ちょっとダーク寄りなエロシチュをなぞりつつ、例によってオールハッピーエンドを目指しました
どんなお話になったか、どうぞご覧ください!
「ほら……もっと裾を上げて? そのエプロンの下には何着てるのかな~? こ・こ・ろ、ちゃん♪」
幼い少女の目の前の男はニヤニヤと底意地の悪い笑みを浮かべ、一方的に押し付けられた名前で呼びつつピンクのレース付きエプロンの裾を凝視する。布一枚を隔てた向こうにある頼りない下着を見透かすように。
飽きるほど見てきたはずの自分の顔でこんな表情を作れるのかと、もはや驚きすら覚えてしまう。少女こと
「
汚い言葉を知らずに育った設定のこの身体に許されたあどけない語彙の中で可能な限りの罵倒を叩きつける。
「あれあれ? そんなこと言っちゃっていいのかな? こころちゃんは毎日僕の体液を摂取しないとランプの外に出られないえっちな妖精さんなんだよね? ツンデレなこころちゃんも可愛いけど、ちゃんとご主人様の言うこと聞いとかないと困るのは自分じゃないかな?」
「くっ……」
屈辱に歯噛みしつつ、自らの手でエプロンの裾をたくし上げる。身体にぴったり密着し、今の自分が小学生の少女になっていることを嫌というほど肌で感じさせる紺色の水着が少しずつ露になっていく。スク水エプロンなるマニアックな衣装で見世物にされている恥辱に卒倒しそうになる。
「いや~ん! 私の嫁、可愛すぎかよ~~~~~! 女の子に嫌な顔しながらおパンツ見せてほしい気持ち、超わかっちゃう~~~~~!」
ぐねぐねと身悶えしつつ、ズボンのチャックを下ろして一物を解放する男。ぼろん、と音を立てるように半勃ちのそれが勢いよく顔を出す。
「きゃぁっ!? なななななっ何してるんですか!」
反射的に小さくなった手で目を覆う。顔が瞬間的に熱くなり、手の平が火傷するかと錯覚する。
「ベタな反応も可愛い~。でもコレ、こころちゃんの身体についてたモノなんだよ? そんなに恥ずかしがっちゃって……頭の中までちっちゃい初心な女の子になっちゃった?」
「そ、そんなわけない――っ!」
抗議の声を遮るように肩に力を掛けられ、膝立ちになったところで完全に勃ちきった男根を目の前に突きつけられる。生臭ささに顔を背けそうになるが、別の生き物のようにプルプルと震えるソレから目を離すことができない。
――もっとよく見てみたい。触れてみたい。
心音と共に、嫌悪感の中から好奇心がムクムクと持ち上がってくる。それに気づき、慌ててぶんぶんと首を振って雑念を振り払おうとする。
「ほら、我慢しなくていいんだよ。旦那さんのおちんちんを気持ちよくしてあげるのはお嫁さんのお仕事だからね。ほら、こころちゃんが大好きな僕のおちんちん、触ってごらん?」
甘く蕩けるような囁き。優しく頭を撫でる手。
カチリと何かのスイッチが心の中で入るような感覚。
気付けば手が勝手に動いていた。最初は恐る恐る、徐々に根元から扱くように。時には亀頭へと的確に刺激を加え、やがて口も使い、男の象徴を慰めていく。
「あぁっ……! いい! こころちゃん、すごく上手だよ!」
テクニックを褒められたことで気分が高揚し、ご奉仕にも熱が入る。小さく柔らかくなった手や口を使い、どんどん責めていく。それに応じて肉棒は面白いように大きく固くなる。
「あっ! 出る! こころちゃん! 受け止めて!」
大志の声を聞き、待ってましたとばかりに発射口に吸いつく。
「うっ! 出たっ! 受け取って!」
口の中で肉棒が膨らんだかと思うと、どろどろとした生暖かい液体が喉の奥へと注ぎ込まれる。それを一滴残らず飲み干そうとするが、予想以上の量と勢いに口からいくらか零れ落ちる。
「ふぅ……気持ちよかったよ」
「えへへ……」
口に残った精液を見せ、味わうようにごくりと嚥下する。生臭く、喉に引っかかる感覚が癖になりそうだ。再び頭を撫でられ、とろんと目を細める。
「すっかり旦那さんにご奉仕して悦ぶお嫁さんの顔だったよ。幼妻が板についてきたみたいだね。こころちゃん――いや、大志クン♪」
「あ――――」
その瞬間、すっと血の気が引いていき、自分が何をしていたのかを自覚する。膝から崩れ落ち、胃に入ったものを吐き出そうと咳き込む。
