへの自覚を持つようにも言われた。
それと同時に次の予約の前に早いうちにソーシャルワーカーと会って性行為についての説明と注意事項を受けるように言われた。
淳美は部屋に戻るとすぐにソーシャルワーカーにメールを送り、その後、絵里香に電話をかけて事の顛末を話した。
心配するようなことは何もなかった事、絵里香が淳美の恋人であることを歓迎していること、これまで何度も「淳美の友人として」会っていて淳美の秘密を知る人として信頼を寄せている事などを言われたことを報告した。
絵里香は全てがうまくいったようで喜んだがそれと同時に照れと評価の高さへの緊張と申し訳無さを感じた。
そこまで言われて、改めて恋人として挨拶をしたいので淳美の家に遊びに行きたいとの絵里香からの申し出が会った。
淳美はそれを嬉しく思い、両親ともに家にいる日を告げ遊びに来るように言った。
絵里香は緊張しながらその日に合う約束をした。
両親へのカミングアウト、母親からの注意、絵里香への報告が終わった。
それほど長い時間ではなかったが大仕事だった。
淳美は気疲れでクタクタになりながら温泉旅館のウェブページを眺めていた。
温泉にまた行けるということへの喜びしかこれまで感じてこなかったが、心配事も出てきた。
初めて温泉で絵里香に裸を見せる。
それは女の子が恋愛対象である絵里香に自身が男の子でもある証拠を見せることだ。初めて自分の裸を見た絵里香がどのように感じるか。拒絶されたらと考え不安になった。
両性具有の身体はほとんどが女性のそれだ。身体つき、乳房、妊娠するための身体であるため一部分を除けば女性にしか見えない。だが、その一部、つまりちんちんが股間にぶら下がっている。陰嚢の裏には膣があり、そこから子宮に繋がっているが外から見える性器は完全に男性のそれだ。男性とは形が違う部分もあるが、それもほとんど分からないものだ。
絵里香が求める恋人の身体はちんちんのない平らな股間じゃないのかと不安になった。多分、今絵里香はそんな事考えていないだろう。そうじゃなかったら温泉に誘ったりしないはずだ。
だが、いざ目にしたら自覚していなかった拒否反応をされるかもしれない。
それがとても怖かった。
仮に見ている分には平気だったとしても、セックスをする時になったら。きちんとコンドームを付けて避妊するがそれとは別に男のものが自分の身体の中に入ってくることに耐えられなかったら。
女同士のカップルの片割れだが、ちんちんを持つものとしてその事を不安に思わずにいられなかった。
一応、女同士のセックスの仕方も調べておこうと思った。女同士は指を挿入することはなんとなく知っている。きちんとしたやり方を調べて、指なのか舌なのかはわからないが、ちんちん以外のところで愛し合うという事になったらそれを受け入れようと思った。
もしかしたら、今はラブラブと言える関係だが、これで関係が壊れてしまうかもしれない。
それとも問題なく二人で身体を重ねられるかもしれない。
きっと両性具有は恋人との初めてを迎える時にみんな通る道だろう。これはその時をしっかりと覚悟を決めて迎えて結果を受け入れるようにしよう。
そんな事を考えていると淳美はふと最後の家族での温泉旅行で出会った少年のことを思い出した。
タマタマ、つまり陰嚢の形が男性と違うのを偶然見て話しかけて両性具有だと知った年下の男性として生きる両性具有の子だ。
名前も覚えているが連絡先も交換してないので、今はどこでどうしているか分からないが、彼もこれを経験したのだろうか。
すっかり今まで忘れていたが、今まで唯一会ったことのある自分以外の両性具有といっしょに過ごした数時間を思い出しながら世の中に紛れている両性具有たちが初めてのセックスをどのように乗り越えたのか考えた。
みんなどこかで覚悟を決めているのだろう。それに自分の番が来たのだ。
今は初めての旅行を楽しむことだけを考えようと思った。
温泉旅行当日、二人は乗換駅で待ち合わせをして電車を乗り継いで隣県の温泉地までやってきた。
電車で温泉地に行けるのはありがたかった。駅前から温泉街が広がりそれなりに賑わっていた。
まだ混むシーズンじゃないので助かった。
二人が泊まる旅館は駅から歩いて十五分ほどかかる場所にある。今回、二泊するのでそこに泊まって、近くを散歩したりしながらのんびり過ごすつもりだ。
この温泉旅行には初エッチという目的があるが、とにかく堂々といちゃいちゃしたいと二人は考えていた。女同士のカップルなのでいちゃいちゃするにも周囲の目がある。
だが、この温泉街は知り合いがいないし、ホテルの部屋の中であれば一日中、くっつき合っていても誰にも見られない。
淳美は自分の身体をどう思われるかという心配をしていたが、絵里香は無邪気にあわよくば一日ただれた時間を過ごしてみたいと思っていた。
ホテルに着いた二人はチェックインした。その際に家族風呂の予約を確認した。
二人が泊まる二泊の間はオフシーズンで平日ということもあり部屋に空きがあった。それは家族風呂も同様で、空いている時間帯であれば要望すれば入れるという説明を受けた。
絵里香が代表者として予約していたので絵里香が手続きを行い、家族風呂の空き時間のプレートをスマホで写真に撮り、それから鍵を受け取って部屋に向かった。
二人が泊まる部屋は三階で、和室だった。絵里香はこの旅行での目的を考え、ダブルベッドの部屋を取るのはホテルの人の目があり抵抗があったので布団をくっつけて並べられる和室を選んだ。
二人は荷物を置いて、窓側にあるテーブルの椅子に座ってお茶を飲み始めた。
家族風呂の時間にはまだ間があったのでくつろぐことにしたのだ。
二人はお茶を飲みながら道中の話をしていたがどこかぎこちなかった。
それもそのはずだ。これから約1時間後に初めてお互いの裸を晒す。普段は同性として付き合っているが、お互いの身体の異性の部分を見ることになる。
淳美は考えないようにしてきたが、足の付根に付いている絵里香の股間にないものを絵里香がどのように感じるか不安になっていた。
絵里香も淳美の大事な部分を見る事に緊張していた。絵里香は自分がどう感じるかにはあまり不安はなく、極力、人に知られないようにしてきた部分を自分に晒すことをストレスに感じていないかを心配していた。
どことなく気まずい時間を過ごしていた時、その空気を電話の呼出音がかき消した。
淳美は不安から逃れようと電話を取る。その電話はフロントからの家族風呂の時間が近づいた事の知らせだった。
前枠は使われていないので早く来ても大丈夫とのことだ。
二人はお互い目を見合わせたあと、頷き合ってタオルやクレンジングやシャンプーを持って部屋を出て家族風呂に向かった。
フロントに寄って鍵を受け取ると家族風呂の脱衣所に入った。この辺の段取りは絵里香が用意してくれていた。淳美は年下の絵里香に任せっきりなのは申し訳なく思ったが、家族風呂の存在を知っていて淳美の身体の事情でも大丈夫な温泉旅行を考えるのは自分では無理だと思い今回はリードされようと思った。今後、年上らしくリードしていきたいと思いはしたが。
淳美はこれまで家族旅行で訪れた温泉のそれより小さい少人数向けのものとはいえ、脱衣所の景色に懐かしさを感じた。
一生入れないと思ってた温泉に入ることができるのが嬉しかったが、それと同時に緊張を覚えた。
この度で不安に感じていたことだ。淳美の普通の女性とは違う身体を同性愛者である絵里香がどう思うかだ。服を脱ぐのが少し怖くなった。
そんな淳美とは対照的に絵里香は服を脱ぎ始めた。すでに上半身はキャミソールとブラジャーだけになっている。
同世代の女子の服を脱ぐところなんてこんなに間近で見るのは初めてだ。キャミソールまでなら体育の着替えで見たことはあるがそれでも淳美は身体のことを知られないように他の人とは離れて着替えていた。
淳美は胸の奥が跳ねるのと顔が熱くなるのを感じた。
そして、それを絵里香に悟られては恥ずかしいと誤魔化すように勢いをつけて、淳美も服を脱ぎ始めた。
自分の服を脱ぎながら淳美はチラチラと絵里香の方を見た。
絵里香の胸は服の上から想定していたよりも大きかったし、ブラとパンツを揃えた下着のデザインは刺繍の淡い色使いがかわいかった。
