《イッセー》
グレイフィアさんから手渡された招待状に描かれた魔法陣を潜った俺。
目の前にあったのは、豪勢な結婚式場だった。
ここにリアスとライザーがいるんだな。
ライザーめ、今度こそリベンジだぜ!
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《リアス》
遂に、結婚式の当日になってしまった。
私は今、係の人にお色直しをして貰っており、純白のウェディングドレスの姿だ。
女の子にとって永遠の憧れである筈のウェディングドレスなのに、私の心はドレスの輝きに反して、曇天模様だ。
貴族の家柄に生まれた以上、我を突き通すには限度と言う物がある。
父も兄も周囲の貴族達も、私の事を政略結婚の道具としか見ていなかった。
「新婦様、式場の準備が完了しました。新郎様との対面の時間です。」
係の人に促され、私は部屋を出る。
隣の部屋に移ると、そこには純白タキシード姿のライザーがいた。
「おお、我が嫁リアスよ!更に美しさが増しているぞ!」
ライザーが私を見て、美辞麗句を並べ立てる。
何が"我が嫁"よ、白々しい!
「これでフェニックス家とグレモリー家は益々の繁栄を築くだろう!ではまた、式場で逢おう!」
そう言いながらライザーは踵を返した。
扉が閉まると、私は大きな溜息をつくのだった。
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そして、遂に披露宴の開始の時間となった。
朱乃達やライザーの眷属達も正装に身を包んで周囲の悪魔達と談笑している。
私の父とライザーの父は、ワインを飲みながら笑っていた。まったく、娘心も知らないで!
しかし、この式場には、たった一人だけいなかった。
そう、年下だけど私に寄り添ってくれる想い人がこの場にはいなかった。
すると、照明が一旦暗くなる。
「紳士淑女の皆様、大変長らくお待たせ致しました!新郎・新婦の、御入場です!」
進行役を務める人に促され、扉が開かれる。
「大変麗しいですなぁ、グレモリー卿。」
「これで純血悪魔も存続出来るでしょうなぁ。」
ライザーと並んでバージンロードを黙って歩く私に、周囲の貴族の口さがない雑音が耳に入る。
そして、私とライザーは、神父の前に立った。
「それでは、誓いの
「ククッ、待ってたぜ、この時を。」
ライザーの愛のない視線が私を射て、顔が私に迫る。
助けて………イッセー!!
バァァァン!!!!
その時、大きな音を立てて扉が開かれた。
「ちょぉぉっと待ったぁぁぁ!!!」
そ、その声は……イッセー!!
「俺の事を忘れて貰っちゃあ困るぜ!俺のいない間に勝手に事を進めるんじゃねえよ!」
イッセーのいきなりの登場に、式場は蜂の巣を突いたような状態になった。
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《イッセー》
ふぅ、間に合ったぜぇ!何とかキスだけは免れたようだな。
「これはどういう事かねグレモリー卿!」
「何だあの服装は!転生悪魔は品が無いな!」
「披露宴の催しか何かか?」
俺の登場で、厳粛だった会場が一気に騒々しくなった。
「俺の名前は兵藤一誠!リアス・グレモリー様の〈
そして、リアス様は俺の嫁だぁ!!」
その言葉と共に、会場は益々騒々しくなる。
そこに、衛兵が俺を取り囲む。
「貴様、何のつもりだ!」
「今すぐこの場から去れ!」
そして俺は、あらん限りの力で叫ぶ。
「リアス・グレモリー様の処女は、もう既に俺が戴いた!!」
「うおおおおおおおおおお!!!」
その言葉で会場のボルテージが最高潮に達する。
「もう、イッセーったら!何て事言うのよ、もう!!」
非処女である事を暴露されて、リアスはひどく赤面していた。
その様子に朱乃さんは笑い、木場は苦笑いし、アーシアも赤面し、小猫ちゃんは半眼で睨んでいた。
「貴様ァ…何処までも俺の邪魔をする気か!!?」
ライザーが物凄い剣幕で俺を睨む。
すると、そこに赤い髪の男性が現れた。
「これは、私が用意した余興ですよ。」
「お、お兄様!」
「ま、魔王ルシファー様!」
そう、この人物こそ現四大魔王の筆頭格にして、リアスの実兄サーゼクス・ルシファー様だった。
「下がれ下がれ下がれ!下がりおろう!」
「はっ、ははあ!!」
サーゼクス様の魔王らしく威厳に満ちた一声に、俺を取り囲んでいた衛兵達は萎縮し、引き下がった。
