※この作品はR-18です。

とりあえず好きなシチュ。悪堕ち陰陽師   作:カミアラエル

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第1話

### 第一章:優秀な仮面

 

彼女が妖魔化しても、柚子との日々の行動は外面上、それほど変わらなかった。退魔師としての兄の優秀さは依然として健在で、兄である庵が彼女に劣ることはなかった。しかし、その内面は激変していた。

 

「お兄ちゃん、見てみて。これだけ退魔できたよ。」彼女は日々、退魔の成果を示し、庵を驚かせていた。その成果は、彼女の力が増すほど大きくなっていった。

 

「柚子、すごいな。でも、無理はしないでくれ。」庵は心配そうに柚子を見つめる。しかし、その心配を彼女は一笑に付した。

 

「何言ってるの、お兄ちゃん。これくらい、朝飯前だよ。」柚子の笑顔は兄の心配を一掃する。しかし、その笑顔の裏では、彼女は庵を冷たい目で見つめていた。

 

「お兄ちゃんってば、何も知らないで心配しちゃって♪私の力、まだまだこれからよ。」彼女の目には、人間への軽蔑と優越感が混ざり合っていた。

 

庵が知らない間に、柚子は彼を遥かに超える力を手に入れていく。そして、その力を使い、庵を見下すようになっていく。庵はまだ、妹の変化に気づいていなかったが、その日が近づいていた。

 

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「お兄ちゃん、本気出してそれなの?」

 

柚子はその問いかけを、庵が一番集中している退魔作業の真っ只中にぶつけた。彼女の笑顔は、一見して普通の優しさ溢れるものだったが、その瞳の奥には何か他の感情がうずまいている。

 

庵は、その問いかけに微かに顔を顰めた。「ああ、もちろんだよ。柚子、僕はいつでも全力で退魔をしているんだ。」

 

「ふふ。」柚子は小さく笑った。「それならもっと強くならないと、お兄ちゃん。」

 

「強く…?」庵は彼女の言葉に戸惑いを隠せなかった。

 

「うん、強くならないと、私に追いつかれちゃうかも…だよ♪」彼女の笑みはさらに深まり、瞳の奥で闪(きらめ)く光は更なる期待を示していた。

 

「まぁ、それはそれとして。」柚子の笑顔が再び庵を見る。彼女の瞳に映る彼の姿は、不安そうでありながらも何かを訝しむような表情を浮かべていた。

 

「私、もう初級じゃないのよ。」彼女の声がどこか高揚していた。庵の目が驚きで見開かれる。「ほら、見て。」と彼女は手を差し出し、指先から青い炎が揺らめいた。

 

庵は一瞬言葉を失った。その炎は、彼女が扱うはずのない中級呪文のそれだった。「でも、それは……どうして?誰が教えたの?」

 

柚子は何も言わずにただにっこりと笑った。その笑みの裏で何かを隠していることを庵は感じ取ることができた。しかし、その真実を問い詰める勇気は彼にはなかった。それが、妹である柚子が彼を見下すきっかけとなるのだとは、その時の庵にはまだ分からなかった。

 

 

「えっとぉ、お兄ちゃんって今中級レベルなんだっけ?」

 

庵は、柚子のからかうような問いに顔を赤らめた。「う、うん。まだ中級の段階だよ。でも、すぐに上級に……」

 

その言葉を遮るように、柚子は指先から紫の炎を揺らめかせた。それは庵がまだ使えない上級の呪文だ。彼女の手から放たれる光は、暗い室内を一瞬、明るく照らした。

 

「ほら、これって上級だよね?」柚子はにっこりと笑いながら庵を見た。「お兄ちゃん、少し努力が足りないのかな?」

 

庵は何も言えずに、ただ柚子の炎を見つめていた。柚子の突然の成長に驚き、自分が追いつけない現実を突きつけられた彼は、言葉を失った。

 

「大丈夫だよ、お兄ちゃん。」柚子は彼の慌てた表情を見て、優しく声をかけた。「いつかきっと、追いつけるようになるから。」

 

しかし、その優しい言葉の裏で柚子は、冷たい笑みを浮かべていた。

 

「あっ、ははは……炎だけ急いで覚えたのか?それでもスゴイけど。」

 

「そうかなぁ?」と柚子は可愛らしく首を傾げた。「じゃあ、他のも見せてあげるよ?」

 

