国のどこかで行われている優雅なティータイムは終わりを迎えようとしていた――。
おかしな錆色の国のどこか――
灰空と白空を分かつ、水晶花に包まれた純白の花園で、
優雅にお茶を楽しむ一人の少女が居た。
傍には燕尾服を纏った二足歩行のガルガリオンがおり、
純白のトーションを携え、絵画のような美しい佇まいで
少女に仕えている。
傍から見ればその体格差や在り方から
美女と野獣にしか見えない。
「――フロストヘルム。今日のアフタヌーンティーは
期待していいのかしら?」
「ええ、いい"モノ"が穫れましたのでご賞味下さい。
こちら、ドラゴンの精液をブレンドした
カスタードプディングでございます」
「…………ドラゴン?」
「正確には、北方に生息している竜人種かと」
「それは楽しみね……血気盛んなオオカミさんの
ザーメンも生臭くて私好みではあったけれど……
正直、食べ飽きてしまったから」
フロストヘルムと呼ばれたガルガリオンの執事は
銀色に輝くクローシュを静かに持ち上げた。
そこには飴色の香ばしいカラメルソースと
白濁色のむせ返るようなザーメンソースでデコレーションされた、
金色に煌めく円筒形の生地――カスタードプディングがあった。
モノクロームの色彩が美しく、とてもグロテスクな男根から
吐き出されたザーメンとは思えない程の
見事なコントラストを生んでいる。
「――――」
少女は麗しい唇にソースを絡めた生地を運ぶ。
そして、長き静寂の後――ほう、と深い艷やかな溜息を零す。
「――――美味しい」
「恐悦至極で御座います」
彼女は口の端にへばりついたザーメンを真っ赤な舌で淫靡に拭う。
洋菓子を見下ろす深い紫色の瞳は、清廉な乙女の眼差しとは程遠く、
妖艶さと狂気を孕んでいた。
「臭いは
濃厚で喉に絡みついてくるわ……それでいて後味は透き通っていて……
このホワイトソースを溜め込んでるドラゴンさんは
まだ生きているのかしら?」
「はい。まだ、この領域の狭間で戯れているかと」
「そう――良かった」
錆色のドレスを翻し、優雅に立ち上がる少女。
それと同時にテーブルと椅子は、
はらりと解けるように白い花びらへと
変わって舞い散っていく。
「お気に召したのでしたら、
また、私めが収穫しましょうか?」
「いいえ、私自らがご挨拶でもしてこようかしら。
こんなに美味しいものをご馳走して頂いたんですもの」
彼女が吐息を吹きかけると白い花びらは舞い上がり、
何かの輪郭を形どっていく。
「畏まりました。それでは行ってらっしゃいませ」
しばらくすると、そこには荘厳な純白の扉が現れ、
燕尾服のガルガリオンはエスコートするように
頭を垂れ、その扉を開けた。
「ふふ……私好みに