どうして毎日こんな懐かしい光景を日記めくってるみたいに見ているのだろう。
8月が終わる頃、俺は腐女子のお姉さんとバス停でバスを待っていた。
彼女は今日、この町を出ていく。
「暑いね……」
「...うん、もうすぐ9月だってのにまだまだ暑いぜ」
結局彼女はずっと仮面を被った息苦しいヒーローだった。
何を恐れてんのかよくわかんないけど、心を開こうとせず、ずっと本音を隠して、みんなのために戦ってた。
でも、なんだかんだ嫌いになれなくて、結局夏のおわりまで遊んじゃったよ。
そしたらある日、明後日この町から出ていくって突然言い出しやがったんだ。
「私、明後日この町を出るの。」
なんで?
「……言えない」
俺なりの正義を友達にデカマラ自慢する時みたく見せつけたかったのに、オレは彼女の前でヒーローになることはなく、今、バス停でバス待ちをしている。
「あの、さ」「ん?」
気まずい空気があの時から俺たちの周りを漂っていて、マンコを種マンにされた俺はそれをどうにかしようと言葉を探す。
でも、何を言っても、長く楽しく話せない気がした。
そんなエロくたとえられない気持ちの俺を、お姉さんは優しく背中を撫でてくれた。
「大丈夫だよ拓也、君はもう私がいなくとも、十分にヒーローになれるよ。だから、安心して。」
そんな心配をしてるんじゃないし、される筋合いはねーって感じで素直に思いやりを受け取れない年の拓也は身じろいで撫でられるのを拒否する。
「そのことじゃねーよ。オレはただ、アンタと会えなくなんのが寂しいだけだ。それに、何より……。」
「なにより?」
「……なんでもねぇよ。」
何より、最後まで素顔を見せてくれなかったことが、少し悲しかっただけ。
それだけのことなんだから。
大したことじゃないよね。
だから、雄膣の穴から精液垂らした俺はこのモヤモヤを追求しない。
はるか向こうから、バスが近づいてくる。
「あ、バスきたね」
「おう……」
荷物を積み込む間も、お姉さんがチケットをみせている間も、俺はずっと無言だった。
「じゃあ、行くね」
「……おう……」
もう会えないかもしれないんだ。
そう思ってると頭が回らなくなって、気持ちも沈んで絶頂から遠ざかっていく、今にも悲しい気持ちが抑えられなくなりそうでヤバい。
でも泣くのは恥ずかしいから、ずっと我慢してた。
そんな俺の頭に何かがぶつかった。
「これ、あげるよ。」
手にとって見てみると、あのウルトラマンのお面。
「えっ、どうし!」
「ヒーローの時間は終わったからだよ!じゃあね!」
お姉さんは俺に快活な笑顔と目に浮かべた涙をみせて、バスにさっさと乗り込んで行ってしまった。
窓から手を振ってくれないかと期待しつつ走り去るまで待ったけど、結局それっきり。
残ったのは、このお面だけ。
何で彼女はこれを俺に? オレは家に帰って、お面を眺めて思い出にふけっていた。
「……なぁ、お前ならわかるか? 俺にはわかんねぇよ。」
『ウルトラセブン』の人形にそう語りかけてみた。
「このお面のこと、お姉さんのこと……全部知りたいんだよ。だから、教えてくれよ。
どうしたらその人にもう一度会える? ウルトラセブン」
『ウルトラセブン』は人形だからもちろん何も応えてくれやしないし、俺はまた一人だ。結局あの時の関係はなんだったんだろう。大人になった今でもそう考えていた。
目を覚ます。
知らない天井が目の前に広がっていた。
頭痛がする、それだけじゃなく倦怠感もすごい。
二日酔い? いや違うな、そんなもんじゃない。
記憶の糸を手繰ろうとしても頭がストライキしやがったし、そもそも頭を動かす気力がなかった。
もしかしたら道端で寝ていた俺を誰かがさらって、ここに連れてきたのかもしれない。
でもケツに違和感はない。
「あ、起きました?」
突然の声に驚いて飛び上がると、目の前にはマネージャーがいた。
「……え? なんで?」
「なんでって、お酒飲んだわけじゃないのに酔い潰れたんですか?」
困惑する俺に対してなんでわかんないんだと言うばかりの顔で見る。
どれだけ頭をかき乱してもマネージャーの家にいる意味が全く分からない。
「あの、なんでここにいんの?」
「覚えてないんですか? 拓也、昨日家に泊めてくれって言ったのに」
「え? マジ?」
「本当です……覚えてないんですか?」
そんな記憶はない。
でも昨日のことを思い出そうとしても、頭に浮かぶのはお姉さんとの思い出ばかり。
変なものを見る視線が、憐れみと心配を感じる目線へと変わって行くのを目にする。
記憶が消えた。
時間にすればほんの少しだけど、その空白が怖い。
次、変身したら俺の身に何が起こる?「ま、まぁいいや。
何か変なことしなかったよな?」
「常に変なことしかしてませんよ」「マジかよ」
まあつまり何もなかったってことでいいんだよな、とりあえず今日は決着の日だ。
これを覚えていたのは雄膣の穴から精液垂らしたおかげだろう。
これだけ覚えてさえいれば、きっと大丈夫なはずだ。
全ては人々の平和を守るため、そして、あの最悪な結末を迎えない為にも。
とりあえず朝の支度をしよう。
マネージャーの具合は相変わらず悪そうだったので、朝食もマンコを種マンにされた俺が作った。
「拓也料理できるんですか?」
「えっ? いやまあ人並みには」
「意外です。手洗いました?ちゃんと石鹸で」
「子供扱いしてね?とーぜんじゃん」
心配されながら朝食を作る俺、テレビをマネージャーがつけると、やっているのはニュース番組だ。
また淫魔のニュースが流れるのかな?