そして、絵里香の穿いているパンツは布面積が小さい。淳美はその事の意味を考えて複雑な気持ちになった。
淳美はキャミソールとスカートを脱いで自分の下着を見てブラはともかくパンツの地味さに気後れを感じた。淳美は穿くことのできるパンツが限られてるからしょうがない。一応、勝負パンツと言えるものにこの後、穿き替えるつもりだがその勝負パンツも刺繍などの飾りは絵里香のものに負けない程度にかわいいが形は無骨だった。
そして、ここで温泉に入るにあたっての最後の関門、下着を脱ぐ段に来た。
淳美は怖くなりながらも思い切って下着を脱ぐと股間を右手とタオルで、胸を左手で隠して絵里香の方を向いた。
「準備できた?」
絵里香はすでに裸になっており、身体のどこも隠すことなく自然体で淳美の隣に来た。
「!」
淳美は初めて見る同世代の女子かつ恋人という関係の人の裸に動揺した。
(本当に付いてない……)
絵里香の足の付根を見た淳美はそこに自分の同じ部分に付いているものが無い事が衝撃的に思えた。
淳美には二歳年下の妹がいる。妹は淳美とは違い女性だ。小さな頃は一緒に風呂に入っていたので妹の股間に自分と同じものが無かった事ははっきり覚えている。それに七歳まで温泉や銭湯で女湯に入っていたのでそこで自分と同じ様に母親につれてこられた男の子以外は皆に付いてなかった事は見てきた。
今更驚くことじゃないはずだが、同性だと思ってきた絵里香の股間が自分と違うという事は大きな衝撃だった。
淳美が驚いた表情をしたのを絵里香はしっかりと捉えていた。多分、どうしてそんな表情をしているのかも分かっているだろう。
「恥ずかしいの? 隠してるけど」
「だって、絵里香と違うから……」
「それはお互い様でしょ? お湯にタオル入れたら駄目だからね。見せてよ」
絵里香はからかうような口調で言う。淳美はタオルを取る勇気がなかった。だが、この後の時間で部屋に戻ってからするこの旅行の目的を考えると取って見せなければいけないと思った。
嫌われるのは怖いが自分ばかり裸を、大事な所を見てこちらは見せないのはよくない。淳美はタオルを取って、胸を隠していた腕も下ろした。
「へぇ、かわいい」
「恥ずかしい……」
絵里香は物珍しげに淳美の股に付いてるものを見ろした。
淳美はそんな絵里香が引いてないかどうか不安になった。今、淳美のちんちんは大きく固くなって上を向いている。つまり勃起している。
自分の裸を見て勃起している彼女を絵里香はどう思うだろうかと思った。だが、絵里香は面白がるような様子しか見せなかった。もしかしたら絵里香は勃起を知らないのだろうか。知っていても、勃起したちんちんとしてないちんちんの見た目の違いを知らないのかもしれない。
淳美はそう考えると安心した。自分に欲情している姿を気持ち悪いと感じていたらどうしようと思った。だが、それは心配しなくてもよかったようだ。
「行こうよ」
絵里香は特に何も気にすることのない様子で淳美の手を引いた。
「うん」
絵里香は軽い足取りで、淳美はおっかなびっくりな様子で浴室に入った。
浴室は思ったよりも広かった。家の風呂なんかよりもずっと拾い。一度、小さな旅館に泊まった事があるが、そこの浴場と同じくらいの大きさだった。淳美が入った事のあるほとんどの温泉よりもかなり小さいが、ここならのんびり足を伸ばして開放的に入浴できそうだった。
まず淳美と絵里香はお互いに身体を洗い、シャンプーをした。同時にクレンジングで化粧も落とした。高校時代は学校が特別厳しかった訳では無いが、メイクは軽くしていた程度だったが、スッピンを見せるのはお互いに初めてだ。お互いにそこには不安になった。
特に淳美は男性でもある身体だ。メイクを落とした顔が男のようだと思われたらどうしようかと不安になった。
身体を洗い終わりどちらともなく合図をすると二人はお湯に浸かった。
「はぁ……」
七年ぶりの温泉と心配で気をもんだこの温泉旅行の準備からの時間からの開放が心地よくて淳美は思わず声を出した。
「気持ちいい?」
「うん。最高。ずっと諦めてたけど、温泉ってこんなに気持ちが良かったんだね。すごく嬉しい。ありがとう、絵里香」
「喜んでもらえてよかった。あたしも淳美と一緒にこうして旅行にこれて嬉しいよ」
絵里香は淳美にもたれかかった。肩や腕の肌が触れ合う。絵里香の肌はすべすべで柔らかかった。
身体を洗ってるあいだは意識していなかったため縮んでいた淳美のちんちんが絵里香の肌の感触でまた大きくなり始めた。
淳美は手を添えてそれを隠そうとしながらお湯に浮かぶ絵里香の胸を見た。ハリのある肌と柔らかそうで大きい乳房。服を着ている時はもっと小さそうに見えたがこれが隠れ巨乳というものなのだろうか。思わぬ豊かさに淳美は触れてみたいという気持ちが湧いてきた。
ふと気がつくと絵里香が自分の顔を見ていた。胸を凝視していたのに気づいたのだろうか。こういう時、お互いこれから見るよりももっと密な行為を行うつもりでいる。身体を見て興奮してるのが隠しきれなくても大丈夫なのだろうか。処女で童貞の淳美にはそれが分からなかった。
「淳美……」
絵里香は淳美の顔をじっと見ている。メイクをしていない自分の顔、多分、エッチな気持ちを隠しきれない表情をしている。その顔が男のようだったらとクレンジングをしていたときの不安が再び湧き上がる。
「かわいい。メイクしてなくても柔らかい表情とか丸顔なのとか女の子らしくていいなぁ」
淳美は絵里香の言葉に驚いた。女の子らしい。その言葉は嬉しかった。男性でも女性でもある身体であり、父親にも母親にもなるようにできているのが両性具有という性別だ。女性として生きている淳美はいつも男みたいじゃないかと思われないかを不安に思ってる。意識して女の子らしく振る舞っているがメイクしていない自分の顔を女の子らしいと言ってくれてとても嬉しかった。
淳美はよく友人たちから女の子らしいとは言われる。だがそれは意識してそう振る舞った結果なだけだと思っていた。素を見せれば男みたいじゃないかと思われるのをいつも怖がっていた。
「そんなかわいい淳美があたしは大好き」
絵里香はお湯に浸かり始めにしては顔が赤い。淳美に惚れていて好きでしょうがない気持ちを精一杯表現したからだ。
そして絵里香は淳美の足の付根に目を向けた。そこにあるのは絵里香の身体には無いものだ。
淳美もそれを見ている絵里香に気づく。完全に勃起した状態だったため淳美も顔を赤くした。
初めての裸でのふれあいをしたあと淳美と絵里香は一度荷物を置きに行ってそれから、温泉街の散策と夕飯に出かけた。
手頃そうな値段の食堂に入って蕎麦やどんぶりなどを食べた。デートにしては味気ないが温泉街のおしゃれなお店はどこも高い。大学生の二人は別に特別なところでなくてよくて二人で楽しく食事ができればいいと思えた。
それからホテルに戻った。
部屋に戻ると淳美と絵里香はそれまで着ていた、家から着ている服から浴衣に着替えた。
温泉気分を味わうのであれば付いてすぐに浴衣に着替えるのもよかったのだが、夕飯をホテルの外で安く済ませる為に出かけるので女二人で浴衣で外を歩くのは不安だった。
これからは部屋で二人だけの時間が始まる。だからすぐに浴衣でリラックスしたいと思ったのだ。
もちろん、単にリラックスするだけではない。脱がせやすい浴衣を着ていればいつでも身体に触れられるという意図もお互いにある。そもそもこの旅行の目的は初エッチだからだ。
淳美と絵里香は布団に横になるとすぐに抱き合い始めた。これまでデートの際に人目を盗んでのハグは何度もしてきたが、浴衣のように薄い服で寝転がった状態でのハグはこれが初めてだ。
抱き合ったり身体をほんの少し離して浴衣の間から覗く胸元を見たりしてお互いの身体を確かめ合う。
絵里香は淳美の胸を熱心に見た。淳美の胸は結構大きい。それが浴衣の間から見えるたびに唾を飲み込んだ。興奮している様子だ。
二人はそれからキスをし始めた。今まで唇をくっつけ合う軽いキスしかしてこなかったが唇を動かしてお互いに刺激し合う濃厚なキスを今初めてした。