しかしそれに反して、根源的な生命力が満たされるような感覚。それによって、淫乱な生態のふざけた人間へと存在を書き換えられたことを自覚させられ、肉体に反して精神はダメージを受ける。
「あ~。ごめんごめん。ちょっと刺激が強すぎたかな? 晩ごはんは後は盛り付けだけだよね? しばらく休んどいていいよ。家事は互いに助け合うのが夫婦円満の秘訣だからね」
白々しく「妻」を気遣い、戸棚の成人男性用エプロンを取り出す男。このマンションの一室の主、福留大志として自然な振る舞い。
こころは、鼻歌交じりに作りかけだった夕食の続きを作る大志から逃げるようによろよろと洗面台へと歩いていく。
鏡に映るのは、あどけない顔に白濁液をつけた小学校六年生の女児。身長150センチ足らず、パステルカラーのヘアピンのついたショートボブの髪。睫毛の長いぱっちりとした目。
そのどれもが、元の自分とは似ても似つかない。
どうしてこうなった。
水で濡らした顔をタオルで怒りに任せてごしごしと――拭こうとしたところで敏感な餅肌が痛みを訴えそっと――拭きつつ、悪夢の始まりである数日前を思い返すのだった。
早く帰って夕食を作りたいところであったが、その光から不思議と目が離せない。
拾い上げると、それはまるで外国のお伽噺に出てくる魔法のランプだった。表面には何か文字が彫られている。
「うわっ!?」
びっしりと彫られた文字に一瞬跳ね上がりつつも、まじまじとそれを眺める。
「汝の願いを唱えよ」
どうやら、日本語を含めたあらゆる言語でそう書かれているらしい。
願い。大志にとってそれは、コンプレックスともいえる単語の一つだった。
福留大志。おめでたい苗字に夢に溢れた名前。しかし彼は、それに見合った人柄を持ち合わせることができなかった。
小さい頃からとりたてて熱中することも見つからず、自分の意思で大きな目標を立てようと思ったこともない。全てにおいてただ淡々と、必要に応じた最低限の努力をこなし、周囲から咎められない程度の結果を残す。学生時代から社会人になった今に至るまで、その繰り返しだ。
そういった生き方に劣等感を抱いているわけではない。しかし、客観的に見て無個性でつまらない人間だなとは思う。
「あなたといても面白くない。全部適当なんだもん。何かやりたいこととかないの?」
数か月だけ付き合った元彼女の言葉がフラッシュバックする。
大志はため息とともにランプをウェットティッシュで拭いた後、通勤鞄でさりげなく隠しつつ持ち帰るのだった。
夕食を終え、布巾で拭いたテーブルに例のランプを置く。「願いを唱えよ」とのことだが、やはり声に出す必要があるのだろうか。
気後れする感情を紛らわすように、原典に従って指で擦ってみる。どれだけ野晒しにされていたかは分からないが、思いのほかいい音が鳴る。すると、再びうっすらと淡い光を放ち始めた。特にイルミネーションが仕込まれている様子もない。信じていたわけではないが、まさか本物なのだろうか。
とはいえ。
自分にも願いくらいある、と半ば自分自身への売り言葉に買い言葉のような心境になってはみたものの、願いなるものが本当に思い浮かばない。何かないものかと考える大志。すると、先程の電車内での光景が思い浮かぶ。
「……結婚、したい」
誰も聞いていないのに周りを気にしつつ、絞り出すように口に出す。すると、ランプの光が少し強くなった。まだあるだろう。お前の欲望を曝け出せ。そう言っているように見えてくる。
「優しくて健気で家庭的で、たまに愛情表現が大胆で、浮気とは無縁の一途な性格で、容姿はちょっと幼めで……」
大志は、ふと脳裏に浮かんだ理想の嫁像をつらつらと述べる。彼としても本気ではなかった。しかし、気づけばランプに魅入られるように、自分でもどこか非現実的と思っている人物像を口に出していく。
「へぇ~。いいじゃんいいじゃん。まさかロリ嫁が出てくるとは思わなかったけど、お兄さんもなかなかイイ趣味してるね~」
「うわっ!?」
おもむろにランプの中からくぐもった声が聞こえてきた。若い女性の、軽い調子の声。急にランプの中から声が聞こえてきたこと、それがイメージしていた重厚な壮年男性ボイスなどではなく女性の声だったことに二重で驚く大志。