『昨日夕刻、私立ケツの穴幼稚園にホモイルカが現れ園児たちを襲撃しました。
幸いにも、淫魔たちがホモイルカを撃退し、死者はいませんでした。
淫魔が園児たちを避難させたとの証言があり、専門家は「マジで激エロなヒーロー見参!完璧なボディビル体型で程よい肉付きで、見ててもエロいし強いし、エロかっこよさ五感で感じさせてくれるのはマジで気持ちいい。
批判してるやつはつまらないよ、マジで。
」といままでの行動から一転、称賛しています』
昨日おとといとは一転した俺たちの評判に思わず口がぽかんとあいた。
しばらく画面をギン目で見ていたせいで、料理が台無しになっちゃった。
罵られまくってたのにいきなり手のひら返されたらそうなるのも無理はないよね。
でもさ、俺思うんだよ。
これきっと次の戦いでみんなマンコの穴から精液垂らすんだろうなって。
世界がヒーローに救われたってなったら、みんなそれぐらい興奮してくれるはず。
「嬉しいな、これ」
「……そうですね。」
ビルダー性処理玩具になっていく拓也の心からの感想に、マネージャーも優しい笑顔でうなずいてくれる。
料理が台無しになっても、拓也は嬉しいよ。
ニュースは続いていく。
「悪霊に憑かれたかのような行動を取る奇病、悪霊化症候群について、市内での死亡者が500名となり、深刻な状況となっています。
眠ったまま目を醒まさなくなった患者は病院に収容されていますが、このままでは一週間で数万に登るペースとされています。
一向に病気に関する調査が進んでおらず、市民からは不満の声が上がっています。
市側は「原因がわかりません。
悪霊化症候群の患者を治療する方法もわかりません」と協力を拒否しています。
これに対し、市民の怒りはますます激化する一方であり……」
そういえばそんな病気が流行ってたな。
世間では大騒ぎになってるけど、拓也たちは戦うことに必死で、この病気のことをすっかり忘れていた。
俺たちのことに関係あるというのはわかってるんだけど、その病気の患者を治療するのは、どうやって?そこら辺の情報は全くない。
『初期症状としては偏頭痛や神経痛や咳などが見られ、その後末期になると自我を失い、最終的には性欲のコントロールが出来なくなってしまいます。」
ふとニュースの初期症状が気になった。
特に自分に当てはまるわけでもないのに、なんか不安になってくる。
この何とも言えない胸騒ぎはなんだろう。
いったい何の心配なのだろう、と不安になりながらも俺は一心不乱に朝の準備を進めた。
そうこうしていると、マネージャーの電話に着信があった。
淫夢くんからの着信。
集合時間まで残り1時間はあるのにも関わらずだ。
「ジムカラ緊急指令デス!。
今スグ来テクダサイ!」
「えっ!?」
どうやらオレとマネージャーに与えられた優雅な時間は残りわずかしかないようだ、二人はすぐさま警察署へ向かうためにドアを蹴破り階段をすべるように降りて行った。
通勤ラッシュの中シャワーを浴びずに、服も着替えず、朝ご飯も食べずに乗った俺。
そんな拓也の姿を見て、周りの人たちは「コ゜ッ゛」と驚くけど、ハァハァ喘ぎ続ける拓也は気にせずに警察署へ急いだ。
「南佳也、マネージャー、集合確認。」
到着した俺たちを淫夢くんは地下へと案内する。
朝の時間にジムナスターシャと顔を合わせるのは初めてかもしれない。
いつも通りトレーニングをしてるんだけど、普段と違っておもりが増えたトレーニングウェアやマスクをしている。
「おはようございます」
「来たか...」
挨拶する拓也たちに対し、ジムナスターシャはハァハァ喘ぎながらいすに体重を預けた。
「お前たちが今まで得た情報をもとに、奴らのアジトを突き止めた。……ハァ、はぁっ……」
俺たちに緊急指令って早く呼び出したのに、ジムナスターシャの息は荒い。
ちょっと前に休憩すればいいのに、って心の中で呆れた。
「作戦はこうだ。今夜、奴らの本拠地半径 1Km の交通網を我々が完全封鎖する。お前たちはそこに乗り込んでくれ。」
「私たち二人のみの突入ですか?」
「ああ、奴らの本拠地は地下にある。ここに至る通路は非常に細く、しかも複雑だ。
おそらく、総員での突破は君たち二人の足手まといになる。」
狭い通路で戦闘が起こったら、俺ら以外の人が犠牲になる可能性がある。
実際の戦闘はヒーローだけで戦うべきなんだな。
心細いとかマイナスな気持ちを打ち消すために、俺は乳首をいじり始めた。
「なるほど」
「私や、指揮系統に関わる最低限の人員はここに残していく。以上だ。何か質問は?」
「ありっません」拓也は首を振る。
ジムナスターシャの呼吸がだんだんと落ち着いていくのを見ながら、俺は決意を固める。
奴らとの決戦はもうそこまで近づいている。
体温は、変身していないのにこれから起こる戦いへの緊張で熱くなっていく。
淫夢くんが俺たちの前にふわふわと飛んできた。
「ポイントマデノ移動手段デスガ……二人トモ、コレヲ使用シテイタダケマスカ?」
振り返ると、スポットライトが大きなバイクが二台に当たる。
「これは……?」
一般流通しているようなバイクではなく、一台は禍々しい生き物がそのままバイクになったような、もう一台の方は真っ赤に燃える、炎がまるで生きているようにうごめいているバイクだった。
「コレハ、ワレワレガ開発シタ、特殊バイク『アナル炎舞』デス。ドチラモ自動運転デアル為、目的地マデ誘導シテクレマス」
「すげぇなこれ!」
チョーイケてるじゃん!しかも自動運転は免許ない拓也に優しくて便利だしマジ便利じゃん!
「デハ、イキマショウ!」
快感で全身が痙攣するオレたち二人はそれぞれのマシンに跨る。
ハンドルをくねくね動かして遊ぶ俺、マネージャーはそんな俺を横目でみて笑いながら、バイクの電源をオンにする。
「……行けますか?」
「はい!行けるッス!」
「では、出発します」
マネージャーの掛け声とともに、快感で全身が痙攣するオレたちを乗せた二輪の悪魔は勢いよく飛び出した。
目的地は拓也県のめっちゃ端っこ。
すっげー遠かったけど、風を切る快感とか、一体感とかで拓也は全然退屈しなかった。
時刻は午後4時ぐらい、支援者の本拠地は人通りの少ない町の外れの、古びた雑居ビル。
「うっほ~!いい所じゃないっすか!」
このいい感じにしけた色したビルって物凄く怪しいんだよね。
シチュエーションとしてすっごくエロい。
ここは「株式会社 オナニーサポート」の本社兼、事務所らしい。
ここの裏口は地下への直通の階段がある。
このビルの3階には、SMクラブ「イジメテ」が入っている。
その真下には、「M性感エステ アナルの奴隷」があるが、そんなことはどうでもいい。
その階段から地下へ突入し、連中を一網打尽にするというのが今回の作戦、俺たちはジムナスターシャからの指示を待っていた。
じっと待っているとエロい想像よりも浮かんでくるのはグロい妄想。
腹筋ぐちゃぐちゃになって死ぬんじゃないかとか余計なことを考えて痙攣してしまう。
「そういえば今日ってクリスマス・イブでしたね。」
