◆ ◆ ◆
「―――― ん……? あ、あれ…………?」
サイレンスが眠りからゆっくりと覚醒する。ぼやけた眼の前には自分の下半身が見えている。
「ね、寝てた……? あれ?」
そしてすぐさま身体に違和感があることに気付いた。
どうやら椅子に座っているようだが、手首が椅子の肘掛けに固定されていた。
その異常な状態に意識か瞬時に覚醒する。
「なっ……?! 痛っ……?!」
すぐさま頭を上げ、サイレンスは反射的に立ち上がろうとするが椅子に脚まで固定されていた。
股を少し広げられた状態で、椅子の手すりの柱の部分に太ももを、そして椅子の足に足首を黒いベルトで巻かれていた。かなり強く巻かれているようで、固定されている位置に軽い痛みが走る。
椅子は革張りのかなり豪華な椅子で、相応の重さがあるのかサイレンスが身体をよじったくらいではビクともしない。
(なっ、なにこれっ?! ―――― こ、ここは……、状況は……?!)
サイレンスは必死で頭を回転させて状況の整理にかかる。
この場所は薄暗くかなり広い空間だった。周囲には薄い水蒸気が霧のように漂っている。湿度は不快なほどに高く、その空間には生物の匂いが充満していた。その匂いを嗅ぐとじんわりと身体が火照る。
そこは酒場のVIPルームとされている空間だった。
一般客用のエリアと同等サイズの空間があり、同じように中央奥側に舞台のような設備が設けられている。
そしてサイレンスはまるでその舞台を見る観客席のような位置に座らされていた。
「な、なにこれっ……!? あっ……?」
自分が置かれている状態がわからず、混乱した頭のまま視界を巡らせる。薄暗さにもすぐに順応がはじまった。
そしてサイレンスが目線を前に向けると "その" 光景が目に入った。
サイレンスから少し離れた "舞台" の上には薄暗い照明に照らされた3つの "塊" があった。
向かって右側、1つ目の塊には "メイヤー" らしき茶髪の女がいた。
メイヤーらしきその女は膝立ちの体勢で立っている、股を大きく開きサイレンスに全裸にも見える背を見せている。赤いチャイナドレスの前垂れは床につき、小ぶりだが締まったお尻を隠したドレスからは白いパンティーが丸見えになっている。
そしてその女の前には2人の男が立っていた。1人目の男は自分の腰に手を当て、もう1人の男は女の頭を掴んでいた。
―― んっぶぅッ……! ぶぶぅッ、 ぢゅっぼっ…… ぢゅっぼ……! にゅぢゅっぢゅぅぅぢゅるるるぅぅ~~ッ……
女はその頭を掴む男の股間に向け一心不乱に頭を振り立てていた。
ガクガクと頭を強く振ると、その後は頭を止め唾液を吸い上げるような不潔な水音が辺りに響く。
そしてもう1人の男の股間には女の片手が伸びていた。そそり立つ陰茎がサイレンスからも見え、その陰茎の表面を女の手がズリズリと往復していた。
……サイレンスの鼓動がドキドキと早鐘を打ち始める。頭に痛みが走り、その非現実的な光景を直視出来ない。
これは夢なのではと、現実逃避をする考えを止められない。
向かって左側、2つ目の塊には "マゼラン" らしき女がいた。黒に近い茶髪に白いメッシュのライン、特徴的な頭髪の女。
マゼランらしき女も右の女と同じように膝立ちの体勢で立っていた。大胆に背が開いた白いドレスの隙間からは汗ばみ紅潮した肌が見えている。
そしてその白いドレスの女の前には1人の大柄な男が立っていた。レユニオンが着ける特徴的なマスクをつけた大男は腰を少し落とし、その女の顔の高さまで腰を下げている。
女が自ら頭を振っている右側と違い、左のその女は頭を動かしていなかった。動かしていない女の頭に、その前に立つ男が乱暴に腰を振っていた。小さな頭を乱暴に掴まれ、固定された頭に男が勢いよく腰を振っている。
―― おっぼぇぇぇッ……! ぐぼっ……! ぉごぇっ……! っげぉッ……! ごぼっぶっぢゅッ! ごっぢゅッ!
