※この作品はR-18です。

龍闘士ユラン ~悦ヘト堕チル凌辱冒険譚~   作:キバガミ

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オンドリッドを化け物から引きはがすことに成功したユラン。
しかし、オンドリッドの身体は既に蟲に蝕まれており、
彼の逃げる時間を稼ぐ為に殿(しんがり)を務めるユランだが――



三十七話 優しい嘘と疼く罪

「おい、しっかりしろ!!」

 

「うぅ……ぅ……!」

 

 オレはオンドリッドの皮膚の上を這い回っている

ナメクジを引き剥がすが、他にも何匹も

毛皮の中にも入り込んでいるようで、

 

いくら剥ぎ取ってもキリが無い。

 

「はぐ……ぅ……ぅぅ……ッ!!」

 

 しかも、一番厄介なのは乳首や尿道口から

ふくよかな胸や尿道、睾丸の中まで侵入して

敏感な部分を刺激され続けているらしく、

 

 今すぐどうにかしてやりたいが、

流石にこのような状況で

悠長に摘出している暇はない。

 

「歩けるか……!?」

 

「う、うん……っ」

 

 オンドリッドは気丈に振る舞おうとしてよろよろと立ち上がるが、

足は生まれたての子鹿の様に震えており、

身体は限界に近いようだ。

 

「ギ……ギ、ギィ、ギィ……!!!」

 

 もたついている間に霧笛の濃獣(むてきののうじゅう)は体勢を立て直し、

血走った目でこちらを睨みつけていた。

 

 見れば、切り抜いた乳房の部分は粘肉によって覆われ、

早くも再生しようとしている。

 

 あれだけ無惨に斬り裂いた小さい触手達は、

6割程度の、こちらに鎌首をもたげていた。

 

「オレが殿(しんがり)務める……!

 その間に貴方は少しでも遠くに逃げてくれ……」

 

「む、無理だよぉ……! リヴァイアサン級の

 クチュラヌプスだよぉ……! キミも早く逃げないと……

 食べられちゃう……!」

 

 この化け物は霧笛の濃獣(むてきののうじゅう)では無かったのかと

言葉を返そうとしたが、その猶予すらも残されていない。

 

 クチュラヌプスと呼ばれた化け物は、その容姿の醜さに

比例するおぞましさでナメクジのように這いずりながら、

こちらへと迫ってきていた。

 

「逃ガ、ガ、逃ガサ、ナァイ……♪ ト、カゲさん……? ヘ、ビさん……?

 分カラナイ、ケド……食ベルの……ハジメ、テ……♪」

 

「くっ…………!」

 

 化け物は先程のように小さい触手を振るいながら、

大蛇のように巨大な触手の鎌首をもたげる。

 

 恐らく、これがこの魔物の捕食行為の定石なのだろう。

 

 小型の触手を振るい、時間を稼ぎながら

巨大な触手の圧倒的質量で獲物を押し潰し、捕らえる。

 

 単純明快ではあるが、オレ達のような竜人や獣人には

それで十分すぎる程の力を持っていた。

 

(ならば……巨大な触手にさえ気をつければ……

 致命傷を負う事はない。小型の触手も厄介だが

 得物さえあればどうとでもなる……!)

 

 しかし、状況がここまで悪化してしまった事に、

オレは苦虫を噛み潰したかのように歯を食いしばった。

 

 オンドリッドがまだ走れる程の余力があれば――

このクチュラヌプスという魔物に再生能力さえ無ければ――。

 

 どれか一つでも良い方へと転がれば、

ここまで追い詰められる事は無かっただろう。

 

「ガ、アァァァッ!!!」

 

 オレは戦神の如く斬竜刀を振るい、

迫りくる小型の触手を斬り裂いていく。

 

 その度に白い透明な肉片が飛び散り、

細かくなったそれは粘液の雨となって

周囲に降り注ぐ。

 

「ぐ、ぅぅ……ッ……! この程度、で……ッ!!」

 

 オレの太く無骨な二の腕に触手が絡みつき、

強く締め上げられるが、すぐさまミネヴァの

短刀を取り出して斬り裂いていく。

 

 この短刀はオレが別に持っている片手剣と違い、

鋭い返しのような物が刃に付いており、

ソードブレイカーに似た形をしている。

 

 クチュラヌプスの粘液に塗れた触手や

粘着質な肉を屠るのにはもってこいだった。

 

「ア゛ァ゛ァ゛ァ゛!!! ハヤクゥゥッ!!!

 ハヤク食ベラレ、テヨォォォォオォォォォ~~~~!!!」

 

「…………ッ!?