言葉と共に彼女の周りに青いオーラが発生し、一瞬で庵を吹き飛ばす強風を生み出した。次に彼女は指先から氷の結晶を作り出し、それが室内に舞い散り、床や壁を覆っていった。

 

そして最後に、彼女は室内を照らす光を生み出し、その光が庵の体を透かし、内部を見せた。これは上級呪文の一つ、「光の眼」だ。

 

「これでいいかな?」と柚子は優雅に微笑んだ。「お兄ちゃん、もっと頑張らないとね。」

 

庵はただ黙って柚子の力を見つめることしかできなかった。彼女の力は、彼の想像を遥かに超えていた。

 

「お兄ちゃん、大丈夫?返事できる?」 柚子が驚いた様子で庵に駆け寄った。可愛らしい巫女服をくるりと揺らして。

 

しかし、庵の表情は恐怖に歪んでいた。自分の弟子であり、妹である柚子が、自分を超える力を手に入れていたことへの驚きと、そのパワーの前に押し潰されるような感覚。

 

"ふふっ、お兄ちゃん、驚いちゃった?" 柚子は冷たく微笑み、兄の肩を軽くたたいた。

 

これが、彼女が兄に対する冷たい笑みを見せた最初の瞬間だった。そして、それが彼女の中で温かな妹から冷酷な退魔師へと変わるきっかけとなった。

 

 

 

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「え、えー、ごほん、今日の訓練開始。私の動きに合わせて魔法を放つんだ」

 

「はーい、お兄ちゃん♪」柚子は明るく応えた。しかし、その声の中には明らかな高揚感が含まれていた。それは庵が知る、あの純真な柚子の笑顔とは違う、妖艶さすら感じさせる笑顔だった。

 

柚子は庵が放つ魔法に遅れることなく、また、それを超える魔法を放っていった。彼女が使用していた呪文は中級レベルではなく、上級レベルのもので、そのパワーは庵を圧倒した。

 

周りの巫女たちは驚きと畏怖で柚子を見つめる一方、庵は彼女の変化に戸惑い、驚愕を隠せなかった。

 

柚子は庵を見つめ、一方的に圧倒していく彼女の魔法に対する彼の反応を楽しんでいた。柚子の視線は庵を突き刺し、彼女が彼を冷笑する目が彼の心をえぐっていった。

 

これが、彼女の力が庵を圧倒し、その地位を脅かし始める瞬間だった。

 

(えっ?師匠の技しょぼくない?)

(柚子ちゃんの方が大きいよね?)

(見習いに負けてるの…?)

 

周りの巫女たちが庵と柚子の姿を見つめて、そんな疑問や驚きの声が飛び交っていた。庵が魔法の訓練を始めたばかりの柚子に圧倒されることで、彼の地位と威信が揺らいでいた。

 

それでも、庵は気を取り直し黙々とカリキュラムを進め、巫女たちを納得させようとした。だが、そんな庵の指示は柚子の冷笑や他の巫女たちの囁きにかき消されてしまった。

 

柚子は魔法の詠唱を止めず、庵を挑発するように彼の上を行く魔法を放っていた。その姿は、かつての純真な妹から一変し、妖魔としての本性を見せ始めていた。

 

庵は自分の力が、見習いであるはずの妹に圧倒される事実を受け入れることができず、苦悩していた。しかし、その苦しみも柚子には美味しい餌としか見えていなかった。

 

(畏怖、信仰を集めることが妖魔の力の源泉だよ…お兄ちゃん)

 

柚子の頭の中では、妖魔の教えが深く根付いていた。彼女は庵の地位を追い越すためだけではなく、自分を崇める信者を増やすためにも、巫女たちの前で力を発揮していた。

 

彼女の心の中で、庵はもはや立派な退魔師の兄ではなく、ただの餌に過ぎなかった。柚子は庵の信仰心と地位を奪い、彼が得ていた畏怖と信仰を自分のものにしようとしていた。

退魔師の力の源は、本殿の祀る神への信仰力を間借りしての行使にある。妖魔と退魔師は同根であり、性質の違いのみが両者を分ける。互いのどちらがより信仰を集められるか。光と闇。故に力と秩序のぶつかり合い。衝突は必然であった。

 

