※この作品はR-18です。

魔術師の娘   作:カミアラエル

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他の男に愛弟子も才能も奪われる師匠

町の仕事が一段落つき、エルラインは深呼吸をして肩の力を抜いた。師匠に向ける顔とは別の表情が彼女の顔に浮かんでいた。明るく無邪気な微笑みを浮かべながら、彼女はポケットから小さな通信装置を取り出し、ボタンを押す。

 

「もしもし、オルくん?うん、今、カラス(師匠)のご機嫌取り終わったよ~」と、エルラインは照れくさそうに言う。

 

彼女がオルくんと呼ぶ人物は、エルラインが秘密にしている恋人のことだ。彼女は魔術師としての生活とは別に、普通の女性としての恋愛も楽しんでいた。その二面性が、エルラインの魅力の一部とも言えるだろう。

 

オルくんはエルラインの恋愛の相手であり、師匠からの愛情とは違った愛情をエルラインに与えてくれる人だった。

 

カラスはエルラインに全幅の信頼を置いていた。彼女の才能、その美しさ、そして何より、エルラインから感じる無償の愛情。それら全てが、カラスの心を揺さぶり、彼女をただ一人の弟子として見つめていた。

 

エルラインの言葉一つ一つ、その行動一つ一つが、カラスにとっては愛おしい宝物。彼女が魔術を学ぶ姿、その努力を重ねて成長していく姿は、カラスにとって最も誇らしい瞬間だった。

 

しかし、カラスはエルラインの二重性に気づくことなく、ただ彼女の愛の言葉を信じ続けていた。彼女が他の男性と関わっている事実、そして彼女がカラスを財布として見ているという事実。それらは、カラスが知る由もない秘密だった。

 

エルラインはカラスの信頼と愛情を受け取り、一方で彼から得られる資金的な恩恵も手放さなかった。それは彼女にとって、生きていく上での必要な事柄だった。

 

カラスとエルライン。その関係は、表面上は師匠と弟子という形を保ちつつも、裏では全く異なるものになっていた。しかし、その真実を知る者は、エルラインと彼女の恋人だけ。それが、この町の運命を織りなす魔術師たちの中で織りなされていく、一つの運命のパターンだった。

 

─────────────────────

 

カラスの心臓が高鳴った。エルラインが突然、明るく微笑んで彼に向かって「カラス様、今日もデートですね!」と言ったからだ。

 

「デ、デート?」と、カラスは驚きを隠せずに言葉を失った。しかし、エルラインの明るい笑顔に心臓が高鳴り、彼の顔が少し赤くなる。

 

彼は魔術師としての修行のため、また師匠と弟子の関係からくる倫理観から、エルラインとのデートを考えることはあまりなかった。だが、エルラインが提案してくれるとなれば、それは別だ。彼女の魔術の才能と美しさに惹かれていたカラスにとって、エルラインとのデートは幸せな時間となる。

 

そして、カラスは照れながらもエルラインの提案を受け入れることにした。「う、うん、そうだね。エルと一緒に街を歩くのは楽しみだよ」と、少し照れくさそうに言う。

 

彼はエルラインと過ごす時間を心から楽しみにしていた。一方、エルラインはカラスのその反応を見てほくそ笑んだ。彼女は自分の計画が順調に進んでいると思った。カラスとデートをすることで、彼からさらに信頼を得ることができるのだから。

 

・  ・  ・

 

エルラインの瞳が光を帯びる。彼女が目を向けた先には、一枚の高級な下着が陳列されていた。花びらのような繊細なレースと、彼女の肌をより美しく見せるであろう鮮やかな色合いが、エルラインを魅了した。

 

「あ、あの下着欲しーな。」エルラインの声はあどけなさを残しながらも、どこか色っぽさが漂っていた。

 

カラスは驚きながらも、エルラインが目を向けた場所を見て、高級な下着を目にする。エルラインがそんな下着を着てくれるのだと思うと、心臓が再び高鳴る。

 