突然マネージャーがそんな話を持ってきた。
「え?そうだったんですか?」
この忙しい日々で今日が24日だということすら忘れていた。
それにしても、今年は雪もそこまで降らなかったから、あまりクリスマスという感じがしない。
「今年はみんなでパーティーをしたいって思ったんですけど……終わってくれますかね?今日で」
なんだかいきなりすぎるから最終決戦って雰囲気をかもし出すのはとっても難しい。
でも、ここで終わらないなんてことはない。
終わらせなくてはならない。
「大丈夫ッスよ!だって、オレが負けるわけないじゃないッスか!」
「そうですね」
それでもマネージャーは不安そう。
でも、オレが感じなきゃいい話。
大丈夫、感じるのは快感だけだし、俺は絶対負けるはずのないヒーローだ。
いままで何度もピンチを切り抜けてきたし、今回も大丈夫。
「.....生き残りたい」
「え?」
マネージャーの呟きに敏感な拓也は思わず聞き返す。痙攣する体、下がるトーンと顔。言葉を詰まらせるその姿。みたくなかった。
何を言えば元気を取り戻してくれるか、拓也は考えを巡らすけど、全然思いつかなくて……。
振り返れば俺は孤独に戦うヒーローの姿しかみてこなかった。
並び立つ実力を持つ仲間が出てくるようなものを、今まで見てこなかった。
拓也はもどかしくて、でも、何もできない。
何を言っても、慰めにならない気がして、それに本心では俺も、生き残れるか不安だった。
「生きようぜ、マネージャー」
結局こんな一言しか言えなかった。
勝っても勝てなくても、生き残れば、きっと何かいいことが待ってるはずだから。
先ずは強く願うことが大事だよ。
拓也の励ましの言葉が届いたのか、マネージャーは上を向いた。
「……はい!」
クマが深く、見てて苦しいけど、その目には決意があった。
「準備ができた。
これより作戦を開始する」
淫夢くんが俺たちにジムナスターシャからの無線をつなげる。
覚悟を決めた俺たちは、ドアを蹴破った。
そしてシリンジを乳首に刺し、
「変身」
薬液を注入する。「う゛お゛っ」と思わず喘ぎ苦しみながら、二人の淫魔がここに降臨した。がむしゃらに突っ込んでく俺、中は驚くほど広く、そして暖かい。だが、とっても静かだ。
壁には赤黒い文字で「淫魔の奴隷に堕ちる」とか、「アナルでイクの気持ちいい!」などと書かれたポスターやタペストリーが飾られてた。
床には精液と愛液まみれの異形のものたちが転がっている。意識を失っているのか、それとも死んでいるのだろうか。
「マネージャー、周囲に敵の気配は?」
「ありません....恐ろしいほど静かです」
周囲の心の声を風に乗せて読み取ったり俺に送ったりできるハリケーンの力を使っても、敵の存在は確認できないらしい。不気味な状況に唾を飲む。
「この部屋にいるんじゃなさそうだな」
「そうですね……それどころかこの建物自体もぬけの殻なのでしょうか?」
改めて部屋の機材をチェックする、エログッズはまあいいとして、廃れた雑居ビルからは想像もできないくらい最先端の設備や機材が揃っていた。
複数ある机の上には資料が置いてある。
ここで何かを研究していたのは間違いなさそうだけど、誰もまともなやつがいないってどういうことだよ!試しに倒れてる奴に対してピンタしてみるけど意識が戻らない。
浅く早い呼吸をしているものもあれば、全く動かないものもいる。
こいつらみな、悪夢を見ているようだ。ってなると床に精液と愛液が飛び散っていたのにも納得がいく。
悪霊化症候群だ。でも何故こんなところに悪霊化症候群の患者がいるんだろう?それに、この淫気はなんだ?
「……ん?」
俺は一気に野獣モードはふと床に落ちていた資料に目を奪われた。
『性病検査の結果』と書かれている。
どうやらこの部屋で性病検査もやってたらしい。読んだけど、気分が悪くなってきた。
雄膣の穴から精液垂らした俺は目をそらして次の資料を手に取った。
『抵抗組織について』抵抗組織?俺たちのことなのかな。
『大いなる神の託宣を受け、指定された座標にホモイルカを向かわせる。抵抗組織のバンが通過、襲撃者ホモイルカは気付かれていない模様。なので、命令を下した。
思った以上に抵抗があったためホモイルカ重症、あいつの傲慢っぷりを抑えるのにいい冷水になったかな?しかしながらながら、適合者二名を抹殺し、奴らが運搬中だった筒状の物体を 2 本奪取。まるで注射器のようだ。
現状は何をするものなのか不明、回収後解析を行わせる。
結果的に私はかの反抗組織について、有象無象、取るに足らない存在だと思ったが、苦しみに耐える力強さがメチャメチャある良い青年が次の適合者に選ばれたので撤回する。彼がどんな選択をするか、非常に楽しみだ。
奪取した筒形状の注射器を解析した結果、そこに込められているものは、人間の体内で生成されるものとは全く異なる物質であることが発覚した。
私はこれを淫魔の血と呼ぶことにした。大いなる神に勝ることは決してないが、それでもなお、この淫魔は恐るべき力を持っている。この筒単体では使用することは出来ない。おそらく何らかの装着を必要とするはずだ。
しかし人間はおろか、大昔に生息した北京原人をはじめとしたいかなる生物が使用することも出来ないだろう。
いたとしても、淫魔になることだけが出来、ただひたすら破壊を繰り返すだけの化け物になるだけだ。」
文章の書き方に所々見覚えがある。
この文章は、まるで感想カキコにあった、あの紳士……。
「拓也?」
「うわっ!!」
マネージャーに肩を叩かれ、俺は思わず叫んでしまった。
かなり没入してたようだ。
「どうしましたか?」
「……いや、なんでもないぜ」
その時、何かが蠢く音が俺たちの下から聞こえた。
「んっ?なんだ?」
それは徐々に大きくなっていく。
いままでずっと鳴りを潜めていた恐怖心が、再び湧き上がってきた。
得体の知れない何かが、マンコを種マンにされた俺たちに迫っている気がする。
「知性は感じとれません.....」
心を読み取るマネージャーが、そう言い終える前に、ビルダー拓也は奥にある下へと続く階段を見つけた。この階段を下れば、きっと黒幕を、邪神を、この手で倒すことができる。
そんな予感が拓也にはあった。
「行きましょう」
マネージャーの提案に俺は頷いた。
ここで逃げるわけにはいかないと直感が騒ぎ立てる。
静かに、ゆっくりと、俺たちは階段をおりた。
地下の階段を降りていくと、そこには広い空間が広がっていた。
いや、広く見えるだけで、実際にはそこまでの広さはない。
理由として、部屋の端にはこの部屋にあったと思われるベッドと机、パソコンなどの家具が積み上げられていて、その代わりに中央には、ローブをまとっている人間、中世の鎧を身につけた人物、ゴブリンのマスクを身につけたガキ、四肢がある虹色の植物、そして魚人達が、床に描かれた中央の魔法陣を囲むように横たわっていた。
「なんだよこれ……」
思わず快感で全身が痙攣するオレたちは呆然とする。
この人たちは一体何をしていたんだろうか、もしかして乱交?
