※この作品はR-18です。

「ハーレムルートを目指しましょう、先生」   作:アキラゼミ

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総力戦① 〜大爆死(ポンコツアロナ)を添えて〜

 

「クククッ、ようやく見つけたぞ、賽鬼ユウナぁ。各地のブラックマーケットを転々としているという噂は、間違っちゃいなかったようだ」

 

「あん?誰よ、アンタ。そのメット、もしかして、ヘルメット団だったり?」

 

「そうさ。流石に分かるか」

 

「そりゃーそーよね。何個も潰してきたし。んで?アンタもアタシに潰されにきたクチなワケ?」

 

「いいや、違う。私は『パラパラヘルメット団』のボスをやっているんだが、『鬼神魔王』と称されるあんたの、その化け物じみた力を借りに来たんだ」

 

「雇いに来たってとこかな?」

 

「そうさ。おっと、話は最後まで聞いてもらおう。私はな、過去にあんたを雇おうとした守銭奴共とは違うんだ。報酬は存分に払うぞ?どうだ?」

 

「……聞かせな」

 

「へッ。そう来なくっちゃな……」

 

 ◆

 

「こういう場所は慣れないな……」

 

「ふんふんふ〜ん♪ お昼寝に〜、丁度いい場所はどっこかなぁ〜?」

 

「このままだと破産する……出費を減らさないと……」

 

「ふふっ♡ 熱い視線を感じます……♡」

 

 仕事を一段落させた私は、シャーレのカフェにて休憩中。ちょっぴりほろ苦いコーヒーを飲みつつ、最近になって新たに設置したテレビを見ている。

 カフェには、サオリ、制服ホシノ、制服ユウカ、水着ハナコ、ナツの5人が遊びに来ている。因みに水着ハナコは下は何も履いていない。ワイシャツで巧みに隠してはいるが……。

 

「まぁまぁユウカ、コーヒー飲んで落ち着きなよ。もし本気でピンチだったら、私の方で連邦生徒会に掛け合うよ。だから……頭抱えてないで、休も?」

 

「先生……。ありがとうございます……!」

 

 ミレニアムの帳簿を閉じると、今度は別の帳簿を取り出した。見覚えのある領収証が挟まっている。あれは────ユウカがつけている、私の家計簿?

 

「何だか今日は、楽しい事がありそうな気がする。確率的に〜?」

 

 ま、最近は変な物も何も買ってないし怒られたりしないよね。生徒への贈り物とか、栄養ドリンクやエナドリ、それから────。

 

「って……せ〜ん〜せ〜い〜ッ!?」

 

「んッ!?な、なな何かな!?」

 

「インターネットカフェに10時間って何ですか!?しかも2人って!2人で個室に、10時間も!?深夜料金まで上乗せされてるじゃないですか!!」

 

「あ」

 

 ハレとデートした時の領収証かぁ。ヤッバイな。何で分別しとかなかったんだ、私。普通に自殺行為じゃないの?

 まぁそれはいいとして、デート時間がバレるのは痛いな。10時間以上のデートとかって、実はかなりレアなんだよね……。

 当番生徒と一緒に居るとしても長くて精々9時間くらいだし、デートにしたってミカを除けば朝から夕方まで一緒に居ることすらも稀だ。

 通常はこの前のナツとのホテルデートみたいに、数時間で別れるのが大多数なんだし。ハレみたいに10時間以上──買い物時間も含めると12時間以上も一緒に居るのなんて、レア中のレアなんだよね。

 

「しかも『大人のオモチャ』なんて、5種類も!?何なんですかこれはッ!──あぁッ、こっちなんてペロロの腹筋ローラー20個ですって!?特価品でも20個なんておかしいでしょうっ!?」

 

「おっと」

 

 ユウナが脱獄したあの日、カンナにシャーレまで送ってもらった時に、帰り道に買ったんだったな。次の日にヒフミをカフェに呼んで全部渡したけど、流石に苦笑いしてたな。

 

