◆ ◆ ◆
――――、
――――――、
(あ、あれ……、私……?)
横たわるメイヤーの意識が徐々に浮かび上がってくる。
朧気なまま目を見開くが視界は白く濁り、具体的な像はなにも描かない。
ギシギシと身体が鳴り、四肢が重い。
そして遠くからなにか音が聞こえて来た。
―――― ぷじょっ❤――――――ぶごちゅっ❤――――イグっ―――!!―――ふげっ――――
――――ぼたぼたっ……!!
不吉な音、心がざわめく音。
そしてその音と同時にメイヤーの顔へとなにか生暖かい液体が降ってくる。
口の脇へと落ちたそれは、次の瞬間に泡が弾けるような刺激をメイヤーの肌の上で立てぷちゅっと弾けた。
―――― ……おぼぉっ❤ ――――――げぷぉっ❤――――ぶじゅぶじゅぶじゅっ――❤――
(な、なに……?)
その刺激に暗い部屋でカーテンを開け放つように意識が覚醒していく。
覚醒と同時にメイヤー胸がドキドキと跳ねた。
そしてメイヤーの目に飛び込んで来たのは、双眸をグリンと脳天へとひっくり返しこちらを覗き込むマゼランの狂った顔だった。
思わず身体を跳ねるように起こす、が身体はピクリとも動かなかった。
「――――――っ!!!、マゼランッ!!!!?」
友の名を叫ぶと、同時にメイヤーの鼻腔へひどい匂いが入ってくる。
「――ふっくぅぅっっ?!――」
(……ぐっ、なにっ?!この匂いっ!?)
その香りに、ひどい悪臭にメイヤーの胸が熱く跳ねる。
媚薬香の女の狂わす破壊的な甘い香り。
男と女の汗の混ざりあった臭い。
自らの唾液とマゼランの唾液の臭い。
そして胃液と精液の臭いが混ざった破滅的な香り。
「――はぎょっ……❤……ぶごっ❤めいやぁ?……、たじゅげっ…めいやぁたじゅげっで……、おぎゃっ、!!イグっ!イグイグいんぐぅぅぅぅ!!❤❤」
マゼランが後背位の体勢で女陰をバスバスと突かれている。
ちょうどメイヤーと顔の位置が重なるように位置し、口の端から胃液混じりの泡立った精液をメイヤーへと垂れ流す。
「おっ?起きたかメイヤー。ずいぶんぐっすりだったな?」
マゼランの背後からドールプレイの、少年の陽気な声が響く。だがメイヤーの視界は乱れるマゼランの上半身で埋め尽くされその姿は見えない。
「ドールプレイ!!!!あなたマゼランになにっ……?!うぅっ……、なにをっ!!」
「なにって?ええっ?ぐっすり寝たら忘れちゃったか?……ああ、そんなに叫んだら吸い込み過ぎちゃうぞ?」
「――――っ?!!」
メイヤーが慌てて口を紡ぐ。
だが口を紡いだとて、鼻から吸い込む媚薬香は止められない。
「まぁまたおまんこドッロドロにしたいなら止めないけど……、って、ああもうドロドロじゃん!」
慌てて視線を下半身へと巡らせる、だが身体を固定されたメイヤーでは自らのぷっくらとした双丘に阻まれ見ることが出来ない。
視界の外ではメイヤーの女陰がとぷとぷと濁った涙を流していた。
「―――― はくっ…… ――っくぅっ、――!」
「……おぼぁっ❤イグっ❤ ……ふぁぁぁああ゛あ゛あ゛っ?!❤ まらっ!まらちんぽ膨らんでりゅっ……!らゃめっ❤出しちゃりゃめぇ゛っ、❤❤――――」
マゼランが舌足らずな声で抵抗の言葉を口にする。
その声はメイヤーの記憶の中のマゼランの声よりも、幾分か枯れハスキーな響きへと変貌していた。
「まぁもうすぐ、終わるからっ、待ってろよ。 メイヤーがなかなか起き無いからマゼラン何回か死にかけてたぞ?かははっ!」
「――――っく!、――ぅぅっ――、あぐ…………」
食い縛る口の中でメイヤーの舌が縺れる。
それは怒りによるものか、それとも……
(―― わっ、私も、……さっきまで、あの…… ううぅぁっ……)