「だ、け、ど~。ダメだよ~? その気もないのに軽い気持ちで願いを語っちゃ~。ま、私はそんな人を待ってたんだけどね」
ランプの中から白い霧が吹き出す。その霧はそのまま大志の口に入り込んでいく。
呼吸はできる。しかし、白い霧を吸いうたびに自らの意識に何者かが侵入してくるような奇妙な感覚。
「願いを叶えるなら相応の意志が必要。それを持つ者の手助けをするのが私の役目なんだけど、持たざる者は願いに呑まれる……」
自身の脳内に直接響く少女の声。身体の自由が徐々に奪われていき、自分がどんな体勢をとっているのかも曖昧になっていく。
やがて意識は白い闇に飲み込まれていった。
意識を取り戻した大志は、自身の無事を確かめようとした。
しかし、五感ははっきりありながら、身体を動かすことができない。まるで、自身がより大きな存在に上から押さえつけられ、自由を奪われているような感覚。あるいは、ゲームのコントローラーが急に操作を受け付けなくなった感覚。
そこで急に身体が動き出した。手を何度か握ったり開いたりした後、顔、胸板、二の腕と確かめるように触る。一瞬の躊躇の後、股間の一物をズボン越しに撫で「きゃっ」と短い悲鳴。
そのすべてが、大志の意思に反しての動き。精神と肉体のリンクが何者かに上書きされたかのようだ。
そのまま大志の身体はとたとたと軽やかなステップで洗面台へと向かう。鏡の前に立ち、徐々にウキウキした笑顔になり、両手でガッツポーズを作り天に突き上げる。
「いやっったーー! やっと解放されたーー! ランプの妖精生活しゅうりょーー! しかも男のカラダ……実は結構興味あったんだよねー」
どういうことだ。
うっとりとした表情で自身を抱きしめる鏡の中の自分に寒気がしつつ、声なき声で問いかける大志。それに反応してか、ランプの妖精は鏡に向かって話す形で応える。
「さっき言った気がするけど、軽い気持ちで願いを唱えた人はあの「願いを叶えるランプ」の妖精に逆に身体を乗っ取られちゃうんだよねー。ってかお兄さん、くたびれた顔してると思ってたけど明るい表情してたら意外とカワイイ系男子に見えるじゃん! あ、もしかして私が入ってるからかな? きゃはっ♪」
大志への疑問への返答もそこそこに、キャピキャピした表情を作って遊ぶランプの妖精。自分では絶対にしない振る舞いをする自分の身体を見せつけられ、気味の悪さを感じる。
「さてさて、ランプの妖精に身体を乗っ取られた人はそのまま次のランプの妖精にされちゃうんだけどー……お兄さんにはこの身体をくれた恩もあるし、まぁ悪いようにはしないよ♪」
ウインクとともに指を鳴らす自分の身体。悪い予感しかしない。
「というわけで……おっ。お宝はっけーん。これってもしかして……はは~ん。なるほど~。お兄さんやっぱり実はこういう娘が好きなんだ~。いや、いいと思うよ~」
ランプの妖精が手に取ったのは、本棚の空きスペースに置かれていたフィギュア。
大志は学生時代から嗜む程度に深夜アニメを見ている。数年前、異世界出身の魔法少女が成人男性と同居するハートフルな日常を描いたアニメ「おさなづまハート」が不思議と気に入り、ゲームセンターで運よく手に入れたメインヒロイン「リリカ・ハートピース」のフィギュアはブームが過ぎた今でも部屋に置いている。先程述べた理想の嫁像は他でもない、このキャラクターを無意識のうちにイメージしたものだった。
女性と思しき者に自分の美少女フィギュアをまじまじと見つめられ、羞恥心が掻き立てられる大志。
「そんなに恥ずかしがらなくてもいいよ~。私も可愛い女の子は大好きだし。よし! じゃあこのリリカちゃんで……あ、パンツとかもしっかり作ってる。んっ……なんだか早速興奮してきちゃった……」
おもむろにズボンを脱ぎ一物を曝け出す。血が一か所に集中し、熱を帯びてそそり立っていくお馴染みの感覚を強制的に体感させられる。
「うわ~。男の人のおちんちんが私についてる……やっば、他人の身体を支配してると思うとゾクゾクしてきた……あはっ。勃つってこんな感覚なんだ……。もう我慢できない! もう始めちゃおっ~と!」
ランプの妖精は人差し指をフィギュアの中に挿れると、パンツをなぞるように爪で掻く。指には塩化ビニルの感触しかしないが何を……と大志が思っていたところに、その動きに同期するように亀頭を刺激される感覚。
