※この作品はR-18です。

「ハーレムルートを目指しましょう、先生」   作:アキラゼミ

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風○堕ち!?生徒のピンチに先生ズ、怒る

 

「はぁ〜……。巫女さんのバイトも常時じゃないし、そろそろ追加のバイト探そっかなぁ……」

 

 あまり人の多くない商店街をトボトボ歩きながらバイト探しをしようとしているのは、アビドス高等学校1年生、黒見セリカ。

 学校の借金返済の為に、きっとアビドスの誰よりバイト──お金稼ぎを頑張っている生徒である。

 そんな彼女の元にヌッとロボットが1体現れる。ラグビーボールのような頭部の、量産型のいつものあのロボットだ。

 

「そこのお嬢さん」

 

「わっ。何よ後ろから……」

 

「失礼。バイト探しとの事ですが、もし良ければ、弊社で働いてみませんか?」

 

「バイト募集してんの?」

 

「はいっ!つい先日、新装開店したばかりでして!絶賛、アルバイトを募集中なのです!」

 

「ふーん……業務内容をザックリ聞いても?」

 

「そうですね、では往来ではアレですから、一度、私共の店舗までお越し願えますか?」

 

「じゃあこの話は無し。いきなり店に連れ込むとか怪しさしか感じない。それに、ブラックマーケット関連かもしれないし。今のは聞かなかった事にしてあげる、さっさと私の前から消えて。今すぐよ!」

 

「おっと、これは失敬。不躾でしたね……。どうやらお嬢さんは、過去に騙された、または騙されかけた経験がおありのようで警戒心がお強い様子……」

 

「だったら?」

 

「ではこの場で立ち話でも致しましょう」

 

「最初からそうすればいいのよ」

 

 ◆

 

「──時に、先生。あの噂、既にご存知ですか?」

 

「噂?」

 

「ええ。なんでもアビドス商店街の裏通り辺りに、近頃、続々と新規のお店が開店しているとか」

 

「へぇ、それは初耳。黒服、アビドスの事は本当に詳しいねぇ……」

 

「クックックッ、光栄です」

 

「あんまり褒めてはないんだけどな」

 

「おやおや。──しかし、お金の動きというものは大局的に見ておくべきものでしょう。私はその辺の事については先生よりも得意と自負しております。商店街裏通りの新規開拓に気付けたのも、元々は、それが由来でしたから」

 

「……黒服がそーやって話題に上げるんだし、何かが妙だ……って言いたいんだね?」

 

「ええ。唐突な大きなお金の動きがありましたし、妙だと言えば妙です。何者かが資金調達をする為にあの場所に目を付けたのかもしれない、等と思えるくらいには……派手に動いていますよ、大金がね」

 

「アビドスか────」

 

 怪しい場所なんか、ビナーにぜーんぶ壊されればいいのになぁ。そう思っちゃダメかな?

 商店街の裏通りって事だし怪しさしか感じない。表通りじゃ店舗を構えられないからと解釈されてもおかしくないはずだ。

 

「実地調査に行くか」

 

「やはり出張ですか、いつ出発しますか?私も同行しますよ」

 

「今すぐだよ。行けるよね?」

 

「……」

 

「相ッ変わらず表情の変化は分かんないけど、軽く溜め息つきそうな顔してんなってのは分かるようになってきたよ」

 

「案外ノリが悪いなと。先生がノリ悪い時は仕事が溜まっている時、疲れている時──今日はあまり、ふざけた発言はしないようにしておきましょう」

 

「ただ単純に『黒服院』に違和感しか無かったからノれなかったんだよ悪かったね」

 

「あ、気付いてはいたんですね。それは結構結構」

 

「ネタ振りが唐突すぎるんだよ黒服はさぁ……」

 

「クックックッ……では行きましょう、大人の陰謀と欲望が渦巻く裏通りへ────!!」

 

