「ハーレムルートを目指しましょう、先生」 作:アキラゼミ
私の小説が(改行場所の関係で)読みにくいなって人は、横1行に入る文字数を「23文字」になるよう調整してみてください。
改行箇所にはかなり気を使っているつもりなので。
(改行場所、スマホの画面サイズによっては変わるじゃねーか!と、つい最近気付いたのです)
「ん〜ッ……はぁ、疲れた……」
「お疲れ様、先生」
「シロコこそお疲れ様。……仕事、早くなったね」
「ん。私はよわシロコより強いし、仕事もデキる。だから……いつでも頼ってね」
そう言って、シロコ*テラーは優しく微笑んだ。
今日の当番は砂狼シロコ──ただし別の時間軸のシロコだ。
──というより、出せない。
彼女は、私と
願わくば、もう何度目かになるこの彼女の当番も何事も無く終わってほしいものだが……。
「先生、肩でも凝ってる……?」
「……? どうして?」
「初めて会った頃と違って、先生の動きに、どこか違和感があるから……」
「初めて会った頃……」
「
「あぁ、この世界線の私に会った時ってことだね」
「ん。なんというか……身体を痛めてるような感じの動きに見える。マッサージ、しようか……?」
「大丈夫大丈夫! 気持ちだけ受け取っておくよ、ありがとうね」
「……ん。先生は、いつもそうだね」
「?」
「心配させまいと、無理に笑顔を作ってる」
「無理なんて事は……」
「それが祟って倒れた事も、何度もあるよ。今は、まだ無事だとしても。それを続けていれば、確実にそういう未来が来る。……と思う」
実際に見てきたから、そこまで言えるんだろう。未来
「……マッサージ、お願いできる?」
「ん。楽にさせてあげる」
シロコの指示で、ソファにうつ伏せで寝転がり、彼女はその私の背中に乗り、肩に手を掛ける。彼女曰く、肩周りの動きに違和感があるとの事なので、首も含めた周辺を重点的に揉み解してくれるそう。
「っ、ゔッ……ふぅ……ぅ」
「気持ちいい?」
「ん、うん、声が漏れる、ぐらい……ッ」
「良かった。……最近になって、またロードバイクに乗るようになったけれど。筋肉痛が……すごくって。あの頃より真面目にマッサージするようになった」
「そっか、そうだったんだ。道理で上手いワケだ。ただ『凝った所を揉んでる』のと別次元の上手さに感じるもの……んぐっ」
「効果的な揉み方っていうのも、あるから。先生が気持ち良くなってくれるのなら良かった、勉強した甲斐がある」
それからマッサージをしながら色んな事を話して聞かせてくれた。
たまにシロコが勝負を挑んでくるが、そこは容赦せず正面から叩き潰し返り討ちにすると。ただし、ことロードバイクという一点においてのみ、現役のシロコにはまるで敵わないと。
その際、胸の大きさで空気抵抗がどうの、体重がどうのと言われたら、逆に貧乳煽りをする──と。
互いに煽り煽られているものの、同一人物同士、とても仲良くしているそうだ。
喧嘩っぽい展開になっても、それはまるで子犬のじゃれあいのようなもので、別れ際はいつもとても清々しい、綺麗サッパリしたシロコとシロコ──の姿を幻視した気がした。
彼女がこんなにも自分の事を話してくれたのは、恐らく初めてだ。買い物に行った時だってここまで話してはくれなかった。どうしたって、いつも少し壁というか……ほんの少しだけ距離があったから。
「──こんな感じでどうかな? 肩、回してみて」
シロコが見守る中で、肩を回す。違和感は無い。回転する機構の中の、ほんの小さなつまりが取れたように、違和感なくクルクルと回せる。
それを見たシロコは、安心したように静かに目を閉じた。
「うん、楽になった! ありがとう!」
「……なら、良かった。でも、まだ仕上げがある」
「仕上げ?」
「脱いで。直接、圧を加える」
「えっ。いやぁ、流石に上を脱ぐのは……」
「マッサージだよ。私はシロコだけど、シロコとは違う。脱がせた勢いで襲ったりはしないから……」
そうか。どっちのシロコもサオリに撃たれた時の腹の傷の存在は知っているか。
──いや、待て。イチカに撃たれた時の傷は? *1
「……弾痕とかあっても気にしないでね?」
「ん。それは大丈夫。先生は、私の知ってる先生と同一人物だけど、違う人生を歩んでる。傷だって、きっと、私が知ってるものよりも多いだろうから。その耳の傷みたいに……」
「あぁ……」
ノアに噛み切られた耳たぶか。去勢された飼い猫みたいで、耳の傷を鏡で見る度にほんのちょっぴり興奮してしまう。私はノアの飼い猫……なんて。
気にしないと念を押すので、上だけは脱ぐ事に。もしも他の生徒に見られたらまずい場面だが、今はそんな心配も無いだろう。
「………………えっ?」
「?」
「肩……その傷、誰に噛まれたの?」
「ゲッ」
「いや。その歯型、見覚えある。シロコが噛んだ? どうして……なんで
