※この作品はR-18です。

滅亡迅雷シンフォギア   作:かかむりょう

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更新は不定期でやっていきます。

今回はエロなしです。


目が覚めたらディストピアだった件

 目が覚めて最初に目に映ったのは、人ひとりいない廃工場だった。

 

「ここは……どこだ?」

 

 自分は先ほどまで、会社のオフィスで残業に追われていたはず。なぜ自分はこんな廃墟染みた工場にいるのだろうか。

 

 俺はひとまず辺りを見渡してみる。周りには既に使われなくなった機械や設備が置かれている。だが設備そのものはまだ完全には死んでいないようだった。手を加えて修理すれば使えるようになるかもしれない。

 

(いやそうじゃなくて!)

 

 外に出てみると、辺り一面には廃墟となった家屋や建物が広がっていた。一目見ただけでも、街が正常に機能していないことがわかる。思わずスマホを取り出そうとするも、ポケットの中には財布しか入っていなかった。

 

「いったい何なんだ……さっきまで会社にいたと思ったら、目が覚めたらこんな殺伐とした場所で目覚めて……夢でも見ているのか?」

 

 俺は自分の頬を思いっきり抓る。しかし抓った場所からは痛みが生じ、これが夢でも何でもないことを教えてくる。

 

「というか俺が住んでる街って、こんなにボロボロだったっけ?」

 

 次から次へと疑問が浮かび上がってくる。そんな俺の足元に、どこかから飛ばされてきた新聞紙が張り付いた。その新聞紙を取って内容を読んでみる。

 

「……『ライブの惨劇から二か月。いまだにノイズによる被害はとどまることを知らず拡大中』……ノイズ?」

 

 見たことがない単語に頭を捻りつつも、俺は続きを読み進めていく。どうやら少し前にノイズによってとあるライブ会場が襲撃され、大勢の犠牲者が出たらしい。その後もノイズによって街全体に甚大な被害が出ているようだ。

 

 読み終えた俺はその内容に驚きつつ、新聞紙に書かれていた内容からある一つの仮説を立てる。

 

「……俺は、元居た世界とは別の世界に来てしまったのか?」

 

 俺はここで目覚めるまでの記憶を振り返る。俺が最後に記憶しているのは、自分が勤めている会社のオフィス内で残業していた自分だ。そこから残業による過労のせいか段々と俺が眠気に襲われて、そのまま意識を飛ばした。そして次に目が覚めたら、俺はここにいた……と言ったところか。

 

「なんてこった……」

 

 もしそうだとすれば、俺はとんでもない世界に来てしまった。なぜ俺がこの世界で目覚めたのかはわからないが、少なくとも俺が元居た世界よりもかなり殺伐としているのは明らかだった。

 

 加えて先ほど出てきた単語……『ノイズ』。この単語から想像してみると、この世界では何か人類を脅かす化け物が存在しているのだろう。

 

「……どうすればいいんだ」

 

 いくら考えていても、答えなど出るはずもなく。ひとまず廃工場内に戻ることにした俺。

 

「まずはこの世界のことについて調べなければ」

 

 元の世界に戻るにしても、この世界のことを何も知らない今の状態では、うかつに動くことも出来ない。そう考えた俺は、廃工場内を探索することにした。

 

 

 

「よし、こんなところか」

 

 一通り廃工場を探索して、俺は廃工場内に残されていたパソコンを開く。昔から趣味で機械いじりをしていた俺は、この廃工場が思っていた以上に設備が整っていたことに興奮した。何しろ、それらの設備は俺が元いた世界よりも格段に技術レベルが高かったからだ。探索するついでに使えそうな設備は一通り修理したので、これから行動する際に利用させてもらおう。

 

「それよりも、ノイズだな」

 

 パソコンで色々調べた結果、この世界について様々な情報が出てきた。いくつかの情報源を参考に、この世界がどういったものなのかを大まかに調べ上げた。

 

