「あら? また分かれ道」
伊吹童子が洞窟に入ってどれくらいたったのか。
景色の変わらない洞窟に彼女が飽き始めたころ、幾度目かの分かれ道が現れた。
(う〜ん……何度目だったかしら……)
伊吹童子が心の中で呟く。
彼女は数えていないようだが既に10回以上は分かれ道を曲がっている。右に左に気分で曲がる方向を決める彼女は既に自分がどの程度奥地まで来たのかを全く意識していない。
曲がる度壁に印を残している事が救いだろうか。
「……もう帰ろうかしら……」
危険の無い平和な道、ただただ歩くだけの旅路。
変化に乏しい洞窟の風景に飽き冒険への熱が薄れ始めた伊吹童子がボソリと呟いたその時。
「ぎゃっ」
「……あら?」
伊吹童子の耳に何か、鳴き声のような音が飛び込んできた。
「ぐぎゃっぐぎゃっ」
「あらあら……?」
「ぼぎっほげぃ」
それは右側の道から聞こえて来る。
立ち止まり耳をすませばその鳴き声と土を踏む音がだんだんと近付いてきている事がわかった。
(この声は……)
一瞬警戒する様に身を固くする伊吹童子だったがその間に入った力もすぐに霧散する。
鳴き声のような音もだんだんと大きくなり、その音が伊吹童子にとって聞き慣れた声で警戒の必要など全くない塵芥の声だと判断できたからだ。
(なーんだ。子鬼ちゃん達じゃない)
小鬼。
腹の突き出た餓鬼と言われる種類の鬼。
カルデアでは数あるエネミーの中でも最下層に分類されている雑魚エネミー。鬼の一種ではあるがその力は雑魚の名にふさわしく、カルデアにいる英霊であれば誰であろうとも瞬殺出来る程度の相手だ。
(こっちに来るわね)
足音はどんどん大きくなる。
立ち止まった伊吹童子の耳にザリッザリッザリッという足音がはっきりと聞こえるようになり……小鬼達はその姿を見せた。
「ぎゃっ!」
「ぐひぃ」
「ぎひひ」
現れた数は3匹。
数10センチの違いはあるがどれも60cmに満たない小柄な身体。伊吹童子の股下、極小紐パンを食い込ませる股間を見上げてしまうような小さな姿だ。
「ぎぃぃぃっ!」
彼らは手に棍棒を持ち、ギラついた目で伊吹童子を凝視している。
「んふっ♪ ……退屈だったのよねぇ」
直ぐにも飛びかかってくるだろう。その様に伊吹童子は予測して拳を握りしめる。
だがその予測は外れることになった。
「…………ぎぃ」
「…………あら?」
予想に反して小鬼達はじっと伊吹童子を睨みつけるだけ、攻撃を行おうとはしてこなかったのだ。
(んー……)
「ぐぃ……」
「ぐひっ」
むしろ小鬼達は伊吹童子を警戒する様にジリジリと後ろに下がっていく。
小鬼達は伊吹童子という脅威を目の当たりにし、逃走しようとしているのだ。
(ちょ──っと困ったわね……)
そうなると困るのは彼女、伊吹童子だ。
小鬼の落とす素材は貴重ではない。だが貴重では無いからこそ必要になった時は凄まじい量を消費する。素材はいくらあっても困らない、だからさっさと殺して素材に変えておきたい。
カルデアのサーヴァントとしての判断ならそれだろう。
(無抵抗で、しかも逃げようとしている相手を殺す……)
伊吹童子は神霊としての側面以外に鬼の首魁としての側面も持ち合わせている。
小鬼達は彼女の遠い遠い、本当に遠い親族のような生き物でもあるのだ。どれだけ遠く離れた存在でも同じ種族の一員。
それを無慈悲に虐殺するには忍びない……
(私はどうでもいいんだけど……)
なんて事を思っているわけではない。
伊吹童子から見た小鬼は人間にとってのチンパンジーや猿の様な存在だ。慈悲や情を感じるほど近しい存在ではない。
(ダーリンはちょっと嫌がりそうよね……)
問題は伊吹童子のマスターである藤丸立香だ。彼は彼女の知っているより遥か未来の現代日本に産まれている。現代日本では専守防衛という思想が好まれており先制攻撃は誉められた事ではないとされているのだ。
そこに産まれて教育を受けたマスターも当然その思想に毒されているだろう。
(嫌われちゃうかしら……?)