ここまで来ると怖い。科学的な捜査も何も無く、目視のみで歯型を見分けるとはどういう事だろう。いくら同一人物だからとはいえ、そこまで分かるのだろうか。私なら分からないと思う。
「どうしてシロコだと思ったの?」
「ん……さっきも言ったけれど、この歯型に見覚えがあるだけ」
「どこで見たの?」
「……色彩と接触する、少し前。自暴自棄になって、その……じ、自傷……行為、じゃないけど…………それに近い事をした経験がある……というか……」
「〜〜〜〜〜〜〜ッッ……」
そうしたくなるのも分かる。分かるのだがこれは決して肯定してはいけない。怒るべきか諭すべきか慰めるべきか、私には分からない。しかし……。
「ダメじゃない、そんな事しちゃ……。自分の身体は大事にしないと……」
「うん。先生からも、そう注意された。それからはもう二度としていないから、安心して。一時的な、その……気の迷い、だから……」
「そう? 本当だね? それならいいけどさ……」
「でも、自分で噛んだ経験があるからこそ分かる。この歯型は私のものだし、肩肉が抉れているという事は、それだけ強く、強く強く噛んだということ。あのバカシロコは一体何を考えて、先生を噛んで……傷をつけて……シロコ……シロコッ!!」
筋が浮かぶ程にグッと強く拳を握り、怒りに顔を歪める。何処かに繋がったワームホールを開くと、そこに身を投じようとする。
彼女の移動先と何をするつもりかを察した私は、慌てて身を起こし、彼女を押し倒し動きを封じる。
「離して、止めないで……! シロコが、私が先生を傷付けるなんてもう嫌なのに! こっちのシロコは何を考えてるか分からない……でも、これ以上先生を傷つけない為に分からせてやらなくちゃ……!」
「違うんだよっシロコ! 私がお願いしたの、私を噛むようにシロコにお願いしただけなの! だからシロコが悪いワケじゃないから、落ち着いてっ!! 一旦落ち着いて……ねっ!?」
「……どういう、こと……?」
息を荒くして今にも怒りのままワームホールへと飛び込みそうだったシロコは、私の説得が効いたか自ら発生させたワームホールを消す。シャーレには静けさが戻り、気まずい空気だけが残った。
「その、さ。なんて言えばいいんだろうか。私と、こっちのシロコが──
「繋がり
「(物理)とか言わないの……まぁそうだけどね」
「それと噛み跡が……どう関係があるの?」
「シロコってさ。興奮──性的な興奮が高まると、噛みグセが発現するというか、そんな感じなんだ」
「ッ!? ウソ……そんなの、私は知らない……」
彼女も世界崩壊前は普通の女子高生だったんだ。性的に興奮する事も、オナニーする事だって当然のようにあったのだろう。そして、生活がある程度は安定したであろう「今」も……。
それでも噛みグセまでは発現、または自覚は特にしていないらしい。
「君はそうかもしれない。でも少なくともコッチのシロコはそうなんだ。だから……」
「やっぱり私から噛んでたんだ、クソザコシロコのクセに何やって──!!」
「ストップストップストップ!! ワームホールで移動してシバきに行こうとしないで!!」
「でも
「最初はそうだったんだけどさ! でも、シロコに噛まれるのが好きになったの! だから、シロコを責めないで……!」
「……? どういうこと……?」
「やっぱり私もシロコが好きだからさ。好きな子に噛まれるのって……なんか……イイじゃない?」
「? ……? ん……??」
「要は、需要と供給なんだよ。シロコは噛みたい、私はシロコに噛まれたい。需要と供給が、シロコと私でカッチリ噛み合ってる。……噛みグセだけに」
「ん゙ふっ…………いや、でもこれは噛みすぎだよ」
「いいんだ。シロコのモノになった証みたいなさ。それが、消えない証として肉体に刻まれてる感覚。右肩を触れば、肩肉の凹みが──シロコの噛み跡が指に触れる。シロコにあれだけ強烈に求められて、涙も血も汗も精液も愛液も唾液も何もかもを熱烈にやりとりしてる。これって、サイコーに幸せだって感じるんだ」
「せん、せい……?」
「私が頼んでこうなってるんだ。だから、こっちのシロコのこと責めないであげて。……お願いだよ」
彼女の特殊なオッドアイを真正面から見つめ返し誠心誠意、真心を込めてお願いをする。自分が一体何を言っているのか分からなくなってきたが彼女を止められるのなら何だっていい。シロコも、それを分かってくれたらしく、銃に伸ばした手を下ろして大きく息をつき……抵抗をやめた。
「……そこまで言うなら、分かったよ」
「そっか……ありがとう。やっぱり、シロコはシロコだよ。
「……ん……」
そして──この次のシロコ*テラーの当番の時、事件は起きた。
夏コミ受かりました。2年連続。いぇい!
なので、このお話の続きは夏コミの新刊にて。
追記
新刊間に合わへんかった!!!!!ごめん!!!
冬コミか来年の夏!!!