同性同士だとどうしても人目が気になって愛情の確認が簡素になってしまう。だが今は二人しかいない空間だ。そんなことを気にしなくてもいい。監視カメラのあるカラオケボックスとは違う。完全にプライバシーが確保されている。
絵里香はそのまま淳美の口の中に舌を入れた。淳美は初めての感触に驚きつつもその輪郭のない不思議な感覚が股間に付いてるものを刺激するのを感じた。勃起が強くなる感覚に初めてのその感覚が快感なんだと理解した。
二人はお互い夢中になって交互に舌を入れあった。すればするほど腰の力が抜ける感覚がする。
淳美は力を快感に奪われながら必死に絵里香に抱きついた。そうしながら、舌だけじゃなくちんちんを絵里香の中に入れたいという衝動に駆られた。
その考えが頭をよぎるとふと不安を思い出した。絵里香は自分のちんちんを受け入れてくれるだろうか。絵里香の女性器が求めてるのはちんちんではなく指かもしれないと思った。女同士だから指を入れるエッチなのは考えていたし嫌じゃない。だが、同時にちんちんを受け入れてほしいという気持ちはどんどん増していた。
淳美が快感の中で考え事をしているのをよそに絵里香は浴衣に手をかけてそっと腰まで下ろした。ブラをつけた淳美の豊かな胸が露わになる。
「ずっと触りたかったんだ、淳美のおっぱい。服の上じゃなくてね」
絵里香は淳美の乳房を円を描くような手の動作で揉み始めた。
淳美はその手の感触に照れを感じながら上気した顔で自分の胸元を見つめる絵里香を見ていた。
最初は少しくすぐったかったがだんだんそれが性感に変わっていく。淳美はこれまで何度もオナニーの際に自分の胸を揉んできた。乳房も乳首もそれなりに性的な刺激を感じられる。
「んんっ……」
淳美は乳房の中心から広がる快感に小さな声をあげた。自分のペースで揉むのと違い、人に揉まれる感覚は予想も制御もできない分、気持ちよさの波は絶え間なくやってくる。自分でやる時は快感が強くなりすぎないように無意識にセーブしているのだろう。
いい意味で容赦のない快楽は絵里香が場所と方法を変えるたびに強くなっていく。
絵里香は胸を揉む手を止めて右の乳首を舌で、左の乳首を指先で刺激し始めた。淳美の胸の快感はそれぞれの胸で一箇所に集まり強くなった。
「あんっ……あっ……」
平均的に女性より声の低い傾向にある両性具有ではあるが淳美はそんな両性具有に珍しくソプラノの音域で声も細くかわいらしい。そんな淳美の声を普段喋るよりも高い声をスタッカートをかけながら響かせる。
オナニーの時は強すぎないようにしてる手加減を絵里香はしてくれない。その快感のエネルギーは声として出た。
絵里香はその淳美の声にうっとりした表情を浮かべながら右手を淳美の左乳首から外して下半身の方へと向かわせる。
(えっ……?)
淳美は喘ぎ声で出せない驚きの声を心の中で出して驚いた。
絵里香の手が淳美の足の付け根にたどり着くと手を広げてその場所を撫でて形を確かめた。
戸惑ってるような様子を見せながら手で淳美の大事なところを弄っていく。
そして人差し指だけを広げた形にして淳美の陰茎の裏筋から亀頭までを指で上下になぞり始めた。
(絵里香、そこを触ってくれるの……?)
ムズムズするような弱い感触が指の往復ごとに強くなっていく。裏筋をこんな風に触ったことはなかったがじわりじわりとした快感が陰茎に広がっていく。
その快感と共に淳美が陰茎に感じている膨張感も強くなる。勃起が強くなりすぎた時のかすかな痛みも感じてきた。
オナニーで陰茎を握って上下運動をするときとは違う、優しく輪郭の曖昧な性感を淳美はあそこに感じていた。この快感では決してイクことはないだろうが、長時間味わっていたい感覚ではある。
色っぽく目を細める淳美を見て絵里香は安堵の表情を見せると同時にキスをし始めた。さっきしたのと同じように口の中に舌を入れてくる。そして、舌で口の中をかき回す。下半身と口の中から共鳴する性感は淳美の全身の力を奪っていった。
絵里香は唇を離して淳美をじっと見た。
「触ったけど、大丈夫だった?」
不安げな表情をしながら絵里香は言う。
「淳美、女の子だし、さっき隠してたたから触れられたくない場所だったらどうしようと思ったの。でも、どうしても抑えられなくて」
「嬉しい。絵里香がわたしのおちんちんを受け入れてくれるかきになってた気になってたの。その、おちんちんでしていいんだよね?」
「もちろんだよ。あたしもそのつもりでいたよ。どうするつもりだったの?」
「下を脱がないで指を入れるつもりだったの」
「どうしてそんな……」
「女の子同士の仕方でしょ?」
「でも、淳美にはついてるし。あたしの中に挿れてくれたら嬉しい」
「いいの?」
「もちろん」
絵里香は優しげな笑みを浮かべる。その表情はどこか嬉しそうだ。
「あたし、ちんちんに小さい頃から興味があったんだから。見せてくれる、淳美のちんちん?」
「うん」
淳美が頷くと絵里香は淳美のパンツに手をかけた。
「こんなパンツ初めて見た。生理用のと似てるけどそれより布が少ないね」
「それ、『ついてる人』用のパンツなの」
淳美のパンツは一般的なジャストウェストのショーツと生理用ショーツの中間の形の女性用パンツにしては布面積が大きく余裕のある縫製のものだった。シルクとポリエステルの混紡でレースをあしらっていて淳美くらいの年齢の女性が穿く普通の女性用パンツにデザインは近い。
「普通のパンツならはみ出ちゃうから。特にタマタマが」
「なるほどね。じゃあ、脱がせるよ」
絵里香はパンツをそっと下ろした。淳美の陰茎が勃起して上を向いている事と骨盤の広さから、脱がし始めは引っかかったがそこからはスムーズに下すことができた。
そのまま絵里香はパンツを爪先まで下げて淳美の身体から離すと布団の外の畳の上に置いた。
「わぁ……」
パンツを脱がした淳美の姿に絵里香は感動を覚えた。初めて間近でちんちんというものを見る。その姿は想像してたよりも不思議な形をしていたからだ。
淳美のちんちんは上を向いて聳え立っている。まるで芽を吹いた植物が太陽を目指すようだ。先っぽは皮をかぶっていて僅かに尖ったようなシルエットだ。その先端は何らかの液体で濡れている。
さっきパンツを見た時にちんちんの先端が当たっていると思しきところに濡れてできたシミがあった。絵里香は耳年増な時間で仕入れた知識を思い出して何かを推理した。これは男の子が興奮するとちんちんの先端のおしっこの穴から出るというガマン汁というやつだろう、と。
絵里香は慎重に自分と違う淳美の股間を観察した。両性具有というものについては保健の授業で習ったが男女両方の機能があると具体性に欠ける内容だったし、ネットには両性具有の身体の具体的なものは見当たらなかった。何が男と同じで何が女と同じなのかが分からなかったからだ。
「これって勃ってるの?」
「うん、すごい勃ってる。これ以上強くならないくらい」
淳美は恥ずかしく目を逸らして顔を赤くしながら言う。
絵里香はその淳美の言葉から勃起はするかしないかのゼロイチのものではなく度合いがあるものだと理解した。そういえば半勃ちと言う言葉を男子が言ってるのを聞いたことがある、あれは度合いの低い勃起のことだろうと推測した。
「触ってみる?」
淳美は上半身を起こして言った。
「うん!」
絵里香は語気を強めに返す。
淳美は指で陰茎の真ん中あたりを人差し指と親指で摘んで見せてグッと下に降ろした。するとペニスの皮が下にズルズルと下がり先端の丸い白っぽい色の陰茎本体が顔を出した。先っぽには唇のような形の細長い穴がある。絵里香は皮を剥いたペニスを見て父親のものと同じ形だと思った。
絵里香は「触るね」と言い、淳美がしてたのと同じように陰茎の真ん中あたりを摘んだ。初めて触った陰茎は硬かったが弾力もあった。
力を軽く入れて押してみたりした後、指を上下に動かした。絵里香の指の動きに合わせて皮も上がったり下がったりして、本体が隠れたり姿を現したりした。その様子が面白くて何度も何度も繰り返した。
「くっ……!」
淳美は唇に力を入れて声を噛み殺して何かを我慢するそぶりを見せた。
「どうしたの!?」
「感じちゃう……」