ピリピリとした刺激に吐息交じりの声が大志の身体から漏れる。
「あっ! これイイっ! お兄さんも感じてるんでしょ?」
その言葉通り、急に敏感なところを責められ、実体のない身体で腰砕けになる。
「あはっ。お兄さんもリリカちゃんと一緒に感じさせてあげるね。それっ。それっ」
身体は動かせないまま感覚のみを共有しているせいか、普段と違った責めのせいか、通常以上の快楽がダイレクトに伝わってくる。異常事態にもかかわらず、普段の自慰とは比べ物にならない快感を叩き込まれる大志。思わず抵抗の意思も忘れ快楽に身を委ねかけてしまう。
「ねぇねぇ。こういう風に悪い奴に身体を乗っ取られて勝手にえっちなことされるのって特殊せーへき? のマンガだとよく女の子の方がされるやつだよね。女の子みたいに辱められてどんな気分?」
ランプの妖精は大志を憑依され一方的に嬲られる少女に見立てたことで更なる責めを思いつく。
空いた指を器用に使い、フィギュアの胸のあたりをカリカリと掻くランプの妖精。
「ほらほら~。お兄さんもこんな風に女の子みたいに乳首責めされてるとこ想像してみて~」
視覚のみですら自らの乳首も責められているような感覚が伝わってくるよう刷り込まれ、更なる快感に悶える大志。やがて男根にエネルギーが爆発しそうになるのを朦朧とした意識で感じる。
「はあっ。はあっ。もう出る……。手止められない……でもそろそろ……っ~~~~~~!」
手に持っていたフィギュアをランプに入れたと同時に、勢いよく射精するランプの妖精。大志にも頭を殴られたかのような衝撃があった後、男根はフィギュアに向かって普段以上の白濁液を吹き出す。それはまるで、福留大志としての魂ごと絞り出すような量だ。
フィギュアの入ったランプの中に精液が満たされていく。それが大志が自らの身体で見た最後の光景だった。視界が徐々に暗くなり、長いトンネルを通っていくかのような感覚。やがて光を浴びた時、目の前にあったのは等身大の少女のフィギュア。
急に大海に放り出されたようで身体が安定しない。どうにかフィギュアに手を伸ばし、全身を絡ませるようにしがみつき難を逃れる。そのままフィギュアを身体に飲み込んでいくかのような感触があったところで、金属容器の蓋を閉めるような音とともに突然訪れる暗闇。
「人格排泄、いや人格射精からのスライム化ってやつ? 詳しくは知らないけど、これまたマニアックなやつだよね~。じゃ、ランプの妖精の先輩としてこのランプの使い方を教えてあげるね……」
ランプの妖精は揺れが止まったランプをテーブルの中央に置き、指で擦る。それに応じてランプが再び淡く光る。
「私……いや僕、福留大志はとびっきり可愛い理想の嫁を所望する! リリカ・ハートピースちゃんみたいな美少女幼妻よ顕現せよ!」
ランプの妖精、否、大志は隣の部屋に響かんばかりの大声で叫ぶ。ランプは先程より激しい光を放ち、中に入ったフィギュアと大志の精液を掻き混ぜるようにゴトゴトと大きく揺れる。そして蓋が外れ、白い霧が部屋中に広がったかと思うと、やがて徐々に人の形をとり、人肌の色をつけ、人体の硬さ柔らかさを構成していく。
「んぅ……僕はいったい……?」
霧が完全に晴れた時、一人の少女が全裸で胡坐をかき、小さな手で目をこすっていた。
「――っとまぁ心からの欲望全開で叫んでみたわけだけど……ってやったーー! できたーー! マジでリアルリリカちゃんじゃーん!」
「ってお前! 僕の身体を返せ! ……ってあれ? 何だこの声。それに部屋がなんだか大きく……」
「さぁさぁ。可愛くなった姿をどうぞご覧あれ~」
状況が飲み込めないまま大志に立たされ、鏡の前へと連れていかれる少女。
「え……なんだこれ……?」
少女――福留大志の人格を取り込んだリリカのフィギュア――は、大志の願いに反応したランプによってハートピースを現実にいればこうなるだろうという人間の少女となっていた。
つい数時間前まで成人男性だった少女は、大きな目を見開き、華奢な身体をぺたぺたと触る。細い喉から漏れる声は甘く甲高いソプラノボイス。薄ピンク色の乳首の胸を始め身体全体が二次性徴に入りたての微かな丸みを帯びた女児体型。股間には毛のない割れ目が一筋存在するのみだった。
