※この作品はR-18です。

スカイリムで賞金稼ぎ   作:オークポーク

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胸糞注意


道端の花として・1

「じゃ、受け渡しは完了ってことで」

 昼のちょっと前あたり。ヤりまくって気が晴れた俺は浅い息をするのみで動かなくなった詐欺女の髪を掴んで引きずり、依頼主たちに引き渡した。彼らは血走った目でボロボロの女の両脇を掴んで受け取る。

「ああ、これでこの売女に復讐を果たせる。感謝してもしきれない」

 代表のインペリアルの男が言ってきた。態度は気取っているがこいつも相当頭にきているようで、顔は真っ赤になっていて眉間には谷みたいなシワができていて、額はメロンみたいになっている。

「それから、これも必要でしょう。奴の日記で金の隠し場所の地図が描いてありますぜ」

「そ、そうか! いやはや、追加で出した要求二つにも満足に対応してくれるとはな! 君を雇って本当によかったよ」

 そう言ってインペリアルは後ろにいる護衛に目配せし、大きな袋を持ってこさせた。

「約束の報酬だ。遠慮せずに受け取ってくれ」

 渡された袋の中を覗き込んでみる。凄い数のコインだな、5,000ゴールドはあるだろうか。だが本当ならコレが更にモンの凄い数になっていたはずと考えると素直に喜べなくなっている。

「なんだ? 報酬額に不満でもあるのか?」

 おっといけね。依頼主に不信感を与えるところだ。

「いやいや、そんな事はないですよ。ニヤけるのを我慢していただけでさ」

「ワッハッハ! 面白い奴だな! 腕も立つし、気に入ったよ。また何かあったら連絡させてもらうとしよう!」

 インペリアルは上機嫌でお仲間と一緒に詐欺女を引きずって行った。どうなることやら、怖い怖い(笑)。

 

「うーん、このまま帰ってもいいが久々のウィンドヘルムだし、ちょっくらゆっくりして帰るかな」

 腹が減ったんでどこぞで食事して、イソルダやシルグジャへの土産も買っていきたい。それにウィンドヘルムの女も抱きたいしな。ノルドの娼婦もいいが、灰色地区でダークエルフをいただくのも悪くない。

 考えながら顎髭を指で弄び歩いているうちに、俺はウィンドヘルムの波止場に続く門の前に差し掛かった樽が山積みにされていて魚の匂いが立ち込めている場所だ。

 

「あの! お花いりませんか? 1ゴールドでいいんです! 1ゴールドでお花を買いませんか?」

「道を空けな」

 そこには手に籠をかけ、道ゆく人に必死に花を差し出す薄汚れたメスガキがいる。花を売ろうとしている相手は忙しそうな作業員ばかりで無視されるどころか押し退けられていた。

 あー、こいつのこと忘れていたわ。俺は途端に嗜虐的な気分になったが、今はまだタイミングが悪い。無理やり掻っ攫いところだが人目が多い。まずはさっきの宿屋に戻るとしよう。

 

「あっ! おいアンタ! いくら何でもアレは汚しすぎだぞ! どれだけ掃除に手間がかかることか! ベッドのわら草と毛皮も交換しなくちゃだぞ!」

 宿に戻った途端ダークエルフの主人に怒られる。仕方ねーじゃん、超が付くほどの上玉だったんだから。

「悪りぃ悪りぃ。あ、悪りぃついでに部屋を広めのトコ、地下部屋に変えてくんない? 豪華な感じに飾り付けとかしておいて、ベッドシーツも毛皮じゃなくてシルクのシーツとかにしてさぁ。美味いディナーも頼むわ。夜あたりにちょっと特別な客を招くからさ」

「ハァ!? アンタ気は確かか! あれだけやっておいてそんなのいくらなんでも」

 俺は床にずっしりと重たい金の袋を地面に落とした。2,000ゴールド。

「ヘェーッ! すぐに準備致します旦那様! ヘェーッ!」

 主人は怒り顔から一変。ニコニコ顔でペコペコしながら袋を拾っていそいそと準備に取りかかり始める。やはり世の中金だな。後は夜を待っている間、別の準備をしておかないとな。サドリの古物商なら揃うだろ。