彼は一瞬で顔を赤くした。彼女がその下着を着ることを想像しただけで、心は高揚し、気恥ずかしさで頬を赤らめてしまった。

 

「え、えっと、それなら……」カラスはエルラインに向かって恥ずかしげに言った。「その、それなら……買ってあげるよ。」

 

エルラインは嬉しそうに微笑んだ。そして彼女はカラスの手を握り、「ありがとう、カラス様」と謝意を述べた。彼女の目は幸せそうに輝き、カラスの心をさらに掴んで離さなかった。

 

翌日、エルラインはオルの家に訪れた。彼女の瞳は悪戯っぽく輝いており、彼女の表情は楽しそうだった。

 

「おいエル、その下着どうしたよ?」オルがエルラインの身に着けた高級な下着に気づき、驚いた表情で彼女を見つめる。

 

「あー、これ?昨日、カラス様が私のために買ってくれたの」と、エルラインは照れくさそうに微笑む。

 

「へぇ、流石だな。カラスはエルのためなら何でもするのか。」オルは感心したように言った。そして、エルラインの頬に優しくキスを落とす。

 

「でも、これを着るのはオルくんの前だけだよ?」エルラインは悪戯っぽくオルに囁く。

 

その言葉にオルは満足気に笑い、エルラインを抱きしめた。「ありがとう、エル。お前がこんなに俺のことを想ってくれているなんて、本当に嬉しいよ。」

 

そして、二人は一緒に幸せな時間を過ごす。一方、カラスはエルラインが彼に対して本当の愛情を抱いてくれていると信じ、その喜びで胸がいっぱいだった。それが、この三角関係の現実だった。

 

オルはエルラインを見つめて、満足そうに頷いた。エルラインがカラスから得ている金銭的な恩恵について、かねてからオルは知っていた。そして、彼はエルラインの行動に対して認めるような言葉を掛けた。

 

「あいつ最強だか知らねえけど金だけは持ってるもんな。」オルは低い声で言った。「でかしたぜエル。その調子で引き出してこいよ。」

 

エルラインはオルの言葉に笑顔で頷いた。「うん、ありがとう。オルくん。」

 

カラスがどれほど強力な魔術師であろうと、エルラインにとって彼は金を供給する源でしかなかった。オルとの生活を支え、二人が望む幸せを手に入れるためには、カラスから得られる金銭が必要だった。

 

そして、エルラインはカラスの信頼を利用して、彼からさらに金を引き出すことを計画している。オルの支持を受け、彼女はカラスとの関係をさらに利用していくことを決めたのだ。

 

エルラインはその日の終わりにカラスの家へと戻った。彼女の表情は明るく、どこか満足そうだった。

 

「ふぅ⋯、カラス様、ただいまです♪」彼女の声はやや疲れているように聞こえたが、その声には彼女特有の元気さが感じられた。

 

そして、彼女はカラスの元へと歩み寄り、彼を強く抱きしめた。「おかえりのハグですよー」と、彼女は優しく囁きながら、カラスを包み込んだ。

 

カラスはエルラインの抱擁に驚きながらも、その暖かさに包まれることで、彼の心は満たされていく。「エル、おかえり。一日どうだった?」と、カラスはエルラインに尋ねた。

 

エルラインはカラスの肩に頭をもたれながら、「ふふ、いつも通りだよ」と答えた。そして、彼女はカラスに微笑みかけると、「でも、カラス様が待っててくれる家に帰ると思うと、どんなに疲れていても頑張れるの」と、彼に言った。

 

カラスはその言葉に胸が締め付けられるような感情を覚えた。そして、彼はエルラインをさらに強く抱きしめた。エルラインの言葉は彼の心を深く打つものだった。

 

