(エロ無しの為、二話更新です)
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「あれ?ここは……こう?こっちかな?」
とある薄暗く広い部屋の中に大型の端末が置かれている。ボロボロになった壁面からここが廃墟のような場所だと推察が出来たが、たくさんのコードが繋がれた端末はどうやら最新鋭の物らしく、そのロケーションとは若干不釣り合いでそぐわない。
部屋の中にはさらにコード類が繋がった椅子型の機器が2つ置かれており、その機器には拘束具にも見える手首に装着する為のバンドやら、目を覆うように着用する為のバイザーが繋がっている。
そしてその端末に向かっている女性が一人おり、明滅する画面を見て独りでうんうんと唸っていた。
「ん?んん、んん〜?……こっちの数値かな……?……ん〜やっぱ変換ソフト無いと難しいなぁ〜〜」
その女性はロドスオペレーターのメイヤーだ。大きな椅子の上に胡座をかいて座っている。
衣服は黒色をしたスポーツブラと黒いショーツしか着けておらず、この場に紳士がいたら思わず目を逸らしてしまいそうなほどラフで露出の高い格好をしている。
手元にはディスプレイを備えた端末と、耳に着用するタイプのデバイスが複数置かれており、それぞれから複数本伸びたカラフルなコードがメイヤーが操作している端末へと直接繋がっていた。
「あっ、でもそうすると負荷が上がっちゃう?許容範囲内かな?……えいっ、ものは試しだ!」
とメイヤーが思い切りの良い声を上げると、手元にある数字キーで画面上のパラメーターを変更していく。
すると……。
―― ビィー!
っと、警告音が端末から鳴り響き、画面上のパラメーターが異常を知らせる赤色へと変化する。
「ああっ!やっぱりぃ!出力高すぎてダメかぁぁ〜〜〜!」
画面上に表示されているのはデバイスからの出力信号をカスタマイズ出来るインターフェースだ。
画面へ表示されたインターフェースの右上には【製薬会社ロドス・アイランド】のロゴが表示されている、そして調整を行っている装着用デバイス自体には【ライン生命】のロゴが描かれていた。
そしてメイヤーはその後も数値の微調整を続けて行く。
被検体のデータは昨晩……、いや連日に渡り取得された生のデータが用いられている。
そのデータは同じ部屋に置かれている椅子型の機器で取得された物と、耳へと装着するタイプのデバイスで取得された物の2種類だ。
後者のデータは若干大雑把な数値とはなっているが、メイヤーは全てカスタマイズするつもりの為あまり問題にはしていなかった。
データとしては [この信号ならどれだけの反応が得られるか]、または [この刺激なら脳にどれだけの信号が産まれるか]、など脳に発生する反応が仔細に分析され被検体の情報としてデータベース化されていた。
本来ならば医療オペレーターや、脳神経医療の従事者や関係者でなくては調整が難しいデリケートな物だが、それを好奇心だけで跳ね返しながらメイヤーが根気良く調整を続けている。
「でもやっぱあの二人は丈夫だなぁ~。痛覚強度は常人の5倍……10倍?くらいありそう。これなら腕千切れたりしてもへっちゃらなわけだよねぇ……。……まぁコード変換してないから詳細はわからないけど……」
――――、
この機器はライン生命とロドス・アイランドが共同で研究を続けているデバイスだ。正確には操作している端末から、椅子型の機器、そして装着型のデバイスが全てワンセットの製品だ。
その名は通称<
機能は主に脳の信号の "記録" と "解析"、そして特筆すべきは再現性の高い "出力" 機能を備えていることにある。
その画期的な機能は医療だけに留まらず、軍事やその他の目的まで幅広い活用が見込まれている最新鋭の技術が盛り込まれていた。
この機器の主な活用方法には以下のような利用方法が挙げられる。
・患者の痛みの信号や脳の信号を解析し患部の特定や症状の特定を行う。
これには患者の意識の有無や、問診の有無に結果が左右されないため、会話も難しいような重症患者の治療にとても効果的である。また慢性的に発生している患者自身も気付いていない様な症状の解明にも役立つ。
そして同時にその記録した信号を健常者、または医師へと直接出力することで痛みや患部の状態を実際の体験として得ることが出来る。(だがこれには十分な安全措置、または出力信号の調整が必須となる)
・戦闘時の兵士の脳信号を記録、解析し蓄積する。
そしてそのデータを別の訓練者へ出力することにより、熟練者の身体筋肉の使用方法や、それこそ痛みといった事を実際の体験さながらに反復履修することが可能となり、効果的かつ効率的で迅速な訓練を可能とする。
これは現在ロドスで主に用いられている映像記録を基にした訓練とは一線を画す効率を挙げるだろう。(だがこれは十分な安全措置、そして訓練者へのメンタルに対するモニタリングやケアが必須となる)
といったように様々な分野で活用が望まれるが、その出力機能があまりに強力で危険なため、いまだ正式な製品化には至っていない。再現どころか出力の調整が可能な為いくらでも悪用や誤用による危険があるからだ。当然その活用方法の中にはそれを利用した軍事的、非人道的な "尋問" や "拷問" と行った分野も含まれている。