 こうして黒服と一緒にアビドスへ出張に向かった私達は、アビドスの生徒達への挨拶は後回しにして真っ直ぐ商店街に向かう。

 まずは表通りの観察。特に変わった様子は無い。それどころか顔見知りに出会って色々と野菜などを受け取ってしまい手が塞がっていく……。

 

「う、ぐ……お、重い……」

 

「クックックッ、流石は先生。商店街を歩くだけでまるでモテ男のバレンタインデーのような様相──腹の底から笑えてきますね、クックックッ……」

 

「こ、こんなハズでは……」

 

「仕方ありません。これでは調査になりませんし、裏通りに入る時に、転送してしまいましょう」

 

「転送?」

 

「最近、ゴルコンダとデカルコマニーが使い捨ての転送装置を開発しましてね。コストは高めですが、まぁその辺の事は気にしないでください」

 

「……分かった、材料教えて。私が調達するよ」

 

「かんしゃぁ」

 

「お前もう一度ナツの真似してみろ泣かせるぞ」

 

「クックックックックックッ……」

 

 その後、黒服があの2人に連絡を取って、本部に置いてある転送装置で転送装置を転送してもらい、使い方を黒服に説明してもらう。地図アプリ等とも連動可能で、任意の住所への転送も、または写真を読み込ませる事で位置を特定しその場所に転送するなんて芸当もできるそうだ。

 なので、執務室の写真を読み込ませて、執務室に転送しておく事にした。

 

「この転送装置の厄介な所は主に2つありまして。1つは、このように、数分程度で終わるとはいえ、事前準備が欠かせない事。例えば事前に位置情報を読み込ませていたり、移動先を設定していなければ緊急時の脱出には使えません」

 

「確かに、サクッとはいかないもんね」

 

「もう1つは……その大きさ、ですね……」

 

「…………」

 

 大型のリュックに入るくらい、と言ってしまえばおおよそのサイズが分かるだろうか。回路や基盤等機械の中枢らしい所は隠されているが、そう頑丈に作られていそうな雰囲気ではない。

 路地とはいえあまり屋外で使うべき代物ではないというのは、嫌でも分かる。

 

「で、これが使い捨てなんでしょ?」

 

「ええ、まぁ。一度使ってみてください。設定者が持っているモノを転送できます。設定者本人も転送できますがそこは事前のチェックを外して頂ければ今回は転送しませんので」

 

「スタートボタン……みたいなのは無いの?」

 

「使う際は『ハァッ!』と掛け声をお願いします。それと同時に転送しますのでね」

 

「嘘でしょ!?」

 

「嘘です」

 

「……」

 

「転送先の様子を頭に浮かべて『転送』と念じればいいのです……ほら」

 

 商店街の皆さんに頂いた野菜やらの贈り物類が、全て消えてしまった。それと同時に目の前で機械はボンッと軽く破裂して、黒い煙を上げる。

 

「……コレどうするのさ」

 

「その辺のゴミ箱にでも捨ててしまいましょうか。金属ゴミはコチラですよ」

 

「こんな貴重なモノ……」

 

「貴重品も形を失えばそれはゴミです。ましてや、カバンなどと違って修復も不可能ですから」

 

「そっか……それなら仕方ないね」

 

「ええ。我々以上の技術を持たなければ、解析すらされませんから、安心して処分してください」

 

「そういう事なら」

 

 近くのお店のゴミ箱を利用させてもらい、装置の破片を処分した。

 その足で裏通りへと向かって、調査を開始する。

 どうやら本当に、黒服の情報通り、新装開店したばかりのお店ばかりが並んでいる。あちこちで開店フェアなんかを開催している。

 スケバンやヘルメット団もそうだが、それ以外の生徒の姿もチラホラと見える。

 

「……あ、ヒフミ」

 

「あれっ、先生!?どうしてこんな所に!?」

 

「それはこっちのセリフ。どうしてこんな所に?」

 

「……実は、明日発売のペロロ博士のグッズがあるんですが、ここでなら発売前に入手可能だと風の噂で聞き付けまして……でも明日は豆テストがあるので、できれば学校は休みたくありませんし……」

 