口内をかき回される音に女の嘔吐く声が混ざる。ごちゅごちゅと音を立て、女の口を男が掘削している。そしてその動きに合わせ女の身体がビクンビクンと電流が流されたように跳ねる。苦しそうに、嬉しそうに。
(こっ、こいつらっ、レユニオンのっ……? っぐ、ううっ……)
……サイレンスは強い目眩を覚える。ドキドキと胸が苦しくて吐いてしまいそうだった。
まだ身体に残っているであろうアルコールの熱さが喉を昇ってくる。
そして最後の塊、3つ目の
その塊は強い熱気を放ち、あちこちから湯気が立つほどに熱く揺れていた。
サイレンスの視界の先で複数の肌色がウネウネと揺れていた。
見えるのはほとんどが男の身体だった。サイレンスに背を向けた男、塊の真ん中へ向け腰を突き出す男、自らの股間を掴んだ白い手を見て満足げな顔を浮かべる男。
―― ばちゅっ! ばぼっ! バゴッ!
…… ぢゅぶぅっ! ぢゅっぽッ! ぢゅぞずずうぅ~ッ! ぶっぢゅっ!
男達の身体の隙間からは、ブロンズシルバーの深い光沢を持つ髪が揺れていた。そしてその揺れる髪の下には白く輝く美しい肌が見える。
肉と肉がぶつかる強い音が響くたびに、その美しい髪と肌が不規則に揺れた。
「―――― ミュ……。ミュルジス主任……?」
サイレンスの口から思わず声が漏れる。
その男の群れに犯される女性を見て、顔が青ざめる。
尻穴と膣を別々の男に乱暴に犯され、更には頭を乱暴に掴まれ口まで犯されている女性を見て吐き気がこみ上げる。
黒い厚みのあるドレスは男たちの白濁でドロドロに汚れ、いっそ脱がされたほうがマシなのではと感じるほどに汚されている。
首筋から頭に熱い血が上り、自らの脈動に合わせドクドクと視界が揺れる。込み上げたアルコールが喉を押し広げ、急激にまた酔いが回っていく。
思考が歪み、理論が組み立てられない。とても現実の光景とは思えない。
それ以上直視することが出来ず、凄惨な現場から目を背けるように思わず視線を下げた。
(な、なにこれ……!? どうゆうこと?! ……うぷッ……)
種族の特性により耳が良く利くサイレンスには、その3つの塊から発せられる淫らな音が嫌というほどハッキリと聞こえていた。いっそ耳を塞いでしまいたい衝動に駆られるが、手を拘束されていてはそれも叶わない。
肉のぶつかる音、唾液が爆ぜる水音、男達の下卑た笑い声、
そう、
(…………ッ?! ドロシーは?!)
その声にドロシーが混ざっていない事に気付いたサイレンスが下げていた視線をまた跳ね上げる。
すると自分の右手側、少し離れた横並びの位置にもうひとつ影があることに気付いた、そしてそこに立つ誰かと目線を交差させる。
「―――― ん? ああ、起きたのか」
その声はずいぶん若い少年の声だった。年相応の高い声に、年不相応の老獪な響きを乗せ、見覚えのある赤毛の少年がサイレンスに声をかけた。
◆
「サイレンスだっけ? 悪いね、アーツ能力が強力な奴から無力化しないといけなくてね。とはいえ6時間くらい寝てたのか? だいぶお疲れだったみたいだね? はははっ!」
「ろ、6時間……?」
そう語る赤毛の少年は、サイレンスと同じ様に椅子に座らされたドロシーの背後に立っていた。ドレス姿のままのドロシー、そして6時間前に見た店員の格好をした少年がドロシーの頭を両手で挟み込んだ状態のまま言葉を続ける。
「いやあ、あっちにいるミュルジスには手こずった。何人か怪我人も出ちまって、大変だったよ」
赤毛の少年は今もたくさんの男に犯されているミュルジスがいる方向をちらりと見ながら話す。
「……だから今度はより念入りに、な」
そう少年が言うと、また目の前のドロシーへ視線を戻した。
椅子に座らされたドロシーには様々な
目を完全に覆っている大きなバイザー式のゴーグル。
