「ハーレムルートを目指しましょう、先生」 作:アキラゼミ
「アコ。明日の会議の前に、末端の1年生も含めた全員を本部まで呼んで。風紀委員会の全員に向けた大事な報せがあるから」
「ッ!?……末端まで呼ぶ程の、ですか?」
「そう。詳しい事は明日、その時に発表する」
ある日の夕暮れ、書類仕事をしながらも、ヒナは自身のサポートをする行政官のアコに、サラリと、事も無げに重要な仕事を任せた。
アコの疑問は尤もなものだったがヒナは顔色一つ変えること無く、寧ろ気怠げに見えるほどの様子で仕事を進めていく。
「あのッヒナ委員長!」
「?」
「せめて私には、概要を教えて下さっても……?」
「────風紀委員会に『副委員長』を設置する」
「!!」
「皆も知っての通り私はワーカーホリックだから。というかそれが異常なんだってやっと気が付いた。先生に泣きつかれたっていうのもあるのだけれど。だから私の仕事の3割、4割程度を副委員長にする者に任せる事にした」
「……ちょっと、待ってください?」
「?」
「お言葉ですが、現在の委員長の仕事は、限界まで削ってあるはず。前回の海での訓練の後で先生から助言があり、以降は、委員長への負担はそれなりに減ってはいるはず。それでも、まだ委員長の仕事が多いのは認めざるを得ませんが、その全てが『ヒナ委員長だからこそ』こなせる仕事です……!」
「そう、私くらいの戦闘力が無くては鎮圧できない問題ばかり。だから副委員長は、今の風紀委員から抜擢するのではなく、新たに外部から招く」
「外部から?……ゲヘナ学園の者、ですよね?」
「それはそう。これまで帰宅部だったみたい。でもアコも知っている人物よ」
「えっ。……帰宅部に知り合いなんていませんが」
「アコ、そっちの書類取って。詳しい話は、明日。二度も同じ説明はしたくないから」
「……は、い……」
そして運命の次の日。風紀委員会の本部の前は、イオリ、チナツといった幹部級は勿論のこと、その下につく末端の生徒達も、全員が揃い踏みである。
数もさることながら、何よりも凄いのは、隊列の整然と並んでいる様。その姿はまさに軍隊であり、集団行動などをやらせたらさぞ完璧なんだろうなと見る者に想像させる。
「訓練、会議の準備があるにも関わらず皆きちんと集まってくれてありがとう。私の方から少し大事な連絡があるから、こうして皆に集まってもらった」
ヒナは委員長だから、連絡がある事自体は、そう珍しくはない。けれど、こうやって全員が集まり、しかもキッチリ隊列を組んで、ヒナが壇上に立つ。
こんな光景は中々見られない。余程の事があるに違いない。何か大規模な作戦でも行うのかそれとも何か甚大なトラブルでもあったのか────アコやイオリなどでなくとも、末端まで全員がそう考え、ゴクリと喉を鳴らした。
「──まず。私の仕事は多すぎる」
「「「「…………ッ!?」」」」
そう唐突に切り出すヒナ。全員が目を剥くのも、仕方がない話の切り出し方である。
しかしそれと同時に、全員が「今更!?」という反応をしたのもまた、間違いない。ヒナの仕事量が異常なのは、風紀委員なら誰もが知る所だ。しかしヒナの仕事はヒナにしかできないようなものであることから、書類などはともかくそれ以外となると、誰も手伝いすらもできないでいた。
だから、ヒナの仕事はひたすらに溜まっていく。書類さえ、中には委員長であるヒナにしかできず、手伝えないようなものがあるのに……。
そんな中のコレである。多くのメンバーが「でもそんな事を言われてもどうしようもないんじゃ」と心の中で頬を膨らませていた。
「だから、私の仕事を一部でも肩代わりしてくれる補佐役として、この度『副委員長』を設置する事に決めたわ」
「「「ええっ!?」」」
アコ以外の幹部格、それ以外の生徒達の多くは、声を上げて驚いた。そして幹部格達は、この発言にアコが驚かない事から、行政官であるアコは事前に知らされていたのだと暗に察していた。
「といってもこの『副委員長』はあなた達の中から選抜はしない。シャーレの先生の勧めで、帰宅部の生徒を1人引き抜いて、風紀委員会に引き入れた。その生徒に、私の仕事の一部を任せる事にした」
「そんな!どうして帰宅部のヤツなんか……」
「待って下さいイオリさん。質問は委員長のお話が終わってからでも遅くはありません」
「ッ……」
「イオリの疑問は尤も。だけど、如何に『先生』の助言でもそう簡単に決めたワケではないわ。ただ、私はもう疲れてしまったの。私の『戦闘』に関する業務だけでも、少しでも負担を軽減したくて」
「『戦闘』なら尚更、他所のヤツになんか任せられないんじゃ?私だって、委員長の代わりなんか絶対務まらないのに」
