崖に掘られた横穴、偶然作られただろう穴の前に女性が1人立っていた。
「…………あら?」
180cmの高身長、髪の色は明るい青と紫、瞳は血のような赤、肌の色は薄い黒。
「あらあら……」
その顔立ちは英霊のご多聞に漏れず100人いれば100人が振り向くであろう美しさ。例え4本の角と尾が生えた異形であったとしてもその美貌に翳りはない。
「…………」
彼女の名前は伊吹童子。
伊吹大明神の分霊であり偉大なる神霊の一柱。
神の一文字が示す通り神聖で強大な存在。
「んー……」
しかし彼女を見た男の脳に『神聖』なんていう高尚な言葉が浮かぶ事は無いだろう。
伊吹童子の身体付きは女性的な魅力に溢れる、神仏の神聖さや高貴さとは程遠い身体つきをしていた。率直に言ってしまえば彼女の身体は非常に肉感的で、卑猥で、いやらしい身体なのだ。
胸は顔より大きく、まるでスイカが二つ付いているようにすら見えるほど。そのくせ腰回りはキュッと締まっており、尻の大きさも相当なものだ。その尻から伸びる脚はモデルのように長く、体の半分以上が脚だと言っても過言ではない。しかも細く、棒切れのような足ではない。太ももにはたっぷりと肉がつきデカすぎる尻と一緒に雄の視線を惹きつけている。
ただ立っているだけでエロい雌。伊吹童子。
歩くだけで安産型の大きな尻はぷりぷり❤️と左右に振られ、走り出せば頭よりも大きい爆乳はぶるんっ❤️ばるんっ❤️と激しく弾む。
初心なカルデアマスターはマイルームに呼び出した時点でスッキリしてしまいズボンを濡らしてしまう程の色香を放っている。
「ん〜〜…………」
そんな繁殖欲を刺激する交尾特化の肉体を持つ彼女はその身体に相応しい、自身の肌を惜しげもなく晒すエロ衣装に身を包んでいた。
それは俗に『アメスク』と呼ばれる衣装。
毎年たった1人の男を誘惑する為に作られる
「…………どうしようかしら……」
無地のシャツはボタンを留めることなく臍上で裾を縛り止められていた。開け放たれた胸元からは乳輪が見えてしまいそうなピンク色のマイクロビキニが豪快に晒されている。
「う〜ん」
膝下ならぬ股下0cmの超超ミニスカートからはガーターベルト付きの網タイツに包まれたむちむちの太腿が伸び、その根元にはビキニと同色の極小紐パンが小さな小さな三角形を作っている。
「でも……」
ビッチ専用のチン媚び衣装。
男を喜ばす為に作られた、性処理肉便器のための衣服。
そんなド下品で浅ましいセックスアピール全振りのコスプレをこれまたドスケベでいやらしい身体を持つ伊吹童子が身に纏っている。
両手に持ったポンポンを使ってチアリーリングなどしてしまえば応援相手も対戦相手も試合どころではない。味方チームも敵チームも一致団結、一丸となって彼女に襲い掛かる事だろう。
「きになるわ〜……」
勿論、そんないやらしい格好をして伊吹童子の交尾専用ボディが反応しないはずはない。
彼女のセックス専用ドスケベボディが彼女の意識を無視して準備を整え始めてしまっていた。
具体的には薄いビキニブラはツンと立ち上がった乳首に持ち上げられ、極小サイズの紐パンは微かに濡れて布地の色を濃く色付けている。
いやらしい行為をしたわけでもいやらしい行為を妄想したわけでもない。その準備といえる衣服を着ただけで彼女自身の意識とは関係なくこのありさまなのだ。
もはや存在そのものが猥褻物、歩く肉便器とは彼女の事だろう。
「う~~ん」
そんな伊吹童子がはち切れんばかりの爆乳を揺らしながら思案していた。
その思案の内容は彼女の視線の先、崖に掘られた洞穴に由来する。
「……素材はコヤンスカヤさんに渡してあるし〜……」
素材収集の帰り道、白いスーツを色っぽく着崩した彼女が素材の運搬を買って出てくれた。
