「エリ、」
深海よりも深い青さを含んだ瞳が、黒いまつ毛に滴をつけて、私(エリ)を見上げた。
彼女-イリス-の褐色の肌は太陽の光に照らされて、キラキラと輝いて見える。
美しく輝くその肌の上を、私が与えた金色の腕輪が、カラコロと遊ぶ。
まるでイメージの中のクレオパトラのように、その姿は高貴的だった。
イリスは私が返事をしないことに痺れを切らしたのか、不満げにこちらを覗き見る。
猫の獣人の特徴である長い手足が、私の腕に絡みついておねだりをするようにゆすられた。
まだ彼女は14歳。その子供らしく可愛らしい姿に思わずクスッと笑みが漏れ出る。
「どうした、イリス」
子供の我儘に付き合う父親のように、努めて優しく問いかける。
「エリ、エリ、」
イリスは私の腕をぎゅっと抱きしめてもじもじとする。
「ほんとにわからない?」
イリスが顔を上げて懇願するように言った。
申し訳ないけれど、私には彼女が何を言いたいのかわからない。
ただ彼女が、ものすごくもどかしげにしていて、何かを私に要求しているということしかわからないのだ。
目線を合わせるように、イリスを腕の中に包み込んで聞いてみる。
「言ってくれないとわからないよ?」
イリスは顔を真っ赤にして薄く柔らかそうな唇を数回はくはくさせたあと、意を決したようにこちらを真っ直ぐに見つめた。
「エリに抱いて欲しいの」
驚いて見つめ返すと、確かにその目には色欲の色が僅かに見てとれた。
同時に、彼女は意味をわかって言っているんだ、と悟った。
子供が戯れのように意味もわからずいう言葉ではない。
私は彼女の見た目の幼さと、発言のチグハグさにまた少しだけ笑って、最後の忠告をする。
「意味をわかって言ってる?」
私の言葉にイリスはぎこちなく頷く。
「どうして?」
「好きだから」
あまりにも真っ直ぐに、単純な言葉を使うものだ。
それは幼さゆえなのか。
その輝かしさに言われた私の方が正気でいられそうにない。
「じゃあ、今夜、来て。私の部屋まで」
ーーーーー
夜が訪れると昼間の活気は嘘のように、宿の周りはしんと静まり返っていた。
緊張した面持ちで扉の横でまごついているイリスを手招きする。
遠慮がちな足取りで近寄ってきた彼女を抱きしめるとおそらく体を整えてきたのだろう、イリスからは清潔な香りがした。
案外、その匂いが気に入って、彼女を抱きしめながら息を吸う。
人よりも温かい彼女の体温は、普段他人との交流がない私にとって、触れた瞬間から解けるような、安らぎを与えてくれた。
イリスはくすぐったそうに身を捩りつつも、私の背中に腕を回してくる。
指先が震えているのが、なんとなく分かった。
安心させるように彼女の背中をぽんぽんと叩く。
しばらくそうしていると細っこい体躯が段々と緊張を解いていくのが分かった。
人肌は緊張を和らげるものだ。
「落ち着いた?」
なんとなくそう聞いてみるとイリスは私の顔の横でこくりと小さく頷いた。
顔を見たいと思い、身体を離すと、彼女の瞳はやはりうるうると輝いていた。
深海よりも深い、濃い青の瞳。
この世界に来て初めて、こんなに美しい瞳を見たっけ。
記憶と共に懐かしさが込み上げる。
彼女の頬に指を這わせると、柔らかな肌の弾力がまるでマシュマロみたいで心地が良かった。
「いい?」
こくり、と頷いたのを見てから、彼女の薄くて柔らかそうな唇に口付けをする。
案の定、柔らかくて、心地の良い感触がすぐに私の唇の上を満たしていく。
彼女の唇の隙間から舌を潜り込ませ、ゆっくりと口内を一巡する。
慣れない舌が戸惑いがちに私の舌を追いかける。
猫の舌と同じで少しざらざらしていた。
けれど同時に薄くて、あたたかくて、ふわふわして心地が良かった。
彼女の薄い唇を食べながら、口腔の上をくすぐるように舐める。
必死で絡めてくる舌が健気で可愛い。