絵里香は淳美の言葉に少し驚いた後、視線を淳美の顔から陰茎の先端に戻した。
手を止めたのがちょうど指を下げたところだったから本体が露出している。唇のような淳美のおしっこの穴から水滴が出ていた。
「なんか出てる?」
「それ、ガマン汁っていうの。エッチな気持ちになったら少しずつこうやって出るの」
淳美は絵里香が引いてないか心配しながら説明する。
「うん、エッチなサイトで見たことある。男の子が興奮すると出るんだよね」
「男の子……」
淳美は絵里香の言った単語に引っ掛かりを感じて反芻した。
「ごめん! ちんちんだからつい! そうだよね、ちんちんは男の子だけのものじゃないもんね。ついてる女の子もいるし、淳美は……」
絵里香は慌ててフォローの言葉を入れる。自分が彼女である淳美の股間を触る際にも「ちんちん=男性」の考えでいた事に罪悪感を覚えた。決して淳美を男性だと思ったわけではない、女性としてみてるが見苦しい言い訳だと思った。
「大丈夫だよ。わたしは男の子でもあるんだから。絵里香が今触ってる場所は完全に男の子だしそう思ってずっときたから気にしないで」
淳美は笑顔で言った。絵里香を心配させたくないから出た精一杯の表情だ。淳美が自分の股間についてるものを絵里香が「男の子」と形容したことで気になったのは彼女の性的指向上どう思ったのかが気になったからだ。
(これははっきり聞いたほうがいいかも……)
絵里香は淳美の言葉に対する返答を探していた。うつむき気味に淳美から視線を逸らしながら。
「絵里香、わたしのおちんちん触ってみてどう?」
「どうって、すごいエッチ」
「本当? 平らなお股とかクリトリスが良かったとかない?」
淳美は恐る恐る聞いた。絵里香は淳美の言葉に目を見開いた。
「淳美、今度はあたしのを触ってみない?」
「えっ? あ、うん」
淳美は絵里香の反応の予想が出来ず怖がっていたが、絵里香はあっけらかんとした様子でいう。
絵里香は口元を緩めてから淳美の脚を閉じてそれを跨いで膝立ちの体勢になった。
「あたしも淳美に脱がせてほしい」
「いいの?」
「もちろん。恋人同士でしょ、あたしたち」
「そうね」
淳美は絵里香の両脚の間から自分の脚を引っ込めて正座の姿勢になった。
絵里香は正座している淳美のちんちんを見た。淳美の太ももの上にタマタマが乗っかりその奥から陰茎が上を向いて生えている。少し間抜けでかわいい姿で絵里香は笑いを堪えた。
淳美と絵里香はお互い見下ろし見上げて見つめあった。その瞬間、二人の間に緊張が走る。
淳美は生まれて初めて女の子のあそこに触れる。真ん中を通る割れ目の中を見る。女として生きながら淳美が知る事のなかった女の部分だ。そして、それを見る事に性的な興奮を覚えている。そして、それが自分の股間の絵里香にはないものに反映されてはっきり伝わっているだろう。
淳美は身体を起こして絵里香同様に膝立ちになって絵里香のブラジャーを外す。コンパクトに収まっているように見えた乳房が広がるように溢れる。骨格のせいだろうかブラジャーをつけていた時より随分大きく見えた。
(これが隠れ巨乳っていうのかな?)
服を着ていてもはっきりと大きさのわかる淳美とは違う様子に淳美は興味と魅力を覚えた。
胸を揉みたい所だったがこの流れは違う。淳美は続けて絵里香のパンツに手をかけた。
絵里香が穿いているのは年齢的にもオーソドックスなビキニタイプのショーツだ。淳美が穿いていたのと同様にレースをあしらったデザインだ。パステルカラーのボタニカルなデザインがかわいらしい。
ただし、その形は淳美が穿いているものとは違った。股関節に遊びがなく足側の端の部分が回り込んでいて、布は股間のカーブにぴったりくっついている。
布の量や縫製が股間の形ギリギリに作られている。そんなつもりはないのだろうが、ぶら下がっているもののついている淳美からしたら股間が平らである事を強調するかのようだ。
腰側の端に手をかけてパンツを下に下ろした。丸みを帯びた腰の分、ゴムを伸ばす。これは淳美が自分のパンツを脱ぐ時と同じだ。安産型の体型の淳美よりすらっとした体型の絵里香の方が広げる分は少なくて済んだ。
そして、ここからが自分が脱ぐ時やさっき絵里香が自分のを脱がした時とは違う。とてもスムーズにパンツが下に下がっていく。拍子抜けするほどあっという間にまっすぐ手が下がっていく。
パンツを下ろすときに引っかかる物がないからだ。エッチな気分でいるはずなのに何も引っかからずにパンツを下ろすことができる、その事が淳美には衝撃的だった。
(これが女の子なの? わたしが女の子じゃない証拠でもあるよね)
絵里香のあそこが顔を出した。そこにはぶら下がっている物がなくて平坦だった。
淳美はその股間をとても不思議に思えた。淳美にとってみれば当たり前だと思ってた物がそこに無いのだ。
絵里香のあそこは淳美が子供の頃に女湯で見た事のある大人の女の人とは毛の様子が違っていた。大人の人たちのあそこはVの字型の股間のエリア全体が毛に覆われている。だが絵里香は中央の部分のみ縦一列に毛がある以外は毛がなかった。毛のない部分を見た所剃っているようだった。
「じっと見られると恥ずかしいね。何もないから見ても楽しくないでしょ?」
「そんなことないよ。ないのがとっても不思議」
「女の子のあそこに見たの初めて?」
「小さい頃、妹と一緒にお風呂入ったりしてたから見た事あるよ。七歳までは温泉で女湯入ってから大人の人のも。でも、毛が真ん中にだけなんて初めて見た」
「それ、剃ってるの。本当は全部剃ろうと思ってたけど恥ずかしくって」
「恥ずかしい?」
「うん。ここがね……」
絵里香は淳美の手を取って毛の残ってる部分を人差し指でなぞらせた。そこには溝が縦に一直線にある。
「女の子のあそこって縦に割れてるんだよ。これを見られるのが恥ずかしかったの」
「割れてるのは知ってるよ。割れ目って恥ずかしいの?」
「他の人は分からないけど、淳美に見せる時はどうする時かを考えると恥ずかしくって」
淳美は絵里香の言葉に彼女が同姓だと思っていたが異性なんだとはっきりと思い知った。平らでついていない股間が恥ずかしいなんて想定してなかった。単に平らなのだから裸になるシチュエーションなら見られても平気なんだと思っていたからだ。それは女の子として生きてきた淳美の女の子について知らない事だ。
「でも、淳美に知ってほしいのはそれじゃなくてね……」
絵里香は淳美の手を股間の奥の方に引いた。お尻と股間の毛の生えてる部分の間くらいで手を止める。
「あっ……」
絵里香のその部分はヌルヌルしていた。指で触れているあたりが液体にまみれている。
「濡れてるんだ、あたし。濡れてるってね……」
「分かるよ。興奮してくれてるんだよね。わたしにもこの部分があるから、私も多分こうなってる」
「そうか。両方ついてるんだもんね、淳美」
「うん。どんな風に感じてるか分かるよ。これはわたしの身体でこうなったの?」
「そうだよ。おっぱいもちんちんも見れば見るほど、触れば触るほどこんな風になるんだ」
「嬉しい……」
「本当?」
「だって怖かったの。おちんちん見られたて萎えられたらどうしようって不安だったの。でも、安心した。わたしの身体でエッチな気持ちになってくれてるんだね」
淳美も絵里香の濡れたあそこに触れてちんちんの膨張感が増したのを感じた。触れなければ分からないが、両性具有である淳美の絵里香と同じ部分、膣も同じように濡れているだろう。
「割れ目の中って見た事ないでしょ? あたしの見てみてよ」
そう言って絵里香は横になり両膝を曲げて脚を広げた。
「こうすればあたしのあそこ、どうなってるか分かるでしょ。こうやって手で広げてみて」
絵里香は両方の人差し指を左右に開くジェスチャーをした。淳美はそれを見て頷くと絵里香の股間を覗き込み手を伸ばした。
「触っていいの?」
「もちろん」
淳美は手始めに絵里香の恥丘を指で押した。とても柔らかかった。求肥を少し硬くしたくらいだろうかもっちりとした感触だ。女の子の肌はどこももっちり柔らかいが、そのどことも違う独特の感触だった。