意識を失う前の刺激的な記憶が蘇りメイヤー女陰がぐちゅりとうねる。跳ねる鼓動にメイヤーの視界が歪み、涙を流すマゼランの顔がぼやける。
「しかしっ、身体が普通の人間より丈夫なのも考え物だなメイヤー?ふぅっ、お前は幾分か常識の範囲内だが、マゼランと隣の犬女は埒外だなっ!――――」
ドールプレイがマゼランの女陰に肉棒を叩き付けながらメイヤーに話しかける。
「―― おごぁっ❤んぶぉっ……❤――ぶじゅっ!、ひぎっ❤ほおおぉぉ゛ぁ゛っ、イグいんぐぅぅ゛ぅ゛ぅっ!!❤❤ ――」
その声を遮るようにマゼランの獣の声が弾ける。
「――ロドスはこんな雌豚ばかりなのかっ?かははっ最高だなっ?❤次の女が楽しみだぜっ……!ぉぉぉおっ!、イクぞマゼランっ!!」
「はぁっ……!❤はぁぁぁあっ!!ちんぽっ!ちんぽ膨らんでぇっっ!!❤ほぎょっ❤イグっ!イグっイグっ!!来てぇ゛ぇ゛ぇ゛っ!!❤❤――――」
見せつけていることに興奮しているのか、ここ数度の中では比較的深い絶頂に二人が堕ちて行く。
強く突きこまれたマゼランの上体が前方へ崩れ、メイヤーの視界を跨ぎ超えるように身体が移動する。
メイヤーの眼前にマゼランのボコリと膨らむ下腹部が迫り、その中でドールプレイの太い肉棒が弾けた。
「――――ああっ、やめてっ!だめっ!!――――っ!!!」
――ごぶぅっ!、❤ぼびゅぅっ❤どぢゅぅぅ❤ぼじゅるるるるっ〜!!❤
「――ほぎゃっ❤ぶひゅっ❤いぎゅっ、!❤いんぎゅぅぅぅぅ〜〜ッ❤❤ザーメンでてりゅぅぅぅはぎゃぁぁぁああ゛あ゛ッ!、!」
マゼランの耳をつんざくようなハスキーな悲鳴が、歓喜の声がメイヤーの右耳を突き抜ける。
―― どっぷぅっ…❤ぐぶぢゅるっ❤ごぶぢゅぢゅぅるるるぅ……❤
そしてメイヤーの視界にぐぷぐぷと音を鳴らし貧欲に蠢くマゼランの下腹部が映る、肉棒の形に膨らみ、ぐちょぐちょと音を鳴らし、ごくごくと子宮が精液を飲み干す脈動の音がはっきりと聞こえ、メイヤーの左耳を侵した。
その両耳からの甘美な、そして破滅的な声と音に視界が揺れ、 ぶぴゅぴゅっとメイヤーは女陰から愛液を吹き出し軽い絶頂を覚えた。
――――、
――――――、
◆ ◆ ◆
――ぁ――、
――――ぅぅ――、
しゅぅしゅぅと音を立て、メイヤーとマゼランの足元で女を狂わす香が焚かれている。
むずむずと身体の性感帯が疼き、女陰に加え、ふたりの美しい胸にも玉の汗が浮かび、ぷるぷると空気の流れに合わせて震えを起こす。
メイヤーとマゼランは壁に張り付けの状態で放置されていた、両腕を壁の高い位置へと固定され、その美しい身体を思う存分に晒け出している。
メイヤーはスリムかつ、小ぶりだがぷっくりとした胸部と、比較的に大きな安産形の尻をしている。スラッとした足は内股に曲がり、クルっと巻かれた自身の尻尾と一緒にじっとりに濡れた無毛の女陰を隠すように吊るされている。
マゼランはむちむちと、それでいて肉の下には微かに筋肉質な肢体を持っていた。身体に見合った大きい胸にびんびんと弾けるような乳首が立ち、禁欲者でも思わずむしゃぶりつきたくなってしまいそうな見事な稜線を描いていた。
胸と同じくムチムチとした尻には、フィールドワークで鍛えた太い足が備わり、だらしなくがに股に開いた足の間にはぐちょぐちょに崩れた無毛の女陰が覗いていた。
マゼランの意識はまだ戻っていない。強烈な絶頂に焼かれた意識はそう簡単には浮上してこなかった。ぐったりと立つ身体からは汗が玉になって吹き出し、半開きとなった口からは泡立った唾液が溢れていた。
その色々な液体で輝く肢体に、まるで絶頂に堕ちたマゼランの意識をさらに沈み込ませるように、もやもやと立ち上る媚薬香の煙がまとわりついている。