カラスはエルラインを見つめ、その甘い微笑みに心を奪われてしまった。彼女の瞳に映る無邪気さと愛情に、彼は自分がどれだけエルラインに魅了されているのかを改めて実感した。

 

「エル…頑張ってる君のために、お小遣い増やしてあげるよ。」カラスの声は深く、愛情に満ちていた。

 

エルラインの目が驚きで大きくなった。「本当に? カラス様、ありがとう!」彼女はカラスの手を強く握りしめた。

 

カラスは優しく微笑みながら、エルラインの髪を撫でた。「君が笑顔でいてくれるなら、何でもするよ。」

 

エルラインは感激の色を浮かべながら、カラスに深々とお辞儀をした。「ありがとうございます、カラス様。」

 

そうして、カラスはエルラインのために金を惜しむことなく使い、彼女の笑顔を守り続けることを決めた。一方で、エルラインはそのお金をオルとの生活を豊かにするために利用し、オルへの愛情をさらに深めていく。

 

エルラインは翌日、新たに購入したドレスを身に纏ってカラスの前に姿を現した。そのドレスはエルラインの美しさを一層引き立てており、その姿にカラスは目を奪われた。

 

「カラス様、今日もデート楽しみですね♪」エルラインはカラスに向かって優しく微笑み、「このドレスどうですか?」と質問した。

 

カラスはエルラインの姿を見つめ、しばらく言葉を失ってしまった。その美しさに心を奪われ、一瞬で彼女に魅了されてしまった。「エル…君は、とても似合っているよ。とても美しい…」

 

カラスの言葉に、エルラインの頬が薄く赤く染まった。「ありがとうございます、カラス様。」彼女は恥ずかしそうに言いながら、嬉しそうに微笑んだ。

 

その日、カラスとエルラインは楽しいデートを過ごした。カラスはエルラインの笑顔を見るために、彼女が欲しがるものを何でも買ってあげることを約束した。 一方、エルラインはその金を自分と間男の幸せのために使うことを決めていた。

 

夜、オルの部屋。

 

オルはエルラインをからかうような口調で言った。「ははっ、おいおい、手繋ぎまでしかしてねえのかよ。」

 

エルラインはオルの言葉に、クスッと笑いながら答えた。「だって、カラス様は紳士だもん。でも、手を繋いだだけで何も考えずにお金を出してくれるんだから、楽ちんだよ。」

 

その言葉に、オルは大きく笑った。「あはは、まあそれもそうだな。カラスは良いカモだな。」

 

エルラインは微笑みながらオルの肩に手を置いた。「だから、オルくんと一緒にいられるんだよ。オルくんも彼に感謝しなくちゃ。」

 

オルはエルラインの言葉に、少しだけ驚いた表情を浮かべた。しかし、すぐにそれは暖かな笑顔に変わった。「おう、エル。これからもよろしくな。」

 

その夜、エルラインとオルは共に過ごし、互いの愛を深めていった。カラスから得られるお金を使って、二人は自分たちだけの幸せを追い求めていた。

 

朝、エルラインはカラスの前に現れ、明るい笑顔で挨拶した。「おはよう、カラス様♪」

 

カラスはエルラインを見て、少し混乱した様子で尋ねた。「エル、昨夜はどこにいたんだ?」

 

エルラインは少し考えるふりをした後、笑顔で答えた。「昨夜ですか? お友達の家に遊びに行っていたんですよ。」

 

その答えに、カラスは少しだけ安心した様子を見せた。「そうか、それならいいんだ。でも、エルがいないと寂しいよ。」

 

エルラインはカラスの言葉に、キラキラと輝く目で見つめながら、「ほら、ぎゅっ 」と言いながら、カラスに抱きついた。

 

カラスはエルラインの温もりに心を満たされ、彼女の頭を優しく撫でた。「エル…君がそばにいてくれるだけで、僕はとても幸せだよ。」

 