「今日からこれがお兄さんの新しい身体だよ。たっぷり可愛がってあげるからね。あ、これ着といて。女の子の身体は冷えやすいから大事にしないとねー」
タンスに入っていた無地の黒Tシャツを有無を言わさず上からすっぽり被らされる。鏡の前には、ぶかぶかのTシャツ一枚を着た少女が茫然と立ち尽くしていた。
「さてさて、長年ランプの妖精として他人の願いを叶えさせられてきた私はまだまだパワーが有り余っているのです! がんがん僕好みの美少女嫁の設定をつけちゃいましょー! じゃあ……僕のお嫁さんの名前は……大志の“志”からとって「福留こころ」ちゃん! 近所の小学校に通う学校一の美少女で~、僕のことが大好きなラブラブお嫁さんで~、毎日えっちなご奉仕してくれて~、しゃべり方も育ちのいい純真無垢な女の子って感じで~、それからそれから~……」
「あ……あっ……」
大志が軽い調子で「福留こころ」の設定を決めていくたびに、己が立っている足場の根底から崩され組み替えられていく感覚。自分の存在が芯から揺さぶられるようで、サラサラした栗色の髪の生えた頭を押さえる。
「ふぅ~。ざっとこんなもんかな。許容範囲をオーバーした分は微調整が加わった感じだけど……あ~法律上まだ結婚できないし小学校にも通わなきゃだから許嫁ってことになってるんだね。なんかえっちじゃん……おっ、それにランプの妖精要素も完全には消えてないから「福留大志の体液を一日一回摂取しないとランプに戻らないといけない」だって……! うわぁ~、それこそえっちな漫画みたいじゃん!」
大志は頭に流れ込んでくる改変した設定を一通り確認すると、満足げな表情を浮かべる。
「こんなことをして……どうするつもりなんですかっ!」
涙腺が弱くなった身体で涙目になりつつ、矯正された口調で抗議するこころ。現実改変により、先程着ていたTシャツもいつの間にか女児服仕様の黒ワンピースに変化している。
「どうって……せっかく「願いを叶えるランプ」の力が使えるんだから、使わない手はないよね。いやぁ、僕の願った通りのお嫁さんがもらえて嬉しいよ」
快活に笑う元ランプの妖精である大志。かつての自分らしからぬ爽やかな笑顔と目が合うと、心臓がドキッと跳ね、ぽっと顔が赤く染まるこころ。その姿は、憧れのお兄さんに幼い恋心を寄せる少女、あるいは新婚ほやほやの新妻そのものにしか見えない。
そして、己の存在ごと改変された上に思考もそれに引っ張られていることを自覚し、戦慄してさっと顔から血の気が引く。
「というわけで、これからよろしくね。僕のお嫁さんのこころちゃん♪」
赤いランドセルを背負い、どんよりとした表情で小学校に登校する福留大志改め福留こころ。
朝から普段より多い二人分の朝食を作らされるのはまだいいとして、大志に「夫婦なんだから今更恥ずかしがることないよね」と二人一緒の着替えを強要されては幼い少女となった己の身体をじっとり視姦され、体液接種の件から拒否できないことをいいことに「行ってきますのちゅー」としてたっぷり舌と舌を絡ませる濃厚なキスを味わわされ……自分自身の許嫁の女子小学生としてハードな一日の始まりだった。
「あっ、こころちゃん。おはよ~」
「えっ? あ、うん。おはよう……」
こころは一瞬自分が呼ばれていることに気づかず反応が遅れた後、曖昧な挨拶を返す。
挨拶してきたおっとりした雰囲気の少女の顔と名札を見て――もちろん大志としては心当たりが一切ないのだが――こころとしての親友である
「あれ? こころちゃん今日はなんか元気ない? 大志さんと夫婦ゲンカ?」
「えっ!? ううん。何でもないよ! 大丈夫だいじょうぶ……」
まさか朝から卑猥な行為を強要されているとは現役女子小学生には言えるはずもなく、慌てて誤魔化すこころ。
「よかった~。大志さん、すっごく優しそうな旦那さんだもんね~。わたしも素敵な男の人の許嫁になってみたいなぁ……」
「え~っと、美来も可愛いから絶対いつかいい人に出会えると思うよ……」
恋に恋する乙女の表情で空を見上げる美来に、こころは当たり障りのない言葉をかけておく。