「信じられません!サイッテーです!」

 

「ごめんて……」

 

「まーまー、落ち着いてよセミナーの会計さーん。先生もしょんぼりしちゃってるしさ?あまり先生がしょんぼりすると、おじさんも慰めるの大変だし、ここいらで勘弁しといてあげてよ♡」

 

「なっ」

 

「ホシノ!?」

 

「うへ〜、先生のお膝は座り心地がいいね……♡」

 

「うん……良い雰囲気だねぇ」

 

「「どこが!?」」

 

 ナツのノンビリ発言にユウカと揃ってツッコミを入れつつ、ホシノを撫で回して頬を揉んで太ももを撫でて癒される。コーヒーや紅茶を飲むより彼女を撫でていた方が落ち着くのは間違いない。

 

「せーんせ。……勃起しちゃダメだよ♡

 

「……そんな殺生な……」

 

「うへへ、おじさんちょっと汗臭いかも〜……?」

 

「興奮させようとしてる?」

 

「うーん。ちょっとポジション悪いなぁ。ちょっとお尻動かすね?」

 

「興奮させようとしてらっしゃいます??」

 

「んしょっ……んっ♡ お尻に何か当たってるよ〜? 鈍器でも隠し持ってるのかな?」

 

「興奮させようとしてるね?寝室に行こうか?」

 

「皆が見てる前で2人でカフェを抜けるとかさー、それもう完全に『ヤバい』ヤツだよ♡……だぁめ♡

 

 私にできるのはホシノを撫で回す事だけだった。流石に他に4人も居れば胸を揉む事すらダメだし、触れてもせいぜいがお腹、太ももまで。そういえば二の腕はおっぱいと同じ柔らかさなんだっけ。

 

「……間接的におっぱい触ろうとしてるのバレバレ♡ダメだよ〜、せ・ん・せ♡」

 

「せ……せめてキスだけでも……っ」

 

「あの特殊マスクみたいなの着けたアリウスの子がこっち凝視してるからダメだよ……♡」

 

 サオリィ!──ダメだ、ホシノが膝に乗ってると落ち着かない。テレビなど流していたって意味ないくらいには、心の中がザワザワザワザワうるさい。心臓もドクドクバクバクうるさいし。

 

「ニュースでも見るか……」

 

「うん、それがいいね〜。情報収集、情報収集♪」

 

『今日未明、トリニティ自地区内で近頃頭角を現し始めていた「パラパラヘルメット団」が、壊滅した状態で発見され──』

『今週のお便りコーナー!ゲヘナ学園にお住まいの──え?ゲヘナ学園に住んでんの?』

『なお、この件について正義実現委員会は関与を否定しており──』

『ゲヘナ学園の風紀委員会に、副委員長が設置されました!これを受けて美食研究会は公式モモッターにて──』

『シャーレの先生御用達!?あの高級レストランに突撃!──』

『──以上、連邦生徒会からの発表でした!皆さんお気を付けて!!』

『自警団の方にインタビューに来ました〜!パラパラヘルメット団が壊滅していた件についてどう思われますか!?』

『え!?えっと、正義は勝つのです!本当ならば私が挑戦状を叩き付ける予定でしたが!!誰かに先を越されちゃいましたね!!!以上、自警団のスーパーヒーロー!!!!!宇沢レイサでした!!!!!

 

「ン……?」

 

「どしたの、せんせ?」

 

「連邦生徒会が何か発表したっぽいね?私の方には何も連絡とか来ないけど────あ、カヤから電話来てるな。……はいもしもし、先生ですよっと」

 

『先生!?今どこにいらっしゃるんです!?』

 

「下のカフェだよ?」

 

『あぁそれなら良かった!でしたら今すぐ執務室に戻ってきてください!リン行政官から鬼電ですよ!連邦生徒会としてのシャーレへの連絡だそうです、秘書の私でも対応できません!』

 

「……分かった、すぐ戻る」

 