口に嵌められた、SMプレイ等に用いられるボールギャグ。
首元に着けられた点滴のような器具。
その器具はサイレンスがライン生命でまだ勤務を行っていた時に見たことがある製品だった。
「マゼランとメイヤーには事前に "要警戒だ" 、って言われてたけど。……まさかあれほどとはね。―――― まぁだったらそもそも連れて来んなよって話しだから、あいつらにもお仕置き中な訳だけど」
「……、お仕置き……?」
その少年の言葉にサイレンスは再び目線を前に向けた。
するとその視界の先、3つの女体の側に緑色の液体が入った "注射器" を持った男が何人か立っている事に気付いた。
注射器を持った男達は代わる代わるメイヤーやマゼラン、そしてミュルジスに近づくと、腕や脚を掴み注射器の中身を注入していく。
その光景を見たサイレンスが再び視線を少年とドロシーへ戻す、そして注射器に入っていた物と同じ緑色をした液体が、ドロシーの身体につけられた点滴のような器具へ注ぎまれるチューブにも流れているのが見えた。
ドロシーの身体は硬直し、拘束された四肢は小刻みな痙攣を起こしていた。その様子はサイレンスに電気椅子へ座らされた罪人を想起させた。露出した肌は真っ赤に紅潮し、玉になるほどの汗が身体の露出した部分に見られた。
そして嵌められたボールギャグからはおびただしい量の唾液が噴出していた。ドレスの隙間から谷間にドンドンと垂れた唾液が吸い込まれていく。
そのドロシーの様子は、医療の心得があるサイレンスに強い焦りを覚えさせるのには充分だった。
「―――― やっ! やめなさい! 今すぐドロシーを解放して!」
「―――― ッ!、ぶぎゅっ……! ♥♥ッ!、♥♥――――ぃぎゅ、っぎゅぅ……!♥♥」
―― ぷしゅっ……! ぶしゅぅッ……! じょばっ……!
そしてサイレンスが赤毛の少年に対し悲鳴にも似た警告を発するのと、椅子に座らされたドロシーが股間から大量の液体を吹き出すのはほぼ同時だった。
「――――ッ?!」
その飛沫の勢いは凄まじく、椅子に座らされたままだと言うのに優に3メートルは飛び、その先にある床へ向け透明の汁を飛び散らかした。
「ドロシー?!」
「おっほ、すげえすげえ。溜まってたんかね? こんなエロい身体してるのに男っ気無かったみたいだし当然っちゃ当然か? あははっ」
「―――― ぶぉっ……! ぶしゅっ……!♥♥ ―――― ぎゅぶッ……♥♥、――――!」
―― ぷしゅぅぅ~~~ッ! ぶっしゅぅ……! ぷしゅっ……!
赤毛の少年が笑いながら歓声を上げた。その様子は虫取り少年が虫に向けるような、無邪気で残酷な物だった。
頭を掴まれたドロシーは拘束された身体に強い力を込めながら痙攣し、そして飛沫を上げ続けている。拘束された肉付きの良い脚がベルトに喰い込み、ギリギリと音を立てた。
―― ぶしゅっ!! ぶしゅぅぅぅぅ〜〜〜〜ッ……! じょびっ、ぢょばばッ……!
バイザーで目を、そして口にはボールギャグがはめられている為、サイレンスからはドロシーの表情まではわからない。だがドロシーが気色の良い、快楽や悦びに属している
「お〜〜、お〜〜凄え凄え! たらふく飲んでた酒が全部出ちまうなぁ? はっははは!」
ギャグボールから嘔吐と見紛う量の唾液を噴出し、鼻水や涙まで垂れ流し始めたドロシーを見て、その凄惨な光景を見て、サイレンスは思わず声を張り上げる。
「やめなさい!!!!!!」
その大声量に一瞬だけ場が静まり返った。
サイレンスは自らに視線が集まった事を感じていたが、構わず赤毛の少年を睨み付けた。
「ははっ。いいねぇ~。やっぱ、それくらいじゃないとな~!」
そのサイレンスの様子を見た少年がケラケラと愉快そうに笑った。
◆
(どうする! どうする?! どうすればいい?! 私はどうすれば……!?)
