今回は久しぶりにR-18の方を更新しようと思います。幾分か書くのも久しぶりなので、何分不手際等もあるかと思いますが……楽しんで貰えると幸いです。
このお話は本編のifとなりますので、其方も併せて読んで貰えると内容が理解しやすいかと思います。
それでは、本編スタートです。
「ふふっ、颯樹くんってすごく慕われてるのね」
「そうそう。でもたまーに、アタシから見たらやり過ぎかなって思うけどね〜」
「「あははっ!」」
「(き、気まずい……)」
何故僕がこんな事になったのか……それは今現在隣で母親と談笑をしているギャルっぽい女子高生──リサが原因だからだ。僕としては彼女を自宅まで送り届けたら帰るつもりだったが、それを逃すまいとしたリサに引き留められてしまったのだ。
更にそこに追い討ちをかける様に、家の中から彼女の母親が出て来てしまい、こんな夜更けに何をしているのかと問われた際は穴があったら入りたい気分だった。リサとしてはあの時の事を謝りたいと言うのが第一にあったのだろうが、僕とリサの姿を見るなり母親の方は黄色い悲鳴をあげかけていた。
……まあ、母親の方に関しては懇切丁寧に話をして何とか分かって貰えたのだが、何処まで本当に理解出来てるかが正直不安な所なのが現状だ。
兎にも角にも、陽も沈んで辺りも真っ暗になっているので……今晩はリサの自宅にお世話になる事になったのだ。別に断っても良かったのだが、未だに袖を掴んで離さないリサや、此方を何か期待してそうな視線で見ていた母親に折れる形で、この様な現在となっていた。
「そう言えば……私からになるけど、この前は娘が失礼な事をしてすみませんでした。この娘ったら、何かあると直ぐ駆け寄ってお節介を焼くもので……」
「ちょっ、お母さんっ!? アタシからそれは言おうと思ってたのに!」
「ごめんなさい、リサ。でも……貴女がそれをした事で、颯樹くんからの第一印象が悪くなったのでしょう? これを教訓に反省しなさいっ」
「うむむむむ……」
「別に良いんですよ。彼女だって、悪気があった訳ではありませんし……それに僕は帰って来たばかりだったので、お節介と言うか寧ろ有難かったです」
僕がそう言うと……母親の方は少し困った様な眉をしてはいたが、すんなり折れる形で済みはしたけれど、リサの方は母親から再度苦言を貰っていた。これに関しては全面的にリサに非があるので、彼女が何か反論出来た立場で無いのは確かだが。
「……美味っ。この筑前煮、美味しいです」
「あら、良かったわ〜。ウチではよく出しているけれど、颯樹くんの口に合ったようで何よりね」
「そんな、とんでもないです。寧ろ
「そう? なら、遠慮せずにどんどん食べてね」
「ありがとうございます」
母親の言葉にそう返しながら、僕はお箸で里芋を掴んで口に運んだ。リサの家では頻繁に出ると聞いたが、これは確かにその理由がわかる。そう言えば、母親が料理をするとなれば、自然とその子供も同じ様に作るのが割と王道な気がするのだが……。
「実はこれ、リサの手作りなのよ♪」
「!?」
「んぐっ!?」
僕は口の中で咀嚼し続けていた里芋を思わず飲み込み、隣に座るリサは麦茶を飲んでいる所だったのか……それを勢い良く飲んでいた。更に彼女に至っては突然の事と言うのもあり、荒れた呼吸を整える事になった。
「お、おおおおお……お母さん、何言ってるのぉっ!?」
「あら、事実じゃない? 貴女ったらここ暫くあーでもないこーでもないって言って、煮物の味加減を確認していたの……私が気づかないとでも思ったのかしら」
「!?!?!?」
「……それ、ガチネタですか?」
「ええ、本当よ♪」
子は親に似るとよく言うが、リサの悪戯っぽい所はどうやら母親から色濃く譲り受けた物の様だ。この分だと……此処に居ない彼女の旦那さんの気苦労はさぞ絶えないだろうな、と心の中で合掌を送った。
「ああ、そうだ。今日一晩まるまる、あの人は帰らないって話らしいのよ」
「何か事情でも……もしかして、お仕事とかですか?」
「その関連ね。貴方の体型や背丈を見た限りだと、あの人やリサとほぼ同じくらいでしょうから……うん、こうするべきね。リサ〜?」
「……なに、お母さん」
漸く噎せていた状況から立ち直ったリサが、少し目線を鋭くしながら母親を見た。心做しか顔は真っ赤になったままではあったのだが。
「颯樹くんの服は今夜洗濯してしまうから、一晩だけ貴女の服を彼に貸してあげなさいな」
「さ、颯樹に……アタシの服をっ!?」
「良いじゃない♪ こうなった責任は貴女に一から十まで全部あるのだから、大人しく貸しなさい。それとも……ここ最近貴女が秘密裏にやってる事を暴露でもしましょうか? 私はそれでも一向に構わないのだけれど……」