 ペロロが大好きにも程があるだろ。トリニティの制服で堂々と裏通りに来るんじゃないよこの子は。全くもう。出会った時といい、危なっかしすぎて、肝が冷えるを通り越して肝が凍りつきそうだよ。

 テストの日に学校を休みたくないといった発想に至ったのは成長だろう、でも「できれば」な時点でまだまだ甘い。今日だって休んでいるんだろうし。

 

「……遅くならない内に帰るんだよ。明日のテスト、頑張ってね」

 

「はいっ!ありがとうございます!失礼します!」

 

 流石に1人で居させるのは危険だろうか。しかしヒフミはブラックマーケットの事すらも詳細に把握できるくらいには知識を蓄える子だ、こっちの事もある程度は把握しているだろう。

 

「……あれ?黒服……?黒服ー?どこ行ったー?」

 

「クックックッ……ここですよ、ここ」

 

「うわぁ建物の隙間に挟まるな!!ホラーかよ!」

 

「背景に溶け込みやすかったです。私、黒いので」

 

「……」

 

 まあ、お陰でヒフミに何も追求されなかったから何でもいいか。言いたい事は色々とあるけれども。

 

 ◆

 

「結局、怪しいお店は無かったね」

 

「ええ。ブラックマーケットモドキと言いますか、ガッツリとは違法になりきれず、かと言っても合法でもない、地味な犯罪ばかりが目に付きますね」

 

「カイザー系列の店舗が0なのが気になるけどな。逆に言うなら、それしか妙な点は無い……かな?」

 

「そうですね、この規模ならば少なくとも10店舗はカイザーの店があってもおかしくないハズですが。どういう風の吹き回しでしょう。お金の動きからもカイザーが絡んでいると踏んでいましたが……」

 

「結構な大金なんでしょ?」

 

「ええ、臓器売買を遥かに超えるような。例えば、人身売買クラスの大金が動いていましたね」

 

「何その具体的な例……やめてよ不吉だな」

 

「あくまで例ですから。肉体の闇取引以外にこんな大金が動くものかな、と。神秘を有する肉体を売買しているような動きに見えるのですよね」

 

「……だからさ、それ先に言ってよ」

 

「……ですね、私も今そう思いました」

 

 とうに表通りに戻ってきていた私達は、裏通りにUターン。再び、中途半端なブラックマーケットに足を踏み入れる。

 黒服の解説によれば、人身売買等は堂々と行うのではなく売り物(商品)買い手(顧客)を「引き合わせる」形式の店舗で運営している事が多いそうだ。

 商品と顧客を引き合わせ、客に値踏みをさせて、客が気に入れば──商品を売りに出している店舗に申し出て、商品を購入していく────。

 表向きは人身売買の場ではない、しかし新装開店ラッシュの今は「普段以上に人が入りやすい」状況であるが故に、新しい商品や顧客をゲットしやすく店舗側も商品側も顧客側も、全ての陣営がかなりの入れ食い状態で最高に都合のいい(儲けやすい)状況……らしい。

 そして、キヴォトスの生徒は100%が女の子だ。

 女子をお客に引き合わせる場、つまり────!

 

「────これもう殆ど3択しかないだろ!人手が足りない、誰か呼べる人とか居ない!?」

 

「ふむ、マエストロを呼びましょうか?」

 

「アイツ走れるっけ!?」

 

「頑張れば、との事ですが」

 

「じゃあ頑張ってもらおう!デカルコマニー達には援護してもらうッ!」

 

「承知しました。3択──先生は何処へ?」

 

「私はマッサージ店!黒服は風俗系の店とか無いか探してッ!マエストロには、メイドカフェだとか、相席屋とか……そういう系の!」

 

「成程。────聞こえていましたねゴルコンダ?すぐにマエストロをこちらに転送してください」

 

『了解。マエストロを合流させます』

 

『そういうこったぁッ!!』

 

 黒服のスマホから2人の声が聞こえてきた直後、マエストロがギコギコギィギィ関節を鳴らしながら目の前に現れ、走る私達に合流した。

 