淳美はソーシャルワーカーから受けた両性具有のための特別な性教育で知った男女の外性器についての知識を総動員して絵里香の大事なところを観察した。
割れ目は大陰唇という股間の左右にある組織の間の場所を言う。前から見ると平らで何もないように見える股間はこうして下から見ると膨らんだ丘状の盛り上がった形の大陰唇という物がついていてその中心に割れ目が走っているのが分かる。
淳美は左右の大陰唇に指を置いて先ほど絵里香がしたジェスチャーの用に左右に広げた。
「わぁ……」
そこにはピンク色のうねった口腔内に似た質感の構造物があり、その上側の端に尖った突起がついていた。小陰唇とクリトリスだろう。
見たことはないが小陰唇は淳美にもある。だが、クリトリスは初めて見るし淳美にはない物だ。これが「女の子についている物」だ。知ってはいたが女の子の股間は何もないわけじゃない、両性具有や男の子とは違う物がついてるのだ。
淳美は大陰唇の内側に指をずらしてさらに左右に広げた。少しだけ開いていた小陰唇が開く。小陰唇の周りは透明な液体で湿っている。
「さっきヌルヌルしてたところ、濡れてるの分かる?」
「う、うん。初めて見るの。こんな風になってるのね」
ただ濡れているだけではなかった。小陰唇の中の方がヒクヒクと動いている。そこはクリトリスとも繋がっているようでクリトリスも上下に動いていた。
淳美はそれを見て勃起した時にタマタマの裏でする変な感覚の正体がわかった気がした。絵里香と同じように膣がついているのだから同じ事が起こるはずだ。
絵里香の小陰唇をさらに広げて淳美はその中を見た。そこには壁があった。広げるとすぐに穴だという頭でいたので面食らったが、これは膣前庭という部分だと習ったのを思い出した。これは淳美の身体にもある部分だ。
膣前庭の下に穴があるのが見える。その穴は奥の方が暗闇に見えるほど深かった。これはこれから淳美の陰茎が入る場所だ。深さと思いの外広さがある。
これまで体感的には生理の時に経血が出る場所という認識で、その穴に入れるというのに対して入る物なのかと疑問に思っていたがここまで深く広い穴なら入るだろうと思った。まして男性よりも陰茎の小さな両性具有なら尚更だ。
そして淳美はもう一度、膣前庭を見た。よく目を凝らすとそこにはわかりづらいがペニスにあるのと同じような縦長の穴があった。これはどうしても女の子のあそこを見るなら見ておきたかった場所だ。
それはおしっこの出る穴だ。ちんちんのない女の子がどんな穴からおしっこを出してるのかは小さな頃から気になっていた。ソーシャルワーカーからの性教育で習ったが簡略化された図だけだったので実際の姿が気になっていた。小さな頃に両性具有を「ちんちんのついてる女の子」程度の理解だった頃に「自分以外の同性」と違う場所として認識した最初の場所だ。
股間の真ん中より少しだけ後ろくらいの位置におしっこの穴がある。これを見て女の子が立っておしっこをできないということがとてもよくわかった。これなら前におしっこを飛ばせない。無理だ。
ちんちんをこれから入れる場所、自分と同じように立ちションのできないおしっこの穴を見て淳美はこれまでにない興奮を覚えた。それは女の子同士のカップルの片割れである淳美が恋人の絵里香を異性として意識した事だ。それが男性としてなのか両性具有としてなのかはわからなかったが。
「どう、かな?」
絵里香は真剣に見ている淳美に恥ずかしさと困惑を覚えながら聞いた。
「わたし、おちんちんが限界かも……」
女の子である絵里香に異性を感じた女の子の淳美はもう性欲が限界に近づいていた。
「する?」
「うん」
「あたしもこれ以上ないってほど濡れてる」
「ホントだね」
「じゃあ」
「わたし、初めてだから上手にできないと思うけど……」
「あたしも初めてだから」
「おちんちんは初めてだもんね。指より気持ちいいといいな」
絵里香は淳美の言葉を聞くと驚いて固まった。
「あたし、エッチ自体初めてだよ!」
「えっ?」
「ああ、元カノとは清いお付き合いしかしてないの。キスとハグだけ。胸も触ってない。一番エッチな体験は体育の着替えでお互いをチラチラ見ただけ。修学旅行もクラス違うから裸も見てない。何もしてないよ」
「そう、なの?」
「うん」
「だから今日、淳美にあたしのはじめてをもらってもらうの」
淳美は驚いてパチパチと瞬いた。
「絵里香、処女なの?」
「そうだよ。今日はお互いに処女をあげる人になるんだよ」
「わたしがあげるのは童貞だと思うんだけど」
「女の子だから処女でいいじゃん。言葉自体『初めて』って意味だし、英語ならどっちもvirginなんだから。それに女の子同士の初めてならクリトリス舐めるのでも処女喪失だって聞いたよ」
「じゃあ、わたしの処女を絵里香がもらってくれるってこと?」
「そうだよ!」
淳美は拍子抜けしてペタンと尻餅をついた。
「淳美って女の子座りできるんだ」
絵里香は足を後ろ向きに折りたたんで座る淳美を見て言った。
「それ、男の子はできないから両性具有はどっちかなと思ってたの」
「骨格はほぼ完全に女の子だから」
「なるほどね。女の子座りしてる太ももの付け根にちんちんが乗ってるの面白い」
「からかわないでよ……」
「ごめん」
淳美は恥ずかしがりながらいい絵里香は軽い調子で謝りつつそんな淳美がかわいく思えた。
両性具有は性自認や体つきの傾向は個人差はあるが、あひる座りとも呼ばれる女の子座りは可能だ。一般に男性には不可能とされているが、それは股関節の柔らかさの違いと外側に広がる形になっている女性の股関節との違いによる。両性具有の股関節も外側に広がっており柔らかい。これは両性具有が妊娠する性である事に由来する。妊娠に関わる面は必ず女性の形である。個体差は当然あるがそれも女性の個体差の範囲だ。
「まぁでも、これからお互いの処女を捧げあうんだね」
絵里香は先に好きになった側として感慨深そうに言った。
淳美もそんな絵里香に顔が綻ぶ。付き合ってから少しずつ好きになってきた絵里香を淳美はいつもより愛おしく思った。
「あれ?」
絵里香は女の子座りする淳美の太ももに乗ったちんちんの変化に気がついた。
「ちんちんが小さくなってる!?」
「あ、ご、ごめん」
淳美は自分の股間を見るとまずいといった様子を見せる。
「淳美……萎えちゃった?」
「ちがうの! これ、おちんちんってちょっと違うことを考えるとすぐに小さくなるの。絵里香がどうとかじゃないの。信じて!」
淳美は慌てた様子で一息でそう言った。
だが、信じてもらえないことは覚悟した。両性具有にも男性にも「あるある」ではあるがちんちんのない絵里香には信じられなくても仕方ないと思った。淳美はこれまでたまたま耳に入った男子の会話やネットの書き込みで今と同じシチュエーションで自分を好きじゃなくなったと思い込まれ彼女を怒らせてしまった男性の体験談を見聞きしてきている。自身もオナニーの時に気を逸らしてから縮んでしまい使い捨てオナホをダメにした事がある。
「そっか。濡れるのは液がそこに残るけど、勃つって維持しなきゃいけないもんね。あたしのクリトリスもそうなのかな?」
絵里香は怒ったり残念がる様子もなくあっさりと淳美の言葉を信じた。
クリトリスがどうなのかは絵里香本人に分からなければ淳美には何も言えない。自分にはないし、ついさっき初めて見たばかりのものだ。
「どうしてあげたらいい? 触ってあげたらいいかな?」
絵里香は四つん這いになって淳美を見上げていった。絵里香の顔のすぐ下には淳美のちんちんがある。
数秒観察した後、絵里香は探り探り小さくなった淳美のちんちんを摘んで手を上下に動かした。
優しく小さな動きだが、恋人に触られている、その恋人は自分になくて分からない中、試行錯誤してくれている事に興奮して淳美には興奮が蘇ってきた。
ほんの少し淳美の陰茎は大きくなる半勃ちくらいだが、完全に小さくなった状態からこの状態になればその先は少しは容易い。
絵里香は自分の手に反発するような感触があってまるで植物が成長するタイムラプス映像のようにちんちんが「成長」した事に驚いた。
手を動かしながら絵里香は淳美を見つめる。淳美もちんちんに伝わる弱い感覚に恥ずかしさを覚えながら絵里香を見つめる。