「あ、あわわわっ……」
……あ、この後の展開は……詰んだ、逃げられない。
「貴女が最後まで聞いて、精神を保てる保証はしてあげられないわよ☆」
「……ごめんね、お母さんの無茶振りで……」
「良いよ、さっきも言ったけど気にしないで。ただ最後のに関しては褒められたもんじゃないけどね」
「あ、あはは……。ど、どう? 問題なさそうかな」
夕食を食べ終えてリサの自室を訪れるや否や、僕は彼女から何着か部屋着の候補を受け取っていた。どれもこれも女子らしいとは思ったのだが、こう言うのを男が着るのか……と言う旨の呆れに近い愚痴が心の中を占めていた。
確かに僕の部屋着はMサイズが多く、時折Lサイズで過ごす事こそあるが……レディース物で自分が着ている物と同じ大きさの物を見た回数が無い為、リサは女子の中でも高身長の方なのだとこの時に思い知る事になった(そう言えば……彼女の着こなし様は、よく雑誌等でよく見るモデルと遜色無いくらいだったなと思い出したのはまた別の話)。
「うん、問題無いよ。苦しさとかは感じないし、自分の家で着る物と違和感が無いくらいだ」
「そう言って貰えて良かったぁ……。ねっ、少しアタシとお話しようよ。最近はロクに会えてなかったし、情報共有も兼ねてさ☆」
「……そうだね。お風呂のお湯が貯まるまでの時間潰しには丁度良いか」
「さっすが! 颯樹ってば話がわかる〜♪」
部屋着の選定を終えた僕は、リサから暇な時間の話し相手に誘われたので、彼女の傍らに座って話に付き合う事にした。まあ座ると言っても、ベッドの上に直に座る訳では無いと思うので、そこまで心配しなくても良いのか……って。
「ん?」
「えっ、まさか……」
「座っていーよ☆」
……マジっスか。
そうしてリサの隣に腰を下ろした僕は、彼女と世間話と称した近況報告を行なった。まあその途中で色々茶化して来た場面はあったけれど、難無く躱しながら僕は彼女からの質問に答えて行った。
「へぇ〜、話はヒナから聞いて知ってたけど……颯樹と千聖って幼馴染だったんだね。通りで隅々まで知ってる訳だ〜」
「まあね。ちーちゃんが僕の半年前になるから、実際は彼女の方が姉と呼ばれてもおかしくないよ。でも、僕と居る時はその限りじゃないんだよなぁ……借りて来た猫みたく大人しくなるし」
「羨まし〜。それって颯樹のあんな所やこんな所も知ってる訳でしょ? ……千聖が心底羨ましいよ〜。アタシも颯樹の幼馴染になろっかな」
「幼馴染と言うには、年齢が経ちすぎてるけど?」
「そうだよねー、あはは☆」
……全くもう、リサと話してると何処が本気で何処が冗談なのかの線引きが難しいな……。でも、視線は混じり気無く真っ直ぐ此方の方を見ているし、話す話題もキチンと本人に合わせて来てる。
これがコミュ力のバケモンか……そう考えるとすごいよ僕の周囲の女子たちは。これなら引く手数多だろうに。
「でーもさー。アタシ、颯樹に対して思う所が無い訳じゃ無いんだよね〜。間接的にとは言え、粗方の状況は聞いちゃってるし」
「……そうだよね。彩とか燐子とか、そう言う親しい人からの話は聞こえやすいか」
「颯樹……無理、してない?」
リサからそう問い掛けられた時……僕は、自分の心の中を誰かに素手で鷲掴みにされた様な感覚に陥ってしまった。僕自身は無理などしていないと思っているが、どうやら傍から見てみるとその限りでは無い様だ。
「……これ、さ。一応言おうか迷ってたんだけど、良い機会だし聞いちゃうね。颯樹の過去に、何があったの? 最初に会って話をした時、そう言うのには興味無さそうな口振りだったから」
「……」
「ごめん、こんな話はダメだよね。でも、今まで彩たちから聞いた事と颯樹の活躍ぶり……そして、颯樹を取り囲んでいる彼女候補の熾烈な争い。これを聞いてしまうと、どうしても何かある様な気がしたんだ」
……確かに、リサの言う事は的を得ている。
だが、だからと言ってそんな
「……そうだね。リサの読みは当たってるかもしれない」
「それじゃあ「でもね」」
「僕はあまりこう言うのを話したくないんだ。自分の所為で誰かが傷ついて、そしてそれが負の連鎖を呼んで……最終的には自分も他人も不幸にする。もし許されるのなら、死んでも口は割らない」
……それくらい、僕の中にある闇は大きい。人一人がそれを抱えようとした途端に、重圧に負けて押し潰されそうになるくらいには。あの時口には出さなかったけど、リサや彩にイヴとか……その手の事柄に一番弱い人物には絶対に口を割りたくないのが本音だ。
……落ち着いたかな?