その後、どうにかこころとしての記憶から学校生活をどうにかやり過ごし、意に反して女子小学生として自然な振る舞いができてしまう自分に悶々としたりしつつも情報を集める。
どうやら許嫁なる時代錯誤な立場、それも女子小学生が成人男性と同居するという危険な状況は、現実改変によって周囲からは自然と受け入れられているらしい。むしろ教師からは「大人としての家庭生活を小さなうちから学んでいる自立した児童」として関心されたりしている。どこまでも自分に都合のいい世界にしやがってと心の中で大志に毒づくこころ。
午後4時過ぎ。どうにか学校生活を終えたこころは、友達の遊びの誘いを良心が咎めつつも振り切り自宅へと辿り着く。
学校から帰ったら洗濯物を取り込み夕食を作っておくよう大志から言いつけられている。下手に逆らえば何をされるか分かったものじゃない。
「ふぅ……」
小さくなった身体で二人分の洗濯物を取り込み終わり、一息つくこころ。
そこで、先程からどこからか変わった匂いがすることに気づく。甘い果実のような香ばしい匂い。その正体を探るため、あるいはそれに誘われ、洗濯物を搔き分ける。
こころが手に取ったのは、大志のシャツやパンツだった。今まで身につけていた衣類からどういうわけか甘ったるい香りが漂ってくる。
さてはこれも大志の仕業か。香水か何かを勝手に振りかけたに違いない。もっとよく嗅いで確かめなければ。
何かに突き動かされるように大志のトランクスを手に取り、顔に近づけるこころ。鼻に押し当て、思い切り息を吸い込む。むわっとした男の匂いに頭がくらくらし、頬が緩む。
こころにとってそれは、愛しい人の残り香。
更なる匂いを求めて、大志のシャツを手に取り上から羽織る。大志に抱きしめられているかのような安心感に全身が蕩ける。
「んっ……大志さん……ダメです……っ」
気づけば手が勝手に股間を弄っていた。細い指で割れ目の中をゆっくりと、彼のねっとりした責めを思い返しながら掻き混ぜる。
まだ女性としては未成熟な身体ながらもしっかり快楽を感じているようで、じんわりと湿り気を帯びてくる。くちゅくちゅと淫らな音を立てるのに呼応して身体が火照ってくる。
こころは更なる刺激を求めて、より奥へと指を進める。
「んあっ!?」
不用意に入れた指がクリトリスに触れたようで、電流にも似た鋭い刺激が全身を駆け巡る。
「こ、これが……」
男の頃にはなかった快感。幼い少女が深く知る由もない性戯。これ以上先に進むと不味い気がする。大志に見つかったら何と言われるかわかったものではない。
だが、この身体の火照りを我慢することなど簡単にはできない。最後までヤって鎮めなければ。
そう自分に言い訳し、行為の続行を決める。恐る恐る、今度は二本の指を挿れる。
「ひゃぅ!? これっ! イイ! んあっ! もっと、もっと……!」
色気を帯びた吐息が荒くなっていく。更なる快楽を求め、空いた左手でいつの間にかピンと勃っていた乳首をトントンと叩く。それによってより快感は増幅され、横になってのたうちまわる。
こころは無我夢中で股を、胸を責める。
「はぁっ! しゅごい! 気持ち……イイよぉ……! あっ。イく……イっちゃう……!」
やがて頭の中が明滅し、フィニッシュが近いことを感じる。
最後の一押しにと、クリトリスを指で摘み上げる。
「ああっ! んあぁぁぁぁぁ~~~~!」
頭の中で電気が弾け、快感の波として全身に広がっていく。そのまま吹き飛ばされるように仰向けに寝転び、駆け巡る快感に身を任せる。
「あぁ……イちゃった……」
だが、心地よさの余韻が簡単には引いてくれないようだ。小さな身体の体力を使い切った気怠さも相まって、動くことができない。
「……大志さんのせいですよ……」
これもすべて、大志が仕掛けた罠だ。そういうことにして、大志のシャツに包まって眠りに落ちるこころ。
「たっだいまー! こころちゃん帰って……ってあれ?」
こころが目を覚ましたのは、大志が帰宅したその時だった。証拠隠滅も間に合わず、大志の衣類に包まれ片手はショーツに突っ込んだ状態のこころ。
「うわあああああぁ! 見ないでください!」
「ふ~ん。へぇ~」
こころの慌てっぷりに全てを察する大志。ニヤニヤとした笑みを浮かべながら顔を寄せる。