「全く、話は聞いていたが唐突すぎるぞ……!」

 

「聞いてたんかい」

 

「黒服が先生とデー……お出掛けする際はゲマトリア全員で共有する事になっているからな」

 

「おい待て『デート』って言おうとしたな?」

 

「聞き間違いだ、何も気にするな」

 

「気にするよ!?」

 

「先生。それより先に店の実態を調査しましょう」

 

(てい)よく話逸らしやがってコノヤロー、後でバックブリーカーの刑に処してやるから覚悟しとけ黒服」

 

「そこは『エッチなのは駄目!死刑!』では?」

 

「私とお前の関係のどこがエ駄死なんだよ!!」

 

「痛い!脇腹つつかないで!痛いですって!」

 

 ◆

 

 その後、私達は三手に別れて、先に伝えておいたジャンルの店舗を、見つけたそばから調査していくという虱潰し作戦に出た。

 私はマッサージ店を2店舗見つけた、まず近くの店舗に入店し────。

 

「いらっしゃいませ〜っ!記念すべき入店1人目のお客様です!」

 

「お、おー……」

 

 何もこんな所でそんな運を使わなくてもなぁ……。

 

「1人目のお客様には特典として!パネマジ無しの女の子の写真をお見せ致しましょう!」

 

「女の子?ここ、マッサージ店なのでは?」

 

「ウブを気取るのはおやめくださいな、お客様♪♪ その『マッサージ』は隠語です!常識ですから♪」

 

「ッッ!!!」

 

「ささっ、メニューの中からお選びくださいね〜」

 

 レストランのメニュー表のような、数ページあるモノを手渡される。嫌な予感がしつつも、ページを捲っていく。……ロボットの女の子ばっかりだ。

 

「あの……えっ、と……?」

 

「どうされましたか?」

 

「ここは……エッチな事をするお店、では?」

 

そういう事(・・・・・)は女の子に直接交渉して……ね♪」

 

「……」

 

「10体以上、選り取りみどりですよ!」

 

 ────そういう事か。

 ソープ店は「風呂屋」の名目で、個室で出会った女の子と恋に落ちてセックスに──という建前だがこの店の場合は「マッサージ店」の名目で……。

 じゃあ実質ソープじゃねーかこのマッサージ店。でもまぁロボットしか働いてないし、電動のオナホみたいなものなのかもしれないし、人身売買とかは私達の杞憂だったのかな……。

 全ページロボット娘しか居ないよ。見ていて全く勃ちもしないフツーのロボット。うん。悲しくなるくらいに縮こまって────いや、待てよ?

 

「……裏メニューとかは無いんですか?」

 

「……裏メニュー、ですか?」

 

「こういうお店には大体あるでしょ?裏メニュー。本当は常連さんにしか言えないんだけど──とか、そういう系の『少しアブない』メニュー。もしも、このお店にもそういうのがあれば……これから贔屓にするから、教えて欲しいな〜、なんて」

 

「────エクセレントッ!非常にお目が高いッ!初のご来店で当店の裏メニューの存在にお気付きになられるとは!──しかし当店は開店したばかり。裏メニューは用意すれどまだ1人しかご用意できておりません、それでもよろしいでしょうか……?」

 

 理解できた。やはりこの店、完全に黒。黒だ。

 さっきは「10体以上」と呼んでいたのに「1人」という、明らかに人体を数える呼び方に変わった。

 表向きはマッサージ店、その実態はロボット娘のソープ。その裏では人間娘のソープということか。

 

「構いません。今すぐ、えっと、60分コースからで案内して頂けますか?」

 

「60分ですね、それでは施術料1万円を頂きます。女の子にも同額、渡してあげてくださいね」

 

「施術料────あぁ、マッサージ店(・・・・・・)ですもんね」

 

「左様でございます♪」

 

 店員に指示された通りの道を行き、VIPルームらしき雰囲気の部屋に。するとそこには────。

 

「いらっしゃいま…………ええっ!?」

 

「…………セリカ?」

 