 カヤが対応を拒否される、つまり私に直接伝えるような大事な内容なワケだ。大事な連絡らしいので心苦しいが私が行くしかない。この期に及んでまだホシノとくっついていたいという欲が抑えられない私は最低かもしれない。……あぁ、癒しの時間が。

 

「……先生?」

 

「ごめん、仕事が入った。行ってくるね」

 

「うん、行っておいで〜。何かあったら呼んでね」

 

「ん……まァ様子見して、かな?」

 

 今日は、シャーレ、お休みなんだけどな。カヤを常駐させていなかったら詰んでいたかもしれないと思うと、自分の幸運さに頬が緩んでしまう。しかし今回に限っては苦笑いしてしまう。

 ホシノに膝を降りてもらい、カフェを後にする。彼女の温もりが消えない内に、私は執務室へ……。

 

「もしもし、先生です。電話代わったよ」

 

『お休みのところ申し訳ありません。先程の、連邦生徒会からの記者会見はご覧になりましたか?』

 

「ごめん、見逃した」

 

『……単刀直入に言います。「新・総力戦」です』

 

「え?」

 

『8人目の脱獄囚、賽鬼ユウナが動き出しました』

 

「!?」

 

『場所は、トリニティ自治区内に新設されたというブラックマーケットのどこか──です。通常ならば連邦生徒会本部までお越し頂いて作戦等を練ったりしますが、今回は、急を要します。このままでは、ブラックマーケットはともかく、トリニティ自治区そのものが危険に晒されます』

 

「ユウナ……か……」

 

『そうです。ですので先生には直接現場に急行して頂きたいのですが、宜しいですか?』

 

「OKだよ。場所は把握しているしね。シャーレのヘリコプター、使うよ?」

 

『ご自由に。元より先生の管轄内ですから』

 

 そうか。連邦生徒会はユウナを総力戦ボスとして設定したのか。SRTの特殊部隊を複数投入した、なんて話も聞いているから、確かにそれだけ聞くとユウナの逮捕時には既に総力戦になってたんだな。

 場所はブラックマーケット。ならば市街地戦か。

 ユウナの防御タイプは重装甲。つまり編成すべきタイプとしては、市街地戦適正A以上且つ貫通か?せいぜいがBといったところか……?

 ──ミカ、行けるか?いやダメだよね?イオリも市街地戦はCだし、ミカとホシノはDじゃないか。

 絆ランクが特に高い子達に限って市街地戦の適正低いの、かなり運が悪いんじゃないか?地形適正と相性、今はどちらを優先すべきか────。

 ミユ、ミヤコ、ユズあたりか?いやしかし……。

 そういえばモルモの市街地戦の適正はAだった。それならモルモを投入してまずは様子見といこう。もし押し切れそうなら、ミカとホシノも呼ぶかな。イオリは……ゲヘナだしミカを呼ぶのならやめた方がいいのかもしれない。第2部隊として呼ぶかな。

 そんなことを考えながら自動操縦のヘリを発進、トリニティ自治区のブラックマーケットへ向かう。

 

「……あれ?生徒一覧にモルモが居ない……?」

 

『先生、ずっとガチャ禁してるから……』

 

「あー。ワカモはもう居るからって、水着ハナコが10連で来てくれてから、すぐ撤退したんだったね」

 

『ですが、モルモさんは☆1の生徒さんですから!すぐに迎えられますよ!』

 

「もうガチャに実装済み?」

 

『はい!』

 

 それなら、引かない理由は無いかな。

 

『ミレニアムガクエン、オトセ……』

『シレンガコワイトキ、クナンニ……』

『オコッテナイカラ……』

『ベツニキョウリョクスルツモリハ……』

『ハクイノテンシガ……』

『ケガヲサレタカタハ……』

『ゴシュジンサマトイッショニ!』

『ミレニアムガクエン……』

『ミレニアムガクエン……』

『コレカラ、スッゴクオモシロイモノガタリガハジマルヨ!』

 

「……アロナ?」

 