――――、
メイヤーは睨み付けるようにして眉を寄せ、目の先の少し離れた位置に座る少女へと視線を向けていた。
赤い毛をした少女が、体育座りの体勢で座り、じ〜っと二人の全裸の身体を見ている。
軽装の鎧を身に纏い、手には小さなワンドが握られている。
美しい赤毛のハーフアップの髪には小さな青いリボンがついており、十二、三の幼い容姿にとても似合っていた。
だがそのかわいらしい風貌からは想像も付かない冷ややかな目線を、ジトーっと据わった目線を刺すように向けてくる。
焚かれた香がその少女にも流れ着くが、炙られるように汗を吹き出す二人とは違い、少女はそれを涼しい顔をして吸い込み、意にも介していなかった。
「………………」
「あなた……、誰?」
メイヤーが尋ねる。
「……………………」
「……名前は……?」
「…………?、…………」
メイヤーが顔へ香の煙をまとわせたまま、コミュニケーションを取ろうと試みるが、なにも反応は返って来ない。
(無駄か……、ただの監視役……?、……ぅぐっやっぱり喋ると煙がっ……)
少し激しい呼吸をしただけで、ずしりと胸が重くなり女陰の疼きが強くなる。
一度呼吸が乱れるとなかなか元へ戻らず呼吸量が増える。
ここで消耗するのは得策では無い。そうメイヤーは結論付けた。
メイヤーはまだ諦めていない。
「…………」
「……、……」
少女とメイヤー、二人の間にまた沈黙が落ちる。
――――、
そこへもう一人の人物が現れる。
ドールプレイだ。
湯浴みを終え、白いタオルを首にかけた半裸の少年が部屋へと戻ってくる。
「ぁ〜、すっきり……、ってあれ、インターセプション?お前なにしてんだ?」
赤毛の少年が、赤毛の少女に話しかける。
その髪は同じ燃えるような色をしていた。
「………………」
だが少女は答えない。
「ちっ、……おいリリカ。なにしてんだって。ってかコードネームでも反応しろよな?」
じとりとした目線を、ドールプレイに返す。
「兄さんが…………、ん……」
「ん……?ああ?」
「兄さんはどっちの女がタイプなのかなっ、って思って……」
「ぁぁ~…………」
(なに……?、この子……。)
話す内容こそ素っ頓狂で緊張感が無い物だ。
だが少女から届く刺すような視線はメイヤーに悪い予感を、嫌な想像を想起させるのに充分な威圧感を持っていた。
それこそこの場でドールプレイが返す言葉次第で、この状況が決壊してしまうような、そんな赤で染まる光景を想起させる。
「…………、どっちも、タイプじゃねぇよ」
「ん…………。ほんと?…………」
ドールプレイが言葉を選びながら、慎重に返答を続ける。
「ああ、そもそも俺は俺よりでかい女に興味ねぇよ。…………これでいいか?」
少女に声をかけると同時に、ドールプレイがちらりとメイヤーを一瞥する。
そして少女がドールプレイと私達をきょろきょろと交互に眺めた。
……背の高さを見比べているのだろうか。
「……うん、なら…………、良い……」
そう言うと少女は立ち上がった。
メイヤー達に向けられた冷たい視線が幾分か和らいだように感じる。
「ふぅ……、用はそれだけか?」
「ん…………、あ」
「……?なんだ?」
「……さっきソウヤが、犬女殺そうとしてたから止めた」
(…………ッ!!)
「―― 教官っ!?」
メイヤーの口から思わず言葉が漏れる。
「はぁっ?!マジか、あいつまたかよっ!あぁ〜っくそっ!」
「……兄さんもさっき、そっちの大きい方の女殺そうとしてなかった?」
「…………、見てたのかよ。いや、してねぇよ。不可抗力だ。あぁ〜それでだ、……つまり?」
「……、ソウヤ、喰っていい?」
(――――?!喰う……?)
