そして、その後は縛り上げられてどこかへ連行される羽目になり、
その先で訪れた場所とは――。
「はぁ、アタシ一人なら木を伝って移動出来るのに……テメェが大柄だから運べもしねぇ」
「ん、ぐぅ……」
あれから、オレは艶虎族の女に縛り上げられた後、どこかへと歩かされていた。
恐らくは集落と呼んでいた所に連行されているのだろう。
今すぐにでも抵抗したい所だったが、頑丈そうな太い縄で
上半身を厳しく後手に縛り上げられており、黒い布で猿轡までさせられていた。
それも単なる猿轡ではなく、ご丁寧にしっかりと詰め物を
口の中に入れられた状態で布を巻き付けられ、
更にはマズル――鼻孔部が開かないように縦と横、二箇所も布で縛り付けられており、
喋るどころか微塵も口を動かせない。
「まぁいいさ、もうすぐ集落だ。へへ……久しぶりのオスだ……
たっぷりと可愛がってもらえるぞ?」
「…………」
顔を覗き込んでくる艶虎族の女を精一杯睨みつける。
今のオレにはそのくらいしか出来る事はなかった。
「ホラ、早く歩けよ」
「ぐ、ぅ……!」
彼女が後手に縛り上げた腕の縄部分を掴むと身体を強引に押し出す。
オレは一瞬前につんのめりそうになりながらも、その集落の方角へと足を動かした――。
――――彼女に拘束されたまま暫く歩けば、森の中に石造りの建物が
いくつか突き出している区画を目の当たりにする。
数日程、森の中を歩いており、前にマッピングした場所からは遠く離れた場所だろう。
その間、野宿している間も艶虎族の女は執拗に、
性的にオレを嬲り、何度も精液を搾られてしまった。
「やっと着いたか……アタシだけなら半日くらいで戻れるのによぉ……
だけど収穫はあった……これからテメェにはきっちり元取らせてもらうからよ?」
「…………ッ!」
そう言って彼女はオレの胸板を弄り、乳首の部分をつねあげる。
今は勃起しておらず、竜皮でツルツルな胸板だったがそれでも感度が変わる訳ではないのだ。
身体を一瞬ビクリと震わせると、抗議をするように彼女の方を睨みつける。
「その態度もいつまで続くかねェ……」
艶虎族の女は舌舐めずりしながらオレの鼻孔部を鷲掴みにし、
無理矢理視線を合わせようとする。
今のオレには一つ一つの動作に抗うことすら出来ない。
こうも身体の自由が効かないのが辛いとは――。
「…………ミネヴァ?」
「随分遅かったじゃない。どこまで遠出したの?」
集落の入り口へと近づけば、中には同じ艶虎族だと思われる虎獣人達が居た。
ミネヴァと言われた彼女の言葉通り、本当に性別は女性しか存在しておらず、男の気配は全くない。
そして、どの艶虎族もミネヴァと同じく、露出度の高い格好をしており目のやり場に困る。
「……ん、いやここから数日くらいの所さ、でもコイツがよ……
大きくて運べないし、かといって縛り上げとかないと暴れるし……
連れて帰るのに本当苦労したぜ」
「竜人――珍しいわね……それに随分鍛え上げてるみたいで……楽しくなりそうね、うふふ……」
「お前らも気をつけろよ、今はちゃんと縛り上げてるけどよォ、
尻尾で打たれた日には全身の骨をバッキバキにされんぞ」
そう言ってミネヴァは、オレが尻尾での一撃を食らわせた脇腹を擦る。
その間にもどんどん興味津々と言った様子で艶虎族が集まってくる。
「まぁ、コイツにはたっぷりと働いてもらうさ……
それに"アッチ"の方の量も質もスゲェぞ……
今までの男達とは比べ物になんねぇ」
「えー!楽しみー!」
「アナルは? アナルはイケるの?」
艶虎族達はかなり盛り上がっており、オレを物色するような目で見つめる。
視線から逃れるように身体を藻掻かせるが、相変わらず腕は全く動かず、
尻尾も胴体のラインに合わせるように一緒に括り付けて縛られており、
猿轡も相まってどうすることも出来ない。
「お姉ちゃーん!」
「お、リーシェ。いい子にしてたか?」
「うん! 今日もね、前つかまえたひとのせーえき……
空っぽになるまで搾ったよ!」
集落の奥からミネヴァの腰程の高さのある少女がミネヴァへと飛びつき、抱きついた。
ミネヴァはリーシェを空中で数回転させれば、そのままゆっくり地面へと下ろす。
しかし、よく見ればその少女は艶虎族特有の毛や模様がなく、薄い赤色の皮膚で覆われ、
頭部には小さいながらも角も生えており、どちらかと言えばオレと姿が似ていた。
――――オレと同じ竜人だ。
「新しい人――りゅうじん?」
「そうさ、リーシェと同じだ。もしかしたら世話する事になるかもな」
「えっ、あたしする! したい!」
「そーかい、なら族長に掛け合ってみるか……その前に……」
「ッッ!?」
突然、ミネヴァがオレの首筋に針を挿し込む。
鋭い痛みに咄嗟に身体を激しく捩って逃れようとするが、
両腕をがっちりと抑えられていて動くことさえ出来ない。
次第に意識が揺らぎ、まるで睡眠薬でも飲んだかのように
頭が真っ白になり、強烈に瞼が重くなっていく。
「ちょっとお姉ちゃん、乱暴すぎだよ」
「いいんだよ、コイツはこのくらいで。
これくらいしないと逆にアタシ達が危ェし……
何よりこいつは乱暴にされるのがスキなんだよ――なぁ?」
ミネヴァとリーシェの会話を最後に、
オレの意識は深い闇の中へと沈んでいった――。
「――――ん、んぅ……ぐ……!」
――――酷く身体が重い。
脳や内蔵がまだ寝ている状態なのか、意識は朦朧としていて気分が悪い。
辺りを見回せば堅牢そうな鉄格子があり、
どうやらオレは牢屋へ閉じ込められているようだ。
内部は松明の明かりで照らされており、
恐らくオレは夜まで眠ってしまっていたのだろう。
いつの間にか身体も綺麗になっており、傷のある部分は丁寧に包帯が巻かれており、
黒や白の竜皮が松明の炎で、光を反射してきらめく。
ミネヴァに連行されている途中も水浴びする機会はあったが、
縛ったまま頭から湖に叩き落とされるのを水浴びと呼んで良いのか疑問だった。
そして、部屋の隅では桶の水を布に染み込ませ、
それを絞っているリーシェと呼ばれていた竜人の少女の姿があった。
身体を動かす度に小さいお尻の上に生えている尻尾が左右に揺れており、
先端部にはクチナシを装飾とした黄色いリボンをつけていて、
その姿だけを見ればなんとも愛らしい。
「あ、起きた……? あの、だいじょうぶ?
