■ ■ ■
ロドスアイランドのオペレーター、スカジは必死に思考する。
混濁し曖昧になって行く自らの記憶を再構築するように、定義が薄れて行く自己を繋ぎ止めるように必死で思考する。
身体には狂おしいほどの快楽が渦巻き、指の先までふわふわと溶けるような心地良さと、鋭利で身を刻む鮮烈な絶頂が四肢を駆け巡る。
―― ドクター……。ドクター……力を……。
「……っふぅッ……。っぐぅ……。っひゅぅ…………❤くっひぃ…………ッ」
頭につけられた装置が鋭い電気信号を放つたび、スカジの目の前に
複数の男に口を使い奉仕する記憶、または拘束された頭を良いように使われ性処理させられる記憶、それらが同時に脳内に広がり重なりブレる。目の前に浮かぶのはどれも知らない男の姿ばかりだ。
どれもこれもが喉奥を押し広げられ、または自ら頭を振り乱し喉に生まれた狂おしい情欲を貪る光景。
その光景に連動し、スカジの身体に快楽が走る。喉奥が独りでに蠢いてぐちゅりと嚥下と咀嚼を繰り返す。
だがそれを上書いて消し去る為に、スカジはあの日の記憶を必死で思い出す。
あの日の記憶、この卑劣なレユニオンに捕まったあの日。
濁った記憶の中で、もはや数日前にも、数年前にも思えるあの日。
意味を持たない思考とわかっていても、一番新しいはずのあの日の記憶を辿る。
◆ ◆ ◆
――――、
イベリアの街、ドクターとグレイディーアを追って辿り着いた街。
宿を取って3日目、2人を探す私達の耳へ "ロドスの人間を見かけた" という話が入った。
街をぶらついていると、2人の青年が話掛けてきたのだ。「あなた達ってロドスの人ですか?」と。
確かその2人の青年は「ロドスの人に親切にしてもらったんです」と言っていた。詳細はなんだったか覚えてはいないが、なにか "薬" を分けて貰ったとか……。
そのロドスの人は怪しいフードを着けていたが、とても親切な人だった。しっかりとしたお礼を言いそびれてしまったので、もし会ったら伝えて欲しい。という話だった。
その人はつい先程までこの先のエリアにある教会にいたらしい。側にはとても背が高い綺麗な女の人がいたと言っていた。
そしてその話を聞いた私達はそれがドクターとグレイディーアに違い無い、そう判断した。
「やっと見付けたわね~。もう無理なんじゃないかと思ってたわ」
とローレンティーナが溜息混じりに言う。まったく同感だ、私も深い溜息をついた。
ではその教会を目指そう……。そう判断した時に青年達がこう言った「教会へ行くんなら裏通りからが近いですよ。表通りは巡礼祭の準備で人が多いですし。案内しましょうか?」と。
確かに青年が言う通り、この辺りは人がとても多かった。大きな荷物を抱えた人が慌ただしく行き交い私達は少々うんざりしていた。
「じゃあお願いするわ。……まぁついでにお礼も自分たちで言えば良いんじゃないかしら」
と、特に断る理由の無い私達は青年達に道案内を依頼した。
「じゃあ、こっちです。ちょっと狭い道ですけど、すぐ着きますから」
と言う青年達の後ろを私とローレンティーナは着いて行く。
――――、
裏通りに入り数分、四本目の角を曲がった所で道の先、袋小路となった場所に2人の少年がいた。
1人は木箱の上に座った赤毛の綺麗な顔をした少年、そしてもう1人は……。
「……ちょっと、どうゆうこと?」
訝しんだ私の眉根がギリっと寄り、威圧感を籠めた視線で4人の男達へ順番に視線を巡らせる。
「……ん?あら?あなた……、ロドスで……」
そして私の横でローレンティーナは不思議そうな顔を浮かべている、どうやら少年の内1人の顔に見覚えがあるようだ。