そう思っていると……何やら温かい感覚が身体全体に伝わって来た。今座っているベッドの温もりだとしたら、それは十二分に伝わっているので問題無いのだが……。その矛先を見てみると。
「……」
「……り、リサ!?」
「アタシ、颯樹が思っている程弱い女じゃないよ。知ってるもん、アタシの幼馴染も結構な頑固者で、弱音なんて絶対に吐かないのに一人になった時すごく寂しそうでさ」
僕はリサに抱き締められていた。あまりにもその音が静かで自然な流れだったので、反応するのに暫し時間を取られたのが原因の様で。
「ねぇ、何で一人で抱え込むの。さっきも言ったけれど、アタシは颯樹の思う様なか弱い女じゃない……こんなのは全然ヘッチャラ。アタシが友希那とすれ違った時に経験した寂しさと、何も変わんない」
「……そうか」
「友希那もさ。颯樹と同じで、何かあっても直ぐに言おうとしないで自分一人で抱え込んじゃう。結局その場で話してしまえば楽になったかもしれないのに、時間を経たせて手遅れになりかけそうな所で口を割る。……本っ当に呆れるくらいの頑固者」
……そうかもね。
「アタシなら全部、聞いてあげる。何処まで颯樹の力になれるか分かんないけど、アタシだけは颯樹の味方で居る。もうこれ以上、一人にはさせない……んっ」
そこまで言われた後に、僕は勢い良く唇を奪われた。
リサにとっては
それが彼女の庇護欲を思わぬ形で刺激し、この様な行動を起こしているのだろう。
そしてそんなキスは数分間に及び、僕とリサの間には艶やかな銀色の線が伸びていた。見ているだけでナニカをそそられそうなそれは、力無く僕たちの間で切れて行った。
「……アタシに、全部ぶつけて良いよ。後悔しないから」
「リサ……」
「……っ、颯樹」
そんな言葉と共に僕は、リサから覆い被さられた。何かの間違いで逃げ出してしまわない様に……頬に手を添えているのとは逆の手で指を絡ませ、彼女は止む事の無い口付けを交わし続けた。その様はまるで
そして気が済んだのか……漸く唇を離した彼女が、次にした行動はと言うと。
「……アタシの胸、触って……」
「ち、ちょっ……!?」
「あ、このままじゃ無理か……じゃあ」
自分の着ている服に手を掛けて、服が裏返しになってしまう事も厭わずに近くに脱ぎ捨てた。その時に見えた鮮やかな赤を基調とした下着も構わず、慣れた手付きでホックを外して、脱いだ後に服と同じ様な状態にした(その際にズボンまで脱ぎ捨てたのは見なかった事にしたが)。
「ほら……良いよ…っ、颯樹だけにあげる…っ」
「な、何をしてるのか……わかってるのか!?」
「わかってるよ! アタシだって……アタシだって…っ!」
そう言ったリサの瞳には、じわりと涙が浮かんでいた。
……そして、間を空けずに一言。
「アタシだって、颯樹の事が好きだもんっ! 他の誰にも……取られたくないよッ!」
……リサ……。
「アタシ、こうやって颯樹と話できる機会が欲しいってずっと思ってた……ヒナから頻りに聞かされてたから、どんな人なんだろうって。でも、颯樹の周囲はアタシ以外にも好きな女の子で埋め尽くされていて……言い出しっぺのヒナでさえ、颯樹の事が好きなんだって…っ」
「……くっ」
「アタシ、颯樹以外のオトコと付き合う気は無いよ。見た目から勘違いされるけど、アタシ……自分が想った男には一途に尽くすよ」
……そうか。なるほどね。
「ねぇ、颯樹……アタシを愛して……。今晩だけで良い、アタシだけに……愛を注いで…? お願い……颯樹…っ」
僕はリサから襲われ、精神的にも肉体的にも搾り取られるのだと……悟った、その時だった。
「リサ、お風呂上がったわ……あらあら♪」
「「!?!?!?!?!?!?」」
「お、お母さん!? の、ノックくらいしてよッ!」
「まさか自分の娘が好きな人と……エッチしちゃうなんて事を聞いてしまったら、ねぇ…♪ 飛び出すタイミングを伺ってたのよ☆」
……た、助かった……でも、これ結構ヤバいヤツじゃ!?
「大丈夫よ、リサ。貴女も歳頃の女……好きな人ができると子孫を残す為にシてしまうのは、生き物としての本能ですものね」
「ちょっ、お母さん! アタシ、そんなんじゃ…っ!」
「冷めないうちにお風呂入っちゃいなさい♪ あ、颯樹くんと二人っきりで……やぁんっ♡」
「お母さんのエッチ、アホ、バカ! 良い雰囲気だったのに邪魔しないでよーッ!」
そう言ってリサは、自分の近くにあった枕を母親目掛けて投げていたが、その当人はと言うと直ぐ様扉を閉めて防御していた為に空振りとなってしまった。そしてその後は未だフラストレーションが溜まりまくっている彼女と一緒に、お風呂に入る事になったのだった。
……あれ? これ、災難は終わらなさそう?
今回はここまでです。如何でしたか?
次回はこの続きから始めたいと思いますので、更新通知の方をお待ち頂けると嬉しいです。
それではまた次回の更新にて、お会いしましょう。