覇権を握る。そのためには、彼女が妖魔としての本性を隠し続けることが必要だった。しかし、その水面下での彼女の姿を見て、庵は無力感と絶望感に打ちのめされていた。

 

一方、庵の地位を越えて巫女たちのリーダーに立つことで、柚子の妖魔としての力は増幅していった。庵を挑発するたびに、彼女の背中から生えてきた角と尻尾はより力強くなり、その存在感を増していった。

 

 

柚子は妖魔化が進行するにつれて、己の中にある巨大な力を抑えることが日に日に困難になっていった。特に隠し持つことになっている角と尻尾は、その存在感を増し続け、彼女を苛立たせていた。

 

柚子は自由に妖魔としての姿を現すことを切望し、その為には組織を掌握することが必要だと認識していた。彼女はそれを目指し、退魔師たちに対する影響力を増大させ続け、組織を内部から侵食していった。

 

彼女の野望は彼女の妖魔としての力をより高め、彼女の野望をさらに膨らませるという悪循環を生み出していた。それはまさに妖魔化の過程であり、彼女の人間性を一層薄くしていった。

 

だが彼女の心には一つの疑問が残っていた。庵の反応。柚子は庵が自分をどのように見ているのか、庵が自分の変貌にどう反応するのかを密かに楽しみにしていた。

 

 

─────────────────────

翌朝。

 

「いつもつきまとってる巫女たちが、今日は一緒じゃないね?」

柚子はいたずらっぽく庵に近づき、その肩を軽く叩いた。彼女の顔には、純粋な愛情ではなく、何か嗜虐的な楽しみが溢れていた。

 

「ああ、その、なんていうか……忙しいんだよ、きっと」

 

庵はしどろもどろになりながら彼女から視線を逸らした。彼は柚子が妖魔化していることを知らないが、確かに彼女の何かが変わってきていることは感じていた。

 

「ええ〜?何それ?お兄ちゃん、なんだか口ごもってるけど……。もしかしたら、柚子が引き立て役になって、お兄ちゃんがモテていたのかもね?」

 

彼女は意地悪そうに笑って、庵の肩を軽く突いた。庵はさらに顔を赤らめて、何も言えなくなった。

 

「フフ、でも、それって、お兄ちゃんが弱いからじゃない? 強くなれば、ちゃんと巫女たちもまた寄ってくるんじゃない?」

 

柚子は自分の力を見せつけながら、庵を挑発するように言った。

 

そんな中でも、駆け寄ってくる巫女がいた。

 

「庵様…今日のお弁当作ってきました。あの、その、私は師匠のことお慕い申し上げておりますっ!柚子ちゃんに負けないでください!」

 

柚子はその巫女の熱意に対しても微笑んだ。しかし、その微笑みは悪魔的で、甘くて毒のあるものだった。

 

「あら、素敵なお弁当ね。庵お兄ちゃん、嬉しいでしょ?」

 

彼女は庵に向けて挑発的な視線を投げると、軽く肩をすくめた。

 

「でも、そうやって慕ってくれてる巫女たちを大事にしなきゃダメよ? 庵お兄ちゃんが弱いままじゃ、みんなが心配してしまうわ。」

 

彼女は冷たい声でそう言った後、庵の顔をじっと見つめてニヤリと笑った。その笑顔は庵にとっては脅威だった。柚子はその瞬間から、庵に対する支配を深めていくことを誓ったのだ。

 

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ある日のこと。柚子が仲間にした巫女たちを引き連れて彼女を囲む。通りがかった庵だが…

 

(ううっ!柚子ちゃんどうして…?師匠、助けて…)

 

庵はその場面に遭遇した瞬間、足を止めた。しかし、柚子の妖艶な笑みと、彼女の瞳に浮かぶ絶望を見て、彼は何もできないことに気付いた。

 

「ええと……柚子、それは……」

 

柚子は庵の言葉を遮るように微笑みながら、彼女の髪を撫でた。

 

「お兄ちゃん、今お兄ちゃんの代わりに優秀な私が不出来な子を教育中なの。これは必要なんだから。巫女のため、そして私達のためにも……」

 

彼女の言葉が庵の耳に響いた。そこには悪魔的な誘惑があり、それに対抗する力を庵は持っていなかった。

 