「帰宅部の『誰』が選ばれたんでしょう。帰宅部にそのような実力者が居るなんて事はなかったはず」
イオリやチナツはもちろん、その他の生徒達も、ざわめきを隠せなくなってくる。ヒナはそれに軽く眉間に皺を寄せるが、こんな事で怒っても仕方ない事だろうと自分のやっている事を考慮して、多少のざわめきは許す事にした。
「恐らくはここに居る大半の子は、その者の名を、または存在を、姿を知っている。ゲヘナ学園でも、知らぬ者は少ないと断言できる。────出番よ。来て」
「はいは〜いっ♪」
1人の風紀委員の生徒が列を乱して飛び出した。近くの生徒は「えっちょっと!?」と手を伸ばすが彼女はその手を振り払い、ヒナの隣に立つ。しかし当のヒナも、深く困惑しているようで……。
「あの……あなたじゃなくて」
「あれェ?ヒナちゃん私の声もう忘れちゃった?」
「え、その声……」
「「「「??…………ええええっっ!?」」」」
これにはアコも驚愕を隠せず、イオリ達もまた、アコもここまで知らされてなかったのかと、そこに対しても驚きが隠せなかった。
顔の皮を捲ったモルモは衣類を破り捨てるような勢いで脱いで、普段の着崩した制服姿に早着替え。これにはヒナも目を丸くした。
「モルモ。私の後ろから出てくる予定だったはず、なんだけど。どうして生徒に紛れているの?」
「どーせだから、協調性あるアピ?ぴっちり綺麗に並んでたでしょう?やる時はやるのよ〜」
「その制服は?」
「予備の在庫を借りたわよん♪」
「追い剥ぎじみた事はしてないのね。ならいいわ」
「誰がそんな事するかっつーのよーォ。変態じゃああるまいしさ?」
「そんなに胸元を露出してる人に言われたくない」
「アハッ、言えてるかも〜!」
((((普通に喋ってる!?それより、何なんだ、あの翼は……やけに分厚くて、筋肉質で……))))
モルモはここ数年、教員以外には、完全な無口を貫いてきた。つい先日、シャーレの先生とヒナとは言葉を交わしたが、それだって水面下でのことだ。こうして、多くの目がある公の場でモルモが言葉を発するのは、それこそ数年ぶりであった。
「じゃ、モルモ。軽く自己紹介でもお願い」
「はいはい。えー、風紀委員の皆、初めましてー。風紀委員会に正式に加入する事になった
静まり返ってしまった。彼女の自己紹介が適当な内容なのはまだいいとして、いきなり、副委員長に抜擢されるとはどういう事なんだ────と誰もがヒナに心の中で疑問を投げかけていた。
実際にそれを口にできるのは何人だろう。恐らく行政官のアコ、幹部格のイオリや、チナツでさえ、そんなストレートに言えるかどうかは分からない。
そんなピリつく空気を読み取ったのか、これまでずっとナンバー2の行政官という立場に居たアコはすぐ隣でヒナに物申す。
「お言葉ですが委員長……何故この方を?」
「アコには昨日も言ったでしょう。『強いから』、ただそれだけよ」
「!?」
「『強い』……?」
「委員長自ら『強い』と認めたという事ですか?」
「ええ、そう。彼女の戦闘力は、
「「「「な……!?」」」」
ざわめきはより一層大きくなった。ヒナが自ら、モルモの強さを「認めた」上に「保証する」とまで言ってのけた。これは、ただならぬ出来事だ。
「数日前に、シャーレの先生の監督下で、モルモと手合わせをした。単純な火力や戦闘力は私の方が上だったけれど、奇襲の技術やその精度、継戦能力についてなら、モルモは私より圧倒的に優れている」
「そんな、ヒナ委員会よりだなんて事が……!?」
「そしてこのモルモこそが、4年前のゲヘナ学園の学生抗争──
「……だいもに?何それ、知ってる?」
「万魔殿に逆らってばかりの逆張り集団って話なら聞いたことある」
「え、くだらな……そんなので抗争してたの?」
「当時は今より荒れてたから……」
「それで済むレベル超えてない?死人まで出てるって話でしょ」
「ヒナ委員長が居なかった時代だよ?」
「あぁ……そりゃ泥沼化するわ」
そもそもヒナは、正面戦闘に特化しているタイプである。だから、奇襲ならモルモに分があるのは、ある意味、当たり前の事なのだ。そこは、こうして特段驚くべき点ではない。
しかし風紀委員会に属する者にとって、ヒナとはまさに「最強」。「最強」を擬人化したような人がヒナである。
そんな人が、たとえ一分野だろうとも自分の事を上回る者が現れた事を認めたというのは、まさに、驚きしかない事だった。
ゲヘナ学園内は勿論、ゲヘナの領内においても、ヒナの存在そのものが抑止力になってしまう程に、今の風紀委員会は戦闘においてはヒナに頼り切り。
シャーレの先生の「指揮」があれば多少は違う。それでもどの勢力も「ヒナさえ居なければ勝てる」などと風紀委員会を値踏みしてしまうくらいには、ヒナによる