「せっ、先生ッ!?なっ、何でこんなとこに!?」

 

「生徒の誰か、せいぜいヘルメット団の子だとか、チンピラの子だと思ってたけど。まさかセリカだと思わなかったな……」

 

「な……何の話よ?」

 

 ズキズキと頭が痛む。この分だと黒服達の方にも誰かしらは騙されて入店させられていそうだ。まぁセリカは騙されやすいからってのは抜きにしても。さっさとここを出て、次の店に行かなくては。

 

「セリカ。念の為に確認したい。セリカは、ここがどういう店だか分かって働いているの?」

 

「えっ……マッサージ店でしょう?機械油(オイル)で駆動部を滑らかにして、老廃物を取り除くとか……」

 

「他にはなんて言われた?」

 

「『お客様には逆らわないように』とか『お客様の望む事をして差し上げるように』って。ロボットのメンテナンスくらいなら私でもできるし、片手間のバイトにしては割が良いなと思ったからさ?」

 

「…………」

 

「先生?どうしたの?」

 

「セリカ、店を出るよ。ここはソープ店だ、ここのバイトなんて今すぐにバックレよう、私が許す」

 

「……?ソープ店って何……?」

 

「客とセックスする店ってこと。それがメインだ」

 

「はああぁぁぁ〜〜〜っっ!?!?」

 

「ほらね。そんな大事な事すらも説明されてない。逃げるよ」

 

「う、うんっ!……でも何で先生がそんな店に?」

 

「生徒がこうして騙されて働かされてないか調査に来たんだよ、そしたらコレだもの……」

 

「うっ……ごめんなさい……」

 

「いいから、逃げるよ!」

 

 セリカが制服のままで良かった。お陰でさっさと店を出られる。セリカの案内で、スタッフルームの入口から店を出る。1万円なんざくれてやれ、私のお姫様の身に比べたらカスも同然だ。私のお姫様はプライスレス、お金で買えたりなどしない。

 セリカの手を取り逃げるが、警備の意味での黒服(ボーイ)ロボがウィンウィンと音を立てて追いかけて来る。

 

「待たんかァァ〜ッ!!」

 

「何よアイツ、速い……!!」

 

「──仕方ないな。ここは、美食研究会スタイルで派手にオサラバしてやろう」

 

「え……?」

 

「セリカ、真っ直ぐ表通りに行きなさい。というか学校に行きなさい。絶対に、こちらを振り向いてはいけないよ」

 

「でもっ先生は!?」

 

「いいから。私もすぐに向かうから」

 

「ッ……分かった、怪我しないでよ!?」

 

「もちろん。セリカってば私を誰だと思ってるの。キヴォトス最強の『先生』だよ?」

 

「そもそも『先生』は1人しかいないし最強も何も無いけど……」

 

「ほら、早く行きなさい!」

 

「う、うんっ!」

 

 セリカを逃がすと同時に、自分の手元にロケットランチャーを複製(ミメシス)してやる。一発限り、使い捨てのロケランだ。

 私はどうやら、マエストロよりも物質系の複製に優れているらしい。きっと、私はそういう方向性でこの複製の能力を鍛えたからなのかもしれない。

 

「ッ!?どこから武器を取り出しやがった!?」

 

「おっと止まれ使いっ走りロボット。それ以上私に近付くんじゃあない。私が怪我しちゃうだろ(・・・・・・・・・・)

 

「ほざけ雑魚がァッ!!」

 

「────怪我は嫌いなんだ。皆が悲しむからね」

 

 飛び掛かってきたロボット目掛けロケラン発射。当然、破片やら私に襲い掛かってくるが、それらはアロナバリアで防御できてしまう。

 

「ふぅっ。……よし、店を爆破して黒服と合流だ」

 

 スタッフルーム、セリカの履歴書などなど含め、TNTにて破壊。店員ロボ達、ロケランにて破壊。店舗本体、大量の爆弾にて木っ端微塵に粉砕完了。

 

「美食研究会スタイルも悪くないな。勧善懲悪って感じするし……なにより、気持ちイイや」

 