「……ぁあ〜〜、やっぱりか。……、次の戦いでソウヤは前線に送る。……それじゃダメか?」
「ダメ……。ってかもう腕折ったから前線は無理」
「ああ゛っ?、はぁ……マジかよ……」
ドールプレイがボリボリと頭を掻いた。
(なに……、こいつら。)
ロドスに帰った際に有力な情報になるかもしれない、そう考えて必死にメイヤーが情報を拾おうとするが、話の内容は朧げで形は見えてこなかった。
(勘が良いマゼランちゃんならなにか気付いたかもしれないのに……。――ぅぅんっ、私がっ……!)
「―――― ……えっと、喰うって……どうするの?」
メイヤーが横から質問を投げかける。すると少女の目線がメイヤーへと移る。
「…………、…………?」
(ダメか……な……?)
「喰うは、喰うだよ。…………食べる。犯して、食べる」
メイヤーの脳内につい十時間ほど前の、責めが始まる前の部下達に向けたドールプレイの言葉が浮かぶ。
『――― ただし絶対殺すなよ??意図的に殺した奴はインターセプションの相手をさせるからな?……ただでさえ今回捕虜に出来たのは女だけだったんだ。あいつも溜まってる。……この意味わかるよな?』
(――相手をさせる、つまりそうゆうこと?)
彼女の"相手"をさせるのは、処刑、または重罰に近い意味を持つのだろうか。
「――――、そ、そう……。教えてくれてありがと」
メイヤーがお礼の言葉を口にする。
「――、…………兄さん?」
「…………、あああっ、わかったよ。ソウヤはリリカの好きにして良い。皆には俺から言っておく。……あ〜、部屋は一番奥を使え。大人組を見張りに行かせる」
「……!、カブカさん?」
「あの人はダメだ。夢中になりすぎる……、ノゲイラを向かわせるから部屋で待ってろ」
「うんっ!わっ、わかった!!待ってるね!!――あっ!!」
急に少女の声のトーンが上がり、表情も明るくなる。
(――?!、何なのこの子……。情緒が不安定すぎない…………?)
メイヤーの脳裏に以前ライン生命で見かけた患者の姿が思い浮かぶ。天災により家族を亡くし、自らは鉱石病に侵され絶望していた患者の姿。感情の浮き沈みが激しくなり、人格がブレたあの患者達の……。
「―― あっ、あと!ロドスがまたあの廃墟に向かうよっ!!」
「えっ……?!」
「ああっ?!……ばかお前、今言うなよ……!」
(ロドス……!……私達の救出に……?)
「あっ、あのねっ、通信が聞こえてねっ?あと、多分二週間後くらいだと思うっ!!けっこう大規模だよっ!」
リリカが地団駄を踏むようにソワソワと落ち着かない様子を見せる。
(通信が聞こえ……?、秘匿通信を傍受したの……? それに、
メイヤーの脳裏に嫌な予感が浮かぶ。
「―― だぁからっ!ここで言うなって!!」
止まらない妹にドールプレイが悲鳴のような声をあげる。
「あの大きいお耳の子が帰ったみたい!!あの子、兄さんのタイプ?カニさん凄いねっ!?ハサミがさ?どうなのタイプ????」
少女の顔が高揚し、段々と話す内容が支離滅裂になって行く。
―― バチッ……バチバチッ……
少女の手にしたワンドから稲妻のような電流がバチバチと弾け、チカチカと辺りを照らす。
アーツ能力を使っているようだ。
「あ〜テンション上がるとすぐこれだからなぁ……、別にタイプじゃねえよ。それよりお前ちょっと落ち着――――」
ソワソワと落ち着きがない妹にドールプレイが制止の言葉をかける。
だが…………、
「あっ!あああっ!我慢出来ないっ!そうなんだ?早く早くっ!!兄さんのタイプじゃないんだね?あああっ!こっ、こいつら邪魔だっ!!」
次の瞬間、少女が叫ぶような声を上げると、少女が弾かれたようにメイヤー達に駆け寄り、勢い良く踏み込んだ。
「おいっ!!バカっ!!」
―― ズダンッ!!
そして床を強く踏み抜く音を立て小さな身体が飛び上がり、少女がメイヤー達の頭をそれぞれの手でガシっと掴んだ。
ころろんっと、少女が持っていたワンドが床を転がる乾いた音が響く。
「えっ……?」
「ああっ!!馬鹿やめろっ!!!」
そして――――、
……バチィッッ!!!
――――と、メイヤー達の頭から閃光が走り、その衝撃で再びメイヤーは意識を消失した。
――――、
――――――、