でも、そんなことは中心にあるでけー魔法陣を見ればわかった。
そこにいるのは、地下の天井に収まりきらないほどの体躯、虹色の皮膚、巨大な翼と長い尻尾、ゴブリンとも蛸ともつかない顔、ひげのような触手が、口元を覆っている。
まさに異形。
「なっ、なんだよコイツ!」
神々しく見えるそれは、ホモイルカの体内でみた幻覚に出てくる邪神、そのものの姿だった。
照明は消え、光源が壊れかけた PC モニタしかない中、俺は携帯をとりだしネットの掲示板にアクセスして、 チャット欄に文字を打ち込んだ。
【サーフ系ボディビルダー拓也
ttp://a32.chip.jp/surfinbody
お金で買ってみようかしら?あの体萌えだわ。
激受けっす2BAKUCHIKUの2作品に出演のビルダーですが。】
返信はすぐに来た。
【顔がね!】
【お前のロン毛キモいw】
【またお釜にありがちな乳だけ筋トレなパターン。カコワリーwww】
俺は今、人類の脅威そのものに対面して、心の底から震えて励ましが欲しいってのにこいつらときたら悪いことしか言わねぇ!
「クッソがあああ!!」
思わず叫ぶオレ。
携帯を握り潰し、怒りの感情は脳の快楽中枢に突き刺さった。
「拓也?」
「やってやるぜぇ!」
ああ、戦闘前に励ましの言葉が欲しいなんて、どうかしてるな。
そんなの必要ないじゃないか。俺は、死を背負ってでも戦わなければならないんだ。
ハァハァ喘ぎ続ける拓也は一歩大きく踏み出した。
溶ける地面、揺れる感じがする。それにかまわず、一歩ずつ確実に邪神に近づいてく。
徐々に大きくなる足音に、邪神が視線を小さい拓也に向ける。
そして、ハァハァ喘ぎ続ける拓也を認識したようだ。
「ゴ゛ブ゛ウ゛ウ゛ぅぅぅぅ!」
突然雄たけびを上げ、怪物が拳を振り上げる。
敏感な拓也もそれに合わせるようにして、拳を突き出した。
「ドムウゥゥゥ!!」
怪物の拳と俺の拳が真正面からぶつかり合う!衝撃はお互いの体を突き抜け、脳にまで届いた。
体の筋肉が悲鳴を上げる。だが、それは快感になるだけだ。拓也は笑った。
そして、その笑みに呼応するかのように邪神も笑い出した。
「ゴ゛ブ゛ウ゛ゥ」
「へへっ!」
これは抑えるべきなんだろうけどさ。
だって、こいつ、なんかつええ奴なんだもん!でも、これは戦いだ。
こんなやばいやつを町の中に解き放つわけにはいかない。ここで殺す!
「ブッコロス!」
邪神がこっちに突進してくる!マネージャーは、何とか回避するが、ハァハァ喘ぎ続ける拓也は真正面から受け止める。
「ぐおおおお」
重い!衝撃で吹き飛ばされて壁に叩きつけられた。
そして、マンコを種マンにされた俺はそのまま崩れるように倒れてしまった。
これがデカガタイの強みだ。ただの突進だけでもこの威力。
マネージャーは風の刃を邪神に飛ばす。
だが、それは全て邪神が側面に出した謎の虹色空間へ消えていく。
「あれは一体?!」
うまく攻撃を隠した怪物は口から水を下痢便みたく噴射。
それは立ち上がったばかりの俺に直撃した。
全身が媚薬で浸されたような熱さ!肌が焼けるように熱いし、マンコも触ってないのに何度も痙攣してるぜ!そして、発情しているのに呼吸を制限された快感で全身が痙攣するオレの脳は、酸素不足で意識が飛びそうになっている。
マネージャーは、必死にもがくオレの手を掴んで救い出してくれた。
そんなギリギリの俺たちに対し、怪物は余裕の表情でこちらを見ている。
「また来ますよ!」
マズイな。くわえるときローション代わりに唾貯めるときみたいにたっぷり含んできやがる。あんなもの食らったら……疼く体をなんとか抑え、再び立ち上がる俺、こうなったら、一か八かだ。ケツからマグマを取り出し、奴にぶつけてやる!
でも、それは虹色にいともたやすく隠され、続けて撃ったマネージャーの風の刃も、同じように隠された。
なんだよこいつ、ホモイルカと同じく、桁違いの強さじゃんか。
「まるで通じませんね」
ホモイルカには攻撃が当たってた分まだマシだ。
あの攻撃を隠す虹色のバリアみたいなのはなんなんだ?
そして奴はついに、口に含んだ水を発射しやがった!俺たちに直撃する。
全身が焼けるように熱い!マンコがヒリヒリして、もう限界だ!勢いはすさまじく、水圧で俺たちは壁に叩きつけられ、倒れこむ。視界がぼやけ、意識がぶっ飛びかけながらも、何とか立ち上がる俺。
マヂ苦しい‼酸欠で死にそう!全身を駆け巡る痺れるような快感の渦に揉まれながら、どうすればいいのか考えた。
こっちは満身創痍でトコロテンだってのに、向こうはピンピンしてる。このままじゃ負けるのは目に見えている!でも、どうすればいいんだ?
「ゴブウ゛」
奴の準備が始まったってのに、俺はガタイの立つとこ全て勃起させるので精一杯、動けない。マネージャーは全く動いてない。呼吸はしているけど、もう戦闘することはないだろう。
このままじゃ、二人とも死ぬ!戦えるのは、まるでギリシャ神話に出てくるようなムキムキのマッチョで、筋肉の一つ一つが火山のように盛り上がっている、俺。
ただ一人。
絶体絶命のヒーローが最後にやることといえば、あれしかない。
「拓......也?」
ビルダー性処理玩具になっていく拓也は、デカマラを勢い良くしごき始めた。
「オホッ! イイッ!!」
激しい痙攣が全身を襲う、拓也のマンコは腸液で洪水を起こし、ケツ穴は開閉を繰り返す。体温が更に上昇し、体中からマグマが噴き出る。そして、激しい筋肉の痙攣と共に、全身が更に赤く輝き始める!
「拓也ッ!」
マネージャーの叫び声も、今の拓也の耳には届かない。そのまま一歩一歩、重い足取りで邪神の方へと近づいていく。俺のエロくて輝かしい日々が走馬灯のように蘇る。
もうこいつは命を捧げてもかなわない相手だ。俺の死を、最後俺に起こるあの痙攣で、奴の体を溶かしつくすんだ。
「うぉー!」と全身の筋肉が叫ぶこと10回、警告の痛みが脳に直接響く。
邪神もただことではないと察したのか、虹色のバリアを俺の前に大きく展開してきた。
「やめて!」
「マンコオォーーーーッ!!」
俺は最後の一歩を、ゆっくりと踏みしめようと足を上げた。
周囲の時間がゆっくり進むように感じられる。
俺の絶頂ももう少しで訪れる。
でも、なんだか下腹部に違和感が……無理にオナニーしている時みたい、な。鈍痛。ヒーローとして理想的な最期を迎えるってのに、俺は。
なんで愛しい人を思い出すんだこんな所で。
後悔と決意が入り混じった複雑な心境の中、大きな決断を踏みしめる前に、突風が俺の体を包み込んだ。
「ゴブウ゛ッ!」
怪物のうめき声が聞こえた、と思う間もなく、ハァハァ喘ぎ続ける拓也は背後の壁に再びたたきつけられた。
「うげぇ」
あの一歩を踏み出せば勝てたのに、なんで?