「こころちゃん。女の子のえっち、気持ちよかったでしょ~。しかも僕をオカズに使ってくれたみたいで嬉しいなぁ~」
「な、なんのことですか!?」
「うんうん。男の子が急に女の子になったらそりゃ家事を忘れてえっちに夢中になっちゃうのも仕方ないよね。じゃあ……」
ごくりと生唾を飲み込むこころ。一体何をされるというのか。
「洗濯物は二人で一緒にさっさと畳んで、晩ごはんは外食にしよっか。どこがいい? お子様ランチがあるファミレス?」
「あ……その辺は良い旦那さんするんですね……」
「可愛いお嫁さんは大事にしないとね♪ さ、帰ってきたら昨日のゲームの続きしよー!」
こころが大志の許嫁として生活するようになってしばらく経った。
相変わらず大志にソフトな性行為を強要されたり羞恥責めされたりしているこころは、元に戻る手段を探っているが、小学生にして人妻という生活の中ではなかなか手掛かりは掴めずにいた。ランプも大志がこころの手の届かない場所に保管しているようで、一度も見つかっていない。
そんなわけで、今日もこころは女子小学生として小学校の授業を受けていた。
「わぁ~。こころちゃん包丁すっごい上手~」
洗った人参を手際よく切るこころに、美来は賞賛の眼差しを送る。
今日は家庭科の調理実習。各班、味噌汁を作ることになっている。
「そ、そうかな……」
「うんうん! なんかもうお料理慣れしてるって感じ……って、あ、そうか。こころちゃんは毎日お料理してるんだよね」
許嫁の立場に押し込められる以前、福留大志だった頃からずっと一人暮らしで一通りの家事はこなしてきたこころにとっては、小学生レベルの料理などそれこそ朝飯前だった。しかしその腕は小学生にとっては達人級に写るようで、美来はじめ同級生からは注目を集めている。
同じ班の子供たちも調理もそこそこに会話に加わっていく。
「そういやこころちゃんって、掃除もいつも真面目にやってるよね」
「あ~確かに。係の仕事とか適当にやりたがる人も多いのに、こころちゃんはいつもしっかり者って感じ」
不意に周りから褒められ、妙にそわそわした気分になるこころ。
言われてみれば、この姿になってから料理や掃除といった家事に通じることや他人の手助けとなることが楽しくなってきている自分がいる。
日常のさりげない行為にひと工夫加え、ちょっとだけ真剣にやてみることで、誰かが喜ぶ。子供の素直な笑顔を見ることによって、こちらも胸に温かいものが広がっていく。
もしやこれも、自分の身体を奪ったあの子供みたいな性格の女との生活で染められたのだろうか。
そう思いかけて、慌てて否定するこころ。
そうだ。あいつにこそ女子小学生の立場が相応しい。ランプを見つけたら身体を入れ替えることでも望んでやろうか。
「え……大志さん! どうしたんですか! 大志さん!」
小学校から帰ってきたこころがドアを開くと、うつぶせに倒れた大志が玄関先にいた。
「あ……お帰りこころちゃん……マイハニーを見たら身体が熱くなちゃうね……」
「冗談言ってる場合じゃないですよっ! わっ。熱がある。早くベッドで寝てください!」
午後から頭痛や吐き気の症状が出てきた大志は仕事を早退したものの、だんだんと症状が悪化。どうにか家までたどり着く頃には意識が朦朧とし、そのまま玄関に倒れこんでいた。
こころは大志をどうにか立たせて薬を飲ませると、ジャージに着替えさせてからベッドに寝かしつけた。
幸い重症の諸症状はなく、ただの体調不良だった。
「看病もできるとかこころちゃんマジで白衣の天使じゃん。……っていうか何? 私このまま死ぬの? せっかくメンズライフを満喫してるのに……」
「ただの風邪みたいなものだから安心してください。その身体、気圧の変化とかに弱いからたまにそうなるんですよ。お薬飲んで眠ったら大抵すぐ治ります」
「よかった……私、こころちゃんとの夫婦生活が終わるとか嫌だからね……」
安心して気が緩んだのか。そのまま目を閉じ寝息を立てる大志。それを見て、かわいいな、などと不意に思うこころ。
