※この作品はR-18です。

龍闘士ユラン ~悦ヘト堕チル凌辱冒険譚~   作:キバガミ

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ラクシールの情報を得て思いがけず高揚してしまい、
草原狼獣人(アシモベルク)の胸ぐらを掴んでしまうユラン。
円卓内では不穏な空気が流れ――。


五十七話 朧げな白竜の尻尾の先②

「お、おい……痛ぇって……」

 

「…………! す、すまない……」

 

 まるで喧嘩でも売っているような

自身の行動に我に返り、

謝りながらそのまま席に座った。

 

 しかし、ラクシールの情報どころか、

他の竜人の話すら全く聞けもしなかったオレにとって、

藁にでも縋るような思いだったのだ。

 

 焦燥感ばかりが募り、

居ても立っても居られない。

 

「ユラン、少し落ち着けよ。

 情報は逃げねェ。気持ちは分かるが

 焦り過ぎると、また足元を掬われンぞ?」

 

「あぁ……そうだな……」

 

「とりあえず、これで頭冷やせよ」

 

 ジョッキを差し出してくるリバーシュ。

 それを受け取ると、オレは熱い頭を冷やすように中身を一気に呑み干した。

 

「ふぅ…………」

 

 青林檎のような香りと酸味のある味が突き抜けて喉を潤し、

炭酸のすっきりとした爽快感に思わずため息をつく。

 

「すまない、続けてくれ」

 

「ああ……実際に見た訳じゃねェが……

 ここから北西の蒼穹の道(フィルフィロード)を超えた先に、

 サヴァト領っつーとこがあってだな……」

 

 同じように大柄な草原狼獣人(アシモベルク)は一度、

飲み物を口に含み、口元を手の甲で拭うと語り出した。

 

 リュメイヌはリニアオグタがある大陸だけでも広大だが、

所々、道が潰えていて蒼穹の道を通らなければならない土地がある。

 

 地図や書物で流し見した程度だが、

サヴァト領もそうした土地の中の一つだったはずだ。

 

「そこの領主の屋敷に真っ白い竜人が住んでいるのを

 見た事があるやつがいるらしい……」

 

「それは誰から聞いたんだ?」

 

「俺も前に他の奴らが話してるのを

 小耳に挟んだ程度だからなぁ……

 細かい所は分かんねぇ」

 

「そうか…………」

 

 情報の出処も分からず、その内容も抽象的だ。

 だが、大進歩と言っても良い。

 今までは大した情報もなく、闇雲に街から街へ彷徨っていた。

 

 そんな探し方よりはずっと建設的だろう。

 

「では、今すぐサヴァト領へと向かおう」

 

「待て待て待て!」

 

 椅子から飛び上がるようにして立ち上がるが、

リバーシュはオレの肩を掴んで椅子へと押し戻す。

 

「今すぐ街を出る気か!?

 もうすぐ日が沈むぞ?」

 

「しかし…………」

 

「そこに住んでるんなら、一日そこらで

 どこかに消えるワケねェだろが」

 

「…………」

 

 リバーシュの言う事は最もであった。

 

 だが、オレの前から霧のように消えてしまった

ラクシールの事を思うと、心と身体が激しくざわつく。

 

 やっと手に入れた手掛かりも、掴んだ手の隙間から

煙のようにどこかへかき消えてしまうのではないか――。

 

 そんな後ろ髪を引かれるような想いだけが残る。

 

「そうだ、な……焦っても仕方がない」

 

 煮え切らない想いを胸に秘めながらリバーシュに同意する。

 苦虫を噛み潰した顔とは、今のオレのような顔なのだろうか。

 

「あぁ、今日出来る事をやろうぜ。

 おっと――早速、役に立ちそうなのが来たぜ」

 

 リバーシュの言葉に顔を上げると、

ギルドの入り口の方を指差していた。

 

 見れば、オンドリッドがのそのそと

息を荒らげながらこちらへとやってきていた。

 

「んもー! なんで合流場所を

 言わなかったのさー……兄さん……。

 探すのすんごい苦労しちゃったあ」

 

「お前が聞かなかったからだろ」

 

「そうだけどお~~……んはぁぁ……

 あ、こんにちはー……兄さんがお世話になってますう」

 

「コイツの弟か! ホントに全然似てねぇな!!」

 

 一息つきながら彼はぺこりと席を囲んでいた男達に礼をし、

重そうな巨体を揺らしながら空いている椅子へと座った。

 

「おいオンドリッド。サヴァト領に行きてェから、

 明日までにガルガリオン地区で足を用意してくれ」

 

「サヴァト領? 急だなあ……さては兄さん……

 あそこのワインでも飲みたくなった?」

 

「ちげェよ。ユランがそこの領主に

 会いたいんだってよ」

 

「そうなんだあ、いつ出るの?」

 

「明日、早朝に出よう」

 

 オンドリッドが言い終えるよりも先に

オレは言葉を返した。

 

 一刻も早く、今は真偽を確かめたい。

 

「分かったよお。ならちょっと準備してくるから

 兄さん達は別の用事を済ませててえ」

 

「それなら……オレの知り合いにいいとこしってる

 やってるヤツがいるから……一緒に話つけてやるよ!

 色々融通利くと思うぜ?」

 

「わぁ、ありがとお。無駄遣いするなって

 兄さんとカルバルおじさんに言われてるから

 すっごい助かるよお」

 

「済まない。折角一仕事終えたばかりなのに……」

 

「いいよお。その代わり……

 美味しい晩御飯奢ってねえ~~。

 それじゃみんなあ、ばいばーい」

 

 のっそりとオンドリッドと大柄な男は立ち上がると、

そのまま出口の方へと向かっていき、

 

一度、こちらに振り向くとにっこりと

笑みを浮かべ、手を振りながらギルドから出ていった。

 

 動かせてばかりで申し訳ないが、

こちらはリニアオグタには疎い為、大変助かる。

 

「よし、オレ達もそろそろ動くか」

 

「あぁ、そうだな。皆、大変世話になった」

 

 リバーシュとオレは円卓を囲んでいた男達に

礼を言うと、旅の準備をする為に再び街へと繰り出した――。




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