 

 いやぁ、楽しみだ。ぐへへ。

 

 ◆

 

 夕方ごろ俺は自分の準備が終わって宿のルームメイクも完了したことを見届け、再び波止場の出入り口前まで足を運んだ。労働者たちも少なくなってくる時間帯なんで、目的のガキはすぐに見つかった。

「ぜんぜん売れない……どうしよう……お腹、すいた……」

 ガキは落胆した様子で地面を見つめ、肩を落としている。今が絶好のチャンスだ。念のために生命探知の魔法で見えないところにも人がいないことを確認する。よし、大丈夫だ。

 俺はディベラも魅了できると自負しているスマイルを浮かべながら少女に近づいて声をかける。

「ソフィちゃぁ〜〜〜ん、お久しぶりぃ〜〜〜(ニチャア」

 おっとヨダレが。

「え? ヒッ。あ、ぱ、パパ……」

 花売り娘ソフィは俺を見た瞬間に声を上ずらせ、顔を引き攣らせた。構わず俺はズンズンとソフィに近寄る。

 こいつは元々父子家庭育ちだったんだが父親が戦争に送り出されてから帰ってこなくなり、以来街の住民からシカトされつつも雑草みたいな花を売ってなんとか生きながらえているストリートチルドレンだ。ストームクロークは戦死した兵士に名誉はくれるけど遺族へのフォロー一切なしだからな。

 

 俺がたまにいじめて遊んでいるガキだ。

 

「ダメダメダァメ〜〜〜。まだパパじゃないでしょぉ〜〜〜? 今日は【甘いお花】買ってないんだからさぁ〜〜〜」

 後ずさって壁際に追い詰めたソフィの頭上の壁に手を当ててその可愛いお顔を覗き込む。ゲームだと規制なんやらの関係かガキは無個性かつジャガイモフェイスばかりだったが、この世界ではちゃんと顔に個性がある。ブサイクがいりゃ美形もいて、普通の顔のもいる。そしてソフィはガキの中でも美形の部類、将来絶対に美人なノルドになるだろうなって感じの洋ロリだ。

 

【挿絵表示】

 

「あ、あの……パ、マロラグ。な、なにか、私にご用事でも……」

 ソフィは俺が声をかけてきた理由など想像がついているだろうにすっとボケて頭を伏せやがる。俺は現実を解らせるために、一先ず10ゴールドほど彼女の籠の中に一枚一枚落とし込む。チャリン、チャリン、チャリン、とコインがぶつかる音が大きくなる度、息が荒くなるのが聞こえる。

「いやさぁ、もう暗くなるしぃ、子供が外を出歩いていたら危ないでしょぅ? 俺がお家まで送り届けてあげるよぉ」

「……は、はい」

 手で促すとソフィはその方に歩き出す。俺はその小さな背中に手を当ててさする。ビクンッ! と全身で跳ね上がったソフィだが逃げる様子はない。別に逃げても俺が追いかけたりしないことはわかっているが、それでも彼女は俺に従う。俺たちは灰色地区に向かって歩いていく。

 

 宿屋の前に来た。俺はソフィを連れて正面から、は入らない。一旦宿屋の前を通り過ぎる。

「じゃ。気をつけて帰るんだぞぉ。わかっているとは思うけどぉ、そっち使えば近道だからねぇ」

 俺は宿屋の隣の建物と更に隣の建物の間にある細い道を指差す。

「……はい。送ってくれて、どうもありがとう」

 ソフィは重たい声で細道に入っていく。彼女を見送った俺は来た道を戻り宿屋に入った。

「お帰りなさいませ、旦那様」

 宿屋の主人が恭しい態度で俺を出迎える。

「おうよ。ところでフェインディスくん。裏から俺のお客が来るから出迎えて部屋まで案内してくれたまえ。少しばかり、背の低いレディーだからねぇ。見落とさないようにしてくれよ?」

