そこはリニアオグタの大規模ギルドであり、
彼らはそこで情報収集を開始するが――。
「なんだ……このギルドは……
こんなもの見た事がないぞ……」
オレはリバーシュに連れられ、
一際大きい建物の中へと入っていた。
その中はどこも人で溢れていて、
空間は市政の厳かな雰囲気と
酒場のような開放感が入り混じり、
静寂と喧騒、厳格さと寛容さ
相反する矛盾を詰め込んだ
混沌とした空間になっている。
どうやら、ここはギルドらしいが、
オレの知っているものとは雰囲気や
規模は桁違いだ。
「オレも来るのは久々だな……
アンタの国のギルドはこんな感じじゃねェのか?」
「あぁ……もっと慎ましくて……
事務的な感じだったが……」
以前の大陸の街でもこのような規模ではなかった。
それどころか、酒場がギルドの詰め所としての
役割を果たしているような小規模の物だった。
「こんだけ人が居るとよ、アンタの恋人の情報も
集まるんじゃねェのか?」
「恋人ではない……だが……確かに
何らかの手掛かりは掴めるかも知れない」
オレとリバーシュは頷き合うと、
ギルドの中をぐんぐんと進んでいった。
奥には事務的なギルドの受付があり、端には
酒場のようなカウンターやテーブルや、宿まで完備されている。
淡々と仕事の書類を纏めたり、会話をしている者。
酒場のような一角で料理と共に酒を煽る者。
中を見れば見るほど異様な空間だ。
「よーし、ここからは適材適所と行こうぜ?」
「…………?」
「アンタはギルドのヤツや同業者から情報を集める
オレはあそこで
そう言ってリバーシュは酒場の雰囲気を醸し出している一角を指差す。
そこには複数の
確かに同族である彼であれば情報を引き出し安いだろう。
となると、オレのすべき事は
外からやって来た獣人やここを拠点として活動している者達に対して
重点的に話を聞けばいいだろうか。
「すまない。リバーシュ」
「別に……もうそんな小せェ事でわざわざ
礼を言う仲でもねェだろ。
んじゃ、また後でな」
ひらひらと片手を振りながらオレから離れたリバーシュは
酒盛りをしている男達に近づいた。
最初は胡散臭げにリバーシュを睨みつけていたが、
彼が空いている椅子に着席し、男達と店員らしき者に話しかけると
急に彼らは上機嫌に歓声を上げた。
警戒心を解す為に男達に何かを奢ったのだろうか。
(あの様子なら大丈夫そうだな……
オレも何らかの成果を得なければ)
わざわざ首都に案内をしてくれた所か、
情報収集も協力してくれるリバーシュに
心の中で感謝すると、オレはギルドの受付へと向かった――。
――――――
「申し訳御座いませんが……個人情報ですので……」
「そうか……無理を言って済まない」
オレは
ラクシールの情報を伺ってみたものの、
困り顔でその答えを濁される。
当然と言えば当然だ。
依頼者や請負人の情報を一介の冒険者に簡単に漏らせば、
ギルドの信用や沽券に関わる。
このような大規模ギルドであれば尚更だ。
(参ったな……やはり大手のギルドは
そういった情報管理もしっかりしているのか……)
前のような酒場がギルドとしての役割を果たしているような
小規模な所だと、一杯奢ってやれば嬉々として
情報を開示してくれただろう。
(他の獣人達にも話を聞いてみるか……)
それからオレは、ラクシールの情報を得ようと
獣人達に話を聞いて回ったが、
彼女どころか竜人すら殆ど見ていないようだった。
むしろ、竜人であるオレの物珍しさに
色々話を聞かれた程だ。
「収穫無し――か」
簡単に情報が得られない事は分かっていた。
だが、その取っ掛かりすら全く無く、
無意識に深い溜息を漏らしてしまう。
これでは雲を掴むような話だ。
方角や抽象的でも位置さえ分かれば、
ある程度は捜索する方針が立てられるというものだ。
だが、広大な砂漠でたった一粒の光る砂を
宛もなく探せと言われたら、
大抵の者は途方に暮れてしまうだろう。
オレの心境は正にそれだった。
(どうしたものか……もう少し滞在して駄目なら……
別の大陸へ赴くか……?)
だが、もしそこでも情報が無ければ――
やはり、有りもしない幻影を追い求め続けているだけなのか――?
そんな空虚感を感じながら、オレはしぶしぶと
リバーシュの元へと向かった。
「おうユラン! その様子だと……ダメだったみてェだな?
顔に書いてあんぜ?」
「あ、あぁ…………」
彼の口からは強烈な酒の臭いがする。
椅子に腰掛け豪快に酒を煽るリバーシュは既に顔が赤く染まり、
傍らには空のジョッキが何個も置かれていた。
あれから彼らとずっと酒盛りをしていたのだろう。
(この様子だと……リバーシュの方も
あまり収穫は無さそうだな……)
「んおぉ! ホントに竜人だ……!
兄ちゃんの言った通り……かっけェな!」
「火は吐けるのか!?」
オレは
半ば強制的に円卓の席に座らされた。
こんな悠長にしている暇が自分にはあるのだろうか――?
こうしている間にも、あの人がどんどん遠くへ行ってしまいそうな
得体の知れない焦燥感だけが胸の中を駆け巡る。
「よう! トカゲの兄ちゃん……
恋人の行方を追って各地を旅してるなんて……
なんとも泣かせる話じゃねェか……!」
「恋人ではないんだがな……」
大柄の
オレの肩を抱くように腕を回し、感極まったような
様子で語りかけてくる。
「おほっ! 竜人の竜皮気持ち良すぎだろ!!
なんというツルツル感……」
「止めろォ! セクハラで
自警団に訴えンぞォ!!」
そう言ってオレの身体を弄る男達の手を
リバーシュは払ってくれた。
オレからしてみれば、
毛皮の方がもふもふしていそうで
気持ち良さそうなんだが――。
「ふざけてないで、さっさとコイツに
さっきの話をしてやってくれよ」
「わりぃわりぃ……白竜の話だよな?」
「な…………!? どこかで見たのか!?
頼む……! 教えてくれ……!」
オレは我も忘れて座っている椅子から勢い良く立ち上がり、
大柄な