 まずい……!! その位置は……ッ!」

 

 クチュラヌプスは今度は巨大な触手を斜め上に振り上げ、

そのまま横薙ぎにするように振り下ろした。

 

 横薙ぎは攻撃範囲こそ広いものの、

交わす事自体は造作もない。

 

 しかし、その先には逃げようとするオンドリッドの姿があり、

オレが躱すとその触手は無慈悲に彼に直撃し、

致命傷は避けられないだろう。

 

「ひぃぃぃッ! 終わった……! ボク……終わったぁぁぁッ!!

 アシモフ様ラクリモサ様クルライン様どうかお助けぇぇッ!」

 

「ぐ、うぅぅぅぅッ!! あぐ、あぁぁぁッ……!!」

 

 オレは斬竜刀を腹を向け、盾のようにすると

オンドリッドの目の前で巨大触手を受け止めた。

 

 脳内が激しくシェイクされているかのように震え、

全身が痺れるような衝撃が襲いかかり、

手に至っては一時的に感覚さえ失っていた。

 

 分厚く重厚感のある肉の塊はそれだけで凶器。

 まるで、巨大樹で出来た丸太をぶつけられて

いるかのような常軌を逸した衝撃であり、

 

 今の攻撃で胸部には鋭い痛みが走っており、

恐らくあばらが数本逝ってしまったのだろうか。

 

 オレは激痛から斬竜刀を抱える事すら出来ず、

背中で巨大触手と斬竜刀の重さを支えるだけで精一杯だった。

 

「は、ぁ……はぁぁ……ッ……!

 何を……している……貴方だけでも……逃げ、ろ……!」

 

「どうして……ボクの為にここまで……

 き、キミはどうするの!?」

 

「オレも死ぬ気は毛頭無い……!

 早くいけ……! コイツの動きを鈍らせたら……

 オレもすぐに追いかける……!」

 

 その言葉通り、諦める気は無かったが

正直、この化け物相手に勝利する自信もなかった。

 

 だが、このままではどちらも共倒れだ。

 

(――――すまない)

 

 生まれて初めて悪意の無い者を騙した。

 だが、こうするしかない。

 

 嘘をつかなければ、彼はオレを化け物の

元に残す罪悪感から足が鈍る。

 

 それに、こうなってしまった状況はオレにも原因がある。

 

 大事な人の生死さえ分からず日々を過ごす苦痛を、

セルバルやリバーシュと言ったレギオンの者達に

 

味合わせたくないという、自分本位な感情を

優先させた行動故の結果なのだから。

 

「ほ、ホントだね……? 絶対だよ……!?」

 

「くどい……ッ!! 早く行け!!!」

 

 先程、巨大触手を受けた際の衝撃で脳震盪(のうしんとう)が起きたのか、

視界がぐらつき始めて喋る余裕すら無くなる。

 

 オレは有無を言わせぬようにオンドリッドを睨みつけ、

怒り狂う猛獣の様に叫びながら彼の

目の前の地面に斬竜刀を突き刺した。

 

「あ……ぁ、ぁ……! うわぁぁあぁぁぁ~~~~~~!!!」

 

 彼はオレの凄まじい剣幕に言葉を失い、

蝕まれた身体の感覚すら置き去りにして、

涙目になりながらその場から逃げるように立ち去っていった。

 

(これでいい――。後は出来る限り、

 オンドリッドが逃げる時間を稼ぐだけだ)

 

 満身創痍な身体に鞭を打ち、

斬竜刀を杖代わりにして立ち上がって

下卑た笑みを浮かべるクチュラヌプスを睨みつける。

 

 この化け物は脱兎の如く逃げ出したオンドリッドには

目もくれず、オレに標的を変えたようだった。

 

 だが、今のオレにとっては好都合だ。

 

「トカゲ、サン……ドンナ味……?

 濃イ……? しょっぱ、い……? ソレトモ……アマイ……?」

 

「そんなに……気になるなら味わってみたらどうだ?

 口の中が血塗れになっても……知らんが、な……!」

 

 クチュラヌプスの無数にある触手が再び襲いかかり、

オレは脂汗を浮かべながらも斬竜刀を構える。

 

「あぐ、ぁ……ッ……! ぅ、ぁぁ……ッ!」

 

 斬竜刀の重みで骨が軋み、胸部から

立ち眩みしてしまいそうな程の激痛が襲いかかる。

 

 あれだけオンドリッドには強がっていたものの、

身体は既に悲鳴をあげており、まともに

斬竜刀さえ握る事すら出来なかった。

 

 ミネヴァの短刀を取り出して迫りくる触手を

迎え撃とうとするが、あまりにも数が多すぎる。

 

「ぐ、あぁぁッ……! ぐぅ、ぁ……ぁぁ……ッ!」

 

 確かに触手を断ち斬ったり引き千切るのには適した物だが、

それはあくまで単体での話であり、

 

クチュラヌプスの凄まじい触手の数の前には

一本を処理している間に腕や足に絡みつき、

 

気がつけばオレは雁字搦めに

身体を大の字の形に触手に縛り上げられ、

空中へと持ち上げられてしまうのだった――。




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