※この作品はR-18です。

龍闘士ユラン ~悦ヘト堕チル凌辱冒険譚~   作:キバガミ

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ミネヴァとリーシェと別れ、同じく艶虎族から解放された男達を引き連れ、護衛しながら街への帰路についていたユラン。野営しながらうたた寝をしてしまい、その際に遠き白妙の夢を見る――。


第二章 黄金海に霧影は堕ちて
二十五話 遠き白妙の記憶


「お師匠様! 買い出し行ってきました!」

 

 それは遠き白妙の記憶。

 あの頃はただ、捨てられる事が怖かった。

 より良き子を演じるように、無翼者である自分の居場所を作ろうとしていた。

 

「…………お師匠様というのは止めませんか?

 少し遠い関係のようで寂しいです。

 それと様は止めましょう」

 

「で、でも……お師匠様はお師匠様ですし……

 命の恩人を呼び捨てになんか出来ません……」

 

 ただ、以前のように孤独に戻るのが恐ろしい。

 しかし、それ以上にこの方を幻滅させてしまう事が恐ろしい。

 今のボクにはこの人しかいなかった。

 

 この方はとても聡明で勇敢でお優しい方だ。

 本当にボクの事を家族だと思ってくれている。

 

 でも、ボクはその言葉に溺れてしまう事が恐ろしい。

 足を踏み入れた瞬間、それが飴細工のように崩れていくのが。

 

 所詮、ボクとこの方は仮初めの家族。

 ボクは拾われた小汚い犬と同義なのだ。

 

「私の事は――――とお呼びなさい」

 

「そ、そんな……呼び捨てなんて……畏れ多い事です……」

 

「もし、私を呼び捨てする事に抵抗があるのなら……

 呼び捨てするに相応しい者になりなさい」

 

 とても無理だ。

 なぜなら、この方は英竜様なのだから。

 

「私はただ、同じ無翼者として生きる術を伝えているだけで

 貴方とは本来、対等な関係なのです。

 師弟関係というのは相応しくありません」

 

「えっと……なら……英竜様」

 

「いやです」

 

「えっ!?」

 

「様は付けないで下さいと言ったではありませんか。

 もっとこう……親しみやすいような……」

 

 もし、ほんの少しだけ寄り添っていいのであれば、

 家族と言っていい人が出来るのなら――。

 ボクはその小さい身体に精一杯の勇気を持って飛び出した。

 

「じゃぁ……お、お母さん……!」

 

「私は貴方の母親ではありません。

 甘えないで下さい」

 

「そ、そんなぁ~~~~……うぅ……」

 

 そんな勇気は一蹴され、粉々に打ち砕かれてしまう。

 いけない、年相応の子供のように涙が溢れてくる。

 

 このままでは嫌われてしまうと拭っても拭っても、

こんこんと水の湧き出る泉のように止めどなく溢れる。

 

「ふぇぇ……」

 

「あぁ…………! 泣かないで下さい……

 すみません、私も少し我儘でした……

 では私の事は――――」

 

 ――――。

 

「ハッ……いかん……うたた寝をしてしまっていたか、

 オレとしたことが……」

 

 焚き火の番と護衛を兼ねて、オレは明け方まで起きていたが

艶虎族の集落での出来事――文字通り精根尽き果てる程の

身体的疲労から、つい意識を手放してしまっていた。

 

 周りには両手でギリギリ数え切れる程の人数の男達が、

まるで死んだように眠っていた。

 

 オレでもこれ程疲弊してしまっているのだ。

肉体的に鍛えている男達以外は余程衰弱しているのだろう。

 

「懐かしい……夢だ……」

 

 あの困ったような、少しはにかんだ彼女の姿は

今でも脳裏に深く刻み込まれている。

 

 オレはこの広い浮遊大陸で彼女を見つける事が出来るのだろうか。

 そもそも、彼女は生きているのだろうか。

 それすらも何も分からない。

 

 生きているという確かな感覚、もしくは祈りのようなものだったのか、

今のオレには言語化する事が出来ないが、

どこかで彼女が息づいているという確信めいたものがあった。

 

「必ず――――」

 

 オレの呟いた言葉はそのまま焚き火の火の粉となって、

夜蝶と共にどこかへと運ばれていった――――。

 

――――。

 

「皆、もうすぐ街だ……数日とはいえ

 慣れない旅、よく頑張ってくれたな」

 

「オレ達……帰ってこれたんですねぇ……!」

 

「うおおおぉぉ!!! 肉! 食いてぇぇ!!

 搾られ尽くして……キンタマの中身すっからかんなんだ……

 精をつけるゼェェェ~~~~~~!!!」

 

 旅の帰路の途中、ようやく依頼を受けた街に帰ってくる事が出来た。

 男達は屍鬼のように生気が無い状態でオレの後を付いてきていたが、

街が見えると水を得た魚のように飛び跳ね、抱き合って涙を流す者もいた。

 

「ダンナ! 分かってますね!? 俺達は艶虎族達に監禁されてた所をアンタに救出された……。

 それまでは拷問を繰り返され地獄のような日々を送っていたと!」

 

「あ、あぁ……」

 

「決してエロエロに搾り取られて極楽だったとか

 全然そんなんじゃねぇからな!?」

 

「あぁ……」

 

「あーあ、オレも奥さんが居なけりゃあの男達のように

 ムチエロな艶虎族達と一緒についていったのによぉ~~」

 

「バッキャヤロウ! 俺だってそうしてぇよ!

 弟が骨抜きにされてホイホイついていきやがってよぉ……

 俺は親父にどう説明すりゃいいんだよ!!」

 

「また……4P……したい……」

 

(こいつら……艶虎族の所に置いてきた方が良かったか……?)

 

 てっきり、オレと同じく屈辱感に塗れた日々を

送っているのかとおもいきや、案外良い思いをしてきた男もいるようで、

中にはそのまま艶虎族の大移動についていった男達もいた。

 

 凱旋所にどう報告すればいいものか頭が痛かった。

 正直な所、オレ自身も同じく捕まって性的搾取されており、

傍から見れば実に情けない現状だった。

 

 なので、この男の言葉通りに報告するのは渡りに船だったが、

胸の内にはしこりのようなものが残って

居心地が悪い事この上ない。

 

「とりあえず、お前達の身の安全を証明する為に

 一度凱旋所へと向かうぞ。

 その後は酒場なり女の所なり、好きな所へ行ってくれ」

 

「ういっす!」

 

「6P……玉舐め……」

 

 俺達は様々な感情を抱いたまま、

ようやく、待ち焦がれた街の門をくぐった――。




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