出来ることなら素材にしておきたい。だがこちらから攻撃してマスターに嫌われてしまうのは避けたい。
(うーん……)
「ぎひ……」
こちらからは攻撃できない。
小鬼達は攻撃する気が無い。
素材は欲しい。
マスターには嫌われたく無い。
「きめたっ!」
「ぐぎっ!?」
そんな硬直状態を破ったのは力を持つ方、伊吹童子だった。
彼女は持ち前の爆乳をぶるんっと揺らすと腰に片手を当てもう片手を小鬼たちを指すように前へ突き出し……
「さぁ、かかって来なさいな♪」
挑発するように手招きをした。
反撃した結果倒したのならばマスターの不興も買わないだろう。そう思った結果の行動だった。
「……」
「どうしたの? 遠慮しないでいいのよ」
しかし小鬼達の反応は伊吹童子が想定した反応とは異なるものだった。
小鬼たちは何かに驚くように目を見開き、口をポカリと空けて呆然としている。手に持った粗末な棍棒を取り落とす者さえ居た。
「ん──……これだと分からないのかしら……」
伊吹童子は理性も知性も無い小鬼達が怒りを露わにし襲いかかって来るはずだと確信していた。しかし襲ってこない。
(小鬼だものね……もっと分かりやすく挑発してみましょう)
伊吹童子は自分の爆乳に突き刺さる小鬼達の視線に気づかず、よりわかりやすく煽る事にした。
「ほぉ〜ら、かかってこないの〜? 早くおいで〜♪ お尻ぺんぺん♪」
ぷるんっバルンッと爆乳を踊らせながら伊吹童子は小鬼達に尻を向け自身の巨尻を片手でペチペチと叩き左右に振る。
「っぎゃっ!」
「ぐひぃっ」
確かに子供が子供相手にする分には挑発になるかもしれない。
しかしそれを成人女性、それも存在そのものが雄に媚びている絶世の美女がやればどうなるか。
「ほらほら、どうしたの」
小鬼達が打たれる度に波打つ生尻を見やすいよう股を開き中腰になる様はまさに発情期の雌犬のようだった。
「んっ❤もう、来ないのならこっちから行くわよ?」
伊吹童子は腰をくねらせ尻を振り、誘惑するような動きを繰り返す。それは松明の揺らめく炎に照らされ妖艶に揺れ動く。
細い紐でしかないパンツの小さな三角形からはもはや抑えきれないのか太ももを伝う程蜜がこぼれ、地面に染みを作っている。
その姿はまるで男根を求める娼婦の様だった。
「ぎゃっ! ぎぃっ!」
「ぐげっ」
男に媚び、その精を求める為だけの浅ましく淫猥なダンス。
それを伊吹童子は全くの無自覚で行なっている。
「こんなに馬鹿にされてっ……我慢っできるのっ? 小さいとはいえっ鬼なんでしょ」
そもそも彼女は目の前にいる小鬼が雄だという認識すらないのだろう。
何故ならば伊吹童子にとって小鬼は取るに足らない存在だからだ。
例えば人間が動物園の猿を見てその猿の性別を真剣に考えることが有るだろうか?
猿が女性に襲いかかったとして、その目的がレイプであると判断するだろうか?
猿を雄として意識する、なんて事があるだろうか?
吹けば飛ぶような雑魚。伊吹童子が本気で相手をすれば5匹いようが10匹いようが関係無い。生殺与奪を好きに操れる弱者。そんな下等生物が伊吹童子にとっての小鬼なのだ。
「もうっお尻っ真っ赤になっちゃうっ❤」
たとえ伊吹童子が雑魚の前で尻に走る痛みから無自覚に快感を得ている変態だったとしても、
伊吹童子にとって彼ら小鬼は、雄として意識するほど高い位置にいない。
「ほらほら、掛かってこないの? 帰っちゃうわよ〜」
だから彼女は何の気なしに自身の尻タブを掴み左右に広げ後ろ向いた。
さらに自身の尻を左右に振りたくる。
小鬼達の様子が変わった事に気づくことなく。
「……ぐぎゃ」
「ぐぎゃぎゃ」
「ぐひっぐひっ」
例え伊吹童子にその気はなくとも、彼女は男を誘惑し狂わせる魔性の肉体を持っている。
そんな彼女が見せつけるように尻を向け、頭より大きい爆乳を揺らしながら巨大な臀部を左右に振る姿を見せつけられて我慢できる雄がいるだろうか。
(んー……かかって来ないわね……結局逃げちゃったのかし……っ!)
伊吹童子が彼等、小鬼達の変化に気付いたのはそんな思考と共に首だけ回して後ろを振り返った時だった。
「……え?」
伊吹童子の視界の中、小鬼達の薄汚れた腰蓑。その中から一本の剛直、男性器がむくむくと膨らみ姿を現した。
赤黒く脈打ち、血管を浮き上がらせる子供の腕ほどある醜悪な肉棒。ズル剥けでカリにタップリの恥垢を備えたそれがビクビクと震えながら目の前の雌。伊吹童子に先端を向けて先走りを滲ませていた。
(……は?)