「……芸術は爆発だ──とはよく言ったものだな」

 

「マエストロ!そっちは何か見付けた?」

 

「うむ。そこの『ドMカフェ』に戒野ミサキが在籍していたぞ」

 

「何だそのカフェ……」

 

「ドMの客が行くらしい。マトモな接客ではないがその態度が素晴らしいと近くで噂されていたので、実際に見に行ってみた。キツイ視線がウリらしく、それを除けば普通のカフェに見えた。しかし彼女はあまり適正は無さそうだが。そもそも戒野ミサキはSだとかそういう感じには思えない」

 

「ふむ、とりあえずミサキの方は大丈夫なのかな。アングラなジャンルだと思えば、こういう裏通りで営業しているのだって納得はできるし。指名制とかじゃなかったよね?」

 

「ああ、指名制などは無かったぞ」

 

「……じゃあ大丈夫……かな?」

 

「そもそも戒野ミサキはあのアリウススクワッドの一員だろう?ならば大丈夫だろう」

 

「うーん。サオリさえブラックマーケットの抗争を止めるのに一苦労してたからなー……」

 

「場合によっては、か。では、警戒は怠らない方が良さそうだな」

 

「だね。お小遣い程度だったらあげるのにな。別にこんな危険そうな所で働かなくたって……」

 

「──それでも、先生には無闇に頼りたくはないのでしょうね。思春期にありがちな事です」

 

「「黒服!!」」

 

 何やら満足気な様子で黒服がやってきた。手には何枚かの写真のようなものを持っている。すかさずマエストロが彼の持参物に追求する。

 

「黒服、何を持っている?」

 

「ククク……。すぐそこの写真館……『にゃんにゃんパラダイス』、複数人の少女が働いていましたよ。写真1枚5000円でした」

 

「「1枚5000円(それ)を5枚もッッ!?!?」」

 

 ああ、やっぱり黒服(コイツ)は本当に私なんだ。散財するポイントが納得でしかない。私でもそうする。多分そうするだろう。

 

「トリニティの生徒が複数名、在籍していました。その他大勢でしたけれど。仕事内容としては、猫の耳や猫の尻尾を装備した少女を撮影できるという、至極単純なものでしたね」

 

「「それなら大丈夫か」」

 

「ただし指名制でしたね」

 

「「じゃあ危ないな」」

 

「性的サービスの提供は全くありませんでしたよ」

 

「「セーフだな」」

 

「儲けのうち6割が少女の手取りとなるそうなので客寄せに必死でした。生徒によってはこちらに腕を絡めて胸を押し付けてくる場合も……」

 

「「ダメじゃないか!!」」

 

「撮影自体はパンチラすらNGという健全そのものでしたけれど……」

 

「「ならセーフだな」」

 

「女の子にチップさえ払えば、普段はNGな際どい撮影も可能になるとか?」

 

「「ダメなヤツじゃないかっっ!!」」

 

「クックックッ、全くお2人共──手のひら返しがいつになく激しいですねぇ」

 

「あのねぇ!?これ、コントじゃないんだぞ!?」

 

「生徒が身売り紛いな事をしていないかという調査なのだから、もっと真面目にしてほしいものだな」

 

「すみません、お2人に2枚ずつ差し上げますのでこれでどうか今の不手際は帳消しに……」

 

「「誰がするか。ただし写真はもらおう」」

 

「クックックックックックッ……」

 

 成程、よく撮れている。胸の谷間まではセーフの判定のようで、前屈みで谷間を見せ付けるポーズが多い。これが黒服の好みかぁ。貧乳で谷間見せつけなんて、乳首チラを狙ってるとしか思えないが。

 

「──なんでも、この生徒さんなんかは、ウェーブキャット?とやらのグッズが欲しいのだとか。私はよく分かりませんが『買えるといいですね』とだけ言っておきましたが……」

 

「ほへー……」

 

「──あ、先生。その店の指名ナンバーワンの少女ですが、恐らくセリカさんですよ」

 