『あ、あはは……ドンマイです!次です!!』

 

「お、ピンク封筒だ」

 

『アリウススクワッドのサオリだ』

『オクソラアヤネデス』

『アエテウレシイ、センセイ』

『ミレニアムガクエン』

『アリウススクワッドのサオリだ』

『えへへ……何だかんだで、来てしまいました……』

『セツメイヤカイセツガヒツヨウナラ!』

『ショウジョヲウツクシクスルノハ……』

『ホンノナカノモノガタリノヨウニ……』

『チイサイカラッテナメナイデ!』

 

「アリウスピックアップでもやってらっしゃる?」

 

『そんな事は無いですよ!?☆3の確率は2倍期間ですが!』

 

 その後、30連、40連、60連、100連と引いていく私だったが、☆1のモルモは、一向に来ない……。

 私の運が悪いだけ?いや、これは絶対おかしい。

 

「アロナァ……」

 

『はいっ!』

 

「実装……されたんだよね?」

 

『されてます!されてます!ね、プラナちゃん!』

 

『待ってください。現在、データの確認中……』

 

『確認する必要なんか無いです!実装されてます!先生の運が悪いせいですよー!』

 

不運(ハードラック)(ダンス)っちまった……ってことね」

 

『『?』』

 

「OKアロナ、信じる。とりあえずは、現在、水着ハナコの時の10連と合わせて110連。残り90連分の石はあるから…………アロナ、90連でモルモを迎える確率は?」

 

『100%です!!』

 

『それはありません。計算し直します』

 

『あわわ……せ、先生、早くガチャを!』

 

「……」

 

 アロナに急かされつつも、追加でガチャを引く。物欲センサーが邪魔をしているのかもしれないからアロナをお仕置きセックスで犯す妄想をしながら、ガチャに関しては無心のままでガチャを引く。

 120、130、150、170────そして190連目も綺麗な爆死である。

 

「アロナァァァァ〜〜〜ッッ!!!」

 

『ひゃいぃぃっ!お、怒らないでぇぇ……』

 

「おかしいよね!?☆1のハズでしょう!?ミカが3回も来てくれて!水着ホシノも来てくれたのに!どうして!どうして☆1のモルモが来ないの!?」

 

『え、えーっと……!』

 

『先生。原因が判明しました』

 

「えっ」

 

『アロナ先輩と用意したモルモさん実装のデータを実装し忘れていました』

 

『ええっ!?』

 

「!?」

 

『つまりこれまでの180連は無駄でした』

 

「待ってプラナそれ以上言わないで……泣く」

 

『一旦シャットダウンし、再起動します。次は天井ですが、モルモさんもほぼ確定です』

 

「……わかった、ありがとう、プラナ」

 

『いえ。では再起動します』

 

 その後、運命の天井。☆1生徒を求めて天井とか今後一切やらないだろうな。さらば私の22,800個(190連分)の青輝石。お前達の(破片)を越えていくよ。

 

『承認をお願いします』

 

「プラナ!?!?」

 

 ピンク封筒を胸に抱えたプラナがガチャ画面に。承認したくともこれでは──画面タップするのか?違うのか。えっと……?

 

『……箱の中にログインして、キスしてください』

 

「可愛すぎ!抱き締めたくなっちゃうでしょ!?」

 

 その後、手渡しでピンク封筒を受け取って、遂に3人の☆1モルモ受け入れに成功した。神名文字の欠片を全投入で☆上げをして、固有武器を解放してレベルを上げ、レポート、オーパーツ、BD、技術ノートなどをブチ込み装備品だったり愛用品などもきちんと強化して────。

 

「よっし!最速で完全体になったぞ……!」

 

「おめでとうございます、先生!」

 

「アロナァ!詫びビキニ着なさい!!」

 

「もう着てます!じゃーん!黒のマイクロです!」

 

「そのまま私とプラナのエッチを見てなさい!!」

 

「はい!……え?ええええええ〜〜〜〜っっ!?」

 