「―――― とりあえず "おちんぽ欲しくなっちゃう" 感じのやつは強めかなぁ~~……こんな感じ?」
そして更にその出力機能にはメイヤーとマゼランがカスタマイズし追加した機能が存在していた。
このレユニオンチームのリーダーで、他者の "身体を操作" 、そしてその者の "欲求" といった感情を操作する 『ドールプレイ』 のアーツ能力。それを受けた際の人間の脳信号を解析し、そのアーツ能力受けた状態を再現する機能を追加したのだ。
アーツ能力自体の再現は不可能でも、それを受けた人間の反応ならこの機能で再現出来るのでは?と二人は考えたのだ。
そしてさすがに身体の制御を完全に奪い、操ってしまうドールプレイの実際の能力の効果には遠く及ばないが、優秀なメイヤーとマゼランはそれに類似した機能を追加するにまで至っていた。
それは [他者を害する行動の阻害] や、 [極端な性欲の発露] 、または単純に [行動の自由を奪う] だったりとバリエーションに富んでいる。そして今現在も新しい機能を目下カスタマイズ中だが、その機能群は性的な効果を持つ、または性的に利用可能な機能に著しく偏っていた。……理由は語るまでも無いだろう。
「―――― でも悲しいのはあんだけ身体が強くて頑丈でも、的な感受性は人並みってとこだねぇ……あははっ……」
その事実にメイヤーが歪んだ親近感を覚えた。自らも快楽に抗えなかった人間だからだ。
――――、
「よし……、これでイエローゾーンに出来たねぇ~。っふぅ~~……」
そして20項目以上の数値の細かい調整を続け、画面の表示が全て赤色から黄色へと変化したタイミングでメイヤーが一息ついた。
(とはいえこの数日で限界値がこんなに伸びるなんて……やっぱ順応性の高さも彼女達の強さの秘訣なのかな……?故に細かい数値の調整はしっかりしないとねぇ…………)
画面上の黄色の表示はこれが "警戒域" の数値であることを示している。
その警戒とはこの出力信号を受けた人間が "軽度の発狂" へ陥ったり、 "記憶認識の混濁" を起こす可能性があることを示していた。そしてその画面上の数値は被験体が性的な絶頂を起こした時に計測される快楽数値を軽く三倍ほど超えている。これは数日前の倍以上の数値だ。
(………………)
その数値を見て(――やはり油断は出来ないか……)とメイヤーは警戒心を露わにした。
(ん…………。あっそうだ……、ちなみにぃ〜……?)
そして戯れにと、ふとした思い付きで被験者側のデータをメイヤー自らのデータへと切り替えてみた。
―― ビィーッ
(うっわ!切り替えると真っ赤じゃん……)
するとほぼすべての数値が黄色い "警戒" から、真っ赤な "警告" へと変化しアラートが鳴り響いた。つまりこの強度の信号を今のメイヤー自らが受けた場合、"死亡" またはそれに準ずる状態となることを示唆している。
(や、やりすぎたかな……?)ごくっ
その状態の自分を想像し、思わず ごくり とメイヤーの喉が鳴った。
――――、
――――――、
「……これ以上の調整は次の記録データが無いと無理かな~~。ひとまず上出来上出来」
その後も細かいチューニングを続け、一仕事を終えたメイヤーがふぅっと脱力する。すると身体を後方に傾けた椅子の背もたれが ギィッ と軋んだ音を立てた。
―― コンコンッ
(んっ…………?)
そしてその音を合図とするかのようにメイヤーがいる部屋の扉をノックする音が響いた。どうやら来客のようだ。
「おっ、ナイスタイミング~」
メイヤーは椅子から立ち上がると、端末に繋がれた卵型のデバイスを2つほどピックし、部屋の入り口にいる訪問者を出迎えた。
「―――― やぁ~マゼランちゃん。ちょうど今調整が終わったとこだよ~!」
――――、
「―――― はいこれ。…………うん、今回はかなり良い感じだけど、出力最大は気を付けてね~。ほんとギッリギリまで上げてるから……、うん、昨日の夜のデータから再計算してるから……」
――――、
「あ~あと、昨日サンプリングした欲求値も強めて……、うん……――――、たぶん出力強めなら拘束解いても大丈夫だと思う、念の為遠隔の……、――――」
――――――、
「……あっそうだドールプレイは戻って来てた?――――」
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「―― あっそうなんだ……、――じゃああとで行こうかな~❤、――――あははっ……。――いやっ冗談だよ――」
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しばらくメイヤーとマゼランは部屋の入り口で談笑を続けると、その後調整が終わったデバイスを2つ受け取ったマゼランは調教部屋へと向かった。その足取りは軽く、どこか浮かれた様子だった。――まるで楽しみにしていた遊園地へと赴く休日の少女のように、ルンルンとご機嫌な様子だった。