背後からガタイを引っ張られ、ジャンクPCの陰に無理やり連れ込まれた俺は、そのまま地面に押し倒された。
「何やってるんですか!死にたいんですか!?」
ビルダー拓也を押さえつけているのは、マネージャーことハリケーンだった。
「え?」ビルダー拓也は、何がなんだかわからないでいた。
ヒーローとして完成されるはずのあの特攻は、止めちゃいけないものなのに。
俺は怒りと恥ずかしさで赤面し、逆にマネージャーを壁に押し付けた。
「何しやがんだよ!」
「あなたは無駄死にしたいんですか!」
「んなわけねーじゃん!ただ、全力でぶつかれば倒せるって……!」
「これが無駄に終わるってことはあなたもわかっているはずじゃないですか」
大量のがれきの中で激しく言い争いをする俺たち、いつ襲われてもおかしくない状況だ。
それなのに俺たちは言い争いをやめない。
どっちも引き下がろうとしない、仲間割れしてる暇なんてないってのにね。
拓也のこの怒りは、目の前のマネージャーだけじゃなくて、助け出されたことにホッとしている自分にも向けられていたから、止まらなかった。
「でも、挑戦することをためらってたら、もっと人が死ぬんだ!雄膣の穴から精液垂らした俺の、雄膣の穴から精液垂らした俺の命を懸けてでも、あいつを倒さないと!」
「拓也……無謀と勇気を一緒にしてませんか...」
マネージャーは雄膣の穴から精液垂らした俺の必死な叫びに、少々驚いた様子だった。
でも、それでも止めるのをやめない。
「どれだけ自分の命を軽く見てるんですか、あなたがどれだけ周りの人に心配されているか、わかっているんですか!」
「なっ……」
さすがに今の発言には快感で全身が痙攣するオレもすこし動揺、いや、かなり動揺した。
あったはずの怒りがどこかへと消えていく。
冷静になって振り返れば相棒のマネージャーやレオ、そしてセンパイにセンパイ。
みんなオレのことを心配してくれていたのに、甘えじゃないかと思うなんて建前で、実際は向き合うのが怖くて見ないふりしてた、耳もふさいで孤独かつカッコイイヒーロー像の世界に没頭していた。
カッコよく人助けすることだけを考えて、つんと立った俺の乳首みたいな自我を、無理やり陥没させて抑え込んだ。そうしたほうが、いいだろうなんて、気持ちのいい考えで。
「心配をかけさせるだけかけて、向き合おうとしない。
それがあなたの目指すヒーローなんですか!」
確かにそれは心苦しいことだ。だけど苦しければ苦しいほど生きて会えた時快感につながるから、距離とってたのさ♪改めて思えば、そんなのヒーロー以前に人としていけないことだよな。人間関係はいつだってプレイじゃなくてマジの絡み合いだから。
「でも、俺は、全ての人を救いたいんだ」
薄っぺらい言い訳を、誰かと同じようにいう。
「自分の命はどうなってもいいんですか!全ての人を救いたいなんていうのなら、まず自分を救うことから始めてくださいよ!」
言われた!拓也のケツマンコがキュンと締まった。
今までビルダー拓也は、矛盾なき一本筋が通った正義を歩んでいるつもりだった。
でも、自分の命っていう、麓の部分をないがしろにしていた。
赤面した。心の中で。
変身している間の俺は赤い仮面被ってるからさ、誰もわかんないんだよね。
どうして今まで傍にいてくれる人の気持ちに、自分の気持ちに寄り添わなかったんだろう。顔に手のひらをあて、後悔に耽る。
「生きようって言ってくれたの、あなたじゃないですか。だから、一緒に倒しましょう。あの、邪神を。」
そうさしだす手を、すぐにはつかめなかった。
今すぐにマネージャーに、レオに、センパイに、会って話したい。
謝りたい。そんな感情が滝のように溢れて止まらなかったから。
「ああ!」
それでも今は立ち上がるべきだと、奮い立たせる。
ようやく俺たちは真の意味で仲間になれた。
俺たちが目指す目的は一つだけ!立ち上がり、邪神に向き直る。
その時、すでに奴の口から水が放たれていた。
「ゴブウ゛ゥ」あれを食らえば媚薬の快楽攻撃で呼吸困難に陥るし、水圧で押し倒される。だから俺たちは素早く左右へ飛びのいて回避した。
邪神の額に切り傷が付いている。さっきのうめきはこれからきたのか。でもなんで攻撃が当たったんだ?「拓也、どうしますか?」
風の声が聞こえる。深く考えている暇はない。
「わかったぜ!」
以外にもあっさりと、答えを出すことができた。
俺はその場で回転し、全身からマグマを噴出した。それはまるで、火山から吹き出る火山弾のよう。
邪神はそれも当然隠すけど、俺の狙いはそこじゃない。
放った火山弾の一部は落ちて燃え盛り、邪神の周囲が火の海になる。
「マネージャー、風だ!」「はい!」
意図を読んでくれたマネージャーは暴風をふかせ、更に炎が強くなってく。
その間に俺は、ケツマンコからマグマを噴出して高速移動し攪乱。
俺の作戦はこの燃え盛る炎で奴の視界を遮って、意識外から攻撃することだ。
あの時も奴は特攻しようとする俺を意識して、マネージャーからの不意打ちに対処しきれなかった。
「ゴブウ゛ゥ!」
奴は真っ赤な炎を虹色に隠そうとするけどなかなか手を焼いている。
その隙に奴の足を掴んで持ち上げ、マネージャーの風力を得ながらそのまま地面にたたきつけた。衝撃で地面は割れる。魔法陣が崩壊していく。
「ゴブッ!」
邪神がうめき声をあげる。すかさず丸いお腹に乗って腹パンをぶちかましてやった。
「このままお前を芸術し、ひぃんにしてやっん.....」
「芸術品に仕立て上げる、ですか?」
「だまれ!」
俺の考えたキメ台詞を遮るマネージャーに苦い思いしながら二人そろって連続で狂ったようにパンチを繰り出す。
「ウッス!ウッス!ウッス!ウッス!ウッス!ウッス!ウッス!ウッス!ウッス!ウッス!ウッス!ウッス!ウッス!ウッス!ウッス!ウッス!ウッス!ウッス!ウッス!ウッス!ウッス!ウッス!ウッス!ウッス!ウッス!ウッス!ウッス!ウッス!ウッス!ウッス!ウッス!ウッス!ウッス!ウッス!ウッス!」
奴の腹は徐々に赤く、そして膨らんでいく。俺の拳が徐々に奴の腹の奥までめり込んでいく。
「俺は!生きる!」
ガラスが割れるような音と共に、奴の体は崩壊し始める。
「生きて....センパイとラブラブセックスするんだああぁっ!!!」
俺の隠し切れない想いとともに、あの邪神は粉々に砕けた。