「お仕置きに放置プレイだよ!お仕置きセックスはお仕置きにならないと思うから!」

 

「そ、そんな!お仕置きになります!なりますからアロナともエッチしてくださいよー!」

 

「どこの世界に『お仕置きして』なんて言うヤツが居るの!アロナくらいだよ!ドMなの!?」

 

「うわーん!そんなこと無いですよーっ!!」

 

 そして(シッテムの箱の中での)1時間後──。不貞腐れて、教室の隅で蹲るアロナが少し可哀想に思えたので、1回だけ共に楽しむ事に。

 その後、私は意識をシッテムの箱から現実へ戻し自動操縦のヘリの中で部隊編成を考える。

 

『モルモさんの市街地戦の適正はAです!』

 

 ロケランユウナは市街地戦適正S、金棒ユウナは市街地戦適正SS──つまりどちらにせよ、Aだとちょっとだけ不利なのか。しかし他にも市街地戦に適した生徒とか、飛び抜けて強い子など編成すればカバーできるはずだ。

 

「よし。手始めに強い子を編成してみるか。まずは現場に着くまでに模擬戦闘で軽くシミュレーションしようかな」

 

『はいっ!』

 

 ミカ、ツルギ、サオリ、アタッカーこんな感じで回復役にモルモ。スペシャルはナギサと水着シロコなんてどうだろう。属性も何も考えていないただの脳筋パーティ。

 ワカモも編成したいんだけど、ユウナはワカモが大嫌いらしいから、ネルみたいな怒り状態になって攻撃力がバカ上がりしそうで怖い。

 それでも難易度によっては1凸できる組み合わせだろうがどうだろうか。ハードコアくらいまでなら行けるかな?ユウナ戦のギミックが分からん……。

 いや、待て。最初から難易度が解放されてるぞ。これ総力戦というよりかは、大決戦なのか……?

 

 ◆

 

「……アロナ?アロナさん?アロナちゃん?」

 

『はい!どうしましたか?』

 

「このシミュレーション、バグってません……?」

 

『ばっ、バグってなんかないですよ!?』

 

「そう?ユウナのHP、ゴリゴリ削れるんだけど。こんな相性とかも何も考えてないパーティなのに、ハードコア1凸だよ。エクストリームですらも1凸行けそうな気がするレベルで削れてるんだけど?」

 

『──検証の結果、バグは発見できませんでした。正当な結果であると判断します』

 

『ほらー!やっぱりそうじゃないですかー!先生はアロナをもっと信じるべきですっ!むんっ!!』

 

「そ、そうだね、ごめん……」

 

『後で謝罪エッチしてくれたら許しますよぉ♡』

 

「私はいいけどそればっかりだね。なんというか、また処理落ちしそう……」

 

『はうっ……!?』

 

「まぁいいや。とりあえずそろそろ現場に着くから1回目はハードコアで行こう。エクストリームは、念の為に後で模擬戦闘して、それからかな。もう、2分もしないで現場に着くだろうし」

 

『はい!』

 

 ◆

 

「件のブラックマーケットって──ここ、だよな。アルバム買いに来た時以来だから数週間ぶりだ」

 

 レイサとセックスをする前の晩に、トリニティの生徒の小学校の卒業アルバムをとにかく買い漁ったブラックマーケット。壊されるワケにはいかない。

 大人のカードで、6人の生徒を召喚する。ミカ、ツルギ、サオリ、モルモ、ナギサ、水着シロコ。

 ミカとサオリはとうに和解済み、モルモはゲヘナではあるが角は無いので、賭けだが大丈夫だろう。

 

「────以上、これが今回の総力戦の概要だよ。総力戦と言っても、皆の強さなら今回の突撃だけで倒せる予定だから、そう緊張はしないでね」

 

「おっけー☆」

 

「……」

 

「内容は把握した」

 

「SRTの特殊部隊を複数投入してやっと逮捕した相手なのに、モルモちゃん達だけで事足りるワケ?大幅な弱体化でもしてんの?」

 

