本当に来てしまった……!
ダブルベッドの存在感がいかがわしい、大人の雰囲気が漂うホテルの個室。
高級ホテルと言われても何ら疑問に思わない内装に圧倒されていると、一緒に入室したラミアはショルダーバッグをベッドの上に置きながら、平然としたサマで淡々と喋り出してきた。
「シャワーはどーします?? ウチは化粧が落ちるので浴びませんけど」
「俺は浴びた方がいいのかな……?」
「お任せしますよー。ウチはどちらでも構いませんから」
ラミアは慣れた調子で返答し、ベッドにドカッと座っていく。
バッグからスマートフォンを取り出し、たぷたぷと操作し始めた彼女。その際に、無防備に開かれた脚の間からは“純白”が顔を覗かせていた。
……白色の、シルクのショーツ。
無性にドキドキしてしまう。そして次第にも、あれだけ罪悪感を抱いていた感情が本能に上書きされ始めて……。
……あぁ、そうか。俺は田中さんを抱けるんだ。
これから、恋焦がれていた彼女と“そういう行為”をするんだ。と、ラミアのショーツに意識が奪われてしまう。
「……俺はシャワー浴びようかな」
「でしたら、貴重品を持って浴室に向かってください。万が一、貴重品を紛失された際に、ウチが盗んだと疑われたくないので」
「わ、わかった……」
早く、シャワーを済ませてしまおう。
しかし、そうして急く気持ちとは裏腹に、自分はラミアの絶対領域から覗く純白に視線が向いてしまう。
それが偶発的なものだったのか、意図的なものだったのかは分からない。
ただ、チラチラと見遣るこちらの様子にラミアは気付いていたことだろう。次にも彼女は顔を上げると、一向に表情を変えない面持ちで言葉を投げ掛けてきた。
「あの、さっさと済ませたいので早くしてくれませんか??」
「ご、ごめん……!」
「別にイイですけど。と言いますか、ヤるんならイマすぐヤるとかでも構いませんけど??」
「でも、相手の体が汚れていたら気にならない……?」
「もー、そんなコト気にしていられませんから」
その言葉を、ラミアは達観した調子で答えてきた。
……彼女の方へゆっくりと向き直る自分。
こちらの動きを見て、ラミアはスマートフォンを脇に置きながら見つめてきた。
直にも彼女は、華奢な両脚を持ち上げてはM字にして開いてみせる。
大胆にも披露された下着と、平然とした上目遣いで誘ってくる彼女の視線……。
もう、限界だ。
既にバキバキと成長した“息子”が、彼女を欲するあまりに張り詰めて仕方が無い。
自分は魅了されるように歩み寄り、ラミアの小さな両肩に手を掛けた。
か弱くて、可憐な体。できるならば、彼女をこの手で守れるような男になりたかった。
切実な思いを巡らせながらも、無言の眼差しで彼女に確認を取っていく。
内心で交錯する複雑な感情も、果たして読み取られていたのだろうか。その真相は彼女のみ知るが、少なくとも暫し見つめ合った後に彼女は、受け入れるように頷いてくれたことは確かだった。
これも、田中さんのためだ。今の俺には、こういう方法でしか彼女の助けになれない。
精巧なドールを扱うかのように、彼女を優しく押し倒した。共に自分も覆い被さっていくと、あらゆる衣類がめくれあがった彼女のそれらを、自分は慎重な手つきで脱がし始めていった……。
――――――――――――――――――――
素直に言ってしまえば、この日は極上のひと時を味わえたものだ。
金で買った、初恋の人。十年経ってもなお、お人形さんのように可愛らしい彼女という特別な存在を、自分は思い描いた理想とは異なる経緯で抱き締めていく。
表には見せなかったが、心では涙が止まらなかった。
こんなつもりじゃなかったのに。今更になって後悔に苛まれる自分だが、間もなくとして巡ってきた極上の快楽が、ありとあらゆる感情を上書きしてしまう。
肉を打ち付ける、激しくも鈍い音。腰の前後運動は止まることを知らない。
俺は今、田中さんと繋がっている……!
小さな穴にピッタリ嵌った“息子”を出し入れし、息を荒げた必死な思いで彼女に愛情を捧げていた。
尤も、その本人は天井のシミを数えるように無反応だったものだが。
「うっ」
「出ました??」
「……ごめん。早かったよね」
「ゴムはしてますし、早かろーと遅かろーと別に構いませんけど」
上体を起こしてくるラミア。引き抜かれた“息子”を見遣りつつ、彼女は訊ね掛けてくる。
「どーします?? コレで終わりにします??」
「ラミアが良いのなら、もう一回だけシたいんだけど……追加料金とか要るかな」
「そーですねー。本来でしたらプラスで五千円を頂いたりするんですけど……まー、カンキさんは知り合いの方ですので、今回はタダでイイです」
「ありがとう……。それじゃあ、あと一回だけ……」
道具を付け替えて、ベッドに倒した彼女の“ソコ”に再び進入する。
これでしか彼女を支援できない非力な自分が、悔しくて堪らない。
しかし、それ以上に悔しく思ったのは、ラミアという女性の“ソコ”が最高に気持ち良かったことだった。
もう、一人で慰める行為では満足できないかもしれない。
同年代である、小柄で華奢な体を穢す実感。しかも元クラスメートであり、自分は今でも彼女に惚れている。
そんな彼女という存在を、自分は同意を得た上でハメている……!