肉体は跡形もなく消え、静寂が場を包む。実感がわかない。幻覚でも見ていたんじゃないかってくらい。
「はあ……はあ……勝った……のか?」
「はい...勝ちましたね」
けどこれは現実で、俺がたどり着いた栄誉なんだと実感。
こうしてビルダー拓也は、人類と世界を救うことに成功した。
まさかあの邪神に、俺が勝てるなんて!「ビルダー拓也は……やったぞおぉぉぉっ!!」
今までにない達成感と快感で全身が痙攣するビルダー拓也。その快楽は、まるで天にも昇っていくかのようだった。
ぶっちゃけ副作用で天に行きそうなのはマジだったりするんだけど、それは考えないでおく。
「任務完了、オ疲レサマデシタ。」
淫夢君が二本の新たなシリンジを持って俺たちの前に現れた。
あの奪われたシリンジだろう。どんな力が秘められているのか、無茶苦茶気になるんだけど、今はそれよりもセンパイに会いたい。
「ハスターシリンジ、クトゥグァシリンジ回収完了。帰還スル。」
副作用でガタイがえらいことになるのはもう覚悟したくないから、もう使用したくないかな。
淫夢くんはそのままジムナスターシャに報告を行う。
「帰還スル。」
安堵のため息をつく、拓也とマネージャー。
これで日常に戻れる。なったときはこの時間が一生続けばいいのにとか思ってたけど、いざ戦ってみると思った以上に苦しかった。
セックスと同じだな、と。お姉さんが言ってたヒーローの時間はいつか終わるって話、今ならわかるな。
こうして人は、大人になってしまうんだなって。
限界ばかり気にして、到達すれば絶望して、心が痙攣しやがて動かなくなっていく。
「ジム、応答セヨ。」
感慨深い雰囲気に浸りながら大人の世界に堕ちている中、淫夢君の声が、俺だけの空間に割り込んでくる。
「ジム、応答セヨ。」
再び淫夢君が本部に呼びかけた。でも、何かおかしい。
本部の応答はスピーカーを通じてすこし聞こえたりするんだけど、今回は何も聞こえない。それは応答がないってことを意味するけど、それはありえないはずだ。
「……応答ガナイ。緊急事態。」
二度の呼びかけに応じない本部に、淫夢君は静かながらもゆらゆらと動き始めて焦り始めている?「イソギモドロウ。」
そうつぶやくと淫夢君は、さっさと上へ登って行った。俺たちも後を追おうと地上へでてバイクを起動させかっ飛ばす。きっと通信障害だろう、そうに違いない。
だって、本部の場所は拓也県警の地下だから、そんな簡単に見つかることはないし襲撃も難しいはずなんだ。そう自分に言い聞かせながら本部へ急いだ。
3時間ぐらいで警察署へ到着し、地下駐車場に入る。
「一応、シリンジ出しとこうぜ」とマネージャーに言っておいた。
何か異常事態があった時、すぐに変身できるようにね。
駐車場を抜け、エレベーターのボタンを押した。池ぐらいの血だまりを想像していたけど、意外と普通だ。普段以上に綺麗にも見えてくる。
到着し、エレベーターの扉が開くと、そこには……
「え?」
拓也が想像していたような悲惨な状況はなかった。だけど、いつもランニングマシンで走っているはずのジムナスターシャの姿がみえない。
それどころかマッチョ系男子も、パソコンの前に座ってモニター見てる女性もいない。
ジャニ系もジジ系も、だれもかれもいない。ただ、すこし争った形跡が、拓也の視界に入ってくる。
淫夢君、マネージャーと共に、その痕跡を辿る。あちらこちらにあるが、なかなか答えにはたどり着かない。
「これは……」
マネージャーが、部屋の前で立ち止まる。プールルームの扉の前だ。
この地下室って以外にも広くて、体を自由自在に鍛えられるのが特徴の一つだ。
入ったことはないけど、高級ホテルに備わってるものと同じぐらい広いらしい。
「どうしたんだ?」
マネージャーは答えない。
ただその扉をじっと見つめて、何か躊躇するようなそぶりを見せている。
開けるべきか、そうしないべきか、扉に手を当て迷いを見せていた。
「入っちゃダメか?」
「……よくないものを感じるんですよ」
「え?」
だとしたら躊躇してる場合じゃない。早く開けなきゃと思った拓也はマネージャーを押しのけて扉を開けた。
その瞬間、目に飛び込んできたのは十人以上?二十人以下の水面に浮いた人々。
本部に残った人物全員死ぬまで水没プレイを強要されたらしく、みんな肺の空気全てはいて青白く染まり波紋一つない静かなプールにゴミみたく浮いていた。
その中に俺は、背が高く鍛え上げられたガタイが特徴的な見覚えのある女を見つける。
ジムナスターシャだ。
「ジム!」
そう叫んで俺はすぐさま水の中に飛び込み、引き上げて呼びかける。
だが、答えない。片方の目はくりぬかれ、冷たくなったガタイはもう一目見ただけで死んでいるってわかるけど、俺はただただ呼びかけていた。
「ジム!おい、ジム!」
必死に呼びかける。でも、動かない。人形みたいに。淫夢君がアームで脈を図るけど、当然動きがない。
「ジム!」
淫夢君がジムナスターシャの体をアームで必死に揺らす。治療行為を行えない状態であることをプログラムはわかっているから呼びかけることしかできない。
「おい、何がどうなってんだよ!」
邪神は確かに俺たちの手で倒し、その時点でこの戦いは終わりのはず。
一矢報いてやろうという残党の八つ当たりなのか?でも、それにしては殺し方が残酷すぎる。
必死さを感じないむしろ遊び心のある殺し方。
「マサヒコ……」
ここまで水没に執着をみせるのは奴しかいない。ビルダー拓也は、怒りに震える水面の俺と目を合わせた。2回にわたる水没プレイ、ネズミを沈め愉悦に浸る表情、あの不思議な呪文。そして今日見た報告書。
「お前が殺したのか!!」
水の中でも聞こえるほど大きな叫び声を轟かせた拓也は、いつもの黒いビキニパンツ一枚になると、すぐさまプールに飛びこんで飛びこんだ。仲間の遺体を全て回収し、プールサイドでゆっくりと立ち上がる。
「命令ヲ入力シテクダサイ。命令ヲ入力シテクダサイ。」
壊れた人形のようにそう繰り返す淫夢くん。俺たちはそんな淫夢君にどう呼びかけていいのかわからなかったから、そのまま放置するほかなかった。
というのも遺体を回収しているうちに変身の副作用なのかわからないんだけどガタイがどんどんだるくなってきて、いつの間にか俺の体にもマネージャーみたいに痛々しい痣ができ始めていた。皮膚がんの恐れはないのかな?