もう1人の黒い髪をした少年、マルコはその視線にビクっと反応すると、申し訳なさそうにペコリとお辞儀をした。
「―― やあ、どうもお姉さんがた。……え~っと、スカジさんとスペクターさん?……こっちがスカジさんかな?」
「…………」
赤毛の少年が私の方へと目を向け、ニコニコとかわいらしく友好的な笑みを浮かべながらそう言った。
手には小さな杖型のアーツユニットを掴んでおり、服装も戦闘用の防護服で身を固めている。もちろんただの町民ではないだろう。
「いやぁ~ははっ、お二人共噂よりお綺麗ですねぇ~。すごいや。女神像みたいだって褒められません?」
距離は約10メートル。この少年が見た目通りの術師なら既に射程圏内だろう。
そして道案内をしていた2人の青年は後方へと下がり、そちらは約5メートル。
「あら、ありがとう。よく褒められるけどそう言われたのは初めてかしら?ん~……、で、あなたは私達になにか用があるのかしら??」
ローレンティーナが余裕の笑みでそう返す。背に背負った得物に手すらかけていない。それもそのはずで、この二人を同時に相手取るなんてロドスのエリートオペレーターでも無い限り不可能だ。ましてやこんな子供では話にならない。
だがローレンティーナから放たれたピリピリとした威圧感から決して油断していないことが伺えた。
すらりと伸びた足の先からは青いアーツの波動がうっすらと浮かび上がり、その光景を見た背後にいる男達に緊張が走った、そしてその威圧感に気圧され半歩下がった。6メートル。
無謀な子供か……それとも……。
「いえいえ、ちょっとお話がしたいだけですよ。だからボクがリーダーをやってるチームの拠点まで着てくれませんか?」
友好的な笑みを変えないまま、赤毛の少年がそう提案する。
だが当然答えは決まっている。
「いやよ、こう見えて忙しいの私達」
その私の簡潔な拒絶の返答を受け、赤毛の少年"ドールプレイ"が愉快そうに笑った。
「……ははっ!、まぁそうだよなぁ~……、まぁ仕方ない。月並みだけど……、ジャスタ!ヒエン!捕まえろ!」
赤毛の少年が木箱から飛び降りながらそう叫ぶ、赤毛の少年自体もアーツユニットを眼前に掲げた。
ローレンティーナは後ろへとくるりと振り返り、そして私は赤毛の少年を見据えて対峙した、やれやれと背中に背負った大剣へと手を伸ばす、しかし――。
「……痛ッ……!」
―― 次の瞬間、右手に強い痛みが走り私は顔を歪めた。
その痛みの発生源へと視線を向けると、後ろを振り返ったローレンティーナの右手が私の右手首を強く掴んでいた。
ローレンティーナの目線はしっかり前へ、後方にいる二人の青年へと向けられている。だが右方へ伸ばされた腕が不自然な角度で私の右手首の骨を砕かんとばかりに強く掴んでいた。
「……ぐぅッ!ローレンティーナ!?なにをしているの?!」
「えっ……?」
その私の叫びに、横にいるローレンティーナが驚きの表情を浮かべる。
そして自分の伸ばされた腕を見やり、一瞬の間が産まれる、そして刹那の逡巡の後……。
「―― スカジ!斬り落としなさい!!」
スペクターが弾かれるように叫んだ。
「――ッ!」
その叫びを聞き、私は電光石火とも言える動きで、空いた左手で背にある大剣を掴んだ。理由はわからないがローレンティーナがそう判断した、その結果さえあれば私にはそれで充分だった。
そして捻るように身体全体を翻すと、その勢いで私の手を掴んだまま体勢を崩したローレンティーナへと向かい思いっきり大剣を振るった。
―― ブンッ……!
