※この作品はR-18です。

お兄ちゃん大好きっ子ルビーによる(微)闇落ちえっち   作:__aki__

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背徳感は周囲との関係性を曇らせてこそ


#2

 

 

 

 ■ SIDE:ミヤコ

 

 

 

 2人でソファに包まっている2人を、最初に発見したのは私だった。

 そりゃそうよね、だってここは私たちの家だもの。

 

 アクアもルビーもそれぞれソファに寝ながら、少し暑苦しそうにしている。

 

 暑いなら離れればいいのに――そう思うが、ルビーががっしりとアクアを抱きかかえているようだ。

 

「最近ちょっと険悪そうだったけど……いつの間に仲直りしたのかしら?」

 

 親代わりとして、仲直りは良いことだと思う。

 ただ、ちょっとばかり気になるのは……。

 

「これって流石に思春期の兄妹の距離じゃないわね……」

 

 兄と妹。

 交友関係が変わり、性差も生まれ、互いの関係に距離をおいてもおかしくない時期。

 最近の険悪さはそれとは少し違うものだったから気になっていたものの、こうして2人を見ると将来が不安になってしまう。

 

「でも仲直りしたなら素直に喜びましょうか」

 

 私はそう考え、2人の顔を覗き込む。

 

「……」

 

 のぞき込んで、後悔する。

 

 "見て"しまったのだ。

 いや正確には――2人の眠る雰囲気を見て、2人の体から発せられる臭いを、"嗅いで"しまった。

 

 それは私も知っている――精液の臭いだ。

 

 ――先ほどから窓が開いているのは何故だろうか。

 ――換気扇も回っている。

 ――ルビーとアクア、2人の服が、朝と違うのは?

 

「……」

 

 目の前が真っ暗になる。

 全部、見なかったことに、考えなかったことにしたかった。

 

 アクアとルビー。

 2人はアイの忘れ形見だ。

 そして紛れもなく、私の息子と娘でもある。

 

 その2人の、恐らく行ったであろう行為――。

 

「……なんで」

 

 それは、やってはならない禁忌の行為だ。

 少なくとも、人並みの倫理観を持っている者であれば、してはいけないと分からない筈がない。

 

 アクアが、あの妹想いの兄がその想いゆえにそれをしてしまうことは――考えにくい。

 アクアがルビーに向けている感情は例えるなら、親が子供に向ける感情に近い。

 少なくとも異性へ向けるものではない。

 

 どちらかと言えば、ルビーがアクアに迫り、アクアはそれを止められなかった――そう考える方が自然だと、私は思う。

 

 止せばよいのに考えてしまう。

 そんなこと考えたって、起きたことには変わりないのに。

 

 くらくらとして、椅子にもたれ掛かる。

 

「はぁ……はぁ……」

 

 起こってしまったものはしょうがない。

 でも、これからどうするの?

 あの2人を引き離す?

 あり得ないと糾弾して否定する?

 

 どうすれば……どうすればいいの?

 

 頭を抱え、考え込む。

 

 そのあと、どれだけの時間、考え込んだだろう。

 少なくとも、太陽の位置が少し下がったのを見て取れるくらいであるのは間違いない。

 

「ミヤコさん」

 

 見ると、私の目の前にはアクアが立っていた。

 

「アクア……っ?」

 

「ごめんなさい。俺は、俺は……こんなつもりじゃ、なかったのに」

 

 アクアの目から涙がこぼれ落ちている。

 

「そんなこと言ったって、やってしまったことは変わらないわ……どうするの、あなたたち」

 

「俺は、出ていきます――。俺がいても、ルビーのためにならない」

 

 アクアは私の目を見てそう言う。

 その提案に私は頷きかけ――次の瞬間、アクアの後ろからぞっとするようなルビーの声が聞こえた。

 

「――ダメだよ。ミヤコさんも、せん――アクアも」

 

 いつから起きていたのだろう?

 このタイミング、アクアよりも早く起きて、様子をうかがっていたのかもしれない。

 

 ルビーはもう、止まらない。

 

 

 

 ■ SIDE:ルビー

 

 

 

 分かってたよアクア。

 私が強引に迫るようになれば、きっと貴方は逃げるって。

 

 『致命的』になる前に、姿をくらませるんだろうって。

 想像できてた。

 

 だから何より、逃げられなくするのが大事なんだ。

 

 難しいことじゃない。

 例えば、子供ができればアクアは私から離れられない。

 まあ、1回の性行為でそれは流石に無理があるけど、他の方法もある。

 

「ルビー……俺は」

 

「アクアが出ていくなら私も出ていくから」

 

「ッ……。ミヤコさん、ルビーを止――」

 

「止めたって無駄だよ。だってお兄ちゃんにとって私は大事な大事な妹だもん」

 

 私は後ろ手に隠していた包丁を手に取る。

 鋭利な切っ先の新品の包丁は、LEDライトの光を反射してキラリと輝いている。

 

「何をするつもりだ」

 

「分かるよね? 私、お兄ちゃんに遠ざけられるくらいなら。大切な人を失う痛みに比べたら――」

 

 自分の手首の近くに包丁を当てる。

 冷汗を掻く。――怖くなんてない。痛みには慣れている。

 今世でせんせが死んだと分かったときの心の痛みや、前世でせんせと一緒に耐えた体の痛みに比べれば!

 

 私は包丁を振り上げた。

 

「止めろ! 分かった! 分かったから……止めてくれ」

 

 アクアは観念したようにそう言った。

 

「ふぅ。良かった」

 

 流石に本当に包丁で切りたくはなかった。

 包丁を近くの机に横たえる。

 

「ねえ、お兄ちゃん。私の『愛』。伝わった?」

 

「……あぁ」

 

 アクアの目はどんよりとしている。

 

「そういう訳だから、ミヤコさんは黙ってて」

 

 あっけにとられていたミヤコさんには、そう言う。

 ミヤコさんは受け入れられないだろう。

 彼女は私たち2人をちゃんと自分の子供として扱ってくれていた。

 

 だから感謝している。

 けど、それがアクアを諦める理由にはならない。

 

「……でもそれは、だって」

 

 ミヤコさんは何か言おうとする。

 直前のこともあって頭の整理がついていないだろう。

 

 私はそれを利用して、ここで彼女をさらに追い込む。

 

「忘れたかミヤコ……我はアマテラスの化身だと。神の裁定に逆らうか?」

 

「ぁ……」

 

 悪魔のような無機質な笑みを演じ、場を制圧する。

 普段なら、子供のたわごとにしかならないそれが、ミヤコの心を揺らす。

 

 私はそれでミヤコがもはや障害にならないことを確信する。

 

 アクアの方へと向きなおす。

 まだ夕方になりかけといったところだが、汗も掻いたし、少し早めのお風呂にしよう。

 

「ルビー……」

 

 アクアにはまだ罪悪感や猜疑心、色々な感情が見える。

 でももう退くつもりは無い。

 

「じゃあお兄ちゃん。お風呂えっちね♡」

 

 そう言って、私はアクアの手を引いた。

 

 

 

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