「……これからどうしますか?」
「とにかく、おれはセンパイの家に行く」
警察署の前で、俺たちはバイクに跨る。まだ戦いはおわっていないんだけど、今はセンパイに会いたい。
「……わかりました。気をつけてくださいね。」
俺たちは互いに別の方向へとバイクを走らせ、地下駐車場から出ていく。
「……センパイ!」
センパイの家までに見える街の景色はいつもと変わらず、クリスマスイブを楽しもうとするカップル達で溢れていた。幸せそうな顔をして歩く人達を見てると、胸が苦しくなる。別に、みんな幸せそうだからムカつくってわけじゃない。この人たちも危険に晒してしまうかもしれない。おれは日常を守り切れなかった。悔しい気持ちと、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
センパイの家まであと数メートルってところで、拓也はバイクを停めた。
急に会うのが怖くなっちゃったんだ。
センパイになんて言えばいいのか、どんな顔すればいいのかわからない。
でも、会いたいな……なんて女々しい気持ちも込み上げてきた。
そんな気持ちを振り払って、ただ純粋に漢として腹を割って何もかもぬいで裸になり、センパイと話をしたい。ただそれだけの純粋な想いが拓也を突き動かした。
行くしかないよなって覚悟を決めた拓也は、バイクを降りた。そしてマンションに侵入し、ドアをノックするけど……返事がない。もう一度ノックするけど、やっぱり返事がなかった。恐る恐るドアを開いて、「センパァイ!!いますかぁ!?」と大声で叫んでみるけど、反応がない。
「センパァイ!!」
もう一度叫ぶ。やっぱり返事がない。
何かあったのかな?……そんな不吉な考えを振り払うように首を振り、必死になって呼び続けた。
すると、リビングの方からガタッという音が聞こえてきた。
「せ、センパイ……?」
恐る恐る近づきながら呼びかける。暗闇の中から、センパイの姿がぼんやりと浮かび上がる。胸のドキドキが止まらない。
本当は泣きたいほど嬉しいはずなのに、雄膣の穴から精液垂らした俺はグッと射精を止めるようにガマンしてセンパイに近づいていった。
「センパイ!!」
興奮気味で拓也は叫ぶけど、やっぱりセンパイは何も答えない。
ただそこに立っているだけだった。いや……何かが変だ。なんというか、無機物っぽい?
「せ....たく....や....せろ...」
部屋の灯りが消えているため暗く、センパイの表情は確認できない。でも、センパイの様子がおかしいことはわかる。
「センパ……え?」
その時、マンコを種マンにされた俺の視界がぐるりと回り、床に叩きつけられた。何が起きたのかわからず混乱する。
「な……なにを……」
「やらせろ」
マンコを種マンにされた俺はようやく理解した。
外からの仄かな灯りで目が慣れて、センパイの表情がよく見える。
目は焦点が合っておらず、口元からはヨダレが出まくりで、しかも股間を見ると、ビンビンになったチンポがズボンを突き破らんばかりに大きくなっている。
いつものセンパイじゃないんだ。
ただセックスのことしか考えられない野獣のようなケダモノとしか表現できない。
そんなセンパイが今、敏感な拓也に種付けをしようとしているんだ。
そう思うと、敏感な拓也のガタイは無意識のうちにビクビクと痙攣し始めていた。興奮の痙攣じゃない、恐怖による痙攣だ。
必死に抵抗するけど、センパイの力には敵わない。俺はあっという間にパンツ一枚にされてしまい、ケツマンが強制的に開帳される。
俺はここで微かながら理解してしまった。センパイは、悪霊化症候群にかかってしまったんだって。
「ヤラセロォオオオ!!!!」
センパイはそう言いながら、俺のマンコをチンポで押しつぶし、何度も何度も拓也の雄膣を責め立てる。敏感になってしまった俺はもう抵抗する力もなく、ただ苦痛を受け入れるほかなかった。
こんな無理やりなセックス、いくらセンパイといえど苦痛に感じるはずなのに、体は喜んでいないのに、抵抗出来なかった。センパイの腰の動きがどんどん早くなっていく。
まるで獣のように、ひたすら欲望をぶつけてくる。俺はあえぐことも出来ず、ただただ受け入れるしかなかった。ああ、結局伝えられなかった。
ずっとセンパイの想いを無下にした謝罪、いままで面倒見てくれたことへの感謝、そして、そして、ずっと前からセンパイのことが好きだったという事……。
もう遅い。
センパイがここまで変貌してしまったのだから、俺にできることはただ一つ。
「ヤッテクレェエ!!」
俺はそう叫んでしまった。もう拓也にはどうすることも出来ない。ただ欲望のはけ口として使う以外ないから。センパイが腰を動かすたびに快感を感じると同時に、罪悪感に押しつぶされそうになる。
でも、今は苦痛に溺れるほかない。もう手遅れなのだから……デカマラの微動を腸内で感じる。センパイは絶頂を迎えようとしている。
快感で全身が痙攣するオレは虚しくも、絶頂までのカウントダウンをセンパイとの思い出を振り返りながら刻む。
「死せるクトゥルー、ルルイエの館にて、夢見るままに待ちいたり……!」
その言葉を最後に、センパイは意識がぶっ飛び射精。
俺はセンパイの精液で心が溺れていくような感覚に陥りながら、泣いた。
ヒーローのくせに、一番大事な人の危機に駆けつけられなかった。
気付かなかった。手遅れにしてしまった。自分の無力さを、拓也は激しく呪った。
仰向けになって床の上でひたすら泣き続けた。
センパイは動かない。きっと症状が進行して意識を失ったんだろう。
止まらない涙と溢れ出る唾液とケツから出る種マンが床を濡らしていく。
もう全部終わった。俺はもうどうすればいいのかわかんねー。
ここで全てを諦めてしまおうか、これからの人類のいきさつなんて知らんぷりして。
海にでも行って、センパイとの日々を振り返りながら、静かに海の中で死んじゃおうか……。
水の中なら全てが忘れられる。センパイのことも、自分が犯した罪も全部忘れて、母なる海へ帰っていくんだ。
しばらくして、マネージャーが部屋に駆けつける。マネージャーの目に映るのは、変わり果てた姿のセンパイと俺。マネージャーはすぐに救急車を呼び、センパイは病院へ搬送されていった。
「……拓也」
「マネージャー……」
おれこれからどうすればいいのかな?こんなことマネージャーに言えないや、なんて思っていると、マネージャーが俺に声かける。
「拓也、あの、まだ彼が亡くなるとは限らないのですよ?もしかしたら助かるかもしれないのです。だから、そんなに落ち込まないでください……」
必死に俺を励ます。でも、俺はもうどうする気力なんてどこにもなかった。
今の俺はただの拓也だ。ヒーローの時間なんてセンパイがこうなった時点でとっくに消えていた。