エルラインはカラスの言葉に、優しく微笑みながら、「私も、カラス様がそばにいてくれるだけで、とても幸せです。」と言った。その言葉の背後には、オルとの夜を過ごした秘密が隠されていた。

 

エルラインがカラスに抱きついただけで、カラスの顔は真っ赤になった。それを見たエルラインはクスッと笑って、「あはっ♪ 顔真っ赤ですよ、カラス様」とからかった。

 

カラスは少し恥ずかしそうに笑いながら、「それは、エルが突然抱きついてきたからだよ」と言い訳した。

 

エルラインはにっこりと笑いながら、「それなら、これからもっと抱きつくことにしますね」とカラスに言った。カラスの顔がさらに赤くなるのを見て、エルラインは満足げな笑みを浮かべた。

 

この朝の一幕は、カラスとエルラインの甘い時間の一部であり、彼らの日常の一部であった。しかし、その背後にはエルラインとオルとの秘密の関係が隠されていた。カラスはその事実を知らずに、ただエルラインの笑顔と甘い言葉に心を奪われていた。

 

 

エルラインは、特別な魔法の練習の一環としてカラスと一緒に時間を過ごしていた。エルラインに出す問題の解法を導くのはカラスの役割だった。だが、エルラインが思いもよらぬ一挙動をしたため、カラスの集中力は途端に崩れ去った。

 

エルラインが魔法の具材を手に取り上げるとき、その躍動的な動きでドレスのネックラインが僅かに揺れ、一瞬だけ胸元がチラッと見えたのだ。その一瞬の出来事にカラスは気を取られ、手元が狂ってしまった。

 

カラスの魔法は失敗し、爆発音とともにカラスの前にあった木製の椅子は小さな木片となって飛び散った。それを見たエルラインは驚いた表情を見せつつも、カラスの赤い顔を見てクスクスと笑い始めた。

 

「あはは♪ なんて可愛い反応をするんですか、カラス様。ちょっとだけ胸元が見えただけで、こんなにも動揺するなんて…。」エルラインの声はからかっているようでありながら、その中には愛情が含まれていた。

 

カラスは顔を真っ赤にして「す、すみません…。少し、驚いただけです…。」と思わず敬語になって言葉を返すと、エルラインは再び笑って、「もっと慣れてくださいね、これからも同じことがあるかもしれませんから♪」と言った。その甘い時間は、エルラインとカラスの関係を更に深めていく⋯。

 

カラスはエルラインの言葉に動揺を隠せず、「こ、こここ、これから、も!?」と顔を真っ赤にして上擦った。その反応を見たエルラインは、思わず声を出して笑ってしまった。

 

「あははっ、カラス様ったら、もう!」エルラインが指でカラスの頬をつつきながら言った。「これからも私たちは一緒に魔法を練習するんですから、またいくらでも見ることになりますよ?」

 

カラスは目を丸くしてエルラインを見つめた。その視線にエルラインは頬を染めながら、「でも、そんなカラス様がとても可愛くて…私、嫌じゃないですよ?」と小さな声で言った。

 

その言葉にカラスはますます顔を赤くし、何も言えなくなってしまった。しかし、そのままエルラインの側にいることで、何かを感じているような表情を見せた。それがエルラインにとっては、何よりも嬉しい瞬間であり、オルとのこれからを考えさせてくれる余裕を生んでいた。

 

「ほら、また暴発したら危ないので、今のうちに見慣れてください。ほらほら。」カラスの頬は真っ赤で、戸惑いと興奮が入り混じった表情を浮かべていた。声を出すことができず、彼の口からはただエルラインの名前だけが漏れていった。「ぁぅ⋯ぇ⋯ぇるぅ⋯」

 

エルラインはカラスの動揺ぶりににっこりと微笑んだ。「カラス様、落ち着いて。もしかして、あまりにも刺激が強すぎて混乱してしまったのかしら?」彼女の言葉は優しく、カラスを安心させるようなトーンだった。

 

