「ハーレムルートを目指しましょう、先生」 作:アキラゼミ
──え?「その理由ならユウカとセリカとムツキとハナエとハスミの時にそうしなかったのは何故だ?ハナコが書きたかっただけじゃないのか」って?
それを言われちゃオシマイ♡
それにしたって、今年アップした話全部にハナコが登場してるってのはヤバい。シロコが唸ってるぞ。
正月の喧騒も終わりを告げ、ハナコとの出張すら懐かしむようになった頃、シャーレに1つの荷物が届いた────。
「ご苦労様ですの。先生宛てにお荷物ですわ!」
「私宛て?」
「ええ、シャーレ宛てではなく。ともかく、ご確認願いますわ。爆発物の気配はありませんし安心して良さそうですわよ」
「そうか、発注した物はシャーレ名義になるよね。私、何か注文したっけ。去年の荷物かな……?」
「私は何も注文してませんからね」
「コーヒー関連だったらそりゃカヤを疑ってたさ。カヤで独占するクセにシャーレの備品として堂々と発注するんだもの……全くもう……」
「なっ!備品として発注したアレはただのミスだと何度言えば……!」
「あの時のカヤは傑作だったよね、真っ青になってアオイに土下座してたもんね。経費で私物を買えば横領したようなものだし、そりゃ、優しいアオイも怒るってものだよね」
「あーーーもーーー!忘れてくださいってば!!」
アンが受け取ってきた荷物を受け取る。差出人はヒナの名前になっている。彼女から連絡などは特に来ていないし、ヒナなら自分で荷物を持ってくるか風紀委員の子に持って来させると思うが、果たして本当にヒナが荷物を送ったのだろうか。
発送元の住所を調べると、シャーレの近所にある風紀委員会の支部になっている。支部からの発送、それなら確かに組織の長であるヒナの名前にしてもおかしくはないか。
そうなると差出人はモルモ、イオリのどちらか。どちらにせよ、安心して荷物を開けて良さそうだ。
「『衣類』……?」
中身は「衣類」らしい。どうして、ゲヘナ学園の風紀委員会から衣類が送られてくるのか?あまりに身に覚えが無さすぎて、逆に不気味だ。
警戒しつつおずおずと開封すると、袋の中から、つい最近、密室に居た影響で四六時中嗅いでいた、あの生徒の匂いが立ち上ってくる。
「……ハナコ?」
その「衣類」とは、ハナコの制服であった。首を捻っていると、ハナコの制服と一緒にヒナの筆跡で書かれたメモが1枚。
要約すると「大晦日の夜、私の前で制服を脱いでそのまま置いて行ってしまったので、私の代わりに返しておいてほしい」……との事である。
「???????」
ハナコが脱ぐのは分かる。だってハナコだもの。
そこまでは分かる、分かりたくなくても分かる。でも、ヒナの前で脱いだ、とは?なんだその状況。理解不能、全く以て理解不能だ。
この制服、この匂い。間違いなくハナコのもの。この私がハナコの匂いを間違えるハズが……。
「……あ」
まずいかもしれない。あんな長い期間をハナコと2人きりで過ごして、エッチしまくったから、今の私はパブロフの犬状態だ。ハナコの匂いを嗅いだ、ただそれだけで私の下半身にサンクトゥムタワーが建造されてしまっていた。全力でテントを張っている。
「……ちょっと休んでくるね」
「はいはいごゆっくり」
「あら?先生、荷物を持って何処へ?」
「きゅ、休憩だから!休憩!あ、それと、そのままトリニティに行ってくるねッ!すぐ戻るから!」
「承知しましたわ、お気を付けて」
◆
「ちょっとハナコ!聞いたわよっ!またエッチな事してきたんでしょっ!?」
「えっと、コハルちゃん……?何の事なのかさっぱりなのですが……?」
「だ、だからっ!先生と行った出張、何日も期間を延ばしたって聞いたのよ!エッチなことシテたからなんでしょっ!?」
「ああ……」
出張が延長された頃、コハルは正義実現委員会の活動に暫く参加しており、出張が延期されハナコのトリニティへの帰還が遅くなったのは、実は、まだ耳に入れたばかりだった。
それを知ったコハルはすぐさまハナコに突撃して
「エッチな話」を聞き出そうとして、翼をパタパタ忙しなく動かしながらハナコの前に立ち塞がる。
「うふふっ……♡ 折角ですから、コハルちゃんにも教えてあげますね♡」
「ッ!?エッチなのはダメ!死刑!!」
「そのお話を知りたいコハルちゃんも、間違いなくエッチな子ですよ♡」
「はぅっ!?」
「──と言っても、これから私はあるお友達に報告しないといけない事があるので、コハルちゃんとの猥談はまた後で♡……ですっ♪」