時折漏れ出てくる吐息に、甘い声が混ざって、かわいらしく耳に届くと、私の中の欲が頭をもたげ始めた。
獣の耳に指を伸ばして、耳の中に指先を潜らせてみると、途端に彼女の肩が緊張に固くなる。
指先で耳の先っぽを揉んだり、耳の中を小さく引っ掻いたりしていると次第にその緊張は緩くなっていった。
絡めあった舌同士から、垂れる体液を軽く吸い、唇を離す。
とろ、とした目つきのイリスがどこか夢から覚めた直後のようにこちらを見ていた。
かわいいなあ。
どく、どく、と興奮からか私自身の体が脈打つように熱くなっていくのがわかる。
イリスの頭を支えながらそっと押し倒す。
服の上から胸をまさぐると、なんの下着もつけていないのか、彼女の控えめな乳頭がつんと、そこに主張していた。
それを指先でかるく弾きながら、イリスの獣耳を喰んでみる。
「んっ」
驚いたイリスの声が甘く響いた。
もう、体は蕩け切ったようで、驚いて体を揺らしはしたものの、ほとんど快楽を素直を追っているようにも見えた。
獣の耳は人のものよりも大きくて、鼻先が完全に埋まってしまう。
熱い吐息で湿った耳の内側の突起を、唇で柔らかく喰むとイリスの指が止めるように私の手を掴んだ。
「……いや?」
私の問いかけにイリスは目をつむりながら、首を横に振る。
「イヤじゃない。……でも、なんかっ、へん」
可愛らしいイリスの物言いに思わず笑みが漏れる。
「変じゃないよ。それが気持ちいいってことだもの。もっと素直に感じてみて?きっと気持ちよくなるから」
耳の中を再び唇で喰むと、イリスの吐息は先ほどよりも荒くなっていた。
「んっ、んんぅ、」
舌を出して穴の奥の方に差し込んでみる。
しっとりした耳の中を私の体液で満たしていくように。
奥に行けば行くほどにイリスの吐息は甘い声が混じるようになっていった。
イリスの細い体を片手で包み込んで、親指で時折乳頭を柔らかく押しつぶす。
彼女の細い足の間に、私の足を絡めていると、次第に彼女自身が擦り付けるように身体が密着していった。
人よりも高い体温が私の興奮をより高める。
もうすでに起立した、男性器が彼女の太ももに触れている。
けれどイリスは気が付いていないようで、ただ目の前の快楽に必死に縋りついているようだった。
ゆっくりと私は彼女の服の下に手を差し伸べる。
イリスは下履すらも履いておらず、スカートを捲ると性器がそのまま露出する格好だった。
太ももから上半身へ指を滑らせる。
柔らかなサラサラとした肌触りが心地よい。
耳から唇を避けて再びイリスの唇に口付けながら、私は彼女の体をより密着するように抱き寄せた。
服の下で彼女の小さな乳房を軽く刺激しながら、もう片方の腕は、彼女の尻尾の付け根へと伸ばす。
尻尾の付け根を指先で擦ると、明らかにイリスの反応は気持ちよさそうに変わった。
「あっ、んっ!んんぅ!」
付け根から尻尾をかるく、ほとんど触らないくらいにゆっくりと撫でていく。
同時に尻尾の先がぼわぼわと毛を逆立てて手のひらのなかを勝手にいっぱいにしていく。
手を離すと尻尾はゆらゆらと揺れて私の手をなぞり、まるでもう一度とばかりに何度も逆だった毛を押し付けられた。
もう一度尻尾の付け根から撫でると、キスしている合間にもイリスの嬌声が唇の端から漏れ出てくる。
前の方に手を伸ばして、膣口を確認すると、そこはすでにどろどろの体液で溢れていた。
一度唇を離して、イリスを見つめる。
「いい?」
彼女の蜜液を指先に絡めてそう問いかけると、イリスは私が奥に入れやすいようにか、遠慮がちに足を開いてくれる。
熱くなったそこに、人差し指を入れてみる。
まだ狭い中は、けれど思った以上に柔らかく温かかった。
すでに起立した自身を入れた瞬間を想起し、喉の奥が鳴るような感覚がする。
2本目の指を入れると、少し狭いけれどすんなり入った。
入り口の部分や奥を少しずつ撫でながら、私はもはや目の前にお預けされた状態の快楽を目標にイリスの膣内を広げる準備をしていった。