カラスは少し間を置いてから、「うん…す、すみません、エル…」と声を振り絞った。その返事を聞いてエルラインは笑顔を見せ、「何も謝らなくていいですよ。私は貴方から魔法の教えを乞う立場の弟子なんですから。」と優しく伝えた。

 

その一方で、エルラインはオルとの関係に思いを馳せていた。彼女はカラスとの時間を楽しみつつも、その裏でオルとの秘密の時間が彼女の心を揺らしていたのだ。

 

「こんな調子じゃ、今日のところは攻撃魔法の練習は無理ですね。」エルラインは突然、カラスに向かって意外な提案をした。「ちょっと遊びの一環で、奴隷契約の魔法しません?」その言葉は軽やかで、まるで子供が遊びを提案するようなトーンだった。

 

カラスは驚いた表情を見せ、「えっ、それって…」と言葉を濁した。奴隷契約の魔法は、文字通り相手を奴隷にする強力な魔法だ。使い手の命令に絶対に従うようになると言われている。

 

しかし、エルラインはカラスの心配をよそに、にっこりと笑って言った。「大丈夫ですよ、カラス様。私たちの間柄、真剣に奴隷にしようとは思っていませんから。ただ、この魔法の感触を掴むだけです」

 

カラスは一瞬たじろぐものの、エルラインの明るい笑顔を見て、少しずつ安心した表情を見せ始めた。だが、その提案にかける彼女の真意と、抱く思いは、二人の関係に新たな波を投じることになる。

 

カラスはエルラインの言葉とその笑顔に、心の底から安心したような表情を浮かべた。「うん、エルがそう言うなら…」と彼は言葉を紡ぎ、魔法の契約に向けて意志を固めた。

 

エルラインはにっこりと微笑んでカラスに感謝の言葉を述べた。「信じてくれてありがとうございます♪」その笑顔にはいつもと同じような無邪気さがあったが、その瞳には何かを計画しているかのような輝きが見えた。

 

しかし、エルラインの内心では、オルとの関係を進めるためのカラスとの魔法の契約という、薄暗い思惑が交錯していた。

 

エルラインの優雅な笑い声が響いた。「くすくすくすっ♪」。その笑い声は楽しげであり、同時に何かを予感させるものでもあった。

 

カラスはエルラインの笑い声に少し戸惑ったが、彼女の笑顔を見て安心した。「エル、君が楽しそうで何よりだよ」と言いながら、彼女に微笑み返した。

 

その一方で、エルラインの心の中では彼女の計画が進行していた。カラスとの奴隷契約の魔法、それは彼女にとって新たな遊びの一環であり、また彼女の人生を大きく変える可能性も秘めていた。

 

そして、その日の夜、彼女は再びオルに連絡を取った。「今日も一日、カラスのお世話をしてきたわ。でも、これからが本当の楽しみ…」エルラインの言葉に、オルはただ黙って笑い、二人の秘密の時間が始まった。

 

エルラインの声には期待感が満ち溢れていた。「公開処刑が楽しみよ♪」と彼女はオルに向かって楽しげに告げた。彼女の言葉は直接的ではないものの、その意味するところは彼にとって十分に理解できるものだった。

 

オルはエルラインの言葉ににっこりと微笑みながら応えた。「それは楽しみだな、エル。俺たちの秘密を知らないカラスの顔を見るのは、きっと面白いぜ」

 

二人の間には特別な関係があり、その関係がエルラインの計画を鮮やかに彩っていた。彼女はカラスとの奴隷契約の魔法を利用して、彼を自分の手の中に閉じ込めようと考えていた。

 

そしてその日、カラスとの奴隷契約の魔法が実行され、エルラインとオルの計画が一歩前進した。エルラインの笑顔はますます明るく輝き、オルの笑みも深くなった。

 

─────────────────────

 