「だっ、だめっ!!!」
だがいつの間に近寄っていたのか、その光景を見た黒い髪の少年、マルコが叫びながら私達のもとに突進をかける。
そして振るわれた大剣とローレンティーナの身体の間に黒い髪の少年が割って入るように身体ごと突っ込んだ。
「おいっ!マルコ!!!?」
「ちょっと……!?」
ドールプレイの叫び声、そして私の上げた声が同時に響く。
切断しようと振るった切っ先に黒い髪の少年の身体が入る、咄嗟に私は大剣を振るう左腕を止めるが、全力で振るっていた為間に合わない。
―― ギャッギィィィィィィッ……!!
そして少年を両断せんと振るわれた大剣から、少年の身体に接触した位置から強烈な金切り音が弾けた。
「ギャううっ……!!?」
少年のアーツ能力によって硬質化し、十字に交差し、黒く変色した両腕に私が振るった大剣が食い込む。そして盛大に火花を吹き上げた。
(鉄……?!いや、もっと硬い……!)
―― ドゴォッ……!!……バッコォッ!!
そしてその絶死の一撃を受け止めた少年の小さい身体はそのまま後方に物凄い勢いで弾かれ、スペクターの半身へと衝突し、更に弾かれ吹っ飛び、路地に置かれた木箱を砕きながら建物の壁面へと叩きつけられた。
恐らく身体の軽い少年で無ければ軽々と両断されていたであろう強烈な一撃に紙くずのように吹き飛ばされる。
「マルコッ!!!」
袋小路となった裏路地の街角にドールプレイの悲痛な声が響く。
そしてその吹き飛んだ小さい身体を目線で追っていた私の眼前に迫るのは、接近したドールプレイに全身を操られたローレンティーナの身体だった。
「操作されているわッ!避けなさい!」
「ローレンティーナ……!」
背面から私の左腕に掴みかかるスペクターの左の手、だが今回は背面からなうえ、距離が近すぎるため大剣を振るうスペースが無い。私は身を翻しながら次の一手を逡巡する。
―― グイッ!!
「ぐうううッ!!」
そして同時に掴まれていた私の右手が思いっ切り後方に引っ張られ体勢を崩される。その姿は不慣れな社交ダンスで男性にリードされる姿に似ていた。
「ぐあッ!」
体勢を崩した私の背へ突進するようにローレンティーナの身体が突っ込んでくる、そしてそのまま左手首も掴まれると勢いに任せうつ伏せの状態で地面に叩きつけられた。
―― バゴォッ!
「っ!、押しのけなさいっ!」
「ぐあうっ!、げほっ!ぐううぅぅッ!」
背面からのあまりの抑え込みの強さに私の身体が裏路地の硬い石畳を砕きながらめり込み、辺りの地面に亀裂が走る。
アビサルハンターの躊躇の無い膂力により全力で上から押さえつけられ、身体全体からビキビキと骨が軋む音が鳴る。手首の骨も既に折れていた。
「ジャスタ!ヒエン!今だ!!」
そこへ赤毛の少年の号令がかかると、今まで傍観を続けていた背後の青年2人が揉み合いとなった私とローレンティーナのもとへと駆け寄る。ジャスタとヒエンと呼ばれた青年達の手元には卵型のデバイスが掴まれていた。
そして転がる私とローレンティーナの耳元へ青年達がそのデバイスを近付けると、―― バチバチィ! と電撃が弾ける音が鳴り、私とローレンティーナの意識は消失した。
―――― あの時もし、もし躊躇せずあの少年を斬っていれば、結果は変わっただろうか?
―――― あの少年を両断し、自由になった身体であの赤毛の少年を斬り捨てていれば、この結果は違ったのだろうか?
―――― ああ、ドクターごめんなさい……。
そんな意味の無い思考を私は続ける。
◆ ◆ ◆
――――、
「……ひぃんぐぅぅぅ~~ッ……!ぐひぅッ……、いっ、イっっぃぃぃ~~ッ!❤、…………あっぎゅぅぅう~ッ!❤」
アビサルハンター、スペクターは必死で思考する。
押し流されそうになる自我と、情欲で塗りつぶされつつある正気を維持する為に必死で思考する。
この状況から脱する術を、ここに至った原因を、意味を持たないロジックまで、己を維持する為に必死で思考する。
―― 今は捕まってから何日目?