 この世界にはノイズと呼ばれるものが存在しており、はるか昔から人類を脅かし続けていた。ノイズについてはあまり詳しくはわかっていないが、なぜか人間だけを襲う習性があるらしい。

 

 ノイズは何もない空間から突如現れ、人間に触れると同時に自分諸共炭素の塊に変えてしまう恐ろしい怪物だ。しかも通常兵器は一切通用しないため、遭遇したらシェルターまで逃げて自然消滅するのを待つしかない。

 

 ノイズは少し前までは出現頻度がとても低かったが、今ではその逆で異常と言えるほど高くなっている。どれほど高くなっているのかというと、昔は生きているうちに通り魔に合う確率より低いとされていたのに、現在は二週間に一度ぐらいの頻度になっているのだ。

 

「知れば知るほどヤバいな、この世界」

 

 俺はこれらの情報を見たうえで、改めて今の自分の状況を振り返る。

 

 この世界は普通じゃない。一歩間違えたらただの一般人の俺はあっけなく死ぬだろう。なにか自衛手段でもあれば話は別だが……。

 

「ん? そういえば……」

 

 そこまで考えて、俺はあることを思いだした。今俺がいる廃工場は、規模こそ小さいものの、設備はどれもハイテクなものだった。そしてこの廃工場を調べている最中、俺はある資料を見つけていたのだ。

 

「……ライダーシステム。あれなら十分自衛手段になるかもしれない」

 

 ライダーシステム。俺が見つけた資料にはそう書かれていた。その資料によると、そのライダーシステムは『プログライズキー』と呼ばれるアイテムとベルト型デバイスの『フォースライザー』を用いて、戦闘用のパワードスーツを展開するらしい。

 

 幸い、それらを製作するための設備は整っている。そのライダーシステムがどれだけ役に立つかは知らないが、何もないよりはマシだろう。

 

「そうと決まれば、早速制作に取り掛かろう」

 

 俺はライダーシステムに関する資料を手に、制作を開始した。かなりの日数がかかると思っていたが、廃工場の設備がハイテク過ぎるのか、制作はどんどん進んでいった。もしかしたら、この工場のもともとの持ち主が何かのプロジェクトで開発を進めていたのかもしれない。そのデータが残っていたのか、はたまた完成する前に放棄されたのか……どちらにしても、今の俺にとってはすごくありがたかった。

 

 そうして3~4時間ほどたったころ、それは完成した。

 

「……できた」

 

 完成したプログライズキーとフォースライザーを手に取り、じっくり眺めてみる。プログライズキーはパープルカラーでサソリの意匠がデザインされており、フォースライザーはジャッキ部分が特徴的な無骨な構造となっている。

 

「……こんなんで本当に大丈夫かよ」

 

 ひとまず制作を終えた俺だったが、ここである問題に気づく。

 

(食糧はどうしようか)

 

 そう、生きていくうえでもっとも重要な食糧事情だ。この廃工場にも一応あるにはあったが、乾パンやレーションなどの非常食しかなかった。そして廃工場の周りには、廃墟となった建物しかない。

 

「……外に出るしかないか」

 

 危険だが、やるしかない。たとえリスクを考えて外出を避けたとしても、廃工場内に残された食糧では長くは持たない。どちらにしても動かなければ死んでしまうのだ。

 

「いざという時には、こいつを使う」

 

 まだ正常に起動するかテストもしていないが、丸腰よりはマシだろうと考え、先ほど作ったフォースライザーとプログライズキーを懐にしまい、俺は食糧確保のために外に出る。願わくば、何もトラブルに巻き込まれないようにと祈りながら。

 

 しかしそんな俺の祈りはあっさりと裏切られることになる。

 

 そして同時に俺は知る。俺が目覚めたこの世界が、俺が想像していたものよりはるかに世紀末であったことを。

 

 

 

 ***

 

 

 

「よし、なんとか食糧を確保できたな」

 