サイレンスは混乱の嵐の中にいた。表には気丈に振る舞う顔を見せ、その内心では取り乱しそうになる己を律し、怯えながらも必死で思考する。
火照った身体に冷えた血が巡るのを感じる。青褪めた血がスーっと頭に流れ込む。
自分の状況。周りの状況。そして少年が話した言葉を繋げて行く。
……そしてサイレンスの優秀な頭脳はその答えをすぐに弾き出した。
―― "どうしようも無い"。
サイレンスはギリッと歯を噛む。血の気が引いた指先から力が失われて行く。
盤面にあるキングを守る駒は全て失われ、裸のキングが敵陣の只中にいるだけだ。次は相手の手番、しかも自分の手番が回ってきてもキングには逃げる道筋すら用意されていなかった。サイレンスが眠っている間に大勢が決していた。
(…………詰んでいる)
もはやここにいない第三者の介入や、相手が手番を誤らない限りどうにもならない事は明白だった。
つまりここからはひたすら粘り、耐えるしか道は無い。
(少年の口ぶりからして、マゼランとメイヤーが私達を誘い込んだのは明らかか……。それがこの男達に脅された結果なのか、自ら進んでそうしたのかはわからないけど……)
少年の睨みつけるサイレンスが高速で思考を展開させる。
一手のミスも許されない盤面、情報の整理は不可欠だった。
(つまりあの時の違和感は正しかった訳か。食堂で2人が僅かに漏らしたあの不思議な緊張感。……あのアイコンタクトがここに連れ込む為だとすれば確かに腑に落ちる……。 あ〜、ここぞと言うときに "自分の勘を信じられない" のも……、悪癖だね、オリヴィア)
サイレンスが自嘲混じりの思考を続ける。
サイレンスは混乱した思考を。困惑した感情を。喉元に刃を突きつけられたと同義の焦燥を。そして友の裏切りの悲しみを。
(…………。 "自分のせい" に出来るのなら、まだ大丈夫だ)
そしてサイレンスはその全てを "自嘲" に混ぜて飲み込んだ。全ての帰結を自らの落ち度へと集約し、思考を平常に戻していく。
(ライン生命製の見覚えがある装置、……ドロシーの様子からどのような事をされているかは概ね想像がつく。それに前述の理由から誰が持ち込んだ物なのかも明白よね。 ……あれは確か、被験者の記憶や脳内の信号を記録、そして解読する装置だったはず……。出力機能は "危険性が拭えない" として機能的にはオミットされていたはずだけど…………。あのドロシーの様子だとそこに希望を持つのは危険だな……)
そこまで思考したサイレンスの頭にズシリと鈍痛が走る。
(……だけどあの緑色の液体、あれはなんなのかまったくわからない……。ただちに死んでしまうような物では無いことは確か、だけど……)
―― 必死で思考し、情報を整理するサイレンス。
だが思考を続けるサイレンスの元には背後から一人の男が近付いてきていた。
キャスターがついた大きな台を押し、台の上には様々な器具が置かれていた。その中にはドロシーに着けられている物と同じ点滴のような器具が混ざっていた。
タイムリミットは近い。
◆
―― カチャッ…… カチャカチャ……
―― ちぷっ……、ぷすっ……
「―― ッ……! くっ……、どうして」
「あ?」
「どうして、私達なの?」
男達に器具を取り付けられながらサイレンスが少年に問う。
首筋にチューブの先の針を刺され、チクっとした痛みに耐えながらひとつの疑問を口にした。
「ん? ―――― かかっ! 知らねぇよ。あっちで嬉しそうにちんぽしゃぶってるメイヤーとマゼランに聞けよ。俺は新しい女を2人連れて来いってお願いしただけだ」
「ッ……。そう……」
サイレンスの視界の先では、舞台の上でいまだ男達と狂宴に興じる3人の女たちがユラユラと揺れていた。
メイヤーは嬉々として複数の男達の肉棒にしゃぶりつき、マゼランは大柄な男に頭を道具のように使われ、そしてミュルジスは全ての穴を性処理の道具として容赦無く穿たれている。
例外なく3人の美女は男達の精にまみれ、離れた位置にいるサイレンスまでその獣の匂いが漂って来る。
そしてサイレンスの右手側ではドロシーがいまだに "処置" を受けていた。
いったい何をしているのか、ドロシーの頭を後ろから掴んだ少年が、ドロシーの髪を掻き分けるようにぐりぐりと指先で頭を揉み込んでいた。
そして色々な器具を身体につけられ、豊満な身体に大量の汗を浮かべ、電流を流されたように四肢を痙攣させながら、股間からはブシュブシュと透明な液体を宙空に向かい吹き上げている。大量の汗と飛沫を出すドロシーの周りは湯気が立つほどに蒸れていた。
その光景や香りはこれまでの生活からは余りにもかけ離れており、悪い夢でも見ているかのように現実感が薄い。
「……よし、こんなもんでいいだろう」
そして少年がそう言うと、ドロシーの頭を掴んでいた手をゆっくりと離した。
すると同時に、ドロシーの股間から一際大きな水音が響きだした。
―― じょぼっ……じょぼぼぼぼっ……! じょろっ……! ぶっしゅぅぅ……!