わからない。
「……ぐひぃッ……!あっお゛ッ!❤おお゛っ❤いっ、イッグ!おっ、おおお゛お゛ッ……❤❤んっぎゅぅぅ~~ッ!ああああっまたイグイグイグっ!!❤、❤❤❤!!」
スペクターの脳内には色々な映像が勝手に流れている、頭に着けられたヘルメット型の装置からチクチクとした電流が走るたび、思考を上書きするように映像……、いや
椅子に座らされているはずの身体の感覚に、ベッドの上に横たわっている感覚が上書きされ、ブレるように重なりどちらが現実かわからなくなっていく。目を閉じ、暗闇のはずの視界に見たことの無い景色が広がっていく。
「……おおお゛お゛っ、おおお゛ん゛っ……❤❤❤、やめっ、やべでぇっ突かないっで、えっ!❤❤、あ゛っ!アアッ!またイグ!いぐ!いいいいい゛い゛いいぃぃ゛ぃィィ~~~ッ!!❤❤❤」
―― 今私はドコにいる?
わからない。
自分の物ではない視界の中にはあの赤毛の少年がいた。小さい身体の少年が自分の身体にのしかかっている。そしてその赤毛の少年が腰を振るうたび強烈な快楽が全身をビリビリと貫いていく。スペクターの口から拒絶の言葉が漏れるが、その視界の中の "別の自分" は浅ましく少年の細い腰に脚を絡め、もっと突いてと強烈に引き寄せている。
―― 今ナニをされていル?
犯されている。
視界の中にチラチラと "別の自分" の物と思われる乱れた髪が映り込むが、その髪色が自分の銀髪とは違い茶色っぽい色をしている。髪を振り乱し、揺れる視界の中で火照った身体が絶頂しながら次の絶頂を迎えた。
口から出る言葉は視界の中の誰かとリンクし、自動音声のように口から出ていく、そこに自らの言葉が混ざりスペクターの中に強烈な不快感をもたらした。
その絶頂しまくる姿を見た視界の中の赤毛の少年が笑いながらこう言う、
『おいおい、
視界の中の少年がニヤニヤと笑うと、年相応の可愛らしいイタズラな表情を見せ『―――― じゃあもっとイっとけ♡』と言葉を続けた。
その宣告に椅子へ座らされたスペクターの身体が逃げるようにガタガタと激しく震える。だが拘束されている為逃げられない。現実の拒絶感、そして視界の持ち主の期待感が混ざり合い相反する、2つの感覚の摩擦が強烈な違和感を産んだ。
そして視界の中の少年が腰をグイっとこちらへ押し付けると、実際にはなにも入れられていないはずのスペクターの女陰の奥でなにかが弾けた。
「―――― まっ、待って!だっ、あっ?!❤❤、あっぎゃあああああッ!!❤❤潰れっ……!!❤げぎゅぅいぅぅぅぐぅぅぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅッ❤❤❤、!!❤❤❤❤」
―― ブシュゥ!ぶしゅっ!ぶしゅぅぅぅぅッ!❤じょばっ!じょぼぼぼっ……❤
椅子に座らされたスペクターの真っ赤に腫れた女陰がグパグパとひとりでに開き、大量の潮を吹き上げている。そして女陰の奥からは中出しされた精液かと見紛うほどに黄色く、濁ったどろどろの愛液がゴポゴポと大量に溢れ出した。
―― 気持ちイイ?