恋人の眼差しをお互いに向けながら二人は興奮を深めていった。
淳美のちんちんも大きく硬くなっていく。すぐにフル勃起の状態になり、乾いていた先端が湿り出す。
絵里香はそんな淳美のちんちんを見てうっとりした表情を浮かべると驚くべき行動に出た。
……ちゅっ。
絵里香は淳美の陰茎に顔を近づけキスをした。
「え、絵里香!?」
「どんな感じ?」
「汚いよ、そんなこと……」
「汚くなんかないよ。これからあたしの身体の中に入るものだよ。綺麗だよ」
「でも……」
「今、どんな感じ?」
「そんなことするから、わたし、我慢できないよ」
「あたしもだよ」
絵里香は上向けに寝た。そして先ほどのように脚を折り曲げて広げた。
淳美は平らな股間の割れ目が少しだけ開いてクリトリスの先端と小陰唇が少しだけ見えるのを確認した。小陰唇は愛液で濡れた光沢がある。それ見たからかちんちんの血流が増して陰茎の内側からの膨張感が強くなった。
「淳美のであたしの中に触れて。大好きなあたしの彼女のちんちんで」
絵里香は淳美に申し訳ないと思いながら「彼女のちんちん」という言葉に倒錯感を感じで興奮していた。絵里香の心も股間も淳美のちんちんを必死に求めていた。
「うん!」
淳美は用意していたコンドームのパッケージを破って中身を出した。
裏と表を確認したら巻いてあるコンドームを陰茎の先端に乗せて下げていく。淳美のちんちんにコンドームがピッタリとくっつく。
コンドームの箱はこの旅行の前に開封済みでそれはエッチの目前に戸惑わないように着ける練習をしたからだ。
淳美はコンドームを着けるとこれから絵里香とエッチをする事を強く実感した。絵里香も自分も一番デリケートな粘膜を誰かと接触させるのは初めてのことだ。それは恋人としてのとても大切な儀式だ。台無しにしないように、素敵な思い出になるようにと覚悟を決めた。
淳美は右手を絵里香の女性器に近づけ小陰唇に中指を挟んで膣の位置を確認した。真ん中から下に向ける角度で入れるのが良さそうだ。
続けて淳美は膝立ちになって絵里香の太ももを持ち上げた。カエルのように脚を広げた姿勢になる。そして、右手でチンチンを持って向きをコントロールして絵里香の小陰唇に近づける。
まるで宇宙船のドッキングのようにゆっくりと慎重に近づけていく。そして飛び出たコンドームの精液を貯める部分とそれに続けて亀頭の先端が絵里香のあそこに到着した。
グッと力を腰に入れて淳美は絵里香の膣の中にちんちんを押し込んだ。
最初はスルッと入りそれから中の壁に阻まれて引っかかった。
「痛ぁっ!」
「ご、ごめん!」
絵里香は悲鳴を上げた。
淳美は慌ててちんちんを引き抜こうとしたが、絵里香が淳美の腕を掴んで引き留めた。
「抜かないで! ゆっくり、ゆっくり挿れて。大丈夫、大丈夫だから」
絵里香は必死に淳美を留めた。
淳美は絵里香の様子に戸惑いつつ言葉の通りちんちんを引き抜くのをやめて腰の動きを止めた。
どうしていいのか分からないがこのまま戸惑っていたらちんちんはまた小さくなってしまうだろう。挿れたまま萎えてしまえばい中でコンドームが外れてしまう。
絵里香の膣の中でちんちんが剥き出しになることはあってはならない。すでに絵里香に触られ始めた頃には淳美のちんちんからはガマン汁が溢れていた。今もコンドームをつけた時は亀頭表面に流れ切らないガマン汁が尿道口で水滴になって溜まっていた。
ガマン汁にも精子が含まれるのはソーシャルワーカーから教わった。それで妊娠する可能性があることも。大学一年の淳美が同学年の絵里香を妊娠させてしまっても育てられない。絵里香の将来を変えてしまう。そんな危険は避けなければならない。
淳美は勃起を維持する事に集中した。
だが、その集中を意識する必要はなさそうだった。
(あったかい……)
淳美はちんちんを包み込む絵里香の体温に気がつくとその心地よさに驚いた。肌をくっつけ合うよりも温度の高い、絵里香の体内の、そして胎内の温度だ。
そして、ぎゅっと絵里香の膣は淳美の陰茎を不規則なリズムで締め付ける。それはオナニーで握るときに比べれば弱い力だが、独特の柔らかい感覚がとてもエッチに感じて淳美の気持ちを高揚させた。
(これが女の子の中なんだ。絵里香の、こんなにかわいい絵里香の中)
淳美は一年前に告白されてから少しずつ積み上げた絵里香への恋愛感情を股間に生えた自身の男の子の部分の感覚で確かめた。
「あっ……」
暖かさと柔らかい締め付けにうっとりしている中、ふと絵里香の表情が気に掛かった。
「ふー……。はー……」
絵里香は小さな動作で軽めの深呼吸をしていた。ちんちんを挿入することに集中していた淳美が自分に目を向けた事に気がつくと絵里香はニコッと微笑んだ。
「絵里香……」
その笑顔を愛おしいと淳美は感じた。
そして小さな深呼吸を続ける絵里香がなぜそうしているかにすぐに気がついた。
「痛い?」
「うん、でも大丈夫。慣れてきたし、思ったよりは痛くなかったよ。それにこうしたら楽だから」
淳美は痛みに耐えながら微笑む絵里香に対して無邪気にその痛む部分の感触を気持ちよく感じていた自分のことが申し訳なく思えた。
「そんな顔しないで。女の子なんだから初めては痛いんだよ。あたしも覚悟してたんだから」
でも……、と淳美は言葉を返そうとして飲み込んだ。続けようとしてた言葉は「わたしだって女の子だよ」だ。それは言ってはいけない。
絵里香が経験している痛みは淳美も経験できるものだ。それはあくまで恋人が男性だったらの話だ。女同士のカップルとは言っても淳美は生物学的には女性ではない。男女どちらでもある両性具有だ。
女性とセックスをするとなると両性具有と男性はニアリーイコールだ。女性としての立場はない。
同じ女の子と思っていながら、女の子を抱くのに女の子の初体験の通過儀礼を知らずに男の子の立場で恋人を抱く。そこに罪悪感を覚えた。
「淳美、痛いのは慣れたし、あたしは大丈夫だからあたしの中で気持ちよくなって。あたしも淳美のちんちんをもっと感じたいよ」
絵里香は甘えるような声で言う。
淳美は正常位の姿勢で見える絵里香の体の部分を全て見た。細身に見えて付くところにはしっかりついた肉付きや運動好きで身につけたスタイルの良さ、隠れ巨乳なところ全てに興奮した。
そして横になった状態で切なげにこちらを見つめる表情はかわいかった。
このかわいい女の子が自分の彼女だ。その大事なところを自分の大事なところで思う存分愛したい。
淳美は意を決して腰を前後に動かし始めた。ただし、自分のちんちんで痛い思いをしてることは忘れない。だからゆっくりとだ。
時々奥まで行くと引っ掛かりを感じて絵里香もそれで痛がることはあるが、十分に濡れているようで浅い場所で出し入れすると絵里香の膣内はヌルヌルした感触で滑りがいい。
淳美の身体にも膣があって時々エッチな気分の時に濡れるのを感じることがあるがタマタマの裏で目で見た事はないし触ってみた事もほとんどないためそれがどんな様子かわからなかった。
でもこうして絵里香の膣に自分のちんちんを入れていると膣という場所がどんなものかわかってくる。
締め付け具合は僅かではあるが強くなったり弱くなったりを繰り返して淳美のちんちんを刺激している。
これが女性器の興奮で起こる現象だろう。さっき小陰唇を開いてみた時にもヒクヒク動いているのが見えた。その現象を今、ちんちんで感じているのだ。
感覚としての自覚はないが淳美の膣でもきっと同じことが起こっているのだろう。挿れる準備としてちんちんが勃起して挿れられる準備として膣が濡れて痙攣のような動きをする。
淳美は絵里香の膣に出し入れしながらちんちんで感じるのと同時に、自分の膣が濡れる生暖かい感覚で自分のまだ愛には満たない恋心を感じていた。
ちんちんを出し入れするほど込み上げる気持ちよさもそれでもたらされる濡れる感覚も絵里香に対する好きと言う気持ちだ。
絵里香は小さく呼吸を整えながら淳美の方を見て幸せそうな顔を浮かべる。
膣の痛みはさっきよりマシだろうか。感じたりするかどうかは分からないが、濡れ具合から絵里香の気持ちは伝わってくる。
(絵里香、大好きっ……!)
