撮影が終わり、本番開始となった。演劇の舞台は荒野の古城をイメージしてセットされた。
「ああ、助けて、あたくしを助けて!」
十字架に磔にされたお姫様役のカトレアが泣いて叫んでいた。磔にされてすすり泣いている。
「姫、助けに来ました!」
そこへ主役のカイトが登場して助けに来た事を伝えた。お供役として先輩のメイがクリスマスの衣装を着てカイトに続いて現れた。
「ああ、王子様、助けに来てくれたのですね!」
王子役のカイトの登場にカトレアが笑みを浮かべた。
「さあ、王子様、お姫様を助けましょう!」
メイが応援するようにカイトにカトレアを助けるよう言った。カイトが歩き出すと、
「フハハハハ、そうはさせないぞ!」
ステージの上から足場が下りてきて、そこから悪役の男性が下りて来た。悪の大王を演じているハチクであった。
「我が配下を退けてよくぞ姫の下にやって来たな、勇者カイトよ。だが姫を渡すわけにはいかん、このハチク大王がここを貴様の墓場にしてくれよう!フハハハハ!」
悪の大王演じるハチクがゾロアとバルチャイを繰り出して来た。
「王子様、大王を倒してお姫様を助けましょう!」
「うん!」
カイトとメイはマリルとデリバードを繰り出してハチク大王と対峙した。
「フハハ、食らえ!」
ハチク大王の指示でゾロアがかみつくでデリバードを攻撃して、バルチャイがつつくでマリルを攻撃した。
「どうだ、勇者カイトよ、我がポケモンの前に手も足も出まい、それでも我に歯向かうか!」
「の、望む所だ!」
前世の記憶で怖気づけばバッドエンドになると考えて敢えて勇敢な台詞を吐いた。
「フハハ、その心意気や良し、我が配下の究極技を受けよ!」
ゾロアがみだれひっかきを、バルチャイがだましうちをしてデリバードとマリルを攻撃した。
「王子様、反撃です!」
「うん!」
カイトとメイが反撃に出ようとした。だがその時だった。
「ん、何だあれは?」
スタッフ達が驚いていた。見ると現場の上の方で何かの入り口が開いて来た。その穴の中から一体のポケモンが現れた。
「バンギラス?」
カイトはそのポケモンがバンギラスに似ていると思った。だがよく見るとよく知っているバンギラスとは違う、まるでロボットのような造りのバンギラスだった。
「オーナー、メカバンギラスが登場する予定だったのですか?」
「いや、そうだったのか・・・?」
スタッフがゲリラの出演かと聞いてがオーナーは首をかしげていた。
「ビリビリ、カーーン!!!」
そのバンギラスは機械音を立てると、辺り一面に電撃を放ってきた。電撃でステージが滅茶苦茶になってしまう。
「どうなってるんだ、私はメカバンギラスを登場させた覚えはないぞ!」
「ええ、メカバンギラスじゃないんですか!」
「いえ、待って下さい!」
慌てるスタッフ達にメイは落ち着くよう言った。
「あのバンギラス、メカバンギラスじゃありません」
「うむ、恐らく別の世界からやって来た、別種のポケモンかもしれないな」
危機的状況になって大王演じるハチクも素の姿になって別世界からやって来たポケモンだと推測した。
「パラドックスポケモン・・・・?」
カイトは前世の記憶でパルデアのパラドックスポケモン、未来から来たポケモン、テツノイバラだと思い出した。
「ともかく、このポケモンを鎮めなければならないな。カイト、君も力を貸してくれるだろうか?」
「はい!」
ハチク、そしてメイと一緒にカイトもパラドックスポケモンに立ち向かった。
「カイト、このポケモンは別の世界に来て暴走しているだろう。出来れば倒さずに無事に帰してあげたい。だが、それが叶わない時は、君がこのポケモンの友達になってくれないだろうか?」
ハチクがカイトにテツノイバラを仲間にしてくれないだろうかとカイトに言った。
「カイトさん、あたしも同じ意見です。あのポケモンを仲間にしてあげて下さい!」
「僕が・・・?」
ハチクとメイに仲間にしてほしいと言われてカイトは自分に出来るのかと戸惑った。この世界に転生したばかりでポケモントレーナーになり立ての自分にそんな事が出来るのかと悩んだ。しかしテツノイバラを見て言を決した。
「うん、やってみるよ」
覚悟を決めてテツノイバラに挑んだ。カイト、メイ、ハチクを前にテツノイバラはほうでんを飛ばして来た。デリバード、フリージオは素早く動いてほうでんをかわした。
「ドリルくちばし!」
「れいとうビーム!」
メイとハチクの指示でデリバードとフリージオがテツノイバラを攻撃した。
「バブルこうせん!」
カイトもマリルにバブルこうせんを飛ばしてテツノイバラを攻撃した。テツノイバラがかみなりを飛ばしてデリバードに攻撃に出た。デリバードはかわすとこなゆきを飛ばして攻撃、ハチクのフリージオもこおりのつぶてを飛ばさせてテツノイバラを攻撃した。
「マリル、アクアテール!」
カイトの指示でマリルはアクアテールをして攻撃した。テツノイバラはストーンエッジに出たが、マリルはこれをかわしてじゃれつくをして攻撃した。テツノイバラが怯んだ所でカイトはボールを投げて捕まえた。テツノイバラが入ったボールはしばらく動いて動きを止めた。
カイトはそのボールを手に取って初めてパラドックスポケモンを捕まえた喜びを実感していた。
「凄いです、カイトさん。未知のポケモンを捕まえちゃうなんて!」
「ありがとう、このポケモンも君となら大丈夫だ」
メイとハチクがカイトの健闘を褒め称えた。
「いやあ、カイトちゃん、ありがとう。君のお陰で被害が大きくならずにすんだよ。本当に感謝だね!」
オーナーも嬉しそうにカイトに感謝した。
「さあ、撮影を始めよう。さっきの出来事を付け足してね」
騒動が終わり、再び撮影が始まった。ファンタジー溢れる冒険活劇となって完成したのだった。
その頃、ポケウッドの裏側では・・・。
「サカキ様、実験は成功です」
ロケット団幹部のアポロがボスに報告していた。
「そうか、ウルトラホールのような空間を歪める実験は成功したか・・・」
ボスのサカキは空間が生み出された事に笑みを浮かべていた。
「ですが、パラドックスポケモンはトレーナーの手に渡りました・・・」
「それは仕方ない、実験は成功してポケモンが出てくる事だけでも分かったのだ。そこは評価しよう」
「サカキ様、このイッシュ地方で実験を行い、パラドックスポケモンを我々の物に出来れば・・・」
「ああ、新たなビジネスを掴めるだろう。そして、このイッシュ地方を私の物にするのだ・・・!」
イッシュ地方に来てサカキは新たな目標を抱いていた。