そんな現状を打破しようと考えた結果、モルモをただ風紀委員に迎えるのではなく、副委員長という立場に据えることで、周辺への睨みを利かせる──という答えに行き着いたのだ。
「不満を持つのはいい。正しいと思う。実際問題、彼女は4年も風紀委員会を離れていたし、オマケに正式な所属記録すら無い。だけど副委員長には私の仕事を少し任せるつもりだから、反対する者には、モルモを倒してもらう。少なくとも彼女を倒せるか引き分けに終わる程度の実力が無いと、私の仕事は任せられない。私はそう判断する」
「「「「………………」」」」
「彼女にも役職相応の働きはしてもらうつもりよ。もし、モルモが副委員長に相応しくないと思う者が居れば、私に言って。私が見ている前で、その者かその者が推薦する者とモルモに戦ってもらうから」
「……風紀委員会って実力主義社会だったのか?」
「いえ、そんなはずは……」
「いいえイオリ。それは違う。風紀委員会は決して実力主義ではない。でも、この件に関しては例外。さっきから言っているけれど、副委員長には、私、委員長の仕事の数割を任せたいと思っている。でも私の仕事は、書類仕事のみならず戦闘能力が必要な仕事が多いのは、皆も知っている通り」
「っ!」
「私から皆に問いたい。今の私が行っている仕事をこなせる自信がある者は、是非、今ここで、堂々と名乗り出てほしい。その者には、一度、私の仕事を任せてみたいと思う。勿論、無事解決できることが大前提だけれど────誰か居ない?」
居ない。居るワケがない。この空気の中で、一体誰が「私なら委員長の仕事を肩代わりできます」と言えるのだろうか?
ヒナが大きな負担に感じているのは主に戦闘面。武力の面である。何故ならヒナが不在になるだけで各地でチンピラやヘルメット団の他、その他学園内組織も動き出し、風紀委員が鎮圧に奔走するのだ。
ヒナがシャーレの当番に行く日だって決して例外ではない。
こんな事では、ヒナに休まる時が無い。だから、ヒナはワーカーホリックになってしまった。折角の学生生活を、大人もドン引きするような仕事だけで潰しているのに等しいのだ。
だからこそシャーレの先生はヒナに泣きついた。もっとよく休もう、もっと「今」を楽しもう、と。当然、それだと治安が保たれないのを分かっていたからこそ「モルモを副委員長にするのはどうか?」という代案を、ヒナに提示したのだ。
「──そう、居ないのね。イオリ、あなたは?」
「え゙っ、私!?」
「私はイオリの事を、モルモが居なければ戦闘力においては現在の風紀委員のナンバー2と思ってる」
「!」
「そして恐らくこれは、皆もそうじゃないかな、と思ってる。そんなイオリに勝ててやっと、モルモの副委員長就任に反対できる資格がある」
「でも、副委員長って言ったら委員会のナンバー2だけど、アコちゃんの仕事はどうなるんだ……?」
「アコの仕事はあくまでアコの仕事よ。モルモには任せないし、任せられない」
「委員長……!」
「私が副委員長のモルモに求めるのはたった1つ。委員長の仕事の軽減。ただそれだけ。現場の指揮についてはこれまで通り主にアコ、イオリ、チナツに任せるから」
「「「ええっ!?」」」
「モルモは、1人で居る時間があまりに長過ぎた。誰かを指揮するのにはトンと向いていない。だからこの『副委員長』は『委員長補佐』みたいな役割。戦闘においてのみ、私の代役として、現場に行ってもらう」
「「「…………」」」
「対外的には──委員長の私、副委員長のモルモ、行政官のアコという地位に『見せ掛ける』わ。でも実際の指揮系統は、これまで通り変わらない。私、アコ、イオリ、チナツ──ときて、ここにモルモが入る。彼女には私に次ぐ『抑止力』になってもらうつもりだから、皆にも協力をお願いしたい」
「……分かった。委員長の決定なら従う」
「!?イオ……」
「でも!ゲヘナの風紀委員の実働部隊は私が主戦力なんだから!タダで譲りたくは、ない……!」
「……イオリならそう言うと思った」
「え」
ヒナはどこか嬉しそうに口元を緩める。まるで、イオリの仕事への信念や情熱を認めているように。誇りを、受け止めるかのように。
「イオリも誇りと信念を持って仕事に取り組んでる事は、私にも分かる。だから、実質的なナンバー2という立場を、タダで譲れとは言わない。だから、イオリ。これは私からの『お願い』よ。モルモを、ここで倒してみて」
「な────ッ!?どういう事っ!?」
「倒せたなら、今のイオリの分隊長のような立場をモルモに任せて、イオリを副委員長に据えよう」
「!!」
「モルモもそれでいい?」
「ん、いーよ?あ、でも指揮はしたくないなー」
「それはイオリに任せるとして。──どうかしら、イオリ?簡単な手合わせだけど、