「分からない。でもシミュレート上では余裕だった編成だから……行けるさ。自慢の生徒達だしね」

 

「……ま、いーけどサ。皆ァ、回復とか気にしなくていいかんね。私のスキルで19秒毎に回復するし?」

 

「あははっ!ゲヘナの生徒に頼らなくても、私なら勝てるから大丈夫だよ☆」

 

「へぇ〜ッ?そんじゃあ、あんたは『オキニ』から外してやんよ。皆よりも18(パー)低い回復で、ヒィヒィ先生に泣きついても知らねーかんね?」

 

「それじゃ、始めよっか☆」

 

「無視かコイツ。マジか。マジかコイツ……」

 

「ごめんねモルモ、ミカはゲヘナ生が嫌いというか何というか」

 

「先生さ〜、そんなのとモルモちゃん組ませるとかヤバくない?大丈夫だと思ったの??」

 

「うん、モルモには角が無いから……」

 

「あーね?角がダメなん?私には、よく分かんない価値観だなー。ね、あんたもトリニティの生徒さんなんでしょ?あんたもゲヘナ生、ダメなの?」

 

「…………」

 

「無視かいっ。トリニティ、思ったより陰湿だね。ゲヘナの方は真正面からやり合うから気持ちいいと思えるまであるわ」

 

 ツルギは──無視したというよりは、萎縮してるだけなんじゃないかなぁ……。

 

「……ともかく。ナギサとシロコも、頼んだよ」

 

「ええ。皆さん、どうかご武運を」

 

「ん。私がサポートする。カジキ釣り上げるから」

 

 ◆

 

「じゃっ!いっくよー☆」

 

「さァ!暴れる時間だぁッ!!」

 

 ミカ、ツルギ、モルモが前に立ちその少し後ろにサオリが控えている。私は自動操縦のヘリから場を見下ろし、シッテムの箱を通じ生徒に指示を出す。総力戦開始────と、その時。

 

「なっ!?ヘルメット団……なのか……!?」

 

 シミュレーションには登場しなかった正体不明のヘルメット団が前方、左右の路地から現れた。一体これはどういうことだ。難易度設定を間違えたか?いやそんなはずは無い……な。うん。合ってるな。

 

「ヒィイイッ!どけっどけお前らあぁぁ!!」

 

「逃げろおおおっ!あの女、あたしらのアジトまで潰す気だッッ!!」

 

「アイツ、イカレてやがる!!」

 

「これじゃあ壊滅どころか全滅になっちまう!!」

 

「──あなた達は通れないよ」

 

「Vanitas vanitatum, et omnia vanitas」

 

「「ぎゃああああぁぁぁっ!!」」

 

(あれ?もしかしてこのパーティって、対複数には向いてなくない?敵が雑魚だから勝ててるけど──先生?これ大丈夫なん?まぁ、いっか。私なら多数相手だろーと勝てるしね)

 

 オート指揮にしていると、バシュンッとモルモが翼を広げ、空を飛び始めた。フロント担当のミカ、ツルギの頭上を悠々と飛んでいる。

 

「え……ええっ!?そ、空を……飛んでる!?」

 

「ゲヒャヒャアッ!?」

 

「あらぁ〜?トリニティのお姫様は空も飛べないのかしら?うふふっ、優雅に空の旅を楽しんじゃってごめんなさーい☆」

 

 などと言いながら手榴弾でヘルメット団員を攻撃していく。

 プークスクス、とモルモの煽りを受けたミカは、驚愕の顔から一転、ハイライトを失い「あの目」になると、近くの建物の窓の突起部分に足を掛けて、モルモよりも高高度に飛び出すと、くるんと空中で縦に一回転し────。

 

「でりゃあっ!!」

 

「うひゃあ!?」

 

 モルモの首筋に踵落とし────しかしモルモはギュオッと身を翻して回避して、ミカの踵落としはワァワァと逃げ出すヘルメット団員にヒットした。ゴシャアッとアスファルトに大穴が空いたのは私の見間違いでもなんでもないようだ。ミカはミネか?