「ぶむぉッ……!?、ぶふぅっ……、うびゅ……♥、い゛、んむぉぉ…………♥――ぉ゛ぁ――――♥♥♥」
黄金色をした飛沫があたりに飛び散る。放物線を描き床へ落ち、自らの脚や椅子の脚を伝い、椅子が置かれた床に雌の香りがする池を造っていく。ギャグボールがハメられた口からは呻き声を漏らし、そしてドロシーは意識を手放した。
「ド、ドロシー……、っ……」
「ははっ、最後にお漏らしまで追加か。あ~あ~くせえくせえ。 ……まぁよくもったほうだな。ミュルジスはこんくらいやった時はもう5回くらい気絶してたし。かははっ」
そして少年は楽しそうな声を上げると、サイレンスへと向き直りこう告げた。
「お待たせしました。次はお客様の番です……。 ってか? ……くくっ、かははっ!」
◆
サイレンスの後ろには少年が1人、そして横にはもう1人の男が立っていた。
顔にレユニオンのマスクを着けた男は、手に点滴のような器具の流量を調整するコントローラーを手に持っていた。傍らには様々な器具が乗せられた台が用意されている。
「ぐっ……、くふっ……。 ふぅふぅっ……、うっあぐううッ……。な、なんなのこの薬ッ……!」
「え? わかんない? ああ、あえて聞いてる感じ? まぁすぐわかるよ」
サイレンスの首筋に刺された針、そしてチューブへ緑色の薬品が流れ始めると、その不快な感覚にサイレンスが思わず声を漏らした。
「ゔうっ……。っふぅ、っふぅッ……」
それはアルコールを接種し、酔いが回った感覚に近かった。ドクドクと血流が巡り、火照った熱が血管を伝い全身に広がっていく。
「お前はそうだな……、このまま "処置" しようか。アーツも弱いみたいだし。薬マシマシ、装着ナシナシ〜ってな! ははっ!」
「やめっ、……ッ、てっ! 触らないでっ……! ううっ……!」
そう言うとサイレンスの後ろに立つ少年の手が、ドロシーにもそうしていたようにサイレンスの頭を挟み込むように掴んだ。それだけの事でサイレンスの全身をゾワゾワした怖気が走る。ゾクゾクと鳥肌が立ち、背から走る寒気に全身を震わせた。
そして少年はグっと指先に力を込め、そのまま言葉を続けた。
「このままだとうるさくて敵わんわけだけど……、お前なら少しは耐えそうだ。……まぁせいぜい頑張れよ?」
すると少年が指先をグリっと、手を捻るようにサイレンスの頭皮を滑らせた。
―― ぐりゅっ……、ぐぐぐっ……
「な、なにをっ……? ―――― ッ!、あえっ? ……お゛んッ?!」
(―――― なっ、なに今のっ?!)