淳美はできる限りゆっくり優しく腰を動かして好きという気持ちを伝えた。
(届けて、わたしのおちんちん!)
胸に広がる切ない気持ちは段々とちんちんを中心に脚の付け根から太ももに痺れるような感覚を広げた。
絵里香は腰を動かしてちんちんに絵里香の中の感触を伝える。
もうすぐ「来る」からだ。淳美の腰や太もももから感覚が鋭くなってジンジンとした感覚が波紋のように響いた。
「あぁっ!!」
淳美は普段出さないような声を上げた。
その声に絵里香も驚いたが、他ならない淳美自身が一番驚いた。オナニーでこんな声を出したことなど一度もなかったからだ。
次の瞬間、根本から先端にかけて電撃にも脱力にも似た他で例えようのない感覚が淳美のちんちんを駆け抜けた。
そしてドクンドクンとちんちんが痙攣してコンドームの中に生暖かい感覚が広がる。それは体温と同じ熱さ。
淳美は射精したのだ、絵里香の膣の中で。コンドームで包まれている状態とはいえ、好きな人の身体の中で射精するのはこれまで経験のない幸せな気持ちよさだった。
今、淳美が出した精子は絵里香への大好きの証だ。淳美の心は絵里香を好きと言う気持ちで満たされていた。
だが、すぐに冷静にならなければいけなかった。急いで淳美のあそこからちんちんを引き抜いた。
射精の快感から冷静になってすぐ恐れていたことがあったが、それは回避できた。
射精をした後でちんちんが小さくなってコンドームが外れたら絵里香の中で精子を溢してしまう。そんな事があったら大事だ。
半勃ちになったちんちんにコンドームはきちんと被さった状態を維持している。それを改めて確認すると淳美はオーガズムで敏感になったちんちんを刺激しないように気をつけながらコンドームをゆっくりと外す。
淳美がちんちんを引き抜いた後、絵里香は身体を起こして淳美がコンドームを外す様子を物珍しげに見つめていた。
淳美も数回、コンドームを付けてオナニーをしたことがあるが自身も慣れていなかった。そのため、ピッタリと陰茎にくっついたコンドームを伸ばして液溜まりに入っている精液をこぼさないように気をつけて巻き取るのに神経を使っていた。
外す時にこぼさないように、射精で体力を消費したダルさを押して集中してコンドームを無事、陰茎から外した。
絵里香はそんな様子をじっと集中して見ている。特に液溜まりにある不透明な白い液体が気になっているようだった。
「その白いのが精子?」
「そうよ。今、射精した時に出たの」
淳美は絵里香に聞かれた事に恥ずかしさを感じながら答えた。絵里香の身体からは出ることのない液体、それが出る場所も絵里香にはない、その事を考えると絵里香が自分のちんちんと精子に興味を持って見ていることに照れを感じた。
顔を赤くしながらティッシュを数枚取ってコンドームを包み、ゴミ箱に捨てる。そして、ティッシュをさらに取ってちんちんの先っぽに残った精液を拭き取った。
することが落ち着いたので、淳美はその場におしりをついて女の子座りの姿勢になった。
淳美は息が上がっていた。身体もダルさを感じていて力も抜けている。男女ともにオーガズムは体力を消費するが、一般には射精があるため男性のほうが疲れると言われている。両性具有は男性のオーガズムよりも疲れる傾向にある。射精の他に膣の収縮もあり、男女両方の反応が同時に起こるため男性の20~40%増しで体力を消費するのだ。
その上、男性のように不応期、俗に言う賢者タイムという性欲や性感が急激になくなる現象が起こらない。数十分から数時間かけてそれらが減衰し、その間、オーガズムで得た性感が身体に残る。
絵里香は気だるさとうっとりを混ぜたような表情を浮かべる淳美の顔を覗き込んだ。
「気持ちよかった?」
「うん。絵里香は?」
「痛かったよ。淳美がコンドーム外してる間にあそこを拭いたら少し血がついてた」
「大丈夫?」
「うん。まだ痛いけど我慢はできるよ」
「ごめんね、わたしばっかり気持ちよくなって……」
「気にしないの。初めてはこうだけど、経験積めば気持ちよくなれるっていうから」
淳美はそういう立膝で顔を近づけている絵里香の太ももが力を入れて内股になっている様子に気がついた。これは多分、膣の中の痛みをこらえてるのかもしれない。
「それにしても、ちんちんさっきよりちっちゃくなったね。射精したらこうなるの?」
絵里香はそう言って女の子座りをしている太ももと鼠径部の間からそびえ立つちんちんを見た。
「まだ勃ってるよ」
「さっき縮んだ時よりは大きいよね」
「あと、上むいてるでしょ?」
「勃ってない時って違うの?」
「だらってぶら下がってるの」
「今は半勃ちくらい」
「半勃ちって?」
淳美は絵里香の反応に驚いた。クリトリスは半勃ちって状態がないのだろうか。
「エッチした時くらい勃った時よりも弱い勃起の事をそう言うの。勃ってない時より大きくて、フル勃起より小さくて硬くない状態のことね」
「フル勃起ってさっきあたしに挿れた時みたいな時のこと?」
「へぇ、そんな風に言うんだ」
絵里香は感心した様子で言う。淳美は分からないだろうなとは思った。そもそも自分の身体にないし、絵里香が淳美の前に付き合ったのは女の子だ。女の子は男の子とエッチをする機会がなければ知ることのないのだろう。淳美は男の子じゃないが、ちんちんのある人だ。半勃ち、フル勃起という言葉を最初に知る切っ掛けになるのは妥当だろう。
「クリトリスってそういうのないの?」
「わかんない。ちんちんみたいに勃つっていうけど、ひとりエッチの時しか触らないから多分勃ってるところしか知らない」
「触らないとわからないの?」
「うーん、すごいエッチな気持ちになる時はムズムズする感じはするけどよくわからないな」
淳美はなんとなくそうじゃないかとおぼろげに考えたことはあったが、はっきりと女性の自分とは違う部分についての事を知り衝撃を受けた。下を向けばすぐに自分の性器を見られる両性具有や男性と違って女性は性器を見る機会が殆ど無いしあまり関心もないのだろう。その違いは自分が女性じゃないことを実感させると同時に、絵里香の身体が自分と違うことを思い知りある種の興奮を覚えるものだった。
賢者タイムがない両性具有である淳美はムラムラする感覚もある程度減ったとはいえオーガズムの後も残る。少し陰茎が硬くなる感覚を覚えた。
だが、射精で体力を使ってしまったのでもう一度、セックスをしようという気は起きない。それに絵里香は自分のちんちんを挿入したことで膣の中に傷ができている。さすがにその状態でもう一度挿入するべきではない。
燃え上がりきらない性欲と女性のそれにかなり違いオーガズムでもたらされた絵里香への愛おしさの強まりを感じた淳美は絵里香をじっと見つめた。絵里香も淳美の事をじっと見つめる。
淳美は腕を伸ばして絵里香を抱きしめるとそのまま布団に倒れ込んだ。
「淳美……!」
「絵里香、好きよ」
そう囁くと淳美は絵里香をぎゅうっと抱きしめた。
『やわらかい……』
抱きしめた淳美と抱きしめられた絵里香はお互いのそう頭の中でつぶやいた。
さっきまでちんちんの付いている淳美がちんちんのない絵里香に挿入していた男女の行為だったが、今は女の子同士として抱き合っていた。