 あれから少し歩いて商店街に行くと、そこでは様々な露店が立ち並んでいた。街全体の雰囲気も相まって完全に闇市場のような雰囲気だったが、いざ店の商品を見てみると、どれもちゃんとした商品が売られていた。特に食材に関しては、どれも新鮮なものが並べられており、値段もそれほど高くなかった。

 

 だがそれ以上に驚いたのが、手持ちの金を使うことができたことだ。同じ日本でも世界そのものが違うため、もしかしたら使えないかもと心配したが、とある店で手持ちの一万円札を見せたところ、問題なく使えるとのことだった。

 

 そのおかげで食糧だけでなく、日用品も問題なく買えた。まともな飯が食えると喜びムードで廃工場に戻っていた俺だったが、その帰り道に事件は起こった。

 

「へへっ……今日もいい女が手に入ったなぁ……」

「嫌ッ! 離して! 離してください!」

「そう言われて離す奴がいるかよ。オラ、大人しくしろ!」

「いやぁぁぁぁぁ!」

 

(なんだ、あれ……?)

 

 どこかから話声が聞こえたので、興味本位で路地裏に入ったら、複数の男たちに少女が拘束されていたのだ。

 

「うるせぇな……いいから黙ってろっ!」

 

 ゴスッ! 

 

「ごっ!? おえぇ……」

「ふぅ……ぴーぴー喚くメスは嫌いだぜ」

「さすがだぜ兄貴!」

「ぎゃははは! いつ見ても兄貴の折檻は恐ろしいぜ!」

 

 兄貴と呼ばれた男に思いっきり腹を蹴られた少女は、苦しそうにうめき声をあげている。それを見た男たちは面白おかしく笑い転げる。

 

(……これはまずい。早く逃げないと)

 

 それらの一部始終を見た俺は、途端に恐ろしくなってその場から逃げ出そうとする。しかし運悪く、慌てた俺はそばに落ちていた空き缶を踏んで音を鳴らしてしまった。

 

(あ、ヤバい)

 

「あ? そこに誰かいんのか?」

 

 当然ながら男たちに気づかれ、俺は慌てて荷物を捨ててその場から離れようとする。しかし時すでに遅く、男たちによってたちまち俺は囲まれてしまった。そこに先ほど兄貴と呼ばれていた男が、俺のそばにやってくる。

 

「おい! てめぇどこのもんだ!」

「いやいや、俺は只の通りすがりで」

「そんなわけねえだろ! こんな路地裏に通りすがりでやってくる奴はいねぇ!」

 

 もっともな指摘をされ逃げ道を奪われた俺は、何とかしてこの場から抜け出すため、奴らの隙を伺う。

 

「そうか。一応聞くけど、ここから見逃してもらうってのは無理か?」

「そりゃ無理だ。俺たちがこれからお楽しみだって時に、お前は水を差してくれたからな。そのお礼はさせてもらうぜ」

 

 そう言うと男は懐から銃を取り出して俺に銃口を向けてきた。それを皮切りに他の男たちもナイフなどの武器を取り出す。どうやら俺は彼らの怒りを買ってしまったようだ。もう話し合いでは解決できそうにない。

 

「……わかった。でも俺も、大人しく殺されるつもりはない」

「なんだと?」

 

 できればこれは使いたくなかったが、こうなっては仕方ない。今俺が生き残れる可能性がもっとも高いのは、これしかないのだ。

 

 俺は懐から、フォースライザーを取り出して腰に装着する。しかし腰に装着した次の瞬間。

 

「ぎっ!? がぁぁぁぁぁぁ!」

 

 俺の全身に強烈な痛みが走る。見ればフォースライザーのベルトの内側から棘のような物が出ており、それが俺の体に食い込んでいた。

 

(くそっ! 資料で見たときは『装着者のベルトへの適合率を調整する』と書かれてたけど、まさかこんな形で調整するなんて!)