「えっ……じゃ、じゃなくて!別に知りたくないわ!バカ!死刑なんだから死刑!」
◆
コハルと別れた彼女はティーパーティーの1人で友人でもある百合園セイアの元へと向かっていた。大晦日の夜に、自分の分も頑張ってくれとハナコにエールを送ってくれた、結果の報告に────。
「あけましておめでとうございます。お元気そうで良かったです……セイアちゃん」
「あけましておめでとう。お陰様で相変わらず私はピンピンしているよ。最近じゃ、ひとより力が無いくらいしか病弱要素が無くなりつつあるね」
「それは良かったです。最近、都合が付かない事が多いので、何があったのかと心配してましたよ?」
「……まぁ……それは色々と……ね」
「……?」
言葉を濁してと目を逸らす。しかしそれだけではハナコの事を振り切る事はできない。恐らく彼女の身近な友人の中で誰よりもそれを思い知っているであろうセイアは、誤魔化したままにしておくのも、これまた夢見が悪い──と小さく溜め息をついて、しかし機密事項であるが故に言葉をほんのり濁してこれ以上の追求を拒絶した。
「じきに分かるさ。恐らくは、来月辺りだろうか。2月頭頃だろうね。ちょっとした事件が起きるが、先生が無事に解決してくれるから、私としては殆ど心配はしていないが……」
「何だか妙に具体的ですね?確か、セイアちゃんの予知夢の能力は失ったのでは……?」
「失ったさ。夢を見ても予知夢ではなくなったし。ただ、なんていうのかな。ピンとくる──みたいな感じだろうか。より鋭く勘が働くんだよ。これは、上手く説明できそうにない。勘が働いたその事象について、先生やナギサと対策を練っていたらあまり時間が取れなくなってしまったんだよ。最近では、先生とのデートもままならないくらいさ。先生も、決して暇ではないからね。全く、困ったものさ」
「そう、でしたか……」
「ふぅ……」
深い深い溜め息をついて紅茶を一気に飲み干す。空になったカップの中をしばらく無言で見つめて、ほんの少しの期待を込めた眼差しでハナコに視線を戻す。
「それで──
「っ!」
「ゲヘナの風紀委員長と組んでミカとやり合ったんだろう?ミカから聞いたけれど、凄いじゃないか。あのミカが諦める程だとはね……」
「ええ、まぁ……正直、今でも現実味がありません。どうして撃退できたのかすらも、あまり……。かなり頑張りました。私も、そしてヒナさんも」
「ああ、君達は本当に、よく頑張ったみたいだね。ミカの愚痴がしばらく止まらなかったんだよ?私もナギサも苦笑いしかお返しできないのにね。ミカもそれを分かっていて愚痴を零すんだから面白いね。話し終わるまでに、一体何個のカップが彼女の為に犠牲になった事やら……」
「あはは……そうだったんですね……」
そりゃ愚痴りたくもなるな、とハナコは心の中で僅かにミカに同情していた。先生に会いに行こうとオシャレをしてシャーレに向かう道中に、水浸しにされてオシャレが台無しになってしまったら……。
あの時は必死だった。そんな態度は表に出さないようにと努めていたが、ハナコはミカやヒナなどと違いガッツリと戦闘ができるタイプではないが故にあの場の誰より必死だった。
だからこそ、ミカのことを水浸しにするといった方法を選んだ。後悔こそしていないが、今になって申し訳なさが出てきてしまった。
同じく先生を愛する者同士、通じ合うものだって全く無いワケではないのに……と。
「……気にする事は無い。君は君で必死だったんだ、仕方ない部分もあるだろう」
「しかし……」
「それに、最近のミカはその、なにかとマウントを取りがちだから。お灸を据えるって意味でも決して悪くはないと思うんだ。そりゃあ大好きな先生から指輪を貰ったら嬉しいのは分かるけれどね。それで他の子を見下したり、イジッたりするのは、それはちょっと違うだろう?」
「っ!」
「先生だってそれについては心苦しく思っている。彼だって、お金に余裕があれば、皆に同時に指輪を渡したいとすら思っているようだしね。順番とかの違い……差を生まない為にね」
「差……ですか」
「だから私、前に先生に言ったのさ。『もっと安い指輪にすれば、皆に同時に渡せるのでは』ってね。値段なんかでどうこうしないだろう?私達はさ」
「そうですね」
「それなのに先生ってば『これが私の気持ち』って頑として受け入れてくれない。意地でも最高級品のオーダーメイドの指輪を渡すつもりだよ。いやはや恐ろしいものさ、先生の『欲』は……」