 

「あれ〜?どうしてあなたも逃げたの?攻撃なんて敵に当てるに決まってるじゃんね☆」

 

「こンのガキィ……!ブッ飛ばすわよ!?」

 

「あっはははは!無理無理〜☆」

 

 やっぱりミカとモルモを同じ部隊に編成したのは間違いだったのか────幾らなんでも戦闘中までいがみ合ってんじゃないよ、と思うがダメなのか。

 

「ムァハハハハハハァッ!」

 

「……撃ち漏らさないで!ナギサ行ける!?」

 

「ええ。トリニティの砲撃術は優秀ですから……」

 

 ヘルメット団員はこれで大丈夫かな。あの子達が来た先に、ユウナが待ち構えているのか────。

 

「急ぐぞ」

 

 ミカとツルギとモルモが先陣を切り突撃。すると路地を抜けた先には、ロケランを肩に乗せて構えたユウナの姿があった。

 

「あっれぇ?もしかして、あのヘリが見えた時点で察してたけど……シャーレの先生かな?」

 

 ニヤリと笑ったユウナと、ヘリから見下ろす私の目が合った。ツルギは今すぐにでも戦いたくて手を震わせる程にウズウズしているが、それを制して、モルモが前に出る。

 

「ユウナってぇのはあんたね?ブラックマーケット襲撃してるのって、マジなの?」

 

「ええ、マジよ〜?アタシ、破壊が趣味なもんで?パラパラヘルメット団とかいうヤツに『トリニティ自治区のブラックマーケットを乗っ取ろう』なんて勧誘されたけど、このアタシを金なんかで釣ろうとしやがったからさ。……壊滅させ(ツブし)てやったのさ」

 

「へェ……“面白”いね?金が目的じゃないんだ?」

 

「そーよー。アタシ、これでもお貴族の娘でさぁ。だから、金とか大して興味ねーのよ。つーか欲しい物があったら奪えばいいだけっしょ?」

 

「じゃあ何が目的なワケよ?」

 

 少しイラついた様子でカロッと棒付き飴を口内で転がすモルモ。

 

「これからブラックマーケットの一角にあるらしいヤツらのアジト探して、ブッ壊してやる。そこまでやったら、今回の破壊はジ・エンドにしてやるさ。アタシだって『先生』の前で暴れる気は無いわ」

 

「……あーはん?おおよそ分かったわ〜。つまりィ、あんたを金で釣ろうとしたおバカを懲らしめるのが目的なワケね?」

 

「そーそーあんた話が分かるね!ついでにアジトや周辺の破壊もできりゃあ御の字ってトコよね!」

 

「あっは!それができる『力』があると、やっぱし考えるコトが違うね!……んで?やめる気は?」

 

「ねぇよ」

 

「OK、OK。それでこそね。──さぁ、お待たせツルギちゃん」

 

「ッ!?」

 

「……さぁ、暴れよっか♡」

 

「……ケヒヒッ!!」

 

 ポンッとツルギの肩に手を置いたモルモは、至近距離でツルギと目を合わせる。ふとシッテムの箱の画面を見ると、満タンまで溜まっていたコストが、半分の「5」だけ減っていた。

 そしてポケットから風紀委員会の腕章を取り出し装備すると、ピンク多めの彼女のショットガン──ヴリコラカスをユウナに向ける。

 

「さぁ、私らの力、見せてあげよーじゃなァい♡」




次回────大暴れ。

モルモのEXの消費コストは6だけど5になってるというのは、言うまでもなくシロコの恩恵ですね。水着シロコ、PUの時に来てくれたのはいいけど、無料100連期間中にも来てくれたの嬉しかったね。
やはり書いたからか。書けば来るのね、シロコ。
セイアも来て欲しかったなぁ!(クソデカボイス)
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