少年が数センチほど指を滑らせると、サイレンスの下腹部に内蔵ぐにゅりと歪むような不思議な感覚が走った、その唐突な刺激にサイレンスは思わず悲鳴のような声を上げた。
「なっ、なにしっ、お゛っ!、んっ、ぐっ、……あぎっ……?!」
少年の指先からピリっとした刺激が走り、その刺激に合わせヘソの下、
サイレンスの下腹部が一瞬で火が点いたように熱くなる。その不快な感覚にサイレンスが顔を歪ませる。その感覚は、電気信号で筋肉を反応させる医療器具を使った時の感覚に似ていた。
「ほらほらどんどんいくぞ~~、おりゃっ」
「ふぎゃっ……ぅぅ゛うッ?! なっ、やめっ、ア゛ッ! ん゛んっ……!!」
―― びっぐんッ!
ガタンッ……! ガタガタッ!
少年の言葉に合わせ、強い電流を流されたかのようにサイレンスの拘束された四肢が跳ね上がる。口からは情けない声が自然と溢れ、羞恥にサイレンスは顔を赤くした。
(で、電気信号っ……?! こ、これがこいつのアーツ能力?!)
「ふお゛んっ、うっぎッ……やっ、やめっ……、あっ! ふぅっ! っふぅぅ~~ッ、! あふっ、あああっ……ぎッ、い゛ッ!」
―― ビギッ……! ガタンッ……!
…… ドクンッ……! ドクンッ……!
体内の刺激がどんどんと強くなる。まるで腹の中に見えない寄生生物がいるかのようだった。
少年が指先でグリグリと頭皮を握ると、その強さに合わせてビクビクとサイレンスの身体が拘束されたまま跳ね上がる。あっと言う間に激しい運動の最中のように鼓動が跳ね、身体からは汗が吹き出した。
そして首筋に流れ込む薬の量もその鼓動の強さに合わせ多くなっていく。
「んっ? あれっ? 思ったより感度低いね? あんまりオナニーとかしない感じ? けっこう良い歳だよね?」
「なっ?!、なにを言ってっ、えッ!、 ふっぎ!、ぎひっ……、ふむぉっ……! フゥッ、フゥッ!」
サイレンスの反応を疑問に思った少年がそうサイレンスに問う。その屈辱的で下卑た質問にサイレンスは答えない。
「ってことは処女? ロドスの男はほんとインポしかいないのか? あっちのドロシーも処女だったし。マジありえね~」
「うっ、うるさいっ……!! あなたに、はっ、関係なっ、いっぎっ! ふぐっ、あっぎッ……!」
少年は言葉でサイレンスを煽る。サイレンスを小馬鹿にし、ロドスを嘲る言葉を吐く。
「んじゃあもっと薬で楽しんでもらわんとだな~。処女様には特別製をプレゼントだ。 おい、ルダス」
「はい。どれにしますかドールプレイ」
少年が "ルダス" と言う名を呼ぶと、装置のスイッチを片手にサイレンスを観察していた仮面の青年が返事をする。青年が口にした"ドールプレイ" とはこの赤毛の少年のコードネームだ。
ルダスと呼ばれた青年は手足がヒョロっと長く、どこか蜘蛛やカマキリなどの昆虫をイメージさせた。仮面をつけた頭、そして癖がつきカールした黒髪が印象的な青年だった。
「一番強いやつで良いぞ。まぁ死なんだろ。 それに、医療アーツが使えるみたいだしなこいつ」
「わかりました」
そうルダスは簡潔に答えると、横の台に用意された注射器の内、真っ赤な液体で満たされた注射器に手を伸ばした。その薬は投与した雌の発情を促す、原始的で強力な媚薬だった。
◆
「―――― あ゛っ!!! ああ゛あ゛あっ!?!、ひっぎぃぃぃッ!!、♥♥、っぎあぁぁぁぃぃぃッ……! ひぎっ、ひっ…………!♥!」
―― ガタンッ……! ガタガタガタガタッ……!!
