※この作品はR-18です。

龍闘士ユラン ~悦ヘト堕チル凌辱冒険譚~   作:キバガミ

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リバーシュとオンドリッドに首都まで案内して貰ったユラン。
彼らは各々やるべき事の為に動き出す。


五十五話 天寵を受けし街リニアオグタ

「ここが首都か……」

 

 オレはオンドリッドとリバーシュに案内され、

リュメイヌの首都、リニアオグタへとやって来ていた。

 

 その規模はオレの居た国と同じか、

それ以上の大都市であり、あちらこちらから

人々の喧騒が聞こえる。

 

 町並みや建築物も美しく、流石は

豊穣の国の中心地と言った所だ。

 

「オレも来たのは久々だぜ。

 定期報告は大体オンドリッドに

 任せてるからな……」

 

「定期報告?」

 

「そだよー。リュメイヌに属するレギオンには

 定期的に近況を報告する事が義務付けられてるんだー。

 霧笛の濃獣(むてきののうじゅう)の霧の動きだったり後は……」

 

「アシモフの爪みてェな非公認レギオン……

 そいつらの情報だったりな」

 

「そうだねー……ボク達も報告をサボったりしてると……

 非公認レギオンになっちゃうから気をつけないとね」

 

「なるほど…………」

 

 どうやら、リュメイヌでのレギオンの役割は、

霧笛の濃獣(むてきののうじゅう)による情報共有が主らしい。

 

 確かにこれだけ広い大陸だと

情報伝達も大変だろう。

 

 各地を放浪するレギオンの特性と良く合った

効率的な役割と言えよう。

 

 北方――竜の国ではそもそも界獣が居ないのに加え、

土地の広さもリュメイヌと比べればかなり小さい為、

そもそもレギオンというモノが存在しない。

 

 それ故、この在り方はオレにとっては

新鮮な事のように感じた。

 

 ――――他の界獣が存在する大陸でも同じなのだろうか?

 

「それじゃ、ボクは市庁舎の所に行ってくるね。

 また後で合流しよー」

 

「あぁ、じゃあな」

 

 オンドリッドは名残惜しそうにこちらに手を振りながら、

石畳の上を駆けていった。

 

 そのふくよかな影は人混みに溶け、

やがて完全に見えなくなった。

 

「ほれ、アンタの探してるヤツの

 情報を探しに行くんだろう?」

 

「…………?」

 

 てっきりオンドリッドと共に行動するとばかり

思っていたリバーシュは、彼とは反対方向に向かって歩きだす。

 

「リバーシュは付いて行かないのか?」

 

「あぁ、面白そうだし今日はアンタについていく。

 それによ……目を離してっと……

 なーんか危なっかしいンだよな……」

 

「もしかして、心配してくれているのか?」

 

「バカ。気持ち悪ィ事言ってるとシバくぞ」

 

「いや、済まない……それでは、行こう」

 

 リバーシュは吐き捨てるように言葉を漏らしながら、

どんどん歩みを速めて行く。

 

 オレは彼の後を追いかけるように、

遅れて駆け出した。

 

 情報収集はどこでするのか聞きたかったのだが、

リバーシュには宛があるのだろうか?

 

「ぐっ…………!?」

 

「痛…………!」

 

 その瞬間、腹部に軽い衝撃が襲い、

思わず後ろにたたらを踏んでしまう。

 

 何が起こったのかと見下ろしてみると、

そこには分厚いコートとフードを纏った

小さい影があった。

 

 どうやら、同じく前方不注意の自分と

ぶつかってしまったようであり、体躯の差は1、5倍程あるせいか、

一方的に弾き飛ばされ転んでしまったしまったようだった。

 

「痛いなぁ……気をつけてよオジサン」

 

「す、済まない……大丈夫か?」

 

 オレはその華奢な手を取ると、

引っ張ってその子を起き上がるのを手伝う。

 

 その見た目通り、まるで綿のように軽い。

 

「竜人…………?」

 

「え…………? あ、ホントだ……」

 

 そのフードから覗くのは竜人特有の

長いマズルと牙――。

 

 間違いない、この子は竜人だ。

 

「竜人はお母さん以外見たこと無かったけど……

 ハネナシなんて初めて見たよ」

 

「はは、生憎な」

 

 そういう弄られ方も久しい――。

 

 北方――竜の国の中でも差はあるが、

一般的には空を支配する事が出来る有翼者が

実権を握っており、無翼者の待遇は良くはない。

 

 特に白妙(しろたえ)の国リンドヴルムと

暁風(ぎょうふう)の国ピースロンドは最も苛烈であり、

 

リンドヴルムは近年マシにはなったきたものの、

ピースロンドではそもそもヒトとしての生き方を

許されないと、おぞましい話も聞く。

 

 だが、この子からは蔑みと言った負の感情は感じない。

 

 恐らく、本人からすれば林檎の色は赤いと言うのと同じように、

自身が感じた事を純粋に口にしただけなのだろう。

 

「ごめん、ボク急いでるんだ……明日中に

 蒼穹の道(フィルフィロード)を抜けないといけないから……

 じゃあね」

 

「あぁ……引き止めて悪かった」

 

 そう言って小さき竜人はコートを翻し、

フードを深く被り直してその場を立ち去ろうとする。

 

「待て――――」

 

「…………?」

 

 だが、オレはこの子を引き止めてしまった。

 何故だろうか? 同じ竜人に友愛の念でも感じたのだろうか?

 自身でも戸惑い、目の前の竜人は首を傾げながらこちらを見上げる。

 

「どうしたの?」

 

「えと……そうだ……蒼穹の道(フィルフィロード)へと向かうのなら……

 あそこの寒さは酷く身体に堪える……

 これを持っていくと良い」」

 

 そう言ってオレは、荷物から自身のマフラーを取り出すと

小さき竜人の首にそれを巻いてやる。

 

 少しサイズは大きいが、これで寒さは幾分かマシになるだろう。

 

「あ、ありがと…………?

 でもいいの? おじさんの使ってる物でしょ?」

 

「あぁ、オレは既にそこを超えてきた。

 だから、もう必要無いものだ……

 邪魔をしてしまった迷惑料とでも思ってくれ」

 

 本当は次の蒼穹の道(フィルフィロード)を渡る時にも使用する予定の物だったが、

荷物自体もかさばる為、時期が近づけば新しく購入すればいい。

 

「ふふ、竜人って……酷い奴らばっかりだと思ってたけど……

 おじさんみたいなのも居るんだ……

 ありがとう! 優しいおじさん!」

 

 年齢相応の濁り無き満面の笑みを浮かべる小さき竜人。

 

 最初は他人を寄せ付けない冷たい印象を覚えたが、

とても素直な子だ。

 

「後、いらぬ世話かもしれないが……

 出来れば二人以上で行動した方がいい……

 現にオレも野盗に襲われた」

 

「へぇ……そんなのもいるんだ。

 気をつけるよ」

 

「あぁ、急いでいるのに引き止めてしまってすまない。

 良い旅を――」

 

「おじさんもね。良い旅を――」

 

 そう告げると、お互いの視線は二度と交わる事は無く、

互いの姿は離れていく。

 

「――――お人好しクソトカゲ」

 

「す、すまん……忘れていた……

 待たせてしまったな……」

 

 一部始終を見ていたのか、リバーシュは

呆れ顔でこちらを見つめていた。

 

「まぁ、いいけどよ……あんまりトロトロしてっと

 時間無くなっちまうぞ」

 

「そうだな……」

 

 あの竜人の姿が消えた道を最後に一目見ると、

旅の安息を祈りながら、その場を後にした――。




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