淳美は体の怠さとぼわっと体中に広がる曖昧な輪郭の性感と「そばに居て欲しい」という気持ちを抱きしめることで伝える。
絵里香にはその気持はきちんと伝わっていた。そして、大事な所に感じる痛みにそれが淳美と愛し合った証拠であると確証を得て幸せな気分になった。絵里香も淳美と抱き合う腕の力を強めた。
どれだけの時間抱き合っていたかはわからないが、気がつくと淳美は眠っていた。
絵里香の腕の中で幸せそうな寝顔で寝息を立てていた。
そんな淳美を見ながら絵里香は膣の中の痛みで眠れなかったが、初めて見る淳美の寝顔を見て愛おしいという気持ちがどんどん湧いてきた。
絵里香は一回でも多くのエッチの経験を積んで気持ちよくなれる日が待ち遠しかった。淳美のちんちんで気持ちよくなるのがどれだけ幸せだろう、痛みを我慢して声を堪えるのではなく気持ちよくて喘ぐのがどれだけ嬉しいだろう、そんな事を考えながら淳美のふっくらとした身体つきの柔らかさを味わっていた。
受験勉強をしながら片想いをしてきた絵里香が淳美に告白して一年、言葉で繋がった二人が身体で繋がった日になったことを噛み締めながら夜の静かな空間の中、眠気がやってくるのを待っていた。
目が覚めると淳美は絵里香に抱かれていた。布団とは違う人間の体温が肌に伝わってくる。
絵里香の顔を見る。眠たそうにあくびをしている。昨日は寝れなかったのだろうかとその様子を寝ぼけた頭で考えつつ、その愛らしい顔にうっとりしていた。
「起きたの?」
「うん」
「どうしたの? 嬉しそう」
「だって、絵里香の体温の中で目が覚めたのが幸せで」
「あたしもだよ。とっても幸せ」
頭の中がまだはっきりしないのかあんまり喋ることが思いつかない。淳美はじっと絵里香の事を見ていた。
絵里香も淳美の事を見ている。淳美は先に目を覚ましたということは目が覚めてからずっと絵里香はこうしていてくれたのだろうかと考えた。
「淳美のエッチ……」
小声でふてくされるような表情を浮かべて絵里香は言う。
「えっ?」
淳美は予想外の言葉に驚いて一気に目が覚めた。
「ちんちん勃ってるよね? エッチな夢を見てたの? それとも今からしたい?」
絵里香は顔を赤らめて言う。
淳美はすぐに絵里香が何を言いたいのかが分かった。ちょうど勃起した淳美の陰茎が絵里香の腹に当たっている。
人のちんちんが身体に当たるという経験は淳美にはないが、大きな方ではない淳美のちんちんも勃起すればそれなりの大きさになるし結構硬い。腹に当たればはっきり分かるだろう。
「これ、朝勃ちっていうの。エッチな気分じゃないのよ」
「あさ……?」
「おちんちんってエッチな気分じゃなくても勃つの。眠いときとか、疲れたときとか。目が覚めた時は必ずこうして勃ってるの。今はそれ」
「そんな事、起こるんだ。え、でも、そんな色んな理由で勃ってたら大変じゃない?」
「大変よ。特にわたしはついてるのバレちゃいけないから苦労してるわ」
「なるほどね。ちんちんって本当に不思議だな」
淳美は勃起してる事を密着してくっついているお腹に当たって絵里香に伝わっている事が恥ずかしくて「ははは……」と笑ってしまった。
「でも、そんな風にちんちんを意識させられたらあたしがエッチな気持ちになっちゃう」
絵里香は唇を尖らせて言う。
淳美はそう言われて少し困った。勃起しているから今からセックスするのは嫌じゃない。実際に朝勃ちした状態から朝一番にオナニーをした事だって何度もある。
だが、問題は絵里香だ。昨日あれだけ痛がっていた。今も多分痛いだろうし、初エッチで女性が痛いのは事前に調べたが処女膜や膣の内壁に擦過傷が出来るからだという。
絵里香が求めてくれるのは嬉しいがせめて夜までは膣に入れたりしないほうがいいだろう。
ただ自分だけ気持ちよくなっていることへの罪悪感がある。絵里香を気持ちよくさせてあげるには絵里香に淳美にない部分の触り方を教わるのが筋だろう。
「えり……」
「淳美っ!」
淳美が絵里香の名前を言うとした所に絵里香は淳美の名を呼びながら勢いよく淳美の乳房に顔を埋めた。
「絵里香っ!?」
「淳美のおっきなおっぱい大好き。すごいこうしたかったの。気持ちいい」
絵里香は満足そうに顔を埋めて左右に動かした。淳美の乳房は小さい傾向にある両性具有には珍しくかなり大きい巨乳だ。
「!?」
淳美は驚いて声にならない声を出す。絵里香は顔を胸に埋めながら、淳美のおしりを手でなでたり腰のラインをなぞったりしていた。
「淳美の身体つきすごいエッチなんだもん。おしりの丸みとかこの腰のふんわりしたところとか」
「それ、わたしがおしり大きいのと太めなの気にしてるの知ってて言ってる?」
「あたしは本気で魅力に思ってるんだけどなぁ。丸いおしりってすごいエッチだよ」
「うーん……」
「このまま触ってていい?」
「朝勃ちじゃなくてただの勃起になっちゃう……」
「あたしも濡れてきたからお互い様でしょ」
淳美は太めなことを気にしているが、そこをエッチとか魅力とか言われるとは思わなかったのですごく嬉しかった。
だが、触る感触は慣れないし感じてしまうから、その興奮で勃起で痛みを感じるようになってきたしガマン汁も結構出てるだろう。
「朝食までまだ大分時間があるから触りっこしよう?」
「うん。でも絵里香」
「何?」
「絵里香にも気持ちよくなって欲しい。わたし、どうしたらいい?」
「ご飯食べて帰ってきたらあそこ舐めてくれるかな? 淳美が両性具有だって知らなかった頃にずっとしてほしかったの」
「うん」
そのまま絵里香は淳美を満足そうに愛撫し続けた。
絵里香は大好きな淳美の身体に思う存分触れられて幸せに感じていた。
淳美は感じて昨日精子を出したばかりだが、タマタマに興奮した時に精子を出したがっているかのような痛みを感じ始めていた。
淳美と絵里香はペッティングを続け、ホテルの朝食バイキングに出かけて戻ってからはまた愛し合い始めた。
午前中は淳美は気持ち良い場所を教わりながら絵里香のクリトリスを舐め続けた。愛液は変な味で最初むせたりしたが、舌で感じる勃起した硬いクリトリスの感触は気持ちよかった。
二人は手や口でお互いの身体を愛撫し続け、止まらなかった。
家族風呂で温泉を楽しみ、風呂上がりに部屋に戻ってもう一度男女のセックスをした。
絵里香は痛がっていたが、一日お互いの身体を愛撫して気持ちよくなった後だったのでそれでも幸せだった。
二人は初めて同士で思いつく限りのエッチな事をその日一日し続けた。二人だけしか居ない空間で気持ちいいと大好きをひたすら交換し合う時間は幸せでお互いにもっと愛し合いたいと思っていた。
もっと好きになれるように乳房や膣といったお互いの身体の同じところと、ちんちんやクリトリスといった違うところの事をもっと知っていこうと快感でぼやけた頭で考え続ける時間が続いた。
淳美は両性具有に生まれたことを嫌になることもこれまで多かった。だけど、女の子が好きな絵里香が自分のちんちんを受け入れてくれたことで自分の両性具有という性別、女の子という性自認の二つに自身を持てそうだった。
その日の夜、今度は先に眠った絵里香の寝顔を見ながら自分にちんちんがある事、絵里香にちんちんがない事に感謝をしながらこれから先もっと愛する事を決意して、一日の中で二度した射精の疲れに負けて眠りについた。