数分後、サイレンスの声は最早絶叫と呼べるほどに大きくなっていた。
頭を掴んだドールプレイの指先から刺激が走るたび、その数百倍の刺激がサイレンスの下腹部で破裂した。その慣れない刺激はサイレンスの呼吸を乱し、鼓動を乱し、視界を乱した。視界の中で光が弾け、口の端からはダラダラとよだれが溢れる。それは見えない手で腹の中をこねくり回されているような不快な刺激だった。
―― ぐぢゅっ……♥ ぶぷっ……♥ ぐぷぷっ……♥
そして薬により強烈に発情させられた女陰は既にグズグズになっていた。内から慣れない肉欲がドクドクと溢れ、その熱を受けたサイレンスの視界が歪んでいく。
陰唇が別の生き物のように蠢き、女陰の奥からはトプトプと濁った愛液が漏れ出す。そして青いチャイナドレスの下にある際どいデザインの黒下着をグズグズに濡らしてゆく。
「ぶふぅっ……!!♥ いっぎっ、ぎひィ……!、っふぅ、っふぅぅぅ~~ッ! っふ、あふっ、あっぐぅぅ~~~ッ?!!♥♥」
(こ、このアーツ! 身体の制御をッ……?! あ、ああああっ、ダメッ……!!)
その頃にはサイレンスもその能力の正体に気付いていた。
それはドールプレイに掴まれた頭をサイレンスは1mmも動かす事が出来なかったからだ。
指先から発する刺激から逃れる為にサイレンスは頭を振ろうとするが、首から上は微動だにしない。まるで万力で固定されたように宙空で固定されている。
「はははっ!、お~お~。うるせえうるせえ」
そしてそのサイレンスが取ろうとしていた行動は
「う゛あああ゛あ゛あッ?!!! やめでっ、ああ゛あっ、止めっ……!!! ああっ、やだッ……!!! うっ、うううっぐぅ゛ぅ゛ぅ……ッ!!」
下腹部、主に子宮の周辺がぐにゅぐにゅと動く感覚に隠せない快楽が混ざり始めると、サイレンスの顔は恐怖に歪み出した。拘束された四肢を必死で揺すり、頭を振り、その雌の弱点から大量に湧き上がる快楽を少しでも逃そうとした。
(あああっ!! 逃がせないっ……!! 来るっ、止まらないッ……!!)
だがその努力は全く実を結ばない。黒いベルトで椅子に、そしてドールプレイの能力で固定された身体は快楽を逃がす程の動きを取ることが出来ない。せいぜい小刻みに痙攣するのが精一杯で、身体の中で膨らむ快楽はちっとも逃げていかない。
その為口からは絶叫を上げ、涙を流し、ヨダレを垂らし、下腹部から湧き上がる雌の悦びを必死で発散させようとする。強く噛もうとした奥歯はガチガチと凍えたよう歯を鳴らした。
その切羽詰まった声の余りの大きさに、舞台の上で乱交に興じる男達の目線もサイレンスへ集まるが、既にその視線に羞恥を覚えるほどの余裕はサイレンスには無かった。
「あっ!!!!! ダメッ……!! 止めて……!! あっ、あああっ、ああ゛あ゛ッ!!!!?♥♥♥、――――ッ!!♥♥」
そして一際大きな声を上げると、サイレンスの股間からは無色透明な液体が吹き出した。
―― ブシッ……!! ブシュッ!! ブシュゥゥゥ~~~ッ!!!
それはサイレンスが人生で初めて "他人の前で起こした絶頂" であり、そして人生で初めての潮吹きだった。
その非合法な媚薬によって増幅された強烈な快楽は、サイレンスの奥底に隠れていた "雌" に火を点けるのに充分な火力を持っている。
身じろぎすら許されず、全身を固定されたままサイレンスは強烈な絶頂を迎える。視界はバチバチとフラッシュを炊いたように明滅し、耳を流れる血流のゴォーっとした音が自らの嬌声すら掻き消した。
「っぐぅぅぅッ!! 、うぁッ! お゛お゛おおん゛ッ……!!♥♥、――――イッギぃ!♥♥――ひぎっ♥♥、っぎゅ、っぎぃぃぃ~~ッ!!♥♥」
その絶頂は当初サイレンスが想像していたものよりも数段強力な刺激だった。
どこかで『自分は大丈夫』、『耐えられる』、と考えていたサイレンスの自信も自負も一撃で吹き飛ばし、ただただ閃光のような快楽がサイレンスの華奢な女体の中で吹き荒れた。
その横ではいまだ意識を失ったままのドロシーが複数の男達に拘束を外され、舞台の上へと引き摺られていたが、その男達の行動を認識する余裕はサイレンスには無かった。
◆
――――、
――――――、
その後もサイレンスはドールプレイとルダスによって念入りな処置を受けた。
追加で投与された薬は注射器にして6本分となり既に致死量に近い量だ、もはや拘束を外した所で自力での歩行も困難な程に薬漬けにされていた。
「―――― あお゛お゛おっ?!! うぶぅっ♥!、おっ、おお゛お゛っんッ……!、ぶぎゅっ、あっ、ああ゛あ゛あ゛あっイッグぅぅぅぅぅ~~ッ!!!♥♥」
―― ぶしゅぅッ……! ぶしゅっ……!! ぷししっ……!