「はい。かしこまりました旦那様」

 頭を下げる主人の肩を叩いて俺は部屋に戻る。主人が最優先の超速度で準備してくれたスイートルーム。部屋そのものは寒々しい石造りだがあちこちに銀製の調度品が飾られており、色とりどりの山の花が編まれて部屋を彩っている。壁には額縁に飾られたサーベルキャットの頭がかけられている。部屋の中央、シャンデリアの下にはクロスがかけられたテーブルがあり、向かい合う左右の席には銀製の食器が並んでいる。かなりいい感じだ。

 

 俺はいそいそと鎧を脱いで上等な服に着替え、テーブルに座って今か今かと待っているとドアがノックされる音が聞こえた。

「どうぞ。開いている」

 俺が入室を促すとドアが開き、怪訝そうな顔の主人が入ってきて玄関口で止まった。

「あの……旦那様。お客様というのは……その……、此方のお嬢さんでいいんでしょうか?」

 主人が開けたドアを背にするように身をひくと、そこには不安げな顔をしたソフィが立っていた。そういやこの宿でソフィと一緒に泊まったことはなかったな。

「ああ、問題ないぜ。その子を入れてくれ。それと、ディナーの準備を頼むよ」

「は、はい。では、どうぞお嬢さん」

 主人は戸惑いつつもソフィを部屋に入れてドアを閉めて行った。戸惑っているようだが丁寧な対応をしてくれて助かるよ。

 

 ここは一見ただの安宿だが実際は悪事の計画、路上売春婦の連れ込み、監禁や拷問なんかの後ろ暗い行為の為に部屋を提供してくれて、客が何をやっていても適切な金額さえ払えば絶対に口外しないという素晴らしい場所だ。詐欺女を拷問するときは別に衛兵が乗り込んできても犯罪者を突き出せばいいだけだから安い部屋を選んだが、流石にガキを連れ込むとなればなるべく外に音が漏れないようにしたいからな。

 

 ソフィは見たこともない豪華な空間に目をキョロキョロと動かしている。そして不安なんだろうか、両手を胸のところで温めるようにさすりっている。

「ほら、まずはこっちに来てごらん」

 俺が手招きするとソフィはゆっくりとした、と言うよりは後ろから引かれているかのような重い足取りで俺のそばに来た。俺はその小さな顎に手を添えて顔をくいっと上げ、左右に動かして舐めるように品定めする。

「ふーん……前よりかわいくなったねぇ。少し背が伸びた? ロクに飯も食えていないだろうに。あ。胸は相変わらずの絶壁だね(笑)」

「……」

 反応がない。ソフィは努めて無表情でいようとしているみたいだ。意地らしい抵抗だねぇ。

「この部屋には洗面所があるからまず顔と手を洗ってきな」

 ソフィはの手から離れると指差した洗面所に向かっていった。バシャバシャと水の音が聞こえてくる。大して時間もおかずに戻ってきた彼女の顔は汚れが落ちており、ノルド特有の白い肌に戻っていた。

「かわいいねぇ。綺麗になってもっとかわいくなったねぇ。じゃあそこの席に座りな。もうすぐディナーが来るから」

 ソフィは向かいの席に座るが椅子の高さが低く、胸より下が見えない。まあ客がガキだなんて言ってなかったしな。そして俺と目を合わせないように項垂れているもんで更に小さく見える。俺はニチャニチャとその頭を見つめる。

 

「失礼します。お食事をお持ちしました」

「おう、入ってくれ」

 主人がやってきて晩飯持ってくる。彼は手際よく皿を俺たちの前に並べた。パン、アッシュヤムのポテサラ、キャベツのスープ、スローターフィッシュの切り身焼き、青リンゴシャーベット、ブラウンソースのかかったビーフステーキ、そしてクリーム煮。湯気の立ち込めるそれらの美味そうな匂いにソフィは顔を上げて聞こえるくらい大きな音で唾を飲み込んだ。

「ドリンクにはワイン、エール 蜂蜜酒がございます。お好きなものをお選びください」

「全部ほしい。まずはワインをくれ」

「かしこまりました」

 主人が俺の差し出したゴブレットに血のように赤い液体を注ぎ、続いてソフィのゴブレットには陶器の瓶に入ったミルクを注いだ。

「それでは、ごゆっくりお楽しみください」

 主人は一礼して部屋から出ていく。さて、まず俺はワインを口に含んで舌で転がす。渋みと酸味のある液体だがこれがクセになる。

 ワインを飲み込み、続いてスプーンを取ってアッシュヤムのポテサラをいただく。悪くない。里芋系で少しぬるぬるしているがこれもうまい具合に調理されている。だが肝試し感覚でソルスセイムに行ったら危うくミラークに操られそうになったことを思い出しちまった。やっぱドヴァキンでもないのに呪われた場所に行くもんじゃないな。