彼女が助けを求める視線を無視して、庵はその場を立ち去った。彼の背中が遠ざかるのを見て、柚子は再び邪悪な笑みを浮かべた。

 

「さて、始めましょうか……」

 

そう言いながら、柚子は獲物の服をゆっくりと脱がせ始めた。

 

「そんなっ!?師匠っ!?見捨てないでっ!師匠!いやあああああ」

 

彼女の言葉に反応し、庵は一瞬だけ足を止めた。しかし彼の中の何かが、再び動くことを止めてしまった。彼の中には、恐怖、罪悪感、そして何よりも自己嫌悪が満ちていた。彼女の悲鳴が庵の心をえぐったが、彼は力なく、自分自身を責め続けた。

 

一方、柚子は彼女をいじめながらも、何のためらいもなく優雅に微笑んでいた。それは彼女が自分自身の楽しみと、庵を追い詰めるために行っていたからだ。

 

彼女がどんどん追い詰められていく様子を見て、庵は何もできない自分を悔い、その場を立ち去った。

 

柚子の暗い笑い声が、庵の耳に響き続けた。

 

 

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翌日。

 

「あ…師匠?今日のお弁当です…お渡ししたので、それでは…」

 

庵は彼女からお弁当を受け取った。柚子との昨日の出来事を思い出しながら、彼はぼんやりと彼女を見た。彼女は、昨日とは比べ物にならないほど異なって見えた。その態度、その声、その目は、昨日までの彼女からは感じられなかったような深淵と化していた。

 

庵は少し驚きながらも、彼女からお弁当を受け取り、静かに礼を言った。

 

「ありがとう、少し落ち着いたら食べるよ。」

 

しかし、その言葉は自分自身に対する慰めにしか聞こえなかった。彼は、彼女が柚子によって変えられてしまったことを悔やみながら、彼女を見送った。

 

その後、彼は一人で練習場に向かい、自分自身の無力さを痛感しながら訓練に励んだ。柚子との闘いのため、そして柚子の恐怖支配から彼女たちを救うために。

 

 

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タオルで汗を拭きながら、廊下を歩いていると、彼女と出会す。

「あっ、庵様…もしかして私のために頑張ってくれてるんですか?ふふ…無駄なのに。柚子様には勝てませんよ。」

 

庵はそんな彼女の囁きを聞くと、胸が痛くなるのを感じた。もう彼女の中には、彼が知っているあの優しくて思いやりのある少女の面影はなかった。

 

「彼女たちを…どうしてこんなことに……」

 

彼は自分の無力さに苛立ち、そして彼が守れなかった少女たちへの後悔の念にかられ、その場に膝をついてしまった。しかし、すぐに庵は立ち上がった。

 

「それでも、俺はあきらめない。」

 

庵はその後、練習を再開した。彼が変わらずに柚子と闘い続ける理由は、彼女たちを救いたいという一心だけだった。

 

 

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次第に言うことを聞く巫女たちの姿が減っていき、無力感に苛まれる日々。

一通のビデオが庵の元に届く。彼女が、柚子が未知の妖術で生やしたであろう触手ちんぽにひれ伏している姿。彼女は庵を見下す顔で画面越しに語ってきた。

 

ビデオを開くと、そこに映し出されたのは、かつて無邪気な笑顔を向けてくれた彼女の姿ではなかった。明るく楽しげに彼に話しかけてくれたその瞳は、今は底知れぬ闇と妖力に満ち、そして庵に向けられたその視線は冷たく、彼を見下すように揺れていた。

 

「あっ、庵様♪聞こえていますか?柚子様と共にこんな快感を感じるのは、これ以上ない幸せですよ。庵様もこちら側に来れば、この気持ちよさがわかるはずです♪」

 

彼女は、柚子の触手が絡みつく姿を、ビデオに収め、庵に送りつけてきたのだ。彼女のその姿は、彼にとっては耐え難い痛みとなり、心の奥底に深く刻まれていった。しかし、庵は、そのビデオを見つめる目を硬く閉じ、そして強く握った拳を突き上げた。

 

「…だが、だからって、僕は絶対にあきらめない。絶対に…!」

 

その言葉は、闇と淫蕩の支配に溺れてしまった彼女に届くことはないかもしれない。しかし、庵は、彼女たちを救うために闘い続ける決意を、再び心に刻みつけた。

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