「もちろん!やってやるッ……!!」
「そう、良かった。でも、モルモはイオリの戦術を知っていて、イオリはモルモの戦術を知らないのは不公平だから、まずは────イオリの指揮下の、3個小隊くらいとモルモに、軽く戦ってもらう」
「え?」
「3個小隊──と言うと、以前、私の指揮下で温泉開発部の確保に向かった部隊数と同じでは?それをモルモさん1人の為に運用を?過剰戦力では?」
「そう、チナツの言う通り。この数はチナツからの報告書を元に考案したの。温泉開発部vs3個小隊、結果は温泉開発部の大半に逃走を許してしまった。でも、戦力として負けていたワケではない。これは言わば、擬似的だけれど『温泉開発部vsモルモ』のデモンストレーションみたいなものよ」
「「「…………!!」」」
「たった1人が3個小隊に敵うワケがない────そんな言葉、この風紀委員から出るとは思えない。まぁ、物は試しね。ステージは確保してあるから、イオリは部隊を編成して。それ以外の生徒も全員、中央運動場に来て」
ヒナは壇上から降りると、モルモ、アコを連れて中央運動場の方へ向かって行く。チナツとイオリは顔を見合せて困惑するも、イオリは慌てつつ部隊を編成して、中央運動場へ。
残りの生徒達は運動場への到着後、ヒナ、アコ、チナツの指揮にて、周辺の警備及び、観戦に臨む。広々とした運動場の中心部では3個小隊とモルモが睨み合う。
すると小隊の生徒の1人がイオリに話し掛ける。
「先輩。絶対、勝ってくださいね」
「えっ?」
「あんなポッと出のヤツに、上に立たれたくない。私達皆、そう思ってます。だから、私達がアイツの戦術を引き出しますから……参考にしてください」
「……アイツからすればポッと出は私達だよ」
「えっ?」
「お前はまだ1年だったっけ。アイツはゲヘナ歴、少なくとも5年のベテランだ。大先輩ってほどでも無いけれど、先輩だ。5年前も風紀委員会側として活動してた。ゲヘナってだけじゃなくて、一応は、風紀委員としてもアイツのが先輩なんだよ」
「!!」
「でも、負けたくない気持ちは同じだよ。お前達を捨て駒にするみたいで気持ちは悪いけれど。何ならお前達でアイツのこと倒しちゃったらどうだ?」
「あははっ!そうですよね!相手はヒナ委員長でもないんですから!3個小隊、皆が本気を出せば!」
「ああ!質と量、両方でブチ倒せっ!私がこの目で見届けてやる!!」
「「「「はいっっ!!!」」」」
イオリはエールを飛ばすと、指定された範囲から出る。これから、3個小隊とたった1人との戦いが始まる。普通に考えればこんな戦力差を覆せるのはそれこそヒナくらいのもの。
ましてやモルモは、先の紹介でも出ていた通り、正面戦闘においてはヒナ未満。奇襲こそがモルモの持ち味と言える。
それなのに、こんなに正面から向き合う形で戦闘開始するなんて。普通に考えれば分かるがモルモに勝ち目なんかハナから存在しないのだ。
「ヒナ委員長は、どちらが勝つと?」
「無論、モルモが勝つ」
「「!!」」
「風紀委員の3個小隊ですよ?高速を破壊しに来た温泉開発部とも、ある程度は同等と思われますが」
「アコ。他所の部活の強さは指標にしてはダメよ。比べるのなら、もっと身近な戦力で考えて。私なら風紀委員の3個小隊にも勝てる。4個小隊でもまだある程度の余裕はあると思う。5個小隊からは私も想像がつかないけれど、負けたとしてもボロ負けは決してしない」
「それはまぁヒナ委員長ですから、勝てますよ」
「言ったでしょ。火力はともかく、継戦能力なら、モルモは私よりも上なの。予定ではあの3個小隊を撃破した後は、モルモには休憩する暇も与えずに、イオリとの1対1をやってもらう。私の見立てではそこでもモルモが勝利を収める事になるはずよ」
(っ!それで、あの女を副委員長にするって事か。でも確かにそれくらいの強さでないと抑止力なんて成れっこない。
「──すみません。ヒナ委員長のお話でも、流石に彼女が集団戦の後にイオリさんに勝つだなんて事、私はにわかには信じ難いです」
「それは否定できない。でも、よく見ていなさい。彼女は
「奇襲────って?あんな風に、既に、目の前で睨み合ってるのに……ですか?」
「この後モルモと戦う事になるイオリはもちろん、アコもチナツも、モルモの動きを見ているように。あの『噂』の謎が、今に分かるから」
「彼女が『神出鬼没』という、あの?」
「彼女の『幽霊説』の根拠が、その『神出鬼没』が由来でしたよね」
「そう。ちなみにだけど、私がモルモと戦った時、初撃を喰らったのは私だった」
「なっ」
「はっ?」
「えっ?」
「驚きしかなかった。目の前で向き合っていたのにいつの間にか消えていた。私でさえ、初めは、目で追えなかった。まるで魔法でも使われたかのように姿が消えたの。──でも、魔法でもなんでもない。分かってしまえば、至極単純な事だった」