最初は緊張のままに“ソレ”を力強く打ち付けていた。だが、次第にも訪れた余裕によって勢いを緩めていくと、次にもこの意識は“息子”の先端に集中し、彼女の内部にある快感のポイントを探るようになっていた。
触れる場所によっては、無反応に近かった彼女が時折と甘い声を出したりする。
その部分を手探りで見つけていき、次第と息を荒げ始めた彼女の反応に自分は満足感を得られていた。
体全体ではなく、腰のみの前後を意識した運動。力尽くではなく、一定のリズムで抜き差しする感覚を第一に考えていく。
間もなくとして、ラミアはベッドについていたこちらの両手に触れてきた。
天井に向けていた視線を、こちらに投げ掛けている。宝石のように綺麗なヴァイオレットカラーの大きな瞳で、おねだりをするような蕩けた眼差しをこちらに向けている。
彼女の両手を取り、恋人のように繋ぎ合わせていった。
愛おしい。自分の“ソレ”で快楽に浸る彼女の姿が本当に愛らしい。
人形のような顔の輪郭。か細くも男を知る体。本能を掻き立てる平坦な胸には桜色の突起が浮き出ており、今も“オトコ”を受け入れる“ソコ”は、幼げな肉感を伴いつつも締まりが良い。
最高の相性だ……!
甘い声を端的に漏らし始めた彼女は、表情を悩ましげに歪ませていた。その反応に一層もの興奮を覚えた自分は、繋いでいた手を離してから彼女の背に回していき、小さくて可憐な全裸の体を抱き抱えていく。
それに合わせて、ラミアもこちらに腕を回してきた。
脚も組み付くように引っ掛けてきて、物理的な距離感がより縮まっていく。それに伴って深々と突き刺さり始めた“息子”と、密着状態で優しく突き上げるような運動によって、自分らは互いに求め合うよう快楽に浸ったものだ。
抱き付いてきたラミアが、耳元で喘いでいく。
彼女が、俺を求めてくれている。今も小さな体で頑張って抱き付いて、自身を突き上げる“モノ”を欲するかの如く、その腰を低く据えて重心を掛けている。
とても嬉しかった。
こんな自分でも、彼女を満足させることができるんだ。
限界を迎えつつあった自分が、フィニッシュに向けて運動を激しくする。
それを悟ったラミアが更に強く抱き付いてくると、互いに前面を密着させたその状態で直にも、自分は振り絞る勢いで抱き締めながら二回目の絶頂を迎えた。
脳内に分泌された成分が、視界をチカチカと光らせてくる。
快感が全身に迸る。一気に抜けた力で懐の彼女に寄り掛かっていくと、ラミアも荒げた息遣いでありながら、応えるように抱き付くことで離れずにいてくれた。
……自分でも信じられない量の“白濁”が溢れ出てくる中、彼女と向かい合いながら訊ねていく。
「……キス、してもいい?」
「ん、構いませんよ……ッ」
彼女からキスを促してきた動作を見て、自分も顔を近付けることで唇を重ね合わせた。
フワッと表面上で触れ合って、離れては再びくっ付け合ってというソフトな口付けを交わしていく自分ら。そのひと時はかつてない幸福感で満たされていき、自分は半ば虚ろとした瞳で、無心で彼女とのキスに没頭していく。
彼女もまた、感覚に意識を注ぐかのように目を瞑っていた。
幸せだ。もしも許されるのならば、田中さんとずっとこうしていたい。
しかし、まるで夢のような至福の時間も、いずれ終わりを告げる。
名残惜しく離れた互いの唇。共に至近距離で見つめ合う中で、自分は彼女へと言葉を掛けた。
「……ありがとう、田中さん。田中さんを買っておきながら言うセリフじゃないんだろうけどさ……。俺、田中さんとこういうことができて……すごく幸せだった」
「そーですか。まー、喜んで頂けたのなら良かったです」
淡々とした調子はそのままだ。
平常運転の彼女に、安堵を抱いていく。が、一方でラミアはそれを訊ね掛けてきた。
「もー、イイんですか??」
「え……?」
「……ゴム、まだ残ってますよね??」
「でも……」
むぎゅうっ。
両腕と両脚で抱き締めてきたラミアが、こちらの首元に頭を寄り掛からせながら喋り続けてくる。
「追加料金、要らないです」
「……え?」
「お部屋の延長料金も、ウチが支払います。なので……お願いします。もー少しだけ、こーしていきませんか??」
とても穏やかな声音によるセリフだった。
同時にして、彼女から求めてくれたという事実に自分はとても嬉しく思えてしまえた。
ぎゅうっ、と優しく抱き締めてくるラミアのアプローチに、自分も応えるよう抱き締めていく。そうして互いの体温を交わし合った後に、自分らは部屋の利用時間を延長すると共にして、数時間にも及ぶ行為で心を満たし合ったのだ。
……これが、今後の人生で深く関わり合うこととなる“彼女達”との出会いだった。
その一人であるラミアとの出会いは、自分の運命を大きく変えることになる。