『付近の哨戒でもしていてくださいな♪』といった彼女の言葉に伊吹童子は何の疑いも持たず、急な自由時間を満喫するべく足の向くまま気の向くままに森をうろつき……
「むぅぅぅ……」
斜面にポッカリと口を開けた洞穴を見つけたのだ。
「あぁ……困ったわね〜」
言葉とは裏腹にまるで焦りのない口調。その声色には隠しきれない興味の色が滲んでいる。
未知の洞窟探検、そんな単語が伊吹童子の頭の中に浮かび上がり、存在感を発揮しているだろう事は明白だ。
「そういえばコヤンスカヤさんが『普段より素材の出が悪いですねー困りましたねー』って言ってたわね」
伊吹童子はカルデアからマスターである立香の指示で素材を集めにこの特異点に降り立った。魔物の討伐が終わり次第、帰還しなくてはいけない身。
都合良く、集めていた素材も目的とした量にたってしていないときた。
「集めた素材は……コヤンスカヤさんがもっていってくれたのよねぇ♪」
偶然、運良く、親切なコヤンスカヤが盗伐後の後処理を請け負ってくれた。だから入手した素材は既に伊吹童子の手元に無いので帰りが少し遅くなっても問題はない。
「なにか異変があったら報告しないといけないしぃ……」
むしろ普段から素材収集につかっているポイントに異変があれば事だ。
それになんとも不思議なことに普段マスターの部屋から漂っている栗の花のようなすえた臭いが洞窟から漂っている。
「んふふ♪」
(もしダーリンが気に入って使っている香の材料ここにあるならぁ……)
それの採取地を発見したならば、きっとダーリンは喜んでくれるだろう。
くまなく調査し報告しなくてはいけない。
そんなふうに思った伊吹童子はキリリと眉に力を入れ……
「さぁ〜冒険の出発よ〜♪」
それはそれとして、楽しい冒険が始まると胸を弾ませながら洞穴の中へと入っていった。
「げひ」
「はぁ……結構歩いたわね~……」
そこは奇妙な洞窟だった。
天井の高さは2m程度、道幅は5m程だろうか。ゴロゴロと岩や石が転がってはいるが地面そのものは踏み固められたように滑らかで歩きやすく、壁は自然の岩肌だが尖った箇所はなく滑らかに整えられている。
さらに洞窟内には所々に松明が設置されていた。
「う〜ん、なにもいないわね〜」
低い天井は背の高い伊吹童子に不利に働くだろう、普段の戦闘時のように3mを超す巨体に変化することもできない。
道幅はそれに比べて広いとはいっても蛇を召喚するなどの大掛かりなことができるほどの広さではない。
点々とおかれた松明は一見彼女の有利に働くように見えるが松明と松明の間は広く、間には容易く見通せない闇が広がっている。
「あら? ……また穴が空いてるわ」
そうつぶやく伊吹童子の目線の先には壁に空いた小さな横穴があった。
くりぬかれたような半円形の穴、周りの壁とは異なりザラザラゴツゴツとした壁面で這って進まねば入れないような狭さ。灯りは当然存在せず、松明を近づけても見通せない深い暗闇が広がっている。
もしこの洞窟が人為的に造られたものならばこの穴は明らかに異質だ。
作者の違う作品。恐らく穴の作者は洞窟の作者よりも手先が器用では無いのか、或いは完成品の品質にこだわりがないのか。そのどちらかだろう。
「……うーん、中に何かありそうだけど、届かないのよね」
もしこの小さい穴にその作者である生き物が住んでいるとすれば、その生き物はおそらく伊吹童子に比べてはるかに小さな体をしているだろう。
天井の低さなど気にならず、狭い道幅でも集団で獲物を囲う事ができ、松明の無い暗闇でも見通せる夜目を持っているはずだ。
「ふん、ふん、ふ〜ん……♪」
鼻歌を歌いながら歩く伊吹童子は気づいていない。
この洞窟が奇妙なまでに彼女に不利な場所であることも。
「……」
穴の中から、彼女を見つめる目の事も。