気持ち良い気持ち良いキモチイイ
――――、
そしてその乱れるスペクターを少し離れた位置からドールプレイとメイヤーが観察していた。
ドールプレイは椅子に脚を組んで座り、その姿を愉快そうに見ている。
その近くには端末に向かったメイヤーが座っており、端末に備えられたディスプレイには様々なパラメーターが表示されていた。
「いやぁ、ははは……。いくら実際の数値から出力強度を上げているとはいえ、私のデータであんだけイキまくってるの見るのちょっと恥ずかしいなぁ…………」
メイヤーの独り言とも取れる呟きに、ドールプレイが反応した。
「……ん?今のデータ、メイヤーのやつなのか?いつのだ?」
そしてその質問を受け、顔を赤くしたメイヤーが答え辛そうにしている。
「ん、んん……えっと、2週間くらい前のやつ、かな?あはは……」
「ああ〜、あの日の…………ふむ。かははっ!どうりで…………」
「ど、どうりでってなに!……まぁ出力強度は3倍くらいになってるしフィルターかけてない生データだけど……」
そう、今スペクターに流されているデータ、記憶はメイヤーの実体験を基にしている。
耳へと装着する記録装置を使い、実際にドールプレイとのセックスを記録し数値化した物だった。
そして本来は被験者の精神に悪影響を及ぼす為、フィルターをかける必要がある"発声"や"思考"のデータもそのままだった。
「―――― イグッ!♥すごぉッ♥奥゛ッ!!おく゛がぁッ!!♥、♥だめぇぇぇぇぇぇ〜〜〜〜ッ!♥イッグ!イグッイグイグイグッ!!!♥♥♥、♥あ゜♥!、♥♥」
そしてそのデータを出力され、椅子に座らされたスペクターは絶頂を繰り返す。あまりに強力な快楽、そして多幸感により、先程まで快楽に流される事を拒絶していたはずのスペクターの表情はニヤニヤと幸せそうに歪んでいた。
口角はだらし無く上がり、バイザーの下では瞳が天を突き、無様なアヘ顔を晒している。口の端からはジョッキに注がれたエールのように泡立った唾液がブクブクと溢れていた。
溢れる嬌声は既にタガが外れ、大音響の獣の叫びとなりそれを聴く者を楽しませる。美しいソプラノボイスは無惨に枯れ、熟れた果実のように聴く者の情欲を刺激した。
身体全身から汗が吹き出しぷるぶると血色の良くなった胸が弾む。先端では苺のように乳首がツンと尖り誘うように揺れている。そして四肢は拘束具を引き剥がさんとばかりにガクガクと跳ねるように痙攣を続けた。
「お~お~、すげえすげえ。"行動阻害" 貫通してんじゃねえか?かははっ!どんだけ気持ち良いんだか」
「おかじい゛ッ……!❤❤身体おがじびッ……!❤、げっぎゅぅぅぅぅぅ~~~ッ!!❤❤イギッ……!❤イッグ!❤イグの止まらにゃびひぃぃぃイッグ!❤❤すごいすごいいいッ!!❤❤❤❤イッグ!!、❤❤❤イ!❤❤」
――ブシュッ!!ブシュゥゥ❤!!ブシッ……❤!ブシシッ……!!❤
四肢を金属製のバンドで固定されたスペクターの身体がめちゃめちゃに暴れまわる、椅子に深く座らされた腰がビタンビタンを音を立てながら上下に飛び回り、そして女陰から間欠泉のように勢いよく潮を吹き上げた。
「…………」
その姿を見たメイヤーは、自分が "淫乱だ" と言われ責められている気分になっていた。雄の猛りに翻弄され、イキまくる浅ましい雌だと突き付けられたような……。
そして同時にその絶頂しまくる女体を見て羨望する気持ちが湧き上がる、しかもそれが自分が体験したこの男との……、もはやメイヤーの中でドクターを超えた領域を占めるようになっているこの男との情事を、この女に盗まれ横取りをされた気分になっていた。メイヤーの女陰はその様子を見て既にドロドロになっていた。