「此の度のレーティーングゲーム、私も堪能させて頂いたよ。
特に、赤龍帝君の力は私をわくわくさせてくれた。」
そこに、ライザーが口を挟む。
「私は反対です!いくら魔王ルシファー様と言えども、身内への贔屓が過ぎますぞ!」
「…ほう。彼は私の妹を対価に選んだ。悪魔は対価を払えば相応の物を払うべきだ。
それとも、ライザー。君はドラゴンが怖いのかい?」
「なっ!?」
サーゼクス様はグレモリー卿、つまりリアスの父に言った。
「父上、私はこの披露宴をより盛り上げようと、この企画を立案しました。
それは、『ドラゴンVSフェニックス』。
伝説に彩られた力と力がぶつかり合えば、これに勝る興奮は無いでしょう。」
サーゼクス様の提案に、貴族悪魔達は皆押し黙る。
「ライザー、君の炎を再び私に見せてくれるかな?」
「…いいでしょう。魔王様に其処まで頼まれたのであれば、断る訳にはいきますまい。」
ライザーは畏まった表情で頭を下げた。
「赤龍帝君、君の望みは何だい?爵位かい?それとも、絶世の美女かい?」
「リアス・グレモリー様を、返して下さい!」
「…ふむ、良いだろう。もし君が勝ったのならば、此の度の婚約は解消としよう。」
「ありがとうございます!!」
俺は感謝の言葉を述べた。
「クンッ!」
すると、サーゼクス様は指を鳴らして、俺とライザーをバトルフィールドに転移させた。
「戦いの舞台は、私が用意した。式場に影響は出ないから、思う存分に力を振るうがいい。」
***************
俺とライザーは再び対峙する。
「フン、貴様がどれ程力を付けようが、不死の力の前では無力だ!」
ライザーは俺の事を鼻で笑っている。
「…10秒だ!10秒で
俺は覚悟を決めて左の拳を握る。
「10秒だぁ!?ナメんじゃねぇよ!貴様なんぞ5秒で充分だぁ!!」
ライザーは背中から怒りの炎を滾らせる。
「部長!いや、リアス!
俺は剣術の才能もねえし、魔力の才能もねえし、治癒の力もねえ!
俺は助けて貰わねえと、生きていけねえ自信がある!」
「ハハハハ!自身の不甲斐なさを全面肯定するとは歯切れのいい男だ!
そんなプライドもクソもねえテメェが赤龍帝の器か!?
テメェに一体何が出来る!!」
「お前に勝てる!!」
その言葉と共に、俺の左腕が赤く輝く。
「リアス。俺は貴女の為なら神様だってぶっ倒して見せます!
最強の〈
「輝きやがれェ‼オーバーブーストォッ!!!」
〔Welsh Dragon over booster!!〕
その音声と共に、俺の体は赤い装甲に包まれる。
「これが"
「なっ!?赤龍帝の力を鎧として具現化しただと!?」
ライザーは驚く。
「今度こそ、10秒で決着を付けてやる!!」
俺はライザーに向かって突進する。
「フン!!元が弱いお前では、いくら力を高めようが無駄だァ!
無駄無駄無駄無駄無駄ァ!!」
ライザーが炎を纏った拳で応戦して来た!
だが、俺のパンチがライザーに押し勝った!
ドガアアン!!
「グハッ!」
吹っ飛んだライザーは壁に直撃する。
「このクソガキィ…!!
絶対に許さんぞ!!じわじわと嬲り殺してくれる!!覚悟しろォ!!」
ライザーの怒りのボルテージが更に高まり、炎の温度も更に高まった。
クソッ、まるでサウナのようだ!鎧を纏っていても蒸し暑いぜ!
〔相棒よ、フェニックスの炎はドラゴンの鱗にも火傷を負わせる。直撃だけは何としても避けろ。〕
ドライグの声が脳に伝わる。
ああ、分かったぜ。奴の炎は何としても避けきってやる!!
俺はライザーの攻撃を搔い潜り、左腕でライザーの顔面にパンチした!
「グワァァッ!!こ、この痛みは、まさかっ!!」
俺の手には、十字架のペンダントが握られていた。
「ウチの〈
聖属性に抵抗力のあるお前でも、増幅させた聖なる力は有効のようだな!」
そう、実は俺はアーシアに頼んで、十字架のペンダントと更に"ある物"も貰っているんだ。
「き、貴様、悪魔の癖に何で十字架を触れるんだ!
悪魔である以上、十字架に触る事が苦痛の筈っ、
!?ま、まさか貴様、ドラゴンに腕を払ったのか!?それなら合点が行く!」
「そうだ。俺の左腕は悪魔じゃなくて本物のドラゴンの腕だ。
効かないねぇ、ドラゴンだから!」
「ヘヘッ、バカげているな貴様はァ…。
二度と戻れない事を承知で身を
初めてだよ、俺が恐怖を感じたのは。
だからこそ俺は…完膚無きまでに貴様を燃やし尽くす!!!」
俺とライザーのパンチがぶつかり合う!!