グチョッ……! ビタンッ…… びちょっ! ぶぢゅぢゅっッ……!
下着の下ではいまだに触れられてすらいない女陰が真っ赤に色付き、脱水を起こしていないことが不思議になるほどに大量の愛液と潮をあたりに吹き散らかしていた。
椅子での拘束は手首と足首の2点だけに変更され、自由になったふとももがバタバタと開閉を繰り返す。
サイレンスが深い絶頂に合わせ拘束された椅子の上で腰を必死にヘコヘコと跳ね上げると、椅子と尻の間に入り込んだ体液がぶちゅぶちゅと下卑た音を立てた。それはどこかハメ潮を起こしてる女に男がピストンをしているかのような音でもあり、サイレンスの無様さをより一層に強調する。
口からは吐き戻してしまったかのように大量の唾液が溢れ、サイレンスが着た青いチャイナドレスをドロドロと泡立った唾液まみれに変貌させていた。
全身から水を浴びたかのごとく大量の汗が吹き出し、サイレンスの華奢な身体に変色したドレスがへばりつく。そして唾液と汗の混合液がだらだらと垂れると、糸を引きながら床へと垂れ落ちる。その光景は実に扇状的であり、同時にとても病的だった。
「―――― あああっ、まだイグっ! いぐっ!! ぷふぁっ……♥ ……ぁぁぁあああああ止め゛ぇ、あぇ゛ぇ゛ぇっ!!♥♥、ぎっびひぃぃぃ~~~ッ?!♥♥」
叫び続けたサイレンスの喉は無惨に枯れ、ハスキーとなった嬌声と悲鳴が混ざった絶叫でその場にいる男達を楽しませる。
「はははっ、可愛い顔になって来たじゃねえか? そんくらいのほうが男にモテるぞ~? かははっ!」
そんなサイレンスの顔を後ろに立つドールプレイが覗き込んだ。サイレンスの視界に逆さまになったドールプレイの顔が映るが、焦点が合わずなかなか像を結ばない。
サイレンスは歪んだ双眸に涙を浮かべ、だらしなく開いた口の端からは泡立った唾液がぶくぶくと溢れ出している。顔は真っ赤に紅潮し、そこにはいつも浮かべていた理知的で賢い女性の面影はまったく見られない。
「―――― んっぶぉぉぉぉぉッ♥♥ んッ!おぼっ、げほっ!♥ あ゛っ♥♥!、まだイグッ!♥ や゛め゛っ、♥♥ ア゛ッ♥♥! んッあああ゛ぁ゛ぁ~~~ッ……!♥♥♥――ほァ――ッ♥♥♥、んぶぉッ♥♥♥、ぶひゅっ……♥♥」
10秒にも満たない時間でサイレンスが次の絶頂を迎える。ドールプレイのアーツ能力で子宮を直接こねくり回され、処女のままポルチオアクメを次々に迎える。イクたびに絶頂が深くなり、絶頂を終えた後の発情がひどくなっていく。
―― びゅぐっ……♥ ぶぴゅっ……♥♥ ぷびゅぶゅぶぶぷぅ……♥
奥底から粘ついた愛液が無限に湧き出し、いまだに
「うはは、すげえ匂いだな? 雌汁を煮詰めたみたいな匂いがしてるぞサイレンス~? こんだけフェロモンが出ればロドスのインポ野郎共でもちんぽビンビンにして口説いてくれると思うぞ? 良かったな? はははっ!」
――――、
そしてその後もその "処置" はサイレンスが絶頂したまま意識を数度飛ばしてしまっても終わる事が無かった。
無限に湧き出す欲情と快楽に "命の危険" さえ感じながら、サイレンスは念入りに "加工" された。