「―― ふっぎゅッ!❤う゛あ゛ッ❤えうっ!❤ぃぎゅぅぅッ~~❤れうっ❤れるっ❤、へうう゛う゛ッ❤うぶぅぅぅ~~ッ❤❤、❤❤❤!!おっ❤お゛お゛っ❤❤」
するとスペクターの様子が変化した。跳ね上げる腰の動きが緩やかになり、半開きにした唇からレロレロと舌を出し始める。恐らくその様子と、画面上の出力データから、恐らくキスハメされている時だろうと言う推測が出来た。メイヤーが大好きな、一番好きな体位だ。
そしてその幸せそうなスペクターの様子を見たメイヤーは、
「むぅ……。なんか腹立ってきたな……」
と、素直な心情を吐露した。
メイヤーの中で恥ずかしい気持ち、男を横取りされたイライラとした気持ち、そこに焦らされムラムラとした気持ちが混ざり、メイヤーの心が揺れ動く。
そしてその揺れた心は嫉妬と嗜虐心といった感情で出力された。自らの左手の指をガジガジと噛じりながら、端末を操作するメイヤーの手に力が入る。
そしてそのまま画面上のパラメーターをカチカチといじり始めた。
―― カチカチッ…… カチッ……
―― ビィィ~~!
メイヤーがそれまで慎重に操作していた項目を乱雑に変更していく。画面上の表示が黄色い警戒から赤い警告へと変わり警告音を発するが、メイヤーは手を止めない。
すると直ぐ様劇的な反応が返って来た。
「――――?!ッ、ああっなに゛っ?!これダッ?、メ♥♥アッ?!あギャッ……♥……ちゅぶれぐぅぶゅ……!♥おぽォ……ッ♥おっおあ゛おっお゛ッ……♥♥おっぼぉぉ゛ぉ゛ぉ~~~ッ?!❤❤❤」
スペクターの口から漏れる言葉から段々と意味がある言葉が消失して行き、徐々に野太い声に置き換わっていく。
―― グビュッ♥ごぷぷッ……♥ぶびぶびィッ♥ごぽぉッ……♥♥
そして絞り上げるような悲鳴を漏らすと、女陰からもまるで腹を踏み潰されたかのごとく泡立った粘度の高い愛液がビチビチと漏れ出した。脱糞を彷彿とさせる飛沫音が立ち、スペクターの腹筋がビキビキと割れている、とても強い力がかかっているようだ。
「おいおい、メイヤー?あれじゃ死ぬんじゃないか?かははっ!」
そのドールプレイの言葉にメイヤーの頭の中に(えっ?)という疑問が浮かんだ。
(えっ?私、殺そうとしてる?あれっ?)
「アレに突っ込んだらネジ切られそうだな?今度男の捕虜でも捕まえたら試してみるか?かははっ」
「……げお゛っ……オオ゛オ゛オ゛ッ!!❤いぃぃっぐゥぅ、ぅ゛ぅウ゛ッッ❤❤!!……、おっぽォッ❤ごぼぼっ……❤げぅぅッ……❤❤、❤❤❤❤お゛❤❤」
―― ゴップゥぅ~~ッ❤ぐぶぶっ……❤ぶぼっ……❤ぶしゅっ……❤じょぶぶッ……❤
「えっ、あっやばっ!」
慌ててメイヤーが画面に表示されたパラメーターを下げていく。だが一足遅かったのか、スペクターの意識レベルを計測し表示している画面上のバイタルゲージが急速に低下していく。
身体が小刻みに震え、火照り朱に色付いていた肌が急速に青ざめていく。代わりに滝のような汗が溢れ、スペクターの女体がギラギラと輝いた。口の端からは泡立った唾液がゴポゴポと溢れて行く。
「けぽぉっ……❤ごっぽッ……❤うぎゅぅ゛ぅ~~……❤いぐぅぅ゛……、❤ぅ……❤❤❤、❤❤」
―― …………、じょばっ……❤じょろろろっ……❤ぶしゅっぶしゅっ……❤
そしてスペクターの四肢がぐったりと弛緩すると、股間部から黄色い液体を吹き上げた。
「うわっ、やっ、やばい……!、ええっと……、あった!」
メイヤーが端末上のメニューから "緊急蘇生" と書かれた項目を選択すると出力強度を示すゲージが一気に下がり、変わりに緑色のメーターの数値が上がって行く。
―― プシュッ!