「んっ、んんっ、…………エリ……」
名前を呼ばれて視線を戻すと、イリスがぽやぽやした視線でこちらを見つめていた。
「ん?」
「もう、挿れて……?」
「え、……多分まだ、狭いよ?」
立ち上がった自身のそれを確認して、イリスに告げる。
「いいの、痛くてもいいから、エリのが欲しい。
奥に入れて。指じゃイヤ」
懇願するように、イリスは目尻に滴を浮かべながらそう言った。
あまりにも健気で可愛らしかった。
イリスのお腹の上にのそれを横たえる。
「きっと痛いよ?いいの?」
「……うん」
微笑んだ彼女の愛しい唇に軽くキスを重ねて、私は起立した自身をイリスの濡れた膣口に当てがった。
「我慢できなかったら言って?」
「だいじょうぶ」
ぐ、とまだ少し狭い膣の中へ自身の男性器を埋めていく。
イリス自身の体液が多く、ゆっくりとだけれど、案外容易に、中へと入っていくことができた。
同時に抗い難い快楽の波が押し寄せ、私自身も余裕をなくしていく。
「は、……っ」
「あっ、ぁあっ、エリ、エリ!」
痛みからかイリスは指先を何度も握ったり開けたりしていた。
私自身もようやく訪れた快楽の気持ちよさに、抽送を繰り返したくなる衝動をどうにか抑えて一度、息を大きく吐く。
「大丈夫?イリス」
「ん、……うん、大丈夫。だから動いて、エリ」
「っ、ありがと、……正直ッ、気持ちよすぎて限界っ」
イリスの言葉に甘んじて腰をゆっくりと、動かす。
狭い膣内は柔らかく自身を包み込み、熱い体内がぎゅ、ぎゅ、と時折絞るように動いて今すぐにでも達してしまいそうだった。
「イリス、気持ちいいよっ、……イリスっ」
能動的欲望をこのまま吐き出しそうで怖い。
けれどそれ以上に、目の前の快楽に飲み込まれそうで、抗えそうもない自分がいる。
「はっ、ぁ……イリス、」
「エリ、すき、大好きエリ」
伸ばされた手に引き寄せられるようにイリスと唇を重ねる。
ぐちゃぐちゃと体液の混ざる音が遠くに響いて、まるで夢でも見てるような心地になるのに、体は現実に即したまま快楽を受け取り続けている。
「やばっ、……もうイキそうっ」
「そのままちょうだいっ、お願い、エリっ」
イリスの中が大きく震えて、抜こうと思っていたのに、抜け出せなくなる。
大きな快楽の波が真っ白に訪れ、そのまま彼女の体内へと私は放精した。
「ーーーーっ!」
一瞬だけ霞んんだ視界と、慣れない快感の波に揉まれ、倒れ込む。
下敷きになったイリスの髪が首すじに触れてくすぐったかった。
けへどそれ以上に疲労感で動けそうになかった。
「………………はあ」
なんとか余韻から抜け出して、イリスから自身を引き抜く。
まだ僅かに反応を残したそれを見て、この体は若いのだろうかと余計なことを考えた。
まだしんどさの残る鼓動の速さを無視しながらイリスに声をかける。
「イリス、大丈夫?どこも痛くない?」
頭を撫でながら彼女の顔を覗き込むと、イリスは目に涙を滲ませながらもにこりと笑っていた。
「痛かったよね?ごめんね」
彼女の唇に軽くキスを落としながら謝罪をする。
「ううん、嬉しいから」
「嬉しい?」
「嬉しいから涙が出てる」
嬉しくて泣いたことなんかない私にはその原理は理解できなかったけれど、でもきっとイリスにしかない純粋さから出た言葉のような気がして、その言葉のかわいらしさに思わず笑った。
「嬉しくて泣くことがあるんだね」
「エリはないの?」
「私は、」
徐々に強くなる倦怠感に耐えきれず、私は誤魔化すようにイリスの体を抱き寄せて、その顔を胸の中に隠してしまった。
「まだ、ないかな」
さらさらした黒い髪が腕に触れるたびにくすぐったく、それでいて心地よかった。
もうなにも言葉にしたくなくて、私はそれ以上喋らなかった。
イリスもそれを察したのだろう、静まり返った部屋の中で私たちの体温だけはお互いに確かだった。