 

「あの……」

 俺が眉間に皺を寄せているとソフィが声をかけてきた。見ると食事どころかドリンクにすら口をつけていない様子。どうしたんだ? 腹の調子でも悪いのか? と思ったが、その物欲しそうな眼差しで思い出した。

「あ、あ〜〜〜。言いつけを忘れてなくて偉いよ〜〜〜ソフィちゃぁ〜〜〜ん」

 こいつには俺と食事する時に俺の許可なく食べてはならないと言っておいたんだったな。ご馳走を目の前に我慢して唾を飲み込み続け、次第にはヨダレと涙をボロボロ流しながら耐え忍ぶ様が可愛くて言いつけておいたんだった。

「食っていいぞ。体力をつけておかなくっちゃだからな」

 今日は他にやりたいことがあるんで無駄に時間は取らせたくない。俺が許可するとソフィは両手でゴブレットを包むように持ち、ゆっくりと啜った。そして口をモゴモゴさせてから飲み、続いてスプーンを手に取りアッシュヤムのポテサラを遠慮がちに少量すくって口に含めた。

 なんか子供らしくない食い方……あー、これも忘れていた。前にマナー講師ごっこでいじめ倒したんだった。俺も特段スカイリムのテーブルマナーに詳しいわけではないんでテキトーに理由つけたりわざと言うことコロコロ変えたりして難癖をつけ、その度におしおき(・・・・)をしたんだった。傑作だったなぁ、縋るようにスプーンを握ってテーブルに突っ伏しながら潮を吹いて泣き喚いていたんだよ。

 まあその関係で今は俺の顔を窺いながら丁寧に食べるように努めているんだな。

「腹が減っているんだろ? マナーとかどーでもいいから好きに食べな」

 そう言うとソフィは俺とテーブルの上の料理を交互に見る。そしてワッ! と飛びつくように皿を持ち上げてバクバクとアッシュヤムを飲み込んだ。更に鼻息荒く空になった皿を投げるように放り、スローターフィッシュの切り身焼きを手で鷲掴みにして口の中に押し込めるように貪る。喉に物が詰まれば手近にあった牛乳をゴブレットではなく瓶を持ってゴクゴクとこぼしながら飲み干し、鼻息荒くまた貪るように食事に飛びつく。口いっぱいに食い物を詰め込んで咀嚼しながら泣いている。

 

 俺はその様を肴に酒を飲んでゆっくり食事を楽しむ。これこれ。これが見たかった。

 普段ロクな物どころか食事すらできない日もあろうガキは豪華な料理を目の前にしても味など楽しむ余裕などない。対して俺はちょいと奮発することになるがこのくらいなら食おうと思えばいつでも食えるのでゆっくりと味わうことができる。

 加えてソフィは俺のことを嫌っている。良く見積もっても苦手としているだろう。そんな相手からの施しなど、子供ながらに屈辱的だろうな。目からこぼれる涙は感涙ではない。眉間に皺が寄っているので悔し涙だろう。これを見ると酒が美味くなる。

 一見与えているようで俺は奪っている。プライドをしゃぶり啜る精神的な搾取だ。

 

「ハァーッ! ハァーッ! ンッ……! ハァーッ! ハァーッ!」

 ソフィは食べカスやソースなどで周りが汚れた口で、まるでフルマラソンを完走したかのように息をしている。目の前には食い散らかされた皿。俺はまだ半分も食べていないのにな。

「もうご馳走様かな?」

 ソフィは肩を上下させながら頷く。

「先に風呂入ってきな。俺は食い終わってから入るからさ」

 肉を切りながら言うとソフィはヨタヨタとした足取りで俺がフォークで指した方へ歩いて行く。

 

 さて、ここからが本番だ。楽しみだなぁオイ。




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