 

 やはり試運転しておけばよかったと、俺は今になって後悔する。男たちは突然のことに驚きつつも、俺が無様に痛みでのたうち回っているのを見て下品な笑みを浮かべていた。

 

「へへっ……なんだか知らないが脅かしやがって、とっととくたばれや!」

 

 そう言って男のひとりが俺に殴りかかってくる。俺は痛みに歯を食いしばりながら、プログライズキーを懐から取り出して起動スイッチを押す。

 

【ポイズン!】

 

 俺は痛みで震える手で、フォースライザーにプログライズキーを装填した。装填すると同時に、フォースライザーから警告音のような音が鳴り始める。

 

「ぎゃあああ!」

「な、なんだこいつ!」

「急に出てきやがった!」

 

(……?)

 

 男たちが突如悲鳴を上げて俺から離れる。何事かと思って首を動かすと、そこには驚きの光景が広がっていた。

 

「……サソリ?」

 

 どこかから出てきた巨大なサソリが、周りを囲んでいた男たちを攻撃していたのだ。突然のことに俺もリーダーの男も驚きを隠せなかった。だが俺はこれはチャンスだと思い、フォースライザーのレバーを引く。

 

【フォースライズ!】

 

 フォースライザーのジャッキ部分が、装填されたプログライズキーを展開させる。それと同時に、男たちを攻撃していたサソリが俺の元にやってくると、その巨大な尾で俺の胸を突き刺した。

 

「がぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 俺は激痛に悶えながらも、なんとか踏ん張って立ち続ける。サソリは俺に突き刺した尾を軸として、俺の体に覆いかぶさる。

 

【スティングスコーピオン!】

 

 覆いかぶさったサソリによって、俺の体にスーツが形成される。そのスーツの上から、拘束具染みた装甲に変化したサソリが装着され、俺の全身はパワードスーツで包まれる。

 

【Break down】

 

「ちっ!」

 

 男が銃を発砲するも、俺はそれを躱すことなく受ける。しかし銃弾をもろに受けたにも関わらず、俺は全くの無傷だった。それどころか、スーツに傷一つすらついていない。ちゃんとパワードスーツとしての機能は働いているみたいで安心した。

 

「くそがっ! なんなんだよこれ!」

「おい、テメェら逃げるぞ!」

 

 攻撃が効かないとわかるや否や、男たちは少女を置いて一目散に逃げだした。俺は逃げ去る男たちを見ながら、変身を解除する。

 

「ぐっ……何とかなったけど、ぶっつけ本番でやるもんじゃなかったな」

 

 次からはちゃんとテストをしてから使うようにしよう。そう心に誓った俺は荷物を持って今度こそ立ち去ろうとする。

 

「あ、あの……」

「ん……?」

 

 すると先ほどまで男に蹴られて蹲っていた少女が、ふらふらと立ち上がりながら俺のもとまで歩いてきた。

 

「た、助けてくださって、ありがとうございます」

「……いや、別に君を助けようとしたわけじゃないから。それより早く家に帰った方がいい。親が心配するぞ?」

「……もう帰る家なんて、ありません」

「は……?」

 

 俺が少女の言葉に首をかしげていると、少女は俯いて泣き出してしまった。

 

「あの日から、もう私には居場所なんてないんです……」

「……行く当てないなら、ひとまず俺のところに来るか?」

「え、でも……」

「ここにいるのはまずいだろ。こんな危ないところで野宿するよりかは、よっぽど安全だと思うぞ?」

「……ありがとうございます」

 

 こうして、俺は少女を連れて廃工場に戻ることになった。もしかしたら通報されるかとも思ったが、今はそんなことを言っているときではない。……でもよくよく考えたら、俺も行く当てないようなもんか。ないどころか世界そのものが違うけど。

 

「君、名前は?」

「……小日向、未来です」

「そうか。俺は浪川修哉(なみかわしゅうや)。よろしく頼む」

 

 簡単に自己紹介を済ませ、俺と小日向は廃工場に向かう。今日一日だけで色々ありすぎた……。帰ったらこの子から色々事情を聞かなければ。




エロや戦闘は少しづつ増えていく予定です。

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