「……あ゙?」

 

「生来の猫耳に加えて、ツンデレ気味な態度が客にウケているそうで。まだ開店から僅か1週間ですが新人が幾ら入っても不動の1位なのだとか。ただ、今日は出勤していないようですよ」

 

「そりゃそーだ、セリカは私がさっき爆破してきたマッサージ店で働いてたんだから……」

 

「ええっ!?」

 

「何だと!?」

 

「今はアビドス高校に向かわせてる、だから大丈夫だとは思う。セリカに限って、変な事はしてないと思うけど……」

 

「────彼氏としては気になりますよね」

 

「っ!」

 

「セリカさんには、失礼を承知で──ここは1つ、試してみるのは如何でしょうか?」

 

「試す……?大金でもチラつかせるのか?黒服らしい手段ではあるが……」

 

「ええ、汚い手ですがね。大枚はたいて、チップを上乗せ上乗せ上乗せ。その結果、彼女はどこまでのオプションを許すのか……?気になりませんか?」

 

「下衆だな」

 

「……いやっ!試すとかそういうのはしたくないな。大丈夫、私はセリカを信じてるからね。大丈夫さ。ほんのちょっとだけ騙されやすいだけなんだから」

 

「…………そう、ですか。分かりました。では私は、セリカさんを信じる先生を信じる事にしましょう」

 

「素直じゃないな。大丈夫さ、私の生徒達は良い子ばかりなんだから」

 

 それから暫くして、私と黒服はアビドス高校へ。マエストロは、ゲマトリアの本部へ帰っていった。念の為、対策委員会の皆には、危険の周知の為にと銘打って集まってもらっている。

 商店街の裏通りやその近辺の危険を伝えた上で、個人面談という建前で、まずセリカだけ連れ出して1対1で話をする事に。

 

「……セリカ。バイトをするのは良い事だ。だけど、もう少し……後先考えてから行動してほしいな」

 

「うん……」

 

「あのマッサージ店以外にも、あの裏通りのお店で働いているね?」

 

「えっ。……見たの?」

 

「『にゃんにゃんパラダイス』でしょ」

 

「……うん。吸盤タイプだとか、紐で腰に巻き付けるタイプとはいえ……尻尾が生えたみたいで楽しくて。お客さんも、喜んでくれたし……」

 

「チップを払えば際どいポーズを頼めるって聞いたけれど……」

 

「それはしてない!全部、断ってるもん!」

 

「だよね。セリカならそうすると思った」

 

「……え?」

 

「だってセリカは私のお姫様だものね」

 

「ッ!……そ、そうよ!先生のお姫様、なんだし!!他人に媚び売る真似はしない!」

 

 セリカが指名ナンバーワンなのも、そういうのが逆に刺さるんだろうなぁ。分かるよ、チナツよりもイオリの方がイジリ甲斐があるような感じでしょ。彼女の性格が、本当にこう、胸に深く刺さるんだ。抜けない聖剣エクスカリバーみたいに。

 

「セリカがそういう子だからこそ、好きになったんだろうな、私は。────よく考えなくとも、私の身の回りには、媚び売るような子は居ないもんね。自分をアピールするのと媚びるのは別だし」

 

「先生……」

 

「もしもセリカがお金欲しさにそんな事してたら、私、嫉妬でおかしくなってたよ。何処の馬の骨とも知れないロボケモに、私のセリカの可愛い所とか、見られたくはないからね」

 

「っ!!」

 

「よく考えて店を選んで働くんだよ、セリカ?」

 

「はい……気を付けます……」

 

「──まぁそれはそれとして対外的なセリカの事も見たいので、今度はお客として行きます。その時は宜しくね」

 

「せっ、先生相手でも際どいのはダメだからね!?他のお客さんやバイト仲間に見られたら……!」

 

「おっ。よく分かってるね。安心したよ」

 

「き……際どいのはプライベート(こういうところ)で……ねっ?」

 

 この後メチャクチャハメ撮りした。




次回────ロリグラマトン(仮)
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