「「「……?」」」
「────さて。そろそろ始めよう」
空気がヒリつく。始まる。3個小隊vs1人という埋めようのない圧倒的なこの戦力差をモルモがどう攻略するのか、あらゆる角度から注目が集まる。
恐らくは、切り込み隊長のイオリでさえ、流石にこの人数差を覆すのは厳しいと思われるが……。
「それでは……構え」
これから戦う全員が銃を構えた。モルモは、銃を構える他、異様なまでの前傾姿勢になる。その姿、まるで陸上競技で言うクラウチングスタート。
トリニティの戦略兵器とさえ言われる程の、正義実現委員会の委員長・剣先ツルギのような、二丁のショットガン。前傾姿勢の中、それを構えると。
「────始めッ!!」
「「「「ッッッッ!!?」」」」
ヒナの戦闘開始の合図と共にモルモは姿を消す。全員がモルモに注目していたのに、全員が、彼女を見失ってしまったのだ。
このカラクリを知っているのは、先日刃を交えたヒナ1人だけ。アコもイオリもチナツも、たった今モルモと戦闘中である3個小隊を構成する生徒達の誰1人としてモルモが姿を消したカラクリを、その理由を、決して知らない。
「……!?」
「き、消えたッ!?」
「そんな、嘘です!ずっと、注視していたのに!」
「…………」
ヒナは何も言わない。そして戦闘開始してからは何処にも
するとその時、上空からピンの抜かれた手榴弾が降ってきた。
「えっ────」
「うわあああッ!?」
「きゃあっ!?」
「何で上から降っ……はぁ!?はあああっ!?」
「と、飛んでる!!」
「
「う、噂は本当だったんだっ……うあああ……!」
「な、なななっ!?あ、アコちゃん!アレ、本当に飛んでるのか!?ホログラムとかじゃなくて!?」
「いえッ、『本物』です!紛れもなく本物が、空を飛んでいます……ッ!!」
「んなぁっ!?」
「そんな!嘘です!有り得ないっ!!」
否、現実である。モルモは今、空から風紀委員の3個小隊を蹂躙している。生徒達は降り注ぐ銃弾や手榴弾に逃げ惑い、まともに応戦できている生徒はとても少ない。
しかも標的は「空」に居る。それに不慣れなせいなのか、照準なんかまともに合わせられていない。
これはスキルでもなんでもない。モルモが修めたただの戦術でしかない。遮蔽物に隠れたりだとか、一旦引いて敵を誘き寄せたりなどといった「戦術」でしかないのだ。
「委員長!こんなの一方的だ!卑怯だ!!」
「どうして?」
「ど……どうしてって!だって、誰も空なんか!」
「じゃあイオリ。聞くけど、もしあなたの背中に、空を飛べる翼があったなら──どうする?」
「ッ!」
「アコ。チナツ。あなた達はどうするの?」
「「…………」」
「ま……アレは『飛ぶ』というよりは『滑空』ね」
「!!」
もし自分に空を飛べる翼があるなら、どうする?そんなの決まっている。飛ぶだろう。誰に聞いても高所恐怖症でもなければそう答えるはずだ。
「しかし委員長、モルモさんはどうやって上空に?滑空するにも、まずは高度や勢いが必須では?」
「モルモは、その卓越した脚力で、戦闘開始直後にジャンプした。そして、滑空を開始。射程内に入り銃撃を開始して、手榴弾を投下し始めた。まるで、爆撃機のようにね。鳥のように身体を浮かべる事はできなくても、推進力程度なら、あの翼で補える」
この場の全員が、モルモの姿を見た時に感じた、謎の違和感の正体に気付く。異様なまでに筋肉質に発達しているモルモの翼、その用途、その正体に。
「……でもズルいじゃん、私達は飛べないのに!」
「──確かに、そう思う部分もあると思う。でも、モルモの強さを示すべきこの場においては、彼女が私達のような『飛べない側』に合わせる必要性は、微塵も無い」
「確かに。モルモさんの有用性を示す戦いですし、寧ろここでは、彼女ならではの戦い方を演じるべきでしょう」
「……少し悔しいですが、概ね賛成です」
「チナツ!アコちゃんまで……」
「これが
「──まるで姿を消したかのように思える速度での跳躍……委員長ですら見失うなんて……」
「モルモの『神出鬼没』の噂の正体がコレ。彼女のあの跳躍力、視界から消えるなんて造作もないわ。視野ってのは、思っている以上に狭いものだから」
ヒナと幹部格が話している間に、3個小隊は既に1個小隊程度にまで規模を縮小していた。それ程、制空権を生身で確保したというアドバンテージは、あまりにも大きいものだった。
「さぁて……じゃ、
広げていた翼を畳むと、一気に降下する。地面が軽く凹む程の勢いで墜落、いや着地したモルモは、ワァァァッと一斉に襲い掛かってくる風紀委員達に向き直り……。