子供の身体のため大志より早く眠くなるこころは、大志の寝顔を見たことがなかった。そのため、この身体になってから見る大志の顔はいつも悪戯っぽくつかみどころのない小悪魔系女子のような表情をしていた。最近ではこころに無断で買った垢抜けたメンズ用コスメグッズで、中性的オシャレ男子としてさりげなくイメチェンを図っており、こころをやきもきさせている。
しかし、今の穏やかな表情をした元自分の身体からは、どこか等身大の愛おしさを感じる。これは、こころの身体に強制的に刻まれた大志の身体への発情とも違う、心からの感情だと断言できる。
はだけた掛布団をそっと直すと、お粥を作りにキッチンへ向かった。
「ほら、あ~んして。あ~ん♪」
「しませんよ。それだけ元気になったなら自分で食べてください」
眠りから覚め、すっかり心身ともに調子を取り戻した大志。人懐っこい笑みを浮かべ口を開ける大志をよそに、こころは空のレンゲを手渡そうとする。
「あ~。そんなこと言ってると僕の体液、あげないぞ~?」
「うっ……」
レンゲを手に持ったまま固まるこころ。お粥と大志の顔を交互に見比べ、迷った末にレンゲでお粥を掬う。
「あー。もういいや。ここまで来たら――バラしちゃいます!」
突如、手でこころを制し、告白を宣言する大志。
「一日一回体液接種しないとランプに封印される件。あれ、嘘でした!」
「はぁ!?」
両手を合わせ頭を下げる大志。
「いや、厳密には今はそうじゃないっていうか……。最初はこころちゃんはランプの妖精って立場から離れきれなかったからそういう設定だったんだけど、今はその「呪い」も解除されたみたいでさ。なんでも、ランプの妖精がランプを使った者の願いを叶えることで自分自身の願いも叶えた時、人間として自由に生きられるらしくて」
「私の……本当の願い?」
きょとんとした顔になるこころ。まったく心当たりがない。
「こころちゃん、誰かに一緒にいて楽しいって思ってもらったり、自分が楽しいと思えることに出会いたかったりしたかったんじゃない?」
「あ――」
こころは、いつしか家事にやりがいを感じていた。それは、かつて何に対しても夢中になれなかった頃、ただ生活の一部として事務的にこなしていた家事とは違う。
学校で、家で、当たり前と思っていたことを誰かと共有し、それで相手を喜ばせる達成感。いつの間にかそれを感じていた。
「それじゃあ。一緒にいて楽しいって――」
「こころちゃん。いや、大志くん」
大志が不意にこころの手を握る。大志のいつになく真剣な眼差しと目が合いどきっとするこころ。
しばし見つめあい、次の言葉を待つ。
「あなたは私から解放された。今まであなたが私に抵抗できないのをいいことに散々弄んできて本当に悪かったと思う。でも、えっちなこと抜きに一緒にいて楽しいと思う気持ちは最初から変わらないの。こんな私でもよければ――これからもずっと許嫁でいてください」
こころは、大志の言葉を正面から受け止める。
思い返せば、大志は自身の男の性欲発散やこころの元男弄りで淫らな行為をしつつも身体は常に気遣っていた。そして普段は純粋に仲睦まじい夫婦生活を楽しむ良い夫であろうとしていた。
改変されたこの世界での設定から考えれば、ここで大志の元から去れば、実家――元の世界では存在しなかった遠縁の親戚になるらしい――に帰って地元の女子小学生として生きることになるのだろうか。
いや。そんな仮定は関係ない。答えは既に決まっている。
こころは大志の手を強く握り返し、心からの返事をする。
「はい。私も大志さんとずっと一緒に夫婦でいたいです。どうぞこれからも、よろしくお願いします」
女子としてやり直す二度目の人生。かつて淡白な学生時代を過ごしたこころは、それをどこか期待していた。
自分が意外と何かに楽しみを見いだせる人間だと気付いてしまった。
この未発達な女児の身体も女性として成長していくのだろう。また、女子としての立場に困惑することも増えていくのだろう。
しかし、もし困った時にはそれを揶揄いつつも何だかんだで親身になって相談に乗ってくれそうな伴侶がいる。
その大切な夫のために、今日も学校から帰るととっておきの夕食を作って待つ。
願いを叶えるランプはあれ以降、こころと大志の元に現れていない。
次はきっと、別の真に心からの願いを持つ者の元に現れる。
それは、あなたの元かもしれない。