それは当然の結果だ。
人並外れたいやらしい身体を持つ美女が目の前で爆乳を揺らしサイズの合わないビキニパンツから溢れた生尻を振って誘惑しているのだ。
性欲の塊である小鬼が我慢できるはずもない。
「……ひっ」
意外なのは伊吹童子の反応だろう。
彼らの欲望の発露を見て彼女の中に湧き上がったのは恐怖だった。
体格に対して立派すぎる小鬼達の象徴。ビクビクと脈打ちダラダラと涎を垂らす肉棒を見て、ようやく目の前の生き物が何なのか理解したのだ。
(あ…………ぁぁ……)
これは雄だ。
自分の知っている可愛らしい男の子ではない。山ほどの美女が迫っても手を出せない偽物の雄なんかでは断じてない。
本物の雄だ。
(……あっ……)
そしてこの雄は自分に欲望をぶつけようとしている。
あの汚らしい、恥垢塗れのモノを、己の秘所にねじ込もうとしているのだ。神霊故に経験もなく、いやらしい目を向けられた事もない、召喚された際に知識だけを渡された自分の純潔を、奪おうとしている。
(……ぉぉ……)
伊吹童子の視線を受け更に大きく、硬く育っている小鬼の逸物。その所有者である小鬼に、ただの雑魚エネミーである筈の小鬼に。
(……)
犯され、孕まされ、飼われる。
「……んっ❤️」
薄暗い洞窟の中で粗末な縄に繋がれて腹を膨らました自分。食事は口に出された小鬼の精液。水分補給は小鬼達の小便。左の尻たぶにはひり出した小鬼の数が刻まれ臍の下には所有物である事を示す紋が刻まれる。
(前の穴も……後ろの穴も……口も、胸も、手も、小鬼達のデカ魔羅で……❤️)
身体中精液塗れになりながら気絶という名の睡眠をとり女性器を穿られる快感で目を覚ます日々。
小鬼を背に乗せ広間に行けばスカサハにアルトリア、三蔵法師、源頼光、宮本武蔵、BB、カルデアに居るはずの美女達が尻を突き出し一列に並ばされている。顔を蕩けさせ熱っぽく小鬼を見る者、悔しそうに顔を歪ませ小鬼を睨みつける者、顔を伏せ絶頂の衝撃にガクガクと膝を震わせる者。
全員が全員、自分のように腹を膨らませ、股の間からまるで固形物の様な小鬼の精液を漏らしていた。
ゴクリっ
「っ!」
そんな淫乱極まりない妄想に浸っていた伊吹童子の意識を引き戻したのは自分の喉が鳴る音だった。その音を自覚して初めて、伊吹童子は自分の秘所が濡れている事に気付く。
(……ぇ? なん……で)
小鬼の剛直を見て、伊吹童子は確かに恐怖を感じたはずだ。
その筈だがいつの間にか小鬼の肉棒に視線が釘付けになっていた。
あれが自分の膣内に入る。あんな太い物がお腹の中に入れば自分はどうなるのか。
想像するだけで子宮の奥がきゅんっと疼いた。
「はぁ❤️……ふぅー……❤️」
自然と息が荒くなる。
「ぐぎゃぎゃぎゃ」
そんな伊吹童子の様子に興奮したのか、それとも単に我慢が出来なくなったのか、一匹の小鬼が彼女に向かって駆け出した。
(ひっ!)
「こ、このっ!」
小鬼の勢いに怯み、慌てながらも伊吹童子は迎撃に移る。
拳を振りあげ、天井にぶつけながらも小鬼に向かって振り下ろした。
「ぎぃっ!」
勢いの削がれた打ち下ろしの拳が小鬼の低い鼻に直撃した。鼻骨が折れただけとは到底思えないメキィっという豪快な音をたてて小鬼が床に叩きつけられる。
「ぎっ……ぃ……」
その破壊的な音の結果は凡そ想像できる通りの結果をもたらした。
拳の直撃を受けた小鬼はビクビクと痙攣し、床に転がっている。
(いけるっ大丈夫っ!)
一撃だ。やはり伊吹童子にとって小鬼は一撃で倒せる存在、雑魚でしかない。
しかし一撃で殺された同族を前にしても小鬼達は全く怯まず次から次に襲いかかってくる。
「えいっ!」
伊吹童子は迫る小鬼達を一匹ずつ殴り飛ばしていく。
「やぁっ!」
一発殴られれば死ぬ。
ならば数に任せて押し潰せばいい。
「ああもうっ!」
たった三匹だった筈の小鬼達はどこからともなく次々と現れて彼女に群がっていく。それはさながら地面に落ちた飴に群がる蟻の様で勢いは全く衰えない。いずれは伊吹童子の対処が間に合わなくなることを予感させた。
タイミングを見計らい一度退却し、洞窟の外に出なければ鳥肌ものの未来予想図、妄想が現実になる事は明白だろう。
「くっ!」
伊吹童子もそれはわかっている。雑魚エネミーである小鬼に背を向け敗走する事は屈辱だがそんなことは言える状況ではない。鬼の首魁でもある自分が雑魚中の雑魚である小鬼の苗床なんて想像しただけで……ゾクゾクと背筋に寒気が走る。
「っ❤️……ああああっ!!!」
気合を入れるように声を張り上げ、伊吹童子は拳を振りかぶった。