※この作品はR-18です。

運命線上のデュエット   作:BaSH.sh

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主人公にしては割とヘタレだと思うのだわ。


天意

真昼の月が俺を照らす。

ノイズだらけの思い出が蘇る。

 

小さい頃に聞いた両親から聞いた話が掘り起こされる。

 

俺の祖父と祖母は居ない。

亡くなったと聞いた。

つまり、死んだって事だ。

 

これは親父から聞いた話だ。

 

父と母さんを祖父は虐待していた。

ガタイが良く衝動的だが格闘的な戦闘センスと圧は有る祖父だったらしい。

そして、それと同時に酒飲みのDV夫で八つ当たりだって日常茶飯事だった。

 

俺の両親は保育園の頃から15年以上はDVを受けていた。

 

しかし、祖父が父に放った言葉は父を変えた。

虐められるだけの道順は破壊されたのだ。

 

 

「───目的を以て学べ。やりたいことすらない奴は俺のように馬鹿の生き方しかできねえ。誰にも、お前を狂わせることなんて出来ねえ。だから、自分の心に従え。」

 

そうやって、父は祖父に言われたことで目が覚めたと言っていた。

 

それから、4年後に父と母は結ばれた。

結ばれたのは19歳の頃だったと聞いた。

 

なぜ、祖父が亡くなったのか。

それは事故だった。

 

「土木作業で高所から落ちた資材で作業員の一名が死亡、4度の行政指導にも従わず。」

 

新聞の切抜き、スクラップノートに同じような記事が切り貼りしてあるものを偶然にも見つけた時のことを思い出す。

 

杜撰な管理体制と職務怠慢な役員に苛立つ記事だった。

しかし、父は「過ぎたことだ、気にするな。」と吐き捨てるように、それを見つけてしまった俺に言った。

 

母が遠い昔に俺に行ったことを想い出す。

 

「あなたは世界を救う、あなたの衝動は世界の希望だから。」

「私とお兄ちゃんの血は特別なの。だって、愛し合ってるから。」

「だから、目覚めて……早く。」

 

 

教室に戻った俺は倒れていた。

 

遠い残香。

永久の輪廻と縁は続く。

君の声が鼓動を動かす。

目覚めてしまう。

 

本当の血の衝動という優しさ。

 

───俺は覚醒る

 

柔らかい感触と遠い気が撫でる。

「ん……はむっ、あむ。はぁはぁ……お兄ちゃん。しゅき。」

「んん?はうっ……!!んんっ!!ぷはっ!!」

妹が俺に口付けをしていた。

 

交わるハズの無い線だった。

気づいてしまった。

 

悪戯に微笑む妹の温もり。

 

───そう、俺は。

───そう、私は。

 

妹を───

兄を───

 

不確かだった想いが衝動となって流れ出す。

 

───愛している───

 

流れる血の衝動は紡がれる。

 

黒白の意思が受け継がれる。

 

「私が兄貴を守るから……!!だから、お兄ちゃん……起きてっ!!」

「───これからも、ずっと一緒だよっ!!」

 

俺は横になっている。

そのまま、愛しい妹の頬を撫でた。

 

「「───誰よりも愛してるよ。」」

 

交わり合う兄妹の想い。

その後、俺たちは何度もキスとハグを教室で平然と見せつけるようにした。

 

───午後の授業、響く乾いた音。

 

黒板を卵の殻の集合体であるチョークが闊歩し楽器の如く音色を奏でる。

 

倒れた後に学校の校長から親父へ連絡が入ったそうだ。

 

「なんか、あの後に倒れちゃったみたいなんだけどね。金ちゃんと同じかもしれないよ?」

「やはり、そうか。血は争えないんだな。」

「だって、そうでしょう?ただでさえ、金ちゃんは神月家当主で神憑きだもんね。」

「あぁ、正に血の衝動だな。」

 

自分のテリトリーで大切な存在の命が危険になるかもしれないという現代人では敏感になり易い。

最愛の存在を守ることに特化したことで遺伝子的に刻まれて獲得した力だ。

神月家は表は神憑きと言われているが、これは精神障害に近い様子を見せる。

不必要な注意を削いだ上で最愛の存在を守るための注意力と集中力に目覚めてしまう。

しかし、実際の事を言えば日本国政府が隠したいモノであり、それは何かといえばサヴァン症候群のひとつであるということだ。

そして、その段階で必ず力を使える者は知識者となる。

更に言えばADHDであり注意欠落型の方だ。

 

「それはそうとして。とりあえず、零時きゅんたちのことは、こっちの使用人に送らせるからね。」

「オーキードーキー!ついでに猫耳メイドもオナシャス!!」

「あんた、馬鹿を言ってないで心配してあげなさいよ!!」

「はいはい、わかったよ。かっちょいいパパになればいいんでしょ!」

「はぁ。ったく、あんたも親になったことくらい自覚しなさいよね!」

「あぁ、ありがとう。それじゃあ、またね!!」

「これくらい当然よ、じゃあまたね。」

 

通話は切られる。

 

よく言えば親バカで、悪く言えばだらしがない親父だ。

それでも、DVはしない。

両親は幼い時から俺たちを結ばれる兄妹として暖かく育ててくれた。




まだ、向こうの本編で出ていない情報が明かされましたが、まだ謎が必ずあります。
どうして、零時の父親は息子にペネトレーションテストやフォレンジック調査の手法を教えているのか、それは向こうで明かされます。
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