エルラインの計画は見事に成功し、カラスはエルラインの奴隷契約の魔法によって彼女の命令に従う存在になってしまった。エルラインはその成功を確認するように、優雅な声でオルに報告した。

 

「カラス様はなんでも命令通り…」彼女の声からは満足感が滲んでいた。カラスを自分の手の中に閉じ込めることで、エルラインの自由は一段と広がった。

 

オルはエルラインの報告に深い興奮を隠しきれない様子で応えた。「それはすばらしい、エル。これでカラスはお前の言うことを何でも聞くんだな?」彼の声はエルラインの計画に対する深い共感と期待感に満ちていた。

 

「さあ、これからが本番ね。カラス様とオルくん、初対面の時間よ」エルラインは細かく計画したシナリオに沿って進行させ、二人を引き合わせた。

オルのことは町の仕事で知り合った優しい人として説明している。これは友達紹介ということになっている。

 

オルは若干の緊張感を隠しきれないまま、カラスと握手を交わした。「エルからはよく話を聞いているよ。ついに顔を合わせるとはね」

 

カラスは何も知らないまま、エルラインの指示通りに振舞った。「オルさん、エルから町の仕事を手伝ってくれてると聞いています。いつも彼女を助けてくれてありがとう。よろしくお願いします」

 

「次に、才能をオルに譲渡させる」エルラインの言葉に、オルは一瞬驚きを浮かべたが、すぐに理解の表情に変わった。「つまり、カラスの力を俺に移すというわけか。それは興味深い」

 

エルラインは自分の計画が進行する様子を見て、満足そうに微笑んだ。

 

エルラインは命令するようにカラスに言った。「カラス様、『魔術師の才能を彼に明け渡して』」彼女の声は強く、説得力があり、そして何よりも確信に満ちていた。

 

カラスは混乱した顔を見せながらもエルラインの言葉に従った。奴隷魔法の刻印が輝き、彼の身体から微かな光が放たれ、それがオルに向かって流れていった。これは、カラスが持つ魔術師としての才能がオルに移る様子だった。

 

エルラインとオルはこの一瞬を見つめ、それぞれが満足そうな微笑を浮かべた。オルは感動的な表情を見せ、エルラインは計画が順調に進んでいることに対する満足感を隠さなかった。

 

こうして、エルラインの狡猾な計画は次のステップへと進んでいった。その結果、オルはカラスから魔術師としての才能を手に入れることができ、さらに新たな可能性が広がった。

 

カラスの混乱と不安に満ちた声が響く。彼は場の空気が変わってきたことを感じ取った。

 

「え、エル?これはどういうことなんだ⋯?貸すだけだよな?友達と魔法で遊びたいなら言ってくれれば普通に魔法をかけてあげたぞ?」

 

エルラインは少し複雑そうな表情を見せた。彼女はこの事態を予想していたが、カラスが混乱する様子を目の当たりにすると、少なからず心が揺らいだ。

 

しかし、彼女は直ぐに我に返り、自身の計画に忠実に従うことを決意した。そっとカラスに手を差し伸べると、優しく微笑んで言った。

 

「カラス様、大丈夫ですよ。あなたの魔力は私たちが守りますから」彼女の言葉には優しさと同時に、計画を進めるための冷酷さも混ざっていた。カラスの魔力がオルに移り、エルラインの計画は次の段階へと進むのだ。

 

「守る、ってどういうことだ??なぁ、流石にこれは冗談がすぎるぞ⋯?」カラスの声は震えていた。彼の目には、エルラインに対する信頼が曇り、不安と困惑が混ざっていた。

 

エルラインは彼の心中を察したが、計画を遂行するためには避けて通れない道だった。彼女はやさしくカラスの手を取り、両手で包み込むように持った。

 

「カラス様、あなたが私たちに託してくれた力は大切に使います。あなたの大切な魔術師としての才能は、私たちが確実に活かすからです」彼女の言葉は穏やかだったが、その中には厳然とした決意が込められていた。