「『Charming eyes』」
「「「「ッッ!!?」」」」
彼女が睨みを利かせた一定範囲に足を踏み入れた風紀委員達は、はたと足を止めてしまった。しかしその後方では、前方が急に足を止めた事によって、将棋倒しにバタバタと生徒達が倒れ始める。
「な……っ、なんですかアレは!?」
「アレがモルモの『
「さ……3秒って……」
「戦闘において、あまりにも大きすぎる隙……!」
それでなくとも、少しでも目を逸らせば視界から消えるようなモルモから目を逸らすのは自殺行為に等しい。できるだけ視界に収めて戦いたいモルモが有するスキルがまさかの
「そして彼女の持ち味は、あの滑空での爆撃でも、敵をスタンさせる、あのサポート戦法でもないわ」
「「「……ッ!?」」」
「
ヒナがモルモのスキルについて解説している間、既に1個小隊の半数が壊滅していた。素手の殴打、銃床での殴打に、手刀。
「うわっ、わっ、うわあぁぁあああああっっ!!」
後退りながらも果敢にモルモに乱射する生徒達。しかし正面から優雅に歩いてくる彼女に、まともに効いているようには見えない。
「バリアでも張ってるのか?まるで怯んでないぞ」
「普通に被弾してますよ、モルモさん。あちこち、血を流した跡があります。つまり……」
「え。……まさか……」
「チナツの見立て通り。モルモは、防御力が高いのでもなく、ましてバリアを張るのでもない。回復が異様に早い。恐らくそれは、彼女が『吸血鬼』っていうのに起因しているんだと思うけれど」
「吸血鬼なんて存在が殆どファンタジーじゃん!」
「伝承によると『日光に当たると消滅する』らしいですが、彼女は……」
「先生も言っていたけど、彼女は『日光を克服した吸血鬼』らしいわ。正式には『デイウォーカー』と呼称するらしいのだけど。とにかく、彼女は、その存在自体が特異だから、常識に当て嵌めて考えると何も分からなくなるわ」
「「デイウォーカー……」」
「でも、そんな奴がどうして今まで……?」
「そこは分からないけれど、こうして風紀委員会に力を貸してくれるのなら、それでいいと思わない?それとも私達風紀委員会は出自をいちいち気にするような組織だったかしら」
「……ですね」
「彼女の助力で委員長の負担が減るのなら、組織の運営の観点から見ても、その方が良いと思います」
そんなモルモに、ヒナはどうやって勝ったのか?
シンプルに、高火力だ。モルモは、回復が早い。そして回避力も高い方。しかし防御力は並、更には体力も並。ゲーム的な表現をするなら「HPも並」なのである。
だから「当たればいい」とばかりに高火力攻撃を撃ちまくるだけで、モルモを倒せてしまうのだ。
そしてモルモを倒すに至る「火力」は、最低でもヒナクラス。そう、
強さでクラス分けする際、委員長のヒナを頂点とするのなら、モルモは「準ヒナ」だ。そのくらいの位置付けだ。その「準ヒナ」の下に、イオリなどが該当する。
「や、やめっ──ゔッ!?」
「これでジ・エンドね」
最後に残った生徒の鳩尾を、弾薬の節約の為だと言わんばかりにショットガンで強く突き、その場に鎮めてしまった。これにて、3個小隊とモルモとの演習はモルモの圧勝で終わりを告げた。
「──こんなもんで良いかしらぁ、ヒナちゃん?」
「お疲れ様。思ったより優しいのね。見たところ、殆どの生徒が気絶してないようだけれど」
「『優しい』?そりゃ、ただの勘違いよ。弾薬は、イオリちゃんの為にとっておきたくって♡ だからこの子達には、少し痛い目に遭ってもらったわ♡」
「ッ!!」
「────イオリ、戦闘用意。チナツ、あの子達を引き上げさせて」
「はいッ!!」
「皆、撤収してください!すぐイオリさんの戦いが始まります!!撤収してくださーいっ!!」
チナツ、そしてアコの呼び掛けもあり、イオリの指揮下で移動してきた3個小隊の生徒達は、休憩と療養の為に一部は本部に先に戻り、残りは観戦の為ここに残る事に。
「……ホントに休憩しなくていいのか?」
「お気遣いどーも。でもその言葉、数分後には私がイオリちゃんに言う事になりそう♡」
「なっ……!これでも私は、実働部隊じゃあトップを張ってるんだ!舐めるな!」
ぷりぷりと怒って、退散する生徒達と入れ違いに戦闘区域に入っていく。それを見てモルモは口元に手を当てて、クスクスと笑った。
「────そういう所が漬け込みやすいんだなぁ。くふふっ……遊んであげるわ、イオリちゃん♡」
◆
「両者、配置についたわね。では────始め!」
ヒナの合図で、遂にイオリ対モルモの戦いが幕を開ける。ヒナの意見には従うが、それはそれとして実質ナンバー2の座は譲りたくないイオリ、それを弄びたいモルモ──両者の戦う理由は全く合致などしないが、それでも、「アイツと戦いたい」という想いは全く同じだった。