「へぎゅっ……!あふっ……、ふしゅっ……!、ふうっ……!あ、あああっ……」
そしてスペクターの首元で薬液を注入する音が鳴り、スペクターの体内に回復薬が投入される。
徐々に弛緩していた身体に力と張りが戻り、口からは荒い息を立て、そしてわなわなと震えた唇から悲観するような、絶望するような声を上げた。
「―――― おっ?間に合ったか?惜しかったなぁ〜、もう少しで逝けたのになぁ〜」
ニヤニヤと笑うドールプレイが無邪気な声を上げる。そしてその声を聞いたメイヤーがドキドキと息を上げ、そのスペクターの様子を見る。
だらし無くヨダレと舌を垂らし、大量の鼻水と涙を流しながら、虫の息となったスペクターの姿を見る。
「あふっ……へぅぅ……、もっ、もうやめて……、やめて……、ああっ、ドクター……、ドクター……あふっ……ふぅッ……!」
スペクターの口からは震えた声が漏れる。うわ言のように何かを呟いている。
その哀れな様子に、メイヤーの中に自戒の気持ちが浮かぶ。ロドスの仲間を殺そうとしてしまった事実に後悔の念が……。
(わ、私……?あ、あれ?でもなんで殺しちゃダメなんだっけ?あれ?)
だがそのメイヤーの中に浮かび上がった気持ちが水で薄まるように急速に霧散していく。そして像を結び形作ったのは、"誰かを殺そうとした罪悪感"ではなく、もう少しで"玩具を壊してしまう所だった"、という子供のようなドキドキとした気持ちだけだった。人形遊びで人形を壊してしまいそうだった時のような……。
その感覚が正しい事なのだろうかと、メイヤーは小さくない違和感を覚えるが、モヤがかかったように考えが纏まって行かない。
それがこれまでのドールプレイのアーツ能力による、度重なる欲求操作の結果だなんて、この淫らで狂った空間では思考が及ばず夢にも思わなかった。
「メイヤー、今のもう何回かやってみようぜ?良い感じに壊せそうだ」
「……えっ?、あっうん、わかった。えっと、じゃあ最初は弱めから…………」
心優しいメイヤーの価値観や倫理観は、既にドールプレイによって面白半分にグチャグチャと壊されていた。
――――、
「……ぐびゅぅ……、もうやっ、やめっ……、あッ?!まっ、またここからっ?!やっ、だめっ!ああ゛あああ゛っ、♥挿入れないでぇッ……!あっ♥♥♥♥」
そしてスペクターはまた先程と同様のデータを冒頭から流し込まれる。ベッドの上、目の前には赤毛の少年。先程も見た景色。これから処刑されるかのように、スペクターに赤毛の少年の腕と肉棒が近付いて来る。
――――、
「―――― おッ♥おおお゛んッ♥すごっすごいい゛ぃ゛ぃぃ♥♥、くるっ、狂っちゃう゛ぅぅ゛ぅ゛…………!!♥♥♥んぎゅぅぅぅッいぎゅ!イグイグッ♥♥、イグ!♥♥♥」
―― ぶしゅっ!ゴボッ!ぶびゅるッ!♥ぶしゅぶしゅッ……!♥
そしてバイザーの下のスペクターの表情が、絶望した顔から幸せそうな顔に変化するまで、そう時間はかからなかった。
自分が犯されていると脳からの信号により勘違いした女陰がグッパグッパと咀嚼するように蠢き、スペクターの女陰を極上の名器へと改造して行く。