ドガアアアアアアアアン!!!
「イッセー!!」
「お兄様!!」
外で見ていたリアスとレイヴェルが叫ぶ。
そして土煙が晴れる。
ライザーもボロボロになってきたが、俺も鎧が剝がれてきた。
クソッ、俺の力なんて所詮これっぽっちしか無えのかよ!
だが、此処まで来てすごすごと引き下がって堪るかよ!!
「残念だったなぁ…貴様の元の力が弱すぎる所為で
二度と生き返れぬよう、今度こそ灰にしてやるぞ!!!」
ライザーが俺の胸倉を掴んで拳に炎を纏わせて握る。
「死ねぇ!!!」
だが、俺にはもう一つ奥の手がある!
「火を消すなら…水だろぉ!」
俺は懐から小瓶を取り出し、中の液体をライザーの顔目掛けて振り掛けた。
シュウウウウウ
「グッ、こっ、これは……聖水か!!?」
「ああ、でもただの聖水じゃねぇぞ…
"
ド級の聖水、ド聖水だ!!」
「
〔Transfer!!!〕
ジュウウウウウウウウ
「ぐわああああああああああああああ!!」
聖属性を増幅させた聖水が、ライザーの顔面を焦がす。
顔が爛れたライザーは、聖属性の力で肉体も精神も大きく疲弊していた。
「き、貴様ッ!分かっているのか?
この婚約は悪魔の未来にとって大事なものなんだぞ!」
ライザーが弁解を求めようと御託を並べ立てる。
「ま、待てッ!お前のような小僧がどうこう出来るような問題じゃねえんだぞ!」
「ああ、貴族の
だが、お前は地位や家柄を抜きにして、リアス・グレモリーという女を本気で愛していたのか?」
「やっ、やめろ!!」
「平気で女を泣かす奴など、俺が殴る理由はそれだけで十分だァァッ!!!」
ボコオオオオッ!!
俺の渾身のパンチが、ライザーの
「こ、この俺が……やられるとは……」
ドサッ
ライザーは地面に突っ伏して倒れた。
「お、お兄様ぁぁ!!」
そこに、レイヴェルが駆け寄ってきた。
そして俺は、レイヴェルに言い放つ。
「文句があるなら俺の所に来い!何時でも相手になってやるぜ!!」
俺はレイヴェルに目もくれず踵を返した。
そのレイヴェルが頬を赤くしていた事に俺は全く気付いていなかった。
*****************
「このような勝手な振る舞いを許して下さい。」
式場に戻った俺は、騒ぎを起こしたお詫びとして、土下座で謝罪した。
「ですが、約束通り、リアス・グレモリー様を取り戻させて頂きます。」
俺は真っ直ぐな表情で力強く言い放った。
その様子にサーゼクス様も微笑みを浮かべた。
「さあ、行きましょう、リアス様。…いや、リアス。」
俺は赤面して硬直しているリアスの手を握り、式場のバルコニーに向かって歩いた。
と、その時、グレイフィアさんから渡された招待状の魔法陣が光り出し、その中から一羽の巨大な鳥が現れた。
「これは…グリフォン!」
俺とリアスは、グリフォンの背に乗って、式場を後にするのだった。
「また部室で会おうぜ!」
朱乃さん達は、そんな俺達を見守っていたのだった。
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《三人称》
多くの悪魔達が去った結婚式場。
リアスの父ジオティクス・グレモリーと、ライザーの父フェニックス卿が、バルコニーで話をしていた。
「フェニックス卿、申し訳ない。
此度の縁談は、互いの欲望が強すぎた所為でこうなってしまった。
やはり、先の戦争で地獄を見たからだろうか。」
「いえ、謝りたいのはこちらの方です、グレモリー卿。
我が息子ライザーに足りなかったのは、心の底からの"敗北"。
這い上がろう。"負けた事がある"と言うのが、何時か大きな財産になる。」
「それにしても、リアスはとんでもない拾い物をしたものだ。
二天龍の片割れである赤龍帝が、我が悪魔陣営に来るだなんて。」
「そうなると次は勿論…」
「ええ。赤と白が出会うのは、最早時間の問題でしょうなぁ。」
夜空に一筋の流れ星が通過して行った。
お待たせ致しました。ライザーとのバトルです。
見事ライザーに打ち勝ったイッセーは、リアスを奪還して見せました。
所々に他作品のネタを挟んでみましたので探してみて下さい。
さて次回は…リアスのエロ回です。お楽しみに。