ヴェラクトーレとユランは睾丸に詰まった精液をたっぷりと搾り取られてしまう。
その後、この家の危険性をティエルとソレイユに訴えかけようとするユランだったが――。
ヴェラクトーレの全身の毛とオレの髪の毛が逆立つ。
このまま彼女達に臭いの元凶が精液だとバレればどうなるのか。
この現場には腰の立たない男が二人、それも息を荒らげて――。
そこで何が行われたのか――想像力豊かな彼女達が
行き着く先は想像に難くない。
「ん? なんか、二人からその……
変な臭い……しないっすか?」
「きき、気のせいじゃないか……?
それより、ここは危険だ!
一刻も早く離れよう!」
こちらに近寄ってすんすんと鼻を鳴らすティエル。
流石にこれ以上は不味い、今はどうかは分からないが、
きっと、彼女のような
「むぐっ!? ちょっと……離して下さいっす!」
どうにか、掌で彼女が近づいてくるのを抑えつつ、
オレはそう提案した。
「何が危険なんですか? それどころか
こ~~んなに美味しくて綺麗なトコなのに……」
「そ、それは……」
言葉に詰まってしまう。
なんと言えばここを切り抜けられるだろうか。
「実は、ユラン殿と一階を散策していた所……
お菓子の化け物に襲われたのだよ……
どうにか一度は退けたが、この状態だ……
次は全員、喰われてしまうかもしれないねぇ……?」
「えっ!? それ……めっちゃ危険じゃないっすかっ!!」
「も、もし……私達が
一階に行ってたら……」
彼女達は顔を見合わせると、
顔を青ざめさせながら震え始める。
確かに、襲われたのは嘘ではなく事実であり、
彼女達の危機感を煽るには良かったのかもしれない。
こうでもしなければ、彼女達はこの家に泊まるとでも
言いかねない位、ここを気に入っているようだったからだ。
――正直、上手く丸め込んでくれて助かる。
「そうだ! また襲われる前にここから離れるんだ!」
幸い、話している内に大分体調も整ってきた。
これなら、激しい戦闘は無理でも、
身体を動かす程度の事は出来そうだ。
「おい、立てるか?」
「すまないね……まだ、足先が痺れるよ……」
未だ立ち上がれないヴェラクトーレに背中を貸す。
どうやら、余程先程の凌辱で体力を消耗してしまったらしい。
この時ばかりは、タフな竜人である事に感謝した。
「よし、ティエル。お前たちも――」
そう思って振り向くと、もう既に彼女達の姿は無かった。
余程、お菓子の化け物が恐ろしかったのだろうか。
ヴェラクトーレの元々持っている凶悪な悪人面と、
普段やっていると思われる、慣れ親しんだ脅しの名演技が
功を成したと言えるだろう。
「……何か失礼な事を考えていないかね?」
「い、いや……そんな訳がないだろう」
オレは誤魔化すように視線をそらすと、
そのまま、ヴェラクトーレの身体を支えながら
出口へと向かっていく。
「ユラン殿」
「あぁ……」
どうやらヴェラクトーレも気が付いたらしい。
この激しい違和感に。
――――あまりにも静か過ぎる。
あれだけ興奮気味だった彼女達だ、
何らかの喧騒が聞こえても良い物だがそれも無い。
嫌な予感だけが膨張していく。
「彼女達が心配だ……急ごう……!」
オレ達は互いに頷くと、水飴階段とは別に
二階に上がる手段を探し始める。
彼女達を連れて、さっさとこんな危険な
お菓子の家から脱出しなければ――。
「――もう終わりなの? 本当に味気ないわ。
まるで茶葉が開ききっていない、
不出来な紅茶のよう……」