突然だが、諸君らは世界最強の戦闘機は何かと聞かれて何と答えるだろうか。
現代最新のステルス戦闘機F-35だろうか。
中国人ならJ-35と答えるかもしれない。
機動性、デジタルステルス技術(電波妨害装置、ミサイル接近警報システム、レーダー警告受信機、レーザー警報受信機、フレア・チャフディスペンサー、ダミーデコイ。敵のレーダーが照射した脅威を検出すると直ぐに解析して使用された無線周波数を割り出し、その情報を元に機上で再プログラムが可能なデジタル無線周波数メモリ(DRFM)やデジタル周波数技術ジェネレーターを同時に駆使して広範囲に自機の位置や速度を偽装した誤信号を発信し機体を敵の攻撃から保護する。)でF-35より優るSu-57フェロンだろうか。
Su-57は電子戦技術によって敵機体近くまで肉薄できる。
あるいは数々の実績を誇るF-15か。そのF-15を訓練戦闘で複数機同時に相手をして勝利したF-22だろうか。
そのどれでもない。
古今を問わず東西を問わず最強の戦闘機とはF-104スターファイターを指す。
F-14の倍の速度、マッハ2で飛行して戦術核ミサイルを発射する。
カティンの森に霧が立ち込める夜、異世界の魔術師エルラインが現れた。彼女の瞳は星空のように輝き、指先から漏れる魔力が周囲の空気を震わせていた。
「───────」
エルラインの囁きは、風に乗って森を抜け、モスクワの中心部へと届いた。
スターリンは、クレムリンの自室で眠れぬ夜を過ごしていた。権力の頂点に立つ男の心を、不安と焦燥が蝕んでいた。そんな彼の前に、突如として光の門が開いた。
「ヨシフ・ヴィッサリオノヴィチ・スターリン」女の声が囁き、微笑んだ。「あなたに永遠の命を授けに参りました」
スターリンは目を見開いた。それは生と権力にしがみついた男の唯一叶わぬ夢であった。
ザポリージャ冶金コンビナートを覆う暗雲の下、潜水艦に運ばれてやってきた米国の若きエージェント、コートネーム・イーグルは現地協力者の手引きで調査に入っていた。彼はまだ知らなかった。自分の集めた情報で、世界が終焉を迎えることになるとは。
協力者アレクセイの案内で、ザポリジュスタリ製鉄所の合金鋼を見る。
ザポリジュスタリ製鉄所の中を工員の一人として、米国スパイのイーグルは堂々と進んでいた。彼の第一の任務は、ここで何が製造されているのかを突き止めることだった。工場内の巨大な機械が稼働する音が、彼の耳に響いていた。
突然、彼は目の前に広がる光景に息を呑んだ。そこには、見たこともない異様な光沢を持つ金属製の構造物があった。その表面は滑らかで、まるで魔法のように光を反射していた。
「これは一体…?」イーグルは思わず呟いた。
彼は慎重にその構造物に近づき、手で触れてみた。冷たく、硬い感触が指先に伝わってきた。薄く引き延ばされた圧延鋼板。にも関わらず通常の金属では考えられないほどの強度を感じた。
「こんなものがどうやって作られたんだ…?」
イーグルの心は驚愕と興奮で満たされた。この技術が潤沢にソ連に行き渡れば、世界の軍事バランスは一変する。彼は急いでカメラを取り出し、証拠を収めるためにシャッターを切った。
その瞬間、背後で物音がした。彼は振り返り、影が動くのを見た。彼の心臓が一瞬止まるような緊張が走った。
「女……?」
それは困惑のあまりに漏れ出た呟きだったが、女は律儀に答えを返した。
薄暗がりの中から女が完全に姿を現した。彼女の瞳は星空のように輝き、不思議な雰囲気を漂わせていた。
「こんばんは、アメリカのスパイさん」彼女は微笑みながら言った。「潜水艦から来たのね。大変だったでしょう」
息を呑んだ。彼女が自分の正体を知っていることに驚いたが、それ以上に彼女の存在自体に戸惑いを感じていた。
「あなたは……魔術師?……エルライン?」それはペンタゴンを循環する噂話であり、それが口をついて出たのは単なる勘に過ぎなかったが、彼女は肯定するかのように笑みを深めた。
彼女は優雅に頷いた。「そうよ。あなたの目的も知っているわ。でも、私にとってはアメリカもソ連も、ただの駒にすぎないの」
緊張しながらも、彼女の言葉に興味をそそられた。「それはどういう意味ですか?」
魔術師は謎めいた笑みを浮かべた。「この世界の真実は、あなたが想像するよりもずっと複雑よ。でも、それを知りたいのなら...」
彼女は手を差し出した。一瞬躊躇したが、何かに導かれるように彼女の手を取った。
その瞬間、工場の風景が溶けていき、彼らは光の渦に包まれた。任務は、思いもよらない方向へと進み始めていた。
魔術師の手を取ると、飛び出た先は巨大な宇宙ロケット発射基地だった。ブリーフィングで読み込んだ資料を思い出す。バイコヌール宇宙基地。カザフ・ソビエト社会主義共和国にあるチュルタム。ザポリージャとは遙か遠くに位置する。この距離を一瞬で移動したというのか。
魔術師は静かに語り始めた。
「私はエルライン。スターリンと永遠の契約を交わした魔術師よ。彼に不老不死を授けた代わりに、この世界の技術の粋を回収し、元いた世界に持ち帰ることが私の目的なの」
不老不死、この世界……驚愕の表情を隠せなかった。待て……不老不死だと?さっきから、話がめまぐるしくてついていけない。
かろうじて絞り出せたのは言葉尻を捉えたオウム返しだった。「……持ち帰る?」
エルラインは頷いた。「そう。それは、あなたたちアメリカが検討している核パルス推進技術。私の魔術を使えば、その技術を実現するための爆圧に耐えるプレートを作ることができるの」
言葉を失い、幾つもの疑問が浮かんだ。すぐに問うことが出来たのは一つだけだ。「なら、なぜアメリカに来ない?なぜソ連にいる」
エルラインは首を振る。「世界を繋ぐのに適した地がユーラシア大陸だったの。それと、私はこの世界の政治には興味がない。ただ、あなた達がその技術を理解し、活用することで、私の目的が達成されるなら、それでいいの」
彼女の言葉に深い意味を感じ取った。慎重に尋ねた。「アメリカには来れない理由があるんだな?」
エルラインは手を差し出し、肯定の意味で手を再び取った。「私はここを離れられない以上、この地の最高の権力者から自由を得る必要があった。そして、本命へのコネクションを持つ機会を待ったの」
イーグルの任務は、新たな段階に突入しようとしていた。エルラインの魔術とこの世界の理論が融合することで、核パルス推進技術の実現が現実のものとなるのだった。
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「永遠の契約」
イーグルの心臓は高鳴った。彼は、自分が想像もしなかった謎の糸口を掴んだことを直感した。しかし同時に、この発見が自分の命を危険にさらすかもしれないことも。
彼は決断を迫られていた。この謎を追求し、歴史の真実を明らかにするか。それとも、純然たるスパイ活動に戻るか。
イーグルは深く息を吸い、覚悟を決めた。