やっぱり他の子も思う所があったのか────と密かにホッとする。ただし、だからといってミカをハブいてしまうのもそれはそれで違う。それだけは注意しなくてはと、心に決めた。
「──っと、話が逸れてしまった。それで、ミカと対決した後、シャーレに行ったんだろう?先生との初エッチはどうだった?」
「あの日は……初エッチは、できませんでした」
「!」
「既に先約が居たから、というか──そこに強引に割り込んでまで、と思って。寧ろ『お遊び』の域を超えてしまうと、ハーレムが崩壊の一途を辿る事になりそうですから、今の私にはアレが限界だったのかもしれません」
「……そうか。それによって先生のハーレムの平和が保たれたなら、良かったと思えるだろう」
「ええ。今では逆に安心しています。あの時の私が初エッチを諦めた選択をしたお陰で今の私が在る。先生と出張に行けたのも、あの時の私の選択のお陰なのだと思っています」
「出張……?先生と遠出でもしたのかい?」
「遠出はしていません。ただ数日間、先生と密室に閉じ込められていまして♡」
「……え?」
「『セックスしないと出られない部屋』を名乗る、謎の密室に閉じ込められたんです。何故か、部屋を出る条件が切り替わる、謎の密室に……数日」
「数日!?」
「先生がその出張先に連れていく生徒として、私を選んでくださったのは、あの時、初エッチを諦めた影響だと思うんです。だから今では、あの時の私の選択に、誇りを持っていますよ」
「条件が切り替わるって、恐ろしい話だね。じゃあセックスをしたら出られるハズが、いざセックスを終えるとまた別の条件になったりしていたワケだ」
「その通りです。お陰様で濃密な行為ができた、と前向きに捉えてはいますけれど……」
「怪現象だね……超常現象とも言うべきか」
「人為的な何かを感じましたけれどね」
「はは……。それは間違いないだろうね。きっと君と私は、同じ相手を思い浮かべていることだろうね。そんな事ができるのは……ヤツらしかいないさ」
「……ですね」
ゲマトリア────シャーレの先生の友人にして謎の「大人」の集団。活動目的も内容も表向きには不明、ましてや生徒達に図り知れるものではない。
「しかしまぁ、何故、彼らが先生に手を貸すのかは分からないけれど。先生が彼らに頼んで、ハナコと先生を閉じ込めさせた──と思っていいのかな?」
「恐らくそうじゃないかな〜と」
「まあ、先生ですらそうしたくなる理由なんかも、分からないではないけれどね。ハナコはともかく、先生は、しがらみが多すぎる。ハーレムもそうだ、仕事もそうだ。ハーレムを作り始める前より忙しいだろうね、今の彼は」
「それはっ…………確かに……そう、ですね……」
「そんな中で、思い切り『己』を解放できたのが、例の若返り事件だ。山海経の生徒の薬で若返った、あの一件だ。ハナコとのその出張とやらでハナコやゲマトリアの力を借りて、久しぶりに、自分の心をリセットしたかったのだろう。更に『初エッチ』を諦めさせてしまった君と、誰にも邪魔されない所で濃密な時間を確保し、心ゆくまで楽しむ────。お互い、最高の時間になったんじゃないかい?」
「言うまでもなく──最高でした。今の私に友達が居なければ、恐らく、あの部屋に篭っていました。だけど、それでも私は学生です。彼とのエッチだけじゃなく、普通の青春も楽しまなくては……ね♡」
「──成程。楽しい時間イコール最高の時間というものではないのかもしれないね」
「ええ、きっとそうですね。デートと同じく、限りある時間だからこそ、尊いものだって思えるのかもしれませんね」
「私も、心からそう思えるようになりたいものだ。今の私には、そこまで悟ったような事は言えない。理屈は、分かるんだけれどね」
それからも2人は、2人きりで惚気話や猥談等を心ゆくまで楽しんだ────。
来週あたりから少し仕事が忙しくなるようなので、少し書き溜めます。リクエストも消化したいです。
1ヶ月以内にカヤの方も1話だけでも更新したいと思ってます。更新したらよしなに。
それはそうと、サードアニバではセイア来てくれ。そうすればナギサをイジる二次創作ネタができて、ツイッター(現X)の方で賑わうと思うから。
ミカ:ゴリラネタ
セイア:セイアちゃんの声、聞こえないじゃんね☆
ナギサ:ナギちゃんだけアニバ実装じゃないね☆
もし複数人が実装されたら課金するしかなくなる。年末調整の還付金、ブチ込むしかないか……?