「また消えた!──居ない!?」
開始直後、イオリの目の前から姿を消すモルモ。当然、「また滑空しつつ攻撃してくるつもりだ」と先程の行動から学習したイオリは空に銃を構える。しかしそこに、モルモの姿は無い。
「な────」
「ガラ空きよ、イオリちゃん」
「!!!」
背後に回り込まれていた。しかもイオリの背中には2丁のショットガンがゴッと押し付けられている。モルモは敢えて口に出さずとも、行動で「示して」いるのだ。
────「その気になったら
「なんッ、で……」
「あれ、命乞い?つーまんない」
「違うっ!……だって、飛んだはずじゃ……」
「同じ構えだから、同じ行動を執るんだと思ったんでしょ。短慮ねぇ。私の持ち味は跳躍力じゃない。跳躍力も含めた『脚力』。こうやって一瞬で距離を詰めるのなんて、造作もないのよ」
もう1つ、モルモが脅威的な速度を出せるのには理由がある。それが、あの筋肉質に発達した翼だ。
普段は滑空するように広げている翼。けれども、逆に言えばモルモは「風を受けるのに慣れている」という事である。
風とは空気の流れ。翼で空気を掴み、押し出す。それを、跳躍、または走り出す瞬間に、足の動きと連動させて行っているのだ。
つまり、モルモの異常な速度の秘密は、卓越した脚力──に加え、超高精度な翼の操作技術にある。
風紀委員長・空崎ヒナも、ここまでは知らない。何故ならヒナ含め、大体のキヴォトスの住民は己の翼について「鍛え」ようとしないからだ。
そもそも、形状や背筋などの発達の具合からして飛ぶのに全く向いていないというのもあるのだが。
モルモが「屋内戦が苦手」というのも、結論から言うならば、これに由来している。
屋内は、満足に風を受けられない。そして全力で動き回れない。それこそ大聖堂のような、超がつくくらいに広い場所ならば、それは例外と言えよう。
「どうする?第2
「当たり前だッ!このッ……!!」
「!!」
飛び退き、ジャカッと構える。二丁と一丁では、明らかにイオリが不利。しかしイオリがモルモより優れている点が1つある。
「ハァッ!!」
ダァン!ダァン!ダァン!
「あっ……ぶなぁ〜……!やー、中々やるねぇ」
「くっ……なんて体幹してやがるんだ!?」
それは、EXスキルを連発しやすいということ。イオリは、単純計算で、モルモの実に2倍の速さでEXスキルを再発動できる。
モルモは、先程の小隊との戦闘で使用したので、クールタイムがある。ヒナが、モルモに休憩させずすぐ戦闘開始するよう促した真意が、コレである。小隊にEXスキルを使わせ、イオリへの負担を軽くさせる。モルモの性格上、
しかし────。
「私ィ、結構リロード早いんだよね〜」
「しまっ……」
「なーんてねっ♡」
「!?」
モルモのEXスキルが発動。イオリはスタンし、銃をモルモに向けようとした格好のままでガッチリスタンしてしまう。
「2……3……4……あれれれ?イオリちゃんってば、ヒナちゃんの倍効いてんじゃん!!」
「「「「!!??」」」」
ヒナはこれを喰らって、3秒スタンした。秒数を数え、それが分かっていたから、ヒナはそのように幹部格達に解説していた。だからイオリも3秒だと認識していた────だというのに。
「ぶはっ……やっと解放された……!!」
「…………へぇ〜♡」
(それにしても6秒だと?さっきのは確かに、3秒きっかりだった。どうして私だけ……クソッ!)
6秒ものスタン。それはもはや隙が大きいなんてレベルではない。戦闘においては、まさに致命的。ヒナはこの時間差について「受けた者の強さにより効果が変動するタイプのスキル」──と予測した。しかしその仮説は一瞬でヒナの脳内で否定される。
先程の3個小隊との戦いでは確かに3秒のスタンだった。だから、ヒナの解説と現実に違いが無く、イオリもまたヒナの解説通りに解釈していた。
つまり「強さ」により変動するスキルではない。ましてや「相性」なんかでもない。
イオリ個人に「何か」がある。
「────イオリちゃんってさ。シャーレの先生のこと、どう思ってる?」
「なっ?アイツは関係ないだろ!それより構えろ!無防備なヤツをボコボコにする趣味は無いッ!!」
「──あっそォ。オッケオッケ〜。そーゆーコト?くふふ、イオリちゃんも隅に置けないなぁ……♡」
「気持ち悪い笑みを浮かべるな!ヘンタイめッ!」
「何よー、イオリちゃんこそ先生好き過ぎてエッチしたがってるクセに〜」
「なッ!?だッ、誰がそんな事!バカを言うな!」
再度EXスキルを発動する。かなりの不意討ち、流石のモルモも最初の2発は被弾するが、3発目は銃口の向きを見て回避。そしてグンと距離を詰めてイオリの銃を蹴り上げる──!