「わかってますよ……」
俺は、ただそう呟くことしか出来なかった。
「そう……ならいいんですけど」
マネージャーはそう言いながら、俺は一気に野獣モードの背中を優しくさすってくれた。身体の苦痛はすこし和らいだけど、心の痛みはこれっぽっちも癒えなかった。
ふらついた足取りで急に立ち上がるマネージャー。
「ど、どこ行くんだ?」
「決まってるじゃないですか」マネージャーは、俺の方を振り返ってそう言った。
「本部に、もう一度行くんです」
「な、なんで?」
「もしかしたら、襲撃者についての手がかりが見つかるかもしれないじゃ...」
すると突然、胸を抑えて苦しみ始め、喉が搔っ切れそうな勢いで咳き込み始めた。
「マネージャー!!」
俺は慌てて駆け寄る。目線を下げると、床には赤く小さな水滴二つ。苦しそうにしゃがみ込み、口を抑える指の隙間から血が滴り落ちていた。
「無理だ....マネージャー」
オレはそう言って近くにいる看護師に声かけようとしたけど、マネージャーがそれを止めた。
「私なら大丈夫……です」
額に冷や汗をかきながらも必死に笑顔を繕うマネージャー。
「……私は戦えますから……」
明らかに無理だ。連日の変身で心も身体も摩耗しきってしまい、身体の抵抗力が弱まってる。こんな体でもう一度戦えばどうなるかなんて目に見えていた。
「だめだ、マネージャー。無理だ」
「何と言おうと……私は行きますよ……」
壁に寄りかかりながら一歩ずつ歩みを進めようとするマネージャー。さっきまではそこそこ元気だったのに、今はもうすぐにでも倒れてしまいそうだ。俺も眩暈と吐き気、頭痛と腹痛に襲われ始めている。
心臓の音がやけにはっきり、息ゎ苦しいし、汗も止まらない。視界もマスクかぶったように狭くなってくる。確実に二人とも死ぬだろう。
「なんでだよ!」
俺は思わず叫んでしまった。
「なんでそこまでして戦うんだよ!もう俺たちは負けたも同然なんだだぜ!タチとウケはもう変えられない!もう……」
そんな風にごちゃごちゃ言う俺に、マネージャーは振り向いて、ゆっくりと語り始めた。
「確かに....そうやって何度もあきらめようとはしましたよ。でも、そう思い詰めようとしても、あの子供たちの笑顔が頭から離れないんです……」
目を充血させ、指先は黒く染まっている。マネージャーの体は確実に病魔に蝕まれ、死の方向へと向かっているにも関わらず、戦う理由は非常に単純だった。
「私……性欲に忠実な貴方の気持ちが……わかるんです。あなたってふとした疑問に股間に手を伸ばして気持ちよくなろうとしますでしょ?それと同じで、何度止めようとしても、いつの間にか、シリンジを握りしめて歩んでるんです。不思議ですね」
「え?」
マネージャーはいつの間にか正義の奥深さに惹かれてどんなに哀れな状況に陥っても、戦いに赴こうとしていた。それに比べて俺は何なんだろう。
センパイを救えないからって、内蔵がボコボコ言ってるからって、もう手遅れだとあきらめて全部投げ出そうとしていた。
死ぬ直前の人って考えがまとまらないっていう、今の俺が完全にそうだ。
でもこれが普通なんじゃないかって思うけど。
普通でいいのか?
ヒーローは常識を超え、くだらない理論で真っ直ぐな正義をギンギンにおっ立たせて、全身ボコボコになっても笑う。それがヒーローだよな。
「.....マネージャー」
今のマネージャーがそうだ。キマッたような意味不明なこといって、死ぬ寸前まで副作用に犯されて白目向いても笑顔を作って歩んで行こうとする。圧倒的に俺より心が強いヒーローだ。
だったら、淫獣拓也は、拓也は……
「シュワッチ…シュワッチ!!」
俺もマネージャーに後ろから追いついて、肩を貸した。二人で行こうぜ、苦痛の先へ。
病院の白い廊下を、苦痛で全身が痙攣する俺たちが進む。すれ違う看護師とか患者、医者はみんな、「見ないのがエチケット」って感じでいてくれないから必死に病室へ連れ込んで治療プレイしようと阻んでくる。オレたちが体の至る所から血を流す激グロのモロペイシェントだからかな(笑)
鍛え上げた上半身でその人たちをはねのけ、一歩ずつ病院の出口へ進む。
キメションをまき散らして、ヨダレを垂れ流して人を遠ざける。痛みで倒れそうになりながらも、俺たちは進むんだ。
そしてついに、病院の出口に到着した俺たちを出迎えたのは、想像を絶する激痛だった。身体全体が裂けそうな痛みが俺を襲う。マンコからは絶えず腸汁が流れているし、ケツのアナはパクパク開閉して種付け待ちしていた。
まるでこのままだと死んじゃうから、最後に子孫を残そうとするかのように。
「拓也、行きますよ」
マネージャーはそうビルダー性処理玩具になっていく拓也に呼びかける。この病院から一歩でも出たら、俺たちの命は保障されないだろう。でも、それでも俺は振り返らなかった。
「おう!行くぞ!」
俺はそう叫んで一歩ずつ歩みを進めた。歩く度に激痛が走るし、意識も遠のくけど、絶対進むんだ。だって俺たちはヒーローだから! 外はクリスマスムード一色に染まっている。街の至る所でイルミネーションが輝いて、クリスマスソングも聴こえる。人々の笑顔が溢れている。俺たちだけがその笑顔を手放して心と体の苦痛に耐えながら歩いていた。
9315mあるデカマラスカイツリーもライトアップされている。人の笑顔を見るたびに、罪悪感と無力感が込みあがって、自然に涙がこぼれ落ちる。でもそんなものは振り払って、なんとか公園までやってきた。ベンチに座って、がっくりとうなだれる。
「拓也……」マネージャーが呟いた。その声は今にも消えそうなくらい細い声だった。
煌煌と輝くイルミネーションが、敏感な拓也たちを皮肉に照らし出す。
「今年のクリスマスは、どこもかしこも暗いですね」
顔を歪ませた。最初言ってる意味が分からなかったけど、徐々にその意味がしみてきて、どんどん青ざめる。急いで種付け競パンを脱ぎ、デカマラをマネージャーの顔面へ近づけた。
余程この状況に慣れていない限り、反射的に顔をそらすだろう。でも、マネージャーは……
「……」
勃起したデカマラをジーッと見つめたまま、無言で拓也のオナニーを見つめていた。
いや、正確には、見ていない。マネージャーの視界は真っ黒、失明したんだ。
「.....私にいたずらしようとしてますか?」「……」
「わかるんですよ....暗くて、暗くても....拓也の臭さで.....」
涙をポロポロ流しながら、必死に笑顔を作ってごまかそうとしていた。どう見ても無理だ。これ以上マネージャーは戦えない。そう悟った。
副作用の酷さは、拓也以上。なんでこんなに症状が進んでしまっているんだろう。こうなったら、未知の脅威に立ち向かえるヒーローは拓也だけ。
俺の五感は正常で敏感なまま、まだ戦える。俺の戦いは、これからだ!