 

カラスはしばらく黙ってエルラインの言葉を聞いていたが、その表情は依然として困惑したままだった。彼はエルラインに向けて、求めるような視線を送った。

 

カラスの声は紛れもない驚愕と裏切り感で震え始める。それまで彼が信頼していたエルラインの行動が、一変して冷たい裏切りに映ったのだ。

 

「な、な、なっ、それって、つまり、俺から奪うってことか!?エル、その男はただの友達じゃないだろう!」

 

エルラインは彼の疑惑を否定することはなかった。彼女の瞳は、心を閉ざすように冷たく、淡々としていた。彼女はカラスの手を離し、オルに向き直った。

 

「カラス様、あなたの力は、私たちのために使わせていただきます。彼はただの友達ではありません、それはご指摘の通りです」

 

エルラインの冷静な言葉に、カラスは言葉を失った。そして、オルの方を見ると、彼はすでに新たに手に入れた力を感じ取っていた。その眼差しは、カラスに対する憐れみと嘲りで満ちていた。

 

カラスはエルラインに最後の期待をかけて、彼女を見つめた。「エル、俺は君を⋯」しかし、その言葉はエルラインの冷たい視線に遮られた。

 

「申し訳ありません、カラス様。でも、これが私の選択です」彼女の言葉は、全てを終わらせるような決定的なものだった。

 

カラスは叫びをあげた。心臓が締め付けられるような激痛に襲われ、彼はその場にひざをついた。オルとエルラインが手を繋いで去って行く背中を追う視線は、愛情と裏切り、絶望と混乱で満ちていた。

 

"待てっ!ぐっ!?" カラスの叫び声は遠ざかる二人に届かなかった。彼は胸を押さえ、その場に倒れ込んだ。それはまるで、心そのものが引き裂かれるような苦痛だった。

 

カラスは魔術師としての力を失い、同時に愛するエルラインにも見捨てられた。残された彼にはただ無力感と絶望だけが広がっていた。涙が頬を濡らし、カラスはその場にうずくまり、消えていく二人の姿を見送った。

 

その頃、オルとエルラインは新たな力と共に新たな未来に向かって歩き出していた。エルラインはオルと手を繋ぎ、満足そうな微笑みを浮かべていた。しかし、その微笑みには裏切りと欺瞞の影が深く刻まれていた。

 

それは新たな物語の幕開けであり、同時に古い絆の終わりでもあった。カラスの悲痛の叫びは空に消え、エルラインとオルの新たなステップが始まったのだ。

 

 

カラスはただただ呆然と立ち尽くし、エルラインと間男が去って行くのを見送った。

 

 

 

大魔術師の声は広大な宮殿に響き渡った。彼女の目はオルの力に認識の光を浮かべていた。横にはエルラインが誇らしげに立っていた。

 

「お主はすごい才能を持っとるのぅ、儂の教え子だったカラスを彷彿とさせるのじゃ!」

 

オルは深く頭を下げ、感謝の言葉を述べた。「大魔術師様、そのお言葉、光栄に思います。全てはエルラインさんのおかげです。」

 

エルラインはほほ笑んでオルを見つめた。その瞳は明るく、新たな未来への期待に満ちていた。

 

「あやつは今どうしておるかのぅ。儂の見てきた中で1,2を争う才能の持ち主じゃったわい。辺境の地で子供を拾ったとか聞いたが。そやつが育っておれば、ちょうどそこな女子と同じ年くらいかの。」

 

一方、遠く離れた場所ではカラスが自身の失った力と愛情を嘆いていた。彼は何も知らず、ただエルラインを信じて全てを委ねた結果、全てを失ったのだ。

 

大魔術師の賞賛の言葉はカラスには届かず、彼はただ独り、自分の孤独と絶望に向き合うしかなかった。それは彼が選ばれし魔術師から堕ちた者へと変わった、痛ましい現実だった。

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