お姉ちゃんが乱暴な事してごめんなさい」
「…………ここはどこだ?」
「えっと……たねうまさんの住む家……? 他にもいくつかあって、
どれも牢屋みたいな場所だけど……そうしないと逃げちゃうから」
「…………」
身体を動かそうとすれば、意識を失う前と変わらず巻き付いている縄が軋んだ。
後手に縛り上げられているのは相変わらずだが首輪が追加されており、
縄と鎖が首輪と胴体に連結されて天井から吊り下げられ、固定されていた。
足首も棒を通されたまま縛り上げられ、開く事も閉じる事も出来ない。
足すらも満足に動かせない状態で、一切身動き出来ない絶望的な状況だ。
幸いなのは猿轡だけは取り外されている事だろうか。
「あの……名前、教えて……?」
「…………何故だ。あのミネヴァとかいう奴と同じ様に
種馬でもなんでも……好きに呼べばいいだろう」
「同じりゅうじんだから……仲良くなりたいなって……ダメかな……?」
「仲良くとは対等な相手に使う言葉だと思うが」
「う、ぅ…………」
リーシェと呼ばれていた竜人の少女は返す言葉が無くなったのか、
瞳をうるうるとさせてこちらをじっと見つめる。
――――流石に辛辣すぎただろうか、少し胸が痛む。
しかし、この集落に艶虎族と共に暮らしているということは、
当然彼女達がどんな非道な事をしているのか知っているはずだ。
容姿や仕草で騙されてはいけない。
だが――――。
「…………ユラン」
「え?」
「…………オレの名前だ」
「わぁ……ありがとうっ! かっこいい名前!
わたしはリーシェ! みんなからはリースって呼ばれるけど……
呼び方はなんでもいいよ!」
「ぁ、ぁ……」
名前を告げた瞬間、リーシェのしょんぼりとしていた表情が一気に輝きだす。
どうも悪辣で暴力的なミネヴァの妹という印象が強く、警戒していたが、
本人は彼女とは正反対で素直な性格らしく、毒気を抜かれてしまう。
「へぇ……ユランってのか。アタシはリーシェと違って数日間ずっと一緒だったのに、
名前すら知らなかったぜ、ハハッ!」
「あ、おねえちゃん」
扉が開き、ミネヴァが入ってくると牢屋越しにオレ達に話しかけてくる。
ミネヴァはオレという戦利品を改めて眺めれば、満足そうに口の端を吊り上げる。
オレはその視線に屈しないよう、強く睨み返す。
「いい格好だなぁ……種馬。よく眠れたか?」
ミネヴァは牢の中へと入ってくると、オレの髪を鷲掴みにして無理矢理上を向かせた。
鈍い痛みに眉を歪めながら睨みつければ、強気な蒼い瞳と視線が交錯する。
「……おかげ様でな。起きればここまで頑丈に拘束されているとは
思わなかったが……余程オレが怖いと見える。
そんなに前の尻尾の一撃が効いたのか?」
「あぁん? 口の聞き方には気をつけろよ、な!」
「ガッッ……!?」
彼女の強烈な膝蹴りがオレの鳩尾へと叩きつけられ、
激痛と肺を押し潰されているような感覚に目を見開いて悶絶してしまう。
「ちょっと……おねえちゃん……!」
「種馬はこのくらいで丁度いいんだよ……リーシェもあんまり入れ込みすぎんな。
こいつら男はアタシ達に子種を提供する
ザーメンタンクでしかねぇんだよ」
「うん…………」
リーシェはあたふたとしながらこちらの様子を心配そうに見つめていた。
「……竜人はこの程度の攻撃、大したものじゃな、い」
「そうかい、随分とナメられたもんだねぇ……
まぁ、今からはアンタがナメられる側だけどな
じっくりじっくりとな……」
心配するリーシェを多少気遣ったつもりで言った言葉だったが、
却ってミネヴァを増長させてしまったようだ。
「これから何をされるかくらい分かってんだろ?」
ミネヴァの瞳が怪しく揺らめき、舌なめずりをする。
敗北した時や、連行されている際も散々嬲られているせいで、
ミネヴァが何を考えているのかは手に取るように分かった。
「……艶虎族の性欲は際限がないんだな。まるで獣のようだ」
「大丈夫さ。テメェももうすぐそうなる――」