「あッ……」
「第2R、終了〜♡」
ドンッ……
◆
「あーっ!もーっ!真正面から負けたんじゃ言い訳しようがないじゃん!」
「どちらにせよイオリは言い訳なんかしないわ」
「っ!……そうだけど……!」
「じゃあさ〜、これで名実共に私がナンバー2ってコトでOK?」
「あーはいはい!認めるよっ!あんなコテンパンに負けといて、今更あんたに反抗なんかできるか!」
「ふふ、よかった〜。尤も、反抗されてもいいようまだ弾薬は余らせてるけどね?」
「ゲッ!?」
モルモは自然治癒力で治りつつあるものの、対戦相手のイオリはそうもいかないので、チナツにより手当を受けている。それをヒナや幹部格など全員が囲んで、やんややんやと騒いでいる。
今日も今日とて風紀委員は平和、そして忙しい。
「それにしてもモルモさん、凄かったですね。あのイオリさん相手に、あんな、無謀とも思えるような距離の詰め方……」
「ヒナちゃんが私に勝った時よか優しめだけどね。あん時のヒナちゃんガチで鬼畜すぎんよ〜」
「モルモに勝つには、火力でのゴリ押ししかない。消耗戦になればジリ貧。私が負ける。だからそれを実行したまでのこと」
「理論としてはバカでも思い付くわよ。けどそれが可能かどうかは全く別の話。実現できるのなんか、上澄みだけだと思うけどね〜。昔のゲヘナ学園でもヒナちゃんならトップ取れるわ、間違いない」
「過去の風紀委員長はどうだったの?」
「0.4〜0.5ヒナ?」
「私を単位にしないで」
「アッハ!けど、マジでそんなもんよ?当時の私と風紀委員長がトントンだったんだから、つまり今の私は0.8ヒナくらいってことよね〜。あっ、それならイオリちゃんは0.4ヒナ?」
「当時の風紀委員長と変わらないってことか?」
「まぁ、あの頃は『全体』が強かったからね。今の風紀委員会みたいに、委員長頼りじゃなかったよ。幹部格も同じくらい強くてさ。且つ、あらゆる面で等しく優れてたからこそ委員長になったって感じ。言うなれば、劣化版ヒナちゃん?」
「「「!!」」」
「どーせなら、ヒナちゃんに頼るだけじゃなくて、皆で強くなってこーよ。当時は逃げるしかなかった私だって、ガチで頑張ってたら0.5ヒナから0.8ヒナくらいまで強くなれたんだし?特にイオリちゃん、強くなれる伸び代は十分にあるわ。頑張ってね?」
「言われなくても……やってやるっ!」
今後はもっと訓練を頑張ろう、と燃えるイオリ。それを見て、どこか嬉しそうに目を細めるモルモ。
アコはモルモを警戒するように、注意深くずっと気になっていたことを切り出す。
「モルモさんは、イオリさんの戦術を把握してたんですよね?それは何故ですか?」
「さぁね?観察が趣味だから、かな?」
「だから勝てた、と?」
「いやぁ〜、私が勝てたのは観察のお陰っつーか、ただの年の功────」
「?」
「……?どしたの、モルモ?」
言葉を切ると、ちょっぴり萎れた様子のイオリを見る。先程までの覇気がすっかり消え失せている。するとモルモは小さく咳払いし、わざとらしい程の満面の笑みを作った。
「んーん、なんでもなぁい!そりゃ、モルモちゃん長年ゲヘナで生き延びてきてるので?イオリちゃん倒せるくらい強くて当たり前っていうかぁ〜♡」
「んなっ……!?」
「もっと言えば、イオリちゃんは
「ぐ、う、うぅ……!!」
「アコちゃんもお仕事、頑張ってよ?私のことも、上手く指揮してくれないと……わかってるよね?」
「っ……!」
「あ。因みに私ィ、夜の方が強いから。満月か新月だったら、夜の中でも更に強いわよ〜」
「…………は?」
「マジでテンアゲっていうか〜?これから同じ風紀委員としてヨロシクやってくんだから、そこんとこ把握もヨロシクね〜。特にアコちゃん、それから、チナツちゃんも♡」
「!?」
「えっ!?あ、はいっ!」
「上手く私を使ってねん♡ じゃ、まったね〜♡」
ルンルンと身体を弾ませながら、ヒラヒラと手を振って、保健室を後にする。
こうして、この後に行われた会議にて、正式に、モルモはゲヘナ学園の風紀委員会の副委員長に就任したのであった。
次回────在りし日の黒服さん
場所がね。場所が悪いンだわ。
オリキャラプロフィール回にも載せてありますが、モルモの屋外適正は
ステータスにも差はありますが、それを無視すると地形の適正が主な原因となるでしょう。
あまりにも地形適正に差がありすぎるのです。
屋内なら、適正は逆でしたが。
◆
ミカやヒナ、ツルギなどがあの戦闘能力を維持したままで空を飛び始めたらヤベーだろ……。
という言説を見た事があります。確かにヤベーわ。
モルヒナが組めばヒナによる空中戦が始まりそう。というワケで頼んだよ、モルモ。
いや待て逆にしよう、ヒナモルにしよ。モルヒナはモルヒネみたいでちょっとヤバイかもしれない。
◆
ちょっぴり消化が進んだ素敵なお題箱はこちら。
https://odaibako.net/u/Akirazemi